初めてssを書きます。
稚拙で見るに耐えない文章ですが、暖かいめで見守って下さい。
助言あると嬉しいです。
では、投下していきます。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1417791060
ここは、世界で一番大きな国の、世界で一番うるさい城下町である。今日も相変わらず、喧しい。
さて、冒険の始まりの定番といえば大きな酒場だが、この城下町にも例外なくある。あるっちゃ、ある。
しかしそのうちの一件は、傭兵という名の無職や、あからさまなゴロツキ、更には、怪しいローブを来た男が常時たむろしていて、
言うなれば、この世の闇を詰め込んだ、福袋ならぬ厄袋のような場所である。
無論、そんな場所からは、誰も爽やかに冒険を始められないだろう。
だが、そんな場所に、明日への希望を持った、不運な少女が立っている。
風水士「ここが酒場ですね。ああ、私の冒険はここから始まるんだ…!」
まともな人間ならば、この酒場の異様な空気に呑まれ、足がプルプルと小刻みに震動するものだが、
しかし、この芋っぽい少女は、それをものともせず、見た目の通り芋っぽい発言をしている。
風水士「……」キョロキョロ
あろうことか、この少女は危機を感じて、引き返す訳でもなく、辺りをキョロキョロと見回している。恐らく、この酒場で冒険に連れていく人を探す気なのであろう。この、厄袋で。
まあ、そんなおかしな人間がここにいるというのだから、何も起こらない訳がない。
人間というものは、異質なものに過敏な生き物で、それは、無意識的なんちゃらとも言えるので、全人類に共通して、勿論…。
傭兵「おやおや…」ニタニタ
ゴロツキ「まぁまぁ…」ニタニタ
黒いローブ男「クックック…」ニタニタ
この厄供は、その少女の素朴な、この場に似つかわしくない異様さを感じ取った。そして、善からぬことを考え始めたようである。
残念ながら物語は、いきなり暗雲立ち込める始まり方で、幕を開けた…。
風水士「あのー、お兄さん方。ちょっと尋ねてもいいでしょうか?」
傭兵「へへっ、なんだよ嬢ちゃん。身売りかい?」
ゴロツキ「ぐへへ」
風水士「みう…り?」
カマトトぶってる訳でもなく、この少女は純真無垢であるから、勿論そんなものは知らないし、しようとも思わない。
だがしかし、そんなことは、このゴロツキには関係ないのである。
ドン!
風水士「きゃっ!」
マスクを被って上半身を露出させた、いかにも破落戸というゴロツキに、肩を押されて、少女は床に尻餅をついた。
風水士「痛いじゃないですか!」
ゴロツキ「ああ確かに痛そうな音だったな! 嬢ちゃんが痔だったら大変だったなあ!」
傭兵「おいおい、ゴロツキ。だったらじゃなくて、これからそうなるんだろう…?」
ゴロツキ「おっ、そうだったな。ぐへへへ」
黒いローブ男「クックック…」
思春期の中学生のような笑みを浮かべて、ゴロツキは、じわじわと少女ににじりよる。
風水士「も、もしかして私は危機的状況にいるの?」
風水士「だとしたら、ああっ女神様! どうか私を…」ギュッ
ゴロツキ「うるせえ!」
傭兵「家畜に神は居ないッ!」
ドン!
風水士「はわわ…」
さて、ここで芋には選択肢が二つある。
一つは、おとなしく服従し、晴れて同人誌業界に侵出するか。
二つ目は、抵抗するか。
幸いなことに、ここにお手頃サイズのミニ斧がある。
風水士 (よ、よし。こっち来た瞬間、風水士クラッシュで真っ二つに…)
ゴロツキ「ぐへへ…」ジリジリ
と、思っていたら。
ドン!
ゴロツキ「…あっ、ぐへぁッ!?」
風水士「ッ!?」
いつの間にか、ゴロツキは己の金の貯蔵庫を抑えてうずくまっていた。
傭兵「ゴッ、ゴロツキィー!」
白魔導士「喋るんじゃないわよ! このモルボル野郎!」
カーン!
傭兵「あへぇ!?」ドンッ!
突如現れた、白い雪のような女性は、次々とゴロツキどもの金の貯蔵庫を蹴りあげていった。
物凄いスピードで。
風水士「あぇ……?」
そして、少女が呆然として手放していた意識を捕まえて、状況を改めて確認すると…。
傭兵「」
ゴロツキ「」
黒いローブ男「クゥ…」
白魔導士「ふぅ…」パンパン
一仕事終えたような顔をした、白装束の女がいた。
風水士「ふ、ふーあーゆー?」
白魔導士「ん? 私?」
風水士 コクコク
白魔導士「そうね…私は……」
少女からの質問に、靴の爪先を床に擦りつけながら、その白装束は答えた。
白魔導士「…『キノコキラー』ってとこかしら」ドヤ
風水士「…えっと、キノコ狩りが趣味の方ですか?」
少女の芋脳みそには、キノコと言えば山のアレということしかインプットされていなかった。
白魔導士「ええそうよ。私は幾多のキノコを狩ってきたわ」
白魔導士「…この足で!」
風水士「その足で!?」
風水士 (足に刃物でも入ってるのかなあ)
思考がフワフワしている少女に、白装束は問いかける。
白魔導士「それよりもあなた、どうしてこんなとこにいるの? 場違いな感じがするのだけど…」
風水士「そう、そうです! 私はちゃんとした目的があるのですよ!」
水を得た魚ならぬ、水を得た芋のように少女は言う。
白魔導士「目的? …へえ、聞かせてよ」
風水士「はい、実は私、酒場に旅の仲間を探しにきたんです」
白魔導士「え、なにその竜をクエストするアレみたいな安易な思考は…」
風水士「? 仲間と言えば酒場ですよね?」
白魔導士「酒場はお酒を飲むところよ」
風水士「え……?」
白魔導士「えっ?」
芋は、やはり脳内まで芋だった。
風水士「酒場って何ですか」
白魔導士「いや、だからお酒を…」
ダンッ! と、少女が割り込む。
風水士「それは違いますね! 酒場は間違いなく仲間を募るところです。昔も、今も、これからも!!」
白魔導士「なにその暴論」
風水士「…と、いうことでここは、是非」
白魔導士「ということってどういうことよ! って、ちょっ…やだ掴まないdっ……」
ギュッ
白魔導士「えっ……?」
少女に手を握られ、女は一瞬びくっとした。
それは、嫌悪感からくるものではなくて、肌が感じ取った、
明確な、『異常』の察知からきた電流であった。
風水士「クックック…」
白魔導士「あ、あなたは一体…? ただの村娘なんかじゃ、無いわね!?」
風水士「いいえ、私はただの村娘ですわ」
風水士「ただ…一つ申し上げるならば……」
その時、握られた手から光輝く粘液が!
ネチャッ!
白魔導士「えっ!?」
風水士「 私は風水士です 」
風水士「…ふっ」
決まった、と言わんばかりに、少女は握った手を離す。
女の手と少女の手の間には、糸と形容するにはあまりにも、あまりにも太く、粘性の強い液体の柱が出来ていた。
さながら、小麦粉を水で溶かして焼いた、アレである。
白魔導士「こ、この粘液は! っく、とれない!」
風水士「うふふ、当然っ! それは風水特性の『ジェル』ですわ」
風水士「…ところであなた、風水士はご存知ですか?」
それは、そっくりそのまま手前に返してやりたい問いである。
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