キョン「え、閉鎖空間に古泉と二人きり・・・?」 (62)

古泉「おや、ようやくお目覚めですか。」

キョン「寝起き一発目がお前のにやけ面だなんて、ここは地獄かなにかか?」

古泉「確かにここは地獄かもしれません。ですが、不特定多数の人たちにとっては天国かもしれません。」

キョン「それどっちにしろあの世じゃねぇか。」

キョン「はぁ、にしてもここはどこなんだ?ほんとに閉鎖空間なのか?」

古泉「なのです。」

キョン「あぁん?」

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古泉「失礼。しかし、この空間はある種閉鎖空間とは異質なものとなっているナリ。」

キョン「コロ助うるせぇよ。」

古泉「つまり、突拍子の無いことが前触れもなく起こりえる。この事象こそがこの閉鎖空間の異質性なのん。」

キョン「お前の語尾がいらつく程度の空間じゃねぇか。」

キョン「そんなもん、おまえが単にふざけてるだけって可能性の方が遥かに高いぞ。」

古泉「何をおっしゃいます。ぼくは至ってノーマル。強いて言えばノンケです。」

キョン「強いて言うなよ。余計不安になったわ。」

キョン「だが、どうしてこんな閉鎖空間ができたんだ?昨日のハルヒは別に普通だったぞ。」

古泉「それが違うんです。」

キョン「いったい何が違うってんだ。」

古泉「・・・・・・。」

キョン「・・・・・。」

古泉「・・・・・。」

キョン「・・・・・・。」

キョン「え、いや。」

キョン「違うという理由を説明してほしいんだが。」

古泉「・・・・なるほど。」

古泉「その質問は想定外でした。」

キョン「ぶっとばすぞ。」

古泉「僕は、あなたからの質問パターンを60通り想定していました。」

古泉「しかし、あなたはそのどれとも違う質問をしてきた。」

古泉「これはちょっとした恐怖」

キョン「じゃねぇよ。」

キョン「まったく、こんなふざけた野郎と二人きりだなんて御免だぞ。」

古泉「ですが考え方を変えてみてください。この状況は、僕とあなた、二人っきりということですよ。」

キョン「考え方なんも変わってねぇじゃねぇか。」

キョン「つーか長門はいないのか?」

古泉「長門さんは昨日マンションに帰られた後、いつものようにシャワーを浴び、軽めの食事を取られた後、午後11:00にはもう就寝されましたよ。」

キョン「詳しすぎるだろお前なんなんだよこええよ。」

古泉「しかし、長門さんはここにはいない。」

古泉「つまり彼女は二度寝中だと推測されます。」

キョン「一回起きたのかよ。」

キョン「だが現実問題ここに長門はいない。本当にピンチってことなのか?」

古泉「何を仰られます、僕がいるじゃないですか。」

キョン「お前がいて一体なんの役に立つんだよ。」

古泉「むしろ僕だけで十分でしょう。」

古泉「なぜなら僕は超能力者。言い換えるならばエスパー。更に言い換えるならばノンケなのですから。」

キョン「ノンケは別物だろうが。」

古泉「しかしこの空間にとどまるのはまずいですね。僕のノンケが揺らぎそうだ。」

キョン「やめろよこええよ、ここにきて漸くこの状況に恐怖を覚えてきたよ。」

長門「きこえる?」

キョン「ん、なんだ?今、長門の声が。」

古泉「いえ気のせいでしょう。なぜなら彼女は今二度寝の真っ最中なのですから。」

キョン「なぜ今起きたという発想がでてこないのか。」

長門「二度寝はしていない。」

キョン「間違いない、長門の声だ。しかもご丁寧に二度寝を否定しているぞ。」

古泉「確かに長門さんの声です。しかしノイズが酷くて聞こえる内容が支離滅裂ですね。」

キョン「素直に自分の間違いを認めろよ。」

古泉「長門さん、一体ここはどこなんですか。」

長門「閉鎖空間。」

古泉「なんと。聞きましたか?どうやらここは閉鎖空間のようです。」

キョン「最初にお前が言ったじゃねぇか。え、なに?お前適当に喋ってたの?」

古泉「ここが閉鎖空間というならば、僕の超能力も大活躍ですね。」

長門「いや、ここは通常の閉鎖空間とは異なる。よって古泉一樹の超能力は発動しない。」

古泉「しょんな。」

キョン「じゃあ、この古泉は現時点では何の役にも立たないゴミクズってことなのか?」

長門「そう。」

古泉「ですが僕はイケメンです。」

キョン「うるせぇよ。」

長門「この閉鎖空間を脱出する方法は」

古泉「なんということだ長門さんの声に急にノイズが乗りだした。このままでは脱出方法を聞き逃してしまう。しかし、僕はあきらめません。僕は彼女の声をよりよく聴くために、このイケメン耳をフル活用して」

キョン「お前の台詞がノイズになってんだよ、ここぞとばかりに喋んな。」


長門「私の干渉力ももうもたない。」

古泉「なんですって。では無駄話をしている場合ではないですね。しかし無駄話は時として場を活性化させます。そう、今まさに世界で僕たち2人だけだというシチュエーションはとてつもなく心もとない。ならば無駄話で場を和ませることもまた肝要ではないのかと、最近の僕は思うのですよ。」

キョン「だからなんで急に饒舌になるんだよ。」

キョン「長門、こいつは黙らせるから続けてくれ。」




キョン「・・・・・。」

古泉「・・・・・。」

キョン「・・・・・。」

キョン「・・・・、長門?」

古泉「どうやら円環の理に導かれてしまったようですね・・・・。」

キョン「おいこらぼけかす。お前の所為で、長門の声が何のために聞こえたのか、わからねぇじゃねぇか。」

古泉「ごめんぷぅ。」

キョン「語尾ネタはもういいんだよ。」


古泉「しかし困りました。彼女は一体何の為にここに来たのでしょう。」

キョン「お前こそ何のためにここいるんだよ。」

古泉「ご存知ないのですか?」

キョン「ご存知でないね。」

古泉「ぼくもです。」

古泉「2人とも同じことを考えているなんて、これは運命」

キョン「ではないね、全然ないね。」

古泉「テレなくていいですよ///」

キョン「なんでお前が照れてんの。


キョン「そうだ、最初の質問に戻るぞ。」

古泉「すごろくで言う所の、ふりだしに戻る、みたいなものですね。」

キョン「全然うまくねぇよ。ハルヒだよ、ハルヒ。」

古泉「あぁ・・・。」

古泉「ハル・・・。」

古泉「ヒ・・ね、うん、はい。」

古泉「それがどうかしましたか?」

キョン「なんでうろ覚えなんだよ。」


古泉「あぁ思い出しました、あれですよね、ジバニャンっぽいかんじの」

キョン「じゃねぇよ。」

古泉「え!?違うのですか!!??」

キョン「今日一の食い付きがなんでここなんだよ。」

古泉「食いこみ?」

キョン「お前は中学生か。」

古泉「しかし、弱りましたね。」

キョン「・・・・・。」

古泉「・・・・・。」

古泉「何が弱ったんですか?」

キョン「ポンコツかよ。」


キョン「だからハルヒだっての。」

古泉「涼宮さんがどうかされたのですか?」

キョン「普通に返すなよ、逆にびびるわ。」

古泉「そう言えば先日、涼宮さんが興味深いことを仰っていましたね。」

キョン「ハルヒが?そうだったっけ。」

古泉「"東京特許許可局"を"とうきょうきょっきょきょきゃきょきゅ"、と仰られておりまして。」

キョン「噛んでるだけじゃねぇか。」

古泉「それがキョンを連呼しているように聞こえたのです。」

キョン「やめろよこえぇよ。」

古泉「もちろん僕も負けじと連呼しました。」

キョン「負けろよ連呼すんなよ。」

古泉「おそらくそれこそが、この閉鎖空間の原因ではないのかと考えています。」

キョン「・・・・・。」

古泉「・・・・・。」

古泉「・・・・・。」

古泉「どしたおら。」

キョン「なんで急に喧嘩腰なんだよ。」


古泉「しかし、それが原因となると、涼宮さんがなぜ閉鎖空間を作り出したのかが分かります。」

キョン「分かっちゃうのかよ。」

古泉「つまり、彼女は噛んだテレ隠しで、この閉鎖空間をつくったのれふ。」

キョン「お前が噛むなよ。」

古泉「てれるうううううううううう。」

キョン「いいよ照れなくて。」

古泉「てーれってー(テレてるだけに)」

古泉「すいません睨まないでください凄い怖いんです僕の豆腐メンタルが冷奴になっちゃいます。」

キョン「なんで醤油かけてんだよ。」


キョン「まぁ万に一つ、ハルヒが閉鎖空間を作った理由が照れ隠しだったとしよう。」

古泉「たぶん、億に一つあるかないか微妙なところ、でしょうね。」

キョン「・・・・・。」

古泉「・・・・・。」

古泉「お、やるか??」

キョン「何をだよ。」


キョン「現状の対策として、この閉鎖空間からどうやって脱出すればいいんだ?」

古泉「僕に言われても。」

キョン「お前専門家だろうが。」

古泉「へへ。」

キョン「ほめてねぇよ。」


古泉「では脱出するために、色々と手を講じてみることにしましょう。」

古泉「お聞きしますが、マイナスドライバーはお持ちですか?」

キョン「いや、お持ちではないが、一体何につかうんだ?」

古泉「ご存知ありませんか?家電のフタを無理やりこじ開けるにはマイナスドライバーがもってこいなんです。」

キョン「なぜ"閉鎖空間"と"家電"を同列で考えてんだよ。」

古泉「しかし肝心のマイナスドライバーが無いなんて許しがたい事実です。訴訟しましょう。」

キョン「誰にだよ。」

古泉「さて、これで万策尽きたわけですが。」

キョン「はええよ。まだ一個目だよ。」


古泉「このまま僕らはアダムとアダムになる運命なのでしょうか。」

キョン「そんな運命たえられねぇよ、つかなんで照れてんだよこええよ。」


長門「聞こえる?」

キョン「ん?またしても長門の声が聞こえるぞ?」

古泉「そげなこつがあるとやろか。」

キョン「どこの言葉だよ。」


長門「会話をつなげることに成功した。だが今回も通話時間に制限がある。」

古泉「もしかして、携帯料金をケチっているのですか?」

長門「そうじゃない。」

古泉「長門さんは貧乏なのですか??」

長門「聞いて。」


キョン「長門、この閉鎖空間から脱出する方法はあるのか?」

長門「わりと。」

キョン「複数あるのか。」

古泉「僕の万策はなんだったんですか。」

キョン「一個だったじゃねぇか。」


長門「涼宮ハルヒは現在、こちらの世界にて睡眠を行っている。」

キョン「いいご身分だな。」

古泉「いえ、涼宮さんは至って普通のご身分をお持ちです。そもそも日本において身分の差は表面上ないものとされていて」

キョン「うるせぇよ。」

長門「涼宮ハルヒはレム睡眠中に発生する夢によりその精神を乱れさせ、結果閉鎖空間を発生させている。」

キョン「簡単に言うと?」

長門「起こせばいい。」

キョン「本当に簡単になった。」

古泉「ですが具体的にどうするのです??涼宮さんを起こすためには、涼宮さんの家に侵入し、ばれないように涼宮さんを起こし、そしてなんの痕跡も残さずに帰る必要があるのですよ。その途中でタンスを漁ったり、トイレに駆け込んだり、あまつさえブーブークッションを仕掛けたりなど、最高に楽しそうではありますが、あまりに危険が伴います。」

キョン「煩悩だらけか。」

長門「古泉一樹の言にも一理ある。また、外部による刺激からの目覚めは避けたい。」

キョン「そうなのか?」

古泉「僕を起こすときは、刺激的でもかまいません。あ、これ僕の家の合鍵です。」

キョン「すてろよ。」

古泉「しょ、しょんな。」


キョン「ハルヒが寝てることが原因なら、起きるまで待てばいいのか?」

長門「確かにその場合、閉鎖空間は消滅する。しかし、あなた達も同時に消滅する。」

古泉「なるほど。しかし、そうならない可能性も、あるにはある、ということですね。」

長門「ない。」

古泉「こまるうううううううう。」

キョン「じゃあ、どうすればいい。今の言い分だと、朝起きた場合にだけおれ達が消滅する、という風に聞こえたが。」

長門「そう。また外部刺激によっても夢は壊れる。つまり、夢内部より涼宮ハルヒを目覚めさせる、という行為が必要になる。」

古泉「つまり、僕にしかできないと。

長門「あなたはいらない。」

古泉「きちいいいいいいいいいい。」


キョン「方針は分かった。おれがハルヒを起こせばいいんだな。」

長門「そう。」

キョン「だが一体どうやって起こせばいい。おれには超能力も情報統合なんたらもないぞ。」

古泉「僕には超能力がある!」

キョン「すてろよ。」

古泉「しょ、しょんなぁ。」

キョン「なぁ長門。」


キョン「・・・・・。」

古泉「・・・・・。」

キョン「・・・・・。」

キョン「またか・・。」

古泉「二回も円環の理に導かれるなんて。これはちょっとした恐怖」

キョン「じゃねぇよ。」


古泉「しかし、これで事態が掴めてきました。」

古泉「もし僕たちが助かったとしても、明日は不眠で投稿しないといけないということになります。」

キョン「休んで寝ろよ。」

キョン「なんだ、おまえはもうこの閉鎖空間から出た気でいるのか?」

古泉「えぇ、助かる方法はあります。」

キョン「聞こうじゃないか。」

古泉「・・・・・。」

キョン「・・・・・。」

古泉「・・・・・。」

古泉「お、なんだ喧嘩か?」

古泉「いやもうほんとその視線痛いんす昔かつあげされた記憶がフラッシュバックするんす今ほんと金ないんですいません許してください。」

古泉「すいません、少々取り乱しました。」

キョン「足ふるえてるぞ。」


古泉「一度はなしを整理しましょう。僕たちは現状、涼宮さんの夢の一部になってしまっているということです。」

キョン「そうらしいな。」

古泉「つまり、涼宮さんの将来の夢の中に、僕たちが存在するということです。」

キョン「・・・・。」

キョン「ん?」

古泉「そう考えるならば、涼宮さんが将来結婚相手と考えているのが僕、或いはあなた、ということになります。」

キョン「さすがにその発想はなかったわ。」


古泉「そう、彼女は決めかねているのです。僕にするのか、あなたにするのか。」

古泉「だからこそ、悶々とした気持ちを抱え、結果閉鎖空間を発生させてしまったのです。」

キョン「そんなバカなことがあるか。」

古泉「バカな事だと思いますか?」

古泉「ですが僕は学力テストで学年10位以内を記録した男です。頭いいんです。」

キョン「いや、そういうのはよくてだな。」


古泉「話は分かりましたか? 要は、僕らの手で涼宮さんの悩みを解消してあげればよいのです。」

キョン「・・・まぁ、そういうことになるとしてだ。」

キョン「どうやってその悩みとやらを解消させてやればいいんだよ。」

古泉「簡単じゃないですか。」

古泉「僕かあなた、どちらか一方が消えれば、涼宮さんの選択肢は無くなり、悩みは解消します。」

キョン「・・・・・。」

キョン「・・・なに?」


古泉「あなたが[ピーーー]ばいいのですよ。」


キョン「お前、どうしてナイフなんか持ってるんだ。」

古泉「護身用に常時しています。が、今回はあなたを[ピーーー]為に使わせてもらいます。」

古泉「どうやら本当に超能力が使えないようなので。」

キョン「そういえば、お前と喧嘩なんてしたことなかったな。」

キョン「もしかすると、お前が返り討ちに合うかもしれないぜ。」

古泉「つまり、死ぬ覚悟はできた、と受け取ってよいのですね。」

キョン「・・・・・。」

古泉「・・・、では、行きますよっ。」



長門「行かなくていい。」

古泉「・・・・・。」

古泉「・・・。」

古泉「え?」

長門「行かなくていい。」


古泉「・・・・え。」

古泉「あ、いや。」

古泉「やっぱり行かないとまずいかなー。」

古泉「なんて。」

長門「行かなくていい。」

古泉「・・・・・。」

古泉「えーと。」

古泉「それはつまり。」

古泉「行かなくていいってことなんですか・・・・・?」

長門「行かなくていい。」

古泉「恥ずかちいいいいいいいいいいい!」

キョン「その声は長門か?」

長門「そう。」

古泉「無視かよ!??」

キョン「時間制限とやらは大丈夫なのか?」

古泉「二連続無視!!??」


長門「この特異閉鎖空間は形而上学的世界に存在している。その時点に介入するには自身も形而上的存在にならなければならない、つまり」

キョン「分かりやすく言ってくれ。」

長門「これ以上の介入は私にも、あなたたちにとっても危険。」

古泉「死にたいくないよ!?」

キョン「お前のさっき見せた覚悟はなんだったんだよ。」


キョン「長門がそうまでして介入してくるってことは、おれたちがここでしないといけないことがあるってことだな。」

長門「そう。」

古泉「なるほど。それなら話が早いですね。」

古泉「つまり、この空間内に閉鎖空間の核があり、それこそが涼宮さんの描く悩みの種。」

古泉「それを見つけ出し破壊することで、この空間から脱出することが出来る。」

古泉「そういうことですね。」

長門「違う。」

古泉「しにたい。」


長門「涼宮ハルヒは現在6次元存在からの影響を受けている。6次元存在は涼宮ハルヒこそが、4次元存在における人間にとって唯一5次元を知覚できる存在として把握している。」

キョン「もっと分かりやすく頼む。」

長門「涼宮ハルヒは、異星人に頭の中をのぞき見られている。」

キョン「異星人?また難解なやつが現れたな。」

古泉「覗き見をする異星人ですか。どうやら、彼らは修学旅行中の僕みたいな人間のようですね。」

キョン「異星人が急に身近に。」


長門「涼宮ハルヒは異星人に認知されたくない記憶を、この空間に隔離した。」

長門「とりわけ、あなたに関することは強固に封じ込まれ、その思いの強さに引き寄せられ、結果あなたはここにいる。」

キョン「よくわからん。」

キョン「それは一年の春に、おれがハルヒと閉鎖空間に閉じ込められた時みたいな状況、ってことか?」

長門「間違ってはいない。」

古泉「つまり、涼宮さんにとって、この僕も見られては困る存在だということですね。」

長門「違う。」

古泉「きずつくううううううううう!」


長門「古泉一樹は、この閉鎖空間を知覚後、空間内侵入。その際、異星人の干渉を間接的に受け、役立たずになっている。」

古泉「役立たず!?」

キョン「じゃあ、この空間内には他にも超能力はいるんだな。」

長門「いない。涼宮ハルヒに許容された超能力者は古泉一樹一人。涼宮ハルヒは無意識下でそれを判別し、現在に至っている。」

古泉「え、ちょ、急に何。そんなこと言われたら嬉しすぎて頭が沸騰しちゃいそうだよぉお。」

キョン「沸騰しちゃえよ。」


長門「ここからが肝要。6次元存在からの干渉を4次元存在であるあなた達が、防御する術はない。」

キョン「分かりやすく言ってくれ。」

長門「我らが2次元に入れないようなもの。」

古泉「それはつまり、僕らが二次元の世界に入れないってことですか!??」

長門「そう言っている。」

古泉「くうううううううう!」


キョン「じゃあどうやって異星人から対処すればいいんだ。」

キョン「ハルヒを守り抜いたとしても、朝が来たらダメなんだろ?」

長門「そう。故に涼宮ハルヒを守り抜くという発想は不要。むしろその逆。」

古泉「つまり、涼宮さんを守り抜くという発想が不要だということですか!!??」

長門「そう言っている。」

古泉「くうううううううううう!!!」

キョン「お前ちょっと黙れよ。」


長門「異星人は今回、あくまで観察を主としている。故に実害は無い。」

長門「実害があるとすれば、それは涼宮ハルヒの過剰防衛。それによるあなた、そして古泉一樹の消失。」

長門「それを防ぐためには、一定以上の情報を観察させる必要がある。」

キョン「分かりやすく言ってくれ。」

長門「ストーカーに日記を見せて、今日のところは帰ってもらう。」

キョン「それは最高にいやだな。ハルヒが抵抗するのも分かるぜ。」

古泉「僕ですらそこまでしないというのに、異星人はなんて劣悪な存在なんでしょう。」

長門「ちなみに、古泉一樹が私の生活を観察していたことについては、通報の手筈がついている。」

古泉「・・・・。」

古泉「・・え?」

キョン「長門、分かりやすく言ってくれ。」

長門「古泉一樹が明日逮捕される。」

古泉「・・・・。」

古泉「いや。」

古泉「ちゃうねん。」

キョン「その日記ってやつを、異星人に見せるにはどうすればいい。」

古泉「いやあああああああああああああああああああああ!!」

古泉「無視はいやあああああああああああああああああ!!!!」


長門「この空間の核を担っているのはあなた。つまり、あなた自身が涼宮ハルヒに対し情報開示を進言すればいい。」

キョン「長門、分かりやすく言ってくれ。」

長門「『おれたちの仲の良さを見せ付けてやろうぜ!』って言えばいい。」

古泉「僕たちの仲の良さを見せ付けてやりましょう。」

キョン「お前とは仲良くないから。」

古泉「きずつくううううううううううう!」

長門「キーはあなた。窮地には楯をよんで。」

キョン「楯?サンドバッグなら古泉がいるが。」

古泉「殴られたくないけども!!??」

キョン「・・・・・・・・。」

古泉「・・・・・・・。」

キョン「・・・・・・・。」

古泉「あれ、また無視だと申すか??」

キョン「長門も限界だったか。」

古泉「巷で無視が流行っているでござるううううううう!」


キョン「しかし、ハルヒに言うったって、どこにどうやって言えってんだ。」

古泉「この空気っぷりは昔を思い出します。絶対に必要不可欠という意味からか、みんなから空気と呼ばれていた日々を。」

キョン「ここはハルヒの思い出の中だ。じゃあハルヒとこの世界は繋がっている。」

キョン「おれの言葉も、ハルヒに届くかもしれない。」

古泉「その前に、少しよろしいですか?」

キョン「ハルヒーーーー!」

古泉「少しよろしいですか!!!??」


キョン「何なんだよ一体。」

古泉「これはチャンスかもしれません。涼宮さんを覚醒させる為の。」

キョン「ハルヒが覚醒?どういうことだ。」

古泉「考えてもみてください。」

キョン「ハルヒーーーーーー!!」

古泉「考えて!!!??」


古泉「考えてもみてください。」

キョン「ああ。」

古泉「このまま、涼宮さんの手により、僕やあなたが消失したとします。」

古泉「先のあなたの発言どおり、この世界は涼宮さんと何かしら繋がっており、もしこのまま僕たちが消失したとしたら。」

古泉「涼宮さんは自分の所為だということを知覚するはずです。」

キョン「かもしれないな。」

古泉「自分でも有数な大切な存在を、自分自身の手で葬り去る。」

古泉「これは涼宮さんと言えど、相当なショックを受けることは明白です。」

キョン「何がいいたいんだお前は。」

古泉「結論を言いましょう。もし、ここであなたが消失したとしても、」

古泉「涼宮さんなら、あなたを再生させることが出来るかもしれない、と思っているのです。」

キョン「・・・・・・・。」

キョン「・・・・なに?」


古泉「涼宮さんは万能の力をお持ちです。しかし、そこに自覚はない。」

古泉「もし自覚的にこの能力を、更にもっとも大切な存在に向けるとしたら、一体何が起こるのか。」

古泉「知りたくはないですか?」

キョン「お前、本格的に頭おかしくなってきたな。」

キョン「もし、そうなるとしても、喜ぶのはおまえのお偉いさんがただけだろう。お前は死ぬかもしれないんだぞ。」

古泉「機関にとっては、僕の命よりよっぽど価値のある情報でしょう。」

キョン「・・・・・・・。」

キョン「よっぽどハルヒを観察したいようだな。」

キョン「そう言えば、古泉がおかしくなった原因は、異星人の干渉によるもの、だったっけか。」

古泉「そうらしいですね。」

キョン「・・・なるほど。異星人、おまえはハルヒの閉鎖空間に侵入するために、古泉の体を利用したってわけだな。」


キョン「長門との通話を邪魔し、朝までの時間を稼ぐ。そして、今言ったハルヒに自覚的に能力を使わせることが目的ってことか。」

古泉「さすがですね。正解です。」

古泉「ですが、それでどうします。」

キョン「どうもしないさ、またさっきみたいに叫ぶだけだ。」

古泉「そうですか。」

キョン「そのナイフは?」

古泉「あなたの邪魔をする為のものです。」

キョン「そうかよっ。ハル」

古泉「させませんよっ」

バッ

キョン「邪魔すんなっ」ブンッ

古泉「おっと。」

古泉「ふふ、どうやら、こっちの体の方が運動神経は良さそうだ。」

キョン「めんどくさいやつだ。」


キョン「はぁっ。」

キョン「なあ古泉!お前異星人にのっとられたままで良いのかよ!てめぇの体ぐらい、てめぇでなんとかしやがれ!」

古泉「ふふ、くだらな」

古泉「いっ!?」ズキッ

キョン「・・・・・?」


古泉「・・・・っ。」

古泉「人間が、私の呪縛から逃れられるはずないでしょう。」

キョン「はっ、なんだ本性あらわしてきたな。」

古泉「ふん、ですがあなたの声で頭痛がひどくなってきましたよ。」

キョン「こういう目には何度もあってるからな。古泉との仲も案外良くなってるのかもな。」

古泉「ご謙遜を。あなたがたは十二分に友人でしょう。」

キョン「なんだ、随分と熱く語ってくれるじゃないか。」

古泉「人間の、この古泉一樹という存在の価値観がそうさせているのですよ。なかなかに制御しがたい。」

キョン「はっ、ハルヒの次は古泉を覗き見ってか。」

古泉「誇るべきでしょう。我らが人間に歩み寄るなど、そう多くは無いので。」

キョン「そっちの価値観で語ってくれるなよ。おれらにとってはどうでもいい事だからな。」

古泉「ほう、命乞いもせずによく喋りますね。」

キョン「勝つ気でいるからな。」

古泉「惜しいですね。あなたさえこちら側に付いてくれれば、涼宮ハルヒもおのずと手に入るのですが。」

キョン「お前にハルヒは勿体ねぇよ。」

古泉「ならば、覚悟は出来ていますね。」

キョン「あぁ。」

古泉「愚策でもあるのか、自信満々ですね。」

キョン「やっぱり分かるか?じゃあ答え合わせ。おまえの次の台詞は『れ』で始まる。」

古泉「『れ』?いったい何を考えて。」



キョン「歯をくいしばれよ異星人。」


キョン「おらぁっ!」

古泉「なんですかその遅いモーションは」

古泉「そんなものかん・・たん・・に・・」

古泉「な・・・」

古泉「からだが・・・・・・うごかない・・・!?」

キョン「文字通り止まって見えるぜ。」


バキィっ


キョン「はっ。」


古泉「」



古泉「」どさっ



古泉「」


キョン「はぁ、はぁ。」

キョン「。」

キョン「なんとかなったか。」

キョン「ありがとよ、長門、古泉。」


みくる「ふえぇ、そんなことがあったんですか・・・・。」

キョン「はい。おかげで今日の授業はとにかく眠かったですよ。」

古泉「肉体は眠っていたとはいえ、精神は闘っていましたからね。仕方のないことかと。」

長門「異星人に対しては大抵情報統合思念体によりわれらに影響が無い様防策を施している。今回はその隙を突かれた。」

キョン「日頃はお前たちが守ってくれてたのか。」

長門「情報統合思念体は多次元存在。対応は可能。」

キョン「そっか、いつもありがとよ。」

長門「・・・・・。」


古泉「僕の暗号も分かってくれて本望ですよ。あれが精一杯の抵抗でしたので。」

キョン「まぁ、長門もヒントを言ってくれてたからな。」

キョン「楯をよんで、縦をよんで。あとは、古泉がおかしくなってからの台詞の先頭を読めば、『にふんごにほほおなぐれ』。」

古泉「長門さんが言ってくれたからこそ、思いついた策でした。」

キョン「そっか。」

長門「・・・・・。」


がちゃっ

ハルヒ「あれ、みんな早いわね。」

キョン「お前が日直だっただけだろ。」

ハルヒ「まぁね。」

みくる「あれ、涼宮さん今日は熱っぽいですね。」

ハルヒ「・・・・・。」


ハルヒ「今日は帰るわ。」

ばたん

みくる「あっ。」

キョン「まったく、相変わらず身勝手なやつだ。」

古泉「そう言えば、閉鎖空間でのあの後、涼宮さんになんと仰ったんですか?」

長門「その時分、私の干渉力も無くなっている。私も知覚していない。」

みくる「キョンくん、なんて言ったんですか?」

キョン「なんでもいいだろそんなことは!!」

キョン「はぁ、やれやれだ。」




おわり



おわりです。

初めて書いてみたけど、見てくれた人がいてくれて感謝です。

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