真美「夜中に外でおもむろに裸になって奇声をあげながらロボットダンスを披露してたら不審者と思われてケーサツに通報されたなんて……」

雪歩「……ぽえ！」

真美「いだぁ！？」

雪歩「ぽえ、ぽえぽえ！」

真美「た、ただの軽いジョークだよぉ、そんな怒ることないじゃーん……」

雪歩「ぽえー！」

真美「あはは……もういいってゆきぴょん、普通にしゃべりなよ」

雪歩「ぽえ、ぽえぽえ」

真美「……あれ、もしかしてワザとじゃなかったり？」

雪歩「ぽえ！　ぽえ！」ｺｸｺｸ

真美「え、じゃあゆきぴょん、今それしかしゃべれないの？」

雪歩「ぽえっ！」ｺｸｺｸ

真美「えええええっ！？」

真美「ど、どうしてそんなことに……」

雪歩「ぽえ……ぽえ、ぽえ」

真美「……だめだ、なにいってんのか全然わかんない」

雪歩「ぱう……」

真美「うーん……いつから普通にしゃべれなくなったの？　今日の朝から？」

雪歩「ぽえ」ｺｸ

真美「そっかぁ……ねぇゆきぴょん、今日のレッスンどうする？　休む？」

雪歩「ぽ……？」

真美「ダンスレッスンだからそんなに声は出さなくていいけど、さすがに何も喋らなかったら怪しまれるっしょ？　休むなら真美が言っといてあげるけど」

雪歩「……ぽえ、ぽえぇ」ﾌﾙﾌﾙ

真美「ゆきぴょんはマジメだなぁ、えらいえらい」なでなで

雪歩「ぱうぅ……」

真美「ゆきぴょんが『ぽえー』しか喋れないこと、真美以外の人も知ってるの？」

雪歩「ぽえー」ﾌﾙﾌﾙ

真美「そっかぁ……まぁそうだよね、できるだけ周りの人には隠しといたほうがいいって思うよ」

雪歩「ぽえ？」

真美「いい年した女の人が『ぽえぽえー』とか言ってたら、なにも知らない人には『この人ちょっとオカシイのかな』って思われちゃうしさ」

雪歩「ぷ、ぷぃぃ……」

真美「そ、そんな暗い顔しないで！　ゆきぴょんが真美に頼ってくれたからには、ゼッタイなんとかしてみせるって！」

雪歩「ぽぇ……ぽえぽえ！」

真美「うんうん、泥船に乗ったつもりで安心しなよ！」

雪歩「ぱぅ……」

真美「なんて言っても、真美にはこれがあるかんね……オホンッ」

真美『私、萩原雪歩っていいますぅ……17歳の高校生で、好きなものはお茶ですぅ（雪歩の声真似）』

雪歩「ぽっ！　ぽえぽえ！」ﾊﾟﾁﾊﾟﾁ

真美「んっふっふー、ソックリっしょ？　これでゆきぴょんの口パクに合わせてアテレコすれば、パッと見ゆきぴょんが喋ってるように見えるってやつ！」

雪歩「ぽえぽえー！」

真美「でも、これはあんまりたくさんやるとボロがでちゃうし……なるべく早く、ちゃんと喋れるようになる方法を探していかないとだね」

雪歩「ぽー、ぱうー」

真美「ひとつ問題なのは真美、モノマネは自信あるんだけど腹話術はやったことないんだよねぇ……」

雪歩「ぽえ……」