たまにはシンプルに
せっかく立てたのに誰もレスしてくれないお(´・ω・`)
唯「と言うとでも思ったか!たわけ!」
梓「この童、言いおるわ」
唯「では見てやろう!お前の苦痛に歪む顔をなぁ!」
唯はやにわ立ち上がると、右フックを梓の腹に叩き込んだ。
唯「イヤー!」
梓「グワー!」
梓は「くの字」に体を折り、前屈みの姿勢になった。
唯「さあ、近くでもっとみせてみよ!」
唯は屈んだ梓の上に覆い被さり、両手を廻してクラッチした!
ナムサン!これは、ジュー・ジツで禁じ手とされる大技!パワーボムの構え!
唯「イヤー!」
雄叫びめいたカラテシャウトを発した唯は、軽々と梓の全身を持ち上げた!
対する梓は・・・梓は頭を前側に丸め込み、防御体制をとった。
パワーボムは実際隙が大きいワザであり、そのままトライアングル・チョックやF・シュタイナーに持ち込めば
あるいは逆転する可能性もある。
だが、彼女は甘んじてパワーボムを耐えきるつもりなのだ!
ゴウランガ!レスラードクトリンに則った、奥ゆかしいウケの精神!
かのマウント斗馬・アントニオ猪狩が遺した哲学めいた言葉
「骨を切らせて肉を断つ」
を、実践しようと言うのか!
唯「イヤー!」
おお、ブッダ!唯はあざ笑うかのように、梓を地面に叩きつけた!
KABOOM!!轟音が部室にこだまする!
唯「フハハ!先刻の威勢はどうした!エエッ?」
唯はパワーボムを決めた後もワザを解かない。スリーフォールを数えるジャッジもいないというのに!
唯「いいザマだなぁ、エエッ?」
これは!ナムサン!マングリ・フォーム!本来隠すべき部位が露見しているではないか!おお、アグネス!また寝ているのですか!
唯は満足げな表情で、梓に顔を近づけた。苦痛に歪む梓の表情を、出来るだけ間近で見るために!
梓「ブシュー!!!」
唯「アババー!!!!」
ナムサン!何が起こったのか!?
おお、ナムアミダブツ!!なんと梓は、口から緑色のミストを吐き出したのだ!
これはかつて全米を恐怖に陥れた伝説のプロレス・ニンジャ、G・カブキ親子のヒサツ・ワザ!ドク・ギリだ!
唯「アババ・・・グワー!」
思いがけず至近からドク・ギリを受けた者に、とれる行動は限られている。
一般人・レスラー・スモトリの区別なく、ワザを解き悶え苦しむしかないのだ。
梓「イヤー!」
梓は立ち上がるやカラテチョップを2回繰り出し、悶える唯の襟首とスカートを掴んで持ち上げた!
さらに空中で半回転!そのまま立てた膝の上に叩きつけた!
唯「グワー!ナンオラ・・・グワー!」
衝撃と眼の激痛により、唯は身動きが取れない!唯は本能的に腕と足を畳み、防御体制を取った。
ジュー・ジツのアンタイ・ネワザの基本体勢だ。
これではサブミッションを仕掛けられない!梓は決め手を欠いてしまう!
梓はティーポットの中の、煮えたぎる紅茶に目をつけた。まさか!
梓「センパイ、お茶が入りましたよ!」
唯「なん・・・グワー!」
無慈悲!なんたるマッポー光景か!梓は高温の紅茶を、唯にぶちまけたのだ!
唯「アババー!」
唯は思わず立ち上がり、熱湯攻撃から逃れようとした!だが、唯の視界は封じられたままだ!
唯「グワー!」
当然唯はバランスを崩し、ドラムセットに頭から突っ込んだ!
唯「アバ・・・アバババ・・・」
未だ回復する兆候もない視界、ナゲワザとドラムセットのダメージ。
唯は、いまの自分の体勢すら把握出来なくなっていた。
ズズズ・・・ズズズ・・・
何の音だろう?周囲で何かを引きずる音がする。
ズズズ・・・ズズズ・・・
ガラガラガラ・・・
今度は金属を散らかす音だ。
そして唯は、自分が突っ込んだはずのドラムセットが周囲から消えている事に気づく。
唯「これは・・・」
ようやく回復してきた目を袖でこすり、前を見た唯は息をのんだ。
なんと、机が・・・お茶会をやるための机が2mさきにまで近づいているではないか!
さらに、その机の上には・・・後ろ向きの梓の姿が!
梓「イヤー!!」
猛烈なカラテシャウトを発した梓は、そのままバック転の体勢に入った!机の上で!
これは!G・ムタが膝と引き替えに様々なライバルを仕留めたフェイバリット・キメワザ!
ムーンサルト・プレス!!
水鳥めいた軌跡を描き空中を飛ぶ梓は、あるいはヤバイ級の拳法家さえ嫉妬に身を焦がすやもしれない美しさだ。
そう、美しい・・・唯が意識を失う前の、それが最後の記憶だ。
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