ドロッセル「ケモ、ケモ?」 (18)
ゲデヒトニス「お嬢様、舞踏会のお時間です。ドロッセルお嬢様」
ドロッセル「………」カチカチジーーカチカチ
ゲデ「そこにおられましたか」
ドロッセル「ごきげんようサンタモニカ、悪いけど私は今忙しいの、後にしてくれない?」
ゲデ「左様でございますか。ちなみに、私の名前はゲデヒトニス、でございま
ドロッセル「あなたは口を挟まないで、カサブランカ」
ゲデ「申し訳ございません」
ドロッセル「…………」カチカチジーー
ゲデ「………」
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ドロッセル「………」カチカチカチカチ
ゲデ「ところで、如何なされましたか?お嬢様」
ドロッセル「見ていて分からない?これはいわば"ネットサーフィン"というものよ」
ゲデ「なるほど、古来人類が無意味に時間を浪費し、しかし時に有意義に且つ超法規的に情報を模索する時に用いられる方法でございますか」
ドロッセル「ほうほう」カチカチ
ゲデ「しかしお嬢様。その我々にとっては実に造作もないことを、何ゆえそのような"モニター"を介し"キーボード"と"マウス"で操作しているのでしょうか」
ドロッセル「たまには風情というものも必要よ、古き良きという言葉があるように」カチ
ゲデ「流石はお嬢様。例えるならばそれはかの火打石のよう」
ドロッセル「ひうちいし?」
ゲデ「このように、こちらの石と、あちらの石をガッチンと」
ドロッセル「ガッチンと!」
ゲデ「…………」
ドロッセル「…………」カチカチジーカチ
ゲデ「しかるに、何をお探しなのでしょうか」
ドロッセル「イルカよ」カチ
ゲデ「イルカ、でございますか。海に住まう」
ドロッセル「そうよ」
ゲデ「もしくはExcel」
ドロッセル「そのもしくは」
ゲデ「しかしながら、イルカはもはや遥か遠く、銀河の彼方へと飛び立ってしまいましたが」
ドロッセル「ええ、しかしこうしてネットの中には未だ存在しているわ。画像なり、動画なり、そして音声」
ゲデ「左様でございますか」
ドロッセル「ネットは広大だわ」カチカチジーーカチカチジーーカチカチ
ゲデ「」
ドロッセル「ところで」
ゲデ「はい」
ドロッセル「イルカを探していると時折ぶつかる、この"ケモナー"というのはどういう意味なのかしら」
ゲデ「"ケモナー"…でございますか」
ドロッセル「いまいちピンとこないわ」
ゲデ「なるほど、少々お待ちください」
ドロッセル「待つわ」
ゲデ「亡き御父上が遺した書物によりますと」
ドロッセル「フムフム」
ゲデ「"人類の歴史上、ある時点においては普通の人々より優越しているが、しかしながら最終的には塵も残さない者たち"と記されております」
ドロッセル「なるほど、深いわね」
ゲデ「左様でございましょうか」
ドロッセル「それを理解すれば、我々はさらに人間とお近づきになれるかもしれないわ」
ゲデ「なるほど」
ドロッセル「この8メガバイトの画像のように」
ゲデ「これは!ヒトとイルカによる、種族間の壁を超越した営み」
ドロッセル「そう!人間とイルカが、アークエとガッチンポー」
ゲデ「流石はお嬢様。今は亡きお父上も草葉の陰で何かしらの涙を流しておられることでしょう」
ドロッセル「うむ」
ゲデ「ではこちら、城内にて現存する資料でございます」
ドロッセル「多いわね」ドサドサ
ゲデ「ケモナーへ通ずるものは多種多様にございます。書物に始まり写真、映画、アニメ」
ドロッセル「アニメにするわ」
ゲデ「左様でございますか」
ドロッセル「アニメは嫌いじゃないもの」
ゲデ「そう申されると思い、すでに再生の準備は万端でございます」
ドロッセル「手が早いわね」
ゲデ「はい、わたくしにとって、手とは"もう既にそこにあるもの"でございます」
ドロッセル「はやく再生しなさい」
ゲデ「かしこまりました」
ゲデ「では部屋を明るくし、出来るだけ画面から離れてお楽しみください」
ドロッセル「その気になればとこまでも」
ゲデ「ではまず一本目"貴婦人と浮浪者"」
ピッ
??再生中
ドロッセル「……犬ね」
ゲデ「犬でございますね」
ドロッセル「……喋っているわ、犬なのに」
ゲデ「アニメとはそういうものでございます」
ドロッセル「ふむ…」ジー
ゲデ「…………」ジー
ゲデ「ここです!」
ピッ
l l 一時停止
ドロッセル「わっ!急ね」
ゲデ「このオス犬とメス犬が、共に麺類を食しているシーン」
ドロッセル「これがどうかしたの?」
ゲデ「いわゆる、名シーンでございます」
ドロッセル「なるほど」ジー
ゲデ「穴が空くまでどうぞご鑑賞ください」
ドロッセル「飽きたわ」
ゲデ「飽きましたか」
ドロッセル「次よ」
ゲデ「かしこまりました」
ゲデ「それではお次は"101"でございます」
ドロッセル「何かのデータかしら」
ピッ
??再生中
ドロッセル「……また犬ね」
ゲデ「犬でございます」
ドロッセル「ケモナーとは、犬のことなのかしら」
ゲデ「近からず、しかしながらお隣さんより遠からず。といったところでしょうか」
ドロッセル「……ふむ」
ゲデ「ここです!」
ピッ
l l 一時停止
ドロッセル「わっ!今度はなに?」
ゲデ「このシーンの終わり」
ドロッセル「これが?」
ピッ
????早送り
ゲデ「そしてこれが次のシーン」
ドロッセル「ええ」
ゲデ「先ほどまではいなかった」
ドロッセル「ふむ」
ピッ
????巻き戻し
ゲデ「たくさんの子犬達がわんさかと」
ドロッセル「これがどうかしたというの?」
ゲデ「行間を読む、というものでございます」
ドロッセル「高度ね」
ゲデ「あとは延々と子犬達が戯れるのみでございます」
ーーー
ーー
ー
ドロッセル「たった今気づいたのだけど、私には到底無理ね」
ゲデ「しかしそれも仕方のないことでございましょう」
ドロッセル「だから、この次は類似するものを検索するわ、ネットで」
ゲデ「ときには別のアプローチも必要かと」
ドロッセル「機械、女女女…」
ブチッ
ゲデ「…………」
ドロッセル「ネットから切断されt
終わり
明け方のイヤなテンション。
あー、三角記号反映されてなかったか
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