ウルトラ魔女ファイト 鎮魂の物語【ウルトラマンゼロ×まどか☆マギカ】 (411)

『ウルトラマンゼロ』『魔法少女まどか☆マギカ』クロスSSの第二部です。

今回は『ウルトラゼロファイト』第一部を元にしたストーリーで、ウルトラ側の比重が強くなります。
http://www.youtube.com/watch?v=WsCbO5C3fww

前スレと同じくマイペースな投下と独自解釈が続きますが、完結まで宜しくお願いします。


前スレ
ウルトラ魔女ファイト【ウルトラマンゼロ×まどか☆マギカ】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1365827972/)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1415105325






ゼロ(俺は光の国の戦士、ウルトラマンゼロ!
   仲間と共に、宇宙の平和を守るべく戦っている)

ゼロ(そんな俺が訪れたある次元の地球、
   そこでは『魔法少女』と呼ばれる戦士が、怪物『魔女』を相手に戦っていた)

ゼロ(だが、その戦いは全て『インキュベーター』という連中が、
   少女達を犠牲にしてエネルギーを生み出す策略だったんだ)

ゼロ(みんなの未来を守るため、そしてインキュベーターに本当の正義を教えるため、
   最強の魔女との決戦を終えた後で、俺は地球を旅立った)

ゼロ(それから一週間後、俺は―――)







【触角宇宙人 その1】



多次元宇宙のどこかに存在する、暗黒と静寂に包まれた異空間。

空には、三つの輪を組み合わせたかのような巨大な門『グレイブゲート』が、
その真下には、広大な大陸が浮かんでいる。

ウルトラマンゼロが地球での戦いを終えて一週間後、彼は一人、浮遊大陸の荒野に降り立っていた。


ゼロ(ここに来るのも久しぶりだな…。まさか、待ち合わせがこの場所とは思わなかったぜ)

ゼロ(俺が初めてウルトラマンとして戦いに臨んだ場所、そしてベリアルとの因縁が生まれた場所)

ゼロ(『怪獣墓場』、か)


ここは『怪獣墓場』。
様々な次元の宇宙から、命を落とした怪物の魂が漂着し、眠りにつく場所。

アナザースペースでの戦いを続けていたゼロは、
「怪獣墓場で待て」というサインを受け取り、数年ぶりにこの地を訪れていた。


ゼロ(あのサインは光の国から届いたものだ。
   きっと、協力を頼んだ宇宙科学技術局で進展があったに違いねぇ)

ゼロ(だとすれば、再会の時はそう遠くないのかもしれない)


サインの送り主を待つ間、ゼロは岩の上に腰掛けながら、
次元を隔てた地球で待つ大切な仲間達を想う。


ゼロ(お前らも今頃は、チームとして上手くやってるはずだよな)

ゼロ(遠く離れても、俺にはわかる。お前らはもう絶望なんてしないと。
   そして四人で力を合わせれば、どんな魔女にも負けはしないと)

ゼロ(マミ、杏子、さやか、ほむら―――もう少しだけ待っていてくれ)



だが、ゼロには彼女達に関して、一つだけ気になっている事があった。


ゼロ(でも…)

ゼロ(もし今会って話せるとしたら、みんなに聞きたい事があるんだ)


ゼロが広げた手のひらの上に、赤と青が入り混じった球が浮かび上がる。
その球はゼロもよく知る力、そして『光』とは異なる力を秘めていた。


ゼロ(どうして俺の中にこんな―――)


その時、叫びとともに地面が揺れた。


ゼロ「!?」


怪獣墓場の大地を裂いて、地中から怪獣達が姿を現す。

ベムラー、テレスドン、サドラ、グドン。
どれもウルトラ戦士達と戦ったことがある凶暴な怪獣だが、その様子はどこかおかしい。


ゼロ(こいつらまさか…再生怪獣?)


ゼロ「何故だ…」

ゼロ「何故蘇った!!」


ゼロは力の塊を握り締めると、左腕の腕輪(ウルティメイトイージス)を輝かせる。
すると、鐘を鳴らすかのような音が響き、同時にゼロの体色から青が消えた。



赤ゼロ「『前へ進む力』ッ!!」


赤き戦士に姿を変えたゼロは、即座にイージスに収納していたウルトラゼロランスを取り出す。
ゼロが発動した力の影響を受け、ゼロランスは原型を留めない程にその形態を変化させた。

怪獣達はその変化を気にも留めずにゼロを取り囲むと、一斉に襲いかかる。
一体の怪獣が正面から迫り、ゼロに腕を振り下ろした。


赤ゼロ「ハッ!」


素早く槍で攻撃を受け止めるが、背後からは別の怪獣が迫る。


赤ゼロ「ふんんっ…!」

赤ゼロ「オルァァッ!!」


ゼロは前方の怪獣を受け止めたまま、背後の怪獣に強烈なキックを繰り出した。
更に怪獣の腕力を物ともせず、槍を振り上げて攻撃を跳ね除ける。

生まれた一瞬の隙をつき、ゼロの槍が怪獣を薙いだ。


赤ゼロ「デェェアッ!!」


キックの威力で吹っ飛ばされた怪獣、そして槍の斬撃を受けた怪獣が爆発を起こす。
倒された二体は、再び魂となって墓場の空へ昇っていった。


赤ゼロ「残るは…!」


二体の再生怪獣は距離を取り、火球や熱線を吐き出してゼロへの攻撃を続けている。
ゼロは拳で火球を弾きながら、再びイージスを輝かせた。

今度はバイオリンの弦を弾くような音とともに、その体は正反対の青一色へと変化する。



青ゼロ「『守り抜く力』!」

青ゼロ「シェアッ!」


怪獣の熱線を避けて空中へ跳ぶと、念じるように力を集中する。
すると、頭部に装着されたゼロスラッガーが青く光り輝く。


青ゼロ「ミラクルゼロスラッガー!!」


スラッガーは本来の二本から、無数に分裂して宙を舞う。
そして一斉に怪獣達へ向かうと、反撃する間も与えることなく、その体を切り刻んだ。


青ゼロ「シャッ!」


ゼロが着地し、全てのスラッガーがゼロの頭部へ戻る。
同時に怪獣達は爆発を起こし、再び眠れる魂へと戻っていった。


青ゼロ「………」

青ゼロ「杏子、さやか、どうして俺の中に『魔法』を?」


『前へ進む力』と『守り抜く力』、
ゼロが発動した新たな力の正体は、魔法少女が扱っていたものと同じ『魔法』だった。

再生怪獣を全滅させたゼロは、力を解除して元の姿に戻る。
この力について、彼は地球から帰還した直後の、マイティベースでの会話を思い返した。



 




ゼロ「『ワルプルギスの夜』…あまりの強さに歯が立たなくて、俺は一度負けたんだ」

ゼロ「だがマミ、杏子、さやかが、俺にもう一度戦う力をくれた。
   そして三人と一つに合体することで、奴と互角に戦うことができたんだ」

グレン「ゼ…ゼロちゃんが女の子たちと合体ぃぃ!?」

ミラー「貴方とあろうものが、なんと破廉恥な…!」

ジャン弟「だから『ハレンチ』とは、何だ?」

ジャン兄「だからお前は知らなくていい」

ゼロ「ば、バッカ野郎!お前ら絶対わざと言ってんだろ!!」

ゼロ「ともかくだ、俺と分離した時、みんなが…
   いや、マミ以外の二人が俺の中に力を残していったんだ」

ゼロ「見てくれ」


左腕のイージスが、弦を弾く音を響かせ、青い輝きを放つ。
するとゼロの体が青色へと変化する。


青ゼロ「魔法少女の一人、美樹さやかが俺に残した魔法だ」

ジャン弟「この姿、ゼロにどんな力が?」

青ゼロ「スピードと回復力が格段に上がったぜ。
    自分や誰かが傷付いた時には、魔法の力で癒すこともできるようだ」

青ゼロ「それに―――」


ゼロが魔力を集中すると、頭部のゼロスラッガーが青い光とともに分裂する。


青ゼロ「名付けて『ミラクルゼロスラッガー』だ」

ミラー「技といい青一色の体といい、実にクールですね」

青ゼロ「ま、本人にはクールさの欠片もないんだけどな」

ミラー「確かに、貴方はクールとは程遠い性格ですよね」

青ゼロ「さやかの話だよ!!」

青ゼロ「…まぁいい、次だ」

 

 

再度イージスが光を放つと、鐘を鳴らすかのような音と共に、体色が赤に変化する。


赤ゼロ「これは、佐倉杏子が俺に残してくれた魔法だ」

グレン「俺と同じ燃えるような赤か!随分と親父さんに近付いたじゃんよ」

赤ゼロ「へへっ、そう思うか?」

ジャン兄「武人のような力強さを感じるな。この姿は、どんな能力が備わったのだ?」

赤ゼロ「パワーが各段に上がったぜ。そして何より…」

赤ゼロ「すげぇ槍が使える」

ジャン兄「ゼロ…」

グレン「槍っておい…」

赤ゼロ「待ーて待て待て!お前らウルトラゼロランスと被ってるって言いてぇんだろ!」

赤ゼロ「いいか?しっかり見てろよ!」


取り出したウルトラゼロランスが、魔力を纏ってその形状を変える。

更には槍が他関節に別れ、鞭のような動きを可能にした。


赤ゼロ「見た目も使い方も、杏子のものと殆ど同じだ。
    もう少し扱い慣れたら、回転で竜巻でも起こせそうだな」

グレン「ほえー」

ジャン兄「豪快な戦いも変則的な戦いもこなせるのか。万能だな」

グレン「いいなァそれ、ファイヤースティックと交換しね?」

赤ゼロ「できるか」


ゼロは槍をイージスの中に収納すると、魔法を解除して普段の姿に戻る。

仲間達が関心を示す一方で、ゼロはこの新たなる力について、何かが引っ掛かっている様子だった。

 



ゼロ「だが、わからねぇ…」

ジャン弟「どうしたんだ?」

ゼロ「地球を経つ前、さやかと杏子は『弱くなった』と言っていた。
   多分、俺に力を半分くらい渡しちまったからだと思う」

ゼロ「この先、魔女との戦いで苦戦する可能性だってある。
   負けてしまえば、魔法少女は……」

ゼロ「なのに、二人ともどうしてこの力を俺に残したんだ…?」

ジャン弟「確かにゼロは今のままで十分強い。わざわざ力を託す必要があったとは思えない」

ジャン兄「ただの土産ではないようだな。魔法少女達も、考えがあっての事なのだろう」

ミラー「何故、リスクを承知で貴方に魔法を与えたのか―――
    力を使っていけば、その本当の意味がわかってくるかもしれませんね」

ゼロ「この力の、本当の意味か…」

ゼロ「今はそうするしかないようだな」


この力について、まだゼロの迷いと疑問は消えなかった。
だが、仲間の後押しを受け、自分の力として『魔法』を使う覚悟を決める。


グレン「そうそう、折角のモードチェンジなんだからよ。
    どんどん使いたくなるようなカッケー名前、みんなで決めちまおうぜ!」

ゼロ「そうだな、名前なら実はもう考えてあるんだ」

グレン「おっ、いいねぇ」

ゼロ「二人の名前を頂いて、『さやか☆マギカゼロ』と『きょうこ☆マギカゼロ』だ!」

グレン「ダメーーーッ!!」

ジャン兄「それは駄目だろう」

ミラー「それは駄目でしょう」

ゼロ「いや何でだよ…」




 



【触角宇宙人 その2】



ゼロ(しかし、とんだ期待外れだったぜ。
   まさかとは思ったが…あのサイン、偽モンだったのかよ)

ゼロ(いや、それよりも―――)


ゼロを怪獣墓場へ導いたサインは、光の国からではなく、彼を狙う何者かの仕業らしい。
だが、今のゼロには自身が騙されていた事以上に許せない事があった。

空を見上げると、怪獣達の魂が浮かび、静かな眠りについている。


ゼロ(この中には平和を乱し、ウルトラ戦士を苦しめた奴らも大勢いる)

ゼロ(…だが、怪獣にだって魂はある!
   ここで静かに眠っている奴らの魂を、勝手に弄ぶことは絶対に許されねぇ!)

ゼロ(怪獣達を蘇らせたのは、誰だ?)


ゼロが怒りを感じていたのは、敵が永遠に眠るはずだった魂を悪用している事。

その敵について心当たりを探る内、ある異星人の存在が浮かび上がった。


ゼロ(心当たりなら、なくもないか)

ゼロ(確か、奴等もここを通じて別の宇宙へ行き来してたらしいからな)

ゼロ(…まさか、インキュベーターが?)


インキュベーターは目的のため、契約を結んだ少女の肉体、そして魂の改造を行っていた。
更に彼等の文明は、別次元の宇宙を調査する目的で、何度も怪獣墓場を訪れていたという。

しかし今の墓場には、インキュベーターの姿どころか、装置などの痕跡一つさえ見当たらない。

 



ゼロ(いや、違う!)


怪獣を蘇らせた黒幕は他にいる。
ゼロがそれを確信した時、背後で何者かの声が響いた。


??「実に素晴らしいショーでした!」

ゼロ「誰だ」

??「今のが貴方の新しいチカラですねぇ、ウルトラマンゼ~ロォ~!」


振り返れば、そこには人間サイズの宇宙人が一人、岩の上からゼロを見つめていた。

小さな触角の生えた頭部に、青く光る目。
そして折り畳まれた翼と、纏われた鎧。

その特徴全てに、ゼロは心当たりがない。


ゼロ「お前は?」

グラシエ「我が名は、バット星人グラシエ。地球での長い任務、ご苦労さまでした」

ゼロ「…『バット星人』だと?」


バット星人とは、遠い昔に『ウルトラ抹殺計画』なる作戦を掲げ、光の国を襲撃したという宇宙人。

ゼロは地球に滞在していた頃、魔法少女達にその存在について語った事を思い出した。


ゼロ「テメェか、眠っていた怪獣を蘇らせたのは!目的は何だ!」

グラシエ「私の目的ですか?早い話が、貴方の抹殺です」

 



ゼロ「抹殺だと?」

ゼロ「ヘッ…見た目より随分大きく出やがったな。後で後悔しても知らねぇぞ?」

グラシエ「それならご心配なく。私『呪い』が自在に扱えましてねぇ、色々と応用が利くんですよ」

ゼロ「『呪い』……」

グラシエ「ええ、怪獣を蘇らせるだけではありません。
     貴方には理解できないものも読み取れて、実に面白い!」

グラシエ「さらには、こんなことも…!!」


グラシエが翼を広げて岩山へと飛び上がると、その頂に強いマイナスエネルギーが集中する。

渦巻く負の力は、やがて四体の怪物となってゼロの前に姿を現した。


グラシエ「『人魚の魔女』―――オクタヴィア・フォン・ゼッケンドルフッ!!」


一体目は、剣を握った人魚のような魔女。
その巨体は、他の三体を遥かに凌ぐ。


グラシエ「『武旦の魔女』―――オフィーリアッ!!」


二体目は、武人のごとく馬に跨る魔女。
頭は蝋燭となっており、先端に火を灯している。


グラシエ「『おめかしの魔女』―――キャンデロロッ!!」


三体目は、カラフルで愛らしい魔女。
グラシエのような人間大ではないが、そのサイズは四体の中で最も小さい。


グラシエ「『此岸の魔女』―――ホムリリィッ!!」


そして最後は、レコード盤のような帽子と黒衣に身を包んだ、
言葉のイメージを体現するような『魔女』。


グラシエ「貴方と戦わせるために用意した、選りすぐりの魔女達―――」

グラシエ「その名も『地獄の四獣士』ッ!!」

 



ゼロ「魔女…だと?」


ゼロが見たことの無いタイプではあったが、グラシエが従える怪物達は明らかに『魔女』。

それは敵が次元を越え、魔法少女の存在する地球を訪れたことを意味していた。


グラシエ「貴方の実力では、魔女の強さはさぞ物足りなかったことでしょう。
     そう思いまして、まともに戦えるレベルまで呪いを注ぎ込んで強化しておきました」

ゼロ「まさか、テメェもあの地球に……」

グラシエ「……ククッ」

ゼロ「今まで一体どこに隠れていやがった!あの星と人間達に、何かしやがったのか!?」

グラシエ「さぁーてねぇ?」

グラシエ「真実を知りたければ、四獣士を倒し、私を追い詰めてごらんなさい!」

グラシエ「クックックッ…」


敵は他にも罠を仕掛けているのか、この戦いそのものが罠なのか…
ゼロの脳裏に様々な考えがよぎる。

だが、地球に及んでいるかもしれない危機を前に、選択の余地はない。


ゼロ「チッ………上等だ」

ゼロ「地獄を見るのはどっちか、教えてやるぜッ!!」


ゼロは跳躍し、グラシエと四体の魔女に向かっていく。

雷鳴とともに、魔女との新たな戦いが幕を開けた。


 




登場人物について補足です。



■ウルトラマンゼロ

まどマギ宇宙から帰還した後、アナザースペースを守る戦いを続けながら、
「ソウルジェムにされた魂の解放」と「魔法少女に代わるエネルギー技術」を模索中。

滞在期間の短さや体験の数々から、まだウルトラ兄弟ほど強い地球愛は持っておらず、
これから深く知っていきたいと考えています。

ワルプル戦で合体した際、さやかと杏子から魔法の半分を残されており、
今回はその力をモードチェンジに使用して戦います。
(原典のストロングコロナゼロとルナミラクルゼロにあたる能力です)



■インキュベーター

ゼロが去った後も、変わらず魔法少女の搾取を続行中。
更に、まどかの因果やウルティメイトイージスの力も諦めていません。

SSでの設定は「倒すべき悪」ではなく「ウルトラとは相容れない正義」です。
そして感情を理解させようと訴えかけても、説得は不可能な存在として扱っています。

ゼロは若さと『キラー ザ ビートスター』での経験から、力以外での解決に拘っていますが、
地球に深い愛着を持つウルトラ兄弟達ならば、
(私情も込みで)QB達を倒すことも厭わないと考えています。



■魔法少女たち

ゼロが元の宇宙へ帰った後、マミをリーダーとした四人のチームとして行動し、
まどかの契約阻止、見滝原市と風見野市での魔女退治と忙しい日々を送っています。

しかし、ほむらは時間停止の魔法を失い、さやかと杏子は魔法の半分をゼロに託し、
全力で戦えるのはマミ一人という状況です。

ゼロの帰還を信じて、見滝原で魔女との戦いを続けているはずですが…


 

 


■触角宇宙人 バット星人

『帰ってきたウルトラマン』最終話で初登場した、ゼットン等の怪獣養殖を得意とする種族です。

かつて「命を固形化する技術」を目当てにウルトラマン達の故郷に戦争を仕掛け、大敗。
その戦争から未来の時代には、様々な次元の宇宙を侵略や消滅に追い込んでいるようです。

ビートスターの宇宙を滅ぼした『邪悪な異星人』の正体でもあります。



■グラシエ

『ウルトラゼロファイト』第一部に登場したバット星人の一人。
原典でも、呪いの力で怪獣墓場の魂を蘇らせ、ゼロと戦わせる悪党でした。

このSSでは、ループ開始から二週間後にあたるタイミングで地球に侵入。
呪いの応用で魔女文字が解読でき、ゼロの行動を監視しつつ、物語の合間に魔女解説をしていました。

目的はゼロの抹殺ですが、魔女やほむらの時間魔法にも大きな関心を抱いています。



■地獄の四獣士

原典では、グラシエが呪いの力で蘇らせた四体の再生怪獣です。
「剛腕のレッドキング」「幻惑のガルベロス」
「不条理のガンQ」「悪食のベムスター」が登場し、ゼロと連戦を繰り広げました。

このSSでは、ゼロがまだ戦っていない四体の魔女で構成。
参考はPSP版なので、『くるみ割りの魔女』の設定は無関係に進めます。



■サーガのバット星人

映画『ウルトラマンサーガ』に登場した東国原バット星人も、SSの設定上では存在しています。

ハイパーゼットンを生み出す計画を行っておらず、
次元を越える宇宙船を造る等、バット星の科学者として活躍中。

物語には直接登場しませんが、『邪神』となって宇宙に君臨するという野望は胸に秘めています。


 

つづく

ギンガS後半も始まったので、このSSも立て直して再開です。
散々お待たせしましたが、また宜しくお願いします。






ゼロ(怪獣墓場で待ち構えていた敵、バット星人グラシエ)

ゼロ(奴は眠っていた怪獣の魂を蘇らせるだけでなく、
   地球にしかいないはずの『魔女』までもを操っていた)

ゼロ(地球は果たして無事なのか―――
   それを知るには、奴の望みどおりに『魔女』と戦うしかない)

ゼロ(命をオモチャにする悪党め…
   お前の企み、このウルトラマンゼロが必ず打ち砕いてやるぜ!)




 

【人魚の魔女 その1】



ウルトラマンゼロ対『地獄の四獣士』
新たな戦いの幕開けを、グラシエは高らかに宣言する。


グラシエ「さぁ、勝ち抜きゲームのスタートです!」

グラシエ「張り切って行きましょう、ROUND1!」

グラシエ「―――って、あら?」

ゼロ「要はテメェを追い詰めればいいんだろ?
   こんなくだらねえゲーム、さっさと終わりにしてやるよ!」

ゼロ「ビッグボーナス狙わせてもらうぜ!!」


飛び出したゼロが狙いを定めていたのは、四体の魔女ではなくグラシエ本人。
広げられた巨大な手のひらが、グラシエを捕らえようと迫る。


グラシエ「あらあら、いきなり私を狙ってくるとは」

グラシエ「いけませんねェ…ちゃんと手順を踏んで頂かないと」

ゼロ「なっ!?」


グラシエは翼を広げて舞い上がり、
岩山に集結していた四獣士も突然その姿を消してしまう。

同時にゼロの目の前には、剣を並べたかのような紋章が浮かび上がる。


ゼロ「これは…『口付け』!?」

ゼロ「って、うおわぁぁぁっ!!」


ゼロは勢いあまり、結界への入口となる『口付け』に飛び込んでしまった。

 

 

ゼロ(ここは…?)

ゼロ(そうか、結界の中か)


気が付くと、ゼロは一本道の通路に佇んでいた。
強化された魔女の結界は広く、まるでゼロが人間大に縮んでしまったかのように錯覚させる。


ゼロ(クソッ!まさか魔女を利用する奴が現れるとはな)

ゼロ(奴さえ止めれば、あの魔女達の呪いも消える……そう思った俺が甘かったようだ)

ゼロ(魔女との戦いは、どうしても避けられないか…)


「魔法少女のなれの果て」という正体を知っているがために、魔女との戦いに気が進まないゼロ。
そして何故か、『地獄の四獣士』の存在も彼の心に引っ掛かっていた。


ゼロ(それにしても、あの魔女達…
   戦ったことはないはずだが、見覚えならあるような気がするぜ)

ゼロ(『シガンの魔女』だっけか?あの魔女以外は、どこかで……)

ゼロ(………)

ゼロ(いや……今更立ち止まってられないな)

ゼロ(地球では毎日のように戦ってた相手だろ。
   それにほむら達だって、今も地球で魔女との戦いを続けてるんだ)

ゼロ(俺が今やるべきは、あの魔女達を倒し、早くこの戦いを終わらせること。
   魔女の元になった魔法少女も、それを望んでるに違いねぇ!)


魔女が呪いを振りまく存在である以上、誰かが倒さなければならない―――
ゼロは地球で何度も自分に言い聞かせた覚悟を思い出し、通路を走り出した。

 

 

長い廊下を突き進み、ようやくゼロは最深部へと辿り着く。
広がっていたのは、使い魔達の演奏が響き渡るコンサートホールだった。


ゼロ「待たせたな!」


結界の主は『人魚の魔女』。
呪いの力を注ぎ込まれ、ゼロはおろか『ワルプルギスの夜』をも凌ぐ巨体へと変貌している。

そしてゼロの真上では、グラシエが浮遊しながら演奏に聴き入っていた。


グラシエ「あぁ、悲壮感に満ち溢れたこの素晴らしい演奏……如何でしょう、ゼロ?」

ゼロ「そうだな、さっさと幕を降ろしてやらないとな」

グラシエ「あっらあら、そんなコトしちゃっていいんですかぁ?」

グラシエ「未来を捨てたオクタヴィアに残りしは、手下達の演奏、在りし日の感動!
     それを邪魔する存在を、彼女は決して許しはしませんよォォ~?」

ゼロ「邪魔させるよう、テメェが仕組んでんだろうが!」

ゼロ「何にせよ、俺は戦う!俺は負けねぇ!」

グラシエ「そうですか……ククッ」

グラシエ「では覚えておくといいですよ、ゼロ。
     オクタヴィアの性質―――それは『恋慕』」

ゼロ「『恋慕』?」

グラシエ「さぁ、本格的に始めるとしましょう!」

グラシエ「ROUND1!」

 

 

人型の使い魔が指揮棒を振るい、呪いの演奏は続けられる。
そして主である『人魚の魔女』は、コンサートを邪魔させまいと戦闘体制に移っていた。

魔女が剣を振り上げると、その周囲に幾つもの車輪が生成される。
そして狙いをゼロに定め、回転する車輪を一斉に放った。


ゼロ「はああぁーーーっ!!」


ゼロも腕をL字に組むと、『ワイドゼロショット』を放ち、迫りくる車輪を破壊する。

全てを撃ち落すが、すぐに新たな車輪が生成され、次々とゼロへ飛ばされていく。


ゼロ「ハッ!」

ゼロ「シェアッ!……おおっと!?」

ゼロ「うおわっ!!」


応戦を続けるゼロだが、やがて破壊が生成に追い付かず、
周囲は転がり回る車輪で埋め尽くされていく。

反撃の機を伺うが、今のゼロには車輪を避けることで精一杯だった。


ゼロ「ったく…数撃ちゃあたるってか?
   だったら俺も、ゴリ押しで行かせてもらうとするぜ!」

ゼロ「『前へ進む力』―――」


ゼロは左腕のイージスを光らせ、魔法の力で赤き戦士へと変わる。
同時にウルトラゼロランスも取り出し、その形態を変化させた。


赤ゼロ「きょうこ☆マギカ…ゼロッ!!」


変身直後のゼロを車輪が襲う。
だが、パワーを格段に向上させたゼロは、パンチ一発で車輪を打ち砕いてみせた。

 

 

赤ゼロ「オォラッ!!」

赤ゼロ「デェァリャッ!!」


リーチの長い魔槍を振り回し、ゼロは車輪を豪快に破壊していく。

周囲の車輪は一掃できたが、魔女は結界内を回るように移動しながら、
すぐに新たな車輪を作り出していた。


赤ゼロ「まったく…埒が明かねぇな」

赤ゼロ「そんじゃ、ちょっくら試してみるとするか」


敵の生成能力は、無尽蔵と思えるほど。
対するゼロは槍を多関節に変化させ、自分の周囲で振り回し始めた。

回転は勢いを増し、やがて竜巻へと成長する。


赤ゼロ「まとめて返品させてもらうぜ!『ウルトラハリケーン』ッ!!」


巻き起こった竜巻は車輪と破片を舞い上げ、それらを作り出した魔女に襲い掛かる。

移動を続けていた魔女は自ら静止し、手にした剣を高く振り上げる。
そして、迫る竜巻と真下のゼロへ向け、一気に剣を振り下ろした。


赤ゼロ「中々やるな!」


その一振りは竜巻を裂き、舞い上げられた車輪と破片を吹き飛ばす。

更に叩きつけられた剣が地面を揺らし、衝撃波を発生させた。

 

 

赤ゼロ「シェアッ!!」


衝撃が発生した直後に、空中へと飛び上がっていたゼロ。
片手には槍を、もう片方は拳を握り締め、魔女の頭部へ突き進む。


赤ゼロ「ようやく隙作りやがったな!」

赤ゼロ「オラァァッ!!」


ゼロが繰り出した拳が、魔女の顔面に命中する。
鐘を打ち鳴らすかのような音とともに、魔女の巨体は大きく揺さぶられた。

魔女は剣を落として倒れこむが、尾をうねらせ、すぐに体制を立て直す。

だがその間に、ゼロは再び魔女の頭部へ近付いていた。
宇宙拳法『ウルトラゼロキック』を繰り出そうと、ゼロの脚が炎を纏う。


赤ゼロ「さぁ、もう眠―――」

魔女「ウゥアアアァァァァァッ!!」

魔女「アアアアアァァァァァーーーッッ!!」

赤ゼロ「!?」


目前に迫ったゼロへ向け、魔女は演奏を掻き消すほどの悲痛な叫びを響かせる。

その叫びを耳にしたゼロの脚からは、炎が消えた。

 

 

【人魚の魔女 その2】



魔女「ウゥアアアァァァァァッ!!」

魔女「アアアアアァァァァァーーーッッ!!」

赤ゼロ「!?」


コンサートホールに響き渡る魔女の叫びが、
ゼロの頭を揺さぶるとともに、ある記憶を呼び起こす。


赤ゼロ(そうか……そういう事か)

赤ゼロ(思い出したぜ。『地獄の四獣士』、お前等は―――)


しかし、纏った炎とともにゼロキックの勢いまでもが消えてしまった。
その隙を魔女は容赦なく狙う。

気が付けばゼロの目前に、魔女の尾が迫っていた。


赤ゼロ「しまった!」

赤ゼロ「うぐおぉっ!!」


反応が遅れたゼロに尾びれが直撃し、その体は地面へと叩き付けられる。


赤ゼロ「うあっ……」


立ち込める土煙の中で倒れるゼロ。

だが、『地獄の四獣士』を一体どこで目にしたのか、
ダメージと引き換えに思い出すことはできた。

 

 

赤ゼロ(間違いなく、俺は四体の内どの魔女とも戦ったことはない。
    なのにどうして覚えがあるのか、やっとわかった)

赤ゼロ(戦ったのは俺じゃねえ……ほむらだ)


その記憶は、地球に滞在した最後の日に遡る。

『ワルプルギスの夜』との決戦で一度敗れたゼロの精神は、ある空間で目を覚ました。
彼を地球へ導いた守護神『ウルトラマンノア』の力なのかは定かではないが、
その空間では、ほむらが繰り返してきた戦いの断片的な記録が映し出されていた。

そして四獣士の内三体、『人魚』『武旦』『おめかし』の魔女も、
ほむらが戦った魔女として、映像の中にその姿を見せていたのだった。


赤ゼロ(ほむらは長い間、ずっと見滝原の中で戦ってきた。
    つまり『地獄の四獣士』も、あの街のどこかに現れるはずだった魔女)

赤ゼロ(そいつらがここにいるってことは、あのコウモリ野郎も見滝原で魔女を…)

赤ゼロ(でも、最後の魔女は……俺の記憶にもほむらの記憶にも無い、あの黒い魔女は?)

赤ゼロ(………)


目覚めた記憶が、ゼロを次第に不安へと駆り立てていく。

だが、目の前の戦いはまだ終わっていない。
倒れたままのゼロに、浮遊しながらグラシエが叫ぶ。


グラシエ「考え事ばかりしてるんじゃありません!もっと戦いに集中しなさい!!」

赤ゼロ「!?」


魔女が右腕を伸ばし、ゼロの体を掴み取った。
捕えたゼロを握り潰そうと、魔女は手に力を込め始める。

 

 

赤ゼロ「ぐ…ぁっ!」


魔女の手の中から抜け出せず、苦しむゼロ。
徐々に強まっていく握力と同じように、心の内側でも不安が膨れ上がっていた。


赤ゼロ(心のどこかで考えないようにしていた…)

赤ゼロ(今だって、そんな事はありえねぇと俺は信じてる)

赤ゼロ(そのはずなのに、どうしても考えずにはいられなくなっちまってる)

赤ゼロ(あの魔女達は、まさか―――)


赤ゼロ「ぐあああぁぁっ!!」


締め上げる力は更に増し、内に向き続けていたゼロの意識を強引に引き戻す。


赤ゼロ「これはさすがにヤバそうだぜ…」

赤ゼロ「ぐ……シェアッ!!」


ゼロは魔女へ首を向けると、額から『エメリウムスラッシュ』を撃ち出す。
高速で撃ち出された熱線が、魔女の右腕を貫いた。

込められていた力が途端に弱まり、チャンスとばかりにゼロは赤い魔力を漲らせる。


赤ゼロ「うおおおおぉーーーっ!!」


赤きゼロの怪力が、魔女の手を徐々にこじ開けていく。

あと少しで抜け出せる所まで隙間は広がるが、魔女はゼロを無傷で脱出させることを許さなかった。

 

 

赤ゼロ「ん?」

赤ゼロ「ちょ…待て、何する気だ!?」

赤ゼロ「おい!」


魔女はゼロを握り締めたまま、大きく体を捻らせる。
すると、手の中に収まっていたゼロを思い切り投げつけ、その体を再び地面へ衝突させた。


赤ゼロ「うああぁーーーーっ!」

赤ゼロ「ぐはぁっ!!」


衝突のダメージから、ゼロは思わず魔法の力を解除してしまう。
通常時の姿に戻ったゼロは、痛む体をゆっくりと起こす。

だが、魔女もすぐさま落としていた剣を拾い上げ、再びゼロに振り下ろす。


ゼロ「痛ってて…」

ゼロ「!?……危ねぇ!!」


ゼロは転がるように攻撃を避けるが、叩き付けられた剣は再び衝撃波を巻き起こす。

結界の床は二度目の衝撃に耐えられず、ついにコンサートホールが崩落する。


ゼロ(クソ…思うように戦えねぇ…)

ゼロ(俺は恐れているのか?この魔女との戦いを…)

ゼロ(いや……俺が恐れてるのはそれ以上のことだ)


グラシエ「クックックッ…」


瓦礫とともに、ゼロと魔女は下層へと落ちていく。
戦いを見物していたグラシエも、下降してその後を追った。

 

 

下層へ落ちゆくゼロは、数々の不安要素を心の中で否定し続けていた。
迷いや恐れを打ち払い、『人魚の魔女』との決着をつけるために。


『見滝原の魔女』

ゼロ(地球で俺を監視するついでに、隠れてた魔女を捕まえただけだ!
   あの街だけでも、結構な数が潜んでたからな…)


『選りすぐり』

ゼロ(中から強そうな魔女を選んだってだけの話だ!)


『四体』

ゼロ(数に深い意味はねぇ!偶然だ!)


『此岸の魔女』

ゼロ(ほむらが見てない魔女ってことは、他の街で捕まえたに決まってる!)

ゼロ(それで全て説明はつく……だから、恐れるな)


魔女を見つめながら、拳を握るゼロ。
その手には、魔法の解除と同時に通常形態に戻ったウルトラゼロランスが握られている。


ゼロ(恐れるな…)

ゼロ(恐れるな…!)

ゼロ(恐れるなっ!!)


落下に身を任せるがままだったゼロは、魔女の元へ飛ぶ。


ゼロ「シェアァァッ!!」


魔女の頭部に狙いを定め、その額にゼロランスを突き立てた。

 

 

魔女「アアア……」


額を深々と貫かれた魔女は、動きを止めて下層に倒れ込む。
ゼロは魔女から距離を取って着地すると、ゼロスラッガーを両手に握る。


ゼロ「シャッ!」

ゼロ「今度こそ、とどめだ!」


ゼロはスラッガー二本をカラータイマーの両側に装着すると、
エネルギーを集中し、必殺光線『ゼロツインシュート』を放つ。


ゼロ「うぉっらあああぁーーっ!!」

魔女「アアア……アアアァッ!!」

ゼロ「おおおおおーーーーーーっ!!」

魔女「アアァーーーーーッ!!」


魔女はツインシュートを正面から受け続けるが、
その威力には耐え切れず爆発を起こす。

爆炎の中にもがき苦しむ魔女の影が映ったが、それもやがて消えていった。


ゼロ「………」

ゼロ「…これで一体目か」


『人魚の魔女』の死によって、結界は揺らぎ、消滅を始める。

ゼロの周囲は、徐々に怪獣墓場の荒野へと戻っていった。


グラシエ「あ~あ~あ~」

グラシエ「アッハハハハハハッ!!」

グラシエ「いやはや、盛大に殺ってしまいましたねェーーゼロッ!!」


一戦目はゼロの勝利で終わったにもかかわらず、
現れたグラシエは悔しがるどころか、高笑いを上げている。

 



ゼロ「何が可笑しい」

グラシエ「新たな力を手にしておきながら、その残念な戦いぶり……ククッ!
     貴方、いくらなんでも迷いすぎデス」

ゼロ「迷いだと?俺は何も迷っちゃいねぇ」

グラシエ「またまたご冗談を!貴方、本当はもう気付いてしまったのではありませんか?」

グラシエ「『人魚の魔女』、オクタヴィアの正体に」

ゼロ「!!」


誤魔化しようのないほどの動揺を見せてしまうゼロ。
秘めていた不安も恐れも、全てグラシエに見透かされていることを悟る。


ゼロ「…知らねえな」

グラシエ「ヒントなら事前に伝えたはずですよ?彼女の性質は『恋慕』であると」

グラシエ「心当たりならあるじゃないですかァ~!
     叶わぬ恋に身を焦がし、心を壊しかけた魔法少女の存在が!」

ゼロ「…ッ!?」

ゼロ「だから知らねぇって言ってんだろうが!!」

グラシエ「仲間を知らないだなんてアナタ!
     美樹さやかさんがカワイソウじゃありませんか!この薄情者っ!!」

ゼロ「さや……」

グラシエ「あら~っ!熱くなりすぎて、思わず口を滑らせてしまいました!」

グラシエ「私って、ほんとバカ」


わざとらしさしか感じられないグラシエの言葉に、ゼロが凍りつく。
グラシエが口にしたのは、ゼロが頑なに否定しようとした最悪の事実だった。


ゼロ「ハハハ……ないない」

ゼロ「ありえないぜ」


右腕が震えていることに気付いたゼロは、左腕で掴み、抑えようとする。
だが、その震えはゼロの体全体に広がっていく。


ゼロ「あいつらが絶望とか……」

ゼロ「…ありえねぇだろ……」


小刻みに震える足元に突如、新たな『口付け』が展開する。
落とし穴に落ちていくかのように、ゼロは結界へ引きずり込まれてしまった。

 

 









グラシエ「らうんどつー♪」









 

つづく

次回投下時に、立て直し前にはなかった場面を追加します。

そもそもQB擁護君に都合のいい論法ばかり言ってる時点でID://lCKOxr0がそもそも自演臭い

人類の発展に関わってきた~から原始時代に~の論理飛躍がひどい
「過去に戻って排除」したとしても「今でも穴蔵暮らし」は「可能性はゼロではない」だけでQBに都合のいい予測に過ぎないし、
「これから先魔法少女システムを使わせない」なら文明がいきなり消えるわけじゃない(今後の自力発展もありえる)
QBの予測を受けたジョークとして出された例の4コマを「あの予測が絶対に正しい」と主張するための根拠にするのは余りにもナンセンス(もしそれに原始ほむらがいるのであれば尚更)

>>92
例えそうだとしても、あの世界の魔法少女システムをなくすって事は魔法少女達を否定してるって事だろうが
それを否定するってクロス側の踏み台かつ魔法少女というか、まどマギという作品のヘイトにしかなってないんだよカス
ほむらが改変後でもQBや魔法少女を存続させたのは悪影響があるってわかりそうなもんだが
それも想像できないような低脳ですか?特撮厨様は?

>>93
ほむらは確かに改編後でもQBと魔法少女を残したね
呪いや魔獣は残ってるみたいだからね

人類がどうとか一言も言ってないね

>>95
本編と関係ないスピンオフでギャグだから許される話
後、まどポの番外編とか基本的に賛否両論なわけなんだが

>>96
単純な善悪でしか測れない馬鹿はこの作品を見る資格がない
大体、絶対的な正義なんてこの世にあると思ってる?
各々が多様な価値観を持ってるから争いとかが起きるわけで、別な視点から見れば正義だと思ってたのが悪だなんてのは有り得ること
寧ろ自分達の独善を押し付ける連中の方が始末に悪い、某◯メ○カみたいにな
その結果イスラム国みたいな国が誕生しているわけなのだが

>>97
そうだよ自分の世界やまどかのために魔法少女や人類を残した
上でも言ったが、まどマギ作品という作品は正しいとか悪いとか関係なくに自分のエゴを貫く作品なんだよ
単純な正義とか愛とか関係ない勧善懲悪じゃないの

>>98
いつも思うことだけどなんでお前は話をすり替えるの?
人類文明への影響に対する話をしてたところに「ほむらまで残したんだから悪影響あるだろ」とか決めつけたから
「呪いや魔獣の対処が主眼で人類文明への影響の可能性は考慮されてるかすらわかんねーよ」と返した筈なのに
何故お前は「ほら悪影響あるじゃねーか」みたいに揚げ足とれたみたいな面してんの?

>>101
お前、エヴァやガンダムも見てないだろ
エヴァなんて人類補完計画発動して人類が滅びちゃってるわけなんだが?
ガンダムにいたってはZやVなんてBADENDだし、どれも人の悪意や各々のすれ違いやコミュ不足で破滅したわけなのだが?

>>102
嫌悪したQBをわざわざ残して「手伝って貰う」と言ってボロ雑巾になるまで酷使したのは何でなんでしょうかねえ?
少なくともQBがいなったら魔法少女の願いは叶えられないわけなんだが?
呪いや魔獣の対処だけでわざわざ残すかよ、そもそも魔法少女いなかったら魔獣や呪いだって生まれないだろ
TVでもほむらが「世界の歪みは形を変えて云々」言ってるし、必ずその綻びがやってくるんだよ

>>106
魔獣の発生原理は「世界改編の影響」以外謎なんで魔法少女がいるいないは影響するかもわかりません。
むしろいなくても発生しそうですが

>>108
改変後に発生したって事はまどかの願いの代償としか考えつかないわけだが?
魔法少女いなくても発生しないなら何で改変前にはいないんだって話だろ
頭る悪いのか?馬鹿なの?死ぬの?

>>109
まど神誕生やほむらの宇宙改編の影響による魔獣発生と「それ以外の」魔法少女を残さなかったら魔獣は産まれない論に因果関係が無さすぎる
ほむらがQB取っ捕まえて残したのは「それ以外の」魔法少女だぞ

>>110
でも実際に魔女のGSと同じ様に魔獣はグリーフキューブを持ってるじゃん?
これがなかったら魔法少女はジェムの濁りを取れないわけじゃん
そこら辺の因果関係を考えると、どう考えたって魔法少女と関係ある様にしか思えないんですが?

>>111
じゃあ魔獣に関しては呪いと歪みを材料にQBがなんかしてんのかもな
その元になる「QBに処理を手伝わせた、処理しなければならない呪いがある」事には変わりはないし、あのほむらの言い回し的に呪いの存在自体は一般魔法少女関係なさそうだけと



【人魚の魔女 その3】



怪獣墓場を揺るがす激闘より一週間前の、M78星雲・光の国。

結晶で構築されたかのような美しい街の上に、
時空を越えて帰郷したゼロと、彼に同行したジャン兄弟の姿があった。


ジャン弟「ここが、ゼロの故郷か」

ジャン兄「実際に目にするのは私も初めてだな」

ゼロ「どうだ、エスメラルダにも負けない綺麗な星だろ?
   色々案内してやりたいが、今は観光している暇はないな」

ジャン弟「分かっている。『目的』が最優先だ」

ゼロ「そういう事だ。全てが片付いたら、皆を連れてまた来よう!」

ジャン兄「姫様も一緒にな」

ゼロ「もちろんだ!さぁ、これから本部へ報告に向かうぜ!」


ゼロが指差す先には、マイティベースのモデルにもなった宇宙警備隊の本部が浮かぶ。

だが、意気込むゼロの耳に突然、懐かしい声が響いた。


??「ゼロ!」

ゼロ「ん?」

ゼロ「…その声は!」


声を受け取ったゼロが、すぐさま空を見上げる。

街の遥か上空に浮かぶ巨大な塔、声の主はその頂上にいた。


ゼロ「ジャンボット、ジャンナイン……すぐ戻る!」

ジャン弟「ゼロ?」

ジャン兄「一体どこへ行くというのだ!?」

ゼロ「悪い、お前らしばらく観光でもして待っててくれ!」


ジャン兄「………」

ジャン弟「………」


ジャン兄弟を残し、ゼロは空へ飛び去っていく。
残された二人は、ただ呆然とその様子を見つめていた。

 

 

人工太陽の管理塔・プラズマスパークタワー。
ゼロがその頂上部に降り立つと、マントをなびかせたウルトラ戦士が二人佇んでいた。


セブン「よく帰ってきたな、ゼロ」

ゼロ「久しぶりだな、親父。天球の時以来だぜ」

ゼロ「それにウルトラマンレオ……いや、レオ師匠も!」


一人はゼロの父親、ウルトラセブン。
もう一人は修業時代の師、ウルトラマンレオ。

ゼロは二人の間に立ち、共に街を見下ろした。


レオ「変わったな、ゼロ。今のお前は、大きな何かを乗り越えた男の顔だ」

レオ「そして、次なる山に挑もうとしているように感じられる」

セブン「最近、どこか別の宇宙へ飛び立ったようだが、何か関係があるのだな?」

ゼロ「何でもお見通しなんだな、親父も師匠も。
   その通り、今日はその宇宙の件で報告に帰ってきたってわけさ」

ゼロ「ようやく俺も行ってきたぜ、『地球』に!」

セブン「!」

レオ「地球に…!」


ゼロの口から飛び出した星の名に、二人は驚く。
特にセブンは、嬉しそうな反応さえ見せている。


セブン「お前には、これまで何度も話をしてきたな。私だけでなく、他の兄弟達も」

セブン「私が愛したかけがえのない星だ。いつかお前にも、その目で見てほしいとずっと思っていた」

セブン「その時がやってきたことを、私は嬉しく思う」


レオ「…だが、わざわざ報告に帰ってきたということは、
   その地球に、何か良からぬ事態が起きているのか?」

ゼロ「実は…そうなんだ」

レオ「何があったのか、聞かせてもらおう」

ゼロ「わかった。親父と師匠には先に話しておくぜ。
   俺達の時間で、ほんの一、二日前のことだ―――」


ゼロは本部への報告より早く、地球で体験した一部始終をセブンとレオに語り始める。




 

 




レオ「滅亡した世界から始まり、少女達が変わり果てたマイナスエネルギーの怪物に、
   それを利用してエネルギーを集める異星人か……」

セブン「そして、人間自身が生み出す闇の深さ―――」

セブン「どうやらお前は、私の期待とは別の側面ばかりを、多く目にしてしまったようだな」

ゼロ「そうなのかもな…」

ゼロ「確かに、ウルトラ兄弟から聞いた世界より、ずっと歪んでるように感じたぜ」

セブン「………」


ゼロの体験を聞き、二人は地球に滞在していた遠い過去を、
かつての自分が、どのように地球と人間に惹かれ、愛するようになったのかを思い返していた。


セブン「だが、その歪んだ世界の中で、お前が信じたものこそが
    人の『優しさ』、そして『仲間との絆』だったのだな」

ゼロ「ああ。優しさを目にしてなかったら、
   俺は地球人への不信を募らせていたかもしれない」

ゼロ「そして、途切れないようにするのは大変だったが、この繋がりがなかったら
   俺はこうして帰って来られなかったかもしれない」

ゼロ「色々あったが、俺はあの星へ行けて良かった。
   みんなが地球好きな理由もわかった気がするし、これからもあの星を知っていきたいと思ってる」

ゼロ「俺と地球の本当の関わりは、これから始まるんだ!」

セブン「フッ…そうか」


新たな仲間との絆が、必ず息子を支える力になる。
ゼロの旅立ちからそれを信じていたセブンは、密かに安心した。


ゼロ「そういうわけで、俺は今から宇宙警備隊の本部へ向かう」

ゼロ「ソウルジェムにされた魂を解放する方法と、
   魔法少女に代わるエネルギー技術を、早くあの宇宙に持ち帰りたいからな」

ゼロ「今回の事は、もう俺達ウルティメイトフォースだけでどうにかできるレベルじゃねえ…
   あの宇宙の未来のために、『光の国』の協力は絶対に必要なんだ」

ゼロ「みんな、力を貸してくれるよな?」

 



セブン「最終的な判断は、ウルトラの父――大隊長が下すだろう。
    魂の解放とエネルギー技術は、『宇宙科学技術局』に協力を要請してくれるはずだ」

ゼロ「本当か?」

セブン「恐らくな。我々も、出来る限りは協力しよう」


レオ「だが、ゼロ…」

レオ「お前は元凶であるインキュベーターを倒すことなく帰還した。
   それが事実なら、今も地球のどこかで少女が絶望し、魔女が生まれていることになる」

レオ「お前はそれを、見過ごして良かったのか?」

レオ「そして、奴等をこの先どうしたいと考えている?」

ゼロ「まぁ、そう思うよな…」


それは今回の報告において、避けては通れない追及だった。
帰郷前から覚悟していたゼロは、自らの選択について語り始める。


ゼロ「俺だって、何も考えなかったわけじゃないさ。奴等のやり方は、誰より俺が許せねぇよ」

ゼロ「けれど、奴の奥底には悪意じゃない、俺達とは別の正義がある。
   あの宇宙の存続……奴等が掲げてる使命も間違いとは言い切れない」

ゼロ「だから俺は、奴等を倒さない。
   代わりに感情と、命を慈しむ正義を教えてやりたいんだ!」

レオ「インキュベーターを説得しようというのか?」

ゼロ「これが俺の選択だ。…親父と師匠は、間違ってると思うか?」


セブン「ふむ……」

セブン「お前の判断は、宇宙警備隊の隊員達、
    特に地球を守ってきた戦士達の中で、大きく意見が別れることだろう」

セブン「そして、私がお前であったなら―――
    お前と同じ体験をして、同じ力を持っていたとしたら…」

セブン「インキュベーターを倒す道を、選んでいたかもしれんな」

ゼロ「!?」


この二人ならば理解を示してくれる…そう考えていたゼロは、
セブンが出した答えに戸惑いを隠せなかった。

 



ゼロ「師匠も…同じなのか?」

レオ「我々の地球防衛は、決して楽な道ではなかった」

レオ「何度も傷付き、お前と同じように闇に迷い……
   そして時には、大切な仲間も失った」

レオ「痛みも悲しみも乗り越えて守り抜いた地球は、我々にとって第二の故郷となった。
   別の次元といえども、その故郷を傷付ける者を決して許すことはできない」

セブン「そこに、我々の個人的な感情が含まれていることも、否定はしないがな」

ゼロ「個人的な感情……」


あの宇宙全体の為ではなく、『個人的な感情』を中心に考えたとき、
自分にとって最も重いものは何だろうか―――

その答えは、少女の形をして頭に浮かび上がった。


ゼロ(杏子、さやか、マミ、ほむら…)

ゼロ(それでも、俺は……)



少女達を悲しみや苦しみを、これ以上見たくはない。
だが、これまでの経験から導き出した自分の『選択』も否定したくはない。


ゼロ「………」

ゼロ「ははっ、やっぱ歴戦のウルトラ兄弟の言葉は重いな。
   しかもこの二人に言われちまうと、何だかクるものがあるぜ…」

ゼロ「ありがとな。俺がどんなに経験不足なのか、よくわかったよ。
   本部に行く前に、もう一度よく考えてみるぜ…」


尊敬する二人の言葉が、ゼロを迷わせる。

だが、タワーから去ろうとした彼を、背後でレオが呼び止めた。


レオ「ゼロ」

ゼロ「何だ…?」

レオ「ゼロ、お前は自分の選択を信じたいか?」

ゼロ「………」

レオ「信じたいのかと聞いている」

ゼロ「………ああ」

レオ「その思いに、偽りはないか?」

ゼロ「……ああ!」

レオ「ならば、絶対に諦めるな」

ゼロ「ああッ!俺だって諦めたくね………えっ?」

 

 

レオからの突然の激励に、ゼロは驚く。
セブンに目を向けると、彼もレオに同意であると頷いた。

二人は「自分ならどうしていたか」という仮定の話はしたものの、
ゼロの選択を、最初から否定などしてはいなかった。


セブン「ゼロ、確かにお前は若い。我々ウルトラ兄弟よりも、『経験』で劣るのは仕方のないことだ」

セブン「だが、お前には力がある。幾多の宇宙を自由に渡る力がな。
    ウルトラ兄弟の誰より、光の国の誰よりも、多くの世界をその目で見ることができる」

セブン「そうして培われたお前の考え方は、我々の『経験』にも並ぶものだと、私は思っている」

ゼロ「親父……」

レオ「そして、ウルトラ兄弟達から何度も説かれたはずだ。
   最後まで諦めずに、不可能を可能にする―――それが『ウルトラマン』だと」

レオ「インキュベーターを説得し、必ず少女達の未来を守り抜いてみせるんだ!」

ゼロ「師匠……」

セブン「私とレオも本部に同行し、皆に話をしよう。
    だからゼロ、お前は自分の選択を信じろ!」

ゼロ「もちろんだ!絶対に守ってみせるぜ!」

ゼロ「あの宇宙を!」

ゼロ「地球(フューチャーアース)を!」


ゼロ「そして地球人―――俺の大切な仲間達を!!」















ゼロ(守るんだ…俺が……)

ゼロ(掴むんだ…みんなで…!!)


霧の立ち込める闇の中へ、ゼロは真っ逆さまに堕ちていく。

その心は、仲間、父、師に誓った約束、
そしてグラシエが突き付けた現実の間で揺れている。

この先に更なる絶望が待ち受けていると感じながらも、彼はまだ、何も考えられずにいた。

 

つづく

遅くなりましたが、人魚の魔女編は終了です。
来週中に、長らく停滞していた武旦の魔女編を終わらせます。

何でもかんでも特撮と関連付ける特撮ファンって…
まどマギのどの子も良くも悪くも自分自身の願いやエゴのために戦ってるんだあらヒーローとは別物だと思うけど?
テーマの「叶えた願いが…たとえ自分に嘘をついてでも」ってのがそれをよく表してる

何でもかんでも特撮と関連付ける特撮ファンって…
まどマギのどの子も良くも悪くも自分自身の願いやエゴのために戦ってるんだからヒーローとは別物だと思うけど?
テーマの「叶えた願いがあった…たとえ自分に嘘をついてでも」ってのがそれをよく表してる

いや主役はともかくとして二号ライダーとかライバルポジションのキャラで自分の願いのために戦うとかけっこういるし。なんか勧善懲悪ものとか正義がどうこうとか古臭い特撮のイメージ持ってるなあ。今そんなのばかりでも無いよ?

というか叶えたい~ってそれテーマなの?確かブッチーは「折衝」とか言ってた気がするんだけど。

>>200
ライバルや敵ポジなら違うんじゃないのか?
ヒーロー番組の体をとっている以上は基本主人公は正しいみたいに描写されるじゃん
例えばまどマギなら魔女の存在をなくした主人公のまどかですら、絶対に正しいわけではないと描かれてるわけでさ

どっちにしろウルトラマンみたいなヒーローとは相性悪いわ
二号的なポジのウルトラマンですら基本善良みたいな感じだし

>>200
それから「叶えたい願い云々」に関しては前後編の映画のキャッチコピーね
少なくとも間違ってはいないだろ、魔法少女全員が本当に欲しい物は手に入らなかったんだから

 




ゼロ(バット星人のゲームに乗せられた俺は、奴の従える『人魚の魔女』と激突した)

ゼロ(その巨体と車輪を作り出す能力を相手に、俺は魔法の力で立ち向かう!)

ゼロ(色々あって苦戦を強いられたが、何とか勝利することはできた。
   だがその直後、奴は残酷な事実を俺に突き付ける)

ゼロ(考えたくなかった魔女の正体、それは―――)




 



【武旦の魔女 その1】



石造りの橋のような場所に降り立ったゼロ。
引き込まれた結界の内部は薄暗く、霧が立ち込めている。

後を追うように、グラシエも結界内に舞い降りてきた。


ゼロ「………」

ゼロ「さやかが…みんなが魔女になっただと…?」

グラシエ「はい」

グラシエ「『人魚の魔女』、オクタヴィア!フォン!ゼッケンドルフッ!!
     …は、美樹さやかさんが魔女化した姿です」

ゼロ「そんなの…信じられるか!」

グラシエ「嘘か真か、知っているのは私だけです」

ゼロ「俺にはわかるんだ…あいつらは希望を掴んで、未来を信じた!もう絶望なんかしたりしない!」

ゼロ「それに、あれからまだ一週間しか経ってねぇ!!」

グラシエ「もう一週間、ですけど?」

ゼロ「くっ…」

グラシエ「我々と人間では、時間の流れが大きく異なることをお忘れなく」

ゼロ「嘘だ……」


体を震わせながら、ゼロはグラシエの暴露を否定し続ける。
『人魚の魔女』と戦った時点で予感していたとはいえ、簡単に受け入れられるものではない。


グラシエ「うーむ、やはりまだ疑われてるようですね…
     ですが、彼女の相手をすれば嫌でもわかることでしょう」

グラシエ「オフィーリア!」


 

 

霧の奥から火の玉が、凄まじい速度でこちらへ迫ってくる。

やがて火の玉は、馬を駆り、槍を振り回す魔女へと姿を変える。
それは四獣士の二番手『武旦の魔女』だった。


ゼロ「!?」


物言わぬ魔女は、ゼロの間合いに踏み込むと槍を振り上げる。


ゼロ「ぐあぁっ!!」


繰り出された一撃が、動揺で動きの鈍ったゼロを吹っ飛ばす。

魔女はゼロの体が地面に落ちるよりも速く距離を詰めると、
馬の前脚から、ゼロの腹部目掛けて蹴りを打ち込む。


ゼロ「ごっふっ…!!」

ゼロ「ぐお……」


更に後方へ蹴り飛ばされるゼロ。
だが、その体は何かにぶつかって制止する。


ゼロ「がはっ…はっ…」

ゼロ「……網…?」


その背には、編み目のような赤い障壁が作り出されていた。
この壁も、魔女の能力の一部らしい。

ゼロはすぐに正面へ向き直るが、そこには既に魔女が槍を構えていた。


ゼロ「いつの間に…ッ!?」


逃げ場のない獲物を貫こうと、魔女は容赦なく槍を突き出す。
ゼロは咄嗟に手を伸ばし、迫る槍を掴み取った。

 

 

ゼロ「くっ…」

グラシエ「『武旦の魔女』オフィーリア、その性質は『自棄』です」

グラシエ「自分を見失い、深い霧の中をさまよい続ける哀れなオフィーリア!
     彼女が失わずに済んだのは、最早その『力』だけ」

グラシエ「ねぇゼロ……彼女の戦い方、貴方も覚えがありませんか?」

ゼロ「………」

ゼロ「……杏子…」

グラシエ「セイカイ」


追い打ちをかけるかのような事実に、槍を寸前で止めていたゼロの力が急激に弱まる。

槍の先端は、次第にカラータイマーへと迫っていく。


ゼロ「うあっ……」

グラシエ「まだです、オフィーリア」

グラシエ「彼にはまだ選んでもらわねばなりませんので」


魔女はグラシエに従い、槍を突き出すことを止めた。
代わりに魔女は槍を振り上げ、槍を握り締めたままのゼロを宙へ投げ飛ばす。

力を発揮できないゼロは、受け身を取ることもできずに落下した。


ゼロ(どうやら、コウモリ野郎の話は本当らしい…)

ゼロ(嫌でも伝わってくるぜ…その戦い方、この感覚…)

ゼロ(お前は、杏子だ…)


ゼロ(でも…どうして…)

ゼロ「…どうしてなんだ!!」


倒れたまま苦悩するゼロへ、魔女は槍の刃先を向けた。

 

 

グラシエ「おわかりになりましたか?
     私が用意した『地獄の四獣士』が、貴方のお仲間の魔女であると」

グラシエ「その仲間の頭に槍を突き刺した挙げ句、焼き殺すなんてねぇ…クックック…
     貴方、意外と『闇』の資質があるんじゃありませんか?」

ゼロ「うるせぇ……」

ゼロ「テメェなんかと一緒に…するなガハッ!?」


起き上がろうとするゼロの背中に、魔女が槍を叩きつけた。

再び地面に伏せるゼロに、グラシエは心無い挑発を続ける。


グラシエ「ほらほら、いつまで寝てるんですかァ~?
     墓場の空で、さやかさんもお待ちかねですよォ~?」

グラシエ「一人ぼっちは寂しいですもんねぇ~~誰かが一緒にいてあげないと!」

グラシエ「アナタが死んで彼女に寄り添うか、オフィーリアを倒して後を追わせるか」

グラシエ「二つに一つ、さぁどちらかお選びなさい!!」

ゼロ「選べるわけねぇだろ!!」


四獣士の正体を知ってしまったゼロに、二択の答えを出すことなど出来ない。

悲しみと怒りに打ち震えながら、ゼロはグラシエを睨み付ける。


ゼロ「お前の狙いはこの俺のはずだ…」

ゼロ「なのに、何故あいつらを巻き込んだ…?」

グラシエ「大切なものを踏みにじることは、我々『闇』にとって基本中のキホン」

グラシエ「まあまあ、良かったじゃありませんかァ。
     四人の内二人からは、しっかり『形見』を受け取ってるんですから」

グラシエ「貴方が継いだその魔法で、私の魔女と遊びましょ~よ~」

グラシエ「ウェヒヒヒヒヒヒッ!!」


グラシエが意図せず用いた表現に、何かを察したゼロは硬直する。


ゼロ(『形見』…?)

ゼロ(まさか……俺に託された力の意味って…)




 

 

【武旦の魔女 その2】



自分の中の『力』に気付いた瞬間から、託された意味をずっと考え続けていたゼロ。
だが、グラシエの『形見』という言葉を受け、その答えについて一つの想像が頭をよぎる。


ゼロ(『形見』…?)

ゼロ(まさか……俺に託された力の意味って…)


地球での決戦時に異空間で目にした、ほむらの戦いの記憶。
そのビジョンは、『鹿目まどか』が概念となって宇宙を改変し、魔女の存在を否定したことで完結した。

それは今のほむらの経験ではなく、彼女が迎えていたかもしれない一つの結末。

同じように、さやかと杏子もあの空間に踏み入ったとき、
自らの結末を知ってしまったのだとしたら―――


ゼロ(みんな、こうなることを……)

ゼロ(魔女にされ、戦わされる運命を知っていたから?)

ゼロ(だから…全てが無駄にならないよう、俺に…?)


あくまでゼロの想像に過ぎず、裏付けるものは何もない。
同じように、それを否定できる根拠もない。


ゼロ(もし本当にそうだとしたら……嬉しくねえよ)

ゼロ(…そんな贈り物、嬉しくも何ともねぇんだよ!!)

ゼロ(お前らが未来を信じて生きているだけで、俺は……)


 

 

ゼロ「…さやか!」

ゼロ「杏子!マミ!」

ゼロ「ほむらぁぁぁっ!!」

グラシエ「ハッハッハッハッハァーーーッ!!」

グラシエ「自らの手で仲間を殺めた事実に苦しみ抜くのです!!」

ゼロ「ぐは…っ!?」


絶望するゼロを、突然の斬撃が襲う。

魔女は一撃を加えると、立ち込める霧の中に消えていく。
直後、別方向から再び魔女が飛び出す。


ゼロ「待て……ぐあぁっ!」


またも魔女はゼロに斬りかかり、走り去る。
あらゆる方向から、高速で繰り出される連続攻撃に、ゼロはただ翻弄される。


ゼロ「ぐぁっ…がはっ…!」

ゼロ「やめろ…うぐっ!……もう止まれ!」


どうしても魔女を攻撃できないゼロは、イージスの中からゼロディフェンダーを取り出し、守りに入る。
霧の中から魔女が現れたことを確認すると、その攻撃を正面から受け止めた。

だが、その背後から何者かが、ゼロの背を斬りつけた。


ゼロ「うあああっ!!」

 

 

ディフェンダーを落として倒れこむゼロ。

見上げると、そこには正面の一体とは別に、二体の『武旦の魔女』が並んでいる。
ここでようやく、魔女が高速で移動していたわけではなく、複数で攻撃を仕掛けていたことに気付く。


ゼロ(これは、分身…)

ゼロ(杏子の持ってる『幻惑の魔法』と同じ…)


分身を作り出す魔女の能力は、恐らく杏子が扱った魔法の名残。
その事実が、目の前の魔女がかつての仲間であることを、より強く意識させてしまう。


ゼロ(やめろ…やめてくれ!)

ゼロ(俺はもう、これ以上お前達と戦いたくないんだ…!)


今の自分に、この魔女を倒すことはできない。
ゼロは光の国への救援を求め、『ウルトラサイン』を発信しようと手を伸ばす。


ゼロ(せめて誰か…俺の代わりに戦―――)


ゼロ「ぐあああぁぁぁっ!!」


救いを求めようとしたその手を、非情にも馬の蹄が踏みつける。


グラシエ「何やってるんです?これは他の誰でもない、貴方の戦いなんですよ?」

グラシエ「このゲームのセッティングにどれだけの手間を要したか…
     私の期待、裏切らないでくださいネッ★」


本体と分身―――計三体の魔女が、ゼロに槍を振り下ろした。




 

 




ゼロ「……杏……」


魔女に手を出せず、ゼロは力なく崩れ落ちる。
激しい攻撃と絶望的な事実を前に、その身心は限界を迎えようとしていた。


グラシエ「無様ですねぇ…そんなに傷ついてもまだ無抵抗とは」


ゼロの額の上に、浮遊していたグラシエが不満げな様子で着地する。

グラシエは二択を迫りながらも、
実際はゼロが心に鞭を打ってでも魔女を倒し、ゲームを進めることを期待していた。


グラシエ「アナタ、マミさんにこんな事言ってませんでしたっけ?」

グラシエ「誰かが魔女を倒さなければ別の誰かが犠牲になる。そして、それを見過ごすことはできないと」

グラシエ「どうしちゃったんですかァ~ん?魔女、目の前で暴れてますよォォ~?」

ゼロ「………」


反応を返さないゼロの様子に、グラシエは一転して冷めた態度で見切りをつける。


グラシエ「…全く、だらしのない」

グラシエ「絶望の中でどう足掻くのかを楽しみにしてましたが、この程度ですか。
     もう少し骨がある方かと思っていましたよッ!」

グラシエ「オフィーリア、とどめです」


だが、グラシエは気付かなった。
挑発を耳にしたゼロの指先が、微かに動いていることに。

 

 

ゲーム終了の指示を受け、霧の中から魔女とその分身が現れる。

その時、グラシエの足元が緑色の光を発した。


ゼロ「………」

グラシエ「んん?」


次の瞬間、ゼロの額から『エメリウムスラッシュ』が撃ち出される。
グラシエは驚きつつも素早く舞い上がり、光線を回避した。


グラシエ「おおぉっと!危ない危ない!」

グラシエ「ようやくやる気になってくれましたかァ…!」


ゼロは傷ついた体を静かに起こし、グラシエ、そして魔女と向かい合う。


ゼロ(ここで食い止めなければ、野郎はお前達を操って、更に悪事を重ねるに決まってる…)

ゼロ(これ以上の犠牲が増える前に、終わらせなければならないんだ)

ゼロ(俺は『ウルトラマン』だから…)

ゼロ(お前達と同じ、『正義の味方』だから…)

ゼロ(お前達の代わりに、俺が絶対に地球を守り抜くから……!!)


ゼロの左拳が強く握られ、イージスが青き光を放つ。
弦を弾く音とともに、魔力を解放したゼロが青一色に姿を変えた。


青ゼロ「さやか☆マギカ…ゼロォォッ!!」


 

 

青ゼロ「シェェアッ!!」


頭部のゼロスラッガーが青く輝き、魔力で分裂した『ミラクルゼロスラッガー』が発動する。

複数のスラッガーが宙を舞い、ゼロを取り囲むように地面に突き刺さった。


青ゼロ「おおぉぉぉーーーーっ!!」


スラッガーで作られた円を光が結び、魔法陣を形成する。
治癒魔法が発動し、ゼロの体からダメージが一気に取り除かれていく。


グラシエ「傷が!?」

グラシエ「オフィーリア!!」


霧の中から本体と、実体を持った幻影二体が飛び出す。
三体の魔女が迫る中、回復を終えたゼロは瞬時にその姿を消した。


グラシエ「消えた!?」


超高速で分身の背後に回ったゼロは、魔力を集中した手のひらを当てる。
すると、手のひらから青白い衝撃波が発生し、分身を弾き飛ばした。


青ゼロ「シェアッ!!」


弾き飛ばされた分身が、もう一体の分身と衝突する。
二体が一点に集められた瞬間を逃さず、魔法陣からミラクルゼロスラッガーが飛び出す。

スラッガーに包囲された分身達は徹底的に切り刻まれ、煙のように消滅していった。

 

 

二体の分身が倒され、霧の中から魔女の本体が姿を現す。

そして全てのゼロスラッガーは一点に収束し、『ゼロツインソード』を形成してゼロの手に戻る。


青ゼロ「………」

グラシエ「なるほど、一騎打ちをお望みですか。いいでしょう!」


魔女は槍を高速で振り回し、力を溜め始めた。
一方、ゼロもツインソードを握り締め、クラウチングスタートの体勢をとる。

やがてツインソードが青く眩い魔力を纏い、充填を終えた魔女も自ら巨大な槍へと姿を変える。


グラシエ「オフィーリア、正面から打ち破ってあげなさい!!」


ゼロは駆け、巨大な槍も炎を纏って撃ち出される。
グラシエの目に映ったのは、青い閃光と、紅蓮の炎の交差。

その決着は一瞬だった。


グラシエ「おおっ!?」


真っ二つに断ち切られた槍が地面に転がり、瞬時に消えたゼロが姿を現す。

槍は燃え上がりながら魔女の姿へと戻り、ゼロも青い魔法とスラッガーの合体を解除した。


ゼロ「こうするしかなかったんだ…」

ゼロ「杏子…俺は、お前までこの手で…」

ゼロ「…許してくれ」


 

 

勝利の余韻とは程遠い悲しみがゼロを襲う。
対照的に、その結果を望んでいたグラシエに笑いが込み上げる。


グラシエ「クックックッ…」

グラシエ「さぁて、お次は……おや?」


主の死によって結界は歪み、怪獣墓場の荒野が見え隠れする。

その時、燃え上がる魔女にある変化が起きた。


ゼロ「これは……?」

グラシエ「これは、もしや…」

ゼロ「前にも一度…」

グラシエ「あの時と同じ?」


炎上する魔女の亡骸が、眩い光を発しながら消滅していく。
その光景は、地球での最終決戦時、倒された『ワルプルギスの夜』が消えていく様と酷似している。

そして、魔女から広がった光がイージスに触れた時、ゼロの頭の中に一つの映像が流れ込んできた。


ゼロ「…杏子?」


それは、『武旦の魔女』がまだ人間だった頃の記憶であった。

 

つづく

色々説明したいところではありますが、物語のネタバレに繋がるので自重します。
仕事が忙しくなければ、次回は木~金に投下予定です。

 

【武旦の魔女 その3】



死にゆく『武旦の魔女』から溢れた光は、
イージスを通じ、ゼロの頭に記憶の一部を映し出す。

それは、さやかが絶望に染まり、グリーフシードを生み出す一部始終から始まった。

さやかの死と『人魚の魔女』の誕生、
そして彼女の死体を抱え、必死に結界から脱出する魔法少女の姿。

この記憶の元となる人物は、やはり佐倉杏子だった。


ゼロ「…杏子?」


やがて映像はホテルの一室に切り替わり、
杏子がさやかの死体を安置する様子を映し出した。





杏子「…コイツのソウルジェムを取り戻す方法は?」

QB「僕の知る限りでは、無いね」

杏子「そいつは、お前の知らないこともあるって意味か?」

QB「魔法少女は条理を覆す存在だ。
   君達がどれ程の不条理を成し遂げたとしても、驚くには値しない」

杏子「出来るんだな?」

QB「前例はないね。だから僕にも方法はわからない」

QB「生憎だが、助言のしようがないよ」

杏子「いらねぇよ……テメェの助けなんか、借りるもんか」


杏子は死体をホテルに残し、さやかが魔女と化した駅へと駆けた。

映像の中の杏子は口を開かないが、その心の内はしっかりと伝わってくる。


杏子(夜が明けた今でも信じらんないけど…これ、現実なんだよな)

杏子(あの時はワケがわかんなくて、死体抱えて逃げ出すのが精一杯だった)

杏子(けど今は、自分がやるべきことがはっきりしてる。
   もう、一人だけでもやるしかないんだ)

杏子(アタシが絶対に助けてやる。だから、もう少しだけ待っててくれよ……さやか)


駅に到着した時、『人魚の魔女』は既にその場を去っていた。
杏子も予想はしていたのか、驚きもせずにソウルジェムを取り出すと、残された反応を探る。

反応はすぐに見つかり、杏子は発信源に向けて歩き出した。

 

 

杏子はお菓子を食べながら、黙々と反応を辿る。

その間、彼女はこの場にいない、一人の男の事を考えていた。


杏子(まさか、こんな役がアタシに回ってくるなんてね…
   いつ以来だろうな、誰かのために戦うのは)

杏子(本当はアンタが…自力で立ち上がって、絶望に潰されそうなさやかを救うもんだと思ってた)

杏子(なのに、結局そうはならなかった。…正直、期待を裏切られた気分だったよ)

杏子(…でも、アンタがいくら『超人』だろうと、『完璧』ってわけじゃない。
   そんな事もわからずに、アンタに勝手に期待して、全部押し付けちまった)

杏子(アンタを助けたあの後、アタシは逃げずに、引き返して話をするべきだったんだ。
   そうしていたら、こんな事には……)

杏子(これはアタシの責任だ。だからアンタを責める気は全くないよ―――ゼロ)


やがてソウルジェムが感知する反応は強くなり、
そのパターンが昨晩と同じ『人魚の魔女』のものであることを確信させる。

辿り着いた反応の出所は、建設中の工事現場だった。





ゼロ(俺…?)

ゼロ(待てよ…確かに俺は、杏子に魔女から助けられたことがあった)

ゼロ(でもその後、俺とお前は話をしたはずだ。…お前が俺に、戦い抜くきっかけをくれたはずだ)

ゼロ(なのに、俺が立ち上がれなかった…?)

ゼロ(さやかの魔女化を……止められなかった?)


ここまでの映像を目にしたゼロは、その状況を理解することが出来なかった。




 

 

工事現場の通路に、結界への入り口はあった。

杏子はすぐには内部に踏み込まず、お菓子を食べ終わるのを待つ。


杏子(これからお邪魔させてもらうけど……
   アンタにしてみれば、何しに来やがったんだって話だよな)

杏子(アタシは友達でもなければ、先輩でも師匠でも、
   ましてやアンタのなろうとしてた『正義の味方』でもない…)

杏子(アタシもさ、アンタがムカついて仕方なかった。
   まるで、昔の自分を見てるようだったからね)

杏子(けど、本当はそこに希望も感じてたんだ。
   羨ましくて…輝いて見えて…同じ場所に立ちたくて仕方なかったんだ)

杏子(だから、アタシはアンタを助けること、諦めたくない…)


杏子(『ウルトラマン』にも頼れないんだ。こんな時くらい、力を貸してくれよ)

杏子(ほんの少しだけでいい……頼むよ、神様)


杏子はソウルジェムを光らせると、真紅の衣装を身に纏い、槍を握る。
意を決して結界に踏み込み、その奥へ向けて突き進んだ。


杏子(これは、最後の希望…)

杏子(もし魔女からさやかを取り戻せたら、
   テンションも顔もうるさいアンタ、もう一度帰ってくるよな?)

杏子(途切れちまいそうな、あの人との繋がりだって、もう一度取り戻せるよな?)

杏子(さやか…全て元に戻ったらさ、アタシの本当の友達になってくれよ。
   そして、みんなの仲間に混ぜてく……)

杏子(…!?)


さやかの復活に、杏子は残された全ての希望を懸けていた。

だが、最深部から突如として、別の反応が強く発せられる。
同時に、『人魚の魔女』の反応が完全に消滅した。

 

 

杏子(さやかの反応が消えた……)

杏子(……先客か!?)


結界の最深部へ杏子は急ぐ。
だが、到着よりも先に結界は解除されてしまった。


杏子「まさか……」

ほむら「杏子?」


現れたのは、工事現場に佇むほむらの姿。
その姿を目にした杏子の表情が青ざめていく。


杏子「アンタ…」

杏子「おい、どういう事だよ…何でテメェがここにいるんだ!」

ほむら「ここにいた魔女を倒すために」

杏子「倒す…!?」

杏子「おい…わかってんのかよ?ここにいた魔女が何なのか…」

ほむら「生前、美樹さやかと呼ばれていたものよ」

杏子「なっ…」

ほむら「彼女のソウルジェムは穢れを溜め込み、グリーフシードに変化した。
    そのグリーフシードから孵ったのが、あの魔女よ」

杏子「そこまで…全部知っててさやかを?」

ほむら「私が間違いなく倒したわ」

杏子「テメェ何てことしてくれたんだ!もしかしたら、アイツを救えたかもしれないんだぞ!!」

ほむら「…彼女を救えると、誰かが言ったの?」

杏子「キュゥべえのやつは言ってたんだ!魔法少女は条理を覆す存在だってな!
   可能性なら、まだ残ってた!!」

ほむら「可能性…」

 

 

ほむら「奴が何を考えて、貴方に期待を持たせたのかはわからない。
    けど、これだけははっきり言えるわ」

ほむら「貴方は騙されたの」

杏子「騙された……」

ほむら「ええ、魔女と化した人間を救える可能性なんてない。
    たとえ『ウルトラマン』の力を借りたとしても」

ほむら「美樹さやかを救える望みは、最初から存在しなかったのよ」

杏子「うるせぇ…」

杏子「そんなの…テメーやキュゥべえの頭の中だけの理屈だろ!
   もし、本当にさやかを救える道があったとしたらどうすんだ!!」

杏子「それなのに…アンタは殺したんだ!これがアイツなら…ゼロならそんな事しなかった!」

ほむら「そう、ウルトラマンゼロにこの魔女は倒せない。きっと巴マミも、貴方も」

ほむら「だから私が汚れ役を買って出たのよ」

杏子「アタシの事を思ってってか!?冗談は大概にしろ!テメーにアタシの何が分かる!」

杏子「許さねぇ…絶対に許さねぇ!!」

ほむら「貴方がどうあろうと、美樹さやかの事を考えるなら、彼女の意思を尊重しなさい」

ほむら「人々を襲う魔女を放置することを、彼女は望まなかったのだから」

杏子「くそ……」


ほむらに反論できず、杏子は呆然としたままうなだれた。

希望を失った彼女のソウルジェムは、自らの呪いで黒く染まっていく。


杏子「そっか…今わかったよ、さやか」

杏子「…これが本当の『絶望』ってやつなんだな…」

 

 

ほむら「穢れが…」


杏子の変化を前に、ほむらは怪訝な表情を見せた。
彼女にとっても、杏子の魔女化は好ましくない状況らしい。


杏子「ハハ…希望、なくなっちまった…
   ごめんな、さやか…助けらんなくて…」

杏子「ガラにもなく夢を見ちまったばっかりに、
   アタシまで足元すくわれて、絶望へ真っ逆さまだ」

ほむら「貴方、このまま呪いに身を任せていいの?
    美樹さやかは救えなくても、繋がりならまだ残されているはずよ」

杏子「それ、もしかしてマミの事言ってんの?…ハハ……冗談きついよ。
   こんなアタシが、自分でぶった切った繋がりを取り戻すなんて、できっこないっての」

ほむら「彼女だけではないわ。ウルトラマンゼロもまだ、貴方のことを信じてる」

杏子「はぁ?さやかをここまで追い込んで死なせちまったのは、アタシが原因でもあるんだぞ?
   アイツにとっては仇みてーなもんさ!」

杏子「アタシには希望も繋がりも何も無い……そう、何も無いんだ…」

杏子「なら、呪ってやる……」

杏子「この世界の全てを呪ってやる!!」

杏子「ほむら…キュゥべえ……それにマミ、ゼロ、テメーらも全てだ!
   呪って呪って呪いまくって、メチャクチャ強ぇ魔女になって…」

杏子「みんなまとめて、アタシの手で殺してやるからなァッ…!!」

杏子「うっ…あぁ………ああ……ああ…!!」

杏子「あああああああああッ…!!」


ほむら「………」

ほむら「……立て続けとなると、彼への負担も計り知れないわね」

 

 




ゼロ「杏子!!」


ほむらが銃器を構え、杏子がグリーフシードを生み出した所で、映像は途切れてしまう。

気付けば魔女は既に燃え尽き、周囲は完全に荒野へと戻っていた。


ゼロ(『自棄』……これが、あの魔女の誕生)

ゼロ(でも、何なんだこれは…)

ゼロ(俺はこの一週間、あの地球には戻っていない。
   それに、地球で過ごした一カ月の間に、こんな出来事はなかったはずだ…)

ゼロ(ほむらが過去に経験した時間軸?
   いや…それなら俺の名前が出てくるはずがねぇ)

ゼロ(これは、本当に魔女の記憶なのか?)

ゼロ(まさか、奴が俺に幻を見せているのか?)

ゼロ(いや…そもそも、俺が一カ月を乗り越えたこと自体、現実なのか…?)

ゼロ(わからねぇ…どうなってやがるんだ…)


一体何が本当なのか、魔女の記憶らしき映像はゼロを混乱させた。
戸惑うゼロの脳裏に、グラシエの言葉がよぎる。


『真実を知りたければ、四獣士を倒し、私を追い詰めてごらんなさい』


ゼロは荒野を見渡すが、その張本人は忽然と姿を消していた。


ゼロ(奴は全てを知っている。見つけ出して、真実を……)

ゼロ(もう、後戻りはできない…)


 

つづく

四カ月以上お待たせして、本当にすみませんでした。
武旦の魔女編はこれで終了です。

次回は明日か明後日にでも。

 




ゼロ(四獣士の正体を知った俺に、絶望と『武旦の魔女』が襲いかかった)

ゼロ(この手で仲間達を倒したくねぇ…その思いを、バット星人はただ嘲笑う)

ゼロ(心も体も傷付きながら、ついに魔女を倒した俺……
   その時、俺の中に魔女の記憶が流れ込んできた)

ゼロ(だが、魔女の記憶と俺の記憶、二つがどうにも噛み合わねぇ)

ゼロ(一体どうなってんだ?この魔女達は、何なんだ…?)




 

 

【おめかしの魔女 その1】



『武旦の魔女』との戦いを終えた後、
ゼロは息を切らせながら、荒野の中でグラシエの姿を探し続けていた。


ゼロ「はぁ…はぁ…」

ゼロ「どこだ…コウモリ野郎ッ!!」

グラシエ「こちらです」


どこからかグラシエが反応を返す。
声の方向へ視線を落とすと、そこには錆付いた巨大な刃が大地に突き刺さっている。

機械の残骸のようにも見える刃の上で、グラシエは足を組んで座っていた。


ゼロ「そんなとこにいやがったか…」

ゼロ「教えて貰うぜ、あの魔女の正体を!」

グラシエ「正体ですか?前にも言ったとおり、『地獄の四獣士』は貴方のお仲間です」

グラシエ「私、断じて嘘はついておりませんよォ?」

ゼロ「ハァ?だったら、さっきのは何だ!」

グラシエ「何の事でしょう?」

ゼロ「とぼけんな!魔女の記憶だよ!!」

グラシエ「佐倉杏子さんの記憶?」

グラシエ「……貴方、一体何を見たのですか?」


ゼロ(こいつ、マジで何も…?)


グラシエの様子から、魔女の記憶に関わっていないのは事実らしい。

逆に記憶について聞き出そうとしていることに気付き、ゼロは口をつぐんだ。

 

 

グラシエ「私には秘密ですか。というより、貴方自身もよく理解できてないようですねぇ」

グラシエ「四獣士も残るは二体。私も余裕が無くなってきましたし…」

グラシエ「いいでしょう!貴方の頑張りに免じて、少~しだけヒミツをお話するとしましょうか」

ゼロ「!?」

グラシエ「今お話しできるコトといえば、そうですねぇ~
     ではまず、どうやってあの『地球』の存在を知ったのか…というのはどうでしょう?」

ゼロ「もったいぶってんじゃねえ!さっさと話せ!」


一刻も早く真相を知りたいゼロは、グラシエの気紛れに食らい付く。


グラシエ「ククク…落ち着きなさい」

グラシエ「そこにフクザツな事情はありません。
     数週間前、私は貴方を倒すために、その行方を捜していただけです」

ゼロ「俺を捜していた…?」

グラシエ「ええ、ただそれだけ」

グラシエ「我々バット星の技術で貴方の居場所を捜していたらですねぇ、見つかったんですよ。
     なんと二つの次元から、全く同じ反応が!」

グラシエ「そう、いつもの宇宙で自警団ゴッコをしているアナタ」

グラシエ「そして別の宇宙で時間を遡り、地球で人間として過ごすアナタ」

グラシエ「当然、後者の方が興味深いですよねぇ?」


ゼロがほむらの時間遡行に同行した時、
別宇宙であるアナザースペースにも、旅立つ前のゼロが並行して存在していたという。

その不可思議な状況が、グラシエをあの宇宙に呼び寄せてしまったらしい。


ゼロ「俺よりも後に、あの地球へ侵入したって事か…」

ゼロ「なら、俺が旅立った後、あの地球で何をした…
   テメェが仕組んだこのクソゲーの意味は何………」

グラシエ「?」

ゼロ「……うっ!?」

ゼロ「こんな時に、力が…ッ…!」


更なる追及を始めようとした矢先、ゼロは突然倒れ込み、苦しみだす。

グラシエの目の前で、その姿は光を発しながら消えてしまった。

 

 

グラシエ「おやおや、もうお疲れですかァ?」

グラシエ「その姿、まるで『殺してください』って、お願いしてるようなものですよォォ~!」


同じ場所には、一人の青年が倒れている。

一時的な消耗と心労から、ゼロは地球滞在時に擬態していた人間体、
「モロボシ・シン」の姿に変わっていた。


ゼロ人間体「くそ…!!」


人間体となってしまったゼロは、ウルトラマンの姿へ戻るためのアイテム
『ウルトラゼロアイ』をその手に握り締めている。


グラシエ「ですが、そんなアナタを倒してもちっとも面白くありません」

グラシエ「ゲームには適度な休憩も必要です。
     続きはお茶でも頂きながら語り合うとしましょうか」

グラシエ「では、お先に。お待ちしておりますよ~~ゼロッ! !」


グラシエが示す先に、人間大の二人に合わせた新たな『口付け』が現れる。

巨大な刃の上から飛び降りたグラシエは、翼を広げ、滑空しながら内部へ入っていった。


ゼロ人間体(チッ…まんまと魔女と戦う流れに持ってかれちまった…)

ゼロ人間体(『お茶』ってことは、この先に待ち構えているのはきっと……)

ゼロ人間体(…マミの魔女だな)


重い体を起こしたゼロは、人間体のまま、
グラシエを追って結界へと踏み込んでいった。

 

 

使い魔からの襲撃を受けることもなく、難なく最深部へと辿り着くゼロ。
そこには、ティーパーティーの会場が広がっていた。

グラシエは中心のテーブル席で、ゼロを待ちわびるかのように紅茶を啜っている。


グラシエ「お待ちしておりました。迷路を抜けて、貴方もさぞお疲れでしょう」

グラシエ「あかいろさん、彼にもお茶を」


グラシエは、対面にある空席へとゼロを招く。
ゼロが座席へ移動すると、どこからか赤髪の使い魔が現れ、テーブルに紅茶を置いた。


ゼロ人間体「お茶なんてどうでもいい…」

グラシエ「わかってます。更なる真実が知りたいのでしょう?」

グラシエ「実はですねェ…」

ゼロ人間体「………」

グラシエ「ソウルジェムの穢れ、重曹で落とせるんですよ」


突然放たれた光線により、グラシエの近くでティーポットが砕け飛んだ。

グラシエの目の前では、ゼロがウルトラゼロアイを変形させた小銃を構えている。


ゼロ人間体「ふざけるなよ」

グラシエ「あらら、怖い怖い。冗談の一つも通じないとは」

ゼロ人間体「さっきの続き、話してもらうぜ」

グラシエ「確か、このゲームの意味と言ってましたっけねぇ」


再び使い魔が現れ、割れたポットを片付けていく。
新たなポットが用意されたことを確認すると、グラシエは口を開いた。

 

 

グラシエ「むかしむかし…という程でもない数年前、この怪獣墓場で四人の死人が蘇りました」

グラシエ「四人はかつて、『暗黒の皇帝』に仕えていた身。
     彼等は蘇った後も忠誠を捨てず、亡き主を蘇らせる計画を企てたのです!」

ゼロ人間体「…誰が宇宙むかし話をやれと言った?」

ゼロ人間体「その四馬鹿が何だってんだ…いきなり話はぐらかしてんじゃねえ!」

グラシエ「やれやれ…折角なんですから、最後まで聞いてくださいよ」

グラシエ「興味深いウワサ話です。きっと損はしませんよォ…」

ゼロ人間体「………」


無関係としか思えない話にゼロは苛立つが、
他に手掛かりはなく、銃を構えたまま話を続けさせる。


グラシエ「では、続きから」

グラシエ「その頃、とある戦士が異変を知り、この地に向かっておりました」

グラシエ「そんな彼の行く手を敵が阻む!絶体絶命大ピンチ!
     傷つきながらも戦い続けていたその時、何者かが代わりに戦い始めたのです」

グラシエ「現れたのは、キカイ仕掛けのおサムライさんでした。
     考えの全く異なる二人でしたが、彼は戦士の強さに興味を持ち、同行を決意したのです」

グラシエ「戦いを共にする中、やがて二人の間にある感情が芽生えていきました。
     友情……そう、二人は仲間として繋がったのです!」

ゼロ人間体「仲間……」

 

  

グラシエ「絆は力…アア、ナントスバラシイコトデショウ」

グラシエ「しかし、その友情も長くは続きません…ククッ…
     メカ侍には、本人も知らない秘密が隠されていました」

グラシエ「メカ侍の正体、それはなんと『暗黒の皇帝』復活のため、
     その魂を定着させるために作られた影武者だったのです!」

グラシエ「説得も空しく、皇帝の復活が始まる!もう時間がない!
     けれど、目の前にいるのは僕の……ッ!」

グラシエ「そして戦士は、ある方法を選ばざるを得ませんでした」

グラシエ「大切な仲間を、自らの手で葬る選択をねェ…!!」

ゼロ人間体「葬る…!?」

グラシエ「戦いの末に四人は再び倒され、影武者もろとも皇帝の復活は阻止されました。
     ですが、戦士は心に傷を抱えながら、今もこの宇宙を飛び回っているそうです」

グラシエ「めでたしめでたし!」

グラシエ「アッハッハッハッハッ!!」


パーティー会場に、グラシエ一人の拍手と笑い声が響き渡る。

一方でゼロは、後味の悪さを感じながら身を震わせる。


ゼロ人間体「まるで答えになっちゃいねえ…」

ゼロ人間体「テメェ何が言いてぇんだ!…俺が聞いてんのは、このゲームを仕組んだ目的だ!!」

グラシエ「はぁ…今日は飲み込みが悪いですねぇ、ゼロ。
     まだわかりませんか、このゲームの意味が」


グラシエは紅茶を一啜りすると、カップを置き、突然身を乗り出す。


ゼロ人間体「ッ!?」


グラシエ「ア ナ タ に も 同 じ 思 い を
     味 わ わ せ て あ げ よ う っ て 言 っ て る ん で す よ」



 

 

ゼロ人間体「…ど……」

ゼロ人間体「……どこまで腐ってやがんだ!テメェはあぁーーっ!!」

グラシエ「ハァーッハッハッハッ!!」


ゼロアイの銃口をグラシエに定め、ゼロは何度も引き金を引く。

グラシエは両翼を展開して舞い上がり、放たれる光線を機敏に回避していった。


グラシエ「キャンデロロ、出番です!」

ゼロ人間体「!!」

グラシエ「それでは!ラウンドスリィィーーッ!!」


光線銃を乱射するゼロの隣を、黄色い光が高速で横切る。

光はティーポットほどに小さな魔女の形となり、テーブルの上に降り立った。


グラシエ「『おめかしの魔女』キャンデロロ、その性質は『ご招待』です」

グラシエ「彼女、かなりの寂しがり屋でしてねェ…
     この会場に踏み込んだ客人は、決して逃がしてはくれません」

グラシエ「ま、私は客人ではなくスポンサーなので、関係ありませんけど」

ゼロ人間体「逃がしてくれなくていい…。俺が正面から向き合って、眠りに着かせてやる」

ゼロ人間体「荒っぽいやり方になるが、お前の魂は必ず解放する」

ゼロ人間体「……待ってろよ、マミ!!」


 

つづく


グラシエの噂話は、ゼロ初登場作の前日談にあたる作品(のネタバレ)です。
http://hicbc.com/TV/mebius/information/091015/index.htm

次回投下は来週に。

毎週金曜はウルトラマンギンガSの無料配信日だ
ピリピリせずに>>261も一緒に見ようぜ

本編の魔法少女ってID:uIm4CmgQOみたいな奴ばかりなんだろうな
自分の話は聞け、でもお前らの話は知った事ではないし聞かない
そんな独り善がりな女ばかりなんだから、そりゃ孤立して破滅すんのが当たり前だよな
uIm4CmgQOは本編の魔法少女と同じDQNだから気持ちもよくわかるんだろうねw

ただのバカガキだろ
いつまでくだらねえことやってんだか

>>263
馴れ合いたいなら、まどマギに擦り寄ってこないで自分達でやってろよ
気持ち悪い

>>264
まどマギは魔法少女達の意思がぶつかり合う話だから
そういう話が嫌ならプリキュアを見ろと何度も言ってるんだが?
それぞれのキャラが自分の思惑や優先事項を持っていて、その結果どうしてもぶつかってしまう
そんなの現実世界でもよくある話でしょ?
組織や国の利害でぶつかり合う事なんてざらじゃない?そんな当たり前の事すらわからないバカ?

>>265
じゃあさっさとこのssがhtml化すればいいだけの話だよな

sageもしない
批評家ごっこでもないただの粘着荒らしのアホガキが何ほざいてんだか

>>267
ガキ以下の池沼が何かほざいてら
特撮厨は特撮で見てまどマギに関わるな[ピーーー]

特撮厨は自分の好きな原作が好き勝手に改変されて、コレジャナイ話にされても同じ事が言えるんだろうな
例えば、その作品世界の問題を他作品のキャラが色々好き勝手言って、でしゃばってきて原作をぶち壊しにされたらどう思う?

何度も言うがこのssはまどマギでやる必要がない

誰も気にしねえよお前だけだよそんなの気にすんのは
二次創作物だったらそんなもん承知の上だよアホかお前
これだけいろんな人に言われてるのにまだクソみたいな批判するとか頭大丈夫?生きてて恥ずかしくない?お前はただの荒らしでその行動には何の正当性もないからな

>>270
読者が作品のファンが自分の意見を正直に言って何が悪いんだ?ああ?
二次創作だろうが、人様のキャラを借りてきて、その作品が好きなファンがssを見に来てんだから、その期待に添えなかったら文句は当然でてくる
二次創作だから文句言うなってのは甘えだボケが

特撮厨こそ、他作品といちいち絡ませないで内輪だけで自慰に耽ってろよ
まどマギ巻き込むんじゃねえ池沼、そっちの糞ヒーローの理屈を押し付けてくんじゃねえよ糞が

つまり文句を言って荒らしたいだけで批判ですらないわけか
クズだな

文句を言う道理があったとしても「もう書くな」って言う道理は間違いなくないよね

>>272
そうだな、言いたい事を言ってるだけだ
でも文句を言われるssは作品を冒涜してる様なもんだから、そう言われても当然だよな

>>273
もう書くなってのも文句の一つ受け取って頂ければ、それくらい虫唾が走るくらい嫌だって事を伝えたいので
実際、二次創作じゃない商業上作品でもそういった叩きが「打ち切られちまえ」とか

商業レベルでクロスをやるところもあるしクロスには「悲劇的に終わる話を打開して欲しい」と言う需要も存在する
「そういうことやりたいにしてもキャラの理解がおかしい」とか「やりたいことに対して状況推移がおかしい」
そもそもの文章構成として「日本語が成立してない」とか「読みにくい」とかは批判として他者の理解を得やすい
「状況を悪い方に転がすキャラを阻止する」流れはキャラdisになる場合があったりするので
必要最小限に留めたりフォローしたり「似たような失敗したキャラが経験談を語る」ようにした方が良い
これは程度問題なので個別に判断が必要

ここまでは「内容次第で他人に理解される」批判


・○○はこう言う話だから××みたいな作品と混ぜるのはクロスは作品否定!
・俺の嫌いなジャンルの話は書くな!

こうなると最初から開かなかったりそうだとわかった時点で閉じれば良いだけのイチャモンになる

文句が当然?文句なんて周りに人がいる中で言うもんじゃない。そんな場にそぐわない発言をするのは荒らしだ。お前がやってるのはまどマギファンの地位を貶めるだけの低俗な行為だよ豚

>>275
>商業レベルでクロスをやるところもあるしクロスには「悲劇的に終わる話を打開して欲しい」と言う需要も存在する

そういう悲劇が好きという人もいるわけたが?
だからこそ滅びの美学とかあるんだし
日本ではそういうbadendが好きな人らは多く尊ぶ人達もいるんですけと?

>>276
作品を冒涜してると思うssを貶して何が悪いの?
お前の言ってる事が正しいなら、なんでこの世にアンチなんて存在するだろうな

>>277
一次創作で悲劇に対する需要があることと二次創作でその悲劇を打開する需要があることにはなんの矛盾もない
個人でその両方の需要層になる奴もたくさんいるのでお前のその主張はなんの反論にもならん

>>278
そういう割には原作の「人の心を持って、ピノキオは幸せだったのか」っていう原作キカイダーのアンチテーゼとして作られた最近の実写は評価微妙だったな
ドラクエⅣや聖剣伝説とかも原作の悲劇阻止する話は賛否両論だったな

その一方でスパロボで周りの大人がまっとうなお陰でかなりまっとうな成長をして事態を好転させていくエヴァシナリオが好評だったりする

というかドラクエリメイクとかそれは「一次創作」の範疇で「製作元がテーマぶれさせてどうする」という批判じゃないのか
しかも「賛否両論」だし「おまけ要素としてはこう言うのがあってもいい」という賛だってあったってことじゃないか
また反論になってない

>>276
何が悪いの?って荒らし行為なんだからダメに決まってんだろほんまもんの池沼かお前
賛否両論がある?ここはSSを読む場所で賛否やお前の文句を言う場所じゃない。場にそぐわないから荒らしだって言ってるの意味わかる?

>>280
スパロボみたいなのが嫌いっていう人はいるんだけどな
虚淵もそのタイプであまり好きじゃないみたいだし、本人も言っていたが死んだ事や悲劇だった事で、ファンの心で永遠になった人もいるわけだし
賛否両論って事は反対してる奴等も同じくらいいるという事だぞ?そういう意見は無視していいのか?ええ?

>>282
だからそういう輩はこういう物を見なければいいだけだろアホか
それも解らず突っ込んでお前の嫌いな「意見の押し付け」をしてくるからお前は荒らしだっつーんだよ

>>281
ここss創作の掲示板だろ?
そういう場に作品を載せるって事はその作品に対して感想とかコメとかも書いていいって事だよな
何も言われたくない傷つきたくない、甘ったれは自分のブログに篭って描いてろ

>>284
ここは「自分の書きたいSSを投下する場所」であり「自分好みのSSを探して読む場所」
>>275のような「他者にも理解されるかもしれない批判」ならわかるが「マジキチのイチャモン」まで許可されるわけでもない
ましてお前の論法で言うなら「マジキチのいちゃもんを全力でぶっ叩く」事まで当然アリなのでお前がそんなこと言われたくないなら巣に引きこもらなくてはならない

>>285
>ましてお前の論法で言うなら「マジキチのいちゃもんを全力でぶっ叩く」事まで当然アリなのでお前がそんなこと言われたくないなら巣に引きこもらなくてはならない

だったら自分がどんな意見を言おうが自由だと言うことだよな?

>>286
上に「お前の論法で言うなら」ってつけてるだろ?
ループして無限に荒れるハメになるんだからそんな訳ないだろって言う皮肉だって理解する頭もないのか?

>>280
例えば「ガンダムビルドファイターズ」というアニメで23話のカメオ出演で死んだり悲劇で終わった歴代ガンダムキャラが幸せにしてる姿に対して

「画一致化された幸せに違和感を感じる」
「都合のいい世界が気持ち悪い」
「原作を見た時の感動が半減する」とかの感想もあるわけなのだが?

そういうのに拒否反応を持つ人だってたくさんいるんだよ

まあ、これから先も言いたい事は言わせてもらうからそのつもりでな
やめるつもりはさらさらないからww

登場キャラクター(まどか)も全員碌でなしの屑揃いなら、信者もそれに輪を掛けたキチガイで屑だな

>>293
全員善人で争いもない良い子ちゃんばかりの世界もディストピアで最高にキモいですけどね^ ^

実は本編ではほむらなりに周りに手を差し伸べてるのを拒否されてるんだけどな。まどか好きが強調されてるけど、それ以外を完全に見捨てることができないあたりが悪魔に向いてないよな。

>>391
いや、所詮はまどかのついででしかないだろ
死なれれとまどかの精神が不安定になったり、助けるために魔法少女になりかねないから
その証拠にさやかに本心を見透かされて逆上して殺しにかかったり
おりこでも、まどかの「自分だけじゃない周りの人も助けて」って願いも無理だと無理し、織莉子に自分の本質を突かれたら殺しにかかっていたし
叛逆の声優インタでも、杏子は消去法でしかなく基本は誰も信用なんかしていないみたいだし
結局の所、まどか至上主義なんだよ

>>391
いや、所詮はまどかのついででしかないだろ
死なれるとまどかの精神が不安定になったり、助けるために魔法少女になりかねないから
その証拠にさやかに本心を見透かされて逆上して殺しにかかったりしてる
おりこでも、まどかの「自分だけじゃない周りの人も助けて」って願いも無理だと無視し、織莉子に自分の本質を突かれたら上記同様に殺しにかかってる
まどポの杏子√ではまどか以外には情を殆ど持ち合わせていない冷酷な面がやたらと強調されていた
叛逆の声優インタでも、杏子は消去法でしかなく基本は誰も信用なんかしていないみたいだし
所詮はまどか以外は切り捨て上等なまどか至上主義者でしかないんだよ

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年03月29日 (日) 21:40:21   ID: 68WZZBhG

途中からファン同士の争いになって酷えな……

2 :  SS好きの774さん   2015年09月27日 (日) 11:13:55   ID: xMI52dxq

まず、この手の奴はファンの中でもキャラ至上主義が行き過ぎて
荒らし化し、気に入らないとAA爆撃やツールでスレを埋めとか
ひたすら自己愛で他人は奴隷かなにかと言う思考ばっかだからな。

3 :  SS好きの774さん   2015年11月23日 (月) 19:00:11   ID: 9PVleZ3a

あくまで前作も読んだ上での感想だが、これは叩かれても不思議じゃないわ
まどマギは全員悪い所だけ抽出されて、ゼロは被害者みたいな描かれ方じゃ、ファンからしたら踏み台に感じられるのも仕方ない

4 :  SS好きの774さん   2015年12月08日 (火) 20:34:54   ID: OdJUMzDT

叩かれてたというより、当時色々なスレに出没してた特撮クロスアンチに粘着されてたんだよ。
ファンがスルーしないでマジレスするから、荒らしもマジになるというね・・・

5 :  SS好きの774さん   2016年01月11日 (月) 21:56:43   ID: XWZUi67y

ヒーロー物とまどマギの相性が悪いってだけの話だろ
聖人なんていない作品だもの、自分のわがままを押し通すために条理を捻じ曲げる。その一点においてはみんな悪魔の同類だし
そんなダークな世界観でプリキュアやウルトラマンみたいな正義、愛、希望を当て嵌めても煽りにしかならんわな
同人でなのはや東方のまどマギクロスオーバーが荒れたのと同じだよ

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