結衣「鍵のかかった部屋で」 (27)

~幼少期~


あかり「変身、葉っぱ仮面!」

京子「えへへ…」

結衣「もう飽きたよそれ」

あかり「うー…」

結衣「それより、鬼ごっこしようぜ!」

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結衣「よし、罰としてあかりが鬼ね~」

あかり「ええー!」

結衣「京子!逃げよ!」

京子「え、け、けどぉ……」

結衣「はやくはやく!あかりに追いつかれちゃう!」

あかり「もー!2人とも待てー!」

京子「う、うん……」


タッタッタッ

「結衣ちゃんも京子ちゃんも待てー!」


結衣「だめだ、京子の足が遅いから追いつかれちゃう……」

京子「ごめんね、結衣ちゃん」

結衣「ううん、いいよ……よし、この小屋に隠れよう!」

京子「え、け、けど……中くらいよ?」

結衣「それがいいんじゃないか」

京子「こ、こわい……」

結衣「私がいるから大丈夫!」

京子「う、うん……」

結衣「さ、はいろ?」

結衣「扉も閉めて……と」ガチャ

京子「……」ドキドキ

結衣「京子、じっとしててね」

京子「う、うん」ドキドキ


「ゆいちゃーん、きょうこちゃーん」トコトコ


結衣「あかりが来た……」

京子「……」ドキドキ

「あれー、ゆいちゃん達、こっちに走ってきたと思ったんだけどなあ」トコトコ


京子「……」ドキドキ


「あ、もしかして」


京子「……」ドキドキ


「もしかして!」


京子「ゆ、ゆい、見つかっちゃうよお」

結衣「しーっ!」

「もしかして、向こうに行ったのかな?」タッタッタッ


京子「……」ドキドキ

結衣「……」

京子「……」ドキドキ

結衣「……」

京子「あ、あかりちゃん、行っちゃった?」

結衣「うん、そうみたい」

京子「はあ……見つかっちゃったかと思った……」

結衣「もー、駄目だよ京子、隠れてる時に喋ったりしちゃ」

京子「ご、ごめんね、結衣ちゃん」

結衣「まあ見つからなかったからいいけど!」ニコ

京子「う、うん」

結衣「よーし、今のうちに小屋から出て別の所に……」ガタッ

京子「うん、今ならあかりちゃんも居ないよね」

結衣「あれ……」ガタガタッ

京子「結衣ちゃん?」

結衣「……おかしいなあ」ガタガタガタ

京子「結衣ちゃん、どうかしたの?」

結衣「うーん、扉が開かないや」ガタガタッ

京子「ええー!」

京子「と、閉じ込められちゃったの?」

結衣「うん……扉閉めた時に鍵が閉まっちゃったのかなあ」

京子「ふえ……ど、どうしよう……」グスッ

結衣「京子、泣かないで?私が着いてるから大丈夫だから!」

京子「け、けど……」グスグス

結衣「扉閉まっちゃったけど、小屋の奥探せば出口とか見つかるかもしれないからさ、ね?」

京子「う、うん……」ゴシゴシ

結衣「うーん、けど真っ暗だなあ……何か明りになるような物は……あ」

京子「な、なにかあった?結衣ちゃん」

結衣「何か棒みたいなのあった……これもしかして……」カチッ

京子「あ……」

結衣「懐中電灯だ!かっこいい!」

京子「よ、よかったぁ……これで明りが……え」

結衣「かっこいい!この懐中電灯かっこいい!」

京子「ゆ、結衣ちゃん……あ、あっち……あっちに……」

結衣「え?」

京子「あっちに、何か居るよお……」

結衣「え?」

京子「こ、小屋の隅に……」

結衣「あ、ほんとだ……毛むくじゃらの何かがいる……」

京子「い、いぬさんかな?」

結衣「そうみたいだね、けど……」

京子「動かないね……」

結衣「死んでるのかな」

京子「え……」

結衣「よし、ちょっと見てくるね!」

京子「えええー!」

京子「結衣ちゃん、危ないよお……」

結衣「平気平気!」

京子「け、けど噛まれたりしたら……」

結衣「もう、京子は心配性だなあ……よし、じゃあコレを使おう」

京子「これ?」

結衣「丁度、小石が落ちてたからさ、これを投げて見よう」

京子「ええー……可哀想だよぉ……」

結衣「大丈夫大丈夫、ほんとに小さい石だからさ」

京子「けど……」

結衣「ほい!」ポイッ

京子「あ……」

ポフッ


結衣「いよっし」

京子「あ、あたっちゃったよお……」

結衣「けど反応ないなあ……よーし、もう1回」

京子「だ、だめだよお、結衣ちゃん」

結衣「大丈夫だって、今度はこっちの大きめな……」


グルルルル


結衣「……!」

京子「……!」

京子「い、いぬさん、起きちゃった……」

結衣「う、うん、生きてるって判ってよかった」


グルルルル


京子「け、けどいぬさん、何か怒ってるよお」

結衣「だ、大丈夫!きっと寝起きが悪いだけで……」


わんっ!


京子「あわわわわわわわわわ」

結衣「ぶるぶるぶるぶるぶる」

京子「ど、どうしよう、結衣ちゃんどうしようっ!」

結衣「に、にげよう!」

京子「けど、けど扉が閉まってるし……!」

結衣「窓から逃げよう!」

京子「ま、まど?」

結衣「う、うん、そっちのカーテンの裏に窓があったから!入る時見えてた!今思い出した!」

わんわんっ!


結衣「!」ビクッ

京子「だ、駄目だよお、動いたらいぬさん、飛びかかってきそう……」グスッ

結衣「何か、何かで気をそらして、その間に逃げるんだ!」

京子「な、何かって、なあに?」

結衣「京子、何か持ってない?」

京子「な、なにかって……うう」ゴソゴソ

結衣「食べ物とか!お菓子とか!甘い物とか!」

京子「あ……キャラメルあった……」

結衣「それだ!それを犬さんにあげるんだ!」

京子「そ、それで許してくれるかなあ?」

結衣「許してくれなくても、食べてる間は隙が出来るよきっと!」

京子「うう、怖いけど……やってみるね」

京子「い、いぬさん、これ、これあげるから……」

結衣「頑張れ!京子!」

京子「これ、あげるから許して……」


グルルルル


京子「……」ドキドキ

結衣「……」ドキドキ


パクッ


結衣「食べた!キャラメル食べた!」

京子「い、いぬさん、おいしい?」

結衣「京子!ほら!窓から出るよ!」ガチャガチャ

京子「い、いぬさん?」


モッチャモッチャ


結衣「京子!行くよ!」

京子「ま、まって、結衣、いぬさん許してくれたかも……」

結衣「よ、よし、抜け出れた……ほら!京子も早く!」

京子「いぬさん?許してくれたよね?いぬさん?」


モッチャモッチャ


京子「いぬさん?」ソーッ

結衣「京子!触っちゃだめだ!」

京子「え?」


ガブリ

京子「え、手、手が……」


グルルルル


京子「手が、いぬさんに……手が……」


グルルルルルル


結衣「京子!振りはらって!逃げて!」

京子「手、手が、い、痛いよおおおっ……」グスッ

結衣「京子!」

京子「は、離してよお、いぬさん、離してよお」ヒック


グルルルルルル!

グイッ


京子「い、痛いよいぬさん!ひっぱらないで!いたいよお!」

結衣「あわわわわわ、た、大変だあ……」

結衣「ど、どうしよう、京子を助けないと……けど、あんな大きな犬、どうしたら……」

結衣「そ、そうだ、何か棒を、叩ける棒を探しに!」


いたいよお、いたいよお!


結衣「きょ、京子!もう少し待っててね!今、助けに行くから!」


ゆいちゃんいたいよお、たすけてよお!


結衣「もう少し我慢して!」タッ

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