アンパンマン「ハリウッドリメイク?」 (66)
ハリウッド版アンパンマンをイメージして書きました
とある映画を参考にしています
設定等は大胆に変更されています
それではお楽しみください
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1402143588
ここはパン工場
昔の名残で工場と名は付くが、実態は町外れのパン屋である
ここも昔は従業員80人を数える文字通りのパン工場だった
しかし、この町を支える地方銀行の破綻により人々の生活は激変した
商業の町は大量の失業者を生み出した
この町がいまだに存在できるのは、証券会社とその関連企業があるからである
銀行の破綻を予測していた証券会社がプット・オプションと株のショートにより莫大な利益を出したのである
現在この町の階層は、失業者・低所得労働者・金融業のホワイトカラーに分化されている
そして長引く不況は、犯罪が犯罪を呼ぶ悪循環を生み続けている
悪が悪を呼ぶ町……
だがこの町には一人のヒーローが居る
パン工場~15年前~
チーズ「ワンワン」
バタコさん「どうしたのチーズ?あっ流れ星」
ジャムおじさん「こっちに向かってくるぞ」
☆→煙突 ボムッ
バタコさん「ゲホッ、ゲホッ」
ジャムおじさん「みんな無事かい」
チーズ「ワンワン」
バタコさん「ジャムおじさん見て窯が光ってる」
???「バブー」
ジャムおじさん「おやおや、子供だ。それに、宙に浮いている」
バタコさん「あの流れ星は子供だったの?」
ジャムおじさん「顔がパンできている。それもあんぱんだ。不思議な子供だ」
バタコさん「きっと神様がパン工場に授けてくれたのよ」
ジャムおじさん「うむ。顔があんぱんだから名前はアンブレッドにしよう」
バタコさん「アンブレッドだからあだ名はアンブレね」
チーズ「ワンワン」
アンブレッドは逞しく成長した
人一倍力持ちで、人一倍正義感に溢れていた
アンブレッドは餓えと犯罪に脅える人々を救おうと決意したのである
いつしかアンブレッドは町のヒーローとなっていた
貴金属店
犬のおまわりさん「お前は完全に包囲されている。銃を捨てて出て来い!!」
アンブレッド「強盗ですか。突入は待って下さい。僕が説得に行きます」
犬のおまわりさん「ああ任せたぞ」
アンブレッド「こんな馬鹿なことはやめて投降するんだ」
アリンコキッド「うるさい近づくな。早く金と食料を持って来い」
アンブレッド「もう無駄だ。君に逃げ場はない。向こうのビルからはスナイパーが狙っている」
アリンコキッド「もう撃たれたってかまわねぇよ。飢え死により楽そうだ」
アンブレッド「お腹が空いているなら僕の顔を食べるんだ」
アンブレッド「くっ」ブチブチ ベリベリ
アンブレッド「ぐあぁぁ。はぁはぁ。さあどうぞ」
アリンコキッド「パクッ。ガブガブ」
アリンコキッド「う、うまい。こんなに旨いあんぱんは初めてだ」
アンブレッド「まだいくらでもやり直せる。さあ行こうか。罪を償ってくるんだ」
アリンコキッド「ああ、そうするよ。また旨い物食いたいしな」
パン工場
アンブレッド「ただいま」よろよろ
ジャムおじさん「アンブレ大丈夫かい。すぐに新しい顔を焼くよ」
アンブレッド「ありがとう。ジャムおじさん」
ジャムおじさん「私もそんなに長くはない。いつまで顔を焼けるか分からないんだ」
ジャムおじさん「あんまり無茶はしないでおくれ」
アンブレッド「僕は困った人が居る限り救い続けます」
町
人々「ざわざわ。ざわざわ」
アンブレッド「どうしたんです?」
てんどんまん「ほら、ビルの上にまた自殺志望者ざんす」
アンブレッド「大変だ。助けなきゃ」
ビルの屋上
アンブレッド「自殺なんてやめるんだ」
ホラーマン「止めないで下さい。どうせ何をやっても無駄です」
アンブレッド「家族が悲しむぞ考え直すんだ」
ホラーマン「もう家族なんていません。金の切れ目が縁の切れ目です」
ホラーマン「この不景気です。中年を再就職させてくれる企業なんて見つかりません」
ホラーマン「失業給付が切れて、貯金が尽きて、街金に手を出したのが運の尽きです」
アンブレッド「まだ何か生きていく方法はあるはずだ」
ホラーマン「勝手なこと言わないで下さい」
ホラーマン「あなたが借金を立て替えてくれるんですか?妻を連れ戻してくれるんですか?」
アンブレッド「……」
ホラーマン「長話が過ぎました。そろそろサヨナラです」
アンブレッド「飛び降りても無駄だ。僕が空を飛んで助ける」
ホラーマン「そうですか……それならこっちです」チャキ
パーーーーーン
ホラーマン「……」ドサッ
アンブレッド「そんな……」
パン工場の屋根
アンブレッド「……」
バタコさん「ここに居たのねアンブレ」
アンブレッド「バタコさん……」
アンブレッド「今日、人を救えなかった。ヒーローなんて言われても僕は無力だ」
バタコさん「アンブレ、あなたは十分すぎるほど人を救っているわ」
バタコさん「この町のみんなはあなたに感謝してるわよ」
アンブレッド「ありがとうバタコさん」
アンブレッド「あと、バタコさんに言いたいことが……」
バタコさん「言いたいことは分かってる。でもだめよ」
バタコさん「あなたはみんなのヒーローだもの。一人に特別な思いを抱いてはいけないわ」
アンブレッド「ごめんバタコさん。困らせてしまって」
バタコさん「いいのよ。明日も早いわ。お休みアンブレ」
アンブレッド「お休みバタコさん」
朝パン工場
ジャムおじさん「大変だ。アンブレ!!」
アンブレッド「どうしたんです」
ジャムおじさん「早くテレビを見るんだ」
リポーター「毒ガスです。毒ガスが撒かれたようです。今、町は大混乱です!!」
リポーター「すでに多数の死傷者が出ている模様です」
アンブレッド「毒ガスだって、誰がこんな酷いことを」
バタコさん「酷い。酷すぎるわ」
リポーター「いったい犯人は何者でしょうか?」
???「犯人が知りたいか?」
リポーター「だ、誰です」
???「お前の知りたがっている犯人だ」パンパン
リポーター「……」ドサッ
???「ヒヒヒ、おっとカメラマン逃げるなよ。そのままオレさまを映せ」
???「あーあーマイクテスト、マイクテスト。本日も晴天なり」
???「ハ~ヒフ~ヘホ~!オレさまは、ばいきんまん!!」
ばいきんまん「どうだオレさまの毒ガス『かびるんるん』は?楽しんで頂けたかな?」
ばいきんまん「ハッハッハァ~何でこんなことをしたかって?」
ばいきんまん「それは面白いからだ。オレさまはイタズラが大好きだからなヒヒヒ」
ばいきんまん「つまらない日常に彩を添えてやったのだ」
ばいきんまん「だが一人で遊んでもつまらない」
ばいきんまん「遊び相手が欲しい。そこで、この町のヒーロー気取りと遊ぼうと思う」
ばいきんまん「アンブレッドこの番組を見ているかな?見ていたら町の学校に来い」
ばいきんまん「オレさまを待たせるなよ。じゃあなバイバイキーン」パンパン
カメラマン「……」ドサッ
アンブレッド「ばいきんまん許さないぞ」
ジャムおじさん「……」
アンブレッド「どうしたんです?ジャムおじさん?」
ジャムおじさん「いや、なんでもない。それよりも急ぐんだアンブレ」
アンブレッド「はい。行ってきます」
学校
ばいきんまん「ハ~ヒフ~ヘホ~!初めましてアンブレッド」
アンブレッド「ばいきんまん!!自分が何をしているか分かっているのか」
ばいきんまん「分かってるぞ。愉快なことだヒヒヒヒ」
アンブレッド「ふざけるな」
ばいきんまん「そんなに怒るなよ。楽しもうぜぇ」
アンブレッド「今すぐお前を拘束する。覚悟しろ!!」
ばいきんまん「ちょっと待った。そんな事してていいのかな?ぐふふ」
アンブレッド「どういうことだ?」
ばいきんまん「この学校の中には、まだ生徒たちが残っているのだ」
ばいきんまん「そして生徒たちは『かびるんるん』が爆発するのを待ってるぜぇ」
アンブレッド「なんだと!」
ばいきんまん「早く行かなくていいのかな~」
アンブレッド「卑怯だぞ。ばいきんまん」
ばいきんまん「ハッハッハ~卑怯はオレの得意技ってね」
アンブレッド「必ずお前を捕まえるからな!ばいきんまん!!」
ばいきんまん「また会おうぜ。バイバイキーン」
学校内
カバオ「怖いよー」
みみ先生「大丈夫よ。きっとアンブレッドが助けに来てくれるわ」
ピョン吉「あっ、アンブレッドだ。アンブレッドが助けに来てくれたよ」
アンブレッド「みんな大丈夫かい?」
そこには手錠でつながれ、柱に括り付けられた子供たちと先生が居た
子供たちを大人しくさせるためだろう
見せしめに殺された子供たちの死体が数体横たわっている
よほど怖い思いをしたに違いない
アンブレッド「安心するんだ。今すぐ助けるよ」
ウサ子「アンブレッドそこに爆弾があるの」
かびるんるん2号 -10:00 -9:59 - 9:58 -9:57
アンブレッド「まだ時間がある。この爆弾を早く安全な所に運ばないと」
ばいきんまん「そろそろかな?爆弾がタイマー式とは言ってないんだよなフフフ」
ばいきんまん「起爆スイッチ~オン」ポチ
ばいきんまん「ハ~ヒフ~ヘホ~」
学校内
かびるんるん二号「カウントゼロ爆発シマース」
アンブレッド「えっ」
ドーーーーーン
アンブレッド「うっ……みんな大丈夫かい」
アンブレッド「そんな……」
毒ガスを吸って血を吐きのた打ち回る子供たち
アンブレッドにもダメージはあるが、顔を交換すれば回復できる
ピョン吉「ゴボッゴボッ」
ウサ子「……」ビクビク
カバオ「た、助けて…アン…ブレッド…」
アンブレッド「うぁーーーーーーーーーー」
パン工場
アンブレ「……」ふらふら
ジャムおじさん「アンブレ大丈夫かい」
バタコさん「今すぐ新しい顔に交換するわ」
アンブレッド「子供達が…子供達が…みんな死んだ」
ジャムおじさん「なんて恐ろしいことだ」
アンブレッド「僕のせいだ。僕さえ居なければ、ばいきんまんはあんなこと」
ジャムおじさん「いいや、アンブレお前のせいじゃない。私が悪いんだ」
アンブレッド「えっ。なんでジャムおじさんが……」
ジャムおじさん「すべて話さねばなるまい」
ジャムおじさん「アンブレが来る前、まだここが工場だった頃の話だ」
回想~16年前~
ジャムおじさん「銀行が破綻だって!!」
犬の銀行員「ええ」
ジャムおじさん「そんな。このパン工場はどうなる。従業員達は……」
犬の銀行員「残念ですが……それにこの前、食中毒を出したでしょ。」
犬の銀行員「取引先を見つけるのは無理ですよ。経営再建は諦めましょう」
ジャムおじさん「あなたに言われて購入した機材だってあるんだ」
犬の銀行員「工場の敷地、裏の森、機材は新しいので売却すればいい」
犬の銀行員「そうすればローンは帳消しです。あなたはまだ良い方ですよ。首を括らなくて良いんですから」
パン工場 朝礼
ジャムおじさん「皆さんに伝えなければならない事があります」
ジャムおじさん「食中毒による契約切れと銀行の破綻を受けこの工場を閉鎖します」
ジャムおじさん「本当に申し訳ありません」
従業員A「明日からどうするんだ」
従業員B「ここの退職金積み立てだったよな。退職金出るよな?」
従業員C「ある意味転職のチャンスか」
従業員D「新しい働き口なんてあるのかよ」
ざわざわ ざわざわ
自室
ジャムおじさん「はぁ~」
バタコさん「ジャムおじさんお疲れ様。はいコーヒー」
ジャムおじさん「ありがとうバタコ。これからまだまだ忙しくなるな」
ドア トントン
ジャムおじさん「はいどうぞ」
従業員E「すみません。お願いしたい事があります」
ジャムおじさん「何かな?」
従業員E「お願いです。解雇しないで下さい。お金が必要なんです」
ジャムおじさん「悪いが無理な相談だよ」
従業員E「どうしてもお金が、妻のドキンが重たい病気なんです」
ジャムおじさん「気の毒だが、私も大変なんだ。お互いがんばるしかないよ」
従業員E「私には学歴もなければ、資格だってありません」
従業員E「この不景気に転職なんて無理です。お願いします」
ジャムおじさん「工場自体がなくなるんだよ。雇えないんだ」
従業員E「分かりました……今までお世話になりました」
町
ジャムおじさん「ようやく処理が済んだ」
バタコさん「これで店は小さくても、パンは焼き続けられるわ」
ジャムおじさん「売却のお金で少し余裕もあるし、今日は美味しいものでも食べよう」
バタコさん「わーい」
従業員E「……」
ジャムおじさん「あっ、君は……」
バタコ「えーと、奥さんの病気は良くなった?」
従業員E「……私はすべて失いました」
ジャムおじさん「すまなかった。あの時はどうしようもなかったんだよ」
従業員E「……」
バタコさん「ごめんなさい。私達はこれで……行きましょジャムおじさん」
ジャムおじさん「ああ」
従業員E(なんであいつらばかり。何でオレがこんな惨めな目に)
従業員E(許さない。絶対に許さない)
従業員E(この町は腐っている。ならばオレは腐った町のばい菌だ)
従業員E(今日からオレさまは、『ばいきんまん』だ)
ばいきんまん(この町を汚しつくしてやる!!)
回想終了
ジャムおじさん「その時の従業員が今のばいきんまんだ」
ジャムおじさん「ばいきんまんは私が生み出したようなものだ」
アンブレッド「いいえ。ジャムおじさんは悪くありません」
アンブレッド「同情はできますが、あんな行い許されるはずがありません」
アンブレッド「必ずばいきんまんを捕まえて罪を償わせます」
数日後
犬の郵便屋さん「お届け物でーす」
バタコさん「何かしら?」
ジャムおじさん「とりあえず空けてみよう」ガサゴソ
アンブレッド「機械?」
機械「ハ~ヒフ~ヘホ~オレさまばいきんまん」
アンブレッド「ばいきんまん!!」
機械「聞いているかアンブレッド。またお前と遊びたくなった」
機械「次はお前とゲームをしようと思う。今夜10:00に公園に来い」
機械「なお、このメッセージは自動で消滅しま~す」ポン
アンブレッド「ばいきんまん。今度こそ絶対に捕まえてやる」
バタコさん「アンブレこれは罠よ」
ジャムおじさん「そうだよアンブレ。行ってはいけない」
アンブレッド「罠だと分かっていても、行かなければなりません」
アンブレッド「これ以上ばいきんまんの犠牲者を作るわけにはいきません」
バタコさん「必ず帰ってきてね」
アンブレッド「約束するよ」
公園
アンブレッド「どこに居る!出て来い!ばいきんまん!!」
~2時間後~
アンブレッド「なぜ現れないんだ?」
プルルル プルルル
アンブレッド「あんなところに携帯が落ちてる。もしや」ピッ
ばいきんまん「ハ~ヒフ~ヘホ~オレさまばいきんまん」
アンブレッド「どこだ!ばいきんまん!!」
ばいきんまん「あせるなよ。これから楽しいゲームが始まるんだヒヒヒ」
アンブレッド「なんだと」
ばいきんまん「お前がこの公園で待ってくれたおかげで準備ができたぞ」
アンブレッド「今度は何をしたんだ。ばいきんまん!!」
ばいきんまん「ハッハッハァ~前回はすまないな。みんな殺しちゃって」
ばいきんまん「フェアじゃなかったよな?オレさまだってもっと楽しみたい」
ばいきんまん「そこでだ。ぐふふ。今回はどちらかが助かるのだ」
アンブレッド「どういうことだ!!」
ばいきんまん「バタコを助ければジャムが死ぬ。ジャムを助ければバタコが死ぬ」
アンブレッド「なんだって!!」
ばいきんまん「ハァッハッハッハァ~ハ~ヒフ~ヘホ~」
アンブレッド「2人を巻き込むな!昔のこと…お前の妻のことは謝る。でもジャムおじさんに罪はない」
ばいきんまん「妻?オレさまは、生まれてこのかた独身だぞ?」
アンブレッド「えっ。お前が従業員だった時、重病の妻が……」
ばいきんまん「あ~あの時の事か。クックックまだ信じていたのか。どうだ名演だっただろ?」
ばいきんまん「それなのに奴ときたらあっさり解雇しやがって」
アンブレッド「嘘……なのか……」
ばいきんまん「金が必要だったのは本当だぞ」
ばいきんまん「銃のコレクションに爆弾・毒ガスの発明と何かと物入りなのだ」
アンブレッド「もしや、パン工場で起こった食中毒事件はお前がやったのか?」
ばいきんまん「ぴんぽ~ん。大当たり~~~」
アンブレッド「なぜそんなことをしたんだ」
ばいきんまん「あの頃、オレさまは連日の発明に疲れていたのだ」
ばいきんまん「少しばかり会社が休みにならないかと思って『プロトかびるんるん』を試したのだ」
ばいきんまん「少しどころか、ずっと休みになっちゃったけどなヒヒヒヒ」
あんぱんまん「どれだけの人を困らせたか分かっているのか!」
ばいきんまん「オレさまだって急に職がなくなって困ったんだぞ」
ばいきんまん「解雇によってオレさまは破産さ。大事な銃のコレクションも差し押さえられちまった」
ばいきんまん「くっくっく。だが感謝もしてるんだぞ。すべてを失ったオレさまは、小さな社会から解放された」
ばいきんまん「オレさまは自由になったのだハァッハッハッハァ~」
ばいきんまん「遊びたければ遊ぶ。欲しくなれば奪う。邪魔なら殺す。簡単だろ?ヒヒヒヒ」
アンブレッド「ばいきんまん。お前だけは……お前だけは……絶対に許さない!!」
ばいきんまん「ぐふぐふ。もっと怒ってくれ。オレさまを楽しませるのだ」
ばいきんまん「そろそろゲーム開始だ。バタコは港の倉庫に、ジャムは森の小屋に居る」
ばいきんまん「どちらを生かし、どちらを殺すか、よ~く考えるんだな。バイバイキーン」プチッ
携帯「ツーツーツー」
アンブレッド「僕は……僕は……」
ドア ガチャ
アンブレッド「ジャムおじさん助けに来ました!!」
ジャムおじさん「何故だ。何で私の所へ来た!」
ジャムおじさん「バタコはバタコはどうなるんだ」
アンブレッド「まだこの町には、僕とジャムおじさんが必要なんです……」
アンブレッド「そのためにバタコさんを見捨ててしまった」
ジャムおじさん「そんな。そんな。バタコはアンブレのことを」
アンブレッド「ジャムおじさん、早く安全なところに逃げましょう」
携帯「プルルル プルルル」ピッ
アンブレッド「ばいきんまん!!」
ばいきんまん「ぐふぐふ。ハァッハッハッハァ~ヒヒヒヒ」
ばいきんまん「ハ~ヒフ~ヘホ~!!」
アンブレッド「何が可笑しい!」
ばいきんまん「アンブレッド、オレさまの勝ちだ」
アンブレッド「なぜだ!!」
ばいきんまん「お前ならジャムを助けると思ってたぞ。町のヒーローだからなぐふふ」
ばいきんまん「初めからそこには何の仕掛けもない。のんびりくつろいでくれヒヒヒ」
アンブレッド「僕の負けなのか」
ばいきんまん「ああ、お前の負けだ。オレさまはバタコと一緒に居るフフフ」
アンブレッド「頼むバタコさんを解放してくれ」
ばいきんまん「それはルール違反だ。助かるのは一人だぞ。バタコには罰ゲームを受けてもらう」
ばいきんまん「だがオレさまだって鬼じゃない。お前との今後の付き合いもあるしな。最期の会話をさせてやる」
バタコさん「アンブレ!」
アンブレッド「バタコさんごめん」
バタコさん「アンブレいいのよ。あなたは正しい選択をしたわ」
アンブレッド「僕が君を殺したも同然だ。僕は君の事を愛しているのに」
バタコさん「知っているわ。私だってあなたの事を」
ばいきんまん「話が長いぞ。罰ゲーム開始~」チャキ
パーーーーン ドサッ
アンブレ「バタコさーーーん!!」
バタコさん「ア、アンブレ、この町の人たちを……守って」
ばいきんまん「しぶといぞ」パン パン パン
アンブレッド「バタコさん!バタコさん!」
携帯「ツーツーツー」
ばいきんまん「ハ~ヒフ~ヘホ~」
アンブレッド「僕はお前を許さない」
ばいきんまん「許さなくて結構。お前が居るからイタズラのやりがいがあるぐふふ」
アンブレッド「僕が居るから……」
ばいきんまん「その通り。お前が居るからオレさまが居る。光と影みたいなものだ」
ばいきんまん「お互いもっとも深い欲望に従っている。似たもの同士さヒヒヒヒ」
アンブレッド「違う!!」
ばいきんまん「いいや同じだ。違うのは欲望の方向だけだ」
アンブレッド「そうだとしても僕は人々を救い続ける」
ばいきんまん「それならオレさまはイタズラを続ける」
ばいきんまん「オレさまとお前は長い付き合いになりそうだ」
ばいきんまん「そうだ。お前にあだ名を付けてやるぞ」
ばいきんまん「オレさまがばいきんまんで、お前はあんぱんだから……」
ばいきんまん「アンパンマンだ」
アンブレッド「アンパンマン……」
ばいきんまん「アンパンマンとばいきんまん。どうだ?良い呼び名だろヒヒヒ」
ばいきんまん「お前は最高の遊び相手だ。また遊ぼうぜアンパンマン」
ばいきんまん「バイバイキーン!!」プチッ
ジャムおじさん「アンブレ、ばいきんまんには罪の意識などない。捕まえたところで…」
アンブレッド「それでも僕は、ばいきんまんと戦い続けます」
アンブレッド「助けを呼ぶ人が居る限り」
アンパンマンとばいきんまんの永きに渡る戦いが始まった
ばいきんまんが現れる時、人々は助けを呼ぶ
「助けてーーアンパンマーーーーン」
Fin
この作品を故やなせたかし氏に捧ぐ
以上で終わりです
小さい頃アンパンマンが大好きでアンパンマンごっこをしていました
読んでくれてありがとうございます
このSSまとめへのコメント
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