奈々子「縁さんにうざがられる?」縁「奈々子ちゃんを罵倒する?」 (58)

とあるカフェ――

縁「お話ってなんですか?」

マネージャー「あなたちって、相性が良すぎてつまらないのよね。ここは少し砕けてみるのもいいんじゃないかと思って」

奈々子「砕けちゃだめだと思うんですが……」

縁「楽しそうね! 私は賛成です」

奈々子「ゆかりさん、だ、ダメですよ。安請け合いなんてしたら……」

マネージャー「じゃあ、ちょっと軽くやってみよっか」

奈々子「え、ええ……?」

マネージャー「はい、どーぞ」

奈々子(はい、どーぞって言われても……)

縁「……」ドキドキ

奈々子「キラキラした目で見ないでくださいよお……」

縁「ななちゃん、早くっ」ドキドキ

奈々子(な、何を言ったものやら……何かメンドくさいことを言えばいいのかな)

奈々子「あー、えっと、ゆかりさん……最近、あの、えっと、あんまりお家に呼んでくれないですよね……ちょっと、寂しいです」

縁「ご、ごめんね、呼びたくないわけじゃないんだけど……忙しくて、つい」

マネージャー「却下! 真面目に受け答えしてどーする!」

奈々子「な、なんか怖いっ」

縁「は、す、すいません……」

マネージャー「テイク2」

奈々子「ええ?! ゆ、ゆかりさんからどうぞ」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1416825611

縁「え、そうね…………家に来たければ、自分で言いなさい。いちいち、こちらから言わないと何もできないの?」

奈々子「……っ……うっ……な、なんでだろ涙が」ジワっ

マネージャー「いい! いいね、それ!」

奈々子(誰だよ、あんた……)

縁「ななちゃん……かわいそうっ」グスっ

奈々子「ううっ……」グスっ

マネージャー「泣くな泣くな! まだ、始まったばかりよ!」

奈々子「例を挙げてもらえると……やりやすいんですが」

縁「そうねえ……」

マネージャー「むり」

奈々子「ええ……」

マネージャー「じゃあ、別の設定で行くわ……一人はナース、一人は入院患者で」

奈々子「……い、いめくら?」

縁「どっちする?」ワクワク

奈々子「順応性はやっ……!」

縁「わ、私、患者さんやってみたいなあ」

ちょっと洗濯もの乾してくる

奈々子「あ、はい、もうお好きにしてください」

縁「わーいっ」

奈々子「じゃあ、私がナースですね……ナース?」

縁「ななちゃんあの」

マネージャー「カット! だめですよ、患者さんなんだからそこは『ナースさん』で!」

奈々子「……」

縁「あ、はい、すいません! ……あの、ナースさん」

奈々子「な、なんですか、こひにゃたっ……ごほっ……小日向さん」

縁「……っ」ふにゃ

マネージャー「はいはい、噛んだの可愛いですね。ゆかりさん続けてください」

縁「あの、胸が痛むんですが……どうしたらいいでしょうか」

奈々子「む、胸?! え、えっと、もしかして心臓が……狭心症?! 心筋症?!」

縁「……う、うう苦しいわ」

奈々子「ま、待っててださいね! 今、先生をお呼びしますからっ」

ガタっ

マネージャー(演技とは言え、カフェの席で唐突に立ち上がるとはやりますね……)

ガシっ

奈々子「え?」

縁「行っちゃやだっ」

奈々子「で、でも私じゃ」

縁「……うっ」

奈々子「だ、大丈夫ですか?!」

縁「さすって下さる?」

奈々子「さ、さする? こ、こうですか?」

サスサス

縁「はい……なんだか、ラクになってきました」

奈々子(ゆ、ゆかりさんの胸、やわらかーい……)ふにゃ

もにゅ

縁「はあんっ……な、ナースさん?」

奈々子「はっ?! す、すいませんっ……右手が勝手に」

縁「……え、いいんです。そ、その……少し気持ちよかったので」

奈々子「……こ、こひにゃたさん……」

縁「ナースさん……」

奈々子「……」ごくっ

マネージャー「カット! ここカフェですから、それ以上はアウトです」

奈々子「はっ?! 私ったら何を……」

お客「ねえ、あそこの人達って……」ひそひそ

お客「よね……」ひそひそ




奈々子「ま、マネージャー場所を変えませんか……」

マネージャー「しょうがないわね」

縁「それでしたら、家に来ますか?」

マネージャー「それだ!」

奈々子(それだじゃねーです……)

縁「わー……ななちゃん以外の方が来るなんて……ちょっとワクワク。今日はどのお茶にしようかしら……」

タタタタ――

マネージャー「走ったら転びますよー」

奈々子「……何だかジェラシー……はっ!」ぽろっ

マネージャー「誰もゆかりさん取らないから安心してください」こそこそ

奈々子「ち、違います違います!」

縁「ななちゃんどうしたの?」

奈々子「なんでもありません!」ぷい

縁「えー……ななちゃーん」しゅん

マネージャー「ははっ」

奈々子「なんですかその乾いた笑い!」

ゆかりの住むマンション――


縁「ちょっと、お茶を入れて来ますから、待っていてくださいね」

マネージャー「ああ、お構いなく」

奈々子「……マネージャー、次は何をするんですか?」

マネージャー「そうねえ、次はペットと飼い主にしましょうか」

奈々子「もはや人外ですか……」

マネージャー「あら、奈々子さんがペットになれなんて言ってないですが」

奈々子「……はあ」

マネージャー「縁さんに、ペットやらせますか?」

奈々子「……」

イメージ中――

奈々子「……す、すごく危ない香りが」

マネージャー「これ、首輪です」

ポンっ

奈々子「ぶっ?! なんでこんなもの持ちあるいてるんですか!?」

マネージャー「私用で」

奈々子「私用!?」

縁「お待たせしました。これ、親戚からの頂き物なんですが、クッキーです」

ゴトっ

縁「それと、アップルティー……ななちゃん、どうして首輪を持っているの?」

奈々子「こ、これは、その、マネージャーが」

マネージャー「次は、ペットと飼い主でいきましょう」

縁「ペットですか?」

奈々子「あのー、もう、ほとんど遊ばれてるだけなんじゃないかと……」

マネージャー「ええ、縁さん! どちらがいいですか?」

縁「……んー、どちらでもいいのですが、じゃあ平等に今度はジャンケンで決めようか? ななちゃん」

奈々子「はいはい……いいですよー、もうどうにでもなれですー」

縁「勝った方が飼い主でいいかしら?」

奈々子「はい」

奈々子・縁「「ジャンケン――ポンっ」」

奈々子「勝ちました……」

縁「負けちゃった」

マネージャー「さあ、始めましょうか」モグモグ

奈々子「……えっと、ペットと言っても色々ありますよね?」

マネージャー「じゃあ、犬」

奈々子(適当だなあ)

縁「鳴き声から入ったほうがいいのかしら」

マネージャー「いや、語尾にワンつければいいと思います」

奈々子「なんてマニアック……」

縁「わかりましたワン!」

奈々子「……なにをどうしたものやら。じゃあ、まずが定番行ってみます」

縁「……」ワクワク

奈々子(ゆかりさんの純粋な目が眩しい)

奈々子「ゆかりさん、お」

マネージャー「ちょっとまってください」

奈々子「もう! またですか!」ガクっ

マネージャー「ペットに敬称をつけるのはおかしいです」

縁「た、確かに」

奈々子「納得しないでください!」

マネージャー「呼び捨てでお願いします」

奈々子「えー……わ、わかりました……」

奈々子(呼び捨てとかしたことないのに……)

奈々子「ゆかり、お手」

スッ

縁「ワンッ」

ポン

マネージャー「カットオオオ!!」

奈々子「今度はなんですかもう!!」

マネージャー「どこの世界に正座でお手をする犬がいるんですか!」

縁「はッ……私ったら」

奈々子「じゃあ、どうすればいいんですか?」

マネージャー「四つん這いか犬座りでしょうが常識です」

奈々子「……マネージャー、それマネージャーが見たいだけなんじゃ」

縁「わ、わかりましたワン」

スクッ

奈々子「ちょ、ちょっとゆかりさん、そんな四つん這いにならなくても」

縁「だって、せっかくマネージャーが色々考えて下さってるんだもん」

奈々子(ダメだ、この人達……観念するしかない)

奈々子「……じゃあ、ゆかり、お手」

スッ

縁「ワン」ニコ

ポンッ

奈々子「……このまま持ち帰りたい」ボソッ

縁「え?」

奈々子「はッ?!」

マネージャー「続けてください」

奈々子(だ、だめだ……四つん這いで上目遣いのゆかりさんを見てると……なんだか変な気分になるううう)

奈々子「ゆかり、伏せ」

縁「ワン!」

ズサッ

奈々子(な、なに……この感情は)

奈々子「クッキー、食べる?」

縁「食べたいワン!」

奈々子「えっと……お、おかわり」

スッ

縁「ワン!」

ポンッ

奈々子「よくできました」

ヨシヨシ――

縁「くすぐったいワン」

奈々子「はい、クッキー、あーん」

縁「あーん」

奈々子「……」

パクッ

奈々子「うわああ!? ゆ、指ごと持っていかれたああ!?」

縁「あ、ごめんなさいワン」

ペロッ

奈々子「指舐めないでくださいッ!?」ドキドキ

縁「……」

ちゅー

奈々子「す、吸わないでくださ……」

ちゅぽんッ

縁「……ご主人様の指、ちょっと美味しかったワン」ニコ

奈々子「……ふ、ふぬぬ」ドクンドクン

マネージャー「二人とも、頭大丈夫ですか?」

奈々子「言われたくない人に言われた!」

縁「犬の役は、ちょっと首がこりますね」

奈々子「ああ……ゆかりさん、すいませんッ」

縁「いいのよ、ななちゃん。面白かったわ」

マネージャー「さすが縁さん」

奈々子「つ、疲れた……」

マネージャー「次は……」

奈々子「も、もう勘弁してください……」

マネージャー「しょうがないわね。じゃあ、次で最後にしましょう」

奈々子「ほッ」

マネージャー「赤ちゃんプレイで」

奈々子「……」

奈々子「プレイって言いましたね!?」

マネージャー「それでは、赤ちゃん役とお母さん役に分かれてください」

奈々子「やる前提で話を進めるのやめてください!」

縁「ななちゃん、どっちがいい?」

奈々子「ええ……どっちも嫌ですよッ」

縁「じゃあ、またジャンケンで決めましょ?」

奈々子「でも、明らかにゆかりさんの方が母性がありますから……ここは」

縁「あら、ななちゃんだって負けてないわ」

奈々子「そうですかねえ……」

縁「じゃあ、ジャンケンね。買った方がお母さん」

奈々子・縁「「ジャンケン、ポン」」

縁「負けちゃった……」

奈々子「ゆかりさん、もしかしてジャンケン弱いんじゃ」

縁「そ、そんなことないわ……ジャンケンは運だもん」

奈々子「は、はあ……じゃあ、私お母さん役ですね」

マネージャー「はい、ガラガラとおしゃぶり」

奈々子「どっから出したんですか!?」

マネージャー「新品だから大丈夫よ」

奈々子「そういう問題じゃないです……」

縁「あの、おしゃぶりって口に咥えるんですか?」

マネージャー「ええ、はい奈々子さん」

ポンッ

奈々子「……ちょ、ええ?」

縁「はやくー」

奈々子(もお! もお! なんで、そんな可愛いこと言ってくるんですか!)

縁「ななちゃん?」

奈々子「い、いきますよ」」

スッ――チュポッ

縁「んッ……む」

奈々子「だ、だめだあああ……直視できないよおおお」

ガクッ

縁「んむむッ……んんッ」

奈々子「そうだ、目を閉じよう」

ぱちッ

マネージャー「いや、開けてください」

ぐいッ

奈々子「あうッ……沙織さんの意地悪……」グスッ

マネージャー「……ッ」キュン

マネージャー「いい、いいですよその顔! いじめてやりたくなります!」

奈々子「もっとオブラートに包んでください!」

縁「んむむッ」

奈々子「ああ、えっと」

マネージャー「おしめを替えてあげるといいんじゃないでしょうか」

奈々子「……何も聞いてません何も聞こえてません」

縁「?」

奈々子(おしめって、下着脱がせるってことですよね……沙織さんホントに何を考えてるんですか)ボソボソ

マネージャー(もし、ゆかりさんの下着を脱がせることができたら、ギャラを出すと言ったら?)ボソボソ

奈々子(……そ、そんなものでつられるわけが)

マネージャー(このくらいでどうですか)

スッ

奈々子(やります)


縁「んぶー?」

奈々子「ゆかりさん、すっかりなりきって……」

縁「んむむ!」

奈々子「……」ごくッ

奈々子「ご、ごめんなさい……」

マネージャー「……さあ」

奈々子「ま、まずはスカートを……いや、タイツから?」

サワッ

縁「んむ?」

奈々子「ホックを外しますねー……」

縁「……ぷはッ」

コロン―

縁「な、ななちゃん何してるの?」

奈々子「し、仕方がないんです……今月、私金欠なんです……」

縁「なんのことッ?」

奈々子「大人しく、脱がされてくださいッ。大丈夫です、痛いのは最初だけ……」

マネージャー「いや、痛くはありませんから」

縁「だ、ダメッ……沙織さんが見てるのにこんな所で」

奈々子「まるでいつもしているみたいな口ぶりですね……」

ヌガシヌガシ―

縁「ダメよッ……ななちゃん!」びくッ

奈々子「……あ」

縁「……ぐすッ」

奈々子「な、泣かなくたって……」

マネージャー「ああ、泣かしましたね」

奈々子「ええ?!」

縁「ななちゃん、怖い……」

奈々子「ご、ごめんなさいッ……つい、お金に目がくらんで」

マネージャー「さて、私はそろそろ帰りますね」

スクッ

奈々子(ええ!? この状況を放って帰るんですか?)ヒソヒソ

マネージャー(市役所に行かないといけないの忘れてました)ヒソヒソ

奈々子(ま、待ってくださいッ)

マネージャー「じゃ、そういうことですので」

スタスタ―

縁「うえッ……ッ」グス

奈々子「ああ……と」わたわた

奈々子「は、そうだ! ほらほら、泣かないで~」

ガラガラッガラガラッ

縁「……うええッ」

奈々子「ご、ごめんなさい!」

縁「……スカート履いてもいい?」

奈々子「はい!」

縁「……よいしょッ」

スルスルッ

奈々子「わ、私……すいません……まんまと沙織さんの策謀に乗せられて」

縁「私こそごめんなさいね……いつものななちゃんと違うから、つい」

奈々子(もしかして、もしかして、私ってもしかしなくても最低のど変態にランクアップしてしまったんじゃ)ガクッ

縁「あ……でも、あの、ちょっとドキドキしちゃった」ニコ

奈々子「そ、そう言ってもらえると、私だけが変態じゃなかったんだなって安心します」

縁「でも、私脱がされるより、脱がす方がいいなあ」ぼそッ

奈々子「さ、させませんよ!」

縁「そうよねえ、残念」

奈々子「……もお!」

縁「でも、こうやってななちゃんに遊ばれるのも悪くないわ」

奈々子「私は、疲れました……」

縁「どれが一番良かった?」

奈々子「えー……それは、やっぱり普段が一番ですよ」

縁「そっか、私も」ニコ

奈々子「ですよね」ニコ




おわり

ギャグ編おしまい。次からガチ百合編(たぶん)やから注意

奈々子の家――


――むくり

奈々子「……昨日はひどい目に合った」

奈々子「ゆかりさん、素直に言うこと聞きすぎだよ……」

奈々子「でも、なぜか背徳的な高揚感が……」

奈々子「わああッ、何かに目覚めてしまいそうだああ……」フルフル

ジリリリ―

奈々子「あ、もうこんな時間か! 遅刻しちゃう!」

バタバタ!

学校――

奈々子「あ、ゆかりさーん!」

縁「ななちゃんッ!? ごめんなさい!」

タタタタ―!

奈々子「に、逃げた!? ま、待ってください!」

縁「こ、こっち来ないで!」

奈々子「なんでですか!」

縁「いいからッ」

奈々子「せめて理由を言ってください!」

タタタ―!

奈々子「あ、トイレに!?」

女子トイレ――


奈々子「はあッ……はあッ、ゆかりさん?」

トントンッ

縁「はいってません!」

奈々子「あからさまに嘘つかないでくださいよ……バレバレですから」チラ

縁「うッ……」

奈々子「私、実は鍵のかかったトイレに入れるんですよ」

縁「え、ななちゃん……」

奈々子、隣のトイレの個室に移動する。

奈々子「よいしょッ……」

ヨジヨジ

縁「ええ?!」

奈々子「よっと……」

ガタガタッ――スタッ

縁「ななちゃん、忍者だったの!?」

奈々子「いえ、ただよじ登ってきただけです」

縁「……ッ」

ガタッ

奈々子「逃げないでください!」

ガシッ

縁「あ……」

奈々子「もお、どうしたんですか? らしくないですよ、廊下走ってまで逃げるなんて……」

縁「だって……私、おかしいのよ」

奈々子「?」

縁「……ななちゃんを見てると、逃げ出したくなっちゃうの」

奈々子「……あー、もしかして昨日のがトラウマに……ほ、本当にこの度は申し訳ございませんでした……」

縁「そ、それもあるけど……違うのッ……いつもより凄くドキドキするの」

奈々子「え……、ええ!?」

縁「ななちゃんといると、いつもドキドキするんだけど、いつも以上にドキドキするの……」

奈々子「そ、そうなんですか……」

縁「だから、今、まともに話せない……からッ……離して」

奈々子「……あ」

ぱッ

縁「……」

奈々子(いつもは、私がゆかりさんに振り回されるのに……もしかして、今、逆?)

奈々子「……ゆかりさん」

縁「なあに……」

奈々子「こっち向いてください」

縁「……」クルッ

奈々子「ゆかりさんて、そういう顔もするんですね。なんだか可愛いです」ニコ

縁「も、もおッ、見ないでッ」

奈々子「あははッ……ねえ、ゆかりさん。どうして、ドキドキするんですか?」

縁「……そ、それは」

奈々子「ゆかりさん、いつも冗談っぽくそういうこと言いますよね」

縁「め、迷惑だった?」

奈々子「そんなことないですよ……心臓には悪いですけど。でも、ほら、いつもみたいにしてくださって構いませんから」

縁「どうして、そんな意地悪言うの……」

奈々子「ええッ、意地悪ですか……?」

縁「ななちゃんは時々凄く卑怯だわ……」

奈々子「そ、そんなこと」

縁「分かってないから、余計にタチが悪いもの」

奈々子「分かってないわけじゃ……ないんですけど、そういうの」

縁「え、そうなの……?」

奈々子「かと言って、私のキャパがパンクしてしまうので、あんまり深くは考えてないです……」

縁「ぷッ……なあにそれ」

奈々子「わ、笑わないでくださいよお」

縁「一つ質問していい?」

奈々子「はい、どうぞ」

縁「ななちゃん、私のことどう思ってるの?」

奈々子「そ、それは、先輩でありパートナーであり、友達であり……」

縁「それだけ?」

奈々子「な、何を言わせたいんですか」

縁「……私じゃダメ?」

奈々子「……だ、だめって」

縁「私はななちゃんじゃないとダメ……」

奈々子「……え」

縁「ななちゃんがロコドルになる前から、私はななちゃんのファンだったわ」

奈々子「……」

縁「どんな変態プレイを強要されてもね」

奈々子「いや、あれは、その……」

縁「もちろん、私がする側でも全然オッケーだけどね」

奈々子「もうしませんし、やらせませんて!」

縁「ごめんごめん、質問に答えてくれてありがとう」ニコ

奈々子「あ……」

奈々子(私、これでいいのかな。ゆかりさん、また冗談で終わらせようとしてるんだ。私が困らないように……私が、答えを用意できてないから)

縁「授業始まっちゃうから、もう行こっか」

奈々子「ゆ、ゆかりさんッ」

縁「なあに?」

奈々子「今日の放課後、デートしましょう!」

縁「

今日はここまで

やっぱり、もうちょい続けます

縁「……ええ、いいわよ」

奈々子「ありがとうございます」

縁「でも、急ねホントに」

奈々子「思いつきですごめんんさい……」

縁「いいの、思いつきでも嬉しい」

奈々子「……じゃあ、教室に戻りましょうか」

縁「ええッ」


ガチャッ





放課後――

校門前

縁「ななちゃん、まだかな……」

タタタ―!

奈々子「ゆかりさーん!」

縁「あ、ななちゃん」

奈々子「お待たせしました。行きましょうか」

縁「……どこに行く?」

奈々子「そうですね、もし良かったらデパート行きませんか」

縁「デパート?」

奈々子「はいッ……デートって行っても行くところ思いつかなくて」

縁「ふふッ……ななちゃんらしい」

奈々子「笑わないでくださいよお……」

縁「じゃあ、行こっかッ」

グイグイ

奈々子「お、押さないでください。歩けますからッ」

縁「早くしないと、デパートしまっちゃうわ」

奈々子「まだ、大丈夫ですよー」

電車――

ガタンガタン

奈々子「夕陽落ちるのも早くなりましたね」

縁「そうね……」

奈々子「ゆかりさんのマンションて夕陽の眺め良さそうですよね?」

縁「確かに、眺めはいいかもしれないけど……一人で見るよりこうやって、低いところでも二人で見るほうが私は好きよ」

奈々子「……あ」

縁「ね?」

奈々子「それもそうですね……」

縁「ななちゃんが隣にいるとね、一人だと感じられなかったことが分かるようになるの」

奈々子「それって?」

縁「一人暮らしが前より、もっと寂しく感じるようになったかな……」

奈々子「……」

縁「他にもね、ななちゃんがたまに前を歩いてる時に、ああなんだかいいなあって思ったり」

奈々子「それは、よく分からないです……?」

縁「普通のことなのかもしれないけど……そんな普通のことが嬉しいことなの」

奈々子「へえ……」

縁「何かにつけて、私、ななちゃんと結びつけてるなあってふと思った」

奈々子「ゆかりさん……」

縁「いつまでも一緒にいて欲しいなって……」

奈々子「……ッ」ドクン

縁「それは、難しいことかもしれないけど、流れ川ガールズでいる間は、良かったら私の隣にいてね……」ニコ

奈々子「……はい」

奈々子(気の利いた何かを言えるわけじゃない……)

縁「あ、もうすぐ駅に着くわね」

奈々子(でも、私も伝えないと……私の気持ちを)

デパート――


縁「あ、このワンピースななちゃんによく似合いそうねッ」

奈々子「……い、いえ、それ、胸元がもう少しないと……私には」ガクッ

縁「可愛いのにー」

奈々子「可愛いだけじゃ着れないんですよぉ……」

縁「あれ、ナース服も置いてる」

奈々子「めッ」

縁「誰も、買うなんて言ってないわよ……?」

奈々子「あっち系はもう近寄っちゃだめです。伝染ります」

縁「何が?」

奈々子「沙織さんウイルス……」

縁「なにかしらそれ」

奈々子「……いつの間にかど変態的思考に陥るとんでもない奴です」

縁「ななちゃん、よっぽどトラウマになったのね。私、てっきり楽しんでやってると思ってたわ」

奈々子「楽しくなかった……と言えば嘘ですけど」

奈々子(すでにマゾっ子の烙印を押されているのに、この上ど変態の称号まで手にするわけには……)

奈々子「ゆかりさん、下着見に行っていいですか?」

縁「構わないわよ」

下着売り場――

縁「あんまり、サイズがないから困るのよね……」

奈々子「……ぐッ」

スカスカ―

縁「私もななちゃんくらいだったらなあ」

奈々子「嫌味ですか嫌味ですね!」グスッ

縁「なんで涙ぐんでるの? 私、ちっさいほうが好きよ?」

奈々子「ありがとうございます……ッ」グスッ

縁「あ、これ、ななちゃんに似合う……かも」じッ

奈々子(私の下着を真剣に選んでくれるのって、きっとゆかりさんくらいだろうなあ……)

縁「これ、どう?」

奈々子「って、ちっちゃ! さすがにもう少しありますから! 馬鹿にしすぎです!」

縁「ご、ごめんなさいッ……成長してるのねえ」

奈々子「……以前の私を知っているんですか」

縁「えへ」

奈々子「えへって」

フードコート――

縁「ななちゃんたこ焼き食べる?」

奈々子「あ、はい……あ、出しますよ」

縁「いいからいいから、座ってて」

奈々子「は、はい。ありがとうございます」

縁「ちょっと買ってくるねー」

タタタ――

奈々子「……」

奈々子(そう言えば、このデパートだったけ……迷子探したの。懐かしいなあ)

―――
――

縁「おまたせー。ねえ、屋上で食べない?」

奈々子「いいですね」

縁「懐かしいなあ」

奈々子「ゆかりさんもこういう庶民の百貨店に来るんですか?」

縁「やーね、ななちゃん。私はこういうところで買い物する方が好きよ」

奈々子「そうなんですか」

縁「だって、みんなの日常の姿が見れるじゃない……前はそんな風に思わなかったけれど、今はね大切だなって感じるの。家族や友人や、恋人達が……一緒にいれる所、いつもの自分でいれる所が」

奈々子「やっぱり、ゆかりさんて物の見方が深いですね」

縁「そんなことない……これも、ななちゃんのおかげだし……」

奈々子「私、そんなことゆかりさんに言いましたっけ?」

縁「ふふ……」

奈々子「うーん?」

屋上――

奈々子「わッ……少し冷えますね」

縁「でもくっついてると暖かいわ」

ギュウ―

奈々子「た、食べにくいです」

縁「……あ、これ」もぐもぐ

奈々子「おいしー! たこがプリプリで……トロっと舌の上で溶けるような生地も絶妙です」もぐもぐ

縁「ななちゃん、すっかりコメンテーターが板について」

奈々子「はッ……なぜか解説してしまった……」

縁「職業病かしら」

奈々子「ううッ……」もぐもぐ

縁「真面目ねえ、本当に」

奈々子「それだけが取り柄ですから……」

縁「可愛いなあ、もう……ねえ、ななちゃん」

奈々子「ひあい?」もぐもぐ

縁「私、たぶんこれからななちゃんのことどんどん好きになっていくと思うの」

奈々子「ごくッ……はい」カア

縁「私たちがろこどるいられるのは最高でも19歳くらいかな……」

奈々子「……」

縁「ユニットが解散するその時まで、私は……」

奈々子「ま、待ってください」

縁「うん?」

奈々子「まるで、その後はお別れみたいなこと言わないでくださいよ!」

縁「……でも、ななちゃん元々ボランティアで来てくれたわけだし……」

奈々子「本当にそんな風に思ってるんですか?」

縁「……」

奈々子「わ、私だって、ゆかりさんがいたからッ、ゆかりさんのおかげでろこどる続けようって思ったんですッ」

縁「そっか……そう思ってくれて嬉しい」

奈々子「……ゆかりさんは、流川にずっといるわけじゃないんですよね……」

縁「……」コクッ

奈々子「ですよね……でも、ゆかりさんにはもっともっと色々な世界を見てきて欲しいです。そして、また、帰ってきてもらえたら……嬉しいです」

縁「……ななちゃん。でも、そこにななちゃんがいないって考えると辛いの……昨日みたいにじゃれあうこともできなくなっちゃうんだって、考えると……」

奈々子「待っててください」

縁「……え」

奈々子「私、今はゆかりさんに何て返事をすればいいか……わからないんです」

縁「うん……」

奈々子「ゆかりさんのことは好きだし、一緒にいるとドキドキするし……もしかしたらって思うんですけど、確証がなくって……」

縁「あ……」

奈々子「わがままでめんどくさいこと言ってごめんなさい……それでも、ゆかりさん私のこと待っていてくれますか?」

縁「そんなの、当たり前じゃない……いつまでも待ってるから」

奈々子「ありがとうございます……」

縁「抱きしめてもいい?」

奈々子「……はい」こく

ギュウ――

縁「……温かい」

奈々子「……はい」

縁「ななちゃんて、案外小悪魔なのね……」

奈々子「……う、そうかもしれないですね」

縁「この間、名古屋に行った時もベッドに入ってくるから眠れなかったのよ」

奈々子「よくわからないですが、ごめんなさい……」

縁「謝らなくてもいいけど」

奈々子「ゆかりさん」

縁「なあに?」

奈々子「心臓の音すごいですね」

縁「……うッ」カア

奈々子(案外、私もすぐに落ちてしまうかもしれない……)





おわり

これにて終了です。
ゆかりさんは攻められてこそ、輝くと思う。

1です。ちょっと用事できたから、再開は9時くらい。マネージャーの口調ですますやったわすまん。完結させれたらいいな

>>53
誰?

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom