一夏「かき揚げ戦争」 (20)
ーー食堂ーー
一夏「うー、腹減った腹減った…。今日の昼飯は何にしようかなー」
ラウラ(久し振りに嫁と二人っきりで昼食だ)ウキウキ
一夏「ラウラは何にするんだ?」
ラウラ(しかし浮かれてはならない。この数少ないチャンスをものしなければ…)
一夏「おーい?ラウラー?」カオヲノゾク
ラウラ「ひゃ!?な、な、なんだ?!わたしと二人きりだからって浮かれるんじゃないぞ!」
一夏「お、おう?そうだな?それでラウラは何にするんだ」
ラウラ「わ、私か?私は…そうだな。今日はかき揚げうどんにしようか」
一夏「お、いいな。寒い日はやっぱうどんだよな!俺もそれにしようかな…」
ラウラ「そ、そうだな!それが良い!それにしろ!」グイグイ
一夏「わ、分かったよ。そんな急ぐなって」
ラウラ(嫁と二人っきりで同じものを食べる…これでは夫婦みたいではないか)テレテレ
一夏 (ラウラの奴嬉しそうな顔をして。そんなに腹が減っていたのか…)カキアゲウドンフタツオネガイシマス
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一夏「よーし、食うかー」
ラウラ「…………」ジー
一夏「ん、どうしたラウラ?そんなに俺のうどんを見つめて?何かついているか?」
ラウラ「嫁は…かき揚げサクサク派か?」
一夏「ん?ああ、そういえばラウラは後乗せサクサク派なんだっけか」
ラウラ「ああ。前にも言ったが、サクサク意外あり得ん。特につゆに沈めるなど論外だ。そんな奴がいたらこの拳を振るってでも矯正せねばならないだろう」グッ
一夏「そこまでしなくてもいいんじゃ…」
ラウラ「嫁は…どっちだ?」ジー
一夏「お、俺は特にこだわりはないからどっちでも…」
ラウラ「……」ジー
一夏「どっち…で…も…」
ラウラ「……」ジー
一夏「き、今日は後乗せにしようかな…」
ラウラ「うむうむ、それが良い!」
簪「あ…い、一夏。ら、ラウラさん…」
ラウラ「む、簪か…」
一夏「お、簪。今から飯か?良かったら一緒に食べないか?」
ラウラ「むっ……」
簪「え…い、良いの?」
一夏「良いに決まってるだろ。な、ラウラ」
ラウラ「むぅ…別にいいんじゃないか…」
ラウラ(せっかくの二人っきりの時間が…嫁の唐変木が…)
簪「じ、じゃあお邪魔します….」
一夏「お、簪もかき揚げうどんか。やっぱ冬はうどんだよな」
簪「う、うん。寒い日に食べるうどんは温まるから」
一夏「だよな。ちょうど俺たちもかき揚げうどんで…….……あ」
簪「…….……どうしたの?」カキアゲザブー
ラウラ「なっ……」
一夏「そ、そういえば簪はかき揚げ先入れ派だったか…」
簪「う、うん。たっぷり全身浴派だよ」
ラウラ「ぜ、全身浴だと…」
一夏「そ、そうだったな。ま、まあかき揚げには色々な食べ方があって面白いよな」アセアセ
ラウラ「……」ピクピク
簪「う、うん…そうだね?」
簪「そういえば一夏はどう食べるの?ツユに付けた方が味が染みておいしいよ」
ラウラ「……おい、簪」
一夏「ら、ラウ」
ラウラ「嫁は黙っていろ。……簪。貴様に一つ言いたいことがある」ゴゴゴ
簪「え…な、何?」
ラウラ「貴様のかき揚げうどんの食べ方は邪道だ!」
簪「えっ…」
ラウラ「あのサクサクの食感!そして揚げたての芳ばしい香り!それらが織りなすうどんとのハーモニー!これを楽しむのがかき揚げうどんだろう!」
ラウラ「なのに、それを汁に付けてしまうだと……。簪、お前の食べ方はかき揚げうどんを冒・している!」ビシッ
一夏「ちょ、ラウラ…そこまで言わなくても…」
簪「…………そんなのおかしいよ」
一夏「だよな!食べ方は自由…」
簪「か、かき揚げを汁に付けないなんておかしいよ!」
一夏「か、簪?!」
簪「あ、熱々のツユに沈めてたっぷり旨味を染み込ませてこそのかき揚げ。そもそもかき揚げうどんというのは、時間がない人がかき揚げをツユに浸してほぐし、うどんと一気にかきこんだのが始まりだった」
簪「つまりたっぷり全身浴派こそが正道。じ、邪道なのはラウラさんの方……」
ラウラ「な、なんだと……」ギロッ
簪「な、何。わたし別に間違った事は言ってない」キッ
一夏「お、おい。ラウラ……簪……」オロオロ
ラウラ「……」バチバチ
簪「……」バチバチ
ラウラ「簪とは一度話さなきゃいけないな….……拳で」
簪「私には、ラウラさんを……殴る…理由がある…」
一夏「ま、待て。二人とも落ち着けって………そ、そうだ!これはどうだ!」ハンブンザブー
ラウラ「かき揚げを…」
簪「半分だけツユに付けた…?」
一夏「ち、千冬姉はこうやって食べているんだ」
ラウラ「な、何。教官はそうやって食べておられるのか……」
一夏「こうすればどっちの感触も味わえるらしい」
ラウラ「成る程….…さすが教官。合理的だ……」
簪「興味….…深い……」
一夏「俺もどっちの食べ方も好きだからさ。どっちも正しいんだと思うよ」
ラウラ「ふむ……正解は無いというわけか」
簪「新しい視点….気づかなかった…」
ラウラ「….簪、すまなかった。非礼を詫びる」
簪「う、ううん。わたしも……ごめん。言い過ぎた…」
一夏(ふぅ……良かった)ホッ
??「いーちーかくん!」ダキッ
一夏「う、うわぁ!だ、誰だ?!」
ラウラ「あ、貴方は…」
簪「お姉ちゃん!」
建て直し?
>>7
はい
楯無「こんにちは〜。簪ちゃん、ラウラちゃん。なになに、みんなでお昼食べているの?」ムギュ
一夏「ち、ちょっと。当たって…」
「おねーさんも混ぜて欲しいなっ。お願いっ一夏くんっ」ムギュムギュ
一夏「わ、分かりました!分かりましたから離れて下さい!」
簪「一夏……」
ラウラ「スケベ……」
一夏「何でだよ!」
楯無「ふー、ではお言葉に甘えて…よっこらしょういちっと。お、みんなもかき揚げうどん?だよね〜やっぱり冬はかき揚げうどんだよね」
一夏「あ、楯無さんもですか」
楯無「うん。おねーさん冷え性だからあったかいのが染みるのよね。………時として一夏くん。かき揚げは後乗せサクサク派かね?」
一夏「え、あー俺は………」
楯無「もしサクサク派なら変える事をオススメするよ。それは邪道だからね」キリッ
ラウラ「………」ピクピク
簪「お、お姉ちゃん…」アセアセ
楯無「ツユに浸してこそっ!かき揚げうどんだよ」ザブー
ラウラ「………」ピキピキ
一夏「あ、そ、そうだ!楯無さんと簪はやっぱり食べ方が同じなんですね。俺と千冬姉も同じなんですよ!」
楯無「ん?ほー、そうなのか。やっぱり家族は似るもんなのかねぇ」
簪「う、うん。あ………ら、ラウラさんはお姉ちゃん…とか、妹…とかいるの?」
一夏(あ……)
ラウラ「え…………あ……。わ、わたしは……親や兄弟がいないんだ。軍で人工的に作られた…からな…。家族がいないんだ……」
簪「え?!……あ….そ、その…」
一夏(そうか…簪はラウラの事、知らなかったからな…)
ラウラ「………」
楯無「……んーもうっ。ラウラちゃんったらっ」ダキッ
ラウラ「うわっ!な、何をっ!?」
一夏「た、楯無さん?!」
楯無「こーこーにぃ。いるじゃない。か・ぞ・く」
ラウラ「は、はい?」
楯無「共に食べて、共に寝て、共に学び、共に苦しみ、共に戦う。ここにいる娘たちはみんなラウラちゃんの家族だよ」
ラウラ「楯無先輩….」
楯無「だからね……そんな悲しい顔しなくて良いんだよ。ね、簪ちゃん。一夏くん」
簪「…….うん」
一夏「……そうですね!」
ラウラ「……すいません。ありがとうございます。楯無先輩」
楯無「ふふっ。いいのよいいのよ」
楯無「じゃあ、ラウラちゃんは今日から私の妹決定っ!」
ラウラ「はっ?!ちょ、ちょっと……」
楯無「あ、一夏くんは私のお兄さんね!」
一夏「へっ?な、なんでですか?!そもそも俺の方が年下じゃないですか!」
楯無「細かいことは気にしないのっ。たまにはおねーさんも甘えたいっていうかー」
一夏「わけがわかりませんよ…」
ラウラ「よ、嫁が兄か……悪くないな…」フム
簪「一夏がわたしのお兄さん…」ウットリ
一夏「おい?!二人とも?!」
ラウラ「だ、だって一夏が兄という事は教官の妹になるということだろ!」
一夏「まあ、そうなるが…」
簪「織斑先生がお姉さん……厳しそう…」
楯無「織斑先生がお姉さんか……悩むなぁ」ウーン
一夏「いや、そんな真剣に悩まれても……」
一夏「つーか千冬姉は家だとけっこうだらしないんだぞ」
一夏「そりゃ学校では鬼教官だけど……実はけっこうズボラというか……ん?」
ラウラ「……」
簪「……」
楯無「……」
一夏「みんな黙ってどうし……」
千冬「中々面白そうな話をしているじゃないか。で、誰がズボラでだらしないかもう一度教えてくれないか?織斑?」ポキポキ
一夏「うっ、うわああ?!千冬姉?!やめ、うわあああああ!!」
ーー完ーー
ちょっと短いけど、おしり。とりあえずこれだけ区切りが良かったから纏めた。後、かき揚げはサクサクが1番。
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