憧「吹き抜ける風」 (1000)
咲-Saki-のIf物。マイナーですが、憧咲で書いていきます。
・書き溜めは多少ありますが、進行速度には期待しないで下さい。
・速報と麻雀、どちらも素人につき注意。
・途中、咲さんが人鬼っぽく見えるシーンがありますが目の錯覚です。
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過去の記憶は少しずつ磨り減って消えていく。だけど、彼女と出会ったその日の夕日は今でも色褪せない。
私が4月に阿知賀女子に入学した、教室の窓と廊下を通り抜ける風がまだ冷たいころ。
憧「っと……忘れ物忘れ物」テッテッテ
今日の課題で使う教科書を忘れた私は、一人放課後の教室へ走っていた。
憧「鍵は……良かった、まだかかってない」
教室の扉を開ける。春にしては冷たい風が吹き抜けた。思わず体が少し固まってしまう。
憧「うわ……さむっ」
早く教科書を持って帰ろう。そう思って顔を上げた時だった。
憧「あれ……まだ人がいる……」
窓際の一番後ろの席。そこにちょこんと座る人影があった。
人影「……」
憧(誰だろ?こっちには気付いてないみたいだけど……)
意味もなく、足音を忍ばせて忍び寄る。雲に隠れていた陽が少しだけ顔を覗かせて、人影照らした。
憧「あ……」
その顔を私は知っていた。
咲「……」
宮永、宮永咲。私と同学年の、少し、いや、とても大人しい子だった。咲は夕日を頼りに、何やら難しげな本を読んでいた。
咲と話したことはあまりない。なんで話しかけようなんて思ったかなんて覚えてない。
ただ、無理に理由を挙げるなら、夕日に灼かれた咲の顔がとても綺麗だったからだろう。
憧「目、悪くするわよ」
教室の隅で夕暮れがうずくまっている。私が声をかけて、漸く咲はこちらの存在に気付いた。
咲は、少しだけ目をしょぼつかせながら笑った。
咲「そう、だね……」
それから咲は、パタンと本を閉じると帰り支度を始めた。
咲「いつの間にか暗くなってたよ」
ゆっくりと、落ち着いた声だった。まるで、大気に溶けて消えてしまいそうな声だった。
憧「気をつけたら。咲、眼鏡なんて似合わないから」
咲「そうかもね」
小さな手に鞄が収まった。
憧「ねえ、何の本読んでたの?」
すっと、咲が本の表紙を私に見せた。誰でもって知っている、有名な文学者の名前がかかれてあった。
憧「あんまり話した事無かったけど……咲ってそう言う本読むんだ」
咲は、何も言わなかった。フッ……そんな風に笑った時には、もう教室を出ようとしていた。
咲「それじゃあね、新子さん」
また明日。その言葉を咲の口から終ぞ聞くことは無かった。これが出会い。私と咲が出会った、最初の日だった。
その日をきっかけにして、という訳では無いけど、その日から私は咲によく話しかけるようになった。
初めはおはようとか、ありきたりで短い会話だったけど、次第に会話の時間も長くなっていった。
クラスメイトその一(以下くのいち)「でさぁ……」haha!
憧「へぇ……あ、咲だ!ごめん、また後で!」
くのいち「あ……」シュン
憧「咲!今日も遅刻ギリギリじゃない!」
咲「……あんまり大声出さないで。朝は低血圧なの」
怠そうに鞄を片手に入ってきた咲。時計の針は11を指していて、あと5分でホームルームが始まる所だった。
咲「間に合えばいいんだよ……」
辛そうに席に着く咲。私も自分の席、つまり咲の一つ前の席に座る。椅子を回して咲と向かい合う。
咲「なに……?」
憧「今日、現文の課題あったじゃない?」
咲「あったね……」
憧「一番最後の問題の答えって3でしょ?」
咲「なんでそんなこと……?」
憧「だってくのいち(以下、女)宿題忘れてたから答え合わせ出来なかったから」
咲「……」ジト…
憧「……」ワクワク
咲「はぁ……」
私の顔を見て、咲は何かを諦めたように溜め息を吐いた。
憧「あ、今素直に話した方が早く終わりそうだとか思ったでしょ?」
咲「……エスパー?」
憧「いやそこは否定しなさいよ」
ペシリと頭を叩く。
咲「……4」ボソッ
憧「ん?何が?」
咲「問題の答え。新子さん、引っかかったね」
憧「え!?だって4は……」
咲「3も間違ったこと書いてないけど、締めの結論が文章の主旨と逆になる」
憧「言うわね……じゃあ、賭けしない?」
教師「答えは4だ。3を選んだ奴は反省な」
憧「どちくしょー!」
休憩時間、私は自販機に走っていた。
昼休み。普段、私はシズや玄達と部室で食事をするんだけど、その日は
穏乃「ごめん!現文の先生に呼び出された!」
玄「ごめんね。お姉ちゃんが風邪引いちゃったから今日は休むね」
灼「ごめん、今清澄に居る」
という訳で、きょうは咲と昼食を食べている。
憧「咲、お昼はパンなんだ?」
咲「意外だった?」
咲が低血圧だっていう話は本当だったみたいで、今は普通に会話してくれている。
憧「何て言うか……咲って自分でお弁当作ってくるイメージがあったから」
咲「それで合ってるよ。お米切らしちゃったから、今日はコンビニに寄っただけ」
明日からは普通にお弁当に戻すよと、パサパサの焼きそばが詰まったパンを食べる。考えるより早く、手が動いていた。
憧「咲」
咲「ん?なに?」
憧「えい!」
咲の口に唐揚げを突っ込んだ。
咲「むぐ」
頬を膨らませながら、必死に唐揚げを飲み込む咲。少しだけ涙目になっていて、不覚にも可愛いと思ってしまった。今度はチョコバナナでやってみよう。
憧「唐揚げ美味しかった?」
咲「お、美味しかったけど……」
憧「パン一つだけなんて体持たないわよ」
咲が唐揚げを飲み込んだ瞬間を見計らって、今度は苺を口の中に入れた。
咲「ん……」
咲は少しだけ非難がましくこちらを見たけど、文句は言わなかった。
変わりに焼きそばパンが私の口に突っ込まれたからだ。
憧「むぐっ」
一口かじる。あんまり美味しくなかった。
端から見たら間抜けな光景だったかもしれない。二人して食べさせ合いっこをしているのだから。
ざわざわ「ねえ、あれって間接キスじゃない?」
ざわざわ「あの二人、もしかして出来てるのかも……」
女「っ……!」ギリッ
お互いの口に手を伸ばした状態で固まる私と咲。膠着は、咲が観念してイチゴを食べる事で終わった。
咲「おいしい……」
憧「ぷっ……」
思わず笑いがこみ上げてきた。つられるように咲の口元も震える。そのときだった。
女「新子さん行儀悪いよ」
憧「あ……」
咲「……」
咲が普段の顔に戻ってしまった。
女「宮永さんも。あんまし調子乗んないでよ……」
憧「ちょっ……」
その言い方無いんじゃない!?思わず大声を上げそうになった。でも、その寸前に私の腕を強く握った咲のせいで怒るタイミングを見失ってしまった。
女「ふんっ」
何食わぬ顔で逃げていく女。行き場を失った私の怒りは行き場を見失って、咲に向かってしまった。
憧「なんで止めたのよ!」
咲「……」
憧「悔しくないの!?」
何とか衆目を集めないギリギリの声で咲に噛みつく。咲は、何も言わなかった。ただ息を止めて、私を真っ直ぐ見ていた。ギュッと咲に握られた腕が、痛かった。
憧「うっ……」
……先に折れたのは私だった。
憧「……。ごめん。咲に怒るなんて筋違いだった」
咲「……」ホッ
途端に空気が弛緩する。咲の机には、いつもの静かな空気が戻っていた。
咲「お昼、早く食べよ?」
憧「そうね……」
いつの間にか、咲の顔には普段通りの表情が張り付いていた。
憧(せっかく咲の笑顔が見れると思ったのに……)
取り敢えず、今日(昨日?)はここまでです。
支援して下さった方、ありがとうございます。続きは明日にでもあげます。
遅れてすみません。30分から始めます。
あらたその発言ですが、咲と入れ替わって清澄に入学したという設定です。解りづらい書き方ですいませんでした。
私が咲と出会ってから一週間が経った頃、時を同じくして私達麻雀部はある一つの危機に瀕していた。
穏乃「不味いですよ、玄さん……」
玄「不味いですね、穏乃さん……」
憧「結局一人も集まらなかったわね、部員」
宥「折角オリエンテーション頑張ったのにね……」
穏乃「ぐわー!『新入生150人いるから何とかなる』作戦は失敗したー!」
という訳である。
穏乃「よし、作戦プランBに移行しよう!『全校生徒450人いるから多分大丈夫』作戦……」
憧「母体数上げればいいってもんじゃないわよ」アキレ
穏乃「そもそも何で一人も集まらないんだ!料理研は30人近く集まったというのに!」
憧「仕方ないわよ。麻雀やる人は基本的に晩成に行っちゃうんだから」
玄「うう……解っていたことだけど、いざ現実を突きつけられると……」
阿知賀に入学した時点で解っていたことだけど、この学校に麻雀やりに来る人なんて殆どいなかった。
宥「どうしよう……部活申請期間が終わっちゃうよ……」
穏乃「確かその期間内に申請しないと、部活としては認めてくれないんでしたっけ?」
玄「うん…現段階では愛好会だし」
憧「どうする?愛好会が大会の個人戦は出れても団体戦には出られないわよ」
穏乃「不味い……このままじゃ和と遊べない……」
申請期間のリミットは既に一週間を切っている。
これを逃すと、次の申請期間が訪れるまでぼそぼそとやらないといけなくなる。当然、大会には間に合わずアウツッ……!
穏乃「こうなったら名前だけ貸してもらって……」
憧「却下。そんな部員、いない方がマシよ。空気が緩む」
仮に、そんな方法で五人揃えたとしても、晩成高校は倒せない。シズもそんな事は言われなくても解ってるから、直ぐに「冗談だよ」と言った。
穏乃「でもさ……本当に早く部員を集めないと……本当の本当に間に合わないだろ?」
思わず窓の外を見る。溜め息が、4月の深い曇り空に昇っていった。
穏乃「はぁ……どこかに居ないかな、麻雀の強い女の子」
居ました。物凄く近くに。具体的に言うと、私の一個後ろの席に。
咲が麻雀を出来ると知ったのは、翌日の事だった。
憧「え!?咲麻雀出来るの!?」
食事中の教室に私の声が響いた。一瞬だけ教室中の視線を集めたけど、またあの二人かとすぐに散った。
咲「ひゃっ……」
憧「あ、ごめん」
唾が飛んでしまった。咲の頬を拭いながら、私は咲の綺麗な目を見つめた。
憧「お願い、私を助けると思って!」
咲「出来るだけだよ……」
憧「いやいや!ルールも知らない初心者よりはマシだから!」
お願い麻雀部に入ってと咲を見る。返事は……ノーだった。
憧「な、どうして……」
咲「……」
咲「……見せたくないの」ポツリ
憧「へ?今なんて……」
咲「私の麻雀は……見てて気持ちの良いものじゃないから」
憧「それってどういう……」
咲「私の麻雀はもう汚れてる。だから、新子さんや他の部員さんには見せたくないの」
話は終わりだと言わんばかりに席を立つ咲。咲の弁当箱はいつの間にか空になっていた。
憧「あ……待っ」
女「そんなやる気のない人の勧誘なんて止めたら」
いつの間にか後ろをとられていた。アナザーなら死んでた。
憧「やる気が無いって……」
女「見せたくないって、つまりそう言うことでしょ。汚れてるとか何かそれっぽいこと言って逃げてるだけに決まってるし」
その言葉に、私は何か言おうとして、
憧「……」
何も言うことが出来なかった。その言葉を否定出来るほど、私は咲を知らなかった。
それに、出来ることなら女の言うとおり、やる気が無いだけであって欲しかった。
憧(咲の麻雀が汚れているなんて……絶対に考えたくない)
でも、咲は嘘なんかついてなかった。
私が咲と出会ったとき、咲の世界はもう蝕まれていて、取り返しがつかないほどに穴だらけになっていた。
私が咲の麻雀を見たのも、咲の言葉の意味を知ったのも、その日のことだった。
放課後。その日も部活は無く、私は家でゴロゴロしていた。お姉ちゃんから電話がかかってきたのは、帰りの遅い親に代わって夕食を用意している最中のことだった。
憧「もしもし、お姉ちゃん?」
望「あ、憧。悪いんだけど、今日バイトが長引きそうなのよ」
憧「バイトって雀荘の?」
望「そうそう。今日は外で食べてくるから」
憧「大丈夫なの?お姉ちゃん、浮いた話どころか財布にも春が訪れた事無いのに」
望「やかましい」
憧「何だったら、おにぎり作って持って行ってあげようか?」
望「あんまり憧をここに来させたくないんだけど……仕方ないか?雀荘はどこか解る?」
憧「知ってる知ってる。近くにパチンコ屋がある……」
そこで電話は切れた。
味噌汁の火を止めて、いそいそと熱いお米を握る。具は……鮭、梅干し、キャベツの芯でいいや。
お漬け物と一緒にタッパに入れると、私は家を出て夜道を自転車で走った。
憧「バイトか……」
お姉ちゃんには欲しい物があるらしい。だからバイトをしている。一度「彼女?」と聞いたら筋肉バスターの実験台にされた。「だからずっと冬眠中なのよ」と言ったら、なんかスタンドっぽい物が出てきた。
憧「欲しい物……」
暫く考えたけど、特には思いつかなかった。
欲しい物なんて無い。強いてあげるなら部員だけど、それは何だか違う気がする。そんな取り止めのない事を考えている間に、自転車は雀荘の前に着いていた。
憧「相変わらずね……」
この雀荘は何回か来たことがある。お姉ちゃんが働くこの雀荘は、はっきり言ってガラは良くなかった。時給はいいからお姉ちゃんはココでバイトしているけど、私には極力近寄らせないようにしていた。
中に入る。店内は、相変わらず耳が痛くなる程の音で溢れかえっていた。
けど、
声「そんな……話が違います!」
その日の喧騒は、何かが違った。
憧「あれ……お姉ちゃん?」
普段は直ぐに来てくれる筈の姉の姿が今日は無くて、
変わりに中央の卓を囲むように人垣が出来ていた。
憧「何か有ったのかな?」
何とか人垣の中の声を聞こうと耳を澄ませる。
声「始める前に確認した筈です!千点五円って……」
柄の悪い男(以下、悪男)「ああ、確かに点五には違いないさ。ただ、ビンタを忘れんなっつってんだよ」
どうやらレートについてのトラブルがあったみたいだった。
憧(ビンタ麻雀って……今時そんなの誰もやらないわよ)
尚も悪男のダミ声が聞こえる。
悪男「ビンタは10万、あんたは五回連続ラスだから250万……端数はまけてやってんだから感謝して欲しいくらいだ」
声「ビンタなんて聞いて……」
悪男「俺達はそのつもりで打ってたんだぜ。なあ?」
手下A「ああ」
手下B「右に同じく」
声「……」
これが、私の知らない誰かが巻き込まれていたなら、私は大人しく回れ右をして家に帰ったかもしれない。でも、出来なかった。
乱暴な声が聞こえた瞬間、私はその場に立っていられなくて
憧「お姉ちゃん!」
後先考えず、人垣を分け入っていた。姉はいた。人垣の中央に、男達に囲まれていた。私を見た瞬間、お姉ちゃんの目の色が驚きと悟りと絶望で染まった。
望「憧!?来ちゃダメ!」
悪男「ん、なんだこのガキ?コイツの妹か……ちょうどいいか」ガシッ
憧「はっ、離してよ!」
悪男「誰が離すかよ。お前の姉は250万の負債を作ったんだ、二人併せてしっかり楽しませて貰わねえと元が取れねえんだよ!」バン!
憧「ひっ……!?」
逃げ出したかった。でも、後ろから腕を掴まれて動くこともままなかった。
望「嵌められた……」
悔しげな姉の声が聞こえた。何だか全てがスローに見えた。悪男がニヤニヤしながら胸元に手を伸ばしてくる。
周りからはやし立てるような声が聞こえてくる。
視界が、闇に覆われた。
憧「お姉ちゃん……」
目を閉じてしまった。これから起こる事が、走馬灯のように駆け巡った。
憧(や、だ……)
でも、いつまで経っても男の手が私に触ることは無かった。代わりに聞こえてきたのは、
悪男「……あ?何だお前?」
忌々しげな悪男の声だった。
憧「……?」
恐る恐る目を開けた。そこにいたのは、悪男の前に立ちふさがる小さな背中だった。その背中には、見覚えがあった。
憧「さ、き……?」
咲……宮永咲。
間違い無い。間違える訳がない。阿知賀の制服は着ていなかったけど、角のように尖った髪を見間違える訳がなかった。
憧「なんでここに……」
咲は、私に振り返る事は無かった。
悪男「邪魔だ、すっこんでろ」
咲「……」
悪男「何ジロジロ人の顔見てんだ?」
無言で、何かを探るように悪男の顔を見続ける咲。ややあって、
咲「悪男さん……今から私と勝負しませんか?」
咲のその言葉に、周囲がどよめいた。
悪男「あ?勝負だ?」
咲「ええ、東風戦五回、30万ビンタをサシで」
望「無茶だ!止めなさい!」
手下γ「てめえは黙ってろ!」
望「つっ……!」
場がヒートアップして、悪男の「ふざけんな!」という怒声で急激に冷えた。
悪男「なんでお前と勝負する必要がある?」
厳つい顔を鋭くして凄む悪男。しかし咲は何でも無いかのように、嘲るように笑って見せた。
咲「別に受けたくないなら構いませんが」
咲「その場合は女子高生に勝負をふっかけられて逃げた臆病者として名前が知れ渡るだけですよ?」
悪男「っ……!このガキがぁ!」
手下A「不味いですよ、手上げたら!本当に噂が広がっちまいます!」
悪男「ぐっ……!」
悪男(確かに……ここは衆目が集まる。女の退路を切るために騒ぎをデカくしたのが裏目に出たか……)
悪男(この勝負受けない訳にはいかない……でないと駄目木組の名に泥を塗ることに……)
悪男「……いいだろう。受けてやる。ただし、卓に座る人間はこっちが決める」
咲「いいですよ」
悪男「金は有るんだろうな……?」
真っ白な紙袋が無造作に置いた。中から福沢諭吉の束が覗いた。
卓が開けられた。男と、その手下が座る。一つだけ空いた咲の座る席が、まるで処刑台のようだった。
憧「……!」ゾッ
憧「止めて!咲は関係無いんだから……」
夢中で叫んでいた。咲の白い肌を汚い手が這う、想像するだけで吐き気がした。
咲「大丈夫だよ、私は」
でも、咲はいつもの笑いを浮かべるだけだった。
憧「大丈夫じゃない!相手は3人よ、勝てる訳ない!」
咲「勝てる」
憧「!?」
咲「……そう言えば、私の麻雀が汚れてるって話したとき、不思議そうな顔してたね」
咲は私の声に答えず、こちらも見ずに、独り言を呟くように笑った。
咲「出来れば、見せたくはなかったな……」
そして、咲は椅子に座った。その夜、私は初めて咲の麻雀を見た。
一旦中断します。再開は30分後に。
再開します
東1 親・咲
咲 配牌
1237899m133s南北北中
咲「……」
咲はまずセオリー通り南を打った。特に変わったことはしていない。こっそりお姉ちゃんに近づく。
憧「お姉ちゃん……」
望「ごめん……憧まで巻き込んでしまった……」ガックリ
こうなったらもう、咲の麻雀を後ろで見るしかなかった。
咲
12357899m133p北北
憧「……咲、勝てるよね?」
望「厳しい……いや、無理だね。見て」
悪男「ツモ!300・500」
悪男
24678m88p 3m
チー567s
チー234m
憧「あんなカンチャンだらけの手を無理やり鳴いて……」
解っていたことだけど、卓は3対1の様相を呈していた。
悪男「ツモ、2000・4000!」
22233p88s
チー345m
ポン555s
憧「あの手……門前でも行けた筈なのに……」
咲「……」
黙って点棒を渡す咲。
悪男(へっ……大口叩いた割にヘボ麻雀じゃねえか)
憧(お願い、咲!鳴いてでもいいから何とか上がって!)
望「鳴いたら駄目だ……アイツ等が待っているのは、こちらが鳴いて手を短くする瞬間……」
望「手が短くなったところにリーチ……私はそれにやられた」
憧「じゃあ……」
望「ああ、あの子みたいに門前で行くしかない……」
悪男(だが、それでいい……そっちが門前で頑張っているうちに、俺は鳴いて早和了をする……)
手下A(中、来ました)
悪男(よし、切れ)
中「ホラヨ」
悪男「ポン!」
悪男(役は確保……後は……)
悪男 手牌
2255m899p789s
ポン中中中
悪男(残った形も悪くない、7ピンを鳴いて聴牌……問題無--)
咲「リーチ」
その時、咲が動いた。
悪男(リーチだとっ……!)
咲「……」
手牌
34m11122p345s白白白
憧(やった!役白のみだけど初めて追いついた!)
悪男(くそっ……8ピンは現物だが9ピンは無筋、チー聴はしたくない)
しかし、直後悪男は三枚目の9ピンを引いた。
(よし、現物切って聴牌!)
悪男
2255m999p789s
ポン中中中
悪男(お前ら2・5ワン持ってるか)ミミカキカキ
手下A(こっちにはありません)ヒヒーン
手下B(今引きました!切ります!)キエェェェ!
2ワン「こんにちは」
悪男「そいつだぁ!ロン、中のみ!」
憧(大丈夫、頭跳ね出来る……!)
咲「……」パタン
しかし咲は何も言わず、手を伏せてしまった。
望(ば、馬鹿な!一発白ドラ1の満貫を……)
憧(何やってるのよ咲ぃ……!)
私達の焦燥をよそに、咲は一向に動こうとしなかった。オーラス、咲は抵抗らしい抵抗もせずに終わる。咲は3着で悪男はトップ。
悪男「けっ……大口叩いた割に大した事無いぜ」
憧(なんで……なんでよ!)
紙袋の厚みが半分は減った。後一回、原点割れを起こしたら後が無い。
憧「このままじゃ……」
不安のただ中、二回戦も咲は動かなかった。ただ黙って牌を切っていく。今度も一回も上がらずの3位だった。
悪男(なんだ、コイツ……本当にただの雑魚じゃねえか)マテヨ?
悪男(紙袋の金は大分減っているが、ひょっとするとまだ持っているかもしれない……)
手下A・B((ヘボなガキ相手なら俺達も……))
悪男・A・B(もっと毟れるかもしれない……!)
悪男「大口叩いた割に負けがこんでないかァ?」
咲「……」
悪男「何だったらビンタを上げてやっていいんだぜ……倍の60ビンに」
咲「……」ゴッ
憧・望「!?」ビクッ
A・B「アニキ、俺達も参加して良いですか?」
悪男「ああ、30で参加しろよ。ちょっとした稼ぎだ」
悪男「てめえがふっかけた勝負だ、当然受けるよな?」
ニヤニヤしながらビンタアップを要求する悪男。しかし、私はそれどころではなかった。
憧(こいつら……ビンタアップに夢中で気付いてないの!?)
望(なんだ……レートアップの話が飛び出した途端、この子の雰囲気が一変した……!)
今までの静けさがそよ風だとしたら、今の静寂は嵐の前の静けさに他ならなかった。
咲「……」ニヤリ
咲「では、レートを改めての3回戦です」
東1 親・咲
咲
12689m334p13s北北中発
望(最悪……レートが上がった直後なのにこんなゴミ配牌じゃ……)
咲「……」ギラッ
打 6ワン。
望(何やってるのよ!そんな手牌じゃ先ずは字牌やペンチャンの処理が先でしょ!)
二巡後
B(北か……自風だがこの手ならタンピンだな)ポイ
咲「北・ポン」打8ワン
憧「なっ!?」
望(馬鹿な……なんでその手で北ポンなんだ!)
憧「オワタ……」
が、真相は少し違った。
悪男(オタ風をポンだと……なら6ワンの早切りからしてピンズかソウズの染め手だな)
悪男(お前はマンズを切って合わせろ)
B(了解……良形の配牌だったが仕方ない……)
咲「……」
しかしその後、男達に思わぬ事態が発生した。それはまず、咲の下家のAに起こった。
A(なんてこった……)
A
789m23789p789s中中中
A(このガキが鳴いてから無駄ヅモ無しで聴牌しちまった……中チャンタ三色)ゴクリ
A(30ビン……今はガキが親だからリーチしてツモっても問題あるまい!)
A「リーチ!」
これがまず、間違いの元だった。同順、
悪男(Aの奴、張りやがったな……しかし、俺からは当たるまい。なら全ツッパだ)打4ピン
A(ぐっ……一発で)
悪男(もうちょっとだ……バカなガキのポンで美味しい所が入ってきたぜ……!)
444777m5556p東東発
悪男(最高めでダブル役満もある……鳴いてこの手は終わらせられない)
これが間違い二つ目。この直後、Bが東を切った。が、四暗刻を目指してこれを鳴かない。咲も合わせ打つ。
咲「……東」
悪男(ぐっ……俺のスッタンが……)
しかし、悪男は次順で6ピンを引きツモり四暗を聴牌する。
悪男(よし……何とか聴牌……しかし、東はカラ。6ピンも一枚見えている……上がり目はたったの一枚、いや対面か王牌に殺されてるかもしれん……)
悪男は一旦聴牌を見送った。東を切り、他の待ちを得ようとする。が……
悪男(くそ……裏目っ……)
ツモ6ピン
悪男(不味い……純カラの東でスッタン受けには出来ない!発も二枚見えているから地獄単騎になるが……)
やむなし、発に受ける悪男。これが、男の犯すことが出来た最後の過ちとなった。
B(くそっ……ピンズとソウズ、字牌を絞ってたら手がズタズタだ……!)
本来ならタンピン三色も有り得た手を崩したBが泣く。
憧(な、なんなの……さっきから男達の麻雀が噛み合ってない……)
咲「クスッ……」
そして……
咲「1ピン、暗カン」
A(なっ……高めが全滅した!?)
Aの表情が凍り付く。新ドラを捲った瞬間、今度は悪男の表情が死んだ。
新ドラ 発
悪男「は、はははは発ぅ!?」
悪男(つまり、この待ちも純カラ……名ばかりのスッタン……!)
次順、
悪男(駄目だ……西もフリテン地獄単騎……)打西
咲「も一個、カン」北カン
咲「嶺上……ツモりました。500オールお願いします」
悪男・馬鹿(お、俺達の最高手があんなゴミ手にぃ……!)
望(ヤバい……何だか解らないけどこの流れはヤバい……これは)
憧「来る……!」
二本場
悪男
23m12468p5899s中中
悪男(くっ……お前ら中持ってないか!?)ミミカキカキ
AB(持ってません……!)プギャーワロスワロス
悪男(くそっ!早く首を……!)
咲「リーチ」
牌を横に曲げる咲。男が中を鳴けずに右往左往している間のことだった。
悪男(速すぎる!まだ四巡目……!)
咲 捨て牌
西9ピン1ワン5ピン
悪男(す、筋だ……)
打 8ピン
咲「ロン、一本場で19500」
123789m79p78999s
悪男「か、カンチャン待ち!?」
AB(ま、不味いですよ!全員の首が切れてるから……)
悪男(この一回の負けでさっきまでの勝ちが消える!)
三本場
悪男(こうなったら贅沢言ってられん!ABのどちらかでも首を……)
咲「カン……嶺上ツモ、6000オール。悪男さんの跳びで終了ですね?」
悪男「と、トビラスだと!?ふざけるな、次だ次!」
望(馬鹿……今はその子の流れ……無理に続行すれば全て持って行かれる……)
4回戦
咲「嶺上ツモ。12000の責任払いです」
咲「ロン、8000」
咲「嶺上ツモ、6000オール。皆さんの首が切れて終了ですね?」
五回戦
咲「リーチ」
悪男(このままじゃ……)打6ワン
憧(あ……)
AB(駄目だ、振りたくねえ……!)合わせ打ち
咲「……」フッ
咲「カン、カン……カン、ツモ。嶺上開花、8000オール」
11789p
カン2222m
カン2222p
カン2222s
悪男「ばばばば馬鹿か!?」
AB「そんな高目安目無い手で見逃し!?」
咲「……」フッ
咲「生きた……ツモ頂きました」
悪男AB・ギャラリー「ひっ……」ゾッ
咲「一本場です」カタリ…
A(アニキ、これを鳴いて下さい!)
悪男「ぽ、ポン」
A「2ソウ!」
悪男「チー!」
何とか聴牌しようともがく男達。しかし、仕上がった咲には何をしても無駄だった。
咲「リーチ」
悪AB(また!?)
馬「お、降りだ……」
悪「くそっ……こっちはタンヤオドラ3だ!引けるか!」打6s
咲「……」
発声は無い。
悪「と、通ったのか……?」
悪(よ、よし……後はBが差し込めば……)
B(よし……行きますよ)
打5ワン。
悪「ロンだ!タンヤオドラ3!首が繋がったぜ!」
悪
2255m555s
チー234p
ポン222s
この鳴きを見て、私は漸く気付いた。
憧(この人…下手だ……)
憧(聴牌形が全部上がれるだけ……ツモどころか差込前提の麻雀……)ハッ
憧(そう言えば、一回戦の時もこんな形でのアガりがあったっけ。あの時、咲は頭跳ねを見逃したけど……)
咲「失礼、頭跳ねです」
1112345666888m
B「ひっひぃ!?」
咲「Bさんの跳びで終了です」
咲の声に、泣きながら札を出していく男達。
望(そうか……最初の頭跳ね見逃しはレートを上げるための罠……多分、この子は最初の東1で見抜いていたんだ、悪男の底を……)
…………。
……。
咲「240万不足ですが、そちらの方の負け金240万……全て合わせてぴったりですね」
望「……」
咲「600万、合わせて頂きました。では……」
悪男「ま、待ってくれ!それは組の金で……」
咲「……」
悪男「頼む!それが無いと俺は……」
黒服「見つけましたよ、悪男さん……」
悪男「ひっ!?」
黒服「組長から申し使っていまして。その勝負に勝ったなら組の金を持ち出したことは見逃すようにと……」
黒服「アナタは負けた……解っていますね?」
悪男「い、嫌だ……」
黒服「連れていけ」
部下「はっ」
悪男「や、ヤメロ!死にたくないっシニタクナイ!」
黒服「……」
黒服「……失礼しました」テクテク
シニタクナーイ!
憧「あ……ああ……」ヘナ
憧「そ、そっか……漸く解った……」アハハ…
私の麻雀は汚れている。
憧「だから咲は見せたくなかったんだ……」
憧(きっと咲は私の前で麻雀をするつもりなんて無かったに決まってる……あの麻雀、あの打ち方で……)
憧「一体、幾つの破滅を見てきたっていうのよ……」
望「あ、憧!大丈夫!?」
憧(確かに咲は凄い……あんなの、幾つもの修羅場を潜り抜けないと手に出来ない……でも……)
憧(咲にあんな麻雀打って欲しくない……!)
繁華街
咲(ああ……まただ……またやってしまった……)
ヤメロー!シニタクナーイ!
咲(私の麻雀でまた一人……)
咲「新子さん……折角友達になれると思ったのに……」フラフラ
おばさんA「ちょ……見て、あの子……」ヒソヒソ
おばさんB「大丈夫なのかしら、あんな足取りで……」ヒソヒソ
咲「どうしよう……このお金……返せばあの人は助かるかな……」
黒服「いえ、それはありません」サッ
咲「さっきの……」
黒服「上は『勝ったら』見逃すと言っておりました。金銭の問題ではありません……」
咲「……」
黒服「あなたと出会った。その時点であの男の運も尽きた、それだけです」
咲「……要りません、こんなお金」スッ
咲「黒服さん達にお返しします……」
黒服「……」
黒服「よろしいのですか?」
咲「……」
黒服「本当に宜しいのですか?」
咲「……はい」
黒服「……その年での一人暮らしなど楽ではないでしょうに」
咲「な、なんで……」
黒服「最後に自宅で食事をされたのはいつですか?」
咲「……っ」
黒服「ガス、電気を止められてから何日経ちましたか?」
咲「……三週間です」
黒服「健気なものですね。その気になれば引く手数多の裏プロに成れますのに」
黒服「外道とでも言いますか、さっきの男みたいなのだけを相手にする……そのお金も使うに使えない」
黒服「大変ですねー一体幾つバイトを掛け持ちしてます?」
咲「……」
黒服「おまけに奨学金を得るためにトップの成績も維持しないといけない……」
咲「……さい」
黒服「はい?」
咲「もうやめてください……」
黒服「勘違いしないで下さい。私は誉めているのですよ」
黒服「確かに幾らかは麻雀の勝ちで生計はたてているようですが、概ねあなたの使ってきたお金は綺麗だ」
黒服「文字通り、自分の力だけで生きてきた訳です。あなたの事を上に話したら組長も大変感心していましたよ」
咲「……」
黒服「……。そのお金は、組長からの気持ちです。私の一存では受け取れません」ズイ
黒服「では」
咲「……私の力?」
咲「私だけで生きてきた……?」
咲「……そっか。私だけ……私だけしかいなかったんだ……」
憧『咲、一緒にお昼食べよ!』
憧『咲、隣空いてる?』
憧『咲、今日は暇?今日は部活が無いんだけど……』
憧『咲、麻雀部に入らない?』
咲「……」ジワッ
咲「ごめんね……そっちには行けそうにないかな」
本日は以上になります。支援して下さった方、ありがとうございます。界さんはまた日を改めて書きます。
尚、一部咲さんが人鬼さんと被るようなシーンが在りましたが、それは私の文章力の無さによるものです。
乙ー
>>52で気になったんだけど暗カンが一回でも入ってたら
500オールは有り得ないよ
待って下さった方、ありがとうございます。
諸用で遅れますので開始は9時半からになります。
>>69
チュンチャンパイの明カンと暗カン、副底合わせて70符の1200オールでした。ありがとうございます。
翌朝、漸く眠れない夜が終わった。
憧「一睡も出来なかった……」ゲッソリ
憧(でも……お陰で考える時間だけはたくさんあった……私がやるべきこと、それは……)
憧「麻雀をするわよ。チーム名はリトルバスターz」
穏乃「朝っぱらから何やってんだよ」
憧「何か問題でも?」←徹夜のテンション
穏乃「大有りだよ」
憧「……。話を戻すわよ」
穏乃「戻すも何もまだ始まってすらなかったんだけど」
…………。そんな事実は認めない。
憧「喜びなさい、新入部員候補が一人見つかったわ」
穏乃「……!ほ、本当か!?」アセアセ
憧「ええ、勿論。しかも即戦力レベルの逸材よ、強くて可愛くて可愛くて、あと凄く可愛いんだから!」
穏乃「それ可愛いだけじゃ……いや、憧がいいならそれで良いけどさ……」
憧「見てなさい、咲!絶対に麻雀部に入って貰うからね!」
穏乃(サキ……もしかしてA組の宮永さんのことかな?)
憧「見てなさい、咲!絶対に麻雀部に入って貰うからね!」
穏乃(サキ……もしかしてA組の宮永さんのことかな?)
しかし思うに任せられないもので、その日咲は学校を休んだ。
教師「じゃ、出席とるぞ……なんだ宮永は休みか……」
憧「……!」
憧(って…そりゃそうよね……あんな事があった後だもの……)
女(よし……)
憧(でもこっちは咲が学校に出てくるのを悠長に待ってはいられないのよ……)
休み時間
憧「先生」
教師「ん、新子か。何か用事か?」
憧「いえ、今日休んだ宮永さんのお見舞いに行きたいんですけど、宮永さんの住所教えてくれませんか?」
教師「お見舞いか……友達想いなのは感心だが教師が生徒の情報をみだりに教えるのは……」
憧「……あ」ソウダ
憧「実は昨日宮永さんから古典のノートを貸してもらったんですけど、早く返さないと課題をするときに大変かなって……」
教師「宮永のノートか?あれはいい物だ……先生もよくお世話になる」シミジミ
憧「……」ジト…
教師「……はっ!?」
教師「よ、よし解った。教えてやる、教えてやるからな、な?」
こうして首尾良く咲の家を聞き出した私は、静かに放課後を待った。
女「あ、憧ちゃん!今日って暇?」
憧「ごめん!今から咲のお見舞いに行くのよ」
女「え……宮永さんの……?」
憧「だからゴメン。また誘って」
女「じゃ、じゃあ明日は……」
憧「明日からは部活で忙しくなるけど……」
女「そ、そうなんだ……」
憧「それじゃあ、また明日」
女「うん…また明日……」
……。
女「……新子さん、宮永さんのことばっかり……」
そのとき、廊下の曲がり角から何やら声が聞こえてきた。
女「あれって……」
玄「麻雀愛好会、会員募集中でーす!」
宥「興味ある人……へっくしゅ!」サムイ
玄「お、お姉ちゃん!」
宥「だ、大丈夫だよ、玄ちゃん……少しだけ寒いだけだから……」
玄「もうやめるのです!新しく部員が入ってもお姉ちゃんが風邪引いちゃ……」
宥「だ、大丈夫だから……私はまだ、ここにいる……から……部員、を……」ガックリ
玄「お、お姉ちゃん?」ユサユサ
玄「お姉ちゃん……?目を……目を開けるのです……」
宥「……」
玄「い、いやああああ!」アイズ!
合唱部「同じ所をぐるぐる回って……疲れきってしまっても~」bgm
玄「誰か!誰か麻雀愛好会に入ってくれる人はいませんか!?」
玄「早くしないとお姉ちゃんが……そこの人!」
通りすがり「へ?」
玄「お願いです、入会して下さい!」
合唱部「穏やかな風が吹く~この夏を~♪」
通りすがり「いいですけど……」
玄「……!」
玄「やったのです、お姉ちゃん!」
通りすがり「私、演劇初めてですよ?」
玄「……」
玄「……麻雀部なのです」
通りすがり「……」
通りすがり「はい?」
玄「麻雀部です……」
通りすがり「……」
玄「……」
合唱部「だんごだんごだんごだんご大家族だん」
玄「あ、もういいです」
合唱部「……」ササッ
通りすがり「あの、なんかすいませんでした……」
玄「いえ……こちらこそ……」
通りすがり「……。じゃ、じゃあ私はこれで」スタコラサッサ
玄「……」
宥「……」
玄「失敗だね、泣き落とし作戦……」
宥「失敗しちゃったね……」
ポスター「最近悪質な部活動勧誘が多発しています。被害に遭われた方はその場で署名せず、すぐに生徒会まで報告して下さい」
女(悪質だ!極めて悪質だ……!報告しないと……)ガタガタ
女(そう言えば、確か新子さんって……そうだ!)
女「あの?」
玄「……何なのです?うちは演劇部じゃ無いけど……」
女「麻雀って……初心者でも出来ます?」
玄「……」パアッ
玄「も、勿論!」
※
憧「ここが咲のアパートか……」
アパート「おんぼろ……」オボロボロボロ
憧(築40年は経ってそうね……家賃は安そうだけど……)
階段を登る。錆び付いた鉄の悲鳴が聞こえた。
憧(安全性とかどうなってるのよ……?)
咲のアパートは三階の一番奥の部屋だった。西日が当たるその一角は、そこだけ時間に置いて行かれたような気がした。310の部屋をノックする。
憧「咲ー?いるー?」
果たして、30秒後。
咲「……はい」
目を真っ赤に晴らした咲が出てきた。
憧「風邪って聞いたけど大丈夫なの?」
咲「あ、うん……少し立ち眩みがしただけだったから……」
憧「……上がって良い?」
咲「……!だ、ダメ……!今散らかってるから……」
憧「……昨日の事で、少しだけ話がしたいんだけど……」
咲「……」
咲(電気もガスも止められてるなんて知られたくない……けど……)
咲「少し待ってて……外で話そ」
公園
咲「それで……話って?」
憧「遅くなっちゃったけど……昨日は助けてくれてありがと……」
咲「……うん」
咲「念の為に言うけど、お金は私に払わないでね……何の為に打ったのか解らなくなるから」
憧「……」
憧(やっぱりだ……やっぱり咲は優しい……昨日の咲だけを見たら誤解しちゃうかもしれないけど……)
憧(いつまで咲にこんな顔させるつもりなのよ……間違ってる……!咲には笑っていて欲しい……)
意を決する。息を吸い、呼吸を整える。
憧「咲……麻雀部に入って」
咲「……?」
何を言われたのか解んないと言いたげな顔。私はもう一度、咲に言った。
憧「麻雀部に入って」
咲「……昨日新子さんは何を見てたの?」
咲「私の麻雀どういうモノかも、私の麻雀が人を破滅させる瞬間も見たはずだよ」
憧「そうね」
咲「じゃあ解るでしょ。私は、何人もの人の人生を壊した……新子さん達とは一緒にはいられないよ」
こんな時だと言うのに、咲の声は落ち着いていた。でも、知らず知らずのうちに私の声に怒りが滲み始めていた。
憧「汚れてる?咲が?」
咲「最初からそう言ってるよ」
憧「私やお姉ちゃんを助けてくれた咲が……?」
咲「……」
憧「次口にしたら本気で怒るわよ……」
咲「……!?」ビクッ
憧「咲が自分で、自分のことをどう思おうと……咲は綺麗で優しい……少なくとも私はそう思ってる」
憧「だから、咲を悪く言う奴は絶対に許さない……咲、アンタもよ」
咲「っ……」
憧「……麻雀部に入ろ」
憧「大丈夫だから。咲は大丈夫……私がいる、私がそばにいる」
咲「っ……」
憧「咲の居場所はここにある。咲が入ればそこが居場所になる……私は、待ってる」
咲「そんなの……私じゃなくても--」
憧「咲がいい」
声が、反響することなく消えていった。陳腐なセリフも後に残らなければ恥ずかしくなかった。
憧「私が咲じゃないと嫌だって言ってるの……麻雀部五人目は、咲がいい……」
気が付けば、咲の顔は真っ赤になっていた……やったか?
憧「きっとシズや玄、宥姉も歓迎してくれる」
咲「そんなの…解んないよ……」
憧「……。これ、渡しておく」
咲「紙……?」
憧「入部届け……返事は明日聞くから。忘れないで、麻雀部は咲が入って初めて完成することを……」
そして私は公園を後にした。
憧「……」テクテク
憧「誰も居ないわよね……?」キョロキョロ
憧「……」
憧「ノオオオオ!恥ずかしい恥ずかしい!」
翌日
憧「なんだか一昨日昨日で一生分の勇気を使った気がする……」アクビ
咲「……」
憧「あ、おはよ」ヒラヒラ
憧「考えてくれた?」
咲「……」スッ
入部届け・宮永咲
憧「さ、咲……!」
咲「信じて、良いんだよね……?」
憧「勿論よ!」
咲「アルバイトがあるから木曜日と土曜日しか出れないよ?」
憧「大丈夫、その分みっちり練習するから!」
咲「……」ニコ
咲「よろしくお願いします」ペコリ
こうして私は咲を麻雀部に入部させることに成功した。その時はそう思っていた。
浮かれすぎたことに罰が当たったのだろうか。咲の事をよく知りもせずに、知ろうともしなかったことの報いなのだろうか。
軽率な言葉の報いは、最悪な形で咲に跳ね返った。
憧「~♪」
咲「ご機嫌だね、新子さん」
憧「当たり前でしょ!これでようやく五人揃ったんだから」
憧「それとさん付け禁止」
咲「ふぇ?」
憧「何だかよそよそしくて嫌なのよ。もっとこうフレンドリーにこう……」
憧ォ!
憧「ひっ!?」
咲「ど、どうしたの?」
憧「いや、なんか背中を逆撫でる得も言われない不快な声が……」
咲「……憧ちゃん。これでいい?」
憧「そ、そうね……。……。なんかやっぱりくすぐったい。憧で呼び捨てで--」
咲「それは勘弁して……」
部室前。
部室の中からは賑やかな声が聞こえてきた。玄や宥姉の声が暖かい。
憧「まったく……大会予選まであんまり時間が無いのに……」
扉を開ける。そこにいたのは玄と宥姉、シズ……女だった。
憧「遅れてごめん。なんか良いことでもあったの?」
穏乃「あ、憧……その……」
歯に物が詰まったように喋るシズ。対称的に、玄と宥姉はとても嬉しそうな顔をしていた。
玄「あ、憧ちゃん!やったのです!遂に五人目が揃ったのです!」
宥「玄ちゃんとの渾身の演技が功を奏したんだよ」
その時の私は、どうして単純な考えしか出てこなかったのだろう。
憧「あれ?咲のこともう知ってるの?」
玄「むふー……じゃじゃーん!」
私に一枚の紙を見せる玄。それは、麻雀愛好会を正式な部として認めるという認可証だった。そこで漸く、何かがおかしいと気付き始めた。
憧(な、なんで……!)
心臓の鼓動が早くなる。
憧「待って……認可は五人分の署名が無いと降りない筈じゃ……」
入部希望届けはまだ咲の手の中にある。
そこでやっと、私は気付いてしまった。女がここにいる訳を……
私は遅かった、間に合わなかったんだ……
玄「紹介します!新しく麻雀部に入った一年生の女ちゃんです!」
どこかで、紙が握りつぶされる音が聞こえた。
今日はここまでです。書き溜めも底をついたので寝ます。出来るだけ早く次も上げますので。
謝ろう、咲に早く謝ってまた前のように一緒にいたい。でもなんて謝ろう?咲のことを考えると頭が真っ白になって言葉が思いつかなかった。
結局、私は言葉を保留にしたまま答えを先延ばししていた。そして、気付いたらいつの間にか三週間の時が過ぎ去っていた。その頃には、私はもう咲に話しかける事が出来なくなっていた。
咲「……」ボー
憧「さ--」
女「新子さん、部室行こ!」
憧「あ、いや、でも……」
咲「……」スタスタ
憧「あ……」
喧嘩をしているわけじゃない。ただ、関係が冷えてしまっていた。
おまけに、その頃私は県予選への準備に向けて時間に追われていた。多分、どちらにしても咲のことを気にかけている余裕も無かっただろう。そう思って、その頃の私は咲から逃げていた。
咲なら大丈夫と、自分に言い聞かせて。
女が入部してから、部室は少し前と比べたら信じられないほどに活気がでていた。
女「玄さん、ロンです。えっと、30符の4飜なので7700です」
玄「おー!もう符計算が出来るようになったのですか!」
宥「凄い……玄ちゃんまだ覚えてないのに……」
女「え!?」
宥「ほら、数えられる役だけ……」
女「あードラ爆じゃ満貫以下は覚えなくてもいけますか……」
穏乃「鳥頭……ヤキトリ……」アタマガ…
玄「それ以上はやめるのです!」
私の最初の予想に反して、女は直ぐに麻雀を覚えていった。無論今まで麻雀をやってきた人と比べたら遥かに劣るけど、県予選だけを考えたら十分戦力にはなる。
憧(女は牌効率重視の打ち方か……小さい頃の和に似てるかな……流石に咲とそっくりな打ち手には……)
穏乃「……」
穏乃「憧、なんか気になることでもあるのか?」
憧「へっ?」
穏乃「最近ボーとしてること多いぞ」
憧(やばっ……また咲のこと考えてた)
憧「……ごめん、気をつける」
宥「大会までもう時間はあんまり無いよ。気合い入れて……サムイ……」
女「このタイミングでそれ言われると気合いが入らないんですが……」
玄「ほ、ほら次行こう!まだ半荘一回やっただけだから!」アセアセ
次の半荘はシズが抜けて私が入る番だった。が、思った通り染め屋とドラ爆がいて、序盤から打ちにくい場になった。
憧(まず……最近成績落ちてるし、ここで踏ん張らないと……)
しかし相変わらず牌勢は悪くて、宥姉どころか身動きの取りづらい玄にも先手を取られっぱなしだった。
玄 捨て牌
1m8p6s西南9p白1p
憧(多分張ってるかな……6ソウの早切りからして多分赤周辺の待ちかな……)タン
女(6ソウの早切り……多分周辺の待ちは無いよね?)タン
玄「ロン!8000点です」
女「あう!引っかかっちゃった!」
憧(引っかかったじゃない!なんでそんな見え見えの待ちに振り込むのよ!?私や咲なら絶対に……)ハッ!?
女「ど、どうしたの新子さん?」
憧「な、何でもない!それより次行くわよ」
…………。
……。
宥「玄ちゃん、ロン。メンホン南一通で18000」
玄「うぅ……点棒取られちゃったよ……」
穏乃「デジャヴ……」
玄「それ以上はいけない」
憧(なにやってんのよ……咲のこと考えて折角の勝負手を……駄目だ、今だけは咲のことは忘れなくちゃ!)
でも、それは無駄な努力だった。私の網膜には、まだあの日の夜がしっかりと焼き付いていた。
麻雀を打つだけで、咲の声、咲の顔が牌の中に混じった。
南三局にて
憧(あ……この手……)
159m12489p99s東北北
憧(これ……あの夜の咲と同じ配牌だ……)
穏乃(憧の奴、何を迷ってるんだ?普通に字牌、端牌の処理でいいんじゃないか……)
憧(字牌整理じゃない……咲なら絶対に4ピンから切り出す筈)タン
宥「いきなり4ピン?」
穏乃(あ、憧のヤツ……いつもなら一通の種で残す筈なのに……)アゼン
玄(ドラ6~♪北は要らないよね)ポイ
憧「っ!?ポン!」
あの夜と全く同じだった。オタ風を鳴いて一番濃いピンズの待ちを嫌う。全く同じ展開を私はたどっていた。麻雀覚え立ての女は勿論、下家の宥姉もソウズを切り辛そうになっている。
憧(これがあの夜、咲が見せた風景……)
他家を縛り絶対に流れに乗せない麻雀。しかし、今の私には咲みたいな腕はなかった。
憧(宥姉はいいとして……問題は玄なのよね……)
玄はドラが集まりやすい体質だから、必然的にリーチ一発無しでも満貫手が入る。おまけに対面だから抑えが効かない。
憧(さて……オタ風鳴いて手も染まりきらず……。……咲ならどうするかな?)
改めて河を見る。私の鳴きが功を奏してか、宥姉はソウズよりもピンズの処理を優先してる。時にはマンズが混じっているあたり、まだ二シャンテンってところかな。
憧(女は……典型的なタンヤオ系の河ね。三色も絡みそうかな……ただ、早くはなさそう……そうだ)
指をかけていた玄の現物から指を離して、代わりに7ソウに指を伸ばした。
穏乃「そ、それは……!」
憧(通れ……)タン
穏乃(玄さんには無筋の牌……!張ってたら最低12000は跳ぶ……!)
後ろでシズが物凄い顔してる。
憧(あの夜、私はあんな顔をしながら咲の麻雀を見てたのね……)
穏乃「なんだよ憧、ニヤニヤしてさ」
憧「フフッ、何でもないわよ」
憧(確かに玄さんが張ってたら私は12000の放銃……ラスは免れられない。でも、張ってなかったら?)
女(なんだ、7ソウは通るのか)
玄(聴牌……タンヤオドラ7で親倍確定!)タン…
女「あ、ロンです。タンピンイーペーコーで3900」
玄「だ、ダマ聴?リーチしてよ……」
穏乃(そ、そうか……玄さんの手にドラが集まるから必然的に他家の手は安くなる。とすれば女にアガらせるのは悪くない……!)
玄「うう……親が流れてしまったのです……」
憧(よし、取りあえずこれで暫定二位……後は宥姉を捲ればトップ確定!)
宥「それじゃあ私の親番ね。温かい牌……」
穏乃(憧のヤツ……こんな麻雀打ったかな?)
………。
……。
憧(さて、トップの宥姉とは10000のビハインドを抱えてのオーラスだけど……)
手牌
126677m123p22s中中
憧(最悪……中は宥姉と持ち持ちだろうし、おまけに8ワンはドラ……ドラ筋の二度受けはやりたくない)
穏乃(もう10巡目なのに、憧の手伸びないな……)
おつおつ
>>120
実はまだ続いてたりして……なぜか、書き込めなくて。
憧(うっ……まただ……なんでここで咲の顔が浮かぶのよ……)
咲『それで本当にいいの?』
憧(どうやってこの手を上がれっていうのよ……)
仮に聴牌しても字牌やマンズがあふれ出している宥姉の染め手には勝負にいけない。普通なら、2位狙いで十分……
でも思いとは裏腹に、あの夜の咲が蘇ってきた。
憧(あの時、咲は自分のてじゃなくて対局者を見て笑った……)
咲『よく相手を見て……その手は本当に遅い?』
憧(女と玄はまだ張っていない……宥姉は、あれ?)
宥(……マンズが伸びてる……頭がオーバーしてるし中対子落としで清一に行こうかな……)
憧(宥姉の中が浮きかけてる……なら、一シャンテンの七対子でも先行出来る!)
122の前に一つ抜けましたorz
憧(最悪……中は宥姉と持ち持ちだろうし、おまけに8ワンはドラ……ドラ筋の二度受けはやりたくない)
穏乃(もう10巡目なのに、憧の手伸びないな……)
憧(4対子だし7対子に移行するのも有りだけど……)チラッ
宥「~♪」
憧(宥姉の手が早そう。7対子だと多分間に合わない……降りようかな……)
でも、私の中の咲がそれを躊躇わせた。
宥「ポン……」
宥
113456799m中中
中、切り。
憧(やっぱり中は持ち持ちだった……でも、8ワンは玄の手に暗刻で寄っていて私の手もマンズが濃い……清一で上がれるの?)チャッ…
憧「……!よし、リーチ!」
女「せ、先行されちゃった……」アンパイ
玄「七対子っぽい河で待ちが読めないよ……」9ワン
宥「お願い間に合って……」中キリ
憧「来い……!」ギュッ…
穏乃「うわ……」
憧「来た……!一発ツモ七対子、満貫!一本つけてきっちり逆転!」
宥「はわわ……捲られちゃった……」
玄「憧ちゃんこんな麻雀打ったっけ……」ナキベソ
憧「ちょっと知り合いの麻雀を真似てみただけよ……」
宥「憧ちゃん……?」
憧「それより今日は打つわよ」
結局、その日は私の大勝で部活は終わった。
長い間放置してしまってごめんなさいでした。なんか話が纏まらなくて……
長い間放置してしまってごめんなさいでした。なんか話が纏まらなくて……
待ってくださった方、ありがとうございます。
私の打ち方が変わっている。そのことに最初に気付いたのはシズだった。
学校帰りの帰り路のことで、最初にというのは言われるまで自分でも気付かなかったから。
憧「変わったって……どんなふうに?」
穏乃「いや、なんて言うかさ……一発と裏ドラも考えるようになったっていうか、競技麻雀よりじゃなくなったなと思って」
そこまで言われて初めて気付いた。
憧「あー……そうかも。最近手役は狙った覚えないわね」
穏乃「だよな……前の憧なら三色や一通をよく狙ったし、七対子嫌いだったしな」
憧「仕方ないでしょ。基本横に伸ばす方が好きなんだし」
穏乃「……でもさ。なんでそんないきなり打ち方変えたんだよ?」
憧(知らないわよ。頭の中に勝手に咲が出てくるのよ)
穏乃「確かに今の憧は迫力あるけどさ、私は前の憧の打ち方も好きだし……って、あれ?聞いてる?」
憧(普段は上手く忘れたふりできてるけど、麻雀の時だけは勝手に咲の麻雀思い出しちゃうのよ)
穏乃「おーい、憧?」
憧(そりゃ確かに咲の麻雀は一度しか見たこと無いから真似の域を出ないんだろうけど……)ブツブツ
穏乃「憧ってば!」
憧「自信が無くなったのかもね……自分の麻雀に」ピタッ
穏乃「イタッ!?いきなり立ち止まるなよ!」
憧「シズはさ、自分より大きいものに出会ったらどうする?」
穏乃「聞いてないし……取りあえず立ち止まってどこから登るか考える、かな?それがどうかしたのか?」
憧「なんて言うか……一度凄い麻雀見ちゃったのよ。そしたらなんだか自分の麻雀に自信がもてなくなっちゃった……多分」
穏乃「多分って……」
憧「本当の所なんて私にも解んないわよ。気付いてたら咲みたいに打ってた、それだけ」
穏乃(サキ……確か前に憧が言ってた……)
憧「もう一度その麻雀見れば解るんだろうけど、それも無理かな……?」
穏乃「えーと、そのサキさんに直接会えないのか?」
憧「無理ね……今ちょっと話かけ辛くて……」
穏乃「……喧嘩でもしたのか?」
憧「っ……」ズキッ
穏乃「あ、いや、答えたくなかったら」アワアワ
憧「別にいいわよ、聞いたって。なんて言うか、喧嘩だったら話は早いんだけどね」
喧嘩なら私が謝ればそれで済む。でも、どちらも悪くなければ?
憧(罪悪感で押し潰されそうなのに謝ることが出来ない……最悪じゃない)
怖かった。私の言葉がまた嘘になって、咲を傷つけてしまわないか……
穏乃「でも憧にそこまで言わせるなんて……一度見てみたいな、そのサキさんの麻雀」
黒服「見れますよ」ボソッ
憧・穏乃「はにゃあああああ!?」
憧「あ、あんたこの前の!」
黒服(アロハシャツver)「ご無沙汰しております」
穏乃「な、なんか見るからに胡散臭そうな人だ!」
アロハ「ハハッ!よく言われますよ」
憧(ちょっと!なんでアロハシャツなのよ!?)
アロハ(一度黒服で職質食らったことがありまして……日中はこの服です)
憧(にしてもなんでアロハ?)
黒服(怪しいよりは胡散臭いの方が幾らかましかと)
憧(私服という選択肢は無いの!?)
アロハ(盲点でした)
憧(なんで肝心な所見逃すかな!?)
アロハ(てへぺろ)
憧(かち割りたい、この笑顔……)ワナワナ…
穏乃「憧の知り合いか?」
憧「あ、そうそう!この前雀荘で知り合って……」
憧(嘘は言ってない嘘は!話のディテイルを全部省いただけ!)
穏乃「ふーん……」ジトメ
憧「そ、それより咲がなんて--」
アロハ「そうでした……宮永様なら、今はあの雀荘におられます」
憧「え……?」
穏乃「ほ、本当ですか!?」
アロハ「ええ、運が良ければ宮永様の麻雀を見られるかも……」
穏乃「や、やった!憧、行くよっ……て、憧?」
憧「な、なんで……」
--憧『咲には笑っていて欲しい』--
アロハ「……」
憧「それ、ただの麻雀じゃないんでしょ……?」
アロハ「……はい」
憧「レートは幾らなのよ……?」
黒服「……」チラッ
穏乃「?」
黒服「……現在のところはテンピンですが」ミミウチ
黒服「相手は麻雀で何人も喰い殺してきた人間です。店側が依頼した仕事ですし、宮永様が生きて帰すかは解りかねます」コショコショ
憧「なんで……咲、そんなの望んでないのに……」
黒服「……止めるなら今ですよ?相手に借を負わせてウチの街金に借金させる手筈になっています。そこまで行けばもう二度と……」
憧「……」ダッ
穏乃「あ、待てよ憧!」ダッ
アロハ「……」パカッ
ヅラ「ふう……」
待ってて下さった方、ありがとうございます。続きは今晩か明日にでも。
トリップこれで合ってたかな?合ってたら再開します。
雀荘
私達がその雀荘に入ったとき、咲の座る卓は人ごみで埋もれていた。異様な熱気を掻き分けた先に、その背中はあった。
咲「……」
穏乃「憧、あの阿知賀の制服着てるのがサキさん?」
憧「そうだけど?意外だった?」
穏乃「うん…なんかもう少し怖そうな人だと思ってたから」
穏乃(なんだか強そうには見えないな……憧が気にするほどの打ち手なのか?)
咲「……」
男(くそ……何だってんだ、対面の女……)
咲「ツモりました。300・500です」
男(澄ましたような顔しやがって……見てな、目にもの見せてやる!)
五巡目
男 手牌
22678m555678p78s
男(よし、最高形で聴牌……高めで親っ跳ね!)チラッ
男(しかし、場はソウズの上が高い……リーチしたら9ソウも出んだろう……黙っておこう)スッ
客A「嫌な場だな……ソウズが切りにくいよ……」タン
客B「と言ってもこの順目だし、まだ大丈夫だろ」
客B(789の三色だし、今のうちに6ソウを処理しとこうかな……)ソワソワ
男(よし、下家からそろそろ6ソウが出そうな気配が……)
咲「……」スッ
9ソウ
男(糞っ……当たり牌だが役無しじゃ当たれん!)
客B「……」タン
6ソウ
男(この下手くそが!同順フリテンだこんちくしょう!)スッ
男(チッ……ツモれれば話は早いんだが……今からリーチかけるか?いや、逆にこれだけ念を押したんだ。6ソウも出るだろう)ダマテン
咲「……」ニヤ
9ソウ
男(このド畜生が!)
客B「よし、リーチだ!」
6ソウ
男「うっ……」
男(まずい……当たり牌を4枚も見逃したんだ……この局は失敗か?)ゲンブツ
客B「よし、一発ツモ3000・6000!」
客A「また派手に吹いたな!」
客B「へへ!勇気を持って6ソウ対子落としが効いたぜ!」
男(本当ならアンタが18000の放銃なんだぜ?対面の女子高生さえいなけりゃ……)
咲「では、オーラスです」
穏乃「なあ、憧。咲さんって強いんだよな?」
憧「う、うん。その筈だけど……」
穏乃「じゃあなんであの手牌から9ソウなんか切ったんだ?」
咲
1199m99s中中白白北北西7p
憧「そうよね……見たところ7pは危険牌じゃないし、西を切って聴牌維持でも良かったんじゃ……」
穏乃「だよな……わざわざ危険なソウズの上を切らなくても。やっぱりそんなに巧くはないような……うん?」
ギャラリーA「おい、今のマジかよ。男の奴、タンヤオ三色の片和了待ちだったぜ」
穏乃「えっ……それ本当ですか?」
ギャラリーB「ああ、6000オールの勝負手だったんだけどな。あの子の9ソウのせいで6ソウに当たれなかったんだ」
穏乃「……!」ゾッ
穏乃(嘘だろ……まさか咲さんの目的って、男を浮かせないための打ち回し……)
オーラス
男 24900
客A 27900
客B 30100
咲 17100
男(ちっ……得点自体は問題無いが、ウマが三万一万と無視できない上にビンタが付く……せめて首は確保しねえと……)タン
客A「700オールでトップか……取りあえず鳴いとくかな」チィ
客B「折角だし、逃げ切ろう」ポン
男(まずい……展開の早い麻雀になっちまった……仕方ない)
男「チー!」
22345m455p34s
チー678s
男(解ってるさ、ここはタンピンを目指すべきだって……トップになるためには1000・2000か3900が必要)
憧(随分勿体ないしかけするわね……)
男(2600直撃じゃ意味がない、せめて門前で行くべきだって……でもな、取りあえずビンタだけでも確保すれば大損はしない。これが最善のハズ……!)
客A(なんだ、この人……6s鳴かなくともツモれてたじゃねえか。勿体ない)ポイ
男(くそっツモれてたよか!?)
咲「……」ニヤリ
客B「取りあえず筋を合わせておくかな」タン
咲「ロン」
客B「うえ!?」
234678m345p3378s
咲「平和ドラ1で2000点です」
男(馬鹿な!?)
客B「ふー助かった。振りトップだ」
客A「俺も首アリ2着だしよしとしておこうかな」
男(ふざけるな!さっきのはツモ切りだったぞ!Aの6ソウで出和了っておけばタンヤオついて3900……俺が2着になれたものを……!)
憧(やっぱり……咲、対面の男を狙い打ちしてるんだ)
穏乃(なんだろう……宮永さん、ラスなのに負けてるように見えない……)
男「ふうー大分負けが込んでしまったな……お嬢ちゃん、俺と差しビンを握らないか?」
憧「っ……!」
咲「構いませんよ。幾らにします?」
男「30ビンでどうです?お互いこのままだと厳しいでしょうし」
穏乃(30ビン?なんの意味だろ?)
咲「では……3回戦です」
男(くそっ……何やってんだ俺は。対面のヘボに巻き込まれて手持ちの資金が半分近く削られた……)
客A「よし、なんだか今日は勝てそうな気がするぞ!」
男(こういうイキのいいだけの素人は俺達のカモ……しかし、なんだ対面の奴は?)
咲「……」
男(素人同然の打ち方なのに、この俺を毎度毎度道連れにしやがって……)
男「リーチ!」
男(ならば同じ鉄は踏まん!リーチしてツモ和了る!)
咲「ポン」
客A「お、有り難い。一発消しか?」
男 河
北南5m東1m6s8m
手牌
13678m678p678s東東
男(まさかこの捨て牌でカン2ワン待ちとは思うまい……)
憧(なる程……確かにこの人上手いわね。5ワンを迷い無くツモ切ってるから6ソウの裏筋にどうしても目がいく……加えてツモなら満貫も見える。ででも……)
咲 手牌
222777m6788p
ポン南南南
穏乃(男の待ちは純空……勝負合ったかな?)
咲「……」クスッ
2ワン
穏乃(なっ!?)
男「ロンだ!リーチ三色で5200!流石にこの待ちは読めねえだろう!」
穏乃(違う……今のはワザ打ちだ……)
憧(これが咲の打ち方……人を殺すための打ち方……)
オーラス
男 32100
客A 21400
客B 20300
咲 26200
男(よし、上手い具合に親落ち出来た。対面も首アリだし、大きくは突っかかってこんだろう……)
客AB「25000までが遠いな……」
男(それに比べて俺はどうだ?ツモなら絶対に原点を割らない……この勝負貰った!)
穏乃(なんかフラグが立ったような……)
10順後
客A「リーチ!」
男「おっと。怖いね」
男(なんて思うか。コイツは首を取り戻すためには最低5200が必要。リーチツモの他に2飜か高い符がいる……だがな)
男 手牌
23467m567p99s北北北
ドラ9ソウ
男(ドラは河に二枚と俺の手に2枚で見えているからその手の底は見えてんだよ!おまけにこっちは動きやすい形でとっくに聴牌してんだ!負ける訳がねえ!)
客A「えーと……これなら通るかな?」ポイ
西
咲「……カン」ニヤリ
男(なん……だと……?)
新ドラ 1ワン
男(何てことしやがる……1ワンは生牌じゃねえか!これでBの手の高さも読めなくなった……!)
客B「ちっ……折角のカンドラチャンスでツモれずか」
男「くそっ……迷惑なことしやがって……」チャッ
男「……!」ギリ…
男(マズい……)
1ワン「ゴゴゴ……」
男(これはBの一発に当たる牌、しかもドラ!)長考
男(流石にこれは切れねえ。北で降りだ……)
客A「そいつだ、ロン!」
男「なに!?」
客A「七対子ドラドラで9600!新ドラがモロ乗りしてくれて助かったよ」
咲「クスッ……首が切れましたね?」
男「こいつ……」
穏乃(なんなの、この人……カンで無理やりドラを増やしに行くなんて……)
憧(本当ならBの一発ツモで咲は原点割れしてた……いや、そもそも大明カンが無ければ男は北で降りることも無かったはず……)
穏乃(悪魔のカンだ……!)
ギャラリーA「降り打ちしたんだ。男の流れは歪むぞ……」ざわ……
男「こんな結果納得出来るか!俺は一度も振ってないんだ……実力は俺の方が……」
咲「では、もう一勝負試してみますか?」
男「当たり前だ!ビンタも倍にしてもう一勝負……!」
ギャラリー(止めときゃいいのに……アンタ確かに上手いけどその子の方が2、3枚上手だよ)
4回戦
男「よ、よし……牌勢は落ちてねえ、ツモも悪くねえ!問題は対面のリーチ……」
9s8m北西6p東3s2s(リーチ)
男(七対子が臭いな……しかし、3ソウ2ソウと切ったってことは2233から落としていったに違いない……待ちは恐らく1-4ソウ。7pは通る!)
咲「ロンです。裏一で24000」
222678m68p55678s
男「しまった……!23は引っかけか!?」
咲「二本場です」カタリ…
男(後千点しかない……もう振れない)タン
咲「ロンです。13500、跳びましたね?」
男「あ、ああ……」
憧「見た?これが咲よ……」
穏乃「す、凄い……」
憧「咲は弱くなんかない……私達なんかよりずっと強い……」
穏乃「うん……勝てる気がしないもん……」
五回戦
咲「カン。嶺上ツモりました。8000オール」
男「か、金が……俺の点棒が……!」
咲「カン、嶺上開花。18000の責任払いで男さんの跳び終了です。続行……しますか?」
男「びびビンタアップだ!倍の120!120でやりましょう!」
ギャラリーA「流石に止めとけって!兄ちゃんの勝つ流れじゃないよ!」
男「黙れ!ここまで虚仮にされて黙って引き下がれるか!」
憧(咲は強い……だけど、強すぎる……このままだと咲は一人になる……)
咲「ええ、勿論構いません」
憧(逃げるのは止めよう……私が咲から逃げてちゃいけない……私が……)
咲「では、6回戦--」
憧「咲……」
咲「っ……!?」
その時、私は一体どんな顔をしていたのだろうか?麻雀中に咲の驚愕に包まれた顔を見るなんて、思いもしなかった。
男「おい!早くサイコロ回せ!」
咲「……いえ、ここで止めましょう」パタン…
男「逃げる気か!?」
咲「……この店に立ち入らないと約束するなら、勝負は無かったことにしていいですよ」
男「それはつまり……」
咲「60ビン以降の勝負は無かった……不満ですか?」
男「っ……!本当か?」
咲「裏を返せば……」
男「言わなくていい……お前みたいなのがいる店に二度と近付くか」ガタッ
男「……次会ったら、今度は俺が勝つ」
店員「あの……良かったんですか?この後、アイツに借を負わせる筈なんじゃ……」
咲「別にいいですよ……あの人、結構溜め込んでそうでしたし、半荘戦だと時間がかなりかかりますから。それより……」チラッ
憧「……」
咲「今日はもう帰らせて貰います。疲れましたし、用事が出来ましたから……」
今日はここまで。毎度支援してくださってる方感謝です。
麻雀って難しいよね……
160と172でミスが……
何を血迷ってか咲の手にドラが絡んでいました……
160は平和イーペーコー。高目でタンヤオ。
172は
一発の
22678m68p678s東東東
18000点に変えておいて下さい……
公園
憧(どうしよう……雀荘では勢いで咲に話しかけてしまったけど、気まずいどころの話じゃない……咲と話すどころか……)
穏乃「咲さん!さっきの麻雀凄かったです!」
咲「あ、ありがとう……」
穏乃「無茶苦茶に強かったですけど、咲さん麻雀歴長いんですかっ?」
咲「え、まぁ…人並み程度には」
憧(そもそも会話に入れない!)ガーン
穏乃「謙遜しないで下さいよ!それよりあの時の9ソウ対子落としの理由って、あとそれとアンコになっていた2ワンを切ったのは--」
咲「え、あ、その……」
憧(なんで!?おかしいでしょ!?普通初対面のシズが会話に入れなくて困るパターンでしょ!そんでもって私と咲も気まずくて会話が弾まなくて三人一緒にお通夜入りするはずでしょ!)
咲「その……あの人は少しクセがあって……」
穏乃「癖ですか!?一体どんな!?」
憧(……いや、それはそれで嫌だけど)
咲「--あの?高鴨さん、でしたよね?なんで敬語?」
穏乃「いや、なんとなく……宮永さんには勝てないなと思って……」
憧(生存本能!?)
咲「?」
穏乃「そ、そんなことより!私のことは後でいいですから!」アセアセ
咲「は、はぁ…」
穏乃(さっきの麻雀凄かった!聞きたいことが沢山あるし!男の敗因と咲さんの麻雀と、それから……)ウズウズ
咲「あの……」チョイチョイ
憧「へ……?」
咲「少し耳貸して?」コゴエ
憧「ふきゅっ!?」ゾワ
咲「高鴨さんって憧ちゃんの知り合い?」ヒソヒソ
憧「そ、そうよ……麻雀部の」
憧(さ、咲の息が耳に……///)
咲「フフ……随分エネルギッシュな人なんだね」
憧(耳が……耳が溶ける……)
咲「そういえば……こんな風に憧ちゃんと話すのは久しぶりだね」
憧「うん……」
憧(本当に……本当ならもっと咲とこんなふうに……)
穏乃「よし…決めました!取りあえずさっきの麻雀での宮永さんの勝因を……」
咲「はいはい」
憧(はぁ……この期に及んで、麻雀部に入ってってもう一度言えない自分が情けない……)
穏乃「--の前に。麻雀部に入りませんか、宮永さん?」
憧咲(ってあんたが言うんかい!?)
穏乃「いや~これだけ強いなら是非麻雀うちの麻雀部に入って欲しくて……」
憧(なんなの!?なんでシズは私が言い出しにくい所ををあっさり踏み込むの!?)
咲(高鴨さん……恐ろしい子……!)
穏乃「ってアレ?二人ともどうしたの?顔がガラスの仮面状態になってるけど?」
憧「な、何でもないわよ」
憧(ただ……)チラッ
咲「……」
咲「止めておこうかな」
穏乃「なっ……!」
咲「私を入れてもあんまり良いことは無いよ」
穏乃「そんなこと無いです!私達、今は小さな麻雀部ですけどどうしても全国に行きたいんです!」
咲「どうしても……ですか?」
穏乃「どうしてもです!」
咲「……」
穏乃「……」シンケン
憧「……」
咲「それは、今いる五人の内の誰かから居場所を奪ったとしても?」
穏乃「あ……」
咲「……私が入るっていうことは、今五人揃っている麻雀部の中から一人補欠に回すっていうことだよ?」
穏乃「……考えてなかった」
憧「考えてなかったの!?」
穏乃「いや、今までは部員集めで四苦八苦してたからつい……余るなんて事態は考えてなくて……」てへぺろ
咲「とにかく……私はそこまでして大会に出たいとは思ってない。出る必要も無い」
穏乃「う……」
憧(やっぱり……咲の性格からして当然だけど……)
穏乃「どうしよう……麻雀部再興の言い出しっぺが大会に出ない訳には行かないし……かと言って……」
もうちょっと1レス分の文章を長めにした方が読みやすいかな
憧(でも……諦めきれない……やっぱり咲に麻雀部に入って欲しい……)
憧「……咲。私と勝負しない?」
穏乃「憧?」
咲「……」ゴッ
穏乃(っ……!空気が一変した!?さっき麻雀してたときの雰囲気だ……!)
憧「っ……!明日の昼休み、麻雀部で待ってる……ルールとかは咲が決めていいから」
>>192
解りました。ちょっと伸ばしてみます。
穏乃「あ、憧…それは少し無謀なんじゃ……」
憧「いいから。私に任せて」
穏乃「……」
憧「私が勝ったら麻雀部に入って貰う。負けたら咲の好きにしていい……それでどう?」
咲「……」
憧(例え私が大会に出られなくなっても……私以外の人がそうなっても……)
咲「……補欠」
穏乃「へ?」
咲「例え入部してもレギュラーとしては絶対に打たない。その条件でいいなら」
憧「決まりね」
咲「では、明日の昼にまた……」
穏乃「憧……どうしてあんなこと……」
憧「どうしても……どうしても咲に入って欲しかったのよ……」
穏乃「……」
憧「例え、他の誰かの居場所を奪うことになっても……」
憧「明日は勝つ……絶対に」
翌日 学校の廊下にて
女「あ、玄先輩!」
玄「女ちゃん。お昼に顔を会わせるなんて初めてだね」
女「はい。でも、新子さんからお昼に集合かけるなんて珍しいですね」
宥「本当だね」
玄「お姉ちゃん!」ダキッ
宥「く、苦しい……」
玄「むふー相変わらずいいお餅を持ってです」モミュモチュギュー
宥「く、玄ちゃん、決まってる、決まってるから」ギブギブ
女「相変わらず中がいいですね」
玄「当然だよ!」ブリッジ
宥「た、助けて……」
部室
玄「お待たせ」
宥「やっと解放された……」
穏乃「お疲れ様です」
憧「ごめんね、急に呼び出しちゃって」
玄「ううん。気にしないで」
女「それよりなんか集まる用事でもあったっけ?」
憧「それなんだけど……ちょっと麻雀を打ちたいんだけど、面子が足りなくて……」
玄「いいんじゃないかな?大会も近いし」
憧「私事でごめん」
宥「気にしなくていいよ……でも誰が入るの?」
憧「それなんだけど、私と--」
女「あ、じゃあ私が入る!」
宥「私は見てるよ。玄ちゃんは?」
玄「うん、お姉ちゃんの代わりに私が入るよ」
憧「解った。じゃあ私、玄、女が座るわね」
玄「あれ?憧ちゃん、一人足りないけど……」
憧「大丈夫。もうそろそろ来る筈だから……」
女「もうそろそろって……」
ガラッ
咲「揃われていますか?」
短いですが今日はここまで。支援して下さっている方、毎度のことながら感謝です。
ところで、このssに麻雀描写って要りますか?麻雀は本当に初心者で自信が無いのですが……
麻雀描写自体は苦ではないんですよね……説明の手間も省けますし。ただ、どうしても長くなる感が否めなかったり、面白いか解んなくて。
色々なアドバイスありがとうございます。取り敢えず今回はいつもより力を抜いて麻雀パートを作ってみました。
咲「揃われていますか?」
宥(あ、えっと……)
玄「えっと、どちら様ですか?」
咲「宮永咲です……面子は?」
憧「勿論揃ってるわよ。それじゃ、早速で悪いけれど席決めを--」
女「ちょっと待って!なんであんたがここに……」
憧「私が呼んだの」
女「なんで……」
憧「私が咲と勝負するためよ。時間が無いから早く席決めの牌捲って」
女「で、でも……」
咲「……」
女「解ったわよ……仮東です」
咲「……西」
憧「北ね」
玄「そ、それじゃあ始めよっか。えーと、ルールは」
咲「……時間が無いので東風戦で」
女「ちょっと!なんで宮永さんが仕切って--」
憧「いいの。今日の勝負を受けて貰う代わりにルールの設定は咲がする。そういう約束だから」
女「っ……!」
憧「続けて」
咲「……アリアリの東風戦で持ち点は25000、30000返し。二回やってポイントの多い方の勝ち」
憧「いいの?それだと咲の打ち方を知ってる私の方が有利だけど」
咲「……」コクン
憧「解った。じゃ、始めるわよ。女、サイコロ振って」
カラカラ……
宥「あ、あの……お茶飲む?温かいのしかないけど」
咲「いえ、お気になさらずに」
宥「そ、そう……」
宥(どうしよう……もう淹れちゃったよ。何だか話しかけ辛いし……あれ、穏乃ちゃん?)
穏乃「~♪」ワクワク
宥「なんだか楽しそうだね」
穏乃「もう一度後ろから宮永さんの麻雀を見てみたかったんですよ」
宥「うん?穏乃ちゃんは咲ちゃんを知ってるの?」
穏乃「はい、強いですよ……無茶苦茶に」
宥「そうなの?」
宥(穏乃ちゃんがそこまで言う人……じゃあ、後ろから少し見させて貰おうかな)
東1 立ち親・咲
咲
1379m899p14s南南北白発
ドラ 1ピン
穏乃(うわ、いきなり……8種10牌じゃ流せない。ここは……)
咲「……」タン
宥(だよね。こんな配牌じゃ国士に向かうしか無いよ……でも……)
穏乃(ドラが1ピンってことは玄さんが抱えるはず……その国士は多分聴牌止まり……)
女「リーチ!」
宥(その上早いリーチ……咲ちゃんはいけて流局かな?)
咲「……」チラッ
穏乃(流石に真っ直ぐには行けないか。……東発で押せる手じゃないし当然かな……)
海底ツモ……
玄「ツモ!海底ツモドラ6で倍満です!」
穏乃(うわちゃー。いきなり親被り……これは咲さんも少し厳しいかな?)
東2
8巡目
憧「チー!」
穏乃(憧が動いた!)
憧
123m35p中中中東東
123s
穏乃(聴牌か。でも中のみ……幾ら何でもその仕掛けは勿体ないんじゃ……)
次順
穏乃(お……1ピンをツモった。これで1500点の手が一気に5800まで跳ねた……)
憧(玄が居る以上ドラは使えない……そういう条件での東風戦なら断然チー聴……加えて……)
2順後
憧「ツモ!4000オール!」
123m13p中中東東東2p
チー123s
憧(鳴いても変わり次第でこの手は十分高くなる……!)
女「うわ……一気に点を盛り返したね」
憧(さあ、これで差は20000……どうする、咲?)
一本場
咲「リーチ」
憧(遂に動いたわね!待ちは……)
8m9s南北1m6s5p2m(リーチ)
憧(マンズが良くなさそうね……有るとすればピンズかソウズの、多分悪形……)タン
咲「……」
憧(やっぱり……マンズは通るか)
女「え、えーと……現物!」タン
憧(現物の抜き打ち?慎重すぎるんじゃないの?)
咲「……」フッ
憧(あの目だ……敗者を見るような冷たい目……もう咲に底を見抜かれている……)
玄「どんどん前に進むのです!」
憧(玄は前に出過ぎ!一発目に無筋のピンズ切っちゃダメ!)
咲「……」フッ
咲「……」タン…
憧(一発は無し……なら)タン
穏乃(お、安牌の西を切って目一杯に手を広げた……)
憧(多分咲が上がるまでに幾らかの時間はある。玄が先に放銃するより先に上がってみせる!)
1235689m455p245s
↓4順後
123456m455p2456s 2p
穏乃(平和の一シャンテン……456の三色も見えるし4ワン引きでタンヤオも付く)
憧「……」タン
5ソウ
穏乃(5ソウ?ツモ切りでいいんじゃないのか?4ピンは河に三枚と手牌に一枚で壁な訳だし……第一三色が消える)
次順
123456m2455p246s4m
穏乃(あ、タンヤオ三色に手変わりした……)
次順
憧(追いついた……)
234456m2455p234s
憧(幸い咲は前順に3ピンを切っている。現物で降りる癖のある女が3ピンで放銃する可能性は十分にある)
女(ラッキー。また現物ツモった)ポイ
憧「ロン。7700の一本場は8000」
女「うげ……やっちゃった……」
咲「……」ジッ
憧
234456m2455p234s
咲
234999m123p1113s
咲「……」パタン
穏乃(憧のヤツ……234の三色に走ったお陰で宮永さんに放銃せずに済んでる)
憧42000
玄37000
咲12000
女9000
2本場
憧(さて……点差は十分だし受けを重視していこうかな)
57m23569p1134s東東北
憧(面子は無いけど戦うには十分……東ポンで手なりでいい)
咲「……」ニヤリ
咲「……」タン
宥(え?)
咲「……」カッ
5巡目
咲「リーチ」
北西5p6m東(リーチ)
宥(し、穏乃ちゃん!このリーチは……!)
穏乃(み、宮永さん……なんてリーチするんですか!?)
憧(リーチされたなら東ポンは無い……トップ目だから今は打ち込まないことを重視して……)タン
13巡目
女「ツモ。300・500の二本付け」
玄「初和了だね、女ちゃん」
女「はい!ごめんね、折角のリーチを蹴っちゃって?」
咲「……」ニヤ
咲「いえ、お気になさらずに……続けましょう。ゲームはまだ終わりませんよ」
今日はここまでです。支援して下さってる方、ありがとうございます。今回は分量が少なくてごめんなさいでした。
東3
憧41500
玄36700
女11100
咲10700
咲「……」
女(なによコイツ……折角のリーチが無駄になってラス目になったって言うのに。その薄笑いはやせ我慢のつもり?)
憧(500の支払いで親落ち出来たなら上等!これなら勝てる!)
穏乃・宥(……)
東3
憧(よし、配牌で中アンコ!早い手になった!)
咲「ポン」
憧(速攻?点差は30000以上有るのに?)
咲「チー」タン
咲「失礼、ツモりました。1000・2000です」
女(ここで安手アガってどうするの……そうか、勝負を捨てたんだ!)
憧(ここで無意味な安手のツモ……唯一意味が有るとすれば、玄をトップにすることで私にトップオカが入るのが避けられるけど……)
憧(仮に2着に落ちても咲とのポイント差はかなり開くわよ?)
穏乃(違う!宮永さんの狙いはもっとストレートだ!憧、気付け!)
東4
憧
24589m147p299s南白
憧(あれ……?急に配牌が悪くなった……?)チャッ
女(4シャンテン……さっきまでの配牌と雲泥の差なんですが!?)
憧(くっ……なんとか形にしないと……)チャッ
憧(ツモも効かない……さっきまで敗色の気配なんて無かったわよ!?)
咲「リーチ」
憧(早っ!まだ五巡目……)
咲「……。カン」
憧(カン……?)ハッ!
悪男『く、首がー!?首がねえ!?』
男『俺の金が……点棒が……!?』
咲「嶺上……」
憧(あ……ヤバい。デジャヴ……)
咲「--開花自模……6000・12000」
穏乃(三倍満……やっぱり宮永さんの狙いは逆転トップ……いや、それ以前に……)ダラダラ
112233⑤688p4p
カン9999p
玄「…………へ?」
憧「……ちょっと待って。なんで玄の赤が咲の手に入ってるのよ!?」
女「く、玄さん!?」
玄「あ、ど……ドラが……どうして?」ブルブル
あ、赤ドラは⑤で表記します。
咲「……」ニヤリ
(((……!?)))ゾッ
咲「+24000で逆転トップ頂きました。二回戦……続行する?」
憧「あ、当たり前よ!まだ私は負けて……」
2回戦
咲「嶺上ツモりました。2000・4000」
咲「嶺上ツモ、6000オール」
憧(くっ……点棒が咲の箱になだれ込む……!)
玄(手牌が全部ドラだよ~)レイプメ
宥(何なのこの人……?さっきから嶺上でしかアガってないよ……)
(メゲるわ……)
女(そんな……憧ちゃんや玄さんが太刀打ち出来ないなんて……)タン
咲「……西カン」
女(へ?大明カン?)
咲「嶺上……ツモりました。24000の責任払い……女さんの跳びで終了ですね?」
放課後
憧「何だか妖怪を相手にしたような気分ね……」
女「……まったくね」
玄「二回戦からはあの子にばっかり赤が行っちゃったよ……」
穏乃「相変わらずエグい麻雀打つなあ……」
憧「……まあ、もう良いわよ。これで咲の勧誘には完全に失敗したわけだし」
宥「勧誘って……そう言う話だったの?」
憧「そうよ。勝ったら咲が麻雀部に入る……まあ、団体戦のスタメンには絶対にならない、そう言う条件付きだったんだけど」
玄「よ、良かった……」
玄(もう二度と打ちたくないよ……)
穏乃「なあ、宮永さんと打ってみたいとかじゃなくて、本当に勝つつもりだったんだよな?」
憧「無いわけないでしょ。一応作戦はあったんだし……咲は最初、見に回るからその間に点棒を稼ぐ。昼休みなら時間の都合上東風戦になることも想像がついたし、これなら勝てるはずだったんだけど」
穏乃「そっか……」
憧「……だからこそ解んないのよ。一体なんで負けたのか?私は上手く打ててた筈なのに……」
宥「あ、憧ちゃん……それなんだけどね」サッ
349m345p58s北南白白中
宥「これ、何だか解る?」
憧「……誰かの手牌ね。入り目次第では345が見えるけど……これがどうかしたの?」
宥「これ、東2の二本場で咲ちゃんがリーチに行ったときの手牌なんだよ」
憧「あれノーテンリーチだったの!?」
女「な、なんでそんなことを……」
穏乃「……こっからは結果論になってしまうんだけど……宮永さんがリーチに行ったときの憧の手牌はこうだろ?」
1235689p1134s東東
穏乃「ここから憧は東を鳴かずに対子を落としていったろ?」
憧「う、うん。30000近いリードが有ったし、わざわざ勝負に出なくていいかなって」
宥「……」チャッ
咲の河
北西5p6m東(リーチ)4p1m9p9p……
憧「えっ……これってまさか……」
穏乃「正解。もし鳴いてたら次順憧は4ピンツモ。3巡後の宮永さんの7ピンで最低5800をアガってたんだ」
玄(ていうかこれ……親満も有り得た手だよ……)
憧「あのとき押してたら勝てたっていうこと……?」
穏乃「少なくとも一回戦は」
憧「そっか……」
憧(……確かにこれが決定的ね。咲の暴走を止められる手だった私が動かなければ咲が復活するのも当然か……)
憧「500で親落ち出来たとか的外れなこと言ってた自分を殴りたい……」
女「そ、そんなことない!ノーテンリーチなんて卑怯--」
憧「それ言ったら咲が見している間に逃げ切ろうとした私も同じよ……」
女「う……」
穏乃「後は宮永さんの嶺上開花の嵐……」
憧「やっぱり強いわね。大会前に戦うことが出来て良かったわ」
玄(もう懲り懲りだよ……闇聴を回避する人となんて打ちたくない……)
宥(でも、もしかしたらこれが皆の自信に繋がるかも……もうこれ以上は無いっていう打ち手と出会ったんだから、大会の空気にも呑まれないと思う)
玄「うっ……うっ……」シクシク
女「……」
穏乃(とは言ったものの……宮永さんが入部してくれればそれだけで心強いんだけど……)
憧(どうしたものかな……)
カサッ
憧(ん……ポケットに何か入ってる?)
入部届け・宮永咲
憧(っ!?これあの時の!)
憧「……ちょっと用を思い出したから先に帰る」
今日はここまで。支援して下さってる方、ありがとうございます。麻雀描写はこんな感じでどうですか?
麻雀してる時の咲はニヤニヤしない気がするけど憑依されてるの?
現在県予選編のラストをぽちぽち打ってます。2、3日お待ち下さい
>>238
このssを書くに当たって「むこうぶち」をかなり参考にしてまして……咲さんのニヤリもその影響です。
朝
憧「いやー久しぶりね。咲とこうして歩くなんて」
咲「……」
憧「あ、そうだ。最近ケーキが美味しい喫茶店が出来たんだけど、帰りに食べに行かない?」
咲「憧ちゃん……?」
憧「それにしても今日はいい天気ね!少し歩くだけで汗が……」
咲「……新子さん?」
憧「……汗が止まらない」
咲「この間の勝負、勝ったのは私だよね?」
憧「そ、そうだったかな~なんて?」
咲「……」ゴッ
憧「ひっ!?はいそうです咲の完全勝利でした!」
咲「あの時の約束、覚えてるよね?……なんで勝った私の名前が麻雀部にあるのかな?」ゴゴゴ…
憧「さ、さあ……なんででしょうね?」
咲「憧ちゃん?私は理由を聞いてるんだよ?なんで答えてくれないのかな、カナ?」
憧「……ない」
咲「へ?」
憧「そんな約束してない!確かに咲に勝ったら麻雀部に入るよう約束させたけど負けたら諦めるとは一言も言ってない!」
咲「さ、詐欺だよそれ!」ポカポカ
憧(はぅ!顔を真っ赤にしてすり寄ってくる咲プライスレス!)
憧「怒ってる咲も可愛い……」
咲「憧ちゃん!話聞いてるの!?」
憧「うるさいわね!今咲を愛でてるんだから邪魔しないで!」
咲「なんで私が怒られてるの!?」
憧「あぁ……やっぱり咲は可愛い」スリスリ
咲「ちょっ!後ろから抱きつかないで頬スリスリしないで!」
憧「麻雀してるときとのこのギャップ……実は誘ってるんでしょ?」
咲「誘ってないよ!なんで普通に麻雀打っただけで--」
憧「でもそこが少し怖いのよね。咲、誘うのは巧いんだけどそこから先は相手の勢いに圧されて最後まで許しちゃいそうだし」
咲「なんの話してるの!?ねえなんの話!?」
憧「……///」
咲「どうしてそこで顔赤らめるの!?」
憧「それより咲、そんなに叫んで喉痛くない?」
咲「そうだと思うなら少しは優しくして……」ゼエゼエ
憧「はい言質頂きました」ガバッ
咲「え、あ、ちょ……」
玄「おはよう、憧ちゃ--」
咲←憧
咲「……え?」ゼエゼエ
憧「あ、玄」ハアハア
玄「あ……///」
玄「おおお邪魔しました!」ピュー
咲「あ、憧ちゃんのバカー!勘違いされちゃったらどうするの!?」
憧「大丈夫だ、問題ない。責任は取るから」
咲「せきっ……!?もう知らない!」
憧(可愛い過ぎでしょ、咲……席は私の後ろなのに気付かないなんて……)
教師「んじゃ、そろそろ席替えするか」
憧「Fuck Youぶち殺すぞゴミめ……!」
咲「よ、良かった……今の憧ちゃん少し怖いから--」
憧(また咲と話せるようになったのに……)
咲「そ、それじゃあ、また後で--」
その時、不思議な事が起きた。
憧「今度は隣の席だけど宜しくね、咲!」
咲「……」チーン
昼休み
憧「咲ー!お昼食べよ!」ダキッ
咲「ひっ!?」ビクッ
咲「いきなり抱きつかないでよ……」
憧「いいじゃない別に。久しぶりなんだからケチケチしない」
咲「いや、そう言う問題じゃないと思うけど……」
「ねえ、宮永さんと新子さん、またイチャツきだしたんだけど……」「いや、あれイチャツくっていうより……」
憧「はい、あーんして?」
咲「見てるっみんな見てるから!」
憧「それはつまり2人っきりならいいって……」
「もはや恋人の域なんだけど……」「コーヒー……」
憧「それにしても……何だかんだで咲と仲直り出来て良かった……」
咲「へ?私達喧嘩してたの?」
憧「してなかったの!?」
咲「まあ確かに話しかけ辛い時間はあったけど……私は憧ちゃんのこと好きだよ?」
憧「すっ……!」
憧「ちょっと役所で書類貰ってくる」
咲「はいはい。午後の授業までには戻って来るんだよ」
憧「ありゃ。もう真っ赤になってくれないんだ」
咲「これ以上真っ赤になりようがないんだよ……」
憧「そっか……つまり咲をオトすにはこれ以上のが必要で……」ガシッ
咲「ちょっと!なんで腕掴むの!ていうかどこに連れて--」
憧「野暮な事を言わせるものじゃないわよ」
咲「野ぼっ……///」
憧「今、何か想像したでしょ?」
咲「し、してない!
」
憧「まあどうでもいいんだけど。それより午後の授業は自習だから保健室で楽しみ--」
憧「っていう事が有ったんだけど……ってシズどうしたの?」
穏乃「ちょっとコーヒーを……」ウップ
憧「えーこれから濡れ場なのに!?」
穏乃「なんで濡れ場が有るんだよ!?」
憧「そりゃまあ……咲可愛いし……」
穏乃「いや、その理屈はおかしい。ていうかいつの間にそんな関係に……」
憧「ギャップ萌えって言うの?なんかやめられない、とまらない、的な」
穏乃「まあ確かに……宮永さん、麻雀さえしなければモテそうだs」
咲「ふーん……麻雀さえしなければ、ねえ?」
穏乃「ぴぎゃぁぁぁぁあああああ!?」
憧「あ、咲。いつから居たの?」
咲「憧ちゃんが嘘八百の話を高鴨さんに話始めた頃だよ」
穏乃「う、嘘なんですか!?」
咲「当たり前だよ。人の関係は一日やそこらで変わらない」
穏乃「なんで嘘なんかついたんだよ!」
憧「大丈夫。これから本当になるから。嘘じゃなくて預言」
穏乃「預言って……」
憧「いいじゃない、咲としたいことの一つや二つ話したって。それに全部が全部嘘な訳でもないし」
穏乃「あ、そうなんだ」
咲「うん。仲直りの件だけは」
穏乃「それ以外はフィクションなんですね?」
咲「出来れば、いつの間にか麻雀部に入部させられていたこともフィクションであって欲しかったけど」ハァ…
憧「まあ、いいじゃない」
咲「良くないよ。お陰でバイトの無い日はここに来ないといけなくなっちゃったんだから」
憧「まあ(私にとっては)いいじゃない」
穏乃「凄く悪い顔だぞ。あれ……そう言えば……」
玄『でも咲ちゃんと毎日麻雀しなくて助かったよ。あんな麻雀打たれたら死んじゃうしね』HAHAHA
HAHAHA……
ガラッ
玄「お疲れ様!今日も頑張ろ……う?」
咲「昨日ぶりです」ペコリ
玄「あ……」ジワッ
穏乃(あっちゃー)
憧(ごめん、玄)
--嶺上、ツモりました。赤赤で6000オール--
宥「遅れてごめんね……って、どうしたの玄ちゃん?」
玄「もうやだ……」レイプメ
女「大丈夫ですか!?」
玄「ドラが……」
女「へ?」
玄「ドラが来ないの……一枚も……」
憧「うわ……ドラが全て王牌で死んでるし……」
穏乃「オマケに何度も直撃されて最後は箱下になっちゃったし……」
宥「一体何が有ったの?」
穏乃「さっきまで宮永さんと打ってたんですよ……東風戦を三回」
宥「……!?」ゾクッ
宥(三回って……私と女ちゃんが来るまでに30分も無かったよ!?いったい何回跳ばされたの、玄ちゃん?)
玄「きゅ、休憩……」←焼きトビ×3
穏乃「あ、じゃあ私お茶煎れてきます!」ササッ
女「ねえ、なんで宮永さんが居たの!?」
憧「入れちゃった。麻雀部に」てへぺろ
女「入れちゃったって……玄さん泣いてましたよ」
玄「あ、ドラが……お空が近いよ……」レイプメ
宥「……私も一回打ってみたかったかも」
女「え!?正気ですか!?」
宥「咲ちゃんと打ったら自分の弱点が解りそうだし、ね」
穏乃「まあ、それは確かに。宮永さんがきっかけで憧もかなり強くなってましたし」
憧「そ、そう?」
穏乃「うん、昨日の憧、凄く強かった。宮永さんのリーチを一回はかわしたんだし。それに今日だって直撃は取られてなかったから!」
女「で、でも、玄さんが可哀想だよ……なんでこんなこと……」
憧「いや、赤2とドラアンコの手に酔って雑に打った玄が悪い」
玄「はうっ」グサ
宥「そ、それより私達も練習しないと!大会まで日がないよ」
穏乃(でも、私も一回本気で宮永さんと打ってみたいかもしれない)
憧「ロン!一発と裏一で8000!」
女「筋引っ掛け!?」
憧「こんなの普通よ」
穏乃(いや、それは普通じゃないぞ……)
憧 和了形
123m222789p68s発発
河
北6s1s中4s西1m⑤m
穏乃(安牌の西を切ったくせに手牌とは全く関係の無い危険な赤5ワンを残してる……これじゃあ7ソウはほぼ出る)
憧「さ、次行こ次!」
穏乃(本当に気付いて無いのか……それ、宮永さんの打ち方にかなり近いぞ……)
女「っ……!」
夜 新子家
憧「疲れた……」グッタリ
望「麻雀部?」
憧「うん。県予選近いし、みんな気合い入ってるし」
望「そっか……ところでさ、最近彼女と話出来てる?」
憧「咲のこと?まあ、ボチボチ……」
望「違う違う。中学の頃一緒だった……」
憧「……初瀬?」
憧(しまったぁぁあああ!完全に頭の中からイレイズされてた!)
憧「ももも勿論よ!」
望「めっちゃ動揺してるじゃない……」
憧「べ、別に咲の事で頭が一杯だったとかそう言うわけじゃないんだからね!」
望「なるほどなるほど……テイ」
憧「あイタ」
望「今度大会で会ったら謝っときなさいよ。急に進路変えたんだから」
憧「解ってるわよ……」
憧(大会……そっか。優勝すれば咲と一緒に全国に行けるんだ……負けられない)ムン
憧(そうだ……東京に行ったら咲と何しよう?2、3日は暇だろうし……いや、今は目の前の大会、絶対に咲と一緒に東京に行くんだ……サキ)ニヘラ
望「こりゃダメだ……」
夜9時。公園
咲「……」
女「来たわね」
咲「こんな時間に呼び出し……いい趣味してますね」
女「……」
咲「……これから用事があるので、話なら手短にお願いします」
女「こっちも大会が近いから宮永さんと話してる時間は無いの」
咲「……」
女「単刀直入に言うから。もう、麻雀部に来ないで。迷惑だから」
今日はここまで……支援して下さってる方、ありがとうございます。因果応報って怖い言葉ですよね。
7月に入り、遂に予選までの準備期間が一週間をきった。部のエンジンもぎこちないながらも熱くなってきている。ただ、今和の際になって小さな事件の芽が、背中を這うように蔓を延ばしていた。
憧「咲!今日は麻雀部は来れるよね?」
咲「……ごめん」
憧「そ、そっか……仕方ないわよ!咲、一人暮らしなんだから!」
咲「うん…本当にごめん……」
憧「……ねえ、そんなにバイト大変なの?ここ最近部に顔出してないけど……」
咲「この間風邪で休んじゃったからね」
憧「……私にも何か手伝わせてよ。何でもいいから……さ?」
咲「……ありがとう。ごめんね」タッ
憧「あ……」
部室
穏乃「ちぇっ……今日も宮永さんは休みか……」
宥「仕方ないよ。咲ちゃんはバイトの掛け持ち--」
玄「お餅!?」
宥「玄ちゃん」ニッコリ
玄「あう……」
宥「バイトの掛け持ちをしてるんだからしょうがないよ……」
穏乃「でも……私も宮永さんと打ちたいのに……」
憧「……」
穏乃「どうしたんだよ、憧?黙り込んで……」
憧「なんだか咲、無理してるような気がした……」
穏乃「無理?」
憧「本当は部に来たいけど、行けない理由があるとか……そんな感じ……」
女「……いいじゃない、居ない人の話なんて……」
穏乃「なっ……」
女「来ない人の話しても仕方ないよ。やる気の無い人が居ても迷惑なだけだし」
憧「ちょっと!そんな言い方無いでしょ!」
女「じゃあなんて言えばいいの?バイトが忙しいなら部活しなければいいじゃない」
憧「いい加減にっ……」
穏乃「二人ともストップ!」
宥「け、喧嘩は駄目だよ……あったかく無い……」
女「でも……玄さんだって宮永さんのせいで……」
玄「それはそうだけど……」
女「ほら!だったら……」
玄「でも……せっかく麻雀部に来てくれた人が居なくなるのは……寂しいな」
女「……」
…………。
宥「み、みんな……!とにかく今は一局でも多く麻雀を打と。大会まで一週間切ってるし……」
憧「……解ったわよ」
穏乃(こんなので大会大丈夫なのか……?)
憧「あー!イライラする!」
穏乃「落ち着けよ、憧」
憧「落ち着けるわけないじゃない!箱下ラス食らったの数年ぶりよ!」
穏乃「リーチ一発目に無筋の牌切ってたら普通跳ぶだろ」
憧「だいたい何よあの言い方!咲だって休みたくなくて休んでる訳じゃないってのよ!」
穏乃(やっぱりそれか……よっぽど頭に来てるんだろうな)
憧「ぁ~もう!シズ!今日は遊ぶわよ!付き合って!」
穏乃「遊ぶって……今からか?もう6時だし、一旦帰った方がって……あれ?宮永さんの匂いが……」
憧「え!?どこ!?」
穏乃「あっちから……」
憧「喫茶店?」
ガラッ
メイド咲「いらっしゃいませ!何名さ……」
穏乃「あ、ここでバイトしてたんですか?二人でカウンターお願いします」
咲「な、なんで……」
穏乃「匂いを辿ってきました!」
咲「へ!?私そんなに臭い!?」
穏乃「いや凄くいい匂いですよ!宮永さんからは優しい桜の香りがするんですよ」
咲「にしても何か嫌だよ!」
穏乃「いや、一日中堪能したいですよ!出来ればメイド姿で」ボソッ
咲「ひっ!?」
穏乃「そう言えば憧は?宮永さんのメイド姿に一番喜びそうなの憧なのに……」
憧「あのメイドさんテイクアウトお願いします!」
店長「いやうちはそう言う店じゃないから……」
憧「そこをなんとか!」
店長「うーん……そこまで言われたらなあ……」
憧「じゃあ料金だけど……」
咲「なんで既に交渉の最終段階にに入ってるの!?」
穏乃「しかも店長さん圧され気味だし……」
憧「咲ー!テイクアウトの許可出たわよ!」
店長「先っぽだけ!咲っぽだけですよ!」
咲「なんでOKしちゃうんですか……」
憧「あ、着替えなくていいから。このまま三人でデートにしよ」
咲「…………………………は?」
咲「うぅ……恥ずかしいよ……」
憧「羞恥で顔を赤らめてる咲も良いわね……」
穏乃「いや、確かにそうなんだけどさ……流石に可哀想--」
咲「うう……」
穏乃「……!」キュン
憧「今、少しいいなって思ったでしょ?」
穏乃「ばっ……馬鹿言うなっ///」
咲「あの……これからどうするの?」
憧「どうしよっか?何も考えてなかったけど?」
咲「何も考えずに連れ出したの!?」
穏乃「早くどこに入ろうよ、流石に暑い」
憧「そうね……早く決めないと咲のメイド姿を曝し続けることにもなるし……」
咲「そもそも憧ちゃんが変なオーダー出さなければ良かったんだよ……」
憧「失礼ね。私は自分の欲望に忠実に従っただけよ」
咲「それが問題だっていってるんだよ!」
穏乃「失礼……御無礼……は!そうだ、今から雀荘に行こう!」
咲「その連想ゲームは危険過ぎるからやめよ!?」
憧「雀荘?」
穏乃「一回宮永さんと本気で打ってみたかったんだよ!」
憧「ああ……私はいいけど?」
穏乃「どうですか、宮永さん!」
咲「……私は、あんまり行きたくないかな」
穏乃「えー良いじゃないですか!」
咲「大会近いんでしょ?私と打ったら結果に関係無くフォームがかなり崩れるよ」
憧「あーそれはあるかも。咲の麻雀見てから打ち方変えたけど、馴れるのに大分時間使っちゃったし」
穏乃「でも……最近宮永さん麻雀部寄ってないですし、偶には」
憧「どうする?咲が強いのは知ってるけど、やっぱり万全は期した方が良いんじゃない?」
穏乃「そうだよ!和は絶対に全国まで勝ち上がってくるから私達が負ける訳にはいかないし!」
咲「……やっぱり止めとくよ」
穏乃「えー」
咲「そもそもこんな格好で雀荘なんかに行きたくない」
穏乃「そっか……残念……」
憧「まあいいじゃない。県予選が終われば嫌って言うほど打てるわよ」
穏乃「……解ったよ。はぁ~宮永さんは当分お預けか……」
憧「その代わり!」
咲「……」
憧「東京に行ったら目一杯付き合って貰うから!覚悟しておくこと!」
咲「そっか……うん、楽しみだったな……」
憧「咲?」
咲「……。ねえ、雀荘の代わりに公園に行かない?少しだけ話したいことがあるの……」
公園
憧「それで、話って?」
咲「うん……今週末の日曜日、県予選が有るよね?」
穏乃「それがどうかしたんですか?」
咲「……。ごめんなさい。その日は行けません」
憧「え……嘘でしょ?」
咲「嘘じゃこんな事は言わないよ」
憧「バイトが忙しいの!?だったら私手伝うからっ」
咲「……そう言う問題じゃないの」
憧「じゃあどういうことなのよ!?」
咲「私がいると迷惑に思う人が居る、それだけだよ」
憧「何よそれ……私は咲と一緒に全国に行きたいのよ!」
穏乃「そうですよ!咲さんだって麻雀部の一員……」
咲「補欠、ね」
穏乃「……」
咲「大丈夫だよ。私が居なくてもみんな強いから……全国にだってきっと行けるよ」
穏乃「宮永さん……」
憧「……意味ないのよ」
穏乃「憧?」
憧「意味ないのよ!咲が居なくちゃ意味ないのよ!私は咲と全国に行きたい!咲のいない所で勝ったって、私は嬉しくない!何で解らないのよ!?」
穏乃「落ち着けって!」
咲「……ごめんね」サッ
穏乃「……あっ」
憧「なんでよ……やっと……やっと一緒に……」
穏乃「憧……」
憧「やっと咲と……咲と一緒に……なんで咲のことになるとこんなに上手くいかないのよっ……なんで……なんでっ……」
穏乃(駄目だ……こんなんじゃ和と遊ぶどころか部が……なんでこんな事に……)
こうして、私達の一週間は終わった。咲は部室どころか学校にも顔を出さず、私もどうすればいいのか解らないまま、大会当日を迎えた。
今回はここまで。支援して下さっている方、ありがとうございます。返信出来てないですが、凄く嬉しいです。
続きは今晩か、明日の夜かに挙げていきます。
いかん、寝落ちてました。準備出来次第挙げていきます
大会当日
--今年はどこが勝ち上がると思う?--
--やっぱり晩成じゃない?安定感が違うし--
--席とっとくよ。水買ってきて--
--オッケー--
ガヤガヤ……
玄「ついに来たね、この場所に」
穏乃「そうですね……」
玄「大丈夫?元気無いけど?」
穏乃「はい……」
穏乃(なんだろう……思ってたよりドキドキしない……リラックスっていうよりは、少し褪めてるのかな……)
宥「シズちゃん?」
穏乃「あ!すいません、緊張してて……」
穏乃(駄目だ……私まで落ち込んでたら……宮永さんがいないのは辛いけど、一番辛いのは--)
憧「気合い、入れて、逝きます!」
穏乃「ん゛?」
憧「って何やらせてんのよ!」パシッ
穏乃「痛っ何するんだよ!?」
憧「シズが暗い顔してるからじゃない!シズが作ったチームなのに、気合い入れていかなくてどうすんの!」
穏乃「そう、だよな……よし!みんな、行くぞ!」
五人「おー!」
穏乃(今は私がこのチームを預かってるんだ……私が弱音吐く訳にはいかないよな……)
女「対戦表貰ってきましたよ!」
宥「ありがとう。えーと、私達のチームは……」
玄「Bブロック……うん、これなら決勝まで晩成とは当たらないね」
穏乃「おー!幸先いい!」
女「それよりオーダーはどうします?」
憧「それはもう私が考えてきた」
宥「憧ちゃんは頭いいから私がお願いしたの。こういう所は頼りっぱなしになっちゃってごめんね」
憧「いいっていいって!それでは発表します……先鋒、玄!」
玄「わ、私?」
憧「先鋒は各校のエースが出てくる激戦区だけど、玄のドラ爆なら相手の打点を抑える防御にも使えるから。行けそうなら吹き飛ばしちゃって」
穏乃「頑張って下さい、玄さん!」
玄「お任せあれ!」
憧「で、次に次鋒……宥姉にお願いする。万が一玄が失点したときに宥姉で悪い流れを断ち切って欲しい」
宥「玄ちゃんが?」
憧「先鋒は何が起きるか解らないから。万が一、咲みたいな怪物が出て来たら先鋒戦は厳しくなる……宥姉は玄のサポートお願い」
宥「うん」
憧「で、中堅は私が努めさせてもらうとして、副将は女に任せる」
女「副将?いいの、そんな重要なところ……」
憧「いや、この中で言ったら副将の役割が一番軽いと思う。他校もそこまで気を配る余裕は無いはずだし……多分」
穏乃「メイビー!?」
憧「……で、最後は任せたわよ、シズ」
穏乃「ん。任された」
アナウンス「間もなく開局です。選手の皆さんは対局室へ……」
玄「では、行ってくるのです!」
対局室
玄「よろしくお願いします!」
モブABC「よろしく」
タン……タン……タン……
玄「あ、ツモりました。ツモドラ4で2000・4000」
モブABC「ファッ!?」
玄「よーし!調子が出てきたしどんどん行くよ!」
ロンです!タンヤオ一盃口ドラ4赤赤で24000!
次鋒戦
ツモ……門混自模三暗刻中ドラ3赤1で6000・12000
中堅戦
ロン!リーチ一発赤赤裏裏で12000!
司会「跳んだー!一回戦、阿知賀女子の中堅が止めを刺したー!」
はやりん「若いっていいですね☆」
アナウンサー「いやいや!はやりさんも十分若いですよ!」
はやりん「ありがとうございます☆」
はやり(ふーん……阿知賀か……ノーマークなだけに楽しみじゃない)
はやりん「今後も阿知賀の活躍には期待ですね☆」
二回戦 中堅戦終了
憧「ふう……疲れたぁ~」
穏乃「お疲れ」
宥「頑張ったね」
憧「まあ、トップ維持しての+15000なら上々でしょ。玄のリードも有るわけだし」
憧(女がよっぽどのことをしない限り安全圏でしょ)
玄「あ、女ちゃんの試合が始まったよ」
阿知賀 178500
A校 91500
B校 74600
C校 55400
女『チー!』
司会「おっと、阿知賀がまず先手を取った!」
憧「……あれ」
はやりん「ん?」
はやり「ペンチャンを鳴いて処理……」
司会「どうかしましたか?」
はやりん「いえ☆随分思い切りのいい仕掛けをするな☆と思って」
はやり(どういうこと……?)
女『ツモ!1000・2000!』
玄「頑張れ、女ちゃん!」
穏乃「やった!初めての大会なのに落ち着いて打ててる!」
憧「……」
穏乃「憧?どうしたんだ?」
憧「べ、別に!初めてにしてはいい感じだなと思って……」
憧(なんだろう……大量リードが有るのは解るけど、今の仕掛けは何か違和感が……)
はやり(中堅の子が予想外に巧かったからかな……この子だけレベルの見劣りが激しい)
2388m66p246s中中
チー123p
ドラ8ワン
はやり(まず私ならトップだろうとあの形からは絶対に喰わない……人にもよるけど123の三色があったしツモも良かった。これじゃあ自分は4順後の満貫より目の前の3900を欲しがるタイプだって公言してるようなもの)
憧(私なら6pの対子を切る……これなら手がチャンタ系に行っても中を使い切れる。点差があるからこそ、あの仕掛けは勿体なさすぎる)
女『ロン!2000点!』
はやり(加えて、対戦者を全然見てない。実力者が見れば主導権が取れてないことが一目で見破られる……チームの基礎体力が高いから決勝戦は行けるだろうけど……)
はやり「これは……決勝戦が楽しみですね」
試合後
玄「じゃあ、私達はここで」
穏乃「また明日な~」
憧「うん、また明日!」バイバイ
憧「……行ったわよね?」キョロキョロ
憧「もう……いいわよね……」グッタリ
憧「本当に来てくれなかった……」
憧(来てくれると思ってたのに……いや、まだ……まだ明日がある。咲は絶対に来てくれる)
『私は憧ちゃんと喧嘩してたつもりはないよ』
『確証なんて無いよ……でも、憧ちゃんは人を傷付けるような人じゃない。私がそう信じたかった、それじゃ駄目かな?』
『私は憧ちゃんのこと、大好きだよ』
憧(咲は私を信じてくれた……次は私が信じる番だから……待ってるから、咲……)
二日目 決勝戦
穏乃「……相手は晩成に、去年のベスト3と4だ」
憧「順当な所が勝ち上がって来たわね……晩成の先鋒は小走やえか……やっかいね」
女「絶対に勝と!」
玄「当然だよ!最初は私にお任せあれ!」
一回戦
東 1 立ち親 玄
ドラ 9ワン
玄 配牌
12599m2589p3⑤s北北東
アナウンサー「これはまた豪華な手が来ましたね!」
はやりん「この配牌ならあっさり和了するんじゃないかなぁ☆」
10順目
⑤6999m⑤p234⑤6s北北4m
アナウンサー「松美選手、4ワンを引いて役無しドラ5の三面待ち聴牌!リーチツモでいきなり親満が見えます」
はやりん「あっちゃー……ピンズが延びちゃったか……」
アナウンサー「何か問題でもあるのでしか?」
はやり「ドラが弾かれる聴牌ですよね?あの子がリーチに行くかな……」
アナウンサー「瑞原プロはリーチに行きませんか?」
はやりん「いえ☆私なら断然リーチです。この手はどう頑張っても手役はツモ以外付きませんから☆ただ……この子は……」
玄(不味いのです……聴牌に取るとドラが……)
アナウンサー「打北?慎重……というよりは少し弱気な打ち回しですね?」
はやりん「まあ、リーチしたらみんなベタ降りしますからね。ドラも赤も一枚も見えない状況は怖いですし」
はやり(或いは、リーチがかけられなかった理由でも有るのかな?)
次順
ツモ 1s
アナウンサー「これは痛いですね……赤切っていたら一発も付いて親倍の手でした」
15順目
玄「ツモ!ツモドラ6で6000オールです」
アナウンサー「これは……反応に困りますね。確かに上がれたものの……」
はやりん「見えた!」
ぴきゃん!
アナウンサー「目がー!目があぁぁぁ!」
オイ!イキナリハヤリンガヒカッタゾ!
はやり(見えたっ……!リーチを書けなかった理由はこれか!)
ドドド……
はやり(恐らく松実玄はドラを引き寄せる対価としてドラを捨てたら何らかのペナルティーが発生する!加えて純正三面待ちを蹴ってまで5ピン単騎にしたということは、そんな愚を犯してでもドラ切りのペナルティーを避けなければならない事情があった……!考えられる事態は二つ!)
仮説 1
松実玄がドラを切った場合、必ず振り込む。
はやり(無い!振り込みが怖いなら使えないドラは序盤で撒き餌にしてしまえばいい!仮に振ってもリーチがかけられてない状況なら2600止まり、振り込みを恐れる手には絶対ならない!仮説1は赤を捨てない理由を説明しきれない!)
アナウンサー「あのー瑞原プロ?顔が劇画タッチになってますよ」
はやり(つまり、ドラ捨てのペナルティーはもっと大きいはず……例えば、捨てたらその試合中、どうしようもならない程の痛手を負う……)
仮説 2
ドラを捨てたらその局中はドラが来なくなる。
はやり(これだぁ!)
アナウンサー「……瑞原プロ?」
はやりん「あ、ごめんなさい☆つい考え事をしていて☆年甲斐も無くはしゃいじゃいました☆」
アナウンサー「またまたーまだまだお若いですよ」
はやりん「きゃっ☆お上手なんですからっ」キャピキャピ
憧「キツい……色んな意味で」
はやりん(でも、この子の体質に気付いたのは私だけじゃないと思うけど?)
王者「見えた……!(以下略)」
一本場
玄(またドラが一杯なのです!)ムフー
ドラ 北
34⑤88m⑤p⑤67s北北北西6p
アナウンサー「絶好の所を引きましたが……」
玄(今度は聴牌に受けてもドラを話さなくて済むのです!)ポイ
王者「ロン。和了出来る方だ」
345p44777s西西
チー123m
王者「西のみ。1000点だ」
玄「は、はい!」
玄(へ?その捨て牌、なんかおかしくない?)
王者の河
1s北3m5m中8s2s東1m4m3s
アナウンサー「出だしでいきなり35のカンチャンを嫌って、結果的に4ワン引きで失敗してますが……」
はやりん「なるほど……考えましたね☆」
王者(あの右端の安牌は捨て牌状況からして西だろう……いずれ切られるのが私の風牌なら門前での両面リーチじゃなくても充分……加えて)
はやりん(ドラを手放せないとなると鳴きは必然的に放棄されることになる……なら両面移行の中ぶくれカンチャンより鳴きやすい端牌を残した方が聴牌速度は速い……)
王者「さあ、お見せしよう……王者の打ち筋を!」
晩成 128500
A 101500
阿知賀 88500
B 71500
王者「フゥァアッハッハ!にわかじゃ話にならんのよ!」
玄「」チーン
↑
後半戦焼き鳥
憧「予想外だ……トップと3万以上も開けられるなんて……」
穏乃「流石は王蛇……簡単には勝たせてくれないか……」
憧(ていうか、これ咲がやったのと似た戦法じゃない……ちゃんと復習してれば……いや、この場合晩成の先鋒を誉めるべきか……)
憧「ごめん、宥姉。任せていい?」
宥「うん、任せて。玄ちゃんの分も頑張るから」
玄「目の前全てが危険牌だよ……おもち、おもちを……」
次鋒戦
次鋒「やーやーやー!遠からん者は音にも聞け!」
はやりん「色物ばっか☆」
憧(これ本当に偏差値70の高校?)
今日はここまで。咲の牌譜が完成次第投下します。支援して下さってる方、ありがとうございます。もう暫くお待ち下さい。
個人的に、初見でドラ爆相手に収支をプラスにした小走先輩は無茶苦茶に強いと思うの。
一応補足。小走先輩がやったのは、端牌の狙い撃ちです。赤が入る状況ですと2、8、1、9の牌は基本的に余剰牌となりますし、クロチャー相手にはわりかし刺さります。
小走先輩はライダーだったか
やっと出来たのでゴールします。
>>302
素で間違えました。投下します。
次鋒戦終了
宥「ごめん……あんまり取り返せなかったよ……」
憧「プラスで戻って来たなら上等よ!玄を頼んだわよ!」
アナウンサー「次鋒戦はかなり早く終わりましたね」
はやりん「まあ、当然じゃないかな☆次鋒戦であんまり失点したくないし、何より……」
アナウンサー「何より?」
はやりん「中堅戦が阿知賀の一番の強みだしね☆次鋒戦では点棒減らしたくないんじゃないですか?」キャルーン
憧「よろしく」
モブA「……!」
モブB「……よろしく」
憧(なんなの……なんか警戒されてる?)
晩成「人間~五十年~」
憧(あと晩成は頭おかしい人達の集まりかなんかなの?)
アナウンサー「阿知賀女子の中堅は新子選手ですが、彼女はそんなに良い選手なのですか?」
はやりん「松実姉妹に埋もれて目立ってないけど、はやりんが一番戦いたくない相手はこの子ですね」
東1 10巡目
憧(聴牌……)
1234⑤678p55678s西
アナウンサー「新子選手聴牌しました。これはリーチに……」
憧「……」タン
アナウンサー「行きませんでしたね。私ならついリーチに走ってしまいますが」
はやりん「多分、東発でリーチする危険性を知ってるんじゃないんですか?」
モブB「リーチ!」
モブB
11178m中中中発発発西西
モブB 河
8m北東9s1p2m発⑤s3m(リーチ)
アナウンサー「これはいい待ちです。高めの9ワンが出てもおかしくないですよ」
憧「……」チャッ
12345678p55678s9m
アナウンサー「新子選手、一発で掴まされました。これは出るか?」
憧(あのリーチ……字牌は兎も角8pも9s1pも手出し……788からの8先切りが臭いわね……)
憧「……」タン
5ソウ
アナウンサー「これは……」
はやりん「逃げられちゃいましたね☆」
3順後
憧(よし、9ワン重ねて再聴牌……)タン
モブB(もうっ……引けるどころか出やしない)チャッ
モブB(9……色違いだよ!)タン
憧「ロン。平和一通赤1、7700」
モブB「げ……これを止めるか……」
アナウンサー「これは上手い!Bの当たり牌を一点読みした上で抑えてアガった!」
はやりん「あなたなら親の三倍満に振り込んでましたね☆」
アナウンサー「……」
晩成(なる程……確かに王者先輩が警戒するだけあって中々に強い……なら私も速攻に切り替えだ)
晩成「ツモ。400・700」
憧(くっ……親を蹴られた。早い場になったら晩成とまだ30000以上のビハインドがある私達は不利……)
B「ツモ、500・1000!」
憧(私も参加するか……いや、無いわね。咲なら絶対に早和了競争には乗らない)
アナウンサー「新子選手は動きませんね。これは……」
はやりん「早和了競争に参加しても点差は埋まらないからね☆」
アナウンサー「今は耐える時、ですか」
憧(両面喰いなんかしてたら牌勢が息切れする……ここは相手が息切れするのを待つ)
後半戦 南 1
ドラ 1p
憧 三順目
24⑤8m134p34s南南中
憧(ようやくチャンス手が来た……でも、普通の打ち方じゃこの手は和了出来そうにない……)チャッ
B「くっ……ツモが効かない」タン
はやりん「勿体ない仕掛けをしたツケが来ましたね☆」
アナウンサー「おっと、南が出ましたが……新子選手は見送りましたね」
はやりん「ここで鳴いたら今まで耐えてきた意味が無くなります。これで正解です☆」
憧(鳴くな!鳴いたらダブ南と一枚も見えないドラを警戒されてこの手は終わる!)チャッ
24⑤8m134p34s南南中 南
憧(キー牌を引いてこれさえすれば、この手はアガれる!)
10順目
憧「リーチ!」
河
8m北⑤m中8s西6m2m⑤s1m(リーチ)
A「現物現物……」
晩成(安牌無し……けど、あの捨て牌ならこれが通りそうかな?)
憧「3ワン、ロン。16000」
晩成「なっ!?」
24m11234p234s南南南
晩成「なんで赤切った!⑤ワン残せば……」
憧「残して2ワン切ったら3ワンは切らなかったでしょ?」
晩成「うっ……」
晩成(なんで読まれて……)
アナウンサー「新子選手、ここでトップに倍満直撃!トップとの差は僅か2500です!これは凄い!」
はやりん「やっぱり阿知賀じゃあの子が一番巧いね☆」
晩成(早く……早く取り返さないと……)
A・B(差が開き過ぎた……!高い手を……!)
憧「ツモ。2000オール」
穏乃「攻守が逆転してる……」
玄「これでトップだよ!」
宥「良かった……私があんまり取り返せなかったから心配だったけど……」
憧「ツモ、300・500。ラストね」
アナウンサー「中堅戦終了!ここで阿知賀がトップに躍り出た!」
阿知賀 124300
A 95700
晩成 95500
B 84500
控え室
宥「お疲れ様」
憧「本当に疲れた……」
玄「ごめんね……私が失点しちゃったから……」
憧「アレは仕方ないから気にしなくていいわよ。それより女は?」
穏乃「もう対局室に向かったけど?何か用事でもあった?」
憧「いや、別に……」
憧(今までとは状況が違うから気をつけろって言おうと思ったけど……大丈夫よね)
憧(それよりもなんか今日は滅茶苦茶に調子良かった!あの倍満、早く咲に自慢したい!探しに行こっかな……)チラッ
宥・玄・穏乃「いいぞ、そのまま突っ走って!」
憧(三人とも試合に夢中、と……)
憧「ごめん。少し外の空気吸ってくる。直ぐに戻るから」
玄「うん。行ってらっしゃい」
穏乃(憧……やっぱり宮永さん探しに行くのかな?)
会場
憧「咲ー。大人しく出てきなさーい。抵抗する場合は咲の恥ずかしい写真を……」
?「ひっ……」ビクッ
憧「……」キョロキョロ
憧「やっぱり居ない……」
憧「本当に来てくれないつもりなの……?」
憧(私、頑張ったのに……咲に見られても恥ずかしくないように頑張ったのに……)
憧(せめて……せめてシズが打つところだけでも……)
ざわ…… ざわ……
憧「あれ?なんか向こうの方が騒がしいような……」
憧(確かあそこって実況用の大スクリーンが置いてあるところ……何かあったのかな?)
アナウンサー『えー……現在副将戦前半戦、南1局の三本場ですが……』
はやりん『実力差がはっきり出ちゃいましたね☆』キャルーン
女『はっ……はっ……』
モブA『ほら、早く切りなよ』
女『こ、これなら……』
モブA『ローン』
女『ひっ……』
モブA『リーチ一発七対子……ドラ4で16000!』
晩成 123400
A 113900
B 109300
阿知賀 53400
憧「………………は?」
晩成『じゃ、親リー行きます』
A『……』アンパイ
B『……』ゲンブツ
女(あ、現物が無い……)
憧「な、何やってるのよ……?なんでそんなに点棒減らしてるのよ……?」
女(す、筋だ……筋を追って……)
晩成『ロン。12000』
女『あ!?引っ掛け!?』
アナウンサー『阿知賀の副将、このパターンで何回もハマってますね……』
はやりん『今まではチームの基礎体力の高さに助けられてきましたからね☆』
憧「そんな……なんで……」
?「解らないの?本当に?」
憧「へ……は、初瀬?」
初瀬「久しぶりね。卒業式以来ってところかな?」
憧「一体何が……」
初瀬「……本当に解らないんだ。見てたら解るわよ」
女(取り返さなくちゃ……点棒を……)チャッ
女(早くて……早くて高い手を……!)
女『チー!』
34m3566p6s中中中
チー345s
憧「ば、馬鹿……345の三色に気を取られすぎてる!」
初瀬「ずいぶん勿体ない仕掛けしてるけどさ……あの子、大会初日からあんな調子なのよ。門前で行ける手を点棒にあぐらをかいて食い散らかしてる……圧し負けて当然よね」
憧(確かにこんな仕掛けじゃ相手は怯まない……点棒にこれだけ差があるなら三色が消えてもリーチしてツモアガるのがベスト)
女『ツモ!1000・2000』
初瀬「結局三色も消えて中ドラドラの手……最低ね」
女『ポン……チー!』
女(やった、聴牌……)
A『リーチ!』
女『ヒッ……げ、現物を……』
初瀬「何アレ?鳴きまくって手を短くしておいて、リーチをかけられたら安牌手出しのベタ降り?素人もいいところじゃない」
A『ロン!11600!』
女『あっ……!?』
初瀬「おまけに降り打ちしてるし……これが憧のチーム?」
憧「っ……!」
A『リーチ!』
初瀬「……私さ、最初憧が阿知賀に行ったこと、気にしないようにしてたんだ」
憧「っ……」
A『ツモ、4000オール!』
初瀬「憧が麻雀に真剣なのは知ってた。だから、阿知賀に行ったのも何か理由があるって……だから、何も言わないでおこうって思ってた……」
憧「……」
初瀬「その結果がこれなの!?」
憧「っ……!」
初瀬「憧は……憧は私よりもあんなのがいる阿知賀を選んだの!?誰よりも麻雀が好きだった憧が!?」
憧「ち、違う……」
初瀬「違わないよ!だって実際にそうなってるじゃない!あんなド素人入れてチーム作るなんて……私を馬鹿にしてるの!?」
憧「違う……ちがう……」
憧(私は、咲と一緒に麻雀が打ちたいって……咲と一緒に全国に行きたいって……本気でそんな気持ちになれたのに……)
初瀬「……ねえ、晩成に来ない?」
憧「晩成……」
初瀬「そうよ!先輩達も憧のこと誉めてたし、憧ならきっとレギュラーにだって成れるからさ」
憧(晩成……咲がいない晩成高校……)
初瀬「なんだかんだ言っても憧は強くなってたし、そんなに麻雀に真剣なら私達と一緒に--」
憧「……いやだ」
初瀬「なんで!?憧、麻雀が好きなんでしょ!?だったら晩成に来た方が--」
憧「私は咲と一緒に全国に行きたいのよ!」
初瀬「っ!あっそ!好きにすれば!どうせ阿知賀なんかじゃ全国には行けないに決まってる!」タッ
憧「咲……咲……」
ギャラリー「おい、あの子どうしたんだ?賽子回さないぞ?」
ギャラリー「さっきから動かないけど……あっ!?」
ギャラリー「倒れた!阿知賀の副将が倒れた!」
控え室
係員「--軽い貧血だそうです。神経性のものですが、ドクターストップがかかりました」
宥「そうですか……」
係員「一応卓は止めていますが10分以内に代わりの選手を出して下さい。卓が動かないようなら阿知賀女子をラスとして勝負が決まります」
玄「そ、そんな……」
穏乃「代わり!?居るわけない……」
係員「規定では補欠選手の代打ちが認められています。阿知賀女子は一人補欠登録されてる選手がいるみたいですが……」
宥「その……今は居なくて……」
係員「その選手は直ぐに来れそうですか?」
宥「……」フルフル
係員「……解りました。では、現時点をもって阿知賀女子は--」
穏乃「っ……」
コンコン……
穏乃(ノック音?憧、じゃないよな)
ぞくっ……
穏乃「……!こ、この感じっ……」
玄「あ、ああ……」レイプメ
係員「あれ、おかしいですね?ここは基本的に選手の人しか来れない筈ですが--」ガチャッ
穏乃「まさかっ……!」
咲「打てますか?」
穏乃・玄・宥(き、来ちゃった……!)
今日はここまで。待ってて下さった方、ありがとうございます。お待たせしてごめんなさい。次回はあまりスパンが開かないように投下します。
>>301
実はこれも素でやらかしました。王者は変身しなければ、鏡の世界で闘いもしません。麻雀してて下さい。
投下しますよー
闘う価値なんて解らない。
なんで声を挙げて叫ばなければならないのかも。
争いの中に常に巻き込まれる人間なんかになりたくなかった。
でも
憧「私は咲と一緒に全国に行きたいのよ!」
少しだけ解ってきた。自分がしなければならない決意を。自分がしたいことを。
彼女は私よりも先にそれをした。なら、今度は
咲「打てますか?」
私の番だ。
控え室
ガチャッ
憧「……」
穏乃「あ、どこ行ってたんだよ!」
憧「ごめん……宥姉は?」
玄「お姉ちゃんなら女ちゃんの付き添いで病院に……」
憧「そっか……閉会式はまだよね?」
穏乃「なに言ってるんだ?まだまだこれからなのに」
憧「へ?だって女が倒れて交代要員のいない阿知賀は失格なんじゃ……」
穏乃「……憧。黙ってテレビを見て」
憧「……?」
アナウンサー『え~若干のトラブルが在りましたが、試合は続行されます』
晩成『よろしくね~』
モブA『チッ……よろしく』
憧「なんで……だって咲は来てないんじゃ……」
穏乃「憧……宮永さんが来るって、信じてた憧の勝ちだよ」
モブB『よろしく……あの、名前はなんて言うの?』
咲『宮永咲です。ヨロシク』
穏乃「さっき、試合が終わってしまう直前にやってきたんだ……宮永さんが憧にこう伝えてくれって」
咲『一緒に全国に行こ』
憧「さ……咲ぃ……!」ジワッ
玄「大丈夫、大丈夫だから。涙は試合が終わるまでとっておこ?」ヨシヨシ
憧「来てくれた……咲が来てくれたよ~!」
穏乃(でも、状況はかつて無い程に厳しい……)
状況
現在副将後半戦の南1
席は晩成・A・B・阿知賀女子の順に、東家、南家、西家、北家。
得点状況は
晩成 144300
A 134200
B 92200
阿知賀 29300
穏乃(大将戦があるとは言え、私にはこの点差はひっくり返せない……頼みは宮永さんになるけど、この状況からどうやって嶺上開花の花嵐に持って行くんだ?)
南1 ドラ 1ピン
咲 配牌
1247m226p35s東北白中
アナウンサー『これはいきなり苦しい配牌ですね』
はやりん『ドラ面子が使えそうで使えないね☆』
アナウンサー『倒れた副将の代わりに出てきた宮永選手ですが、いったいどんな打ち手なのか……嫌が応にも注目が集まります』
咲「……」タン
はやりん(字牌には手をかけない、か。落ち着いて打ててはいるかな)
5巡後
モブB「リーチ!」
B 河
白中5m6s8p(リーチ)
憧(リーチが早い……これじゃあ幾ら咲でも待ちが読めない)
咲「……」スッ
晩成(字牌の手出し?これじゃあ阿知賀の放銃は期待出来ないかな?)チャッ
晩成(とりあえず一発だけは避けないと……)
23489m34p2466s中中
晩成(丁度6sが現物だ)ポイッ
モブA(一発目だし合わせとこ。ローソローソっと)タン
モブB「一発…ならず」タン
咲「……」チャッ
はやりん(……どうせ早いリーチが来るのは解ってるから字牌をため込んでたのかな?或いは)
晩成(現物、現物……)タン
モブB「合わせ打ち、と……」タン
アナウンサー『現物を打ちながらも手にはなってきていますね。流石は決勝卓でしょうか?』
はやりん『でも、6ソウの釣瓶打ちで7ソウ8ソウがド安牌に……』
アナウンサー『あ』
咲「……」タン
晩成(7ソウ8ソウが安牌になったところでそれを打たれても意味無いんだけどな……)タン
モブA(安牌無し……なら筋を追って……)
咲「……」タン
晩成(今度は8ソウ?私達に露払いさせたな……)
はやりん(なるほど……自分の状態が悪いと解った上での安牌字牌残し……こうすれば対局者の打ち方もじっくり観察出来る。少なくともさっきの副将よりは打てる)
流局
晩成「聴牌」
モブA「聴牌」
モブB「聴牌」
咲「……。ノーテン」
モブA(なんだこいつ……張れてなかったのか?)
晩成(一人ノーテンで3000の出費……流石に厳しいんじゃない?)
アナウンサー『……瑞原プロ』
はやりん『ええ……あの子、2対子から7対子に向かいましたね……全員の和了牌を使っての一シャンテン……』
はやりん(もしかしたらこれで阿知賀不利の流れが歪むかもしれない……)
南 2 ドラ3ワン
咲 配牌
2238m3⑤p278s中中北西
アナウンサー『さっきよりはマシな配牌ですが……依然として高い手作りは難しそうです』
はやりん『そうですね……飜牌重ねての赤1が限界かな?若しくは七対子……』
咲「……」チャッ
はやりん(第一ツモは5ピン……ツモは効いてるから七対子ツモ赤1を目指すかな……)
咲「……」ギラッ
2ワン
はやりん(対子を一枚外した?その手から順子を作っていくつもり?)
五巡後
咲 手牌
23m3⑤5p1278s中中北北 1m
はやりん(五巡かかってやっと一面子……順子にしろ対子にしろアガレなかったな、これは?)
アナウンサー『これは……また字牌を溜め込む作戦でしょうか?』
咲「……」スッ
2ワン
はやりん『!?』
アナウンサー『な、宮永選手、完成面子からの抜き打ち!一体何がしたいんでしょうか!?』
穏乃「みみみみ宮永さん!何やってんだよ!?」
憧「解らない……一体何が狙いで……」
はやりん(待て待て……!私の見立てならこの宮永って子はかなり打てる。としたら、この2ワンの抜き打ちにも何か狙いが……)
モブA「……」チャッ
はやり『!?……そうか、そう言うことですか……』
アナウンサー『瑞原プロ?』
はやりん(これを狙ってやったのだとしたら、アラフォー以来の怪物なんじゃないの?)
8順目
モブA 手牌
3499m123789p23s北 1m
モブA(チッ……普段なら文句なしの4ワン切りで純チャンに行くんだけど……)
咲 河
2m西9s8m2m東3p1s
モブA(2ワンは河に2枚とドラ表で一枚……流石に薄すぎる。ここは1ワン切りで2-5ワンの待ちにした方がいい。平和ノミになるけど、大崩しない限りは……)タン
咲「……」ニヤリ
次順
モブA(糞!)
3499m123789p23s北 2m
モブA(真っ直ぐ行ってたらツモってたのか!)タン
次順
アナウンサー『これは大裏目ですね……』
モブA ツモ1s
モブA(リーチかけてたら一発もついて倍満の上限まで行ってた……)タン
モブA(流石にこれはアガレない。こんな失敗したなんて知れたら、次局舐めてかかられる……)タン
流局
晩成「ノーテン」
モブA「……ノーテン」
モブB「ノーテン」
咲「ノーテン」
アナウンサー『全員ノーテンで流局。阿知賀はいよいよ後が無い!』
はやりん『どうかな?結果論だけど、あの2ワン落としが無ければ先にAがツモアガってましたよね☆』
アナウンサー『それは、そうですが……』
はやりん(あの腐ったツモと配牌で8000オールの手を封殺するなんて……やるじゃない)
南 3 一本場
憧「行ける……やっぱり咲は受けに回っても強い!」
玄「でも、それだけじゃ勝てないよ……」
憧「大丈夫よ!咲なら絶対に……」
穏乃(とは言っても点棒差は開きもしてないけど縮みもしてない……こっからどうやって)
8順目
咲 手牌
1234456m678p4⑤6s
アナウンサー『宮永選手、遂に聴牌。待ちは1-4-7ワンです。流石にリーチに……』
咲「……」タン
アナウンサー『ですよねー』
はやりん(やっぱり。普通、これだけ後ろで見てれば高校生の実力なんて直ぐに解るのに……この咲って子は底が全然見えない)
咲「……」チャッ
1234456m678p4⑤6s 2s
咲「リーチ」
234456m678p24⑤6s
アナウンサー『み、宮永選手、三面待ちを捨て2ソウ単騎リーチ!』
はやりん(どういうこと?三面待ちがダマなのに、なんで単騎はリーチなの?河に何かアガれる根拠でも?)
咲 河
北東8s9m2m中西発1m(リーチ)
晩成 河
東9s7m4p南2p1p西3m
モブA
東9s8s北3s中6m白
モブB 河
西2s1s北東発8p白3s
はやりん(……!その手があったか!)
晩成(リーチか……どうせ悪形だろうけど現物の3ソウを……)
モブA(現物を……)
モブB(ふう……安牌無しだけど3ソウが四枚見えてる。なら、2ソウは通る!)タン
咲「フフ…………ロン」ニヤリ
モブB「え!?」
咲「一発で8000」
モブB「な、何その待ち!」
アナウンサー『これは不運でしたね。リーチ後に出来た壁を信じての放銃は避けられないでしょう』
はやりん(な訳ないでしょ。この子はリーチされたら現物並べる癖を読んでの2ソウ単騎リーチよ。東1の見がなければこの和了は無い……この子だけ明らかに格が違う……)
はやりん『これは決まっちゃったかもしれませんね』
アナウンサー『は?』
はやりん『東4まで続いてた阿知賀の点棒流出が、あの子が入ってからピタリと止まってる……さっきの和了、分水嶺になるかもですね☆』
アナウンサー『SOA』
咲「では、オーラス……私の親です」
咲 配牌
1223m88p1368s西西中発
憧「アガって引いたにしては配牌は悪い……私なら中の重なりを待っての連荘かな?」
穏乃「まあ、普通はそうだろうけど」
穏乃・咲(どうせ咲のことだし、絶対にそんな手は打たないんだろうな……)
玄「嫌な信頼だね……」
4順目
1122m888p66s西西中中発
憧「す、凄い……あっという間にゴミ手が形になった……」
穏乃「発はドラだし、七対子ドラドラで……」
咲「……」スッ
発
穏乃「聴牌に取らない?」
憧「しかもドラ切り?」
玄「ドラ切りしちゃだめだよ~」ナミダメ
4順後
111222m888p西西中中
憧・穏・玄「っ!?」
咲「リーチ」スッ
アナウンサー『なんということでしょう……僅か8順であのくず手が--』
晩成(ここは字牌で凌いで……)タン
西
アナウンサー『18000の手に仕上がった!』
咲「……」
アナウンサー『あ……み、見送り!?リーチをかけたのに!?』
はやりん『……』
憧「……」ゴクリ…
モブB(点棒差があるし、私も追いかけようかな)
モブB「通ればリーチ!」
中
咲「……」
アナウンサー『これは……リーチ後の当たり牌見逃しはフリテン扱い。中にも当たれません。一転して厳しくなりま--』
――嶺上開花――
アナウンサー『は?』
222m888p西西中中 西
カン1111m
アナウンサー『 』
憧「あーあ……これは……」
はやりん『……完全に仕上がっちゃいましたね』
南 4局 一本場
晩成「くっ……」タン
咲「カン」
晩成(大明カン!?)
咲「嶺上ツモりました。18300の責任払いお願いします」
二本場
咲「失礼、ロンです。12600」
モブA「ぐっ!?」
三本場
咲「カン……嶺上ツモ。Aさんの一人払いです」
四本場
咲「リーチ嶺上ツモ。8000オール」
晩成(な、なんなの……)
モブB(オーラスに入ってからずっと阿知賀の補欠が上がり倒してる!)
モブA(ていうか……点棒が……!)
阿知賀 134200
晩成 88600
モブA 88600
モブB 88600
アナウンサー『……これ、偶然ですよね?』
はやりん『偶然の方がはやりん的には怖いかな☆』
アナウンサー『はは……』
咲「五本場です」カタリ…
晩成(マズいマズいマズい!このままじゃ10万点差をひっくり返されましたじゃ済まない!)
咲「リーチ」
モブA(これなら通る!)
1ソウ
咲「……」
モブA(ふ、ふぅ……)
咲「一発ツモです」
23789m123p12399s
咲「8000オール」
モブB「ちょっと待ってよ!なんでAの1ソウ見逃したのよ!私まで……私まで……!」
咲「ごめんなさい。ここで勢いを殺せませんので」
晩成・AB「ひっ……」ゾクッ
モブA(ヤバい!私達、とんでもない人を相手にしちゃったかも……)
咲「嶺上自模、ダブル役満は有りませんので清老頭か四暗刻、お好きな方で」
晩成・AB(もう麻雀辞めたい……)
穏乃「なあ、憧……」
憧「……何かしら、シズ?」
穏乃「確かに宮永さんが頑張ってくれるのは嬉しいよ。おかげでさっきまでの敗色ムードが消えてるしさ」
憧「うん……」
穏乃「けどさ……
これ、私の出番あるの?」
咲「嶺上自模。6000オールの13本付けです。」
(誰でもいいからこの人止めてよ……)
はやりん『これは酷い☆安目で親っ跳ねって……』
アナウンサー『底引き網みたいに点棒をかっさらってますね……』
晩成(と、止めないと!早くこのオーラスを終わらせないと!)
モブA(誰か中鳴いてよ!)タン
咲「ポン」
モブA(アンタじゃないよ!)
咲「カン」
晩成・AB「……」ビクッ!
咲「……切りました」
晩成「あ、ああ……」チャッ
晩成(よ、よし張った!誰か差し込んでくれれば……って出来ない!新ドラが私に乗っかってる!ロンしたら誰かが跳んで私達の負け……)
モブA(こ、これか!)
晩成(それだけど……貴方からはアガレないの!)
モブB「もうヤダ……」
咲「……」フッ
咲「カン……カン……カン……ツモ、16000オールの11本付け……首三つ頂きました」
アナウンサー『し、試合終了……衝撃のラスト、副将後半戦から途中参加した宮永が点棒をかっさらっていきました……』
はやりん『久々の殺戮ショーでしたね☆』
はやりん(なるほど……金魚の水槽に鮫を入れるとこうなるのか……)
阿知賀 400300
モブA -100
モブB -100
晩成 -100
王者「……」ポカーン
初瀬「……」ポカーン
咲「点棒が無いようなのでここでお開きですね?では……」サッ
取り敢えず今日はここまで。支援ありがとうございます。麻雀って(見てるだけなら)楽しいよね。
ここまで咲が強キャラ設定なのも久々だな
原作だと致命的な弱点が出てきて今完全に置物なのに
あと13連荘から11連荘になってる
>>347
久しぶりにやってしまった……最後は14本に脳内修正して下さい。
単行本派なんで最新情報には追いついてなくて……
>>333
とんでもないミス発見。
咲 河
北東8s9m2m中西発1m(リーチ)
↓正しくは
北東8s9m2m中3s発1m(リーチ)
これで宜しくです。
朝も早いですが投下します。
取り敢えず今回の投下で県予選編は終わりです。
咲が奈良県予選を破壊しつくして、ひとまずこの話は一区切り付くのだけど、流石にそれじゃあ味家がないのでその後の経過を簡単に纏めておく。
大会が終わった後の閉会式は、はっきり言って葬式状態だった。啜り泣く者、肩を抱き合って慰め合う者、物凄い目つきで私達を睨み付ける者など……親の葬式でももう少しは活気に満ちてるんじゃないだろうか。
で、その閉会式、壇上に上がったのは阿知賀とAB校だった。得点は晩成もABと同じなのだけど、上家優先で晩成は入賞から漏れた。まさか壇上から二重の意味で泣く晩成レギュラー陣を見るとは思わなかった。
ところで、この惨状を僅か一時間で作り上げた事の張本人、宮永咲はと言うと……
「は?帰った?」
憧「は、はい……いつの間にか居なくなっていて……多分副将戦が終わった直後に帰ったのかなって……」
「あ、あの大会MVP選手のトロフィーは……」
玄「ごめんなさい!後日取りに行かせますから!」
これがその時の会場の反応を再現したものである。空白……圧倒的空白で、誰も彼も物も言えず口をポカーンと開けていた。特に、咲と一時間強制的に麻雀を楽しまされた三人は真っ白になっていた。どの位白かったかと言うと、轟盲牌で白ノミをやったとき並に白かった。
結局女の事も有り、大会が終わった後も打ち上げなんて気分になれず直帰した。で、寝た。以上までが私の知る限りの事の顛末である。
他にも語るべき事は有るのだけれど、それはまたの機会に譲る。今から話すのは、最後に少しだけ変化した人間関係について。
翌日
咲「……」
「あ、宮永さん。おはよー」
咲「うん。おはよう憧ちゃんは?」
「風邪だって。それより聞いたよー?なんか昨日凄かったらしいね?大会史上二人目の天才の誕生だってテレビが騒ぎまくってたよ」
咲「ふーん。そうなんだ」
「近い内に学校にまで取材が来るかもよ」
咲「じゃあ、暫く学校は休もうかな?」
「いや来なさいよ!」
咲「そこはテストの成績でカバーすれば――」
女「宮永さん……」
咲「……ん。ごめん、また後で」
「はいはーい」
廊下
女「……宮永さん、麻雀本当に強かったんだ……」
咲「少なくともあなたよりは、ね」
女「うん……そうだね」
咲「……」
女「その……ごめんなさい!宮永さんから麻雀奪ってしまって……」
咲「奪うっていうのは正確じゃないかな。別にあなたの言葉に傷付いて麻雀を辞めるほど、私は繊細じゃないよ」
女「で、でも……私のせいで……」
咲「……まあ、確かに沢山傷ついたかな」
女「っ……」
咲「傷付いて、すれ違って……そのお陰で本当の言葉が聞けた。私の欲しいモノが見つかった」
女「それって……」
咲「恥ずかしいから全部は言わない。でも、私はあなたが思ってるほどには女ちゃんのことは嫌いじゃないよ」
女「つっ!」ジワッ
咲「だから……みんなを全国に連れて行ってあげて」
女「……ごめん。それは無理」
咲「?」
女「さっき退部届を出してきた」
咲「なっ……何考えてるの!?」
女「退部理由は、牌を見たらトラウマで手が震えて牌が持てないって書いといた」
咲「全国はどうするつもり?」
女「……私じゃ無理、かな。私じゃあの舞台には立てないよ。宮永さんだって解ってるでしょ?」
咲「……」
女「私じゃ役に立てない。私じゃみんなの足を引っ張っちゃう」
咲「……」
女「宮永さん……新子さんを宜しくお願いします」タッ
放課後
穏乃「え!?女さん麻雀部辞めたの!?」
玄「うん……今日、顧問の先生が教えてくれて……」
穏乃「そっか……まあ、あの人達程じゃないにせよ地獄見たからな……」
宥「……」
女『私っ……宮永さんに酷いことをっ……お願いします!責任をっ、責任を取らせてっ』
宥「……寂しくなっちゃったね」
玄「うん……そうだね」
穏乃「って言うか今日の部活どうします?憧は風邪で休みだし……」
宥「そうだね……三人じゃ普通の麻雀は出来ないし……三麻する?」
玄「キタコレ!」
穏乃「あー。一種消えて一番嬉しいのは玄さんですよね……」
玄「手牌がシンプルな形になって動きやすくなるからドラ爆には持ってこいだよ!」フンス
宥「じゃあ、マンズ抜いちゃうね」
穏乃「あーあ。後一人いれば玄さんのドラ爆喰らわずに済んだのに……」
バタン
咲「打てますか?」
玄「」
宥「……三麻の方がマシかも」
咲「穏乃ちゃん。確か、私と打ちたかったよね?」
穏乃「待って!あれを見せられた後だと流石に決心が鈍って――」
咲「麻雀って楽しいよね?」
穏乃「」
宥「」
玄「」
新子家
憧「げへへ……咲、いい足してるじゃない……っは!?」ガバッ
憧「あ、あれ?なんか外が赤い……」
望「当たり前でしょ。今夕方よ」
憧「が、学校は……?」
望「とっくに終わり」
憧「な、なんで起こしてくれなかったのよ!」
望「熱が少し有ったからね。でも、もし学校行ってうたた寝したらひどい目に遭ってたと思うけど?」
憧「へ?」
望「寝言。ヒドかったわよ。咲ー今日はお医者さんごっこしよとか、痴漢プレイだとか、挙げ句の果てには『私、実は貧乳派なんだ』とか――」
憧「なに恥ずかしい寝言暴露してるのよ!?っあーもう!ちょっと学校行ってくる!」
憧(多分言うならこの機会しかない。これを逃したらまた……)
望「もう完全下校時間まであんまりないわよ!」
憧「ちょっと告白してくるだけだからすぐ済む!」
望「待ちなさいってば!憧、まだ風邪治ってないんだから――」
憧「もう手遅れになって後悔するのは嫌なのよ!」
学校 廊下
穏乃「」
宥「」
玄「」レイプメ
憧「ごめん、ちょっと跨ぐわよ!」
ガラッ
憧「咲!まだ居る!?」
咲は居た。あの日、初めて咲と出会ったみたく、窓辺で本を読む咲。風が吹いた。少し冷たい。何もかもが、あの日と同じだった。
咲「うん、私はここにいるよ」
ただ少し違うのは、これが初対面ではないということ。あの日から何度も傷付いてすれ違って、それで漸く心からの願い事に気付いたということ。
憧「昨日はありがとう……来てくれるって、信じてた」
咲「ううん……私がもう少し早く自分のことに気づけば良かった。そうすれば、憧ちゃんは大切な友達をなくさなくて済んだのに……」
憧「でも、咲のお陰で一番大切な物までは失わずに済んだ」
それは私の今居る場所で、咲の居る阿知賀女子麻雀部という一番大切な居場所で……
憧「咲……」
足を一歩踏み出す。また風が私の横を吹き抜けていった。
憧「私は咲が欲しい……」
あの日、私はその風を掴む事が出来なかった。何度も失敗して、失敗して……だから、今度は二度と離さないように咲の体を抱きしめる。
咲「うん…」
憧「咲の全てが欲しい」
咲「うんっ」
強く、力の限り強く、細くて柔らかい体を抱きしめる。
憧「咲が好きなの」
咲「うんっ」
憧「……私と、付き合って下さい」
漸く見つけた……私の欲しいもの……
咲「はい、喜んで」
とりあえずこれで一区切りです。全国編も現在書き溜を作っている途中です。本当はイチャコラ:麻雀=8:2くらいの比率でやりたかったのですが……
全国編では糖分を多めにする予定です。では、毎度の事ながら支援して下さっている方、ありがとうございます。
取り敢えず全部読んだけど、咲の強さがいまいち解らないんだけど。
原作よりもご都合主義的な鬼ヅモと運で勝っているようなイメージがある。
麻雀描写書くと>>368みたいにイチャモンつけてくる輩が出てくるから
イチャイチャメインで良いよ
おつ!
>>364で不憫な穏宥玄に悪笑ってしまったww
おつおつー
砂糖吐かせてみろよオルァ
これは他の代表校の様子を見て見たいなw
あらたそとレジェンドは出番あるでしょうか?
区切りがついたので返事をば。
>>368
このスレの咲の麻雀は「むこうぶち」の傀に出来るだけ似せるように作ってあるので、専ら流れ中心の麻雀となっております(多分、純君とキャップを足して2でかけたような感じですか)。こちらの文書力の無さと相まって、多分むこうぶちを知ってないと「は?」となる恐れがありまして……
>>370
イチャイチャも麻雀も頑張ります。
>>371
夕暮れ時の校舎で放置されてる時点でどうかと思うの。
>>372
よろしい、ならば戦争だ。糖尿病にしてやんよ。
>>373
その当たりも書く予定です。
>>374
出来れば出したいな……下手したら憧咲で終わる可能性からはそっと目を逸らしつつ。
>>53の一本場で19500ってどういうことですか?
>>378
高レートの卓だと、一本1500点というのもあるらしいですよ。
>>380
2本場って書いてあって1本場の点数で上がって3本場が始まったことじゃないかな(適当)
闘牌シーンは何かの丸コピペ?
>>382
むこうぶちという作品がありまして……取りあえず一巻を読んでみて下さい。実際に一本1500点で動いてるシーンがあります。
>>383
麻雀シーン(戦術とか)はむこうぶちを参考に作ってありますが、手牌とか河、実際の牌の動きとかは完全オリジナルですよ。
>>385
とんだ御無礼をいたしました!正しくは一本場です。
7時くらいに投下します。取りあえずR-18には至らないR-18で書いてみましたが、甘さが足りなかったら言って下さい。
投下しまーす。
場面は、県大会時点から少しだけ時間が経ったものと見て下さい。
県大会が終わり、身の回りの事が少しずつ変化し始めた。麻雀部のこと、期末テストのこと、あと私と咲の関係など。
【次はあなたが幸せになる番】
包丁がまな板をたたく音で目が覚めた。目を開けるとそこには、可愛いらしいエプロンを付けた咲がいた。
咲「あ、起こしちゃった?」
チラッと振り返りながら、優しく笑う咲。
憧「んー……おはようのキスは?」
咲「無いから。今里芋煮てるから手が離せないし」
憧「ガード堅いなあ……」
咲「緩いよりはいいでしょ?」
確かに誰でも彼でもにガードが緩いよりはいい。でも……
憧「と言いつつ後ろがガラ空きなんだけど」ギュッ
咲「ん……」
料理で手が放せない咲を後ろから抱きすくめる。
咲「ま、待って……」
憧「いいじゃない、恋仲なんだから」
咲「もう……」
顔を真っ白なうなじに寄せる。髪が少しだけ頬に当たってくすぐったかった。仕返しに咲の服に手を突っ込む。
咲「ん……ちょっと、どこ触ってるの?」
憧「咲の胸だけど?」
咲「くすぐったいんだけど?」
冷静そうに話しているが、さっきから体が小刻みに震えて余裕が無いのが丸分かりだ。更に咲の弱そうな所を揉んでみる。
憧「咲って、かなり敏感よね」
咲「ふぁっ……!ま、待って……」
憧「ああ、ごめんごめん。キスが先だったか。前戯は大切よね」
咲「そうじゃなくて!朝いきなりこういうことは、その……」
憧「照れる咲も可愛いわね」ハムッ
咲「ひゃうっ!?首は止めて……」
憧「ん~?」ハムハム
咲「あ、後でならやっていいから今は……」
憧「え、なんだって?」
咲「今の絶対聞こえてたよね!?ねえ!?」
憧「聞こえない聞こえない」チュッ
咲「ひゃあっ……わ、解ったから。キス、だけだよ?」
憧「うんうん!」
火を止めて私に向かい会う咲。涙目になった咲が私の口を見る。
咲「い、行くよ……」
憧「バッチ来い」
そして、薄い桃色の唇がゆっくり近付いてきた。
憧「咲……」
咲「ん……」
真っ赤になりながら目を閉じる咲。真っ白な肌が、今は熟れていた。
憧(いいわー照れた咲を見ながらのキスって……しまった!咲に見とれて味を堪能出来なかった!)
咲「ふぅ……これで満足してくれた?」
憧「咲が可愛い過ぎて満足出来なかった。もう一回」ガバッ
咲「え?ひゃあっ」
その場に咲を押し倒してもう一度咲を食べる。
憧「んー」チュー
咲「っ……!」
咲(舌……入ってくるっ)ゾクッ
憧(このままかき混ぜてみようかな?)
咲「んー!?」
憧「――ぷはっ」
憧「よし、取りあえずこれで我慢しておくかな。おーい、起きろ、咲」
咲「うぅ……朝からこんな……」マッカ
憧「早く起きないと第二ラウンド――」
咲「よし腕にりをかけて朝ご飯作るから待っててね大丈夫そんなに時間かからないから!」アセアセ
憧「ちぇっ」
仕方ないので私もパジャマから着替える。
咲「着替えたらお皿出すの手伝ってくれる?ちょっと手が離せなくて」
憧「ん。解った」
言うとおりにお皿を出していく。
私が今居るのは咲が住んでいる六畳間の小さなアパートで、最近は良く咲の部屋に遊びに来るから何も不思議なことはない。では、なぜ私が咲のアパートで一晩過ごしたかというと……咲とゴールインしたからである。以上。
憧「咲ー朝ご飯はなに?」
咲「んー?ご飯とお味噌汁と……それから煮物だけど」
憧「やった!咲の煮物美味しいのよね!」
咲の作る煮物は格が違う……なんというか、口の中で溶けるのだ。里芋の独等の甘さと煮汁の旨味が口の中に入れた瞬間に弾ける。お陰でご飯が進んで進んで……体重計に写された自分が直視出来なくなる。
憧「これはまた運動が必要ね……」ボソッ
ふと視線を横にやる。咲の部屋の本棚は色々なジャンルの本で溢れていた。
憧「咲ってやっぱり文学少女なんだ」
咲「人より少し本を読むだけだよ。この部屋、テレビもパソコンもないし」
憧「だとしてもよ。体動かさないと運動不足になるわよ」
咲「……」
憧「何よ、そのじとっとした目は?」
咲「そのわざとらしい話題の振り方は何かなって思って」
憧(ちぃっ!悟られたか!?)
憧「や、やーね。さっきアレだけキスしたじゃない邪な思いなんて無いわよっ」
咲「ふーん……」
漸く里芋が煮上がったのかコンロの火を止めてこちらにやってくる咲。因みに今居るのは布団の上だったりする。ここ重要。
咲「憧ちゃん、私の目を見てはっきり「いいえ」って言ってみて」
憧「い、い……」
憧(近い近い!咲の顔が目と鼻の先に!)
咲「い?」
憧「い、いただきます!」ガシッ
咲「へっ?ま、待っ――ひゃぁぁああっ!?」
我慢できませんでした。あと、朝ご飯最高でした。
憧「って言うことが昨日有って……あれ?どうしたの、シズ?」
穏乃「こ、コーヒーを……とびっきり苦い奴を……」オエッ
憧「あ、それとさ、咲って完全に受けなのよね。後ろから近付いて胸を揉んだら「ひゃうっ!?」て声出して、後は押し倒してしまえば――」
穏乃「宥さーん!コーヒーを、コーヒーを!」
宥「冷えピタ、冷えピタシートを……」
穏乃「宥さん!?」
憧「大袈裟ね……。昨日見た夢の話してただけなのに」
穏乃「な、なんだ夢か……」
憧「当たり前でしょ。実際はもっと過激なんだから」
穏乃「上方修正かよ!?」ドンビキ
憧「仕方ないな……じゃあ少しだけ教えてあげるわよ」
穏乃「いや望んでないから」
憧「シズは本当にいやらしいわね」
穏乃「殴っていい?」
憧「昨日は一緒にお風呂に入ったんだけど――」
ガラッ
咲「お願い!それ以上部室に入りたくなくなるような話を続けないで!」
穏乃「み、宮永さん……コーヒー、コーヒーを」
咲「そう言うと思って買ってきたよ。はい」
穏乃「あ、ありがとうございます!」ゴクゴク
咲「糖分90%だけど」
穏乃「!?」ブバッ
穏乃「」ピクピク
宥「ひ、酷い……なんてことを……」
咲「はい、宥さーん。あったかカイロですよー。24時間保温のカイロですよ……」ニジリ
宥「い、いや……来ないで!」
咲「これでさっきの会話は全部忘れちゃいましょうね?」ピタッ
宥「いやー!」アッタカーイ
宥「……」パタン
咲「ふう……これでなんとか」
憧「それで咲ってば、体をぴったりくっつけたら真っ赤になって」
玄「貧乳を……小さき胸にたゆみ無き愛を……」
咲「」チーン
30分後
穏乃「う……まだ口の中が甘い」タン
咲「……恥ずかしいよ……」スッ
憧「まだまだね。この程度だ恥ずかしがってるようじゃ」タン
宥「この程度!?」
憧「取り敢えず最終的には人前でキスができる程度には――」
玄「末永く爆発しやがれだよー」
宥「流石に暑すぎる……」チャッ
宥(張った……)
44567m4⑤7p56s中中中 4s
宥(一手変わりで満貫がある。けど……)
穏乃 河
9s北東4m(1p)(4p)東3p西4s
憧
北西8m9m7s北9s7m8m東南
咲
9m北西2m1m7s9s3p東9s
咲・鳴き
チー123p
チー456p
宥(多分、穏乃ちゃんは聴牌してる。10順目まで三枚切れの西を持ってたっていうことは、安牌の西を切って手広く構えた……怪しいのは、西切り直後の手出しの4s、その裏筋、3-6sか2-5s……ドラの8sが見えていない以上、ドラアンコの好形かも……)
憧「宥姉、早くー」
宥「ご、ごめんね……」
宥(憧ちゃんと咲はピンズの染め手っぽい……けど咲ちゃんの手の方が早そう。勿体ないけど4ワンを落としていこう……咲ちゃんと穏乃ちゃんにも筋だし)タン
穏乃「なかなか重たいな……」チャッ
穏乃 手牌
22678m222p34888s
穏乃(まずったな……待ちがモロドラ筋だからリーチしたら出和了は期待出来ないんだよな……)タン
咲「……」スッ
憧「……」タン
3m
宥(憧ちゃんもマンズで降りた……これで咲ちゃんの混一と穏乃ちゃんのタンヤオ勝負……)チャッ
玄(あれ……?この手から3ワン切り?)
宥(ん……現物だ)タン
憧「……」チャッ
憧「リーチ」
宥(リーチ!?しかもそれは穏乃ちゃんに対して超危険牌!降りてなかったの!?)チャッ
ツモ 2ソウ
宥(困ったよ……今度は4ワンも切れない。手の中のマンズはさっきの憧ちゃんの3ワンに厳しい……ピンズは咲ちゃんに、ソウズは穏乃ちゃんに……合わせる牌が……中を切っていくしかない……)タン
咲「ロン。混一小三元」パタン
中白白白発発発
チー123p
チー456p
咲「ラストですね」
宥「あうっ……隠しドラアンコより酷い」
穏乃「がー!せっかくの勝負手が!」パタリ
宥「あ、やっぱりソウズは当たりなんだね。止めて良かった……」パタン
玄「この形からだと中で振っても仕方ないよ」
咲 47000
憧 26200
宥 24300
穏乃 12500
穏乃「それにしても宮永さん、相変わらず強いですね。きっちり捲って逆転なんて……」
咲「ううん……今のは憧ちゃんが上手かった」
穏乃「へ?そうなんですか?」
咲「……宥さん、もし憧ちゃんが穏乃ちゃんに危険な3ソウを切らなかったら……」
宥「うん……マンズを落としてた」
憧「残念。私の手は河に一枚も見えてなかった三元牌を二枚掴まされて死んでました」パタン
南南南白発7778p2256s
宥「の、ノーテンリーチ!?」
穏乃「なんでそんなリーチかけたんだ!?あと数順で流局だったのに!?」
憧「だってシズに親満ツモられたらラスになっちゃうでしょ。でもリーチかけて宥姉が咲に振り込んでくれたら2着終了。だったらノーテンリーチはありでしょ?」
穏乃「で、でも私がツモるなんて保障……」
咲「……」チャッ
穏乃「に、2順後ツモ和了ってた……」
憧「ていう訳。どうよ、咲!」
咲「うん……確かに強くなってるね」
憧「でしょ!ていう訳で今日も咲のアパートに泊まりに行くわよ」
咲「何がと言う訳で繋がるの?」
憧「ワタシガンバッタ。アナタホメタ。セキニントル。イイネ?」
咲「良くないよ!最近寝不足なんだから!」
穏乃・玄・宥(一体何してるの!?)
憧「咲ー」ギュー
咲「解った!解ったから離れて!暑い!」
憧「咲、アレしてよ、アレ」
咲「ひ、人前で!?せめて誰も見てない所で……」
穏乃・宥・玄(アレってナンだ!?)
穏乃「あ、でもどうして憧は3ソウ切れたんだ?3ソウは4ソウの裏筋なのに?」
憧「ああ、シズがリーチかけなかったのって待ちがドラ筋だったからでしょ?」
穏乃「お、大当たり……」
宥(あ、憧ちゃん……無茶苦茶に強くなってる)
憧「それにしても今日は一段と気合いが入ったわね。そろそろ下校時間だし帰らない?」
穏乃「そうだな……よし、じゃあ今日はここまでっていうことで」
憧「あ、鍵は私と咲で返しに行くから」
咲「なんでナチュラルに私まで含められてるのかな?」
憧「ついでよ、ついで」
咲「……なんのついでなの?」
憧「それは勿論……」
玄「私もう糖分は要らないから失敬!」ドヒューン
宥「糖尿病になっちゃう」ドヒューン!
穏乃「甘味は実家の和菓子で間に合ってまーす!」ドヒューン!
咲「あ……あはは……」
憧「さて……誰も居なくなった所で……」
見回り「ほら、完全下校時間だぞ。帰った帰った」
憧「ですよねー」
アパート 夕食
咲「でもいいの?最近、自宅で夕御飯食べてないけど?」
憧「大丈夫大丈夫。親はあんまり家にいないし、お姉ちゃんにもどこにいるかは伝えてあるから」
咲「ならいいんだけど」
憧「ん?咲、味噌汁の味付け変えた?」
咲「うん。赤味噌から白味噌に。憧ちゃん、確か白味噌の方が好きでしょ?」
憧「そうだけど、もしかして私に合わせてくれたの?」
咲「えっと……迷惑だったかな?」
憧「うん。お陰で理性を保のが限界なんだけど」
咲「そ、そう……」
憧「これは責任を取って……」
咲「はいはい」チュッ
憧「えー!頬に?口じゃないの?」
咲「む、無理だよ……」
………。
……。
…。
憧「でもこうしてると新婚カップルみたいね……」シンミリ
咲「ふふっ……そうかも。その場合どっちが奥さんなのかな……」
憧「え?咲に決まってるでしょ?いっつも受け身な訳だし」
咲「ふーん。まだ私に麻雀で一回も勝ったこと無いのに?」
憧「うぐっ……あ、そうだ!咲、今日の部活手加減してたでしょ!」
咲「な、なんのことかな?」
憧「オーラス、咲が私に見え見えの待ちをするわけないじゃない。手加減してた証拠」
咲「……だって手加減しないとオーラスまで行かないよ。みんなの打ち方は知っちゃってるわけだし」
憧「問答無用!納得いくかどうかは別問題よね?」ニジリ
咲「あ、憧ちゃん?目が逝っちゃってるんだけど?」タジタジ
憧「私は咲と全力で打ちたいのよ。そんな私の思いを裏切った咲の罪は思いよね?」
咲「こ、この間「負けた腹いせに」って散々あんな事されたからだよ!」
憧「べ、別に咲に手を出す口実が出来たとかそんなんじゃないんだからね!」
咲「やっぱり本音はそれ!?今日の手加減は正当防衛だから――」
憧「言い訳なら風呂場で聞いてあげる……隅々まで」ガシッ
咲「ま、待って。ご飯冷めちゃう……」
憧「そっか……」スッ
咲「ほっ……」
憧「よし食べ終わった」
咲「早っ!?え、待って!さっきまであった煮物は!?」
憧「食べたわよ。じゃあ改めてお風呂に――」
とまあ、これが私と咲の最近の日常だったりする。その時の私は、ずっとこんな時間が続くものだと思っていた。でも、それは少し夢見がちな考えだった。
切欠は二通の手紙だった。高校一年の夏、咲は二度目の苦しみを味わうことになる。でもそれは少しだけ遠くの話で、先に手紙の内容を改めて行くことにする。
ここまで!支援して下さった方、待ってて下さった方、ありがとうございます。
イチャラブ書くの初めてだけどこれでいいのかな?
誰か見てるかな?
一応、今日の夜に投下する予定です。憧咲は哲学。
しまった……完全に寝堕ちてしまいました……
ごめんなさい、一限の講義終わったらすぐに投下します。
投下ー
ところで、白糸台高校という麻雀がキチガイじみて強い学校があったりする。
一般には、二軍ですら県代表クラスの実力を持っていると言われているが、一軍は更に別格の実力を誇っているらしい。
人は彼女達を敬意と畏怖の念を込めてこう呼ぶ。虎姫と。
『大勝戦終了!今年も東京西代表は白糸台高校です!』
憧「相変わらず凄いわね、白糸台は」
咲「うん、そうだね」
各県の優勝校の麻雀を見ながら咲と一緒に夕食を食べる。普段は私が咲のアパートに行くのだけれど、今日はそう言う訳にも行かなかった。
というのも、私と咲の役割というのは、専ら各校の選手の打ち方を研究するバックアップ的なものも兼ねている。
しかし、残念ながら咲のアパートにテレビはないので、こういう日は咲が私の家に来るしかない。
取り敢えず思った事を言ってみる。
憧「咲、白糸台の選手の打ち方だけど……」
咲「そうだね……ここまで露骨な攻撃型チームもないんじゃないかな」
ほうれん草のお浸しを摘みながら、じっとテレビを見つめる咲。その横顔は綺麗なんだけど、同時に触りがたい冷たさも持っていた。
憧(流石に麻雀を見ている時の咲は凄いわね……迂闊に触れない)
黙って咲の横顔を見つめる時間が続く……そして、不意にその目が歪んだ。
咲「フッ……」
憧「どうしかした?」
咲「いや、なんでもないよ。先鋒戦さえ凌げれば勝ち目はあるかなって」
憧「そうなの?」
咲「うん。大将の大星選手の打ち方は解らないけど、亦野選手の打ち方は解った。2副露させた後に棒攻めすれば跳ばせる」
憧「一応相手は強豪校のレギュラーなんだけど……」
前提がおかしい。勝つ負けるじゃなくて、跳ばせるか跳ばせないかが咲の中での基準となっていた。
憧(白糸台が別格なら、咲も別格なのよね……)
咲「ま、問題は先鋒の宮永選手なんだけどね」
憧「宮永って、宮永照?」
咲「うん……流石に強い。私でも跳ばすのはキツいかな」
憧「何だろう、この釈然としない感じ……あ、そう言えば咲の苗字も宮永だけど、何か関係あるの?」
それは、まるで空から魚が降ってきたかのような、唐突な思い付きだった。が、すぐにそれは咲自身の言葉で否定された。
咲「……ううん。知らない人」
憧「そっか……似てると思ったんだけどな」
その時感じた違和感はとても繊細なもので、触るだけで消えてしまうようなものだった。
咲「宮永照……もし闘うなら靴下も脱いで……」ブツブツ
憧「いやいや!誰もチャンプを跳ばす事まで期待してないから!」
咲「へ?勝利って、つまり相手を跳ばす事でしょう」
憧(うわ……)
憧「そ、それより次見よ、次!」
無理やり咲の矛先を変える。このままだと、咲の立ち位置がエースじゃなくてジョーカーになりかねない。こうして、私の中に芽生えた違和感は完全に消え去ってしまった。
「辻垣内、ダヴァン、ネリー……」
次の映像は臨海女子の試合だった。映像が変わった途端、咲の目も鋭さを増す。いつの間にか、テーブルの上の料理が冷め切っていた。
憧(せっかく頑張って作ったのに……)
仕方ないと言えば仕方ないが、暖かいうちに食べて欲しくはあった。
寂しくて、つい咲の髪に触れてしまう。
咲「……」
憧(あれ?いつもは反応があるのに……)
よっぽど集中しているのか、何をしても咲は無反応だった。
憧(これは……すばらっ)
憧「咲、ちょっとベッドの方に移動して貰える?」
咲「……」サッ
憧「咲、制服洗濯するから脱がせるわよ」
咲「ん……」
シャツのボタンを一個一個外していく。途中気付かれるのではないかと焦ったけど、臨海の大将の麻雀に興味を持ったのかテレビに釘付けで気付く様子がない。
憧(後はこうして、と……出来た。後は咲の意識がこっちに戻るのを待つだけ)
そして待つこと30分。
咲「……いやちょっと待って。なんで制服を洗濯する必要があるの?」
憧「やっと気付いたわね。待ちくたびれたわよ」
果たしてそこには、上半身下着姿で両腕を一纏めに縛られた咲だった。
憧「ふぅ……いい仕事した」
咲「良くないよ!何で制服を脱がされた上に縛られてるの!?」
憧「咲が可愛いから。以上」
咲「かっ……可愛いだなんて……」
チョロい!チョロすぎる!
咲「はっ!いや、そう言うことを聞いてるんじゃなくてっ」
胸を隠すように腕を前に持ってくる咲。でもそれが、余計に……
憧(うん、余計にエロくなった)
咲を押し倒し、無理やり腕を頭の上に持ち上げる。
咲「ま、待って……」
憧「ほほう……ブラは白ですか……」
咲の柔らかな胸を鷲掴む。
咲「やっ……胸揉まないで……」
憧「うん、それ無理。スカートも取るよ」
咲「お願い、待っ」
その言葉は最後まで続かなかった……
というのも、私が咲の下着に触る直前、テレビの方から「宮永咲」という声が漏れ聞こえたからだ。
憧咲「え?」
その聞き慣れた言葉に、手が止まってしまう。
アラフォー「宮永咲選手、ですか?」
聞き間違いじゃなかった。咲に覆い被さったまま、テレビの方を向く。テレビで放送していたのは、人気麻雀解説番組
「二人はアラフォー
~行き遅れなんて言わせない~」だった。
恒子「そうそう!奈良の予選で突如現れた選手ですが、兎に角凄いんですよ!いやー、かっこよかった!咲ちゃーん、愛してるよー!」
アラフォー「ちょっとは自重しようよ!?」
恒子「いやでも久し振りに格好いい麻雀見れて嬉しくて」
アラフォー「まあ確かに驚きでしたけど……それと臨海女子がどう繋がるのですか?」
恒子「臨海女子は東東京でしょ?」
アラフォー「はい」
恒子「白糸台も同じ東京で、そこに行くと宮永照という選手が居たり居なかったり」
アラフォー「臨海女子とあまり関係ないですよね、それ!?」
恒子「でもここで話膨らませないと時間調整が……」
アラフォー「そんなカミングアウトされても……まあ、何かしらの関係はあると思いますよ」
恒子「おや、意外な所から援軍が」
アラフォー「宮永選……いえ、咲選手の徒名って知ってます?」
恒子「え?何ですか、それ?」
アラフォー「プロの間でも、特に実力のある人は『捲りの女王』とか称号が付けられるでしょ?それと同じだよ」
恒子「う、うわー……高校生の時点で既に二つ名とか……」
アラフォー「もっとも、そう呼んでるのは私や瑞原プロ……後は大沼プロや咏ちゃんとか極一部の人だけですけどね」
恒子「いや、あんたらトッププロだろうが!?……で、何て名前なのよ?」
アラフォー「暴虎」
恒子「……」
アラフォー「あ、聞こえなかった?暴虎って、私達は呼んでるんだけど」
恒子「あ、いや……大丈夫です、聞こえてますです、はい」
アラフォー「ん?どうかした?」
恒子「いや……華の女子高生に付ける名前じゃないなって……」
アラフォー「でも、実力的には妥当だと思うけど……」
恒子「にしても虎はねえ……あ、虎?それ白糸台の虎姫と被ってるんじゃ」
アラフォー「というより、打ち方がかなり似てるから『虎』の名が付けられたんだけどね……宮永照選手と咲選手、文字通り相手を喰い殺す……二人には何かしらの共通点が――」
そこで映像が切れた。見ると、咲の指がテレビのリモコンに触れていた。
咲「う、うぅ……」
涙目になりながら、必死に顔を逸らそうとする咲。その顔を見ていたら、なんだかこう……征服欲が新たに生まれてきた。
咲の耳元で息を吹きかけるように囁く。
憧「暴虎」
咲「うっ……///」
憧「まさかこんな可憐な少女が暴虎だなんて……」
咲「言わないで……結構ショックなんだから」
咲の胸に顔をうずめる。呼吸する度に、甘い匂いがした。
憧(なんだか凄い話よね……プロにも話題にされる程の咲が、今は私に主導権を握られてるなんて……)
咲「あ、憧ちゃん……くすぐったい」
憧「我慢我慢」
音頭をとるように咲の肌を撫で回す。すると、何かを堪えるような悲鳴が返ってきた。
憧「ねえ、咲。本当に宮永照と関係無いの?」
咲「か、関係……ひゃん!?な、無い……んんっ」
憧「そっか……もし嘘ついてたら、後が酷いわよ?」
咲「ひ、酷いって?」
憧「とりあえず……その日、咲は眠れなくなります」ペロッ
咲「ひっ!?」
憧「今やってることなんて目じゃないくらいのことをされて……」ツツー
咲「ひゃあ!?」ビクン
憧「最終的に咲は食べられます」ハムッ
咲「んぁあ!?」
憧「まあ、咲が嘘なんてつくわけないし、こんな約束なんて無意味何だろうけど」
咲「……」ダラダラ
咲(まずいまずいまずい……どうしよう、このままじゃ……)アワアワ
憧「……もし話せる時が来たら、真っ先に私に相談して。いいわね?」
咲「え?」
憧「今は何も聞かないであげるから……だからもしつらくなったら私を……
ううん、私じゃなくてもいい。シズや玄や宥姉でもいい。独りで抱え込まないで」
咲「……ありがとう」
憧「ちょっと、なに泣いてるのよ?」
咲「ごめんね、なんだか嬉しくて」
目に涙を溜めて笑う咲。その顔が愛しくて、顔を近付ける。
憧「ずっと一緒にいるから……」
咲「うん……」
憧「何があっても、一緒に居るから」
咲「うん……んっ」
キスは、どっちからしたのか解らなかった。ただ、このキスは今までの気持ちいいだけの物とは違っていた。
なんとなく解っていたのだ。宮永咲と宮永照……その溝に。
もし、これからどんな過酷が待っていようとも……これが最後になんてならないよう、祈りながら咲の口に自分の口を押し付けた。
こうして、その日も穏やかな時間が過ぎてい――
憧「という訳で、改めて咲を食べるとしますか」
咲「………へ?」
咲「あれ?さっきまでの良い話的な流れは?」
憧「まあ、やることはやらないと」ガバッ
咲「な、何を……」
戸惑う咲を無視して、咲の脚を掴んで広げる。当然露わになるのはスカートの中身で、その中に頭を突っ込んで――
憧「ていう流れで、咲とベッドの上で強豪校の対策案を纏めたのだけど」
穏乃「またこの流れかよ!」
憧「お陰でかなりの所まで煮詰まったわよ」
玄「お陰で咲ちゃんも腰砕けにされちゃったみたいだけど」
憧「咲は尊い犠牲となったのよ……はい、これが全国五指の強豪校の対策ファイル」
穏乃「うわ……確かによく纏められてる。一晩でこれ全部纏めたのか?」
玄「手伝えなくてごめんね……ありがとう」
憧「お礼なら私が息抜きする度に喘がされた咲に言ってね」
玄「ああ、だから今日は風邪でダウンなんだ……」
穏乃「宮永さん……お勤めご苦労様です」
咲のアパートがある方に向かって敬礼する穏乃。宥姉が大会運営からの手紙を携えて部室にやってきたのは、丁度そんなときだった。
今日はここまで。昨日は寝落ちしてしまってすいませんでした。お詫びと言っては何ですが……何か読みたいシチュエーションが合ったら、書いてみて下さい。
絶対に書くという訳ではありませんが、憧咲前提なら頑張ってみます。
支援して下さってる人、ありがとうなのよー
取り敢えず巫女服はいけそうかな。後二回くらいで咲vs衣戦に入ります。
……ところで、誰かあらたその能力解る人います?
ピンズが集まりやすい→なるほど
必然的に多面待ちになりやすい→解る
ボーリングのピンがピンズでグリークチャージ→つまりどういうことだってばよ……
なんか、心が折れそう。
すみません、なかなか時間が取れなくて……
大学の試験終わったら更新します。
お待たせして申し訳ありませんでした。時間が空いてしまった上に分量も少な目ですが、今晩投下します。
失礼、sage忘れました……
セーフだよね……まだ夜だし?
女が退部したことで運営に提出したオーダー表が無効になっていることに気付いたのは、オーダーの再提出期間を三日ほど過ぎた日のことだった。
穏乃「……なあ。この場合って……」
憧「……余裕で棄権扱いね」
穏乃「アコー!?」
憧「咲といちゃついてる場合じゃなかったぁぁ……」
玄「やっちゃった……」
という訳で現在、阿知賀女子麻雀部はみんなより一足先に葬式気分を味わっていた。
穏乃「駄目だ……運営に連絡しても『規則は規則だから』って、とりあってくれない……」
憧「な、なんでこんなことに……」
宥「顧問の先生が間違えて運営からの手紙を自宅に持って帰ってしまったみたいで……今日になって気付いたみたいなの……」
???「カナちゃんのカは勘当のカ~……ん、なんだしこれ?」
インターハイに関する重要なお知らせ
???「どうせ詐欺の手紙だし!私の方で処分してしまった方がいいし!」
宥「――という訳なの」
憧「……寧ろよく捨てられなかったわね」
穏乃「はぁ……和と全国で遊びたかったな……」
玄「全国のお餅を……」
憧「せっかく咲と全国に行けると思ったのに……」
宥「み、みんな!元気だしてよ……」
憧「……こんなときだし、宥姉も怒っていいわよ。最後の年だったんだし」
宥「うっ……それはそうだけど……」
憧「……はぁ。咲になんて説明しよう……気が重い」
…………。
………。
憧「――という訳で、今週末は長野の龍門渕に遠征することになったから」
咲「なんで!?」
憧「いやね、なんかあの後龍門渕透華って人から電話がかかってきて」
咲「もんぷち?」
憧「そう、すっごいお金持ちのお嬢様らしいんだけど……最初は咲と闘いたいっていう電話だったのよね。でも――」
※
透華『はぁ!?そんな理由で全国を棄権ですの!?』
宥「……はい。それで申し訳無いのですけれど、今の私達に勝っても目立たない――」
透華『……いえ、これは寧ろ好都合なのでは?』ボソッ
宥「え?」
透華『なんでもありませんわ。それより、大会出場をかけて私達と一勝負いたしません?』
憧「なんでも龍門渕って運営の理事もやってるらしくてね。龍門渕の天江衣に誰か一人でも勝てたら、阿知賀の出場に便宜を図るって」
咲「……取り敢えず顧問の先生は頭冷やそうか?」
憧「まあまあ。今頃職員会議でたっぷり絞られてるし……それより、天江衣だけど?」
咲「さあ。私も去年の大会MVP選手ってことくらいしか知らないよ」
憧「……気をつけて。天江衣は神代小薪や大星淡、宮永照と並ぶ魔物だから。奈良の決勝卓の比じゃないわよ」
咲「……大丈夫。私は負けないよ、絶対に……」
憧「咲……」
咲「絶対に、負けない……例え相手が誰だろうと……」
憧「そっか……私が心配することじゃなかったか……それじゃ、また明日」
咲「うん、お休みね……」
ガチャン
咲「……遠征で長野まで、か」
咲「お金、足りるかな……」
咲(1、2、3……駄目だ。今月だって怪しいのに……)チラッ
鞄
咲(麻雀で稼いだお金を使えばなんとかなるけど……)
咲「このお金を使ったら完全な人でなし、になっちゃうよね……」
咲(短期のバイト増やそうかな……)
コンコン
咲(へ、誰だろ?こんな夜遅くに?)
咲「……どなたですか?」
ガチャッ……
黒服「……お久しぶりです」
咲「黒服さん……」
黒服「チェーンも掛けずドアを開けないで下さい……少しは用心を……」
咲「そんな事を言うためにわざわざ?」
黒服「……話があります。上げて貰えませんか?」
※
咲「ごめんなさい、あまりいい茶葉が無くて……」コトッ
黒服「……頂きます」ズズッ
黒服「……はぁ」ホッコリ
咲「……黒服さん?」
黒服「し、失礼!つい――」
咲「つい?」
黒服「――いえ、なんでもありません。それより今日はお願いがあって来ました」
咲「……仕事、ですか?私はもう――」
黒服「いえ、そうではなくて」
咲「?」
黒服「ちょっと組の方でゴタゴタがあって、早急に資金が必要なんです」
咲「はい?」
黒服「単刀直入に言います。宮永さん、あなたが麻雀で稼いだお金を格安で譲って欲しい」
咲「へ?あの、それって……」
黒服「今、お手持ちは?」
咲「た、多分3000万くらい……」
黒服「ではその金を30万で譲って頂きたい」
咲「べ、別に構いませんけど……」
黒服「――契約成立です。では、ここに」スッ
黒服「3000万は?」
咲「そこのカバンですけど……」
黒服「――確かに。鞄は明日お返しします。では」
ガチャッ
咲「行っちゃった……」
咲(なんだったんだろ?)
黒服「言い忘れていましたが」
咲「うひゃぁ!?」
黒服「そのお金はあなたが麻雀で稼いだお金ではありません。何に使っても問題無いかと」
咲「え?」
黒服「……それだけです。では、改めて」
バタン
咲「……」ポカーン
咲「な、なんだったの?」
咲(いや、それよりも……)
咲「気を使って……くれたのかな?」
※
黒服「いつも通りだ。この金は――」
部下「解ってますよ。宮永さんの口座に入れときゃいいんでしょ……にしてもやり方がめんどくさいですね。部活の小遣いを渡したいならそう言えばいいものを……」
黒服「……俺達はやくざだぞ。いいからさっさと――」
部下「へいへい……あ、宮永さんの周辺警護増やしときましょうか?」
黒服「そうだったな……取り敢えず、10人に増やせ」
部下「了解……ったく、どこからあの金の情報が漏れたんだか……お陰で宮永さんに特攻する馬鹿が出て来るし……」グイッ
デブ「ひっ……ひい!?」
部下「運が無かったな……お前が狙った金の持ち主は、組長のお気に入りなんだよ……」
デブ「ゆ、許して……」
部下「死ね」
…………。
……。
今日はここまで。待ってて下さった方、ありがとうございます。
いやー!憧vs衣の牌譜がどっかいったー!
度々で申し訳ありません。もう少し待って……
出来たら今日投下します。
本当はもっと憧の牌は動くはずだったのに……
遅れて申し訳有りませんでした……
今から投下します
龍門渕邸
透華「ハギヨシ。準備の方は?」
ハギヨシ「抜かりなく」
透華「そうですの……後は阿知賀の皆さんが到着するのを待つだけですわね」ハァ
一「なんだか浮かない顔だね」
透華「……これで良かったの、かと」
一「?」
透華「幾ら衣の遊び相手を集めるとはいえ……相手の弱みにつけ込むような――」
一「……そうでもないかもよ」
透華「……?」
一「窓を見てみたら」
ガヤガヤ……
『それにしても助かったわ』
『うん……龍門渕さんには感謝しないとね』
『天江衣……おまけに全国トップクラスの人と打たせて貰えるなんて……』
『おもちおもちおもちおもちおもちおもちおもちおもちおもちおもちおもちおもちおもちおもちおもちおもちおもち』ハアハア
一「ね?透華が罪悪感を感じる必要は無いんだよ」
透華「一人屋敷に絶対に入れたくない方がいたのですが……まあ、今は一の言葉を信じておきましょう」フフ
…………。
……。
穏乃「頼もー!」バタン
玄「おもちー!」バタン
透華「よくおいでなさいましたわ……私が龍門渕透華です」
憧(あれが龍門渕透華……)
宥(そしてあっちのが……)
衣「遠路、大儀……」ニヤリ
穏乃(天江衣……去年のMVP選手……!)
透華「早速ですが今回の麻雀のルール説明をいたします」
憧「ルール?大会準拠じゃないんですか?」
透華「麻雀のルール自体に手は加えません。これから決めるのは、卓に付く方を決めるためのルールですわ」
前提、これは阿知賀のメンバーの誰かが天江衣に勝つことを目的とするルールである。よって、以下の方法に従い卓に着くメンバーを決める。
一 龍門渕からは必ず天江衣が卓に着く。それに対し阿知賀からは誰か一人を選出し(以下、これを代表者と称する)、衣の対面に座らせる。
二 勝敗は天江衣と代表者の点棒の多寡で決する。
三 選出された阿知賀の代表者は阿知賀、もしくは龍門渕から他家を選ぶ権利を有する。
四 代表者によって選出された選手は、阿知賀選手は代表者に肩入れしてよいが、龍門渕選手は常に中立の立場に立たなくてはならない。
五 代表者になれる権利は一人一回までとする。
六 ルールとマナーを守って楽しく御無礼しよう。
透華「以上になりますわ」
憧「六は要らないでしょう……」
透華「時間が惜しいですわ。まず最初はどなたが?」
玄「はい!」
衣「ほう……最初はお前が遊んでくれるのか?」
宥「く、玄ちゃん?大丈夫なの?いきなり出て行って」
玄「お任せあれ!」
透華「解りました。では、松実玄さん……他家に誰を座らせるか、選んで下さいまし」
玄「ふふん……私のパートナーは決まっているのです。お姉ちゃんと沢村さんなのです!」
智紀「……」コクン
宥「が、頑張るね……」ガクブル
純(意外だったな……てっきりウチを警戒して両脇を阿知賀で埋めてくると思ったのに……)
一(案外正々堂々が好きな人なのかな?)
衣(何故……なにやら勝算でも有するか?)
玄「ふふーん」オモチ
宥「暖かい牌……」オモチ
智紀「麻雀とは確率のゲーム」オモチ
玄「……」ジロッ
衣「……」ツルーン
玄「はんっ」蔑み
衣「( ^ω^)」
衣「立直一発平和海底自模タンヤオ三色ドラドラ赤赤」
玄「……点棒、いっぱい取られちゃったよ……」サメザメ
穏乃(つ、強い……玄さんにあがらせないまま跳ばすなんて……)
憧(最終的にドラも捨てさせられて……まさに翼を得た焼き鳥ね)
衣「ふん、これで解っただろう。胸囲の差は戦力差には繋がらないと」
玄「うう……」
宥「でも……なんでこんなに強いのに優勝出来なかったの?」
透華「う……そ、それは……」
純「衣の奴が本気をだしちまったんだ。そしたら……」
…………。
………。
……。
大会
衣「烏有無有に帰せばよい!」ゴォォ
パリン!
衣「へ?」
「うおー!停電か!?」
「ワハハ……今のは照明が壊れた音だな」
「ちゅ、中止だ中止!後半戦は明日の朝に持ち越しです!」
透華・衣「は!?」
透華「お待ちなさい!中止など……」
「注意一秒怪我一生!」
衣「トーカー……」
翌日
透華「衣!お願いだから起きて下さいまし!」
衣「……」ウツラウツラ
池田「ロン!一発だし!」
衣「ん~……眠い……」
部長「ツモだ。3000・6000」
透華「約束したじゃありませんの!もう一度全国に行くって……」
衣「んー昏鐘鳴の音が聞こえる……」
透華「衣ー!?」
久「ロン。リーチ一発七対子……ドラ4で親倍」ニヤリ
「決着!最後の最後で全国のチケットを掴んだのは清澄高校ー!」
…………。
………。
……。
純「という訳だ」
穏乃「う、うわ……」
衣「無念だ……」
憧「でしょうね……あ、だから今日の勝負か」
透華「ええ……全国では闘うことは出来ませんが、せめて衣には……」
憧「そうだったんですか……」
衣「そう言えば阿知賀の嶺上使いはどうしたのだ?」
憧「あ、咲なら遅れて来るわよ。どうしても昼のバイトだけは休めないみたいで夜に合流する予定だけど」
純「それは……」
宥「報告が遅れてごめんなさい……」
透華「いえ、それは宜しいのですが……」
一(大丈夫なのかな?夜になればなるほど衣は強くなるのに……)
衣「それは楽しみだ……」
二時間後……
衣「また衣の勝ちだ~」
宥「…………ムリ」
穏乃「駄目だ……勝てない……」
憧(シズがここまでボコボコにやられるなんて……)
衣「さて、今この場に残るはお前だけだが?」
憧「……やってやるわよ。私は絶対に咲と全国に行くんだから」
透華「では、他家を選んで下さいまし」
憧「……」
一「新子さん?」
憧(どうする……天江衣は強い。出来れば三人で囲んで抑えつけたいけど、それは無理だって宥が証明した……)
憧(咲ならどうするかな……咲なら……)ハッ
憧「じゃあ、龍門渕さんと井上さんでお願いします」
透華「なっ……」
純「いいのか?俺と透華はお前の援護なんかしないぜ?」
憧「ええ……普段通り打ってくれれば、それで」
※
東1 起親、透華
純(なる程、考えたな……衣の打ち方をよく知らない阿知賀のメンバーを入れるよりは……)チャッ
透華(衣の打ち方を知っている私達に入らせた方が場を荒らされずに済む……)
智紀(ただし、この作戦は代表者に実力が備わっている場合だけ成立する……)
憧 配牌
345899m35p457s白東
ドラ9m
一(あ、好配牌。いきなり三色ドラドラが見える)
4順目
345899m345p457s南 6s
憧(三色にならない方のカンチャンが埋まっちゃったか……)
一(ここからどうするんだろ?ドラ頭確定の打8ワンかな?)
穏乃(負けるな…アコ)
憧「……」タン
穏乃(打4ソウ?南切って粘っても良かったんじゃ……)
宥(それ以前に7ソウなら三色の目も残ったのに……)
憧(東1で安牌南を切っての全面戦争なんて却下よ。三色が消える入り目ならその時点で三色は完全に拒否……)
次順
透華「リーチですわ!」
223344567p5556s
一(この人……かなり上手い!)ゾクッ
憧「……」タン
打 南
穏乃(もしあそこで私みたいに南切ってたら、一発目に安牌無しだ……)
智紀(それどころか三色を引きずってたら3ソウ引きで6ソウを切るしかなかった……)
憧「……」チャッ
3458899m345p567s 3s
憧「……」タン
一(4ソウ切りのお陰で透華の当たり牌を切らずに……)
憧 手牌
34599m345p33567s
一(再聴牌……)
透華(くっ……なかなか来ませんわ……)
憧「ツモ!」
透華「っ!?」
パラッ
34599m345p33567s 3s
憧「1000・2000」
一(今の和了の凄さは多分後ろから見てないと解らない……この子だけ雀力が別格だ)
衣「……漸く多少は楽しめそうな相手がきたか」ゴゴゴ…
憧「っ!?」
憧(き、来た……この圧迫感……!)
東2 親 衣
12順目
憧 手牌
223344p77899s東白
憧(ま、マズい……8順目からこの形で手が動かない……)
純(クソッ……こっちも手が進まない……!頼むから衣にだけは振ってくれるなよ)
憧(今のこの状態で二盃口を追うのは危険……生牌の東と白を抱えた以上降りるしかない……)タン
透華(手出しで9ソウ……降りましたわね)
純(それで正解だ。ここで振り込まれるよりはずっといい……)
衣(阿知賀の新子憧……勘がいいな)
手牌
123456789m東東白白
一(また当たり牌を殺してる……でも、幾らロン牌を殺しても……)
衣「リーチ」
憧(ツモ切りリーチ!?張ってたの?)
純(来やがった……)
衣「海底一発ツモ。……裏は乗らん。8000オール」
憧(何となくは解ってたけど、やっぱりキツイー)
一(普通ならここで戦意を挫かれるんだけど……)
純(目が死んでない。裏ドラが乗ってない以上、完全に衣の流れじゃないと見たか)
東2 一本場
ドラ 8p
8順目
透華 手牌
788m12233p34567s
透華(くっ……一シャンテンから手が進まない上に手がチュンチャンパイでブクブクですわ……!)
衣「リーチ」
透華「!?」ビクッ
衣(察するにトーカの手は逃げられる形になっていない。ならリーチで降り打つがいい)
透華「くっ……」チャッ
透華(現物の発……一発だけは避けられましたが、次は……)タン
憧「……」チャッ
789m234888p46s南南北
一(聴牌したけど役無しカンチャン待ち……北南で降りかな)
憧「……」チラッ
透華(くっ……)
憧「……」タン
穏乃(打3ピン!?親リーに無筋だぞ!?)
一(どうしてこのタイミングでそんな牌を……)ハッ
透華「ぽ、ポンですわ!」
透華(どうせ下がれない手なら前進してやりますわ!)
透華 手牌
788m22p34567s
ポン 333p(憧)
憧「……」タン
透華「それもポン!」
透華 手牌
88m34567s
ポン333p(憧)
ポン222p(憧)
憧(ドラ傍切ったか……多分ドラ頭での聴牌なんだろうけど……)タン
打 8m
「「「!?」」」
憧(天江衣に無闇にリーチさせないためにも、もう一頑張りして下さい)
透華「ポン!」
4567s
ポン333p(憧)
ポン222p(憧)
ポン888m(憧)
衣(と、透華の手牌が急激に大きく……)チャッ
衣(掴まされた……!)タン
透華「ろ、ロン!8300!」
透華(まさか挑戦者に助けられるなんて……)
憧 22000
衣 38700
透華 24300
純 15000
東 3 親 憧
配牌
134m1257p234s中中北
憧(二シャンテン……親だし中ポンで速攻に見えるけど)
透華「……」タン
一(今度は中を鳴かない?)
憧(前に咲が言ってた……ターツがオーバーするときは鳴かない方が良いって)チャッ
134m1257p234s中中北 ⑤m
憧(鳴いたらみすみす赤を流してた……正解ね)
8順目
345m12278p345中中 2p
憧(やっぱり聴牌出来ないか……)チラッ
純(ちっ……幾ら流れが見えても鳴けなきゃ意味がねえ……)
純 河
白3m8s9s北西7p
憧(端牌の整理より3ワンの切り出しが先ってことは……1ワンか2ワンが鳴きたいんじゃないの?)タン
純「っ…ポン!」
純(結果的に鳴けはしたが、今のは鳴かされたか……衣のツモを揺らす為に)
衣 手牌
123456789m東東発3s
衣(純め~!お陰で衣の発がトーカに流されてしまったではないか~!)タン
透華(ツモが生牌の発……切りにくいとはいえ純の鳴きで衣から流されてきた牌。処理するならこのタイミングしか有りませんわ)タン
一(これで衣の門混は事実上消滅……だけど)
憧(うわ~……龍門渕さん、一体どんな腐ったツモで闘ってたのよ……)
ツモ 発
穏乃(もし憧が純さんに鳴かせなければ天江さんが聴牌して、その当たり牌を龍門渕さんが掴んでた……)
憧(もう天江衣の聴牌が近いのは明白……ツモで親被りするくらいなら)タン
純「……ロンだ。タンヤオドラドラ……3900」
純(的確な差し込み……意地でも衣にはあがらせない気か)
衣(面白い……面白いぞ、阿知賀の中堅!)
すいません、もう眠い……続きは明日で。
待って下さった方、ありがとうございます。
速攻フォロー入ってたすまぬ
>>503
いえいえ。お気になさらずに。
ごめんなさい。
>>499の8順目の憧のツモを1pに直しておいて下さい。2pツモは普通に聴牌してました……
そろそろ投下します
東 4
流局……
憧「ノーテン」
純「同じく」
透華「聴牌……形聴ですが」
衣「聴牌」
一(今度は海底間近で鳴いて衣のツモを狂わせた……)
憧(まだよく解らないけど、この人にはラストのツモだけは渡したくない……今の鳴きは正解だった……?)
純(こいつ……解ってないのか?今自分がどれだけ高度な闘いを仕掛けてるか……)
穏乃(でも、幾ら上手く打っても聴牌出来なきゃ勝負にならない……)
南1
憧(なんとか和了って勢いをつけたい……これだけ縮こまった場で和了出来たら、それだけで流れに乗れる)
1223577p4⑤s南南北白
憧(この手……鳴いて混一に行くか、七対子に行くか……咲ならどうする?咲なら……)タン
7順目
憧(は、張った……)
1122377p44s南南白北 白
憧(待ちとしては理想的な単騎待ち……でも)
捨て牌
西⑤s3m5p7m南
憧(捨て牌がモロ七対子で待ちが単騎ってバレてる。生牌の字牌で待ってもこの面子じゃ出和了は不可能……)タン
衣(阿知賀の中堅……小さい手だが張ったな)タン
透華・純(衣が反応した……張ったか)
憧(やっぱり……なら、一工夫するか)
13順目
透華(久しぶりに聴牌出来ましたわ)
手牌
34⑤6789m78p79s中中 9p
透華(安全を考えるなら衣と新子さんの現物である9ワン切り……ですが、三色を捨てての和了など……プライドが許しませんわ!)
衣 河
白1p8p9p2m西9m中発7m4s北
透華(2ワンの早切りからして周辺の待ちは無いはず!)タン
衣「……かかったな」
透華「なっ!?」
衣
1234⑤66m123p123s
透華(捨て牌の引っ掛け……!あの衣が……!)
衣「平和三色ドラドラ赤一で8000……」
憧「ストップ」
衣「ん?」
憧「頭跳ねよ」パタッ
112277p44s南南白白3m
憧「七対子のみ。1600」
透華「なっ……なんですのその待ち!?」
純「はっはっ!字牌単騎を捨ててまで3マン待ちかよ!……訳解んねえぜ」
穏乃(憧……多分、あの捨て牌から天江さんの当たり牌を割り出したんだ。今のは頭跳ねを狙ったって言うより天江さんの和了を抑えた和了……)
宥(まるで咲ちゃんみたいな打ち方……)
玄(おもち……おもちを……)
南 2
憧(多分、私じゃ天江衣は倒せない)チャッ
憧(この怪物を倒せるとしたら、それは多分怪物を上回る堕天使の打ち手……咲しかいない)
憧 配牌
124m334p7889s東東白
ドラ 3m
憧(でも、黙ってやられるつもりは無いわよ!)タン
4ピン
純「4ピンか……」
純(さっきのアガりで流れはこの新子って奴に行ってると見た……鳴けるし、鳴けばツモを掠めとれるんだが)
純「……」チャッ
純(これで貸し借りは無しだ!)
透華(この半荘、新子さんに満貫をプレゼントされました……幾ら衣のリーチを封じるためとはいえ、このままでは龍門渕の名折れ……)チャッ
一(透華?)
透華(この局に限り勝負を捨てます……私は衣に鳴かせませんし、振り込みもしません!それで貸し借りらチャラですわ!)チャッ
……
衣(あにはからんや……この局は役牌の出が不調……透華と純が字牌を絞っているな)
8順目
憧 手牌
22m33p778899s東東白北
穏乃(また七対子聴牌。しかも今度はドラドラ……)
衣「ポン」
一(ダメだ……新子さんの白を鳴かれて衣の海底コースに)
憧「……」
22m33p778899s東東北 1m
憧(このままだと天江衣の海底親ツモ……仕方ない)タン
穏乃(そ、それは……!)
3ピン
純「……ポン!」
穏乃(天江さんの海底コースを封じるためにドラを切って鳴かせるしかなかった……でも、これでただの凡手に)
衣「チー」
宥(はわわ……その上にツモ順をまた戻されちゃった……)
憧「……」タン
純「チー!」
純 副露
333p
123p
穏乃(純さん……今回に限っては憧を全力でサポートするつもりなんだ。自分の手作りは二の次で……)
衣「カン」
透華(か、大明カンですって……!?)
純「ちっ……」
衣 副露
ポン 白白白(憧)
チー 789p(純)
明カン 西西西西(純)
新ドラ 中
玄(わーい。ドラだ)←白目
純(待て待て!その手、海底とチャンタが絡むと跳ねるぞ!?)
透華(この私がせっかく抑えているといいますのに……!何をしていますの、新子憧!?)
憧(ところがどっこい……)チャッ
衣「!?」
衣(阿知賀の中堅からまた強烈な気配が……!)
憧(再聴牌しちゃうのよ、これが)
憧「リーチ!」
衣(しまった!海底に気を取られすぎて手を短くし過ぎた……!)
衣 手牌
789m東発
衣(阿知賀の中堅は七対子をしていたはず……ならば字牌は切れない……)
一(というより、七対子は待ちの性質が全然違う。筋牌よりは無筋の牌が安全……なんだけど)
衣「これか!?」
打 9ワン
憧「ロン」
衣「なっ!?七対子ではなかったの――」
1122m778899s東東9m
憧「リーチ一発七対子……」チャッ
憧「裏4で倍満!」
衣「!?」
一(す、凄い……)
透華(私達でさえ衣から倍満を直取りしたことは無いですのに……)
純(まさか何の能力も持たない……ただの奴がここまで衣に迫るなんてな……)
玄(今のは……)
宥(今のは衣ちゃんが七対子を警戒して無筋の牌を切ってくると読んでの待ちだよ)ヒソヒソ
穏乃「うおおー!やったぜ、憧!」
憧「……」
穏乃「憧?」
憧「……シズ。さっきのアガり、正解だったのかな?」
穏乃「何言ってんだよ!あの天江さんから倍満直取りの逆転トップなんて最高だろ!」
憧「……そうよね。出来過ぎよね……」
衣「……」ゴゴゴ…
憧「出来過ぎよね……」
南 3
衣「リーチ……」
憧「うっ……海底コースじゃないわよ、これ……」
衣「一発ツモ。3000・6000」
南 4
衣「一発……16000で純の跳びだ」
純「ぐっ……」
衣「これで逆転終了だな。阿知賀の?」
憧「くっ……海底はただの遊びってこと……?」
智紀「海底は衣が相手をいたぶる為に使うだけのもの」
一(智紀……居たんだ)
憧「くそっ……相手の戦力を見誤った……!」
一「まあいいじゃない。衣にここまで迫った人なんて初めてだよ」
衣「……」
衣(新子憧……この者なら衣の遊び相手になってくれると思ったのだが……衣の見込み違いだったか)
憧「ダメなのよ……咲なら……咲なら絶対に間違えなかった!」ダン
透華「宮永さんのことですの?」
穏乃「はい。私達の中なら、絶対に宮永さんが一番強いんですが……」
透華「……衣の実力を目の当たりにした上で『咲なら』……ですか」
純「よっぽどその宮永って奴を買ってるんだな……もしかしたらお前の相手になるかもしれねえぜ、衣」
衣「……」プイ
純「衣?」
衣「衣はもう期待しない。期待すればするほど、後の肩すかしが堪える……」
純「……はあ。あのな――っ!?」
衣「!?」
透華「ど、どうしましたの、二人と――!?」
一「な、なにこの感覚?」
一(今日は満月……衣のオーラは覚悟してたけど……!)
純「冗談じゃねえ……下手したら衣以上の化け物が迫ってるぞ!」
ザッ……ザッ……
穏乃「この感覚……大会の時と同じだ!」
憧「咲……」
衣(衣は……衣を解放してくれるのはお前なのか?)
ハギヨシ「ようこそいらっしゃいました。ハウスルールの方は?」
咲「大会準拠、赤入り麻雀……私と天江衣さんの直接勝負ですね?」ニヤリ
今日はここまで。支援有り難うございます。
眠い……咲ちゃんと一緒に寝たい。
ヤバい……咲vs衣、なんにも考えてなかった
今日か明日中に投下予定……
長らくお待たせしました。投下します
咲「……遅くなりました」
透華「い、いえ。よくいらっしゃいましたわ」
純「あれが阿知賀の魔物か……」
一(さっき感じた迫力は無い……けど)
衣「……」ゴゴゴ…
咲「順位オカは?」
透華「ありません。最終得点で衣と争っていただきます」
一(衣の圧力を真正面から受け止めてる……この人、変だ)
憧「咲、予定より遅かったけど何かあったの?」
咲「うん、ちょっと(迷子になって)ね」
憧「ちょっとって何よ?」
咲「そ、それは――ごめん、その話は後にして貰える?」
憧「咲?」
衣「……」
咲「……」
憧(な、何なのこの空気……)アセアセ
衣「……お前も同じなのか?」
憧「?」
衣「お前も衣と同じなのか、嶺上使い?」
憧(な、なんの話なのよ……)
咲「……。どちらでも構いません。打てば解ること――国広さん、沢村さん。お願い出来ますか?」
一「うん、解ったよ」
智紀「……」コクン
衣「漸く前座が終わったか。嶺上使い、衣をあまりガッカリさせないでくれよ?」
咲「クスッ……」
憧「……!」ゾクッ
咲「では、始めましょうか」
東家 衣
南家 一
西家 咲
北家 智紀
カラカラ……
純「なあ、ちょっといいか?」
穏乃「はい?」
純「お前のところの宮永ってどんな打ち方するんだ?ビデオ見た限りだと、龍門渕なら多分俺が一番近いと思うんだが……」
穏乃「かもしれませんね……ただ、宮永さんの場合はもっと静かなんですよ」
透華「静か?」
穏乃「最初は宮永さんって凄く大人しい麻雀打つんです。でも、一度仕上がったら手が着けられなくなる。緩急が激しいんですよ」
純「そうなのか?」
憧「まあね……だから、初めて咲の麻雀を見た人って、ただのツキ麻雀て早合点しちゃうんです。でも実際は……」
透華「技ありきのツキ麻雀ですか」
憧「試しになんにもせずに私達で配牌取ったら咲のが一番悪いと思いますよ。そっからあそこまで持って行くんだから……」
純(……そこからツキを集めるのが技、か。よし、今回は宮永の麻雀を観察させて貰うとするか……)
東 1 ドラ 7ピン
衣 配牌
12379m1239p23s南北中
透華(四回戦の勢いがまだ残っていますわね。初っ端から持ってきましたわ)
衣 打北
純(衣は速そうだな。それに比べてこっちは……)
咲 配牌
1459m12p1468s東西北
純(アイツの言ってた通り最悪だ。面子どころか頭すら無い)
咲「……」チャッ
ツモ 2m
純(ツモも最悪。この手じゃ上がりきれねえ……ツモ切りだろうな)
打 2m
純(やっぱし……幾ら打ち手が良くてもツキに見放されたら勝てる訳ねえ)
6順目
衣
123789m12399p23s
透華(僅か6順目で黙っ跳ね聴牌……しかも)
純(このままだと衣が高目を海底でツモアガる……こっからどうやって勝ちに繋げる気だ?)
咲 手牌
4589mp11456s東西西北 東
咲「……」チャッ
衣 河
北中5p3s北9p
智紀 河
西8m9m1p北
咲「……」ギラッ
咲「……」タンッ
咲 打 4s
衣「!」
純(その形から4ソウ?)
透華(それは衣の当たり牌……ただし、純チャン三色がピンのみになる最安目の)
衣(これは当たれない……)
智紀「チー」
純「なっ!?」
衣(今度は衣の海底がズラされた!)
234m34789p15⑤s
チー 435(咲)
智紀(これならチー聴出来る上に衣の海底をズラすことが出来る。これがベストな選択の筈)
打 1s
透華(な、なんてタイミングの悪い……)
衣(くっ……同順フリテンで当たれない)
咲「1ソウ、ポン……」タン
衣(!?)
穏乃(い、一瞬で天江さんの高めが殆ど殺された!)
憧「いきなりえげつないわね」
衣(お、おのれ……)
智紀「……」チャッ
智紀(6ピン引き……これでタンヤオ追加)タンッ
一(なんだか今の一瞬で凄い攻防が有ったみたいだけど……蚊帳の外だな)タン
智紀「ロン。タンヤオ三色赤一で3900」
一「あっ……衣と宮永さんにばかり気を取られてたよ」
智紀 最終形
234m3478p5⑤s6p 2p
透華「?」
透華(宮永さんは一体どんな形から4ソウを切ったのです?脇を聴牌させるだけにしてはリスキー過ぎるような気が……)
純「うっ……」
純(そうか……確かにあの状況なら4ソウ切りしかない)
憧(下家はタンピン形の捨て牌だから1ソウはいずれ零れていた……咲は4ソウを喰わせることで同じタイミングで1ソウを無理矢理引き吊りだしたんだ)
純(結果、衣の最高手は流された……惜しいな、もう2、3時間早く来てれば宮永の圧勝だったのに)
衣「無聊を託つ……それがお前の麻雀か?」
一「ここからは衣の時間だ……」
東 2 ドラ 東
13順目
咲 手牌
345999m37p234s中中 5s
憧(私と同じだ……咲の手も5順目から進まない)
純(ツモ5ソウ……手広さで言えば7ピンか3ピン切りだが)
咲「……」スッ
打 中
穏乃(中で降り?)
玄(多分3ピンも7ピンも押せないって判断じゃないのかな?)
穏乃(居たんですか)
玄(……)
衣 手牌
3456888p発発発東東東
純(あっ……ぶねえ!?聴牌を追っていたら一発で死んでた……)
透華(高め3-6pツモなら三倍満……ですが)
衣「リーチ」カラン
一(誰も鳴かずに衣が海底ツモ、か……)
咲「……」スッ
智紀「……」タン
衣「海底一発ツモ、高目8000、16000」
一(数え役満……)
智紀「これは……」
透華(勝負有りましたわね)
衣「阿知賀の嶺上使いならもしやと思ったが……見込み違いだったよ……」ゴゴゴ…
咲「まだ東2ですよ……?」クスッ
穏乃「どっちも怖いんですけど……」
東 3 ドラ 8m
衣(嶺上使いと言えど所詮、衣には届かぬか……)チャッ
衣 配牌
124588m3⑤67p⑤56s 8m
穏乃(な、なんて配牌……!)ゾクッ
衣(一は残り5100……5200直撃で十分だが――)
打 1m
衣(衣の狙いは嶺上使いただ一人だ!)
咲「ポン……」スッ
純(衣の第一打をポン?)
智紀「……」タン
打 9s
咲「ポン……」スッ
憧(今度はいきなり2副露?その程度じゃ今の天江衣は止められないわよ?)
245888m3⑤67p⑤56s 4m
衣(残念だったな……その程度の鳴きでは衣の優位は揺るがない)
咲「……」ニヤリ
三順後……
衣 手牌
445888m5⑤67p⑤56s 7s
透華(跳ね満の一シャンテン……)
衣(これで終わりだ、宮永咲!)
8順後
445888m5⑤67p⑤67s ⑤m
衣(あ、あれ……?)
透華(タンピン一シャンテンが七対2シャンテン……?)
衣(馬鹿な!わざわざ点数の低くなるシャンテン戻しなど出来るか!)タン
13順目
咲「……チー」チャッ
咲 副露
ポン111m(衣)
ポン999s(智紀)
チー768(一)
智紀(チャンタじゃ無かったの……?)
純(この鳴きは――)
憧(天江衣のツモを弄るため……)ボソッ
純(ああ、間違い無い。ただ、この状況で一体どんな牌を回したんだ……?)
衣(嶺上使い……一体何を企んでる?)チャッ
透華「!?」
衣(お、おのれ……よくも!)ギリッ
衣 手牌
44⑤888m5⑤67p⑤67s 8m
穏乃(み、宮永さん……一体どういう神経してるんだよ!?)
宥(ド、ドラを流すなんて……)
透華(このドラ、出来るものならカンしたいのでしょうが……)
衣(カンしたら衣の海底がズレる……!)
咲「……」クスッ
衣(くっ……)
衣「か、カン!」
新ドラ 7s
透華(さらにドラ1追加!?しかも嶺上で聴牌!)
衣「貰った!リーチ!」
衣(これだけドラが嵩めば海底無用!)
一「……」チャッ
一「……はあ」
一「……」
純(ん?国広クン、なに固まってんだ?)
一「えーと……聴牌しちゃったし、僕もリーチしよう……かな?」
透華(なぜ疑問形?)
純「あの鳴きで一君に聴牌を入れたのか……でもなんでそんなに汗ダラダラなんだ?」
一「り、リーチ……」
咲「チー」チャッ
透華「へ?この状況で鳴く意味なんて……なぜわざわざ衣に海底を?」
穏乃「これってまた衣さんが海底でツモってしまう流れなんじゃ……」
憧(違う!さっきのリーチは確実に海底を諦めてのリーチだった……これは天江衣が海底でツモる流れじゃない)
一「ろ、ロン……」
憧「天江衣が海底で振る流れよ……」
穏乃「……」ゾクッ
一
333666m5678p777s
一「リーチホウテイ三暗刻表3……」
透華「なっ……!?」
衣(こ、衣の必要牌が7牌も……)
ボトッ
裏ドラ 2m、4p
一「う、裏5!?」
純「さ、三倍満直取り!?」
衣「」
衣 33000
一 29100
智紀 20900
咲 17000
純(最初の鳴きは国広クンに衣の必要牌を暗刻で押し付けるための……)
宥「こ、これ東2で役満上がった人のスコアじゃないよ……」
憧「卓が……全て咲に支配されてる」
咲「では東ラスです。ドラ表示牌を捲って下さい、天江さん……」
衣(ば、化け物……)ジワッ
ドラがドラ本体とドラ表示が混ざって分かりづらいゾ
今日はここまで。待ってて下さってありがとうございます。
わー。咲ちゃんが一回もアガれてないぞー。咲ちゃん超ピンチだー(棒)
>>551
すいません、次回から工夫します。最後のは裏ドラです。
>>551
すいません、次回から統一します。
なんか二重で書き込みしてしまいました。ごめんなさい……
生存報告
忘れたりエタってる訳ではないのですが、ちょっと麻雀描写がスランプ状態でして……
お待たせしました。作りは甘いですが、なんとか見せられる程度のものが出来たと思うので今晩投下します。
最終確認のため暫しお待ちを
投下します
…………。
龍門渕邸
咲と衣が闘いはじめてから、いったいどれだけの時間が経ったのか……空気は凍てつき、場は恐怖に色塗られていた。
咲「ポン」
一「ま、また……」
智紀「……海底ツモ。1000・2000の一本付け……」
純(嘘だろ……三回連続プラマイゼロって……)
時計の針は深夜の三時を報せている。だが、勝負はつかないでいた。原因は、咲だった。
一回戦
一 31200
智紀 18800
咲 25000
衣 25000
二回戦
智紀 28500
咲 25000
衣 25000
一 21500
三回戦
智紀 26400
咲 25000
衣 25000
一 23600
透華(衣にここまでの点数調整技術はありませんわ……!宮永さんが意図的にやっているとしか……)
咲「同点二着……上家優先の決めは有りませんので続行ですね?」
衣「こ、この……」
誰も動けない……そんな空気が漂う。
穏乃「宮永さんがプラマイゼロで調整麻雀をすることはある……けど」
玄(こんなの異常だよ……)
一(もう疲れた……宮永さんの狙いって持久戦なの?)
智紀(確かに五時間以上の長期戦になっら衣は不利……でも、このルールで勝負を長引かせる腕があるならとっくに勝ててるはず……なにが狙いなの?)
四回戦
咲 配牌
13456m267p788s白発 6
純(一回戦の東初から比べて配牌が格段に良くなってやがる……!)
宥(マンズが伸びれば高目タンピン三色まで望める……これなら)
透華(いえ……流れはまだ衣にありますわ!)
衣 配牌
23⑤68m⑤689p14⑤s中西
透華(赤三枚のまとめやすい超好配牌!ここから衣はいい牌を大量に引いてきますわ!)
12順目
咲 手牌
345678m67p6789s西 5p
憧(やっぱり咲でも天江衣の支配には抗えないか……やっとテンパったものの三色も平和もタンヤオも無い役無しノベタン……)
穏乃(唯一の救いは天江さんも長いイーシャンテンが続いていること……鳴くに鳴けず、ツモ切りが続いている)
衣「くっ……」
衣(ツモが効かない……)
純(衣の捨て牌は典型的タンピン系の捨て牌だから……ここはケイテンにとってワンチャン衣が振りそうな字牌単騎に待て、か……)
咲「……」
衣 捨て牌
西中1s8p9p4s北
7s9m8s白6p
咲「……」スッ
打5m
純(その形から5マン!?一体どんなアガリ形を考えたんだ!)
衣「ぽ、ポン!」
穏乃(あっ!5マンを喰われたっ)
衣 副露
ポン55⑤m(咲)
衣(よ、よし!これで聴牌だ!)
純(バカ……最後の最後で衣に聴牌させやがったな……)
憧「違う……」
純「は?」
憧「天江さんは鳴いて聴牌する代わりに海底を咲に回した……」
純「……!そうだった……長い麻雀だから忘れてた……」
憧「多分、これで決まりかも……」
憧(この海底で咲は確実にツモる。そうなったらもう誰も止められない)
海底ツモ
咲「……」スッ
咲 手牌
34888m567p33678s 5m
純(一体どういう流れなんだ……最後の最後、フリテン引き戻して海底タンヤオツモだと……)
憧「やっぱり……」
咲「……」フッ
打7p
純憧「!?」
咲「ノーテン」パタン
純(な、なに考えてんだ……アガッた手をノーテンだと……)
一「ノーテン」
智紀「ノーテン……」
衣「一人聴牌……衣の連荘だ!」
衣 手牌
23467m34⑤p45⑤s
ポン5⑤5m
純(ば、馬鹿な……衣が鳴いた後、コイツに入ってきた牌は全部衣の必要牌!衣はあと一巡堪えれば門前でアガレてた……!)
憧(そうか……咲の取った行動の謎が解けた……)
衣「漸く出し抜いたぞ……嶺上使い……!」
咲「クスッ……では一本場、試してみましょうか」
衣(その余裕もここまでだ!親権維持した以上流れは衣のものだ!)
憧(流れは……咲だ)
二本場
衣 配牌
1489m2569p147s中東南
衣(なっ……あにはからんや……配牌が急に悪くなっただと……?)
咲 配牌
123m13899p3s中南西西 2p
憧(今まで咲は聴牌したくても出来なかった。それは天江衣がその支配力で咲のツモを噛み合わなくしていたから……)
咲
123m123899p3s南西西 2s
咲「……」スッ
憧(例え鳴いてツモを弄っても天江衣の優位までは動かない……例えるなら水に浮かんだ月に石を投げるようなもの。だから待ったんだ……天江衣が自ら支配を壊す瞬間を……)
咲 6順目
123m12399p23s南西西 西
咲「リーチ」スッ
透華「!?」
衣「ば、馬鹿な……月は未だ健在……!」
憧(あのポンで天江衣は咲に門前聴牌どころかツモアガリの権利まで渡してしまった……)
穏乃(5マン切りの謎もそう考えると難しくない。捨て牌を見れば天江さんがマンズで苦しんでいることは一目瞭然だったから、マンズの真ん中を鳴かせられる公算はかなり高い)
玄(咲ちゃんがやろうとしてたのは支配を外からかい潜ることじゃない……内側から崩すことだった……最後のノーテン宣告は多分止め。天江さんに自分の必要牌が殺されたことを悟られないための……)
衣(あ、安全牌が無い……これかあ!?)
打 1s
咲「……」
憧(見逃し……いつものパターンだ)
純(……これは宮永の側から手牌まで見て初めて解ることだ……透華は驚いた顔をしてるが不思議でもなんでもねえ……)
咲「カン……嶺上ツモりました。4000・8000の一本付けです」
123m12399p23s 1s
暗カン 西西西西
衣「ば、馬鹿な……いつの間に仕上がっていた……?」
純「宮永の勝ちだ……」ボソッ
東2
咲「リーチ」
北南8s東2m1m1s
6s
衣「くっ……」タン
打 9p
咲「当たりです」パタン
1112345678889p
衣「そ、その捨て牌で門清だと!?」
純「初めて見た……これが流れに乗るってことか」
咲「裏は乗りませんが倍満、16000点です」
一(嘘でしょ……満月の時の衣が跳び寸前なんて……)
咲「東3局……私の親です」
東3 ドラ8s
13順目
衣「ぐっ」
4567m⑤6p4⑤6788s西
透華(衣の手が6順目のイーシャンテンから動きませんわ……)
衣(まさか衣がイーシャンテン地獄にハマるとは……)
咲「……」スッ
衣(ツモ切り……もう張っているのか?)チャッ
ツモ 8m
衣「しかし、この手で引くわけには……!」ダンッ
打 7s
咲「……」
衣「通った、のか?」
衣(ドラ傍だから切るのは躊躇われたが……)チャッ
ツモ 4p
衣(これなら、まだ……!)
衣「リーチだ」タンッ
咲「……西、カン」
衣「カン……?」
透華「……!」ギュッ
咲「嶺上……ツモりました。」
123m67p中中発発発 8p
明カン 西西西西(衣)
咲「50符2飜は4800……責任払いで跳びましたね?」
衣「ま、負けた……衣が……?」
純「……」
透華「……」
一「……」
智紀「……」
憧「か、勝った……?」
穏乃(う、嘘だろ……去年の全国MVP選手に……こうもあっさりと……)
玄(良かった……私が弱い訳じゃないんだよね)ホッ
宥(い、いや……そうじゃなくて……空気が――)
衣「……」グスッ
宥(重い……)
憧(ど、どうしよう……勝ち方が勝ち方だから手放しで咲に抱きつき辛い……)
咲「……」
咲(あ、あわわ……どうしようこの空気!?)
衣「……お前、名前はなんと言う?」グスッ
咲「えっ私!?」アセアセ
衣「」コクン
咲「咲です、宮永……」
衣「咲か……咲、また衣と遊んでくれるか?」
咲「えっあっ……あのっ……私で良ければいつでも」
衣「そうか……今日はもう遅い。この館に泊まっていけ。部屋はハギヨシに用意させる」
ハギヨシ「はっ」シュバッ
咲「し、執事さん!?初めて見た……」
衣「……。咲は、二重人格なのか?」
咲「へっ?そ、そんなことはないけど……」
純(嘘だな)
憧(嘘ね)
以下略(嘘に決まってる)
衣「嘘だ……麻雀しているときとは別じ――あふ」ムニャッ
透華「い、いけませんわ!衣がもう限界ですっ」ダキッ
透華「申し訳有りませんが私は衣を部屋に連れて戻ります。一、後のことはお願いしますわ!」ダッ
衣「むにゃ……次は衣が勝つ……」
咲「え、えっと……おやすみなさい」
その後、私達は一さんという露出きょ――メイドさんに連れられて今晩泊まる部屋に案内された。
部屋についたとき、時計の針は既に四時を回っていて、今更食事を取る気にならなかった。
私達は一度睡眠を取るためにそれぞれの部屋に解散した。私は咲と一緒の部屋で……
翌日目にしたものは……
衣「サキー!起きろー!」ユサユサ
咲「ぅん……んっ」
天江衣に騎乗位でおはようの挨拶をされている咲だった。
憧「亞阿吾娃唖夷斐葦已爲アあ!?」
今日はここまでです。長らくお待たせして申し訳ありませんでした……
捨て牌書くのは割と重労働だったりするので
やらかした……
>>573
衣 配牌
23⑤68m⑤689p14⑤s中西
↓
衣 配牌
235⑤6m⑤689p14⑤s中西
これに脳内修正お願いします……
度々すいません
>>575
衣 手牌
23467m34⑤p45⑤s
ポン5⑤5m
とありますが、これは5マンポン直後の手牌です。この形から聴牌に取ったので最終形は
23467m34⑤p5⑤s
ポン5⑤5m
となります。
どうもリズムが悪くてすいません……
咲vs小蒔戦とか照戦を考慮して咲のゲームを見てみたのですが……
どうやって天和相手に勝つんですかねえ……?状態で、牌譜作りが難航しておりました(咲さんも大概だろという突っ込みは無しで)
もうそろそろ次話は出来そうなんで、後少しだけお待ちを……
投下ー
某月某日某所
「あの……ですから、阿知賀の出場を認めるようにと。さもなくば今後の運営資金の提供は無い、とのことです……」
「馬鹿な……!阿知賀の宮永咲を出せだと……!?」
「マズいですよ……あんな怪物が副将で出てきたら試合が途中で終わる……スポンサーの機嫌が悪くなりますよ。最悪支援金も……」
「しかし龍門渕の要請を蹴ったら蹴ったで……」
「取りあえず返事は保留だ……一度小鍛冶プロに相談してみよう」
…………。
………。
咲が天江衣に騎乗位でおはようの挨拶をされた……は、私にとって確かに重大な事件なのだが、阿知賀女子からしてみればどうでもいいことで。
目下一番気にかけなければならないのは大会出場の件だった。ところが、私達の想像以上に大会の運営事情は複雑で、私の想像以上に咲の強すぎる力は厄介だったらしい。
捻りに捻れた問題は、透華さんが「任せなさい!」と宣言した三日後に漸く解決したのだった。
某スタジオ
恒子「よっしゃ収録終わったあ!花金花金♪……ん?」
健夜「ふあ……疲れた」
恒子「小鍛冶プロ?」
健夜「あ、こーこちゃん……」
恒子「難しい顔して何見てたんです?」
健夜「あ、これ……?」パサッ
『阿知賀レポート』
恒子「あの、小鍛冶プロ?幾ら相手が見つからないからって未成年は……」
健夜「違うからね!?て言うかいい加減私イコール婚活で結のやめてくれないかな!?」
恒子「ごめんごめん。で、阿知賀がどうしたの?」
健夜「うん……ちょっとね。阿知賀の出場が取り消しになった件は知ってる?」
恒子「ああ、それ……でも、どっかの大スポンサーに圧力かけられて出場が認定される予定って聞いたけど」
健夜「うん、そうなんだけどね……」ハイ
恒子「これは?」
健夜「各選手のプロファイルだよ。阿知賀の選手は初出場のチームとは思えない程に強いんだけど……」
『副将 宮永咲』
健夜「この子だけ一人力が抜き出てるの」
宮永咲
火力 (平均和了点)AA
防御力(平均失点) AAA
状況判断 S
総合評価 S+
恒子(宮永咲……ああ、あの子か。確かに一人輝いてたけど)
恒子「えーと……ごめん。これだけ見せられても何がなにやら……」
健夜「その評価、火力と防御力を入れ替えたら咏ちゃんのプロファイルと同じになるんだ」
恒子「ちょっ……!」
健夜「評価方法は連盟のと同じ方式を採ってるから自然と評価結果も辛くなる……三つの項目のうち、一つでもA評価を貰える選手なんて全国でも本当に一握りしかいないんだよ」
恒子「で、でもこれ……」
健夜「うん。はっきり言って高校生でコレは有り得ない。現時点で日本のトッププロと紙一重の評価なんて、それこそインハイ始まって以来の怪物だよ。そんな子が副将戦で出てきたら……間違い無く他の選手が虐殺される……
恒子「でもそれって視聴率的には最悪じゃない?」
健夜「正解。それでスポンサーの機嫌を恐れた人達から相談されたわけ」
恒子「……毎回毎回凄い選手が出てくるけど、これは……」
恒子(すこやんがこんな嫌な笑顔するのは初めてかも……)
健夜「でもこれは本当にマズいかも……決勝戦が『副将戦までに他校が跳ばない』限り阿知賀の優勝になりかねない……」
健夜(相談された手前、なんとかそれだけは回避しないと……宮永選手の出番が来る前に勝負がつく……て言うのは楽観視し過ぎだよね)
恒子「……」
恒子「……あんまり根を詰めすぎると婚期が――」
健夜「ちょっと黙ってて」
恒子「はい……」
健夜(どうしようどうしよう……一番いい解決法は宮永選手を先鋒か大将に置くこと。大将戦で終わらせる分には問題ないし、先鋒戦でも局所的に視聴率は上がる。副将戦なんて地味な所で終わらせられるよりはずっといい……けど、その口実が……)
恒子「ねえ、すこやん。阿知賀ってどうして出場が取り消されたんだっけ?」
健夜「え?確かチームが再編成されたことを期限内に報告しなかったからで……別に非行行為をしたわけでもないから無理に突っぱねることも出来なくて……」ハッ
健夜「そ、それだよっ」
恒子「えっ、なにがっ?」
健夜「そっかそっか……こうすれば……多分、最悪の事態だけは回避できるかも」
翌日
穏乃「えーと……オーダー表の再構築権、ですか?」
透華「ええ、阿知賀の出場を認めるよう言ったら一緒に着いてきましたので貰っておきましたわ」
宥「それって……大丈夫なんですか?」
透華「大会規定上は何の問題も有りませんわ。レギュラーメンバーの退部はオーダー変更の要件ですから」
一「ただ……それだの理由で認められることは凄く希だし、大会側から認めるなんて言ってくることはほぼ有り得ないんだけどね」
宥「これってやっぱり……」
穏乃(間違いない……明らかに宮永さんが絡んでる)
穏乃「憧、どうする?」
憧「正直、棚ぼた感が半端ないんだけど……変更するなら咲のポジションよね」
穏乃「だよな……」
憧(オーソドックスに考えるなら咲は大将……大将戦に回せられれば事実上勝利確定の形になる。相手が白糸台でも咲なら敗北はまず有り得ない……)
憧(ただ、咲がシズからポジションを奪うのを納得する?無理ね)
憧「……いっそ次鋒に置いて一気に勝負を決めるとか?」
穏乃「やめて差し上げろ」
憧「だよね……」
憧(あからさま過ぎて自分でも引くわ……だいたい、それって咲オンリーのチームじゃ――)
憧「……」
穏乃「憧?」
宥「憧ちゃん?」
憧「先鋒、て言うのはどう?」
穏乃「先鋒?ありっちゃ有りだけど、普通すぎないか?他校のエースとぶつけて宮永さんを消耗させるより……」
憧「いや、多分咲ならよっぽどの相手じゃない限り消耗自体有り得ないと思う。それより、咲は先鋒や大将以外相応しくないと思う」
穏乃「それって……」
透華「……周りのレベルが低すぎるとやる気を無くしてしまう、ですわね?」
憧「はい……やっぱり天江さんも?」
透華「ええ。ただ、今は違いますわよ。ああして衣と一緒に遊べる友人が居る……咲さんが来てからの衣は本当に幸せそうですわ」
憧「透華さん……」
透華「今もああして……」
衣「海底自模!一発赤3で5枚オールだ!」
玄「」ウルウル
咲「嶺上自模。赤6で8000オールと7枚オールです」
玄「」シクシク
藤田「ツモだ。赤赤で2枚オール」
玄「誰か代わってよ……」レイプ目
透華「本当に楽しそうで……」
玄「だったら黄昏てないで代わって下さいっ」
透華「断固拒否しますわ」
玄「……」チラッ
憧「……」サッ
宥「……」サッ
穏乃「……」サッ
玄「!?」ガーン
憧(あの卓……絶対に入りたくない)
藤田「全く……いきなり連れてこられたと思ったら、なんなんだこれは?」
智紀「ごめんなさい。この変則ルールだとマトモに打てる人がいなくて……」
藤田「当たり前だ」
藤田(嶺上、海底も御祝儀なのはまだいいとして……赤9って)
純「雀荘でやったら破産待ったなしだぞ。オマケにこのメンツだと……」
衣「むー!チップの差で衣の負けか……」
純(加減を知らないお子様と――)
玄「チップにならないドラばっかり来ちゃうよ……」
咲「レートを倍にしてみますか?」
玄「……!?」ブンブン
純(加減をする気のない鬼になぶり殺される!)
玄(うぅ……表ドラ4になっても嬉しくないよ……)
憧「赤が玄の手に入らないのはもうデフォルトなのね……」
憧(加えてリーチがかけられないから一発裏ドラ御祝儀も無し……)
穏乃「寧ろ跳び終了してないのが不思議なんだけど……あの、玄さん。次、代わりましょうか?」
憧「ば、馬鹿!?死にたいの!?」
玄「やっ……やった……」タッチ
穏乃「……っし!やるかっ」
憧「どうなっても知らないわよ……」
10分後
穏乃「ドラ北、カン!」
咲「国士につきその北で終了です」パタン
衣「なんだ、咲も同聴か」パタン
咲「32000点と10枚」
衣「衣にも32000とチップ10枚だ」
穏乃「」チーン
憧「そりゃ仕上がった状態の咲と闘ったらこうなるでしょうね……シズ?」
穏乃「も、もう一回……」
穏乃「も、もう一回……」
衣「……お前も衣と遊んでくれるのか?」
穏乃「勿論です……全国レベルの人打てる機会なんてそうは……」
咲「……」
穏乃「割と有りますけど」
純「おい」
穏乃「決勝戦のリハーサルと思えば……」
憧「はあ……そうまで言われちゃやるしかないでしょ。シズ、次交代だから」
穏乃「憧……」
宥「わ、私も……」
穏乃「宥さんも……」
玄「その優しさは私の時に見せて欲しかったな」焼き鳥
ワイワイガヤガヤ
藤田(ふむ……なんだかんだでよく纏まっている。良いチームだ。だが……)
咲「……」チャッ
咲「……」スッ
藤田(コイツはおかしい……衣に勝ったのもそうだが、何より――)
咲「カン」チャッ
6マン 暗カン
咲「リーチ」
咲 捨て牌
8m1s北南4p2m
中9p(リーチ)
藤田(あの捨て牌、一見すると間4件のピンズが切れないが……安全そうなマンズが断じて切れない)
穏乃(えっと、5-8pの筋は絶対に切れないから……9マンかな)タン
咲「ロンです」
78m⑤⑤789p789s
暗カン6666m
咲「一発で12000と三枚です」
穏乃「うげっ……安めツモを見逃して高目片和了……」
藤田(こうもあっさり12000をアガるか……しかしこれは振り込んでも仕方無い。あの捨て牌と6マンの暗カンを見せられたら9マンが安全に見える……こういう小技にも長けている)
藤田(本当に何者だ?)タン
衣咲「ロン」
藤田「なにっ!?」
衣「七対子赤赤裏裏で18000と四枚だ」
咲「平和赤赤で3900の2枚です」
藤田(本当になんなの、こいつら……)
遅くなって申し訳ありません。ひとまず完成分を。
二三日中にまた来ますので、キリは悪いですが今日はここまでということで。
投下~
――終局です――
純「お、終わった……」
憧「」チーン
穏乃「」チーン
宥「」チーン
玄「」ヤキトリー
一「いやー……予想はしてたけど」
衣「……」ゴッ
咲「……」クスッ
冷やし透華「……」ハーレヤセッセ
一「これはエグい」
純「そしてもっとエグいのはこの面子で一位を取り続けてる……」
咲「あふ……少し疲れたかな」
純「……」
藤田「……なあ、正直私いらなくないか?」
…………。
………。
咲「どうします?打ち手がいないのでしたらお開きですが?」
衣「むー!まだ衣は咲に勝っていない!勝ち逃げは許さないからな!」
冷やし透華「同感ですわ……純、座りなさい」
純「無理だ。これから夕飯つくらなきゃいけないからな」ニゲ
透華「では一……」
一「ごめんね。そろそろメイドの仕事に戻らないと」ニゲ
一(冗談じゃない……あんなの流れが見えなくても解る。勝てる麻雀じゃない!)
純(流れが……一見三人に行ってるようで最終的に宮永の所にたどり着いてる。もう何をしても勝てない……!)
衣「むう……ならば仕方無い。咲、一緒に風呂に入るぞ」
憧「」ピクッ
咲「お風呂?」
衣「うむ!友になったら一緒に風呂に入り背中を流すものと聞いたぞ」
智紀(そしてそのままゴールイン……!大丈夫、どさくさに紛れて押し倒してしまえば……!)
憧「ま、待ちなさい……」ヨロッ
衣「む?」
智紀(ちぃっ!後少しという所で……!)
憧「咲は私のもの……裸を見ていいのも背中を流していいのも襲っていいのも私だけよっ」
咲「何言ってるの!?」
衣「そうか……咲はお前の×××だったか」
咲「違うからね!?」
衣「面白い……ならば咲を賭けて最後の勝負だ」
憧「臨むところよっ」
咲「なんで私賭けられちゃってるの……?」
結果
咲 63400
透華 36500
衣 10000
憧 10100
咲「嶺上自模。1000点オールでラスト」
冷やし透華「くっ……安アガりでっ……」
衣「……」ポカーン
衣「……迂闊。対面に気を取られすぎた……」
憧「ふ……ふふ。黒棒の差で三着……残念だったわね」
衣「くぅっ……!」
咲「いや、誉められた結果じゃないから。勝負なのに、300・500を一回アガッただけでじゃない……」
憧「無茶言わないでよ!このメンツに囲まれて跳ばないだけ奇跡なのよっ」
一(それは否定しないよ……)
憧「という訳で、悪いけど咲は私と一緒に――」
咲「うん、じゃあ三人でお風呂に行こっか」
憧「!?」
衣「い、いいのか……衣は――」
咲「別に私は賭の対象になったつもりはないよ。憧ちゃんも文句なんか無いよね?」ニコッ
憧「……文句……ありません」プルプル
衣「滅法不服そうなのだが」ボソッ
お風呂 キンクリ
咲「きゅー……」
憧「普通のぼせるまで入る?」
衣「いや、お前が咲に張り付いてたからじゃ……」
咲「んっ……」ピクッ
衣「時折変な嬌声が聞こえたが、一体湯船で何をしていたのだ?」
憧「……」
憧「ごちそうさまでした」
衣「むー……透華みたいく衣を誤魔化そうとして……」
憧「それより、私は咲を部屋に連れて戻るけど?」
衣「うん?」
憧「一緒に来る?」
衣「い、いいのか?」
憧「もち♪」
衣「あ、ありがとっ」
部屋
咲「……」スヤスヤ
憧「眠ってる……」ナデナデ
衣「二人は……仲が良いのだな」
憧「まあ私の彼女だし。でもまあ、天江さんと麻雀してるときが一番楽しそうだったけど」
衣「そうなのか?」
憧「うん……正直、咲が本気で麻雀を打てる相手なんてあんまりいないから」
衣「そうか……まあ、解らないでも無い。衣から見ても、咲の力は異常だ」
憧(やっぱし……薄々は解ってたけど……)
憧(聞こうか迷ったけど……)
憧「ねえ、もし咲が先鋒戦に出たとして……阿知賀はどこまで行けると思う?」
憧(なぜならこの質問、阿知賀が決勝に行くことをわざわざ確認するためのものなのだから……)
衣「……」
衣「間違い無く決勝戦まで一本道だろう。決勝戦は流石に解らないが、それまでは確実に咲が誰かを跳ばして終了だ」
憧「確実に、か……でも、もしかしたらどこかで躓くことだって――」
衣「それは恐らく有り得ない。この三日間、衣は咲の打ち方を見てきたが、全てが正着打だった。躓きはあり得ぬよ」
憧「それって……天江(オカルト)さんから見た見解……ってこと?」
衣「いや……結果から見た場合だ。咲の打ち方はデジタル打ちでもオカルトからも説明しきれない部分が多すぎる……」
衣「結果……即ち、未知を知る神の視点からでなければ咲の強さは説明しきれない」
憧「……文字通り、ブラックボックスってわけか……」
咲「……」スヤスヤ
憧(……阿知賀のジョーカー、宮永咲)ゴクリ
衣「……」
憧「……」ムラムラ
衣「なあ、阿知賀の中堅」
憧「な、なにっ!?」
衣「お前達は明日、帰るのだろう?」
憧「うっうんそうだけど!?」
憧(ヤバい……咲の寝顔見てたらムラムラしてきたのバレちゃった!?)
衣「奈良に……阿知賀に帰ったらどうするのだ?」
憧「そそそそうねっ……多分、対外演習の日々になるかな。毎週毎週他校に出向いて……」
衣「また、衣と遊んでくれるか?」
憧「…………へ?」
衣「……」ジー
憧(ああ……そういうことか)
憧「勿論。そっちから来てくれてもいいわよ」
衣「うん……そっか。必要無いとは思うが、衣はお前達を応援するぞ」
憧「……」
衣「来年は、衣達も全国に赴く。それまで負けるな」
憧「……うん。ありがとう」
これが7月の終わり。舞台は8月の初めを跨ぎ、東京に移るのだった。
短いですが、今日はここまで。次回から全国編になります。
咲さんのポジションに関しましては……正直な話、既存のままでは咲が副将で誰かを飛ばす、もしくは照が先鋒で誰かを飛ばす以外の結末がなくて……
そもそも原作でも一人だけ「確実にアガる」系の台パン能力持ちですし……
遅くなってすみません。今日か明日、投下します。
投下ー
パーキングエリア
怜「はあ……気が重いわ……」トボトボ
怜「なんであんとき大丈夫なんて言うたんやろ……」
一週間前
浩子『三日前、運営の方から正式に発表がありましたわ。阿知賀の宮永咲……先鋒で出るらしいです』
セーラ『宮永……咲?チャンプの親戚かなんかか?』
浩子『いえ、それは解りませんが……』
竜華『て言うか、奈良は晩成やなく阿知賀が出場するんか。どんな打ち手なんや、その咲ちゃんってのは?』
泉『ウチらがそんなに警戒するほどの相手なんですか?』
浩子『はっきり言って、相当えげつないで……百聞は一見に如かずや、取り敢えずこれを見てください』
咲『嶺上開花。8000オールの9本付けです』ゴッ
怜「はあ……あんな化け物と闘ったら、死んでしまうわ……」
怜(皆には勝算が有るって言うたけど……正直、跳ばないようにするのが精一杯かもしれん……ん?あれは……)
咲「……♪…、………♪」
怜(宮永……)
怜「咲?」
咲「……」クルッ
怜「あ……ごめんな、覗き見るつもりじゃなかったんや」
咲「……いえ。お気になさらず」
怜「そ、そうか……」
咲「……♪」
怜「……」
咲「……、~~♪」
怜「……」ソワソワ
怜「あ、あの!」
咲「はい?」
怜「それ、なんの歌なん?」
咲「ト短調シンフォニィです」
怜「へ、へー……ウチも良く聴くんよ。やっぱベートーベンはええな」
咲「モーツァルトです」
怜「あ、モーツァルト……ね」
咲「はい。~~♪」
怜「……」
怜(あ、あかん……沈黙が辛いで……咲ちゃん、あんまりお喋りなタイプじゃなさそうし――)
咲「……♪あ、そうだった。すみません」
怜「は、はい!?」
咲「バスってどこで乗れるんですか?」
怜「は?」
10分後
竜華「あ、怜!やっと戻ってきた!……怜?」
怜「……ありえへんありえへん……」ブツブツ
竜華「怜!どうしたんや!?」
怜「……なあ、竜華。ウチの能力って……そんなに解りやすいか?」
竜華「……は?」
※
咲『すいません。わざわざ送って貰って』
怜『いや、別にええで。困った時はお互い様や』
咲『…………そうですか。では一つだけ』
怜『?』
咲『あまりご自身の能力を過信なさらないように。未来の表層を源と誤解しないように……』
怜『それって……』
憧『咲ー!早く乗ってー!』
咲『――では。また卓の上で会うことを祈ってます』
バス移動中
浩子「……それは、またなんとも……」
竜華「未来の表層を源と誤解するな……?いったいどういう意味なんや?」
セーラ「単なる僻みとちゃうか?よくある、凡人が怜みたいなのを妬んで……」
泉「……あれ?」
泉「……先輩の能力、バレてません……?」
セーラ「……ん?」
泉「園城寺先輩の一巡先を見る力がバレてますよ!……公式戦ではまだ2、3回しか使ってませんのに……」
竜華「っ……!この際咲ちゃんの言葉はどうでもええ!今はそっちの方が問題や。対外試合したときに情報が漏れたって言うならまだええ……けどもし、たった数回の試合で力が見破られたのだとしたら……」
セーラ「!?」
浩子「間違い無くウチらのデータ、ごっそり吸収されてますわ」
セーラ「じゃあ、あの咲っちゅう一年はわざわざ手の内が全部解ってる事を教えたんか……?」
泉「エラい舐められてますね……」
泉(一回現実見せたる必要があるな……一年生最強は誰かっていう現実を……!)
ざわ…… ざわ……
怜(そうなんか……?咲ちゃん、ほんまにそんなつもりやったんか?)
咲『……』
怜(違う……あれはもっと別の意味があったんや。引っかかる……咲ちゃんは、一体何を……)
…………。
………。
一方白糸台
淡「テルー!早く帰ろー」
照「待って。後もう半荘一回打ちたい」
淡「むー!早くしないと駅前のプリン売り切れちゃうよ!」
照「ぐぅっ……!」
菫「そこで本気で悩まないでくれないか。一応……でもなく、正真正銘お前はチームのエースなんだから」
照「ごめん……」シュン
菫「淡もだ。実力は照に次いでの二位だが、油断してると足元を掬われるぞ」
淡「へー」カミイジイジ
菫「はあ……」
淡「だって県予選は超退屈だったんだもん!激戦区東京と言いつつ、出番回ってきたの決勝だけじゃん」
菫「……つまり、自分が熱くなれる勝負が無いからやる気が出ない、と?」
淡「アイサー!」
照「淡。油断してると本当に足元を掬われる」
淡「高校100年生の私の足元を掬えるヤツなんて居るわけ――」
照「私に」
淡「照に!?」
菫「全く……、仕方無い。そんなお前に朗報だ」
淡「あわ?」
菫「……」つ月刊麻雀チョンボ
淡「あ!照がグラビアになった回だ!」
照「……!」アワアワ
淡「いいねいいね……『白糸台の双璧、宮永照と大星淡』!優勝候補のいっか……く?」アワ?
淡「一角って……随分控え目な評価じゃん。なんでこんな下馬評に……」ペラッ
淡「……ん?」ジッ
菫「ふっ」ニヤッ
淡「……!」
淡(何コレ何コレ何コレ!ずっこい面白いヤツがいるじゃん!)キラキラ
菫「少しはやる気が出たか?……て、聞いてないか」
淡(牌譜もいい感じに狂ってるし、キてるし、何より面白い!ドラッグキメたヤツだってこんな麻雀打てっこない!)キラキラ
照「淡?」
淡「テルー!早く練習しよ!叩き潰してみたい敵が出来た!」バサッ
照「これって……」スッ
『驚異の連荘、脅威の嶺上、宮永咲!』
淡「たった一回の親で三校ぶっ跳ばすとか最高じゃ――」
照「さ……咲!?」
淡「ほへ?」
菫「ん?」
短いですがここまで。
咲さんが手の内を見せるような描写が有りましたが、勝敗には影響しないので流してください。
今晩投下します。
東京
穏乃「おおー!スカイツリーだ!」
宥「凄く、大きいです……」
玄「お、お姉ちゃん?」
憧(やっと着いた……咲が迷子になったときはどうなることかと思ったけど……)
憧「ほら、早くホテルに荷物運んじゃお。観光は後で出来るから」
穏乃「そうだった……えーと、全員揃ってるかな?」
憧「一、二…五と。よし、全員いるわね……って、あれ?咲の荷物はそれだけ?」
咲「うん、そうだけど?」
穏乃(学校用の小さな鞄一つ……あれじゃあ財布と着替えだけでいっぱいだろ)
穏乃「咲さんって、荷物少ないですよね」
咲「そ、そうかな?」
玄「うん、咲ちゃんは(麻雀さえしなければ)可愛いんだから、もっとお洒落するべきだよ」
咲「う……で、でも私、洋服なんてあんまり持ってないし……」
憧「私の貸してあげるから!」
穏乃「私のジャージも」
憧「なんでジャー――」
憧(いや待て……何も穿かせずに裸ジャージとか……)ジュル…
咲「……!」ビクッ
咲(な、なにか悪寒が……)
憧「さ、咲……早くホテル行こ……早く……」
宥「憧ちゃん、咲ちゃん怯えてるから」
ホテル
憧「さてと、荷物は置いたし」ニジリ
咲「じ、じゃあ私はちょっと打ってくるから」
穏乃「逃がしませんよ」ガシッ
玄「大会は明後日だし、それまで咲ちゃんで遊ぶのです」ガシッ
咲「……」カタカタ
憧「じゃあ制服は脱いじゃおっか?」ガシッ
咲「ちょっ……まっ……!」
宥「じゃあまずは見た目から……」ワキワキ
10分後
穏乃「こ、これは……」
玄「正直ここまで化けるとは思ってなかったよ……」
巫女咲「な、なんで巫女服があるの……」
憧「実家が神社だからね。にしても……」ゴクリ…
憧(宥姉が簡単なメイクをしただけなのに……純朴な文学少女が純潔の巫女に……)
宥「うん、咲ちゃん可愛いよ」ニコッ
巫女咲「は、恥ずかしいよ……」マッカ
憧「正直襲いたい」
巫女咲「!?」
憧「い、いけない……つい本音が」
穏乃「いや……でも……正直、凄く解る」
巫女咲「穏乃ちゃん!?」
玄「待つのです!襲うのはこのメイド服を着させてからなのです!」
巫女咲「順序云々の話じゃないですからね!?」
宥「その次はこの水着を」
巫女咲「なんで水着!?」
憧「グッジョブ!」b
穏乃「その上からジャージを着せれば……あーら不思議」
玄「防御力は上がったのに色気も倍増」ドヤッ
巫女咲「い、嫌ですよ?絶対に着ませんからね?」ニゲ
憧「おっと。逃げようとしたら、今この場で襲うから」
巫女咲「あれ……もしかしなくても監禁強か――」
憧「失敬な。軟禁和姦よ」
メイド咲「何一つ納得してないよ……っていつの間に!?」
玄「コレマデノウラミハラサデオクベキカ……」
メイド咲「ひっ!?」
宥「Freeze!動かないでね」つ水着
穏乃「じゃあ脱がせますよ」
憧「待った!写真とってから」つカメラ
ワイワイガヤガヤ
メイド咲「……私、なんでこのチームに入ろうと思ったんだろ……?」
3時間後
咲「もうお嫁に行けない……」シクシク
穏乃「さ、流石にヤりすぎたかも……日頃の麻雀での鬱憤を晴らすつもりが」
憧「大丈夫。もうお嫁に行けないようなことくらい何度もヤってるから」
宥「じゃあ問題無いね」ニッコリ
玄「……たまにお姉ちゃんの笑顔がとても怖いのです」
憧「ってもうこんな時間。今日はもう暗いし、観光は明日ね」
宥「そうだね……じゃあ、私達は部屋に戻るから」
咲「……へ?」
玄「ごゆっくり、なのです」
穏乃「じゃあ、また夕食で」
バタン
咲「……」
憧「……」
咲「……!」ダッ
憧「……!」ガシッ
咲「あ、憧ちゃん?この手を離してくれないかな……?」
憧「……ごめん。もう我慢出来ないから」
咲「ま、待って!ほら大会は明後日だし」
憧「じゃあコンディションを最高にしないと……」グイッ
食堂
穏乃「やっぱり……あの二人、降りてきませんでしたね」つケチャップ
玄「まあ、憧ちゃんは咲ちゃんを食べてるからいいんじゃないかな?」つハンバーグ
宥「あったかーい」つうどん
穏乃「……後で咲さんに夕食持っていこ。精の付く……」
すいません、なんか風呂場の水が止まらないので一端中断します。
ちょっと待って下さい……
叩いたら知らんけど直ったので再開します
翌朝
憧「Zzz……咲……」ギュッ
咲ちゃん人形「……」
咲「……」グッタリ
咲(死ぬかと思ったよ……)
憧「Zzz……」
咲「……」ムクッ
咲「あんまり麻雀から離れすぎると感覚が鈍るから……ごめんね、東京はまた回ろ?」ナデナデ
…………。
………。
雀荘
A「ロンなり!リーチ一発、7700!」
B「うへ……早いなあ……」
A 最終形
12378m678p5⑤789s 9m
棄て牌
8m4m西北発(リーチ)
C「ったく……三色まで粘れよ、詰まんねえな」
A「バーカ。麻雀は早さが命よ!ちんたら三色なんてやってられっか!」
B「こっちはつまんねえんだよ!ごめんね、せっかく東京に来てくれたってのに」
煌「いえいえ、お構いなく」スバラッ
煌「東京の空気に慣れるために来たのです。私は構いませんから」
C「そう言ってくれると有り難いが……」
煌(大会まであと1日……宮永照との衝突は避けられません。出来ることを……)
東 4 五巡目
煌 手牌
2445m2368p24677s 1p
店員(あらあら……。この子の手、ズタボロだ。急所だらけな上に今のツモでタンヤオも三色も消えた。両面から入った以上、平和も望み薄……)
A「ポンなり!」
A 副露
ポン中中中
ポン222m
煌(……マンズが溢れ出してる下家にリーチのみでケンカは出来ません……オリ!)タンッ
打 7s
店員(まあそうだろうな……)
6巡後
A「ツモ、2600オールなりぃ!」
4⑤68899m
ポン中中中
ポン222m
煌(なかなかに……すばらな和了形とは言えませんね。しかしこうもツモアガレては……)
スマホ「フォロミッフォロユッフォロミッフォロユッ」
煌「あ……すいません、ちょっと電話が代走お願いしても構わないですか?」
C「ああ、こっちは卓が埋まれば文句無いぜ」
煌「では、失礼して……」
…………。
………。
店員「えーと、今から私が入りますけど……」
B「いや、待った。一人待ち客がいるでしょ」
咲「……」つ本
C「そうだな……せっかくだし、可愛い子と打ちたいな」
店員「ですが……状況が状況ですし、入ってくれるかどうか……」
A「まあまあ。聞くだけ聞いてみてくれよ」
店員「解りました……」
店員「あの……」
咲「……」
店員「すいません。代走という形でなら、すぐに打てますが……」
状況
25000点持ち30000点返し
持ち点 14200
A 43800
B 20000
C 32000
東南戦 南場スタート
店員「これでよろしければ……」
咲「構いません。そこの卓ですね?」
店員「は、はい……」
店員(こんな状況で代走を引き受けるなんて……よっぽどの馬鹿か?)
南1 親 A
ドラ8m
咲 配牌
1233m3p26889s中西
ツモ 1p
咲「……」スッ
打 西
次巡
ツモ 1s
店員(お……三色の火種をツモった。ここは手広さと打点を考慮して、打中……)
打 1p
店員(ん……?いきなり三色を拒否?)
七巡目
1233m3⑤p1246789s 4p
店員(ツモ、4p……確かに結局は1pを払ってたんだろうけど……いきなり三色を拒否した理由はなんだ?)
A(ちっ……全然来ないなり)
A
88899m23567p南南南
店員(あ……この人もう張ってた。三色を引っ張ってたら親満にいきなり放銃……)
咲「……」スッ
店員(一方この子は一通の方で良形のシャンテン……この子、むちゃくちゃに上手い)
打 2s
店員「!?」
店員(今度は一通拒否!?狙いが解らない!)
次巡
ツモ 4p
その次巡
ツモ 3p
打 2m
133m3344⑤p46789s
店員(うわ……)
咲「リーチ」カラン
咲 最終形
33m33445⑤p46789s
店員(すげえ……あの配牌が満貫に仕上がった。5ソウは何枚生きてる?)
咲 棄て牌
西1p8s7p中4s2s
1s2m1m
A(ちっ……逃げられないのに変な牌引いちまったよ)
4m
A(あの棄て牌だと染めている可能性がある……4mは勿論、混一七対子が有り得る以上南も切れない。となると……)
A「中筋か?」
打 5s
店員(あ……)
咲「ロンです。裏は乗りませんが満貫です」パタン
A「カン5s!?」
B「それは両面移行を待ってのリーチじゃないか?」
B(そうしたらこっちの3-6-9sにズドンだったのに)
店員(何者だ……?)
咲「……南2ですね」
咲 手牌
33345m335p455s西西 4p
店員(お、今度は正真正銘の勝負手……三色を狙って……)
咲「……」スッ
打5p
店員(ま、まただ……なぜ三色に行かない?)
咲「……」スッ
ツモ ⑤s
打 4p
B(両面落とし……シャンポン選択かターツオーバーかは解らないけど、待ちはいい上に高そうだな)
咲「……」チャッ
咲「……」ニヤッ
店員(……)ドキドキ
咲「リーチ」
B「ポン!」
B(何としてでもこの局は流す……親被りだけは!)
咲「……」チャッ
咲「カン」
B(ん?)
咲「……嶺上ツモりました。」
33344m33p⑤55s 3p
カン 西西西西
B「す、四暗刻!?」
A「ざまあ!親被りで16000だぜ!」
C「……」
A「おい、どうしたよ?」
C「なんでもない……」
C(あの棄て牌……三色ならもっと早く張ってただろう……ただし、溢れ出る5sは俺の当たり牌だがな)
咲「……」
C(何者だ……)
煌「すばら~」
A「あ、さっきの子だ」
咲「では、代走は終了しましたので私はこれで」サッ
ABC「……」
煌「あら?皆さん表情がすばらくないですね」
C「い、いや……なんでも無い。今は南3だ。早くやろう」
煌「は、はあ……って点棒が物凄く増えてます!?」スバラッ
A「いいから早く!」
煌「はっはい!……てあれ?」
煌 配牌
23456m777p789s中中
煌「あれれ」
第一ツモ 1m
煌「す、すばらー!?」
ABC「」チーン
…………。
………。
竜華「」
浩子「」
怜「いやーたまたま咲ちゃんを見かけたがら、こっそり尾行してみたけど」
怜「凄いもん見れたなあ……」
怜(アカン……死んでまうで、これ)
浩子(あ、あきません……データを採るつもりが、謎が……打ち方が解らん……)
今日はここまで。ネトマやってたら地和で逆転されたので、後半はその腹いせに書きました。全体的に地味な麻雀となったのはだいたいそのせいです。
次回は咲の全国初お披露目です。では
今日か明日、投下します。
投下ー
咲『嶺上……ツモりました。16000オールの14本付け……首三つ頂きました』
…………。
………。
浩子(アカン……ホンマにマズいわ……対処法が何一つ浮かばない)ゲッソリ
セーラ「お、船Q。おはようさん」
船Q「あ、おはようございます」ペッコリ
セーラ「徹夜か?あんまり無理するなよ」
船Q「ウチらの初戦に阿知賀がいなければもう少し余裕は有ったんですがね」
浩子(昨日の抽選会、阿知賀はウチらと同じコートに入った……ただでさえ情報が少ないっちゅうのに……)
セーラ「しっかし凄いな。たった半荘一回打っただけで地区予選MVPとはな」ケラケラ
浩子「笑い事じゃありませんわ。確かに解ったことは幾つかありますけど、決定的な情報は何も見えて来ないんですわ」
セーラ「解ったこと?」
浩子「ええ……まず一つ、宮永咲はドラに頼った打ち方は一切しません」
セーラ「はあ?あんなけカンカン言ってれば新ドラ裏ドラざっくざくに決まってるやろ」
浩子「いえ……データを見た限り、宮永咲にドラが行ったことも乗ったことも有りません。ただの一度も」
セーラ「でもそれやとあの打点は……」
浩子「ええ、かなり手役に頼った打ち方です。ドラが絡まない以上、リーチも一発以上の打点は望めませんし……」
セーラ「手役派って言うやつか……。なら神代とかが参考になりそうやと思うけど……」
浩子「手役派……恐らくそれだけじゃないでしょうが……取りあえず、結論は今日の試合を見てからにしましょう」
セーラ「試合?」
浩子「今日なんですよ、阿知賀の初戦」
淡「スミレー。ちょっとテレビつけていい?」
菫「構わないが、何を見るつもりだ?」
淡「阿知賀の試合。いいでしょ、どうせ戦うんだし」
菫(淡がここまで言うとは……)
淡「……」ピッ
えり『各校の選手の紹介です』
えり『岡山県代表、讃甘高校。先鋒はエースで部長の新免那岐』
那岐『……』つ刀
カメラマンs『……』パシャパシャ
えり『福島県代表、裏磐梯高校。森合愛美。特技はスキーのスポーツ少女です』
愛美『……』キンチョウ
カメラマンs『……』パシャパシャ
淡「テルー。お菓子ちょうだい」
照「ポッキーでいい?」ハイ
えり『富山県代表は射水総合高校。先鋒を努めるのは、昨年の個人戦15位、部長の寺崎遊月』
遊月『……』タイゼン
淡(サキ、早く映らないかな?)ポリポリ
カメラマンs『昨年の15位……要チェックだ』パシャパシャ
淡「」ポリポリ
えり『奈良県代表の阿知賀女子学院。先鋒は宮永咲』
えり『……』
咏『って、それだけかい!?』
カメラマンs『……あれ?宮永選手は?』
カメラマンs『さあ……既に闘牌場の中に入ったんじゃ?』
淡「テルー。サキってどんな子なの?」
照「えっと……可愛くて、とっても麻雀が強い私の妹。あと凄く可愛い」
淡「ふーん」
照「私の妹」フフン
菫(そこは強調するのか)
えり『今、選手達が闘牌場に入場しました』
遊月(……あれ?一番乗りかと思ったけど……)
咲『……』
遊月(宮永……咲?)
遊月『あ、あの……何読んでるの?』
咲『……』ハイ
遊月(新聞?)
愛美『よろしくー』
那岐『よろしくお願いします』
遊月『あ、よろしく……』
咲『……では揃われたようなので、始めましょうか』パサッ
えり『一回戦、闘牌の開始です』
席
起親 遊月
南家 咲
西家 愛美
北家 那岐
東 1 ドラ 8m
遊月 配牌
234m2388p24679s北中
えり『起親の寺崎選手の配牌は……かなり良さそうですね』
咏『いや知らんし』
えり『♪』イラッ
咏『確かに初手からタンピン三色が見えるね。まあ、良くも悪くも手なりで進しかないんじゃね?』
えり『はあ……』
遊月(初手としては十分な手……確実にアガりたいし、張ってもダマだな)
8巡目
234m23488p24667s 3s
遊月(張った!しかもカンチャンから埋まってくれるなんて)タン
えり『寺崎選手、確定三色を聴牌』
咏『これはキツいねー。5sはともかく、8sが面子候補にならない阿知賀か裏磐梯が掴んだら出ちゃう牌だね』
えり『あ、宮永選手がいきなり掴まされました』
咏『っていきなりかよ!?』
咲『……』ジッ
3456m12389p113s北 8s
遊月(8巡目のダマ聴を回避出来る訳が……掴んだら出る!)
遊月 川
9p北南中発9s
6s
咲「……」フッ
打 8p
遊月(ぐっ……色違い……)
えり『え、えっと……宮永選手。8sを残して放銃を回避。三尋木プロ、これは……』
咏『……わっかんねー。普通に考えたらツモ切りか……仮に上家の聴牌を見抜いたとしても北切りでしょ』
咏(8sを止める根拠なんて6sの裏筋だから、くらいしか無いぜ?)
遊月『……』タンッ
咲『……』スッ
愛美『……』タンッ
那岐『……』タンッ
遊月(くっ……川が温くなってる!)
遊月 川
9p北南中発9s
6s5p7m⑤s
咏『あっちゃー。これじゃあもう5-8sは出ないね』
愛美(赤をツモ切り?じゃあもう親は張ってる?)
愛美 手牌
4⑤688m678p123s西西 8s
愛美(本当は切りたいけど……東1で親に振り込む事だけは避けないと!)タンッ
打 西
咲『……』ニヤッ
咏『あーあ。こりゃあもう流局だね。残りの5-8sは七対子をしてる讃甘が抱えちゃってるし。その讃甘もドラ単騎……親が掴んだら出るかも、くらいだね』
流局
遊月『聴牌』
那岐『聴牌』
愛美『ノーテン』
咲『ノーテンです』
えり『さあ、流れ一本場。先にアガるのは誰か!』
咏(先にアガる……いやもしかして、咲ちゃんは宮永照と同じ事を……?)
…………。
………。
竜華「どう見る、浩子?」
浩子「断定は出来ませんが……恐らく東1は様子見かと」
怜「それって宮永照と同じようなヤツか?」
浩子「さあ……ただそう考えると今の8s止めは一応説明がつきます。親の6s切りで聴牌を察して、二件リーチがかかったときのために北を残す……」
竜華「なら、こっから咲ちゃんの猛攻が始まるんか?」
浩子「恐らくは……」
愛美『ツモ、1000・2000の一本付け!』
遊月『ロン、3900!』
那岐『ツモ、1600・3200!』
遊月『ロン、2600!』
怜「……なあ、あっという間に東場が終わったんやけど?」
浩子「あっれー……」
怜「本番は南場から、か?」
南 1
咲『ツモりました。400・700』
千里山s「やっす!?」
遊月『?は、はい……』
遊月(あ、あれ……宮永咲ってこんなに大人しかったっけ?)
愛美(なんかもっと派手な事をする打ち手だと思ってたけど……)
那岐(確かに防御は堅い……でも、これなら怖くない!行けるかも!)
南 2
ドラ 4p
那岐 聴牌
3445⑤688p234⑤6s
那岐(よし!やっと勝負手が出来た!)
那岐『リーチ!』
那岐(確定跳ね満!一発と裏ドラ次第では……)
咏『ツモ番が回れば……ね?』
えり『三尋木プロ?』
咲『……』チャッ
111m12345789s中北 6s
えり『宮永選手も一通聴牌。リーチで追いかけるか?』
憧「いや、咲が追いかけとか有り得ないから」
穏乃「だよなー」
咲『……』スッ
打 8s
えり『?』
遊月『えっ?あ、ロンです!2000点……』
咲『……』チャッ
えり『これは……』
咏『差し込みだねー。跳ね満親っ被りよりは大分安く済んだねぃ』
遊月(や、やった……宮永咲から出和了出来た!これなら!)
南3
那岐『ツモ、2000・4000!』
愛美『あう……親っ被り……』
南4
愛美(一度大きな手を上がっておきたいな……)
235578m89p79s
愛美(何とかカンチャンが埋まれば……)
咲『……チー』
咏『ん?』
チー213s(遊月)
咲 手牌
456m79s東南中発白
咏『なんだろ、この鳴き……』
遊月(ペンチャンを鳴いた?なら役配バックか?)
遊月 手牌
1234m678p33456s中 発
遊月(オーラスでの振り込みなんて馬鹿らしいし、役配は抑えて打と)タンッ
打 1s
咏『おっ!これでラス親は一気に苦しくなったね』
えり『と言いますと?』
咏『えりちゃん、讃甘の手を見てみな』
那岐(鳴ければ早い手なんだけどな……)
1122m677s中中発発 南
咏『宮永があからさまな役牌を臭わせなければ、今頃混一役役の満貫だったね』
えり『……!』
那岐(仕方無い……七対子に切り替えだ)タンッ
咏『加えて山に一枚も無い南を抱えて七対子……こうなると』
4巡後
愛美『あ、ツモです!2000・3900!』
1235⑤678m68p678s 7p
咏『高い親被りがついて回る、てとこかね。知らんけど』
えり『~♪』イラッ
えり『前半戦終了!現在トップは射水総合高校、一方最下位の阿知賀は少し苦しいか?』
咏『え、そうなの?』
えり『400・700を一回アガっただけですよ。点差も結構……』
射水 102700
讃甘 101400
裏磐梯 99200
阿知賀 96700
えり『全然ついてない?』
咏『あの子一人だけ親被りしてないからねー。いやー凄いわ。400・700を一回アガっただけでトップと一万点以内の僅差に居るとか』
えり『……!』ゾクッ
今日はここまで。とりあえず咲さん可愛い。
>>719
最後の捨て牌
9p北南中発9s
6s5p7m⑤s
↓
9p北南中発9s
6s5p7m⑤m
に脳内変換願います。
近日中になんとか……
本当に遅れて申し訳ありませんでした……牌譜は出来てるから大丈夫だろうと思っていたら……
今から投下します
廊下
咲「……」
憧「咲ー」
咲「あ、憧ちゃん」
憧「ひとまずお疲れ様」
咲「うん、ありがとう」
憧「飲み物は……要らないよね?調子はどう?朝はあんまりって言ってたけど」
咲「うん……ちょっとずつ戻ってるよ。最後の方はなんとか聴牌出来たし」
憧「いや……あのツモと配牌だと普通は聴牌以前に放銃してるわよ……」
憧(最小限のダメージで切り抜ける……小鍛冶プロが評価した理由はこれなのかな?)
咲「そうかな……まあ、そろそろ私も攻めるからあんまり関係ないけどね」
憧「え……?」ビクッ
咲「後半戦……東2局は来ない……」ゴッ
憧「……!?」ビクッ
――インターバル終了です。選手の皆さんは対局室に――
咲「待ってて。すぐに戻るから」
憧(咲……)
…………。
………。
えり『後半戦が始まりましたが……三尋木プロ、この局、注目すべき所は?』
咏『咲ちゃんだね』
えり『と言いますと?』
咏『前半戦、あの場の誰よりも上手く立ち回った……その宮永咲が起家。仕掛けるならここだねぃ』
後半戦
東1 親 咲
ドラ2m
咲 配牌
11235m79p2337s北北中
えり『とはいうものの、宮永選手の配牌は……』
咏『う~ん……良くは無いねえ』
えり『一応ドラ面子が有りますが?』
咏『あの手牌だと赤が使いにくいんじゃね?赤牌切れば警戒されるし、普通は使い切りたいっしょ?知らんけど』
咏(特にあの子にドラが来ることは滅多に無い……赤牌は貴重な打点になってる)
えり『確かに……赤牌の受け入れを考えたら、第一打は……』
打 7p
咏『うん?』ニッコリ
咏(第一打で絞った?しかも7p9pで9pを残した……)
次巡
ツモ8p
えり『これは……大きく失敗しましたね』
咏『かもしれんね。とにかくこの局は失敗……』
咲「……!」ニヤッ
咏『!?』
咲「……」スッ
打 9p
次巡
咲「……」スッ
打 中
更に次巡
咲「……」チャッ
ツモ 北
咲「……」タンッ
打 北(ツモ切り)
10順目
咲「リーチ」スッ
えり『……(うわぁ……)』
咏『面白いことやるねぃ……』
那岐(リーチか……)
咲 捨て牌
7p9p中北西2s2m
北7s4m
那岐(あの捨て牌……まさか間4軒の3-6sやリーチ牌の裏筋を切る馬鹿は無いよね……でもドラアンコの勝負手だし……)
那岐 手牌
222⑤67m77788p⑤6s 6s
那岐(7pは現物だけど……8pも7pの完全な壁だしいいよね?)タンッ
打 8p
えり『あ……』
咏『あ……』
咲「一発です。12000」パタン
11225⑤m8p3366s北北
那岐「はあ!?」
那岐(なんでその捨て牌で8pが当たりなのよ!?)
咏『いやー……まさか8pをツモったところで迷わずチートイに向かうとは……』
えり『三尋木プロの言うとおり、赤もちゃんと使い切ってますね』
咏(というか、自然な流れで赤牌を使い切るには七対子しかなかった……)
咏(確かに結果的には七対子が一番早くて高かったけど、あの配牌から対子手をイメージ出来るヤツなんてプロにもそうは居ないぜ……)
咏『この子の麻雀、ホントわかんね……』
那岐(マズい……今の親満で一気に点差が……)
えり『宮永選手、一気に1位に浮上!』
射水 102700
讃甘 89400
裏磐梯 99200
阿知賀 108700
遊月(……遂にエンジンに火がついたか?)
愛美(なんだかそろそろ吹いて来そうな予感が……)
咲「……」ジャラ…
咲「では一本場……行ってみましょうか?」スッ
一本場
ドラ 発
8順目
愛美「……」チャッ
愛美(うっ……張ったには張ったけど……)
123m23478p344s南南 5s
愛美(赤もドラも無い手でリーチってどうなの……?)タンッ
咲「……」スッ
遊月「……」チャッ
遊月 手牌
123m4⑤99p46s中中発発 ⑤
遊月(よし!こうなれば9pは用済みだ!)タンッ
愛美(しまった!役無しじゃ当たれない!)
咲「ポン」チャッ
咏『……!』
遊月(9pをポン?役牌を牽制か……)タンッ
愛美(あー。9pがほぼ枯れた。リーチ後に6p出す人なんていないよね)タンッ
えり『森合選手、ダマ聴続行』
咏『ケイテンにとってのツモ狙い?だとしたらマズいね……』
咲「……」チャッ
咲「……カン」ニヤッ
遊月(9sカン……嶺上開花か!?)
咲「……」スッ
遊月(発生無し?じゃあただのカン――いや、違う!)
新ドラ 発
遊月(発がダブドラになった……余計なことを!こうなったらもう誰も発は打たな――)
咲「……クスッ」スッ
打 発
(!?)
遊月「ぽ、ポン!」
咲「……」スッ
遊月(よ、よし!何はともあれ倍満聴牌!)
123m4⑤9p4⑤6s中中
ポン発発発(咲)
遊月「通せっ!」タンッ
打 9p
愛美「……!」
愛美(しまったあ!リーチしてれば完全に打ち取りだったあ!)
咲「ロン、12000の一本場」パタン
咲 和了形
999m78p11s
ポン999p(遊月)
暗カン9999s
愛美「は、はあ!?」
那岐「ちょっと待て……」
遊月「それ最初の9pでアガってるじゃん!なにやってんの!?」
えり『三尋木プロ、これは!?』
咏『射水の9p対子落としを見抜いての高め追求だね……射水、讃甘は討ち取られ、裏磐梯も唯一のチャンスを逃した……か』
咏(これは決まったかもな……)
咲「リーチ」スッ
咲 捨て牌
東南発(リーチ)
遊月(速すぎ!?)
愛美(そんなもん解る訳ないでしょ!?)タンッ
咲「ロン、18000の2本場です」パタン
1199m11p11s白白発発西
愛美「んな!?」
咏(こりゃ完全に流れに乗っちゃったねぃ)
咲「嶺上自模。8000オールの3本付け……」パタン
79m789p789s 8m
暗カン1111m
咲「一発ツモ。12000オールの4本付け……」パッタリ
咲「嶺上開花。6000オールの5本付け……6本場です」スッ
三人(マズいマズい!手がつけられない!)
…………。
………。
咏『解説いる?』
えり『……いえ。多分要らないかと……』
咲「嶺上自模。16000オールの14本付け……裏磐梯、讃甘、射水総合の跳びで終了ですね?」
えり『し、試合終了……一回戦を勝ち残ったのは阿知賀学院……』
咏『勝ち残ったって言うより……いややっぱし何でもないわ』
咏(こりゃあ高校生が相手するのはちっと可哀想になるね……)
遊月「……」グスッ
愛美「……」シクシク
那岐「……」ポカーン
インターハイ初日
阿知賀女子学院
先鋒戦後半東一局14本場にて2回戦に進出決定
今日はここまで。
個人的に咲ちゃんの麻雀は書いてて楽しいです。
チャンタ大好きウーマンと化した
遅れてすみません。今週末にはなんとか
本当に遅くなってごめんなさいでした!書いたやつが気に入らなくて全部削除したらエラい目に……
廊下
「おい、聞いたか?第三コートが跳び終了したってよ!」
「は!?あそこまだ先鋒戦の途中だったろ!?一体何が起きたんだよ!?」
「わかんねえ……なんでも阿知賀のバカっ強が――」
ガヤガヤ……
咲「……」スタスタ
ガヤガヤ……
咲「……」スタスタ
憧「咲ー!お疲れー!」ギュッ
咲「あ、憧ちゃん?」
穏乃「私達もいますよ」
咲「穏乃ちゃん、皆さん……」
宥「お疲れ様」
玄「はい、お水だよ」
咲「あ、ありがとうございます」
穏乃「相変わらず格好良かったですよ、咲さん!」
咲「そ、そう?」アセアセ
穏乃「はい!同卓した人が可哀想になるくらいに!」
咲「……」ズーン
憧「でも格好良かったのは本当よ」
穏乃「後でさっきの勝利の鍵を教えて下さい!」
咲「……やだ」
穏乃「!?」ガーン
憧「咲、疲れてない?」
咲「あ、うん。ちょっと腕が痛いかな」
宥(そりゃ一人で14連荘もしたらそうなるよ……)
憧「よし、じゃあホテルに帰ったらマッサージしてあげる」
咲「え、そんな悪いよ」
憧「いいの。私だって何もする事が無いと暇なの……でも、その前に」グイッ
咲「へっ?ひゃあっ!?」
憧「えへへ……咲成分補充……」ギュー
咲「もう……」ナデナデ
玄(甘ったるい……)
宥(せめて人気の無いところでやってくれないかな)
憧(人気の無いところでやったら最後までヤっちゃうし)
宥(こ、心に入って……!?)
穏乃「おし!じゃあ一回戦突破を祝して打ち上げだ!」
憧「咲以外誰も打ってないけどね……」ズーン
咲「……あはは」ナデナデ
玄「で、でも油断はダメだよ?二回戦からはシード校も出てくるんだから」
憧「大丈夫!咲が負けるなんて有り得ないから!」
咲「憧ちゃん。玄さんの言うとおりだよ」
憧「さ、咲……?」
玄「ふふん」
咲「期待してくれるのは嬉しいけど、決勝戦で他校を跳ばすの流石に厳しいよ」
玄「いつ誰が決勝卓の話をしたよ」
憧「うう……ごめん、ちょっと油断してたかも」
玄「……決勝戦までが予定調和なことには突っ込まないんだね」
憧「私の嫁だから」フフン
咲「まだ嫁さん違います」フフッ
穏乃(可愛い……)
宥「さてと……実は祝勝会と観光を兼ねてケーキの美味しいお店を予約してあるんだけど……今から行く?」
憧穏玄「はい!」
…………
………
喫茶店
浩子「はあ……」
怜「疲れとるみたいやな」
浩子「あ、先輩……」
竜華「フナQがそこまで苦戦するなんて……そんなに咲ちゃんの麻雀は不思議なんか?」
浩子「いえ……確かに不思議ではあるんですが、それよりも打ち方の方が問題なんですわ」
怜「打ち方?咲ちゃんの麻雀は前半は小アガり、後半から爆発と違うんか?」
浩子「確かにそれっぽいんですが……あの打ち方、謎は前半にあります。これを……」
竜華「これは……今日の咲ちゃんの牌譜やないか」
浩子「ええ、先輩ならこの配牌から何を切ります?」
11235m79p2337s北北中
竜華「……普通に中やな。幾ら何でも1m切ったり7s切ったりして手を固定するのは無理や」
浩子「園城寺先輩は?」
怜「ウチも竜華と同じや。こっから七対子は思いつかんわ」
浩子「まあ、それが普通なんでしょうが……見方を変えると、この七対子はさして不思議でもないんです」
竜華「は?」
浩子「よく見なくてもこれ、3対子なんですわ」
竜華「……」
竜華(確かに……打点がどうしても欲しいとき、3対子あれば七対子に行くことも結構あるけど――あ!?)
怜「ど、どうしたんや?」
浩子「気付きましたね?」
竜華「そうや……この手なら七対子は充分に有り得る」
怜「は?」
浩子「ええ、字牌、孤立牌、カンチャンと三拍子揃ったこの手。門前では平和も怪しい上に致命的に遅い……」
怜(あ……なら、シャンテン数を一気に稼げる七対子はアリや。打点も有るし、何より対々という足がある)
竜華「でもこれ、デジタル的にはダメやろ」
浩子「ええ、いきなりカンチャンを払うとか普通は有り得ません」
怜「でも、決してオカルトじみた説明不能な打ち方でもない……確かに不思議やな」
浩子「恐らく、宮永咲自身は牌に愛された子なんでしょう。そうでなければ後半の鬼ツモ配牌は説明つきません。ですが、その強さの殆どは技術と理によって支えられているのかと……」
浩子(もっとも、その技術と理の部分が複雑過ぎて解析不能なんですけど……)
怜「牌に愛されただけでは飽きたらず、本人も強いとか……」クラッ
怜(アカン、死んでまう……)
竜華「怜!?」
ポスン
怜「ん?」
咲「……」ウケトメ
怜「さ、さ……」
咲「大丈夫ですか?」
怜「咲ちゃ――」
竜華「咲ちゃん!」
浩子「宮永咲!?」
咲「……」
咲(あ……なんだか面倒臭そうなことに)
10分後
竜華「そっかそっか~祝勝会でこの店にな」
浩子「他の阿知賀の選手は向こうに?」
咲「は、はい。あの、そろそろ……」
怜「はあ~咲ちゃんの太もももええな……」グテー
咲「あ、あの!友達を待たせてますから――」
竜華「はい、あーんや」ニコッ
咲「あ、あう……」アーン
浩子「なあ、宮永ちゃん。例えばこの手からなら……」
咲「え、えっと……」
怜「ほあ……」ツンツン
咲「ひゃあ!?」
竜華「あ、クリームが頬に」ペロッ
咲「ひゃうっ……」
浩子「じゃあこの配牌やったら第一打は――」
怜「はあはあ……」ツンツンスリスリ
竜華「はあはあ……」ペロペロ
咲「ひゃううう……ん?」
憧「……」
咲「」カタカタ
憧「こ・ん・や・は・ね・か・さ・な・い」
咲「」
…………
………
白糸台
咲『嶺上自模。16000オールの14本付け……裏磐梯、讃甘、射水総合の跳びで終了ですね?』
照「……」ピッ
咲『嶺上自模。16000オールの14本付け……裏磐梯、讃甘、射水総合の跳びで終了ですね?』
照「……」ピッ
咲『嶺上自模。16000オールの14本付け……裏磐梯、讃甘、射水総合の跳びで終了ですね?』
照「……」ピッ
咲『嶺上自模。16000オールの14本付け……裏磐梯、讃甘、射水総合の跳びで終了――
菫「いい加減にしろ」パシンッ
照「……痛い」ヒリヒリ
菫「そのワンシーンを何回再生すれば気が済むんだ?」
照「失敬な。これは研究」
菫「ほう?」
照「どのアングルが一番咲が可愛く写るか、姉として調べる必要が」
菫「……」つ弓
照「……て言うのは冗談」
菫「本当だろうな?」
照「本当。なんだか咲の麻雀、すっかり変わってたから」
菫「そうなのか?」
照「うん……昔は嶺上開花を軸に、隙は大きいけど華やかな麻雀を打ってた」
照(けど、今は……)
咲『一本場、行ってみましょうか』
照「……怖い」
菫「まさかお前の口からそんな言葉が漏れるとは……」
照「……鏡で見てみないと解らないけど、正直勝てるか怪しい」
菫「!?」
照「……菫には迷惑かけると思う」
菫「……。心配するな。今まで照がいたからここまで来れたんだ」フッ
照「菫……」
照(今まで陰険シャープシューターとか陰口叩いてごめん)ウルウル
菫「安心しろ。お前から引き継ぐ点棒、決して失いは」
咲『16000オール……首三つ頂きました』
菫「ひっ!?」
淡「……」ピッ
咲『16000オール、首三つ頂きました……』
淡「……」ピッ
淡「はあ……いいな、照ばっかし」ピッ
菫「……」
菫「シャープシュート!」
淡「ぎゃあああああああ!?」グサッ
今日はここまで。次回は第二回戦になります。
>>761
裏ドラ、カンドラありなのに、全部使用不可とかイミフな制限があるせいで……素点のあるチャンタがどうしても出張ってしまうんですよ……
今更だけど新オーダーって敢えて伏せてるん?
先鋒が咲で大将が穏乃なんだろうけど他が分からん
超強化されたアコチャーなら中堅のままの方が良さそうだけど
>>798
特に伏せてる訳じゃないですね……
オーダーは、咲、宥、憧、玄、穏乃で咲と玄が入れ替わっただけです
今日、投下します
インターハイ四日目 第二回戦
千里山 控え室
怜「ほな、行ってくるわ」
竜華「怜……」
浩子「すいません、先輩……結局詳しいことは解りませんでした」
怜「気にせんでええよ。うちの力ならそう簡単に負けることは無いからな」
浩子「先輩……」
泉「大丈夫ですよ!園城寺先輩の後には一年最強のウチが控えてるんですから!」
怜「泉、最高の応援やな」
泉「はい!」
怜(はあ……ウチがなんとかせな)
えり『開局10分前になりました。選手の皆さんは対局室に――』
怜「……行ってくるで」
対局室
怜(ウチが一番乗り……いや)
咲「……」つ新聞
怜「三日ぶりやな」
咲「……」
怜(咲ちゃん……噂には聞いていたけど、勝負間際になると豹変するというのは本当やったか)
咲「……どうぞ」サッ
怜(場決め……咲ちゃんは西か)タンッ
怜「仮東や」
怜(結局咲ちゃんの弱点どころか、あの時の言葉の意味も解らんまま来てしまった)
モブA「ちーす。あ、南っす」タンッ
モブB「うぃーす。北っ」タンッ
怜(でも、黙ってやられるつもりはないで!)
咲「……」フッ
えり『3……2……1……闘牌の開始です』
咏『始まったねぇ』
…………
………
えり『インターハイ二回戦。解説は一回戦に引き続き、今回も私針生えりと』
咏『私で解説するぜぃ?知らんけど』
えり『さて、東1ですが、親は園城寺選手。ドラは4mとなっています』
怜 手牌
123467m133p238s発東
怜(まあまあの手やな。上手く行けば一通まであるかな……?)タンッ
打 8s
えり『園城寺選手の手は、比較的軽い手ですね。一方宮永選手の手は……』
咲 手牌
35m1289p189s西北北中 1p
咏『相変わらずこの子の初手は悪いなあ。ま、本人は大して気にしてないみたいだけど』
えり『そうなのですか?』
咏『あの子、宮永照みたいに最初は様子見に徹するところがあるからね。むしろ降りやすい手の方が都合がいいんじゃねえの?』
咲「……」スッ
打 1s
咏『やっぱしね……この局は他の子を見た方が面白いかもしれんね』
8順目
怜 手牌
1234678m133p23s東 4m
怜(どうしよう……東を切れば1シャンテンやけど、生牌やからな……)
打 4m
怜(デジタル的にはアカンのやろうけど……)
次巡
1234678m133p23s東 5m
怜(来た……一通の1シャンテン。今度こそ東を切るか……いや、ちょっと1巡先を見ておこうか)
打 東の場合
モブA「ポン!」
打9m
同巡
怜
12345678m133p23s 2s
打 3p
モブA「ロン!5200」パタン
456m3789s中中中
ポン 東東東(怜)
怜(東から切ると放銃か……なら)タンッ
打 1p
次巡
12345678m33p23s東 4
怜「……」タンッ
打 東
モブA「ポン」
打 9m
怜「ロン。11600や」
モブA「はい……」ジャラッ
怜(東1局は成功……いや、あの様子やと咲ちゃんも東を止めての見か)
咲「……」ジッ
怜(一本場……どう出てくる……?)
一本場
ドラ 5s
怜 配牌
134⑤m89p23⑤8s東東北中
怜(打って代わって、今度は面倒そうな配牌やな……)
咏『うーん……東1でアガった割に配牌はイマイチだねぃ』
えり『そうですか?赤赤ですよ?』
咏『⑤sを使い切れるかわかんねーじゃね?ダブドラだし、処理に困りそうなんだよね』カミイジリ
怜(しゃあない……ゆっくり打ってみよか)タンッ
打 1m
咲「……」チャッ
咲 配牌
1122m44⑤p889s東北中 6p
咲「……」スッ
打 6p
咏『七対子に決め打ったか……スタートから4対子で飜牌をバラバラに持たされちゃ仕方ないか』
数巡後
怜
34⑤m889p236⑤8s東東中 7p
打 8p
怜(ツモの調子はまあまあか……出来れば東がアンコになってくれたら良かったけど……)
咲「……」チャッ
咲「……」
1122m344p88s中中東北 北
えり『宮永選手、七対子聴牌!3pか東の選択になりますが……』
咏『あの捨て牌なら3pのが良さそうだね。知らんけど』
咲 捨て牌
6p西9s2s7s⑤p北
咏『あの河なら七対子よりはマンズの一色手の方が怖いんじゃね?』
えり『なる程……』
咏『最も、字面通り3pを打つ緩い面子じゃないだろうけど……』
咲「……」スッ
打 3p
咏『取りあえずは生牌の東で仮聴か……』
えり『ですが取りあえず字牌単騎ですし、出アガりも狙えるのでは?』
咏『えりちゃん……』アキレ
えり『な、なんですかその目は?』
咏『生牌の飜牌だよ?リーチされたら、少し打てるヤツは絶対に打たないね』
二巡後
モブB(よし張った!)
モブB「リーチ!」タンッ
咲「……」チャッ
咲 手牌
1122m44p88s中中北北東 2s
咲「……」ジッ
モブB 捨て牌
発6s西中2p3m4s
6s(リーチ)
咲「……」フッ
打 2s
怜(!?)
えり『宮永選手、2sを強打!』
咏(強打とは違うね。あれは2sが通ると確信しての打ち方……まあ、実際に100パーセントの確信を持って通すのは少し難しいかね?)パタパタ
…………
………
えり『宮永選手、跨ぎ牌の2sを強打!』
穏乃「あわわ……あんな危険牌を……」アワアワ
憧「相変わらず咲の読みは鋭いわね……」
穏乃「読み?勘とかじゃなくて?」
憧「多分……ね。2sは跨ぎの牌で普通は通しにくいのは解るわよね?」
穏乃「ああ、大抵は1m辺りで回って……」
憧「まあね。ただ、咲はモブBの捨て牌をこう読んだんじゃない?」
西6s中発2p4s3m
6s(リーチ)
憧「あの捨て牌で6sが中発より先だった理由……配牌時点でドラドラの充分形だと咲は見たんじゃない?だから紛れを無くすための打6s……」
(ターツ)(ターツ)(面子)(面子)(雀頭)字牌
憧「大体こんな感じかな?」
憧(無論それだけで判断するのは咲でも無理だと思う……だけど、一旦は嫌った6sを聴牌まで引っ張った理由はかなり限られる)
憧(それは十中八九、後から6sの利用価値が出たことに他ならない……つまり、ドラがアンコになったということ)
憧(序盤の飜牌の乱切り、6sの早打ちから言ってもカン7sの受けを考慮して……と言うのも無いでしょう。4sの手出しも45か56への引っ付きを考えて残しただけ)
モブB 手牌
22789m111p55567s
憧(結果的に6sが来て打4s。7sが来たので打6sでリーチ……裏から見てたから解ったけど、あんな一瞬で解ることじゃないわよ……!)
憧(ただ、そこまで解ったのならこうも言える。待ちは5-8s、5sと何かのシャボ。役牌は絶対に切れない超危険牌だと)
憧(5sがアンコだと解った上で、あの捨て牌だと2sがロンできるケースは……①13s②2255567③3455567sの形がある)
憧(だけど、3sがあるなら打4sは有り得ないから①③のケースは考慮しなくていい)
憧(さらに22455567からの4sも有り得ない。555sを55sと頭として見たら、この時点で欲しいのはターツ。打4sはアガりから最も遠くなる最悪の一手。手順として2sは通る)
咲『……』ニヤリ
憧(……ん?待てよ……こんな読み、咲にしか出来ない。端から見たら押してきてるようにしか……)
…………
………
怜(咲ちゃんはドラ筋切って押してきてるな……)チャッ
怜 手牌
34⑤m789p236⑤8s東東中 東
怜(中は生牌……ソウズは6sがリーチに通る。けど、咲ちゃんには危険……ここは東のアンコ落としでええやろ)タンッ
打 東
咏『あちゃー……』
憧「あちゃー……」
咲「ロンです。1600の一本場……」パタン
怜「」
怜(……え?嘘やろ?アレが当たるんか……)
咲「……」クスッ
怜「……!」
怜(アカン!やっぱり咲ちゃんは化け物じみて強い!最初から全力でいかな……)
咲「では東2局、行ってみましょうか?」
咏(今のアガりも2sを押したから有り得たアガり……まさか、ね……)
短いですがここまで。捨て牌読みは書くのが面倒くさいです……
追記
なんかこのスレ内で終わる感じが全くしないので、二つ目に行くかもしれません……残り100スレくらいになったら麻雀描写の一括修正入れる予定です。
あと何スレ続ける気だww
>>824
なんスレやるつもりなんだよ……
100レスに脳内変換お願いしやす
>>1「私が書こうと思えば100スレだよ!」
俺「せやな」
期待して乙
遅くなってすいません。今日か明日かぐらいには投下します。
投下します
千里山 109700
阿知賀 101900
A校 88400
B校 100000
怜(落ち着くんや……今の咲ちゃんのアガり、決して突飛なモンやない。生牌の東をケアしただけや)
怜(まだ負けた訳やない!)
東2局
ドラ 北
怜 配牌
2345m135⑤7p133s北
怜(アカン……自風がドラや……北は鳴けんもんとして、いざとなったらこの手は見切らな……)タンッ
第一ツモ 6m
打 5p
えり『園城寺選手、いきなり5p切りスタート』
咏『知らんけどいいんじゃね?手広さで言えばドラ切りだけどさ』
咏(ただし、打北では二枚目のドラ引きが痛すぎる。それに1p切りも……)
3巡後
23456m13⑤7p13s北北 2p
咏(カン2pのツモに対応出来ない。配牌時点で雀頭候補は33sや2356m引きで既に充分有ったことを考えると、手を横に広げる5p切りは悪くない)
咏(ただし、この子が本当に手を横に広げるつもりが有ればの、話だけどね)
怜「……」タンッ
打 ⑤p
えり『これは……手を横に広げているのではなかったのですか?』
咏『いや知らんし』
7順目
怜「リーチ」
23456m123p123s北北
えり『園城寺選手、高め三色の三面待ちを聴牌!』
モブA(勘弁してよ……)タンッ
咲「……」コトン…
モブB「うっ……」タンッ
怜「……」チャッ
怜「一発高めや。3000・6000」
えり『千里山園城寺、跳ね満ツモ!他校を一気に突き放しました!』
咏『……やっぱりこの子は先が見えるみたいだね』
東 3局
親 咲
ドラ 5m
モブB(よし、やっと勝負手が来た!)
123⑤7m1339p23s中西
8順目
モブB「リーチ!」
モブB 捨て牌
中3p西3s9p南
2m⑤p(リーチ)
怜(遂に脇が絡んできたか……あの捨て牌、4pが通るか?)キィィィン
怜(通る、か……)タンッ
咲「……」ジッ
モブA「取りあえず現物を……」タンッ
打⑤p
咲「……」チャッ
咲 手牌
1122337s東東南西白白 2p
咲「……」スッ
打 西
えり『宮永選手は2pを切らずに現物で降りましたね。2pは打てないと見たのでしょうか?』
咏『いや……あのリーチには2pは押せないっしょ』
えり『え?でも3pが序盤で切れてますし、5pの筋ですよ?』
咏『序盤で3p切ったのに⑤pを残した理由は?』
えり『単に赤だから残したのでは?』
咏『3pとその後の字牌も全部手出しだよ?3pより字牌を手元に置く理由なんてあんまし無いぜ』
咏(自然な流れでの序盤の打3pは手格好はかなり限られる)
1 既に手が充分形
2 手が七対子
3 3pが完全な孤立牌
咏(しかし、Bは手出しの連続。とても充分形だったとは見えない。加えて三枚切れの9pや西を抱えた。七対子も無い……)
咏(残る可能性は3pが完全な孤立牌だったこと。でもその説も9pを長々と手牌に置いた理由を説明しきれない)
咏(更に⑤pを最後まで引っ張ったことにも引っかかる。仮に5pが完全に用無しだったとしよう。考えられる聴牌形は、78p、79p、23p、13pの待ち)
咏(このうち、78pは9pフリテン、23pは4pを千里山が通してる、9pは全枯れだから13p以外考えなくていい。逆に言うと⑤pは筋引っ掛けの種と言える)
咏(そうなると待ちに5pが絡む可能性も出てくる。真に警戒しないといけないのは13p、57pの二種。それにシャボもある)
咏(パッと考えただけじゃここまでしか思いつかねえけど、ピンズの筋は危険過ぎるねぇ。もっとも……)
モブB(この捨て牌ならつい筋を追って2pを打ちたくなるでしょ)ニヤニヤ
咏(当の本人はご満悦みたいだけど)
咏(そうなると待ちに5pが絡む可能性も出てくる。真に警戒しないといけないのは13p、57pの二種。それにシャボもある)
咏(パッと考えただけじゃここまでしか思いつかねえけど、ピンズの筋は危険過ぎるねぇ。もっとも……)
モブB(この捨て牌ならつい筋を追って2pを打ちたくなるでしょ)
咏(当の本人はご満悦みたいだけど)ヤレヤレ
咲「……」
2p1122337s東東南白白 6p
咲「……」スッ
打 7s
咏(やっぱし……咲ちゃんも私と同じ結論に行ったか)
モブA「現物……」タンッ
打 5p
咏(5pが全枯れ、これで6pも切れるから必然的に待ちは13pになった)
15順目
咲「ツモ……4000オール」パタン
22p111234s東東白白白 2p
モブB「!?」
モブB(嘘……当たり牌をがっつり押さえられてた!?)
怜「あー。最後の2pがそっちに行ったか」パタン
8899m112p4477s南南
モブB「そ、そんな……」
モブB(こんなの……二人とも普通じゃない!当たり牌をバンバン避けながら手を進めるなんて……)
咲「一本場です」スッ
えり『宮永選手、ここで大きく浮上しました!ここからいつもの流れに行ってしまうのか!?』
咏『いや、それはないんじゃね?』
えり『いや、私に聞かれても』
咏『宮永が仕上がった状態になるのはもっと別のところなんだよねぃ。少なくとも園城寺も負けては無かったから流れは五分五分くらいじゃね?』
東 3局 一本場
怜「一発ツモ。2000・4000」
怜 和了形
1122p115⑤6s南南東東 6s
えり『園城寺選手、今度は6s単騎を一発ツモ!阿知賀にシード校の強さを見せつけています!』
咏『なるほど……宮永と言えど単騎の待ちを当てることは不可能に近い……ツモと出アガり、どちらも狙える園城寺に分があるかね』
咲「……」ジッ
東 4局
ドラ 9p
8順目
咲「……」チャッ
咲 捨て牌
1p西北9s東発9m
5p
怜(この順目であの捨て牌や。字牌の手出し連続から言っても咲ちゃんに手が入ってるんやろ……)
咲 手牌
2345⑤67m444p234s
えり『宮永選手、2-5-8m待ち聴牌』
怜「……」チャッ
怜 手牌
24m456779p4⑤678s 5m
怜(5m引きで絶好の1シャンテン……普通なら2m切りやけど……)キュィィーン!
打2mの場合
咲「ロン。2600点です」パタン
怜(2-5mには触れんか……)タン
打 9p
怜(この手は2mが切れないと死んだも同然……咲ちゃんが待ちを変えてくる以外にはアガれない)
次巡
B(よし、とりあえず張ったしこれ切っとこ)タン
打 2m
怜(それは咲ちゃんの当たり牌や!)
咲「……」
怜(動かずやと?脇からロンする気は無いってことか……なら、遠慮無く切らせて貰うで)タンッ
打 2m
咲「……」
えり『宮永選手、同巡フリテンにつき園城寺選手の当たり牌を見逃し!』
怜(よし、これでなんとか闘える形になったわ)
怜 手牌
456m45677p45678s
えり『園城寺選手、またしても高め三色を聴牌!』
咏『これで園城寺が脇からアガったら興醒めだけど……』
A「……」タンッ
打 9s
咏『3900をアガらず……あくまで宮永との勝負か』
咲「……」チャッ
2345⑤67m444p234s 5s
咲「……」スッ
打 5m
咏『宮永は待ちを変えたか……反応出来るのは園城寺だけだね』
怜「……」チャッ
456m4⑤677p45678s 5s
怜(この局面で5s……ツモ切れるか?)キュィィーン
咲「ロン。2600点です」パタン
怜(ダメや……8s切るしか無い……)タンッ
怜 手牌
456m4⑤677p45567s
次巡
咲「……」チャッ
234⑤67m444p2345s 6s
咲「……」スッ
打 4p
怜「……」チャッ
456m4⑤677p45567s 7s
怜(アカン……1巡先を見るだけじゃ咲ちゃんに追いつけん……ダブル、2巡先や!)キュィィーン!
怜(打7sは放銃……5s切りで聴牌維持や)タンッ
打 5s
えり『園城寺選手……7pと7sのシャボにして放銃回避……』
咲「……」チャッ
234⑤67m44p23456s 7s
打 4p
怜「……」チャッ
怜(三面待ちをもう一度聴牌や!)ゼーゼー
456m4⑤677p45677s 8s
打7s
咲「……」チャッ
234⑤67m4p234567s 3s
打4p
次巡
咲
234⑤67m2334567s 6s
打 7s
怜(ぐっ……タッチの差で……!)チャッ
456m4⑤677p45678s 4s
怜(も、もう一度……あぐっ!?)ズキンッ
怜(アカン……力使いすぎたみたいや……けど、ここで咲ちゃんを走らせたら嶺上の嵐や)ゼーゼー
怜(行くで……!)キュィィーン!
打 8s
えり『お、園城寺選手……シャボにして宮永選手の待ちを回避!』
咲「……」チャッ
234⑤67m2334566s 7s
えり『な、なんですか……この麻雀は……?』
咏『わっかんねー!二人とも待ちをくるくる変えながら当たり牌を止め合ってるよ!』キャハハ
咲「……」スッ
打 6s
怜(また前巡のロン牌を……!)ゼーゼー
怜 手牌
456m4⑤677p44567s 3p
怜(ダメや……手が進むごとに待ちが悪くなっていく……)タンッ
打 4s
咲「……」チャッ
234⑤67m2334567s 8m
打 2s
怜「……」チャッ
456m34⑤677p4567s 2p
打 7s
怜(これが最終形……最悪や。4pは全枯れ、1p7pも五枚死んどる……)
咲「……」チャッ
234⑤678m334567 1m
打 7s
咏『軍配が上がったね』
えり『ええ……宮永選手の3-6-9mは高めこそ一枚しか有りませんが、五枚とも山の中です』
咏『最終形の完成度も比較にならない……園城寺は流局で万歳だね』
流局……
怜「聴牌」パタン
咲「聴牌」パタン
A「の、ノーテン……」
B「ノーテンです……」
怜(……初めてや。一巡先の更に先を行く打ち手は……)ゼーゼー
咲「……」
怜(南入……体保つんか?)
今日はここまでです。
何気に今回の牌譜が一番疲れました……そしてまだ東場という――
852 :夕日 ◆wGeTM3sSq8Bs [saga]:2015/12/27(日) 21:24:53.66 ID:xYRNDtgAO
咲「……」チャッ
234⑤67m44p23456s 7s
ここだけど、自摸アガリできてるね。あえて上がらないことで怜を消耗させる作戦か?
>>862
一番やってはいけないミスを……
流石にこの修正は難しいので、暫くの間は和了しなかったということでお願いします……
咲ちゃんに関してですが、手を抜くよりは本気でやった方がいいかと思って書いたのですが……こんな牌譜が成立するキャラも怜と照くらいしかいませんし
848 :夕日 ◆wGeTM3sSq8Bs [saga]:2015/12/27(日) 21:10:39.63 ID:xYRNDtgAO東 3局 一本場
怜「一発ツモ。2000・4000」
怜 和了形
1122p115⑤6s南南東東 6s
これ、一発自摸ならリーチ一発ツモ七対子赤1で跳満。3000,6000では?
⑤が赤ならですが。
すみません・・・スマホに換えたら打ちにくくて筆が進まず・・・
麻雀描写は慣れるまで時間がかかりそうなので、それ以外の部分を今日か明日投下します
失礼トリミス
あれ、酉が……
すいません遅れました。今から下ろします
白糸台控え室
淡「てるー、お菓子これで良かった?」
照「違う……うにじゃくてタラコ味――」
淡「なんか新商品ってあったから買ってきた」つじゃがりこ
照「……」
菫「淡、頼んだコーヒーは?」
淡「ふふん、勿論買ってきましたとも!」つブラック
菫「ぶっ!?」
照「淡、前にも言ったと思うけど、菫はブラックは――」
菫「いや、何も問題無いが?」キリッ
菫「……」ニガイ
淡「♪」ジマンゲ
照「淡を買い出しに行かせても誰も幸せになれない……」
菫「今度から買い出しは持ち回りにしよう……」
照「うん……」
淡「別に良いのに!この淡ちゃんに頼ってくれても!」
照菫「……」
淡「あ、そうだ。サキの試合はどうなってる?もう終わっちゃった?」
照「いや、まだ前半戦が終わっただけ。点差もそんなについてない」
淡「ふーん。サキも大した事無い――」ハッ
照「……」
淡「サキが手間取るなんてやるじゃん千里山の先鋒!」アセアセ
照「まあ、確かに。今までの試合と比べたら抵抗されてる。ただ……」
菫「試合は終わってないが、勝負はとっくについてると言った方がいいか」
淡「あわ?」
※
えり「先鋒後半戦、開局です」
怜「……」ゼーゼー
咲「……」
ドラ 8p
咲 配牌
333m34567p2234s北
淡「なにこの配牌!?」
第一ツモ 2m
咲「……」スッ
打 北
菫「淡がこの子の試合を見たのはどこまでだ?」
淡「東場まで。なんか手がクルクル変化してて目が痛くなりそうだった」アワッ
菫「ああ、そこまでは見たのか」
淡「その後何が有ったの?」
菫「なにも」
淡「?」
菫「東ラスと同じような展開が何度も続いただけだ」
淡「うわ……」
照「オーラスまでは園城寺さんも食らいついていたんだけど……」
前半戦 オーラス
8巡目
怜 手牌
23455p335678s
ポン発発発
菫「淡、この手ならお前は何を切る?」
淡「うーん……場にも拠るけど、3sじゃない?」
淡(5p3sのシャボじゃツモも期待出来ないし、一旦ケイテンにした方がいいよね)
菫「ああ、手の変化を受け入れるならタンヤオ牌のカンチャンは寧ろ良形だ。だが……」
淡「まさか……8s切っちゃった?」
菫「そのまさかだ。その後に園城寺は6sをツモ、しかしシャボで手を固めた以上6sが使えずにツモ切り。次巡、4sをツモリ、フリテン三面待ち」
一方、咲の手牌
8巡目
23455677m677s中中中
淡「サキの手牌がこれか……聴牌にとるなら6s切りだけど……ムム……」
淡(打点は兎も角待ちが悪すぎるね……)
淡「へ……あ、なるほど」
淡(聴牌にとると5-8s引きが痛すぎる。けど打7sとしておけば一手遅れるけど聴牌形は文句無く両面……サキ、やるじゃん)
淡「何だか展開が読めてきたよ。次巡かその次くらいでサキも赤5sをツモって三面待ち。で、当然園城寺の三面が負けてサキの勝ちパターンってわけだね」アハッ
菫「ああ、放銃だけはしてないが完全に競り負けた形だ」
照「今までかろうじて繋がっていた園城寺さんのツキがさっきの放銃で枯れた。多分、もう勝ち目はない」
淡「はあ……いいな、照ばっかり強い相手と闘えて」
照「姉の特権」フフン
※
怜(冗談やない!このまま負けて堪るか!)
三巡目
怜 手牌
45789m2246p⑤6s中中
怜(手が完全に死んだわけやない……中を鳴ければ速攻で流せる!)
咲 河
北2s2p(リーチ)
モブB(こんなん読めるか!当たっても交通事故だ!)タンッ
打 中
怜「ポン!」タンッ
打 2p
怜(どうや……これなら現物を切った上で手を進められる。白旗振るにはまだはや――)
咲「ツモ。3000・6000です」
咲 最終形
2333m234567p234s
怜「なっ……!?」
咏「今のは園城寺が悪いね。真っ直ぐ向かって行くなら兎も角、2pを落としたら頭が無くなるぜ」
咏(仮に今の手、鳴かずに中か2pを落としていけば結果は変わっただろうに……同巡、Aのツモが5sだから園城寺はこの一シャンテンにも取れた)
45789m22456p⑤6s中中
咏(この手なら中を落としていけば平和ドラ一になって勝負出来た……完全な鳴きミスだね)
怜(敗因は軽率な鳴きか……?)
東二局
怜(さっきは結果を急ぎすぎた。けど……)ゼーゼー
怜(前半戦で力を使いすぎている……長期戦はタブーやし、次に二巡先を見たら間違いなく倒れる)
ドラ 9s
怜 配牌
12467m33678p89s西
怜(ミスは許されん……好形のピンズで勝負や)タンッ
打 1m
次巡
24678m33678p89s西 5p
怜「……」タンッ
打 9s
えり「園城寺選手、手を決めましたね」
咏「この局面じゃドラの一飜より良形の聴牌が欲しいからね。知らんけどいいじゃね」つセンス
9巡目
2678m3335678p西西 西
怜(来た……変則三面待ち。まだ咲ちゃんにリーチは入ってない)
咲 河
9s9p発2m1s白3p
7s北
怜(あの捨て牌の感じやと、役牌の処理にまだ二三手はかかりそうか……2mは現物やし、この手はツモ以外上がれる手やない)
怜「リーチ」タンッ
怜(それにこの手は一発ツモや。リーチで構わん)
咲「……」
怜 河
1m9s8s北中4m7s
9m2m(リーチ)
咲「……」スッ
打 1p
怜(いきなり無筋?あの捨て牌でなんで1pがまだ手にあるん……し、しまった!)
モブB(えっと、7pが現物で1pも通ったから……)
モブB 「中筋」タンッ
怜「ろ、ロンや……一発と西で5200――」
咲「頭跳ねです」スッ
咲「180000です」パタン
4⑤6m⑤666p4⑤6888s
モブB(た、高い……)
怜(やられた……!あの局面でナチュラル安牌の北じゃなくて1sを残したんや……オナ聴にして頭跳ねする気やったんや!)
怜「一体何手先まで読んで麻雀打ってるんや……?」
咲「……」クスッ
モブAB「ひっ……!」ゾクッ
咲「では、一本場。何手先まで読めるか試してみましょうか」
怜(すまん、みんな……うちの手に負える相手やなかったわ)
すいません。今日はここまでです。
スマホ投稿は初めてで、分量調整が良く解んなくて大分手間取ってしまいました……少しテストスレで練習してきます。
それと、大分お待たせしてすいませんでした。
乙
ブラック飲めない菫さん可愛い
すいません、一文だけ挿入し忘れが有りました……
>>917の一番最後
照「咲はこの形から7sを切って一シャンテンに戻した」
今回はミスが多すぎましたね……反省
お待たせしました。今日、投下予定です。
ただ、振り替えって見たところ、色々ミスがあったので先にそっちの修正をしてからになります。間違いが多くてごめんなさい。
>>49
手下の手(頭がありませんでした)テヘッ
正しくは
123m23p11123s中中中
>>749
222⑤67m77788p⑤6s 6s
↓ではなく
2223⑤67m7778p3⑤s 4s
この形からより安全な8p切りで勝負に行ったことにしてください。
>>750
咲ちゃんの手がおかしくなってました。
11225⑤m8p3366s北北
↓正しくは
11335⑤m8p3366s北北
>>752
123m23478p344s南南 5s
という手牌が有りましたが、こっから4s切りはダメでした……リーチ掛けないのなら南ポンを考慮して5sはツモ切り、従って以下のように愛美の手は進行しました。
123m23478p344s南南
こっから聴牌にとってリーチをかけていれば、というたらればが有りました。
>>820
ちょっと言葉数が足りませんでした……
5sがアンコな状況ですが、モブBは5sをアンコとして使うつもりはなかった→55s頭、⑤sへの引っ付き期待という手です。
しかし、河で4s6sと落としており、更に4sの出も早いです。つまりソウズの下の伸びよりは上の伸びを重んじた訳です。しかし、その理由も手格好もまた限られます。理由を細かく説明しようとすると、あまりに長大な文となるので省きますが、簡単に書くと
3455567sからの②の待ちを考慮したとき、河が手順上考えにくい格好になっており、2-5-8待ちは考慮しなくても問題ないということです。それよりも、現実的には役牌などの待ちが怖いですし……
>>848
>>871
怜「一発ツモ。2000・4000」
怜 和了形
1122p115⑤6s南南東東 6s
これ、一発自摸ならリーチ一発ツモ七対子赤1で跳満。3000,6000では?
⑤が赤ならですが。
おっしゃる通りです……赤は余計でした。
>>922
怜の手牌を
2678m3335678p南南 南
からの2m切りとして、席を東から咲、怜、A、Bとします。これで、頭跳ねの問題は解決されたと信じます……
>>923
咲「頭跳ねです」スッ
咲「180000です」パタン
↓正しくは(180000wwww)
咲「頭跳ねです」スッ
咲「180000です」パタン
でしたね。
一応修正はこれにて終了です。何か修正仕切れてない所を発見されたら、指摘してくださると助かります。
本編は、あと少しだけ待って下さい……
やっぱり18万じゃないか!
>>949
しょ、勝敗には影響しないですし……(震え声)
すいません。ちょっと所要で病院で検査したら「心臓に異物有り」という心臓に悪い診断が出て、手が動きませんでしたヨ……
今から投下します
咏(不思議なもんだね……麻雀ほど勝負の見えた試合がつまらなくなるゲームもない。観客も二位と三位の点差が決定的に離れだしたら興味を無くす……なのに)
「おい、阿知賀は今何点差だよ……」
「今聞いてどうするんだよ……もっと広がるぜ」
咲「……」スッ
モブA「ポン!」タンッ
咲「……」スッ
モブA「それもポン!」
咲「では、リーチです」コトン…
モブA 手牌
4468m 1s
ポン 999m(咲)
ポン 中中中(怜)
ポン 発発発(咲)
咲 河
1p西北(9m)8m5s(リーチ)
モブA「あ……あぐぅ……」
モブA(ヤバいヤバい……1sはリーチの裏筋で切れない!
)タンッ
打 8m
咏「ありゃりゃ。三副露もしたらどうせ逃げ切れないんだし、押した方が良かったかもしれんね。一応満貫はあったし」
えり「なまじ現物が有ったのが災いしました結果ですか」
咲「……」スッ
モブA(あ、安牌が増えない……)
446m1s 7m
モブA(あんな捨て牌じゃ河を読んだって無意味だ……じゃあ、)
モブA「一枚通れば二枚……」タンッ
咲「通りません。ロンです」パタン
1235556888m発発発
咲「安目ですが満貫、8000点です」
阿知賀 193800
千里山 105000
B 70000
A 31200
咏「目が片時も離せないのは何でだろうね……」
怜(……カメラ越しと実際に見るとじゃ大違いや。一巡先を使っても放銃しないようにするだけで手一杯や……)ゼーゼー
咲「アガって二度目の親を引きました……南二局、私の親です」
咲「……!」ニヤリ
咏「!?」
えり「三尋木プロ?」
咏(今の感覚は……間違いない。私の勘違いじゃなきゃ、この局……何かが起きる!)
※
南二局
ドラ 6s
咲「……」
咲 配牌
12389m1113p東東南白 9s
咲「……」スッ
打 1p
次巡
咲「……」スッ
打 1p
更に次巡
打 3m
7巡目
咲「リーチ」スッ
咲 河
1p1p3m2m8m北5p8s(リーチ)
※
モブA(な、なによあの河……ソウズ一色手?)タンッ
モブB(しかもリーチ……トップ目がすることじゃない!でも……おかげでソウズをもう切らずに済む)
怜「……」
モブB 手牌
34⑤67m349p3455⑤s 8m
モブB (丁度親リーの現物待ち……この手をアガり切って次に繋ぐ!)タンッ
咲「――ロン――」
モブB「え……?」
モブA「当たった?タンヤオ安目とか?」
咲「いいえ」パタン
咲 手牌
19m1p19s東東南西北白発中
モブB「ァァ――!?」
咲「そちらの方の跳びで終了です」
モブA「う、嘘……そんな……じゃあ」
えり「試合終了です!準決勝進出は二度目の出場となる阿知賀女子学院と昨年の準決勝校千里山高校です!」
モブA「私達はここで終わりなの……?最後の年だったのに……?」ヨロヨロ
モブA「あんなに一生懸命頑張って……夜遅くまで頑張って来たのに……」
咏「モブAは少し可哀想だね。状況は不利とはいえ、あの時点でBが跳ぶとは思ってなかったんじゃね……跳ぶにしてもあと一回か二回は時間があると見積もって手作りをしてたから……」
咏(千里山は勿論、Aもこの局は勝負に来ないと踏んでBを狩に行ったか)
モブA「ああああああああ!」ガシガシ
咏(ただ、千里山も勝ったとはお世辞にも言えねえよな……)
怜(勝った……?千里山が……?な訳あるか!)
怜(う、ウチは……負けなかっただけや!)ギリッ
怜(戦えていたのは前半戦まで――それも受ける一方……後半戦からは完全に蚊帳の外や……)
竜華「怜!」
怜「りゅ……か……」
竜華「大丈夫か!?」ダキッ
怜「うん……」ギュッ
怜「悔しいなあ……」ボソッ
竜華「え……?」
怜「セーラにエースを柚ゆずっ譲ってもろうたのに……悔しいわ……」
怜(強くなりたい……強くなっていつか……咲ちゃんと本当の勝負をしたい……)
怜「胸張って……千里山のエースだって言えるようになりたいわ……」
阿知賀控え室
憧「……」
穏乃「……」
シーン……
咲「え、えーと……準決勝進出、おめでとう?」
穏乃「いや、打ったの咲さんだけなんですけど」
咲「」ギクッ
憧「て言うか今のところ、全部咲一人で終わらせてるわよね?」
咲「」ダラダラ
憧「ねえ、私言ったわよね?咲と一緒に全国に行きたいって。応援に行きたいなんて一言も言ってないわよ?」
咲「い、いや……憧ちゃん達が居るから私も心置きなく戦えていると言うか……」
憧「物は言いようね」ハァ
宥「第一、咲ちゃんは気持ち一つで強くなったりするタイプの打ち手じゃないでしょ」
穏乃(微に入り細を穿つような打牌……確かに咲さんの打ち方ってオカルトではあるけど、友情努力勝利みたいなもんでもないんだよな……)
咲「いや、私なんかより宥さんや玄さんの方がよっぽどおかしいですからね?逆転されないよう流れもツキも根こそぎ奪った筈なのにどうしてオーラスで満貫手が作れるんですか?」
玄「そんな無茶しないと勝ち目がそもそも無い咲ちゃんの方が意味不明だよ……」
咲「酷い風評ひが――」
憧「ん?どうしたの?」
咲「ご、ごめん……ちょっとおトイレ……」
憧「ついて行こうか?」
咲「ううん、大丈夫。すぐそこだから」バタン
憧「直ぐに帰って来てよ。早く帰って三日後に向けての準備するから」
咲「うん」
10分後
咲「ここどこ……?」グスン
今回はここまで。次スレ立ててきます。
すみません、前回とは別件の事で入院しておりました。
このスレにつきましてはは残りが微妙なので、雑談なりに使って頂いて構いません。埋めて頂けると助かりますし。
もう後二三日中に更新します。
このSSまとめへのコメント
正直つまらんと思ったのは俺だけか?
咲ssでトップ3に入るくらい好き!
最後まで期待してます!
※1
そりゃ京豚のお前はつまらんだろうな