竜「……もう一度言ってみろ」(20)
男「何度でも言ってやりますよ!君が好きだ!」
竜「……人の子よ」
男「なんでしょう!」
竜「我は笑えぬ冗談は好かぬ」
男「本心です」
竜「……人の子よ」
男「はい、なんでしょう!」
竜「そなたは気が狂っておるのか?」
男「この胸のときめきに僕は狂わせられっぱなしです!」
竜「…………」
竜「……人の子よ」
男「はい!」
竜「帰るがよい」
男「どうして!?」
竜「……我は竜だ」
男「はい、そうですね」
竜「そなたは人間だ」
男「見ての通りですね」
竜「そういうことだ」
男「?」
竜「我の好みの雄は鱗が鈍く光り、大きな羽を持った竜だ。鱗も生えていないそなたなど問題外だ」
男「えっ……」
竜「そういうわけだ。冗談もそこまでにして帰るがよい」
男「…………あ」
竜「む?」
男「明日もまた来ますから!」
竜「……来るな」
男「ええっ!?」
竜「驚くほどのことでもないだろう」
男「あなたと話をしたいんです」
竜「なぜ」
男「あなたのことが好きだからです!性的な意味で!」
竜「……」
男「ああっ!ついセクハラを!」
竜「人の子よ」
男「は、はい!」
竜「そなたはよく変わっていると言われないか?」
男「よく言われますね」
竜「……はあ」ボゥ
男「熱い!」
竜「ああ、すまぬ。つい火を吹いてしまった」
男「いいえ問題ないですよ!少しくらいならどんとこいです!」
竜「……そうか」
男「はい!」
竜「人の子よ、改めて問おう。そなたは何をしにここへ来たのだ?」
男「あなたとお話をしに」
竜「なぜだ?」
男「あなたと番になりたいからです」
竜「……」
竜「番……というのは夫婦……か?」
男「はい!」
竜「……頭が痛い」
男「なぜですか!竜と人が結ばれたことはあるじゃないですか!」
竜「……確かに人と夫婦となる変わり者もいるが」
男「僕はあなたに惚れたんです!どうか!結婚してください!」
竜「いやだ」
男「うぇ!?」
竜「さっきも言った通り我は普通の竜の雄が好みなのだ」
男「が、頑張りますから!」
竜「いったいなにを頑張るというのだ」
男「そ、それは……」
竜「疾く去ね……人なら人らしく、人と夫婦になるがよい」
ダメだ。人外娘ならともかく巨大トカゲなんかに萌えられるわけがない
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