そしてデリヘル嬢に絡まれる(ラノベ風味) (119)
俺のSS処女作です。
先ずは今までに読んできた本の知識を全部引きずり出して書いていこうと思います。(参考サイトとか見ずに、先ずは独学で)
そこで皆からの反応を見て、今後の糧にしていこうかなと
---1---
ピピピピ…
ピピピピ…
うーん、うるせえなあ…
バチンッと俺は目覚ましのてっぺんを勢いよく叩いて目覚ましを黙らせた。
俺の名前は南雲旭。今日から高校生になる。
って…
ヤベッ!!
今何時だよ!?
慌てて目覚ましを見ると、時刻は7時キッカリになっていた。
ヤバイヤバイ、遅刻しちまう…!
俺は急いで着替えをすませて下のリビングへと向かう。
するとそこには、朝食を用意していた母の姿があった。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1403867298
「もう、あきらったら初日から何グズグズしてんの!?遅刻するじゃない!!」
朝イチから母に怒られる俺は、急いで朝食にがぶりつく。
ああ、早くしないとホントにヤバイ!!
俺が食べてる最中にもグダグダと言ってくるうるさい母親を華麗にスルーしつつ、ようやく食べ終えた俺は急いで歯磨きにうつる。
そして、
「行ってきます!!」
と一言告げてドアから出た。
すると母親も俺の後に着いてくるようにドアから出てきて、
「いってらっしゃい。気を付けてね」
と言ってきた。
俺は自転車にまたがり、ペダルを強く踏みながら学校へと向かう。
朝からやれやれだ。
学校へ向かう道中には、警察官の寮や、魚屋など、色んな建物が並んでいたりする。
そして、俺がちょっと興味はあるけど、それと同時に少し恐れているのが…
性風俗店の並んだとある繁華街である。
この繁華街は、俺が高校受験する時に初めて知った場所だ。
高校に通うまでこの場所は全然知らなかった。
風俗の案内所の入り口に、
「ヘルス、イメクラ等、バッチコイ」等と書かれていたりしていて、
俺はその「ヘルス」だの「イメクラ」だのの意味が分からなかったので、前に調べたりした事があった。
そうして興味本意に調べていくうちに、俺はちょいとばかり風俗というものに興味を持ちはじめて居たのだ。
まあ勿論まだ15才だから、行ける筈が無いのだが。
風俗店の中は一体どんな風になっているのだろう…
そんな事を考えながら店をキョロキョロ見ていた、
その時だった。
店舗型ヘルスのドアから、俺と同い年くらいの少女が出てきたのだ。
「!?」
俺とその少女はバッチリ目が合ってしまった。
向こうもヤバそうな表情を浮かべて、近くにあった彼女の物と思わしき自転車に乗って、
俺めがけて追いかけてきたのだ。
「ヤバイ…!」
俺は慌てて学校方向へと猛スピードで突っ走った。
「ちょっと待ちなさいよあんた!!」
その少女に追いかけられながらも、俺は必死にペダルを回す。
やがて俺は学校の校門の近くへと来たのだが…
奴はまだ俺の事を追ってきてやがる!?
そして校門の近くの駐輪場に停めたのだが、彼女も駐輪場に自転車を停めたのだ。
「ハァ…ハァ…お前、なんなんだよ!?ここの学生じゃねえだろ!?」
「何いってんのよ、私も今日からここに入学するんだけど!?」
「はぁ!?」
俺はその事実に驚愕した。
「だから、私も今日から入学するんだって。」
「マジ…かよ…」
「あ、あんたねえ、私があの店から出てきた事、皆に言うつもり無いでしょうね?」
「だ、大丈夫大丈夫!!俺は誰にも言わないから!!」
なんなんだよ、なんで朝からこんな目に…!
---2---
そんなこんなで、俺はその少女とクラス表を見に行ったのだが…
「俺とお前同じクラスじゃねえか!!」
そう、俺はこの得体の知れない少女と同じクラスになってしまったのだ。
「ああよかった、これであんたが皆に言いふらさないか監視を出来るわね」
「だから言いふらさないっつってんだろ!!」
「それが信用出来ないのよ!!まあいいわ、早くクラスに行きましょうよ」
不幸だ…
今日は確か、皆の自己紹介とかだけして学校は午前中で終わるんだっけか。
「そうだな、じゃあ向かうとしますか」
やがて、学校の用事を全て終えた俺は、一人で帰ろうとクラスを出ようとした時、
ゴバッ!!
さっきの少女に首の襟元を掴まれ、後ろに引きずられるような形になった。
「いだっ、いだだだっ!!ちょっとお前、何するんだよ!?」
「何一人で帰ろうとしてんのよ、一緒に帰るわよ」
「はぁ、しょうがねえな…」
俺は仕方なく一緒に帰る事にした。
ま、帰るくらいなら別にいっか。
「なあ…なんでお前、あそこに居たんだよ?15才は普通風俗店では働けねえ筈だろ。」
「…理由、聞きたいの?」
「まあ、気になるけど…」
「じゃあ、ちょっと今日家に泊めてくれない?」
と。その少女はあり得ない言葉を放ったのだ。
「…なんだって?」
「だーかーら、今日あんたの家に泊めてって言ってるのよ。」
「ふざけんな!!誰が今日初めて合った少女なんか泊めてあげられるかよ!!」
「だって、聞きたいんでしょ?」
「とにかく無理、泊めるのは無理!!つかお前の親だって心配するだろ、なんで泊めなくちゃならねえんだよ!?別に上がらせるくらいなら構わねえけどさ」
「ホントに!?上がるだけなら良いの!?」
俺の言葉を聞いた途端、彼女の目が爛々と輝き始めたのだ。
「ま、まあ別に良いけどさ」
「ありがとう!!じゃあ帰ろうよ」
そんなこんなで、私こと南雲旭は少女を家に上がらせる事にした。
「お邪魔しまーす」
…しかしどうしよう、親にはなんて言えば良いんだ!?
初めて学校で会った奴と恋人同士になるなんてマトモじゃないし…
「あら…ちょっとあきら、誰なのこの子は!?」
「え、ええと」
「初めまして、私は旭君の彼女です。名前は山本南って言います、宜しくお願いします!」
「ま、まあ彼女さんですか!?でも初めて会ったのに、1日で恋人同士になるなんて…」
ハィィィ!?
ちょっと何いっちゃってんのこの子、そんなの誰も信じる訳ないでしょー!?
「あきら、本当なの?」
「嘘に決まってんだろ!!こいつとは今日たまたま学校で同じクラスになっただけで…ちょっと話があんだよ」
「そうなの?まあ深い事は気にしないわ、ゆっくりしてってね」
「ありがとうございます!!」
はあ…なんなのこの展開…
---3---
「これが俺の部屋だ。ちょっと汚いけど我慢してくれ」
「あ、別に気にしないわよ。へーきへーき」
「ありがとう。…でさあ、お前はなんであの店から出てきたんだ?」
俺はずっと気になっていた事を口に出す。
「あたしね、あの風俗店で働こうと思ってるのよ。以前にもあそこの店に応募して、今朝面接してきたってワケ」
「いやいやいや、15才は性風俗では普通働けないだろ。つか店側はお前の事なんも言わなかったのかよ?」
「…私ね、中学生の頃はJKリフレで働いてたのよ」
その少女は驚きの事実を次々と繰り出してくる。
「はあ!?なんで中学生をJKリフレが雇うんだよ!?誰が聞いたっておかしいだろうが!!」
「…私は周りから見て、容姿が大人びてるから、中学生だけど高校生くらいに見えてたんでしょ。」
そういえばこいつは確かに大学生っぽく見えるな。
確かに容姿は大人びている気がする。
「けど、働くには履歴書とか必要だろ?後、自分の身分とかも書かないといけないだろ。
そんなら、お前が今高校生だって事いずれかはばれちまうんじゃねえのか?」
「だから、生年月日とかも全部偽ってるのよ。結構めんどくさいんだけどね。
制服姿を街中で店員に見られるのも非常にまずいわ」
「めんどくさいって、そりゃ面倒だろうがよ…で、今のところ相手には素性はバレてないのか?」
「そうよ。だからこれからあそこで働くつもりなの」
と、その少女は何事もないかのようにいう。けど…
「なんで身分を偽ってまで風俗で働こうとしてんだよ!?お前まだ15才だろ?これからの人生は長い。そんな若くからそんな汚い店で働いてたらきっと失うものだってたくさんある!!なんで風俗なんかで働こうとしてんだよ!?」
「別に風俗店は汚くなんかないわよ?毎日清掃もちゃんとしてるし」
「そういう事を言ってるんじゃねっつの!!汚いの意味間違えてんぞ!!」
「?」
「…まあいい。なんでお前は風俗なんかで働こうとしてんだ?」
「……うちね、そんなにお金無いのよ。親も離婚してて、
今はお母さんが私を一人で育ててくれてるの。私もお母さんに迷惑かけたくなくて…だから…」
「バッカ野郎が…!」
俺はふつふつと心の底から沸き上がってくるものを抑えきれずにこう言う。
「そんな方法で得た金で養ってもらって、それでお前の母さんが喜ぶとでも思ってんのか!!」
「さっきからうっさいわね!!なんなのよ急に!!」
突然きれはじめたこいつに俺は思わず怯んだ。
「じゃああんたは風俗に興味は一ミリたりとも無いわけ?」
「えっ…」
俺はそこで口をつまらせる。そうだ。俺だって風俗には少し興味はある筈だ。
「そ、そりゃまあ、ちょっとは行きたいとか思った事はあるけど…」
「じゃああんた、私を糾弾する資格なんか無いんじゃないの?」
「はあ?俺は利用する側だぞ。お前らは経営者だ。利用する側は別に普通だが、
体を売ったりする側はマトモじゃないだろ。働いてるのはマトモな奴じゃない。でもお前はまだ若いし…」
自分でも言ってて無茶苦茶な理論だとは思ってる。けど…
「は?なにその低脳丸出しな無茶苦茶な理論は。」
彼女からもそれを指摘されてしまう。
「良い?性風俗店に限らず、店ってのは利用者と供給者が居て初めて成立するものなのよ。
これが総意かどうかは分からないけど、少なくとも私はあんたらに
介護みたいにサービスをしてあげたいとも思ってるのよ」
俺の部屋に彼女の声だけが響く。
「…」
「需要があるから供給する人が居る。てことはお互い様じゃない?片方に片方を糾弾する資格なんてないと思うけど」
正論だった。俺は何も言い返せないまま、彼女の言葉を聞き続ける。
「そして、そういう意思を持った人達に年齢なんて関係ないのよ。
働きたい意志があるなら、何歳が働いたって良いじゃない」
「そうだな。確かにそうかもしれない。俺も利用したいと思ってる以上は、お前の事を糾弾する資格なんざねえのかもな」
「分かってくれた?」
互いに落ち着き、俺達は冷静に言葉を交わしていく。
「ああ、分かったよ。」
「そう、ありがとね。あとさ…」
彼女はもじもじしながら何かを言いたそうにしている。
「な、なんだよ?」
「…あんた、風俗に興味があるのよね?」
「まあ、あるけどさ…」
「じゃあさ…」
彼女はまるで俺に愛の告白をしようかどうか迷っている調子で俺に話しかけてくる。
「…な、なんだよ?」
「私の店で、一緒に働かない?」
……
「はい?」
「だーかーら、あんたも一緒に働かないって言ってるのよ」
「無理に決まってんだろ!!第一俺は年齢とか身分偽って働く気はサラサラねえ!!」
「え?風俗では男性は他の普通のバイトと同様に15才からでも働けるわよ?」
「ミエミエの嘘つくな!!」
俺は呆れを通り越してついつい怒鳴ってしまう。
「大体、なんで俺なんかと一緒に働きたいんだよ?俺は利用したいとは言ったが、働きたいとは一言も言ってねえぞ」
「いや、別に働くのと利用するのは兼ねる事は普通に出来るのよ?」
「そりゃそうだけどよ…」
「いや、興味あるんなら、高校生が私だけだと心細いから一緒に働いてくれないかなーって…」
「無理!!俺は身分偽ったりするのは無理!!そりゃ、お前の事は少し心配だけどさ」
「あら、心配してくれるの!?」
「おう」
なんたって15才で年齢偽って働いてる奴なんか、
いつ身分がバレて警察につき出されるかを考えるとこっちまでビクビクせざるを得なくなるからな。
「ははは!!冗談よ冗談。あんたまで私の事情に巻き込むわけにはいかないしね…」
「…」
「なんか色々とありがとね。今日私早速18時頃から仕事入ったから、
いつまでもここに居るわけにはいかないわ。じゃあそろそろ帰るわね」
「お、おおマジか」
「うん。…私、中1からJKリフレで働いてたから、高校に入学したら大学生だと思われるわけだから、
高校に入学したら必然的にJKリフレで働けなくなるじゃない?風俗店って、JKリフレみたいに楽なのかな…
危なくないのかな…なんてたまに考えたりするのよね。本当は私少し怖いのよ。」
だろうな。やっぱり本当は怖かったんじゃねえか。
「でも、それでもお前は風俗を選んだんだろ?苦しい母さんを助けたくて…」
「うん。だからこんな事でビクビクしてちゃダメね!あ、じゃあ私もう帰るね」
「ああ、じゃあ玄関まで送ってくよ。」
「ありがとう。」
そうして俺達は階段を降りて玄関まで行った。
「お邪魔しました!」
すると台所で晩御飯の準備をしていた母さんが出てきた。
ってか俺達、昼飯まだ食ってないし。すっかり忘れてた。
「はーい、気を付けてね!」
「ありがとうございましたー」
俺と彼女は玄関を出た。
「なあ。確か山本だっけ?困った事があったらまた家に来て良いからな!!」
「うん!今日はありがとね!」
山本は自転車に乗って家に向かって行ったようだ。
…そういやあいつ、親にはちゃんと風俗で働いてる事ちゃんと伝えてるのか?
はあ疲れた。
昼飯まだだったし、ちょいと冷蔵庫で冷やしてある白米をレンジで温めて、フリカケでもかけて食うか。
そんなこんなで、飯を食べた後にゲームとかをやったりしているうちに、時刻は18時。
ゲームに飽きた俺は、暫くベッドの上でゴロゴロしていた。
…あいつ、確か今頃あそこで働いてるんだっけ?
今日は学校初日から大変だった。まさか15才の風俗嬢がクラスメイトだなんて。
世の中色んな奴が居るもんだな。
………
でも、風俗ってあいつが言ってた通り、結構危険な場所なんだよな。
あいつ大丈夫かな?
………
やっぱり普通じゃない。
どんな理由があったとしても、15才が身分を偽って風俗で働くなんてマトモじゃない。
そんなのダメだ。
今すぐに止めに行かなきゃダメだ!!
こんな事をしている場合じゃない。
俺は急いで下に降りて行った。
---4---
「母さん、あいつ財布を忘れてったみたいだから、俺今からあいつの家に届けてくるわ!」
「あら。でもその子の家の場所知ってるの?」
ウッ…
しまった。俺はあいつの家の場所なんか知らない。でも、ここは嘘を突き通さなければ…!
「あ、ああ、今日俺とあいつメアド交換してさ、確かにあいつん家分からないから学校で集合するわ!!」
「そう。気を付けてね」
「じゃ、じゃあ行ってきます!!」
俺は急いで自転車に股がり、通学途中にある例の繁華街へと向かう。
「ハァ…ハァ…」
あまりにも急いでいた為、俺はすごい息切れを起こしていた。
確か、あいつが今日出てきた店は…
…え?なんであそこにパトカーが沢山止まってるんだ?って…
パトカーが止まっているのは、今日彼女がドアから出てきた店だった。
嘘…だろ…?
なんでパトカーが居るんだよ!?
まさか、山本になんかあったのか!?
俺は急いでパトカーのもとへと走り寄る。
「すみません、お巡りさん、なんかこの店であったんですか!?」
「ああ、ちょっと客が女性にルールを破った行為をしてしまってね」
その警官は淡々と告げる。
「で?君になんの関係があるんだい?」
「あの、俺のクラスメイトがそこで働いてるんです!!まさか…被害にあったのは、山本って奴ですか!?」
「ああ、そうみたいだ」
なんだよ…
なんなんだよ!!
早速被害にあってんじゃねえか!!
「ん?ところで君、今クラスメイトとか言ったね?」
…!!!!
しまった!!パニクってつい事実を口にしちまった!!
「君、高校生くらいに見えるけど、あの人と同じクラスなのかい?」
「………」
どうする、どうすれば良いんだ!?
「クラスメイトか…君も、高校生が風俗で働くのは法律上禁じられてるって事ぐらいは知ってるよね?」
「いえ、俺は大学生です」
「とてもそうは見えないけど?まあいい、君にも一緒に来てもらおう」
マズイ…
このままだと、あいつは刑務所につれてかれちまう…!
俺のせいで…!
俺達は店の奥まで入っていった。
そして受付のところには、25才くらいの男性と…
山本ッ!!
25才くらいの男性は絶望にまみれた顔をして、警察官達をただ呆然と見ていた。
そうか、こいつが山本に被害に合わせた奴なんだ。
「…旭!?」
山本は何故此処に俺が居るんだ、といった調子で俺を見つめている。
「山本!!お前大丈夫か!?」
「ちょっと君!!静かにしたまえ、今から事情聴衆をするから!!」
警察官は俺達を遮るように言う。
「貴方が此処の店長かい?」
「はい、そうです」
警察官が発した言葉の先には、20才くらいの長身の男性が立っていた。
「で?彼がこの子に本番行為を強要したって事で間違いないのかね?」
「はい、間違いありません。個室から悲鳴が聞こえてきたので、慌てて店員が駆けつけたところ、
もう少しで彼女が彼に押し倒されようとしていたところでした。」
「…そうか」
警官は山本に被害を合わせたと見られる男性をきっと睨み、
「あのね君、店のルールに従わないとこうやって逮捕されるって事ぐらい分かっていただろう?
何故こうやってルールを破るのかね」
「…本当に申し訳ないと思ってる。自分の欲が抑えられなかったんだ」
「本番行為がしたいなら本番行為が可能な店に行けば良いだろう?住み分けはキチンとしてくれなきゃ困るんだよ」
「…分かってる」
随分と素直に認める男性だなと思いつつも、俺は男性をきっと睨みつける。
しかし。
「まあ、この被害者の子にも問題はありそうなんだけどね」
突如、今の今まで怒りに震えていた俺の心は一瞬で深い不安に落とし入れられた。
その警官の一言によって。
「え…?」
警官に身元はばれていない筈だと思いつつも、嫌な予感が頭をよぎり、不安な気持ちにかられる山本。
「君がこの少年のクラスメイトだというのは本当なのかな?
さっきこの少年が自分のクラスメイトだとかなんとか言っていたんだが」
「いえ、違います!!この人とはなんの関係もありません!!」
「うーん、話が食い違っているな…とりあえず、君の家に上がっても良いかな?
君が被害にあった事を君の親御さんにも伝えなきゃならないし、君が本当に高校生じゃないなら、なんら問題は無いと思うが?」
マズイ…それだけはマズイ!!
「あの…私、親には内緒で此処で働いてるんです。だからそれを親に伝えたら、
親だってどんな反応をするか分かりません!!だから、家には来ないで下さい!!」
こいつ、親に伝えてなかったのか。いや、それとも来てほしくないから嘘をついているのか?
「そうか…」
少し考える警官。
「しかし、この店の規約では、自分の親にも此処で働くことをちゃんと伝えるとあったが?」
何だって!?
マズイ、山本が慌ててボロを出しちまった!!
「行くぞ」
その警官は他の警官に合図を送った。どうやら本当に山本の家に行くようだ。
---5---
ここは山本の家。家の中にズカズカと警官達は入っていった。
どうやら中で事情聴衆をしているらしい。
俺は中の様子を知らされる事も無く、ただ玄関でぼうっと突っ立って居ることしか出来なかった。
「…ちくしょう」
俺があんな事を言わなければ、山本は逮捕されずに風俗で今後も働けていたかもしれない。俺のせいで山本は逮捕されちまう…!
いやでも、山本に風俗でなんか働いてほしくないからこそ俺はここに来たわけだし…
でも、だからって何もこんな形で山本の人生を終わらせて良いって事にはならねえだろうが!!
俺は頭の中で自問自答を繰り広げる。
と、その時だった。
山本の家のドアから、警官達と一緒に山本が出てきたのだ。
「まだ君はあそこで働いて1日しか経ってないから、今回は見逃してあげよう。その代わり、
もう二度と身分を偽ってまで働こうとしたりするんじゃないぞ。次はないからね?」
「…はい」
山本は顔はぐしゃぐしゃになっていて、泣きじゃくっていた。
待てよ?
って事は、今回はあいつは逮捕されないですむって事か!?
「…今後はもう二度としません」
山本はひっくひっく言いながら、それでも必死に言葉を紡ぎ出す。
「分かってくれたか。それじゃ、私達はこの辺で」
警官達はこっちに向かってくる。
警官達がパトカーに乗って見えなくなるところまで行ってしまった後。
山本はフラフラとこっちに近付いて来た。
「なんでよ…」
山本は目に少しだけ怒りを浮かべ、
「なんで私の身分をバラすような事言っちゃうのよ!!あんたのせいで…あんたのせいで私、
あそこでもう働けなくなったじゃない!!お母さんにもバレちゃったし!!」
「ごめん…つい口が滑っちまったんだ。けど俺、この結果で良かったと思ってるよ」
「何?どこが良かったと思ってるの!?」
「…俺、お前に風俗なんかで働くの、やっぱりやめてほしかったんだ」
「あんた賛成してくれたんじゃ無かったの!?何を今更ッ!!」
「なあ、お前風俗なんかで働かないでさ、別のバイト探したらどうだ?その方が普通の高校生らしいし、親だってきっと喜ぶと思うぞ」
「私は…私は」
彼女は震えながらも言葉を紡いでいく。
「私は風俗で働きたかったんだあああああああああああ!!」
彼女の大声が夜空に響いた。
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