義妹「兄さん、今日は七夕ですよ…」兄「………」 (9)

義妹「病院も七夕らしく笹が飾ってありますよ…」

兄「………」

義妹「あ、私看護師さんに頼んで少し貰ってきたんですよ…?」

義妹「分かります?笹の感触…さらさらしててそれでいてツルツルもしています」

兄「…………」

義妹「兄さんは、子供の頃どんなお願いごとをしていたのですか?」

義妹「やはり男の子ですからね…サッカー選手とか警察官とか…ふふっ…もしかして当たってたり」

兄「……….」

義妹「…私は、子供の頃からずっと保育士になりたいと思っていました…」

義妹「子供って可愛いですよね…無邪気で素直で…」

義妹「そうだ、私うっかりしてて笹しか持ってきてませんでした…」

義妹「短冊も、いま持ってきますね…兄さん…」

義妹「…お待たせしました、兄さん…」

義妹「兄さんは、青色でいいですか?兄さん、青好きでしたよね…」

兄「…………」

義妹「私はどれにしよう…」

義妹「…私も兄さんと一緒の色にしましょう」

義妹「兄さんお揃いですよ…ほらお揃い…」

義妹「むぅ…あまり嬉しそうじゃありませんね」

義妹「えっ、私の願いごと、聞きたいのですか…?」

義妹「じゃあ兄さんが退院したら、教えてあげますよ…」

義妹「そして…私にいっぱい教えてくださいね…兄さん…」

義妹「いえ、独り言ですよ」

義妹「…七夕といえば織姫と彦星ですよね」

義妹「1年に一回だけしか逢えない…哀れですよね…」

義妹「私は…兄さんとひと時も離れたくないです…」

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