P「誘拐事件に遭遇した!」 (44)


ブロロ…

美希「ミキ、事務所に着くまで寝てて良い?」

P「ああ。もうちょっとかかるけどな」

美希「うん。おやす……あれ?」

P「ん、どうした」

美希「ねえ、女の子がこっちに手を振ってるの」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1405879112


P「女の子?」

美希「オジサンに腕を引っ張られてる……ハニー! 車止めて!」

P「えっ、もしかして誘拐か!?」

キイッ


バンッ

P「おい、何してるんだ!」

女の子「あ、ありがとうございます!」

美希「どうしたの?」

女の子「知らないおじさんに、いきなり呼び止められて……車の中に連れ込まれて」


P「くそっ、逃げられた……美希、女の子は無事か?」

美希「うん、怪我とかしてないよね?」

女の子「はいっ……! ところで、あの」

美希「ん?」

女の子「アイドルの星井美希さんですよね……?」


美希「あー、うん。そうだよ」

女の子「わたし大ファンで……あのっ、お兄さんも、助けてくれてありがとうございました」

P「怪我が無いなら一番だ。とりあえず警察に連絡だな」

美希「でも、逃げられちゃったの……」

P「この車のドライブレコーダーに、ナンバーが映ってるかもしれない」

美希「さすがハニー!」


女の子「あ、あのっ、サインとかもらっても」

美希「普段は断ってるんだけど……怖かったよね。うん、トクベツにサインするの。ハニー、良いよね」

P「ああ」

美希「えっと、色紙……あった。お名前は?」

女の子「わ、わたし――」


 ◇◆◇

律子「プロデューサー、来ないわね」

響「どうしたのかな……」

律子「響を送った先で会議をするって聞いてるんだけど……連絡もないし」

響「じ、事故とかに遭ってたらどうしよう、律子ぉ」

律子「こらこら、泣かないの。大丈夫よ……じきに連絡が」


プルルル

響「り、律子のケータイ! 鳴ってるぞ!」

律子「……もしもし! プロデューサーですか!?」

P『もしもし、律子』

律子「どうしたんですか、何かトラブルでもありました?」

P『いや、実は取り調べを受けてて……』


律子「取り調べ!?」

響「っ」ビクン

P『取り調べを受けてて、警察署に居るんだよ』

律子「な、何があったんですか……!?」

P『実は……誘拐で』


律子「誘拐……!?」

響「えっ」

律子「…………分かり、ました。――こういう時は冷静にならないと、ですよね」

P『理解が早くて助かる。今日は一日、拘束されそうなんだ』

律子「一日だけ、なんですか」


P『分からない……場合によっては、明日もかかるかな』

律子「それで、美希は……」

響「美希が誘拐に……たっ、大変だ……!」

P『美希も一緒なんだよ』

律子「え……っ!?」


P『美希と一緒だったから、隣の取り調べ室にいると思う』

律子(プロデューサー殿が美希を誘拐したのかと思っていたけど、まさか……共犯だったなんて)

P『……律子?』

律子「すみません、混乱していて……その、相手方は」

P『もう大丈夫だ。保護されてるから』


律子「良かった……あの、なんでこんなこと」

P『それはいま、警察が調べてるよ』

律子「その、聞きにくいんですけど、事務所の名前の報道とかは……どうなりますか?」

P『それは大丈夫だ。報道では、美希がアイドルってことを考慮して、公表しないそうだ』

律子「……それでいいんですか?」


響(……プロデューサー、美希を助けることを諦めようとしてるのかな)

律子「そんなことでいいんですか!?」

P『お、おいおい……感情的になるなよ』

律子「なりますよ、そりゃ!」

響(律子が、泣きながら怒ってる……)


律子(誘拐なんて大それたことをしたなんて、にわかには信じられないけれど……)

P『なあ、律子』

律子(きっと、何か理由があったんだろうけど……犯罪を犯したら、きちんと償わないと)

P『相手方の意向なんだ。分かってくれ』

律子「え……」


律子(誘拐されたのに、犯人を公表しないで良いなんて……そんな人も、いるのね)

律子「……仕方ないんですかね」

P『ああ』

響「仕方ない、って……」

律子「その、プロデューサー」


P『おう』

律子「私はとりあえず、響を送っていきます。ですから」

響「……」

律子「自分のしてしまったこと、ちゃんと償って……帰ってきてください。では」

P『え、ちょっ』

ピッ


律子「……響、行きましょう」

響「律子、誘拐ってどういうことなんだ……?」

律子「それなら大丈夫。保護されてるそうだから」

響「そ、そうなのか……」

律子「ええ、安心しなさい」


響(美希、怖かったろうな……ひどいこと、されてないかな)

響「ねえ、律子。自分、美希に逢いたい」

律子「ダメよ」

響「どうして! 仕事が終わったあとで良いんだ。だから」

律子「ダメ。美希はいま、誰かと会える状態じゃないの」


律子(誘拐事件の犯人で警察に捕まってるなんて、響には言えないわ)

響(誰かと会える状態じゃない、って……まさか、心を傷つけられて……)

響「……美希のこと、励ましてやりたいんだ。ダメかな」

律子「励ますって……とにかく無理よ、響。私だって会えないんだから」

響「律子も会えない、って……そんなに大変なのか、美希」


響(美希がアイドルを辞めちゃったら、自分はどうすればいいんだろう……)

律子「響、仕事に……」

響「うあ…………みき、みきが」

律子「響、落ち着いて」

響「りつこ……自分っ、美希が居なくなったら……うああああん!」


律子「響……」

響「もう、アイドルできないのかな」

律子「そんなこと無いわ。いつか絶対に帰ってくる」

響「でも、でも……っ」

律子(響を泣かせるんじゃないわよ、美希……)


 ◆◇◆

美希「――って、ことがあったの」

千早「美希はすごいわね。勇気があって……」

真美「ミキミキと兄ちゃん、超お手柄だよ!」

亜美「お姫様を救う王子様みたいじゃん!」

伊織「ま、美希にしては頑張ったんじゃない?」


律子「……この間はすみませんでした、疑っちゃって」

P「いやー、まさか俺と美希が誘拐犯だと思われるとは。あっはっは」

律子「あの時、見事に噛み合ってなくて……冷静になったら分かることでも、分かってなかったですね」

P「それは俺も一緒だよ。あの時はドライブレコーダーを調べてたんだ」

律子「響は号泣するし、なんだか私も泣きたくなっちゃって……本当に、何事も無くてよかったです」


P「誘拐犯も捕まったみたいだしなぁー、あの日は大変だった」

律子「お手柄ですね、プロデューサー」

P「俺は何にもしてないよ。そういえば、どうして響はずっと泣いてたんだ?」

律子「……私とは別の考えで、美希が誘拐されたって思ってたみたいですよ」

P「美希が?」


律子「それで、取り調べでしばらく会えないって言うのを勘違いして」

P「泣いちゃったのか」

律子「ね、響」

響「えっ、何?」

律子「響の美希への愛、伝わったわよ」


春香「美希のことが大好きなんだね」

響「う……だって、心配しちゃって……」

P「響。ありがとうな」

響「う、うん……勘違いで良かったぞ」

春香「響ちゃん、かーわいい♪」ダキッ


響「ん、春香……?」

春香「誘拐しちゃおうかな……」

響「ヒィ!」

真美「あーっ! はるるんが誘拐しようとしてるー!」

亜美「ミキミキの出番だぁー!」


響「美希ぃー! 春香がー!」

美希「いま行くの、覚悟してね春香!」

春香「かわいいから抱きしめただけなのに!?」

律子「真犯人は春香だったのね……」

春香「違いますよ!?」

勘違い系のSSをもっと読みたいです。ありがとうございました。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom