msの亡霊(9)

モブ「こちらモブ。ジオン残党ms隊の殲滅を確認。任務完了。直ちに基地に戻る。」

なんてことはない。いつもの任務。いつもの冷たさ。いつもの不愉快な電子音。肉声を聞いたのはいつだったか
そう思わせるほどに電子音は目障り、いや聞き障りであった。

「了解。基地へ戻れ。」

モブ「ラジャー。」

なんてことはなかった。

機械が拾ったのは地面の唸りだった。機会人形を通じて地面の揺れが確かに俺に響くのだった。だが、レーダーには何かも映らなかった。映るどころが、ただただ岩の模様に円を毎回毎回刻んでいるだけだった。

モブ「気の所為か。」

あり得ない。あり得て欲しくなかった。プライドという物を保ち、続けたかった。
機体の動力源は確実に奪ったはずだった。このビームスプレーガンで、確かに、確実に奪った。今も胸の辺りからもやもやと黒い煙が浮かんでいく。

悪寒がが全身を走りめぐるのを感じたと同時に、半分の意識のみでモブは機会人形を空へと導いた。いまだに汗が沸く。

その時だった。
銃声が

響いた。
ぱぁんと。確かに、機会人形から伝わる機械からこの脳天をすり抜けた。



意識はそこで始まっていた。

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