跡部「聖杯戦争?」 (195)

凛「そうよ。あんたはわたしのサーヴァント。これから勝ち抜くために、わたしの指示には絶対に従ってもらうわ」



跡部「あーん?」



凛「な、なによ」



跡部「小娘の指図を受けるのは性に合わないと思っただけだ。ま、一応聞いてはやるが」



凛「な、生意気ねぇアンタ。だいたい小娘って!アンタさっき自分で中3って言ってたじゃない。わたしのほうが年上よ」



跡部「年の問題じゃねーよ。まったく、手塚と試合してたら、いきなり訳の分からない所に飛ばされて、聖杯戦争とか言われてこっちは迷惑してんだ」



跡部「ま、元の世界に戻る方法がわからないんじゃ、その聖杯戦争とやらに参加するしかやることがないから、仕方なく協力してやる。俺様に感謝しな」




凛(む、むかつくー!!)





跡部「テニスだろうが、聖杯戦争だろうが…勝つのは」パチン






跡部「俺様だ」




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跡部召還から翌日



凛(アーチャーのサーヴァント。真名跡部景悟か。聞いたことない名前だし、本人は英霊じやないって言ってるし。初日からわからないとこだらけじゃないのよぅ!)


跡部「おい、小娘。早く朝食を出しな。俺様は空腹だ」




凛「なんでわたしがサーヴァントのご飯を作るのよ!?だいたいわたしは朝は食べない派だし、そもそもサーヴァントが食事なんて…」


パチーン


跡部「俺様に戦ってほしいんだろ?だったら早くしな」




凛「むむむ…」



凛(ーー結局わたしは、跡部と自分の分の食事を作った)




跡部「貧相な食事だが、味はまあまあじゃねーの」




凛「そ、そう?言い方は気に入らないけど」




跡部「んで、これから登校するんだろ?」




凛「そうよ。あなたにも霊体化してついてきてもらうから」



跡部「あーん?そんなことできるわけねーじゃねえか」



凛「さ、サーヴァントでしょ!?霊体化は常識で…」



跡部「できないものはできない」




凛「…はぁ。いいわよ、あなたは留守番で」



凛(前途多難だわ…)






更に数日たち、なんやかんやで夜の学校

シュウゥゥゥ


凛「これで、校舎にかけられた結界の起点はいくつか壊したけど…時間稼ぎね」 


跡部「……」


凛「アーチャー?どうしたの、珍しく黙り込んで」


跡部「おい、凛。気をつけろ」


凛「え?」


跡部「どこのどいつかしらねぇが、俺様の目はごまかせないぜ。出てきな!」


???「はっ、気付かれたか。優男かと思いきや、結構やるじゃねぇか」



パチパチ、とワザとらしく拍手をしながら、青いタイツの男が現れる。


ランサー「よぉ」


凛「サーヴァント!!」


ランサー「そっちの嬢ちゃんもいい面構えしてるな。コイツは楽しめそうだ」



槍を取り出すランサー。


凛「くっ!」ダッ


凛(相手は槍、ならランサーのサーヴァント!この狭い屋上じゃアーチャーは不利。せめて下の校庭に……!)



ランサー「おーおー飛び降りたか。サーヴァントも追っていきやがった」

ランサー「ま、楽しむとしよーかねっ!」ダッ

跡部「あーん?なかなか足が速いじゃねーの。もう周り込むとはな。神尾ぐらいか?」

凛「どうするのアーチャー、このまま接近戦でこられたら…」

跡部「安心しな、凛。俺様に任せておけ」


ランサー「言うじゃねぇか、ナルシスト野郎。なら、その実力、見せてみな!」バッ


跡部に向かってランサーが駆ける。


跡部「さぁ…俺様の美技に酔いな!!」




ガキィン!!




凛「あ、アーチャー!?」



ランサー「て、てめぇ」


跡部「遅いぜ」


凛「テニスの…ラケット!?それで、防いだって言うの!?」


ランサー「ふざけやがって!!」

ランサー「オラオラオラ!」バババッ

キィン!キィン!

凛「す、凄い…あのランサーのとんでもない早さの連続突きを、いとも簡単に防いでいる」


跡部「その槍より、手塚のサーブのほうが速いぜ!」



………




ランサー「く、これで…801合目…。野郎、すべて防ぎやがった」


跡部「あーん?終わりか?ようやく身体が温まってきたところだぜ」


ランサー「貴様…何者だ」


跡部「アーチャーとか呼ばれてるぜ」


ランサー「ぬかせ!ここまでの白兵戦をラケットでする弓兵なぞ聞いたこともない」


凛「あたりまえよね」

ランサー「いいだろう。てめぇの実力は認めようじゃねぇか。だが、そのツケ、その命で払ってもらうーーー!」


凛(ランサーの槍の魔力が膨れあがってる!?これは…!)


ランサー「行くぜ…」




ガサッ



ランサー「誰だ!」


士郎「!!」ビクッ


ダッダッダッ


ランサー「ちっ、勝負はお預けか」ヒュッ


跡部「あーん?アイツ、消えたぞ」


凛「目撃者を始末しに行ったんだわ!…ああもう、わたしのミスだ!アーチャー、追いかけて!」


跡部「あーん?仕方ねーな」ダッ



ーーーーーーーーーーーーーー



凛「エミヤクン、シンデル。イキカエラセナイト」


士郎「オウチカエロ」


ランサー「ヨオ、マサカ、イキテルトハナ」


ーーーーーーーーーーーー

凛「衛宮くんが心配だわ!行くわよアーチャー!」

跡部「はいはい」

衛宮邸前


タッタッタ


凛「衛宮君、無事だといいけどっ」





ピカー!!


凛「召還の光!?まさか…衛宮君がサーヴァントを…!?」



??「侵略すること火の如く!!」


ランサー「おわぁぁぁぁぁぁ!!」


跡部「ランサーが死んだ!…みたいじゃねーの」


凛「ランサーの魔力が消えた。そんな、まさか…」

ーーーーーーーーーーーー

衛宮邸土蔵


真田「ーー問おう。お前が俺のマスターか?」


士郎「誰このひと」

凛「衛宮くんに自分の状況を理解して貰うため協会へ行く」

士郎「助かる」

跡部「おい真田ぁ、なんでお前がここにいるんだ?」

真田「わからん。手塚と試合をしていたらいつの間にか、だ」


跡部「あーん?お前も手塚と試合中にかよ」


真田「手塚ファントムをやられた所までは記憶にあるんだが…」


跡部「お前もか?俺様もそうだぜ」


真田「なら原因は手塚ファントムということに……」


跡部「まさか、ボールだけじゃなく対戦相手までコートから追い出す技とは…」


真田「たまらん技だ」



ーーーーーーーー

協会

言峰「喜べ。君の願いはようやく叶う」


士郎「セイバー(真田)との契約を…」


1.破棄する

2.破棄しない


士郎「破棄で」


真田「キエェェェェェ!!たるんどる!!」

結局士郎は戦いを続けることにしました。


士郎(何故だろう…もの凄く損してる気がするぞ…。金髪の少女が何故か頭に浮かぶ…)


夜道


イリア「こんばんは、お兄ちゃん」


バーサーカー「■■■■■■■■!!!」



凛「そんな、あれは…バーサーカー!?なんて魔力…!!」


跡部「あーん?樺地のほうがパワーありそうだぜ」

真田「問題なさそうだが。どうする?マスター」

士郎「えっ?いやその、遠坂達とは協力したいかな」

真田「それがマスターの方針なら構わん。おい、跡部!」

跡部「だとさ、いーのかよ?凛」


凛「えっ!?え、衛宮君達となら、いいんじゃない?今はとにかく、バーサーカーを」


跡部「だそうだ。真田ぁ、お前とダブルス、組んでやるよ」



イリア「何を相談してるのか知らないけど、お兄ちゃん達はこれから死んじゃうんだから、意味ないよ。…さぁ、やりなさい、ヘラクレス」


バーサーカー「■■■■■■■■!!!!」

今日はこの辺で。また明日の夜書きます


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クラス:アーチャー
真名:跡部景吾


筋力 B 耐久 B 敏捷 B 魔力 E 幸運 A

宝具 ???



スキル


眼力 A
相手の弱点や視覚を見抜く能力。このランクまで極めると、骨までスケスケに見ることができる。


カリスマ B(EX)
百人以上の部員のトップに立ち、尚且つ俺様キャラで引かれないほどのカリスマ。
尚、括弧内の表記はある一定の相手へのカリスマ性。人気投票でぶっちぎりだったり、チョコの数がおかしいことになっているほどのカリスマ。

誤字脱字多くすいませんw
イリヤがイリアになってるのは素で気付かなかったw

さて、再開します

バーサーカー「■■■■■■!!!」


真田「動かざること山の如し!」


ガンッ!ガンッ!キィン!



イリヤ「嘘、バーサーカーの攻撃を…!」

凛「全部受け止めてる!?」

士郎「凄い…これがサーヴァントの戦い…」


バーサーカー「■■■■■■■■!!!」グォッ

真田「たるんどるっ!」ガキィン!



イリヤ「くっ…!何やってるのバーサーカー!そんなサーヴァント、早く蹴散らしなさい!」


バーサーカー「■■■■■■■■!!」ブォッ


真田「むっ…!」ゴォォ!

士郎「少しずつ押されてる…セイバー!」

凛「魔力よ…。どういう訳かしらないけど、衛宮君からセイバーへの魔力のパスが通ってない。このままじゃ、セイバーは…」

士郎「なんだって!クソッ!」ダッ



真田「来るなぁぁぁぁぁあ!!」ギロッ


士郎「うっ」ピタ


真田「まだ試合中だ!!」

凛「セイバーの言うとおりよ。サーヴァント同士の戦いに割りこめると思わないで」

士郎「…(まあ、戦ってるのが女の子ってわけじゃないから別にいいか)」

凛「そういえばアーチャーは?」


士郎「あそこだ!」


士郎の指差した先には、まるで舞台の上に立つかのように華々しく両手を広げた跡部。



跡部「ハァーッハッハッ!!」



……帝!……氷………帝!!


イリヤ「何よ…この声、いったいどこから…」


氷帝!!氷帝!!氷帝!!氷帝!! 


凛「これは確か…アーチャーのスキルの一つ…『幻聴声援』!!」

凛「自分の半径百メートル圏内に氷帝コールを響かせるという…」

士郎「役に立つのか?」

凛「さぁ…?」

勝つのは跡部!負けるのバーサーカー!


イリヤ「バ、バーサーカーは負けないんだから!」


勝つのは跡部!負けるの真田!




真田「おい」




勝つのは……!








パチンッ




跡部「俺だ」ドヤァ





凛「ねぇ士郎、あいつ殴ってもいい!?いいわよね!?」



士郎「遠坂、落ちつけ」




真田「もう、いいのか?」ボロボロ



跡部「あぁ、満足だ」


バーサーカー「■■■■■■!!!」

跡部「待たせたな」パチンッ

跡部「俺様の美技に酔いな」 


バーサーカー「■■■■■■!!」ブォッ


跡部「おっと」ヒュッ



ガガガガッ  ヒュッヒュッヒュッ!


士郎「バーサーカーの攻撃を全て避けてる」


凛「確かに、ランサーの時と違って受け止めるのは不利だけど…」


イリヤ「あ?ら?大口言ったわりには、何も出来ないみたいじゃないアーチャー」


跡部「アーン?抜かしてろ、メス猫」


イリヤ「!?…レディになんて下品な言葉を!もう!早く潰しなさいバーサーカーァァァァ!!」 


バーサーカー「■■■■■■■■!!」


跡部「悪いな、俺様の眼力で、キサマの動きは丸見えだ!」ダッ!!



バーサーカーの横をなぐ一閃に、跡部が跳躍する。



跡部「さあ」


跡部の手にラケットが現れる



跡部「踊りな」



バシュゥゥゥゥ!!


振りかぶったラケットから、黄色い閃光、いや、テニスボールが放たれる。


バチンッ!!


イリヤ「バーサーカーの剣が!?落とされた?」


閃光となったテニスボールはバーサーカーの斧剣を弾き、跡部の元に戻る


跡部「破滅への輪舞曲だ!!覚えておきな」


バーサーカー「■■■■■■!!!」


ドゴォォォン!!

イリヤ「そんな…バーサーカーが、一回殺されるなんて」 

跡部「俺様の前にロブを上げた、お前が悪いぜ」

イリヤ「くっ…バーサーカー!今すぐそいつを」

真田「侵略すること火の如く!!」


ドカァァァァァァン!!


イリヤ「セイバー!?」


真田「油断したな」

跡部「これはダブルスだぜ」


イリヤ「くっ、更にまた二回殺されるなんて……バーサーカー!!帰るわよ!」



ーーーーーーーーー

衛宮邸

凛「じゃ、衛宮君。学校で会ったら敵だから」



ーーーーーーーーーーーー
翌日

学校

凛「なんで来てるのよこのバカァァァァ」

士郎「遠坂とは戦いたくない」キリッ


ーーーーーーーーーーーー
ライダー奇襲後


凛「とりあえず学校にいるマスター見つけるまで休戦」

士郎「おk」



学校、結界起動後にて



士郎「来てくれ……いや、来い!!セイバー!!!」


パリーン!!



真田「無事か、マスター!」


士郎「俺のことはいい。それより、結界を止めるんだ」

真田「うむ、わかった。指示を」

士郎「ライダーを倒せ。俺は慎二を叩く」

真田「了解した」ザッ


ギィン!!

ライダー「くっ!」

真田「中々のすばしっこさだが…たるんどる!」

慎二「くそっ!何押されてるんだよライダー!」

士郎「おりゃあっ」スパーン!


慎二「うぎゃあ!!」


士郎「降参しろ、慎二」


慎二「くっ…なんだよそのラケット!いつからテニス部に入ったわけ!?」

士郎「セイバーが特訓してくれたんだ。それでも戦いに使えるほど会得はしてないけど、ラケットとボールを強化して威力を補ってる」

慎二「衛宮ぁ!!」

ガシッ

士郎「結界を止めろ、慎二」クビシメー

ギリリ……

慎二「くっ…誰が…」


士郎「俺は本気だ」グッ



慎二「あがが…」


士郎「慎二!!」


慎二「くそっ…ライダー!!ブラッドフォートを止めろぉぉぉぉ!!」


ライダー「…」


シュゥゥゥ


慎二「ちくしょう!このままで済むと思うなよ!!ライダー!」


ライダー「」クビグサー


士郎「自分の首を刺した!?」


真田「いかん!避けろマスター!」


ドカァァァァァァァアン!!!!


士郎「ぐっ…すまないセイバー、助かった」


真田「礼には及ばん」


士郎「今の光…あれが、宝具ってやつか…?」


真田「今回は逃げるために使ったようだな。次、会った時決着をつけるぞ、マスター」


士郎「ああ。どのみち今の慎二を放ってはおけない。今夜からでも探しに行くぞ」

ビル屋上にて


士郎「あれは…ペガサス!?」


真田「あれが、ライダーの宝具か」



ライダー「消えなさい」ペガサスバサー


士郎「くそっ、あの威力…受け止めても屋上ごと消し飛ぶぞ!」


真田「…!!」ゴォッ!!

BGM 約束された勝利の剣

士郎「セイバー!?宝具を使う気か!?無茶だ!魔翌力が…」




ーーセイバーの身体に雷が迸る。
その溢れでる魔翌力は、ライダーの宝具に劣らずーーー
ラケットのに集まる魔翌力は、その一振りで今にも空を割くかのごとく鋭い光を放っている。


ーーそれが、真田弦一郎の宝具。
雷に匹敵するスピードで、尚かつ相手のガットすらゆうに貫き返球不可能とすら言われたその名はーー!!



真田「ーー動くこと雷霆の如し!!!」


セイバーの真名解放で、その光は放たれた。

ドカァァァァァァァアン!!!!



ライダー「」シュゥゥゥ 


真田「ぐっ…やったか…」バタリ




士郎「セイバー!!」



真田「すまない、マスター…」


士郎「セイバー…もうしゃべるな!早く帰って、家で安静にしてよう!」ガバッ


抱き上げた身体は、その筋肉と裏腹に嘘みたいに軽かった。
魔翌力が枯渇しているせいだろうか。


士郎(あれ…なんだか、やっぱり何か損してる気がするぞ…?)


士郎「いやいや、じゃなくて!!早く連れて帰ろう!」




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


衛宮邸


凛「セイバーを救いたかったら人を襲わせなさい」

士郎「それはできない」


跡部(こんな老け顔が人を襲ってたら即通報もんだな)



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


公園


イリヤ「士郎get!!」


士郎「」タスケテー



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

衛宮邸


凛「あのバカ救出に行くわよ」

跡部「なるほど、SUNDAYじゃねーの」

真田「ぐっ…マスター…」フラフラ

ーー次回予告ーー


凛「セイバーを抱きなさい」


士郎「?ファッ!?」










真田「ーーお前が、俺の鞘だったのだな♂」


士郎「」アッー








真田「わからぬか、下郎。そんなものより、俺は士郎が欲しいと言っている!!」


士郎「」


言峰「ほぉ…♂」










真田「士郎。お前を愛しているーーー」




士郎「」






次回乞うご期待!!(嘘)




士郎「くっ、ここは…?」

イリヤ「気がついたみたいね、お兄ちゃん」

士郎「イリヤ……?」

イリヤ「お兄ちゃんが初めてなんだよ、わたしの部屋に入ったお客さんは」


士郎「客って…普通、客は椅子に縛り付けるものじゃないぞ」

イリヤ「…ねぇ、シロウ」

士郎「?」

イリヤ「シロウのセイバーはもう消滅寸前。リンのアーチャーだけじゃわたしのバーサーカーにはかなわない」

士郎「そんなの、わからないだろ」

イリヤ「わかるよ。なによりーー」

イリヤ「わたしがその気になれば、シロウは今すぐにでも殺せる」

士郎「………」

イリヤ「でもね、シロウ。死にたくないのなら」

士郎「?」

イリヤ「わたしのモノになりなさい。わたしの、サーヴァントに」

士郎「!!」

イリヤ「そうしたら、シロウは殺さないでいてあげる」

士郎「俺は…俺にはセイバーが」


イリヤ「セイバーは助からないわ。それに、あんな老け顔のオッサンのどこがいいの?」

士郎「確かに」

士郎(やっぱり何か損してる気がするしなぁ…)

士郎「俺は…」

士郎(くそ!何故悩んでる!あぁ、もしセイバーが金髪美少女とかだったら即決断できた
のに!!)

イリヤ「……っ!!」スッ

士郎「イリヤ?」

イリヤ「ネズミが入ったみたい。行ってくるから、シロウは大人しくそこにいなさい」

士郎「それって…まさか遠坂達か!?」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

凛「この城か。広いから、探すのに骨が折れそうね」

跡部「アーン?俺様の別荘のほうがデカいぜ」

士郎「イリヤは遠坂達の所に向かった…くそっ、俺も早く脱出して行かないと!!」

タッタッタ

士郎「ん?…足音。こっちに向かってきてる」

タッタッタッ

士郎「マズい、まだ縄が……よし、ほどけた!!」

俺が自由になろうと、とるに足らないと言うことだろう。そこまで厳重に縛られていたわけではなかったので、わりとすんなりそれは解けた。


士郎「来るなら、来いってんだ…」


こんな大きな城にイリヤ1人が住んでるはずもない。
足音は、イリヤの仲間のものだろう。イリヤが離れた今、見張りか何かは知らないが。
少々手荒だが、せっかく自由になれたこのチャンス、無碍にすることは出来ないーーー



士郎「…………」


もうすぐ開かれるであろうその扉の目の前で、先ほどのイスを振り上げ待ち構える。


バタンッ


来た!!!



真田「キエェェェェェ!!無事かマスタァァァァ!!!!」

士郎「うぉぉぉぉぉぉお!!!………おぉ?」


あれ?


凛「あんたらねぇ…遊んでる場合じゃないのよ」


バンザイの格好でイスを持ち上げたまま硬直する士郎と、同じくバンザイの格好でラケットを振り上げたまま硬直する真田を見て、凛が呆れたように溜め息をついた。

士郎「セイバー!お前、身体は」

跡部「俺様達だけで行くって言ったんだけどな。そのバカ、自分も行くって聞かなかったんだよ」

真田「無事でなによりだ…」ガクッ

士郎「セイバー!」

凛「無理もないわ、とっくに限界だもの、そいつ」

士郎「遠坂、そういえばお前、イリヤは…」

凛「森への潜入は結界で悟られたのでしょうけど、完璧に位置を捉えられてるわけじゃないわ。見つからないように来たに決まってるじゃない」

士郎「なるほど」

跡部「無駄話は後だぜ、凛。さっさっと行こうじゃねーの」

凛「そうね、ここまで来たら見つかるのは時間の問題。士郎はセイバーを抱えて。早く脱出するわよ」

士郎「了解、っと」

セイバーを背負う士郎。

真田「すまない、マスター」

士郎「謝るのはこっちだ」

真田「?」

みすみす捕まったのもそうだけど。
こんなよろよろの身体で、ここまで来てくれたんだ。先ほどの迷いは、セイバーの気持ちを裏切っていたと同じだろう。

士郎「セイバー、これからもよろしく、な」

真田「ふ…何を今さら」

凛「」ゾクッ

跡部「アーン?どうした、凛」

凛「いや…何だか士郎が変な道に行きそうな予感がして…」

跡部「?」

ーーー大広間ーーー


凛「よし、後はあそこから出るだけよ!」

士郎「最短ルートだからって、普通正面玄関突っ切るか?普通」

凛「うっさいわね!どうせもうバレてるんだから、同じことーー」


ピタリ。
言いかけた遠坂の言葉と、足が止まる。


イリヤ「ーーーへぇ。バレてるってわかってるなら、逃げられないっていうのもわかってるのよね、リン」


士郎「イリヤーーー」

凛「ち、やっぱりダメか」


背後には、不敵に笑うイリヤとーーー主の命令を待つ、バーサーカーがそびえ立っていた。


イリヤ「残念ね、シロウ。逃げたりしなきゃ、シロウだけは殺さないでいてあげたのに」


士郎「俺は…セイバーのマスターだ」

真田「マスター…」

イリヤ「ーーーそう。いいわ、全員殺しなさいバーサーカー」

バーサーカー「■■■■■■■■■■!!」

凛「マズい…」

跡部「しょうがねぇな」スタスタ

凛「アーチャー?」

跡部「俺様が時間を稼いでやる。お前らはさっさと逃げな」

凛「アンタ…」

真田「ぬぅ、跡部…そんなことは」


凛「わかった。…任せたわよ、アーチャー」


士郎「遠坂!?」


凛「理解しなさい。これが、この場を切り抜ける最善よ」

真田「跡部…」

跡部「バァカ、なにそんな目で見てやがんだよ。ーーー俺様が、手塚以外の奴にやられるわけねーだろ」

真田「ふっ…そうだな」

士郎「すまない、アーチャー」タッタッタッ

凛「死んだら許さないんだからねっ」タッタッタッ



イリヤ「ーーーもういいのかしら?」

跡部「ああ、待たせたな」


パチンッ


跡部「ーーー俺様の美技に酔いな!!」


ヒュッ!ガッ!バシュゥッ!!ガシャーン!!


跡部「ーーーくっ!!」

バーサーカー「■■■■■■■■!!」


大広間で繰り広げられる激しい戦い。
嵐のようなバーサーカーの攻撃を受け流す跡部だが、その実、少しずつ追い詰められていた。


イリヤ「あら、バーサーカーに手も足も出ないようね、アーチャー」


跡部「ちっ!」バッ


大きく後退する跡部。


跡部「くそ、こっちの攻撃がまるで効いちゃいねーじゃねーの」


イリヤ「それがバーサーカーの持つ宝具、十二の試練よ。Aランク以上の攻撃以外は全て無効。くわえて、例えAランク以上でも、一度受けた攻撃は二度と効かない」

跡部「アーン?そんなのアリかよ。どうりで、破滅へのロンドが効かないわけだぜ」


イリヤ「それに、バーサーカーは十二回殺さない限り消滅することはない。前にあなた達にやられた分を差し引いても、あと十回殺さなきゃわたしのバーサーカーは負けないわ」


跡部「なるほど、10セットマッチってことね。骨が折れるぜ」


イリヤ「知った所でどうにもならないわ。さぁ、早く殺しちゃえ!バーサーカー!!」


バーサーカー「■■■■■■■■■■!!」ブオッ!!


跡部「!!」



ドカァァァァァン!!






ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



凛「うっ?」ズキン

士郎「どうした遠坂?」

凛「…なんでもないわ」

凛(令呪が痛む…マズいわね。アーチャーのやつ……時間稼ぎができたらそれでいい、ちゃんと逃げてくれればいいけど)

真田「うぐっ…」

士郎「大丈夫かセイバー!!」

真田「マスター…降ろしてくれ。これ以上足手まといになるわけには…!!」

士郎「バカ言え、そんなフラフラな状態で走られるより、俺が背負ってたほうが早いだろ」


凛(…でも、あいつの性格からして退くってのはなさそうね。もう、無事でいないと承知しないんだから!!)


士郎「ーーーなぁ、遠坂!このまま森を抜けるつもりか?」

凛「このペースじゃ無理ね。それよりも、来る途中に廃屋を見つけたから、そこで夜が明けるまで隠れてましょ。…アーチャーも、きっとそれまで時間を稼いでくれるはずだから」


士郎「わかった」



凛「アーチャー…!!」グッ





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




跡部「ーーーーーーはぁ…はぁ…」


イリヤ「やるじゃないアーチャー。この一時間、希望もないのにバーサーカーの攻撃に耐えきるなんて」

跡部「…はっ、持久力戦は俺様の得意分野なんでね」

イリヤ「驚いた。まだ減らず口を言う余裕があるなんてね」

跡部「…アーン?そっちこそ、こんなに時間をかけても俺様一人倒せねぇじゃねーか。スピード落ちたんじゃねーの?」ニヤリ

イリヤ「あら、それは失礼。まだ遊んでるだけよ?シロウもリンも、まだ森からは出ていない。結界でわかるわ。森の中なら、いつでも殺せるもの。生意気な下級サーヴァントをいたぶる時間なんて、いくらでもあるわ」クスクス

跡部「チッ…」


跡部の額に汗が浮かぶ。
ーーー跡部は、どうやったってバーサーカーには叶わない。
それは力の差ではなく、ただただ、相性とバーサーカーの宝具のせいだ。
跡部の戦いは、眼力(インサイト)による死角をついた攻撃。
無論彼の宝具もそういうモノだが、命のストックがあり、同じ攻撃が効かないバーサーカー最悪とも言っていい相性だ。
無論Aランク相当のダメージを与える攻撃も破滅へのロンド然り、ないわけではないが、それでも彼には手数が足りない。



ーーーゆえに、跡部の敗北はすでにここで決定しているーーー



跡部「…ふん」ニヤリ


しかし、跡部は笑った。
それは先ほどの強がりの笑いではなく。



跡部「おもしれーじゃねーの。ははっ」




跡部「ハァーハッハッ!!!!」



テニスの時と同じ、強者との戦いによる高揚感の笑いだった。


イリヤ「な、なにがおかしいのよ!まさかアーチャー、バーサーカーに勝つ気?無理よ、わたしのバーサーカーは最強だもの」


跡部「最強?は、俺様の見たてじゃ、その宝具とやらも石田銀の波動球でブチ破れそうだかな」


イリヤ「は、はどーきゅー?」

跡部「つまり、だ」パチンッ






跡部「ーーーそんなやつに、負けてられねーな。俺様は、氷帝学園テニス部部長、跡部景吾だーーー!!!!!!」



たとえ天敵のような、最悪の相性でも。
自分を慕う部員達のためにも、跡部はバーサーカーに向かっていくーーー!!!




バーサーカー「■■■■■■■■■■■!!」

跡部「HAAAAAAAAA!!」


跡部がボールを高く放る

跡部「タンホイザーサーブ!!」バシューゥゥ!!

バーサーカー「■■■■■■■■!!」

ドギャァァァァ!!

地を這うボールは、バーサーカーの足下に直撃した後、凄まじいスピンで身体を削り飛ばしながら頭部目掛けて駆け上がる


ガガガガガ!!


ズドォォォォォォン!!


イリヤ「バーサーカー!!」

バーサーカーの頭が吹き飛ばされる。
無論、それはすぐに再生されるのだが…勝ちを確信しきっていたイリヤにとって屈辱以外ものではなかった。

跡部「あと、9セットだ」

イリヤ「くっ…そんなボロボロの身体で、なんで…」

跡部「知らねーのか、お嬢ちゃん?日本にはな、窮鼠猫を噛むとか、イタチの最後っぺとか色々な言葉があるんだよ」


イリヤ「…っ!知るわけないじゃない、そんなのっ」

跡部「この状況は、うちの部員の好きな言葉で言うと…『下克上』ってとこか?いや、それは格下が言う言葉だから違うな」ニヤッ


イリヤ「そっちこそ、そんな余裕なんてみせたら…」


バーサーカー「■■■■■■■■■!!」ダッ


イリヤ「殺しなさい!!」


再生が終わり、突進するバーサーカー。
その速さは、一息の内に距離を詰めーーー


跡部「ほぅら、凍れ」パチンッ


ズドドドドド!!

跡部を分断しようと振り上げられた斧剣が止まる。
バーサーカーは、突如降り注いだ氷塊に身を貫かれていた。


跡部「そこがお前の死角だ」パーン!!

刹那、瞬間的に放たれた跡部の打球が全ての氷塊を砕く。
この氷による効果は2つ。
Aランク相当である氷によるダメージと、そこへ打ち込まれた攻撃のダメージ倍化効果。
氷+死角への攻撃。その名はーーー!!

跡部「氷の世界」キリッ


イリヤ「うそ、バーサーカーがまた殺されるんなんてーーー」

跡部「さあ、あと8セットだ」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
廃屋



士郎「はぁ、はぁ…なんとか、着いたな」


凛「そうね」


士郎「それで、これからどうするんだ?遠坂のことだから、何か手があるんだろ?」

凛「あるには、あるわ」

士郎「だったら早く教えてくれ!セイバーは限界だ、こうしてるうちにも、消滅してしまうかもしれないーー!!」

凛「バーサーカーを倒すには、やっぱりセイバーに戦ってもらうしかない。魔力を、補充してね」


士郎「でも、俺はセイバーに人を襲わせるなんてーーー」

凛「わかってるわよ。それに、こんな森の中で今更人を襲うとか無理でしょ」

士郎「じゃあ、どうやって」

凛「あまり言いたくない方法なんだけど…ずいぶん信頼関係もできているみたいだし…」

士郎「?」

凛「その…だから…」

真田「マスターを守れるなら、なんでもする…だから、早く教えてくれ…」

凛「……」

士郎「遠坂!」

凛「ああ、もう!言うわよ!つまり!」

士郎「つまり?」

凛「セイバーを抱きなさい!!」







士郎、真田「「ーーーーーーはぁ??」」

レアルタ方式じゃないんですかー!

凛「だから、士郎のペ○スをセイバーのア○ルにぶち込んで精○をドバッと中にぶちまけなさいって言ってんの!!!」カー/////


士郎「」

真田「」


凛「それで一晩休めばセイバーの魔力も戻るわ!どう!?やるの!?てかやらないとどのみち死ぬんだからやりなさい!!」


士郎「やるかぁぁぁ!!」


初めてがまさかの男とかふざけんなーー!!


真田「その、マスター…」

士郎「安心しろセイバー。このあかいあくまの企みは俺が絶対阻止する……って?」

セイバーが恥じらう乙女のように顔を真っ赤にしている。
嫌な予感。

真田「その、マスターが良いと言うなら…お、俺も覚悟を決める…だから、良いぞ?////」

ーーー的中ぅぅぅぅぅぅぅ!!!!
なんでそんな老け顔で恥じらってるんだ!!
てか、帽子で目元隠して照れる仕草してるし!!
 
凛「…衛宮くん。サーヴァントもこう言ってることだし」フッ

苗字呼びするほどドン引きしてやがるこの言い出しっぺーーー!!!
そして諦めたように遠い目をするんじゃねぇぇぇぇ!!


真田「あのっ////マスター…いや、士郎///その、初めてだから…優しく、してくれよ////」


こっちは名前呼びになったぁぁぁぁぁ!?
女の子に言われたら天国に行けそうな言葉もこれじゃ地獄へ直通新幹線んんん!?
ああダメだ、もう思わないようにしてたのに限界!!
やっぱり俺何か損してるぅぅぅぅぅぅう!!!!


士郎「」

凛「今にも気絶しそうね」

あったりまえだバカ!!!!
これなら身体の中の剣に貫かれたり、英霊の腕でもくっつけられたほうが幾倍もマシだってのーーー!!!


凛「ま、士郎をからかうのはこれくらいにして。わたしもムサい男同士の絡みなんか見たくないから、PS2版の方法にしましょうか」ニコッ





>>62
莠育衍縺輔l縺毆ww

>>62
莠育衍縺輔l縺毆www

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
跡部「ーーーはぁ、はぁ……うぐっ…」

イリヤ「ふ、ふんっ。流石にもう限界のようね、アーチャー」

片膝をつき、ラケットで身体を支える跡部。
氷の世界による攻撃も、バーサーカーの十二の試練により耐性をつけられ通じなくなった。
残り、八回。
それだけの命のストックを残しているバーサーカーを打倒するのは不可能で、時間稼ぎに徹しても嵐のような斬撃によって追い詰められてしまう。

もはや、跡部の消滅も時間の問題だった。


跡部「ちっ…」

ボロボロの身体で、なんとか立ち上がる跡部。

イリヤ「あら、得意の減らず口も、もう打ち止め?今度こそ限界のようね、アーチャー」

跡部「……………」

沈黙を通す跡部。
…実を言うと、跡部が生き残ることはそう難しくない。
凛達が退却してすぐに、彼女から「絶対に生き残れ」と令呪での命令が下っていた。
だから令呪によるブーストで逃げるだけの力は残っている。
だから、跡部はここで退けば確実に生き残れる。が、それをしない理由が彼にはあった。

ーーー俺様がここで退いたとしても、森で隠れているであろう凛達を見つけられたらそこで終わりだ。

きっと今頃、凛は真田の魔力を回復させている最中だろう。自分がここで出来る限り時間を稼ぎ、バーサーカーにダメージを与えて後の真田に繋げればきっと勝機が生まれる。

だから。


跡部「…ふん」

イリヤ「諦めはついた?アーチャー」

跡部「あぁ。そうだな」


これ以上の戦闘の継続は終わりを意味する。令呪のブーストでもう少し持つとしても、結果は同じ。…ならば。

跡部「足掻いてやろうじゃねーの。なぁ?」


BGM:エミヤ

決意した跡部の魔力が、高まっていく。


跡部(真田。シングルス1は任せたぜ)


パチンッ!!

いつものように指を鳴らし、その手のひらを顔にあてがう。
指の隙間から覗く跡部の瞳は、全てを見透かすように妖しく光る。

フワ…フワ…


イリヤ「…雪?まさか、お城の中で…」

跡部「さあ、最後まで俺様と踊ってもらうぜ!!」


ーーーそれが、跡部の宝具。
究極まで極めた眼力により、骨までスケスケに見えるレントゲン要らずのその名はーーー

跡部「 跡 部 王 国 ! !」

イリヤ「くっ…行きなさい!!バーサーカー!!」

バーサーカー「■■■■■■■■■■!!!」

跡部「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

ーーーサーヴァント同士の激しい衝突音が、森を震わせたー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
廃屋


凛「さて、これでOK、と」

士郎「……」

真田「……」

廃屋のベッドに、上半身を晒した士郎と真田が横たわっている。
2人の意識はない。お互いの精神の中に入っているからだ。これは士郎の魔術回路を真田に移植し、魔力のパスを通すための処置である。
極力、素肌が触れ合っているほうが成功しやすいのだが…

凛「なんというか…見苦しい」

見た目半裸で筋肉質の男2人が身体を寄せて眠っているの図。
凛にそっちの趣味はないので、なんとも目を逸らしたくなる光景だ。

凛「あとはコイツら次第ね」

自分に出来ることはした。後はもう、どうにでもなれ、だ。

凛「っ!」ズキッ

ーーー腕、いや、令呪が痛む。

凛「…ばか。生き残れって言ったのに、無茶して」ギュッ

痛む令呪を抑える。
天井を仰ぎ、ただ自分のサーヴァントの無事を祈った。



ーーーここは、どこだ?


真田『たるんどる!!もう終わりか赤也!!』

切原『さ、真田副部長…もう無理ッス…』

柳『いや。赤也の体力なら、あと3セットと1ゲームまでは動けるはずだ』

切原『無理ッスよ!真田副部長の風林火山受けてもうボロボロなんですから!!』

真田「赤也。俺達のいなくなった立海を背負っていくんだぞ!まだまだ根性がたりん!早く構えんかぁぁぁぁあ!!」



ーーーこれは、セイバーの記憶…?


真田『幸村ぁ!俺達は、無敗でお前を待つ!!』


ーーーセイバーの歩んできた道が、俺の中に流れてくるーーー


越前『俺の勝ち…だね…』ドサッ

真田『くっ………!!』



手塚『はぁぁぁ!!』パコーン!

真田『向こうへ入らんかぁぁぁぁ!!』キアイパワー



ーーーセイバーの見てきた戦い、勝利、敗北。約束、決意、努力。
これがセイバー…真田弦一郎の、進んできた日々ーーー
最強の立場に決して慢心せず、自分を磨き、痛みつけ、勝利を勝ちとってーーー



士郎「セイバー」


ーーー憧れた。
正義の味方以外のものに、初めて。


士郎「もう一度、俺と共に戦おう」

手を伸ばす。それは、眩しい光に呑まれて行きーーー


士郎「…ん」

真田「士郎」

士郎「セイバー。身体は、大丈夫なのか?」

真田「ああ。魔力が満ちている」

士郎「成功、したんだな。良かった」

凛「うん、問題なくパスは通ってるみたいじゃない。これなら行けそう」

士郎「戦えそうか、セイバー?」

真田「問題ない」

凛「と言っても、士郎の魔力供給量じゃ一晩でサーヴァントの魔力をフルで回復させるのは無理よ。今のセイバーじゃ、宝具を使うほどの余裕はなさそうね」

真田「しかし、戦えればいくらでもやりようはある。何か策は?」

凛「もちろんあるわよ」ジャラ

士郎「それ、宝石か?」

凛「そう。セイバーがバーサーカーの注意をひいてる隙にコレをぶち込むの。宝具による大技がない今、勝機が見えるのはこの方法しかない」

真田「倒しきれるのか?」

凛「これで倒せないようなら、それまでね。でも、アーチャーが与えたダメージだってあるわけだし、そこまで可能性が低いわけじゃない」

士郎「…遠坂。アーチャーは…?」

凛「……」

首を横に振る凛。

真田「跡部…」

士郎「……くっ!!」

凛「行くわよ。アーチャーが作ってくれたチャンスだもの。絶対に無駄にしない」

士郎「…ああ」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
イリヤ「ーーーなんなだったの、あのサーヴァント。バーサーカーが、あれから更に三回も殺されるなんて」

夜が明けるまで粘り続けたサーヴァントは、バーサーカーの命のストックを残り五つまで減らし、ようやく力尽きた。

イリヤ「まだシロウとリンな森の中にいる。何のつもりか知らないけど、絶対殺してやるんだから」

バーサーカー「…………」

イリヤ「行くわよバーサーカー!」

バーサーカー「■■■■■■■■■!!」





凛「勝機はひとつ、待ち伏せよ」

士郎「そんなにうまくいくのか?」 

凛「セイバーが陽動で、わたしが木の影からスキをみて攻撃をする。どう?」

真田「単純ながら、最善の作戦だな。異論はない」

士郎「俺は援護だな」

凛「無理はしないでよ。士郎の攻撃なんてバーサーカーにとっては蚊以下なんだから、生き残るのを優先しなさい」

士郎「その通りなんだけど、なんかショックだな」

真田「うむ、無茶はするなよ。自分の身体を盾にしてサーヴァントを庇いそうなくらいのコトはしそうだ、お前は」

士郎(サーヴァントが金髪美少女とかだったらするかも)

凛「よし、作戦開始よ!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
凛「バーサーカーが来たわ!」

士郎「セイバー!」

真田「ああ!キエェェェェイ!!」カゼノゴトクー

バシューン!

バーサーカー「■■■■■■■■■■!!」

イリヤ「っ!不意打ちとはやってくれるじゃない」

士郎「援護するぞセイバー」パコーン

イリヤ「あはは、シロウまでそんなヘンテコな攻撃するの?そんなんじゃバーサーカーの視線すら奪えないよ」

真田「はぁぁぁ!!」

バーサーカー「■■■■■■■■!!」

ズガッ!バキッ!ドーン!

イリヤ「セイバーも、戦いにはなっているけど、それまでね。いつまでもつのかしら?」

士郎「くっ」

イリヤ「ん?そういえばリンが見当たらなーー」

凛「はぁぁぁぁぁぁ!」

イリヤ「なっ!?上!?」

バーサーカー「■■■■■■■■!!」ガシッ

凛「うっ!!」

士郎「遠坂!!」

バーサーカーに空中で掴まれ捕らえられる遠坂。

凛「…これで、いいのよ…っ」ジャラッ

士郎「宝石!」

イリヤ「なっ!?」

凛「くらえぇぇぇぇ!!」

ドォォォォォォン!!!!

士郎「バーサーカーの頭を吹き飛ばした!」

真田「たまらん技だ!」 

凛「よし、作戦通り……っ?」

バーサーカー「…………」ギリギリ

凛「かはっ……!なん、で……?」

士郎「遠坂!!」

イリヤ「サーヴァントでもないのに、バーサーカーを一回殺すなんて、流石ねリン。でもあいにく、バーサーカーは一回殺したぐらいじゃ死なないのよ」

ギリギリ…ッ

凛「ーーか………はぁっ……!」

士郎「遠坂ぁぁぁぁ!!」ダッ

真田「待て、士郎!!」

士郎「ーー同調、開始。はぁぁぁ!」パコーン

ボールにありったけの強化をかけて打つ。

が。

士郎「そんな、効いてない…?」 

イリヤ「ーー呆れた。そんなのでバーサーカーに挑むなんて」

真田「士郎ぉぉぉ!」

駆ける真田。しかし、もう間に合わない。

イリヤ「もういいわ。殺しなさい、ヘラクレス」

バーサーカー「■■■■■■■■!!」ブオッ!



次   の  瞬間


グシャァッ!!


世    界     が


  ま    っ      か


    に


染まっ      て






ーーDEAD ENDーー


ーータイガー道場ーー

タイガ「ーーおぉ、士郎よ。ついに死んでしまったのね」

イリヤ「オッス!ぐちゃぐちゃのミンチになったッス!!」

パシィーン!!

タイガ「そんな報告はせんでいい!」

イリヤ「はぁい」涙目

タイガ「さぁて弟子1号!!今回の死因はズバリ!?」

イリヤ「…投影もできないのにバーサーカーに挑んだことだと思いまーす」

タイガ「正解だ悪魔っ娘!!えー、どうやら今回の聖杯戦争は、毛色が違うみたいね」

イリヤ「セイバーとアーチャー、なにあれ?見たことないわ」

タイガ「それによって士郎は元々のアーチャーから投影についてのアドバイスも貰えなかったし、カリバーンも投影できないし、アヴァロンの治癒能力もないってことね!」

イリヤ「ししょー!それ色々詰んでると思いまっす!!」

タイガ「私も同感だ弟子1号。よって、ここで士郎に嬉しい救済措置?♪」

イリヤ「わーお♪」

タイガ「とりあえず投影は解禁ね。それならそのうち固有結界も使えるようになるでしょ」

イリヤ「でもししょー、それでも結局カリバーンは使えないんでしょ?」

タイガ「パートナーが変わったからこそ、できることもある。魔力のパス通した時に記憶やら何やら見てるはずだしねー」

イリヤ「なるほど」

タイガ「さぁ、行くのだ士郎!新たな力を引っさげて、こんな序盤の戦いさっさと切り抜けるのよ!!」

イリヤ「ばいば?い♪」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

乙波動球が使えれば108回くらいは殺せると思うんだがどうなるか…

>>82
(波動球で倒そうとしてましたとか言えない…)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『ーー忘れるな。イメージするのは常に最強の自分だ。外敵など要らぬ。お前にとって戦う相手とは、自分のイメージに他ならない』


士郎「……っ!」

何故か。聞き覚えのある声がした。
脳裏にうっすら浮かぶのは、赤い外套の男と、剣の丘。
見たこともないのに、懐かしく思えるのは何故だろう。
だが、俺の中の何かが、戦うためには「コレ」が必要だと訴える。


グググ…

凛「うぐっ…」

士郎「遠坂!!」

宝石による攻撃が失敗した遠坂が、今にもバーサーカーに握り潰されそうになっている。
考えている時間はない。
衛宮士郎の持てる最大の瞬発力で、あの巨人に向かって駆けた。
同時に、先ほどまで握っていたラケットを離す。
これでは勝てない。そう、勝てないと、本能で知っている。

士郎「ーー離せよ、テメェェェ!!」

ならば、この巨人に勝てるもの。
なんでもいい、俺の記憶、セイバーの記憶からとにかく今戦えるものをーー

バーサーカー「■■■■■■■!!」ブオッ!

しかし、俺の道を阻むように、死を告げる一撃が振り下ろされる。


真田「士郎ぉぉぉぉ!!」

セイバーの叫び。
ダメだ、死ぬ。あと一秒で俺は死ぬ。こんなのよけられない、俺の知っている動きではよけられないならばせめてあと一秒でこの場から遠く駆け出す動きを、なんでもいいやるしかないーー!!

ドゴォォォォン!!

イリヤ「残念ね、お兄ちゃん。こんな所で死んじゃうなんーー?」

言いかけたイリヤの言葉が止まる。

イリヤ「そんなーーありえない」

確かに今、バーサーカーは士郎を叩き潰したはず。
なのに、なのになんでーー

士郎「ーーはぁ、はあ…!!」

何故士郎はバーサーカーの背後にいるーー!?


真田「あれは、縮地法…!?」

生き残った。とっさに、セイバーの記憶で見た移動法でなんとか生き残った。
でも避けるだけじゃだめだ。今すぐに、遠坂を助けられる攻撃をしないと生き残った意味はない。
だから、行う。
本能で、知っているはずのあの魔術を。

士郎「ーー投影、開始」

あらゆる工程を飛ばし、生み出したそれを右手で握り締める。

イリヤ「投影魔術!?」

真田「あれは…柳のラケット!」

投影で作り出したラケットから、所有者の技術、力、経験を読み取る。
この瞬間、一球だけ俺はラケットの所有者と同じモノを打てるーー!!


士郎「はぁぁぁ!」バシュッ!!

ズバッ!!

バーサーカー「■■■■■■■■!!」

イリヤ「うそ、バーサーカーの腕が…切り落とされた!?」

真田「あれは…『かまいたち』」

士郎「う…!」ズキッ!!

投影の反動が身体を襲う。
当然だ。衛宮士郎ではできない動き、技を行ったんだ。

凛「士郎!!」

解放された遠坂が駆け寄ってくる。 

バーサーカー「■■■■■■■■■■!!」

腕を落とされたバーサーカーも、衛宮士郎をやっと害ある敵として認識したのか、先ほどより早い反応で迫る。
だめだ。ここで膝をついたら、遠坂も巻き込まれてーーーーーー


ブオッ!

再び、あの斧剣が振り下ろされる。

士郎「うおおお!!」

ーー投影、開始。

バーサーカー「!!??」

刹那。
攻撃を放ったはずのバーサーカーは宙を舞った。

士郎「トリプルカウンター…羆落とし」

遠坂「凄い。バーサーカーの攻撃を受け流して、そのまま吹き飛ばすなんて」

士郎「あぐっ!!」ズキッ!!

受け流したとはいえ、バーサーカーの怪力と投影の反動が激痛となって襲う。
どこかの骨がイかれたかもしれない

士郎「セイバー!こっちに!」

真田「うむっ!」ダッ

士郎「情けない話だけど、今の俺じゃアイツを倒しきれるほどの投影はできない。だから、手を貸してくれ」

真田「何を今さら。この身は士郎のために」 

凛(武士だ…)

士郎「俺がセイバーの宝具を投影する。だから、一緒に」

真田「わかった」

士郎「行くぞ…投影、開始」

現れるラケット。
それを、真田と共に握る。




士郎、真田「「ーー動くこと、雷霆の如し!!!」



ドカァァァァアアアン!!!




イリヤ「うそ…バーサーカー…」

ーーバーサーカーの身体が、消滅していく。
 

バーサーカー『ーーそれが貴様の宝具か、セイバー』

消滅寸前の狂化が解けた巨人が問う。

真田「ああ」

バーサーカー『今のは、貴様の宝具ではなかろう。ソレは、その男が作り上げた幻想に過ぎん』

バーサーカー『所詮はまがい物。二度とは存在しないラケットだ。だが、しかしーー』

バーサーカー『ーーその幻想も侮れぬ。よもやただのテニスボールで、この身を六度滅ぼすとはなーー』シュゥゥゥ

そうして、小さな少女の守り手は消えていった。



士郎「が…!!」

真田「士郎!」

ようやく安堵したのか、度重なる投影で限界を超えていた士郎が崩れる。

士郎「すまない、セイバー」

真田「気にするな。士郎には、助けてもらってばかりだからな。まったく、サーヴァントとあろうものが情けない」

セイバーか士郎を背負う。

遠坂「イリヤも向こうで倒れてるけど」

士郎「連れて行こう」

遠坂「はぁ!?なんですって?」

士郎「バーサーカーがいないなら、イリヤはもう無害だ。それに、根っからの悪いやつじゃないから、放ってはおけない」

遠坂「…わかったわよ」








ーーそして。

士郎「なあ、遠坂。どうして、ここに?」

士郎とセイバーに無理を言って、私達は城の前まで戻ってきた。

凛「アイツの、さ。最後を見てあげられなかったぶん、せめて戦いの場所だけでもって」

士郎「…そうだよな。アーチャーのおかげで、俺達こうして生きてるんだものな」

真田「入るぞ」

凛(短い付き合いだったし、生意気なサーヴァントだったけど…ありがとう、アーチャー…)





と。


士郎「あれ?」

真田「あれは、まさかーー」

凛「」


それは、信じられない光景。

真田「ーー跡部よ。気を失って尚、君臨するのかーー」

なんでアーチャーが普通に仁王立ちしてるのよぉぉぉぉぉぉぉ!!!




跡部「ーーかはぁ!!」

士郎「おぉ、持ち直した!」 

凛「いやいや、それはおかしい」

跡部「ふぅ…死ぬかと思ったぜ。なぁ?」

凛「なぁ?じゃないわよ!」

跡部「簡単なことだ。俺様のスキル、『タシケの加護』が発動したんだよ」

真田「なるほどそうか」



タシケの加護:EX

所有サーヴァントの不利な状況に発動。
幸運がEXになる


凛「それなんてチート」

跡部「だがまあ本来、このスキルは俺様達の世界でのみ有効なんだかな」

士郎「そうなのか?」

跡部「だが、凛の生き残れっていう令呪の力で、一時的に発動した。今回は、仮死状態で奴をやり過ごしたってわけだ」

凛「…まあ、いいわ。これで私も、聖杯戦争から脱落しないで済んだんだし」

真田「うむ、一件落着だな」

跡部「アーン?真田ぁ、お前の勝ち残る可能性が無くなったんだぜ?俺様が健在だからな」

真田「ほう…ならば、今試してみるか?」

凛「やめなさい!まあ、バーサーカーを倒したことだし、これで士郎との同盟は解消だけど。なにも今やり合わなくてもいいでしょ」

士郎「そうだな。今はひとまず帰ろう」

真田「了解した、士郎」
 
跡部「アーン?しょうがねーな」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
柳洞寺。
ここを根城に構えたキャスターは、そのマスターと共に水晶でアインツベルンの戦いを見ていた。
掟破りで召還した、アサシンと共に。

キャスター「ーーどう?この二人、倒せることができて?アサシン」

橘「骨は折れるが、大丈夫だろう。今回は特別だとして、そもそもお互い共闘するなんて柄じゃないからな、跡部と真田は」

キャスター「勝たないと困るのよ。あなたが、街の人間から魔力を吸うなと私に言ったんでしょ?それ相応の働きはしてもらうわよ」

橘に冷たい態度を向けるキャスター。


キャスター「ーーまったく、とんだサーヴァントを引いたものだわ。寺をよりしろにしたら、大仏みたいな男が召還されたんだから」

不正規の方法で、サーヴァントを召還し。最高の土地を陣地に構え万全の状況で戦いに備えられると思っていた。
だが、このサーヴァントは

橘『街中から魔力を吸っている?そんなバカなことはやめろ!!』

と、知るなりマスターの自分に食ってかかってきた。
令呪で制御しても良かったのだが。

橘『俺を操りたいのなら、その腕の令呪、2つは使ってもらうばい』

ーーと、猛獣のようなオーラで凄まれ結局キャスターが妥協した。
大事な令呪をこんなことで消費するよりも、この男と協力体制を取って有用な場面で使ったほうが得と考えたからだ。
勿論、魔力がないと最弱であるキャスターは、橘に気付かれない程度、街の人間の体に害が出ない程度にほんの少しずつ魔力を集めてはいるが。

橘「任せておけ。俺も、約束は守るさ」ニコッ

しかし、キャスターの態度を気にすることもなく橘は笑ってみせる

橘「協力するからには、必ずお前を勝たせてやる」

キャスター「…ふん!」スタスタ

顔を逸らし、離れるキャスター。
しかし、そのフードに隠れた表情に、憎しみや蔑みなどの色はない。

キャスター(なぜかしら…あの男の言葉に安心感を持てるのは。そんなこと、間違っても口にだしませんけどっ!!)

かつては、裏切りの魔女と呼ばれたキャスター。
その彼女が、なんだかんだ橘と協力関係を結ぶのは…勝利へのこだわりの他に、彼の器の大きさに何か感じるものがあるから、かもしれない。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
言峰「フ、バーサーカーが敗れたようだな」

ランサー「んで、俺はいつちゃんと戦えるんだよクソ神父」

言峰「心外だな、ランサー。セイバーに消されかけたのを令呪による呼び戻しで救ってやったのはだれだ?」

ランサー「チッ…だが、これでテメェの令呪は残り一つだ。いつまでもそんなつまんねぇもんで縛っておけると思うなよ」

言峰(残り一つは自害に使うしwww愉悦wwwwwwwww)


※アンリミによると最初にランサーを従える時に令呪使ってるけど、気にしたら負け

ランサー「つーかよ。あそこのやる気ゼロ男どうすんだよ」 

ギル「セイバーいないとかセイバーいないとかセイバーいないとかセイバーいないとかセイバーいないとかセイバーいないとかセイバーいないとかセイバーいないとかセイバーいないとかセイバーいないとかセイバーいないとかセイバーいないとか」ドンヨリ

言峰「放っておけ」

ランサー「先が思いやられるぜ…はぁ…」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーバーサーカーとの戦いから、2日。

パコーン!

真田「甘いぞ士郎!!」

士郎「はぁ、はぁ…」

イリヤ「ゲームセット、ウォンバイ真田。6ー0」

士郎「くそ、また1ゲームもとれなかった…」

真田「たるんどる!!…と、いいたいところだがな。士郎はなかなか良い筋をしている。上達が早いな」

俺は本格的に、セイバーにテニスを教わっていた。
今、俺が戦うための手段だ。鍛えておいて損はないはず。それに…今までにない、楽しさもある。
正義の味方を目指して、色々身体をうごかすものはやってきたが…なんだか初めて、純粋に面白いと感じる。


イリヤ「うん、1ポイント1ポイントが昨日より粘ってるわ。ほんと、上手くなってるわよシロウは♪」

真田「海堂を思い出す粘り強さだな。相手にしたら、一番嫌なタイプだろう、シロウは」

士郎「それ、褒められてるのか?」

真田「勿論だ。実際こうしてちゃんとコートを挟んで、士郎の精神力の強さを痛感したぞ」

ーーイリヤも、和解することができてすっかり馴染んでいる。
テニスのルールは知っているようで、こうして審判をしてもらって、本人も楽しんでいるようだ。

ちなみに、テニスコートは庭で、藤ねぇの家の若い集達が作ってくれた。本当にありがたい。
俺は勿論、セイバーもテニスが出来ると歓喜していた。

真田『テニスが出来ないと死んでしまうわぁぁぁぁキエェェェェェ!!!』

…と前までよく叫んでいたから、本当に嬉しいようだ。

そして、もう一人。

タッタッタ!シュタッ!

跡部「おい、士郎!ちょっとは上達したんだろうなぁ、アーン?」

勢い余って塀を飛び越えて不法侵入してきたのは、アーチャー。
アーチャーもテニスが出来ることで、喜びのあまり色々狂喜乱舞している。

跡部「さぁ行くぜ!俺様の美技に酔いなぁ!酔いな!酔いな!酔いな!」パコーン!

…酔っているのはアンタだと思うぞ。

真田「馬鹿者ぉ!まだ士郎が構えておらんわぁ!」

と、いいつつも本人も混じりたそうにウズウズしてるセイバー。

凛「アーチャー!またアンタ勝手に!士郎達とは敵同士だっていつもいってるでしょーが!」

と、アーチャーを追ってきた遠坂が実に賑やかに入ってきて。

跡部「お、凛丁度いいじゃねーの。ダブルスやるしかねーよな?」

真田「ハァーハッハ!たまらんな!」

凛「人の話を聞けーー!!」

士郎「ははっ」クスッ

ーー戦いなんて、終わって。
いつまでも、こんな日常が続いてほしいと…叶わない願いを、つい思ってしまうほどに…楽しかった。

とりあえずサーヴァント出し尽くしたんで、全部テニプリキャラの聖杯戦争を妄想してみた。

■セイバー
真田(真剣振ってるシーンが原作にあるし)

リョーマ(侍だし)

■アーチャー
みんなテニスボール打つし誰でも。しいて言うならレーザービームの柳生?しかし地味だ。

■ランサー
キャラに悩むクラスその1

ダビデ(長いラケットだし。しかし宝具がない。ダジャレ?)

■ライダー
キャラに悩むクラスその2

平等院(前スレで言っていた人がいるが、ラスボスになっちまうwww)

不二周助(劇場版で白馬に乗って登場)
桃城(チャリ)
この2人は宝具がライダーっぽいわけでもないからなぁ…


■アサシン
木手(殺し屋だしぴったり。縮地法にビッグバン、ハブまであるし。実はギリギリまで悩んでいた)

■キャスター
幸村(五感奪うし幻術使えるし)



観月
データテニス組。しかし乾と柳はちょっと地味。宝具乾汁は普通のショットより強そうだけどw
観月の『貸しなさい』を宝具として妄想したり


■バーサーカー

切原(赤目、悪魔化とバーサーカーのためにいるような人)

石田銀(狂化したら誰も勝てません)



※以下、ボツになった展開

キャスター「バーサーカーが負けたようですわ、マスター」

乾「予想通りだな」

キャスター「次は私達の所にくるでしょう」

乾「ふ、跡部と真田か。乾貞治の勝つ確率、0%」

キャスター「だからルールを破ってアサシン召還したのに…」

福士「はぁぁぁぁぁぁ!!銀っっっ華ぁぁぁぁぁ!!!!」

乾&キャスター「「あれじゃなぁ………」」

圧 倒 的 無 理 ゲ ー
(キャスターが)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
2日後

士郎「キャスターが柳洞寺に?」

凛「ええ、間違いないわ」

パコーン! ム、ヤルナアトベ! パコーン! オレサマノビギニヨイナ!!

士郎「柳洞寺の人は…大丈夫なのか?一成は、普通に学校きてるけど」

凛「それは心配いらないんじゃない?見た所身体に異常は感じられないし、最高の霊脈を抑えたはずのキャスターも、派手な動きはしていないし」

パコーン! ウゴカザルコトヤマノゴトクー! ハーッハッハ!ドウシタアトベ!!  アーン!ミセテヤルヨ、コオリノセカイ!!

士郎「派手な動き?」

凛「キャスターのサーヴァントは、最弱って呼ばれるくらい非力なの。手段を選ばない奴なら、街中の魔力を吸い取って力を蓄えるぐらいするに決まってる」

ムゥ!オレノシカクヲツクトハ! ハーッハッハ!ホウラ、コオレ! パコーン!

士郎「じゃあ、そんなに悪い奴じゃないのか?」

凛「どうでしょうね。少なくとも、注目が集まらない程度には魔力を集めてるみたいだけど。あの土地を陣地にしている時点で、油断ならないことには変わりないわ」

ナラバ!ウゴクコト、ライテイノゴトシ!  バリバリ!!

士郎「そうか…」フラフラ

凛「今、一番警戒するべきはアサシンね。まだマスターもサーヴァントの姿もまったく情報がないし。マスター殺しと言われるほどのアサシンの暗殺はいつ襲ってくるかわからないもの。……て」

アーン?オレサマモ、ミセテヤルヨ!! イクゼ、アトベキングダーー

凛「そこーー!!こんなとこで勝手に宝具使うなーーー!!」

跡部「アーン?」ピタッ

スパーン!!

イリヤ「ゲーム真田。5ー4」

跡部「あ、てめ、凛!!いきなり叫ぶからゲームとられたじゃねーの!」

凛「こんなことでムキになって宝具使うサーヴァントいないわよ!セイバーも!見なさい、アンタが宝具使うから士郎フラフラでしょ!」

士郎「お、俺は…大丈夫だぞ…」フラフラ

真田「す、すまん士郎…つい…」

跡部「仕方ねーだろ?なあ?テニスの真剣勝負に手加減はいらないんだよ」

士郎「アーチャーの言うとおりだ。…思いっきりやってくれ、セイバー…」フラフラ

真田「士郎…」

凛「却下よ、却下!いい?今度また宝具使おうとしたら、令呪でテニス禁止にするから!!普通のテニスで我慢しなさい!」

跡部「随分横暴じゃねーの。できるか?」

真田「うむ…?」

跡部「真剣試合だしなぁ?」

真田「うむ」

凛「令呪」スッ

跡部「さ!普通にラリーするか!」汗

真田「ああ!」

イリヤ「え?、もう終わりなの?せっかく面白いところなのに」ブーブー

士郎「イリヤ、お茶でも飲むか?もちろん、菓子付きだ」

イリヤ「わーい♪シロウ大好き♪」

凛「まったく、同盟解消したのに、こいつらのせいで調子狂うったらありゃしない」ドヨーン

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーおいで

士郎「」ムクッ

ーーーおいで

士郎「………」スタスタ

士郎(…ん?なんだ…身体が、勝手に…)

おいで…

士郎「」スタスタ

士郎(魔術か!?くそ、どこに向かってる?)

おいで…

士郎(柳洞、寺?)

石段を上がる士郎。

橘「ーーー悪いな。なにぶん、この寺から離れられない身なんでね。真田と戦うためだ。なに、お前に危害を与えるつもりはないさ」


ーーー途中、すれ違った黒いテニスウェアの男にそう声をかけられた。

士郎(罠か…!?くそ、来ちゃダメだ…セイバー…)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
衛宮邸

真田「!!」バッ

マスターの異変を感じ、目覚める真田。
同時に、部屋の襖が強く開かれた。

イリヤ「セイバー!?大変よ、シロウが連れていかれちゃった!!」

真田「むっ…やはりか」

イリヤ「この手口、多分キャスターよ。場所はわかる?」

真田「士郎の位置は魔力を辿ればわかる。時間が惜しい、すぐに出る!!」バッ!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
遠坂邸

凛「キャスターが動いた!」

跡部「どうするよ、凛」

凛「様子を見に行って、アーチャー。ただし、手出しはしないこと」

跡部「士郎が殺されそうでも、か?」

凛「…そうね。アンタの判断に任せるわ、そこは」

跡部「…案外、冷徹じゃねーの」

凛「これは聖杯戦争よ。マスターとしては当然の判断だわ」

跡部「マスターとしては、ねぇ。ちなみに、マスターとしてじゃなく、遠坂凛個人としては?」ニヤッ

凛「…うるさい、早く行きなさい」

跡部「はいはい」バッ

跡部(顔に出てたぜ、凛。やれやれ、ここはサーヴァントとして、マスターの本心をくまなきゃな)




ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
士郎「くっ…ここは」

キャスター「いらっしゃい、坊や」  

士郎「俺を魔術で操ってたのは、お前か?」

キャスター「そのとおりよ。ウチのアサシンの要望で、あなたをセイバーをおびき寄せる餌になってもらったわ」

士郎「アサシン…さっきのあいつか。そしてお前は、キャスターか」

キャスター「あら、まんまと魔術にかかったわりには…なかなか良い目をしてるわね」

士郎「俺を殺すつもりか」

キャスター「当然。ーーーと、言いたい所だけど、うちのアサシンはそういうことがどうやらお嫌いみたいでね。坊やに手を出すつもりはないわ」

士郎「………」 

キャスター「まぁ、本当なら令呪を奪っても良いのだけれど…あんなサーヴァント、いらないわ。オッサンぽくて美しくないもの。美少女か美少年だったら奪ったのに、坊やは幸運ね」 

士郎「セイバーは、負けない」

キャスター「そうね。アサシンから聞いた話だと、実力の差はほとんどないみたいだし、どちらが勝つかはわからない。でもね、それじゃ困るのよ。だから…」

キャスター「一度だけ聞くわ。あなた、私の仲間にならない?もちろん、聖杯を手に入れれば、それ相応の分け前は払うわ」

士郎「でも、仲間になる意味なんてないぞ。あとは遠坂のアーチャーだけだし、そもそも遠坂とは戦いたくない。戦うとしても、そんな多数対一みたいな真似はできない」



キャスター「坊やの言い分はわかったわ。…じゃあ、ランサー戦のみの協力関係というのはどうかしら?」

士郎「ランサー?ランサーは、セイバーが倒したはずだ」

キャスター「おバカさん。それは勘違いよ坊や。ランサーは、まだ生きている」

士郎「ーーなんだって?」

ランサー。俺を一度殺した、アイツが…まだ…

キャスター「調べていくうちに、ランサーの正体がわかったわ。あれは、かなりの大英霊よ。それに、マスターの正体も私ですら掴めないという気味の悪さ。おそらく、残りのサーヴァントで一番やっかいなのはランサーね」

士郎「……」

キャスター「協力中はアーチャーとそのマスターにも手を出さないと約束するわ。さっき言った、分け前もね。悪くない条件だと思うけど」

士郎「でも、俺は」

キャスター「私が聖杯戦争の勝者になっても、坊やとアーチャーのマスターの命は保証する。…私も、本当は殺し合いなんて好まないしね。坊やも、こんな争いしたくないんでしょう?」

士郎「俺は…」



1 …わかった。協力する。

2 …断る!!


士郎「>>114

※安価です

士郎「ーーーわかった。協力する」

キャスター「物わかりが良い子は好きよ。交渉成立ね」

俺は、キャスターの提案を飲んだ。
聖杯が欲しいからじゃない。ただ、悪い奴じゃないみたいだし、命までとる気もないと言った。
最終的に戦うことになったとしても、クリーンな戦いで犠牲が出なければそれが一番だ。

キャスター「なら、坊やには紹介するわね。私のマスターを」

葛木「…………………………」

士郎「葛木…………先生?」

葛木「………衛宮か。キャスターとは協力関係になったそうだな。よろしく頼む」

士郎「アンタが…マスターだったのか」

葛木「魔術師でもない、ただの教師だがな。協力関係の間は、しっかり補助をしよう」

士郎「ああ。よろしく頼む」





ーーーそうして、俺はキャスターと協力関係になった。
後から来てくれたセイバーに説明すると、特に拒否もなく賛成してくれた。



しかし。
それから、遠坂とアーチャーは家に来ることはなくなった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

跡部「ーーーいいのかよ、凛」

凛「別に?キャスターと手を組むなんて、衛宮くんも利口になったなぁと感心してるだけよ」

跡部「感心してる顔じゃねーだろ…それ」

凛「ともかく、これで衛宮くんと馴れ合わないとハッキリ決めたわ。キャスターと繋がっているんだもの、いつ情報か漏れるかわかったもんじゃないわ」

跡部「はいはい、凛様は士郎がホイホイキャスターの誘いに乗ったのがショックだったわけね」

凛「うっさい!!いい?アーチャー。残るサーヴァントは全員私達の敵。それ以上でもそれ以下でもないからね!!」

跡部「…わかったよ」

凛「…」イライラ

ーーーーーー柳洞寺ーーーーーーーーー

士郎「…ふぅ。お茶が美味い」マッターリ

真田「ああ…」マッターリ

一成「おかわりもあるぞ。…しかし衛宮、お前が宗一郎…葛木先生と仲が良かったとは意外だな。いったいいつの間に」

士郎「ま、ちょっとな」

キャスターと協力関係を結んだ俺は、葛木先生との勉強合宿という名目で柳洞寺にお邪魔することになった。
それにしても…つくづく、セイバーは寺や屋敷が似合う風貌をしている。
ちなみに、切嗣が昔着ていた着物を着て貰っているので更に馴染んでいる。

一成「先生がマンツーマンで勉強を教えるなんて今までなかったからな。いったいどんな手を使って仲良くなったんだ?」

士郎「はは…それは、企業秘密ってことで」

一成「む。さては弱みでも握ったか?いや、遠坂じゃあるまいし衛宮に限ってそれはないな…喝」

士郎「そんなに葛木先生って付き合い悪いのか?まあ、あの感じだから想像つくけど…。結構慕われてる所もあるだろ?」

一成「慕われてるが…あくまで、学校という場での教師と生徒という立場を尊重しているからな、あの人は」

士郎「なるほどね」

一成「友人がいるというのも初耳だ。連れてきたことはもちろん、存在すら匂わせたこともなかったからな。…あ、真田さん。おかわりをどうぞ」

真田「む、すまん」

セイバーは葛木先生の友人として、一成に紹介した。
…流石セイバー。俺達より年下のはずなのに、葛木先生と同年代として一成に受け入れられている。
老けg…じゃない、落ち着いた物腰の賜物だな。
ちなみに、俺との関係は切嗣の知人ということにしてある。


葛木「衛宮。そろそろ始めるぞ」

士郎「あ、はい。んじゃ、行ってくる」

一成「うむ。頑張れよ、衛宮」

葛木先生も真面目で、嘘の理由である勉強を本当に行うらしい。
まあ、これで一成にも怪しまれることもないだろうし、結構オーライだ。


イリヤ「ねぇねぇ、これはなんてお茶?なかなか上品な味ね」

一成「お、茶の味がわかるとは流石衛宮の妹。これはだな…」

真田「美味いな…」マッターリ

キャスター(協力関係にあるとは言え、敵陣の真ん中でまったく緊張感がないわね…)



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


葛木先生との個人授業は、きっちり二時間で終わった。

葛木「うむ。良くできているな。後でしっかり復習するように」パタン

士郎「はい」

イリヤ「シロウー♪勉強終わったの?」

真田「ふむ。キャスターのマスターよ。俺も今度教えてもらってもいいか?苦手教科を克服したい」

キャスター「勉強するサーヴァントなんて聞いたことないわよ。さ、終わったならこっちに来なさいボウヤ。今後の方針について話すわよ」

士郎「ああ」


それから、全員で今後の方針について話し合ったのだが。
ランサーをどう誘き出すのか、早速難題が浮き上がった。

キャスター「どうにかして、柳洞寺に誘き出さなきゃならないわね。ここならアサシンも戦えるし、私も充分な援護ができる」

士郎「でもそんなのランサーだってわかってるだろ?自分から罠に飛び込んでくるか?」

真田「いずれにせよ、囮が必要だな」

キャスター「相手はランサーよ。一撃で決められたら囮も何もないんじゃなくて?」

士郎「最初、一瞬で殺されたからなぁ」

真田「心配ない。俺が必ず守る」

キャスター「問題は場所よ。ボウヤ達だけで戦っていたら協力の意味がないわ」


話し合いは、難航していた

 




士郎「でも、ずいぶんみんな慎重なんだな。俺達はライダーとバーサーカーを倒したけど、他は減ってないだろ?」

キャスター「そうね。セイバー、アーチャー、ランサー、アサシン、そして私、キャスター。あまり好戦的とは言えないわね、残ったサーヴァント数からしても」

士郎「ランサーは、動かないのか?」

キャスター「そこは、マスターの意向じゃなくて?大英霊であるランサーがここまで動かないのは妙よ。マスターが慎重か、傍観主義のどちらかね」

士郎「居場所もわからないし…お手上げか?」

葛木「…そうとも限らん」

キャスター「宗一郎様?」

葛木「今、こちらには3体のサーヴァントがいる。手を出してくるとは思わんが…孤立しているサーヴァントには手を出すかもしれん」

士郎「まさか…」

キャスター「そうね。今まで、私とアサシン、セイバーとアーチャーが行動を共にしていたわ。誰とも組まなかったライダーとバーサーカーはセイバーが撃破した」

真田「だが今は、ダブルスのうち一組が解散し、3体組と1体になった。狙われるとしたら…」

士郎「遠坂か!!」

キャスター「潰し合ってくれるのなら、それが一番ね。ランサーが残っても、戦いさえ偵察していれば情報が入る」

士郎「ダメだ。それじゃあ、遠坂が危険だ」

キャスター「それが聖杯戦争よ、ボウヤ」

士郎「………!!」

キャスター「助けに行ったりするのは勝手よ。私達は手を出さないけど」

士郎「く……」

キャスター「どちらにせよ、私達は生き残ったほうを倒すのみ。ボウヤとの協力関係もすぐ終わるかもね」

葛木「……そううまく行くかな」





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

遠坂邸

遠坂「ーーさて。丸腰みたいだけど、どういうつもり?ランサー」

ランサー「なぁに、ちょっとした相談をしにな」

跡部「アーン?」

ランサー「うちのマスターがよ、キャスターのとこにサーヴァントが集まりすぎて厄介なんだとさ」

遠坂「それで?」

ランサー「アンタらも困ってるんだろ?それで、だ。手を組まねえかって誘いだよ。敵の敵は味方ってな」ニヤリ








凛「…断るわ」

ランサー「ーーほぉ?」

凛「わたし、信用出来ない奴とは組む気ないし。第一、マスターが顔も見せないのに同盟なんてありえないわ。背中を預けるに値しない」

ランサー「なるほど、いつ後ろから刺されるか分からないってのは、そりゃ不安だろうさ。だがよ、そこのアーチャー1人で戦えるほど、奴らも甘くないと思うがね?」

凛「見くびらないで。確かに不利ではあるけど、勝てないと決まったわけじゃない」

跡部「そーいうことだ。さっさと失せな。それとも、ここでいつぞやのでも決着つけるか?アーン?」

言峰「ーーまあ待て。そう結論を急くことはない」

凛「綺礼…」

言峰「マスターの顔が見たいようだったのでな。察しの良いお前のことだ。それ以上は説明せんでもよいだろう?」

凛「まさか、アンタがランサーのマスターだったなんてね。監督役のくせに、このエセ神父」

言峰「そういうわりにはあまり驚いてはいないようだが?」

凛「アンタならやりかねないしね。最初から、真面目に監督役をするなんて信用してないわよ」

言峰「心外だな。これでも、至極真面目に監督役をしていたと思うがね。さて、そんなことよりも、どうする。私は顔を見せた。改めて、同盟の話しをしようじゃないか」

凛「信用してないって言ったでしょう。無条件でノーよ」


言峰「全く、嫌われたものだな。これでも、教え子に協力したいという純粋な善意なのだが」

凛「ふざけないで」

言峰「ふざけてなどいないさ。本心から、お前が聖杯を手に入れるべきだと思っている」

凛「…っ!」

跡部「凛?」

凛「…そうね。いつも不遜で、何考えてるか分からない、頭にくるエセ親父だけど。嘘は言わないのは知ってる」

言峰「そうだ。それに、なにも疑うことはない。言っているだろう。今のキャスター達は少々厄介だ。同盟は利害の一致だよ」

凛「仮に手を組むとする。でも、アンタと肩を並べて戦うのはやっぱり気が進まないわ」

言峰「なに、ならば私が出なければ良いこと。その代わり、ランサーを貸そう。自分のサーヴァントのように使うといい」

ランサー「ま、確かにそのほうが俺も戦いやすい。クソ神父よりは嬢ちゃんのほうがマシだしな」

凛「あなたもずいぶんとアッサリ言うのね、ランサー」

ランサー「これでも嬢ちゃんのことは買ってるんだぜ?最初に手合わせした時の状況判断と度胸、大したもんだとな」

凛「…ふぅ。なんだか乗せられてるようでちょっと気にくわないけど、いいわ。アーチャー。アンタもいい?」

跡部「ま、俺様がいれば大丈夫だろーよ。キャスター達だろうが、そこの怪しいオッサンだろうがな。何があっても守ってやるよ。やりたいよいにやれ、マスター」

凛「ありがと、アーチャー」

言峰「決まりだな。では、私は協会に戻るぞ。あとは好きにするがいい」スタスタ

ランサー「ま、少しの間だが、よろしく頼むぜ」


跡部「せいぜい、足を引っ張らないようにしろよ。ま、お前の出番があればの話しだが」

ランサー「あぁ?なんだ、ずいぶん自信家だなナルシスト野郎」

跡部「アーン?当たり前だろ。俺様を誰だと思ってやがる」

ランサー「は!どこぞの猿山の大将だろ?泣きボクロ野郎」

跡部「キサマ…俺様のチャームポイントを」

ランサー「ぶわっはっはwwwwwwチャームwwwポイントだとよwww」

跡部「越前より頭にくる野郎だ…この青タイツ!!うちの部員の言葉を借りると、激ダサッてやつだぜ。なぁ?」

ランサー「なんだと!?」

凛「先行き不安だわ」




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

凛「ーーいい?今この現状で、一番勝ち目があるのは奇襲よ。こっちの戦力をキャスターに感づかれる前に叩く。夜が明ける前に動くわよ」

ランサー「そりゃ上策だな。あの魔女に対策をたたせる時間は与えるわけにはいかんだろーよ」

跡部「正面突破か。まぁ、それしかねーよな」

ランサー「ちと厄介なのが、山門の番をしてるアサシンだな。あいつは強いぜ」

凛「山門の番?」

ランサー「俺はあのクソ親父の命令で一度は全サーヴァントと戦ってるからな。そこの泣きボクロと似たような格好した、大仏みたいな野郎だったな」

跡部「大仏……橘か」

凛「知ってるの?アーチャー」

跡部「ああ。ま、九州2強の橘だ。そこの青タイツじゃ適わねーだろうよ」

ランサー「あんだとこの野郎」

凛「あーはいストップストップ!…できれば足止めはくらうわけには行かないわ。ランサー、そいつの相手は頼める?」

ランサー「勿論だ嬢ちゃん」

凛「わたしとアーチャーはその隙に一気に奥まで行く。衛宮くんは取るに足らないとして…問題はキャスターとセイバーね。いける?アーチャー」

跡部「アーン?俺様を誰だと思ってんだ?」

凛「はいはいキングキング。じゃあ、ランサーはアサシンを撃退次第合流。頼んだわよ」

ランサー「はいよ。泣きボクロがボコボコにされる前に助けに行ってやるぜ」

跡部「アーン?キサマが来る頃にはもう終わってるぜ。むしろ、終わったら橘にやられてるキサマを助けにいってやるよ」

凛(これだけいがみ合っても見捨てるってことは考えないんだから、案外いいコンビかもね、こいつら)

跡部「もしキサマに助けられるようなことになったら、坊主になってやんよ」

ランサー「面白い、じゃあ俺もテメェに助けられるようなことがあったら坊主になってやる」


凛(あ。やっぱりただバカなだけだ)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今更だけど、真田と橘のステータス。
クラス固有スキルは省きます


クラス:セイバー
真名:真田弦一郎


筋力A 耐久A 敏捷A 魔力C 幸運C

宝具A


スキル 

風林火陰山雷

真田の奥義。それぞれが強力であるが、その中でも雷は人の動きを超えた神業であり、宝具に昇華された。

『疾きのこと風の如く』

風。目に見えぬ神速の居合いショット。
敏捷A以上ないと回避不可だが、連打はできず単発で少々終わりに隙がある。奇襲向き。
威力は火、雷より低いが魔力消費も一番低い。


『静かなこと林の如く』

林。すべて受け流し敵の技巧を封じる。手塚ファントムの回転すら無効化した。柔の防御技 

『侵略すること火の如く』

火。敵をねじ伏せるグランドスマッシュ。風よりも威力が高く、雷よりも魔力消費が低いので使い勝手がいい。ゴリ押し最強。

『動かざること山の如し』

山。鉄壁とも呼ばれる剛の防御技


『知りがたきこと陰の如く』

陰。精神干渉系の魔術やスキルを無効化する。また、先を読む戦術やスキルも無効化する


『動くこと雷霆の如し』

真田の宝具。雷の速さで動くことができ、真田の技の中で一番の威力を持つ。真田を最速キャラランキングの常連にしたチート技。


無我の境地

不規則に変わるプレイスタイルと、今まで見た技を使用することが出来るオーラ系スキル。発動中魔力を消費するのて燃費が悪く、真田にはすでに強力な風林火山があるので使用頻度は低い 



クラス:アサシン
真名:橘桔平 

筋力A 耐久B 敏捷C 魔力E 幸運E

宝具???


保有スキル

猛獣のオーラ

発動すると筋力、耐久、敏捷が上がり攻撃的になる。仏の顔も三度まで。


見事ばい…

敗北フラグ。てか確定。相手の実力を認めてしまうと発動。


カリスマ C

部員達をまとめ上げるカリスマ。統率力、指揮はそこまで高くないが、精神面で部下を支えかなりの信頼を得る。人格者の持つスキル

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


士郎「ーーさて、と」

夜。
与えられた柳洞寺の客室を出る。…さすがに、夜の寺の静寂は衛宮邸よりも静かだ。就寝時間なのであろう、他の人間の声や気配もまったくしないのでほぼ無音だ。自分の何気ない足音が、この静寂を破ってしまうんじゃないかと心配になるほどに。

士郎「外泊なんていつぶりだろ…。でも、日課だけは欠かせないよな」

魔力の鍛錬の他に、最近ラケットで素振りなども行うようになった。
セイバーの記憶で見た、数々のテニスプレイヤー達の動きをイメージするのが、密かな楽しみになりつつある。鍛錬にもなるし。

士郎「とはいえ…」

ここではラケットの風切り音がよく響いてしまう。少し離れないと。

士郎「山門のほうなら、いいかな」

なるべく足音を殺して、山門に向かった。

士郎「って、これじゃ泥棒みたいじゃないか…」

ま、誰も見てないだろうし…

葛木「何をしている衛宮」

士郎「」ビクッ!!

い、いつのまに背後に!!??

葛木「足音がしたのでな。この時間に出歩く者は身内にいないと思ったが、お前だったか」

士郎「は、はい」

しかし、まったく気配を感じないなんて初めての経験だ。自分の物音もそうだが、誰かとバッタリ会って驚かさないように周囲には気を配ってたつもりだけど…

士郎「日課の、訓練みたいなのがあって。ここだと迷惑かもしれないから、ちょっと離れた場所でしようとしたんですけど」

葛木「そうか」

踵を返す葛木。学校と変わらず、あっさりしている。

葛木「日課を欠かさないのは感心だが、体調管理には気をつけるように」スタスタ

と、優しいような淡白なのか判断の難しい言葉を残して歩いていく葛木。
ただ歩いているだけなのに、全く無駄の見えない身のこなしが、妙に印象深かった。
ああ見えて実は武道の達人とかかも知れない。いや、本当にそう見える空気を醸し出しているのだから、あの葛木という教師は不思議だ。


ーーと、ちょっとした足止めにあいつつ、山門へ。
石段を降り、小さな踊り場のような、石段の幅広い所で足を止める。

士郎「ここなら、いいかな」

ラケットを取り出す。あんまり激しい動きをしては転げ落ちそうなので、比較的動きの少ないものをイメージする。


士郎「ーーはぁ!!」ブンッ!!














士郎「ーーよし、こんなものかな」

時計はないが、大体一時間ほどだろうか。
程良い汗を流し、イメージも中々真に迫るもので良い動きができたと思う。


パチパチ…

士郎「っ!?」


橘「ーー良い動きだ。思わず俺も目を奪われたぞ。見事だな」

士郎「あんたは…」

アサシンのサーヴァント、橘桔平。
セイバーの記憶でも見た。九州2強と言われる全国区のプレイヤーで、不動峰の部員達の心をまとめて引っ張ってきた人格者でもある。

橘「少しいいか?話がしたいんだ、お前と」

士郎「…ああ」


石段に腰掛ける。そういえば、こうして面と向かってアサシンと話のは初めてだ。

士郎「話しってなんだ?えーっと…」

橘「アサシンでいい。今の俺の役割だからな」

士郎「わかった。それで、話って?」

橘「…ふむ。なんというかな。言葉にするのは難しいんだが…」

士郎「?」

橘「先程のお前を見て…感心したのは本当だが、同時に危うさも感じた」

士郎「危うさ?いや、そんな危ないことはしていないけど…」

それを言うなら、強化の鍛錬をしていた時が一番危ないことをしていたと思う

橘「違うんだよ、士郎。俺が言っているのは、鍛錬の内容ではなく、お前の心だ」

士郎「いや、ますます意味がわからーー」

橘「ーーお前は、なんのためにテニスをしているんだ?」


 


士郎「ーーなんのために、って…」

橘「俺達と、お前じゃ根本的な事が違う。それがわからないままでは、危険なんだ」

ーーなんのために?

士郎「俺、は…」

初めてセイバーを召還した夜。ランサーに殺される刹那の瞬間に助けてくれた、あの一撃。


ーーなんのために?

魔力の回復が出来ないのに、俺を守るためにライダーに打ったセイバーのあの宝具の一撃。


士郎「俺は…憧れたんだ。正義の味方以外に、初めて」

セイバーの記憶を見て。彼の努力と、道のりの数々をみてーー
自分も、そんなふうになれたら、と。
有り得ない幻想を抱いて…そして、投影してしまった。


橘「お前にとって、テニスとはなんだ?」

士郎「俺に、とって…」

憧れたものであり、戦う手段。
そう…


士郎「俺は、セイバー達みたいになりたかったんだと思う。正義の味方をずっと目指してた。そのためにずっと鍛錬してきた。でも、それは遠くて…でも、あの時投影してからやっと誰かを守れた」

俺にとって、セイバー達のテニスは。
憧れた存在であり、そして俺が初めて出来た、誰かを守った証なんだ。


橘「ーーそうか」




橘「でもな、士郎」




橘「それは違う」

士郎「ーーえ?」

橘「どうして、お前はそう考えてしまうんだ?」

士郎「どうしてって、それは…」

真っ直ぐ俺を見つめるアサシンの瞳。

士郎「ーー俺は、十年前。魔法使いに、命を救われたんだ」

その瞳に吸い込まれるように。
十年前の災害と、俺を助けてくれた俺、切嗣。正義の味方になることを誓った話を…した。









橘「ーーそうか。それが、お前の」


一気に話して、アサシンが納得したように頷く。

橘「正義の味方とか、お前の生き方、それは俺が口出しするような問題じゃないが」

橘「俺が気になるのはただ一つだ。ーー士郎、テニスは楽しいか?」

士郎「たの、しい…?」







橘「俺達は、お前みたいに大きな理想をたててやっていたわけじゃない。テニスが好きだから、努力した。仲間達と、全国での優勝を噛み締めたいから、ひたすら打ち込んだ。切磋琢磨できる他校のライバル達に勝ちたいからこそ、たくさん練習した。ーーそれは全て、テニスが好きだから。何よりも一番楽しかったからだ」


士郎「…」


橘「お前の姿に疑問を持ったのはそこだ。先程のお前のは…自分に厳しく、高みを目指していたが…テニスを楽しんでるとは思えなかった」


橘「お前が、その力をどのように使うかはお前の自由だが。…忘れないでくれ。テニスとは、決して苦しいだけのものでも、相手に勝つだけのものでもない。自身の向上と…試合を楽しむものだ。理想のためだけでなく…テニスというスポーツを、好きになってほしい」



ーーああ。
それは、きっとーー



跡部『おい士郎!俺様と勝負しな!どれだけ上手くなったか見てやるよ!』

真田『ふ、士郎の上達ぶりに驚くがいい!』

あの時、確かに感じていた。胸が高鳴るようなーー



もっとテニスがしたい。



もっと、上手くなりたい。





士郎「アサシン。俺は、楽しんでもいいのかな?」

あの大災害で1人だけ助かり。生きた分、人を助けていかなきゃと思った。だけど…

橘「勿論だ。どんな理由があろうと、楽しんじゃいけないなんて決まりはない」ニコッ

ランサー「ーー話は終わりか?んじゃま、ちゃっちゃとやろうぜ」

士郎「!!」

橘「ランサー…」

ランサー「よお。坊主に金坊主。果たし合いに来てやったぜ」ニヤリ

橘「1人…ではないようだな」

凛「あら、鋭いのね」

跡部「獅子のカンってやつかね?」

士郎「遠坂!アーチャーも!」

凛「こんばんは、衛宮くん。聖杯戦争、しにきたわよ。あなたとも色々あったけど、今日こそ正真正銘の敵同士ね」

士郎「遠坂…」

跡部「俺様も今回は本気だぜ士郎。巻き込まれたくなかったら、邪魔にならねーよう隅にでも縮まってな」

士郎「…やるしか、ないのか」スッ

ランサー「よー嬢ちゃん。門番プラスαがいるが、やることは取り決めた通りかい?」

凛「ええ、変更はないわ、ランサー。アサシンの注意を引いて。その隙にアーチャーとわたしは正面突破よ。衛宮くんが立ちはだかるようなら…やりなさい、アーチャー」

跡部「やれやれだぜ」スッ

士郎「…来る!」




橘「…下がっててくれ、士郎」スタスタ

士郎「アサシン」

橘「任せろ」ニヤリ



ランサー「ーーそらぁっ!!」ヒュッ

跡部「行くぜ、凛!」バッ


一息で間合いを詰め、槍を伸ばしてくるランサーと、遠坂を抱えたアーチャーが弾丸のように横を通りすぎようとする。


ーーそれを。



バシュ!!

ランサー「ーーうっ!?」

跡部「なんだとっ!?」

まるで何も通さぬ鉄壁のように、アサシンは押し返した。


橘「行くばいね。怪我せんごつ!!」





橘「はぁ!!」バシュッ!!

ランサー「チッ!!」

跡部「ぐっ…」


橘の打球が、ランサーと跡部を纏めて押し返す。
ランサーら槍で、跡部はラケットで何とか受け止めているが、橘のパワーに前進することを遮られてしまう。

跡部「これが暴れ獅子ってやつか…なかなか厄介じゃねーの」

ランサー「なんて野郎だ…バーサーカー並みのパワーだぜ」

橘「どうした?それで終わりか?」

不動の門番が二人を挑発する。

ランサー「はっ!ようやく身体が温まってきたとこよ!!」バッ!!

全身のバネを使って砲弾のように跳躍するランサーが一瞬で距離を詰める。


ランサー「そらそらそら!!」

機関銃のように槍を穿つランサー。まさにその突きは音速を声、弾幕となって橘を襲う、が。

橘「ーーふっ!」

対する橘も、ラケットで全て受け止める。

橘「なかなかやるばい」

ランサー「野郎…!!」

ギリッと歯軋りをするランサー。槍でも、剣でも、ましてや盾でも防ぐことは困難な自分の槍捌きを、ラケットで止められるのは彼にとって
屈辱でしかない。

跡部「どきな、青タイツ!!」

ランサーの背後で、跡部がサーブトスを上げた。

跡部「タンホイザーサーブ!!」

地を這う打球が橘をめがけて放たれる。
駈け上がるその勢いは、石段を抉り飛ばしながらでも全く衰えない

橘「うらぁっ!!」

が、そのタンホイザーサーブさえも橘は打ち返す。

跡部「はぁっ!」トゥ!!ヘアー!!

更に跡部が打ち返し、ラリーが続く。

跡部(ち、キャスターと真田戦に備えて、氷の世界と跡部王国は温存しねーと凛の魔力が持たねーしな。かといって、加減できる相手じゃないぜっ)

ランサー「ーーはぁぁぁぁ…」ゴォォ!!

橘「!!」

跡部「!?」

ランサーの魔力の高まりに、ラリー中の二人の視線が反射的に向けられる。

凛「凄い…ランサーの槍の魔力がどんどん上がっていく…」

ランサー「正直、こんなやり方は好きじゃねぇがな。ーーが、こんだけ隙だらけなんだ。悪く思うなよ!!」

ランサーがもう一度橘に向かって駆ける。
跡部と凄まじいラリーを繰り広げる橘は、無防備同然ーー!!

橘「くっ…!」

当然、橘も身構えるがーー

凛「今よ!アーチャー!」

跡部「ほぅら、凍れ」

その勝機を見逃すはずがない!
跡部の放つ氷塊と、死角をついた打球が橘を襲う。

橘「くっ…」ヨロッ

打球を受け損なった橘がよろけた。
それは、致命的な隙。その間に、懐にランサーが潜り込むーー!!

ランサー「刺し穿つーー」

橘「!!」

ランサー「死棘の槍ーー!!」ドシュッ!!

必殺の一撃が、橘を貫いた。


橘「がふっ!!」


士郎「アサシン!!」




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


その頃。

真田「本当に士郎は無事なのか!?」

キャスター「落ち着きなさい。坊やは大丈夫よ。ここにいる限り私は状況把握できる。危ななくなったら魔術で転移させるわ。ーーーそれよりも、時期にここに奴らがやってくる。協力している以上、貴方はここにいてもらわないとね」

真田「…わかった」

キャスター(まさか手を組むとはね。アサシンもこんなに早く負けるなんて。ーーー不味いわ)

水晶で山門の様子を見るキャスターは、不利を悟る。

キャスター(ゲイボルグ…伝承通りの宝具なら、まずアサシンはあれで消滅するわ。やはり、厄介なのはランサー…)

葛木「キャスター」

キャスター「はい」

葛木「そろそろ戦闘になる。私の拳に強化の魔術をかけておけ」

キャスター「わかりましたわ、宗一郎様」


キャスターが水晶から視線を外す。



その時。


水晶の中の、串刺しにされた橘が動いた

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

バシュウ!!

至近距離で放たれた打球に、ランサーが大きく後退する。
その心臓を貫かれて尚、橘は立っていた。


橘「ーーーはぁ、はぁ…」ヨロヨロ

ランサー「…バカな。俺のゲイボルグを受けて、貴様まだ」

橘「ぐっ…」フラッ

ランサー「無駄な足掻きはよせ。テメェの心臓は破壊した。頑丈なサーヴァントでも、1分も保つまい」

橘「ぐっ…たとえあと1分しかなくても…俺は簡単に負けるわけには行かないんだよ…」

ランサー「テメェ見たいにしぶとい奴は嫌いじゃないがな。この槍の呪いで立っているのもやっとだろう。いいぜ、今楽にしてやる」スッ

再び槍を構えるランサー。

橘「テニス初心者が見てるんだ。ここで負けるわけにはいかねーよな」ニヤリ

士郎「アサシン…」

橘「よく見てろ士郎。俺の、テニスを」

ランサー「はぁっ!!」ヒュッ!

稲妻のような、ランサーの突き。今の状態の橘に防ぐ手段はない。


これで、終わり。
そう、終わりだと、誰もが思った。


???「リズムにHigh!!」

ガキィン!!

刹那。
橘へのトドメの一撃は、何かに遮られた。

ランサー「なっ…ーーー!?」

驚愕するランサー。
その怯みを、足下から跳ね上がった打球が襲う。

ランサー「チッ!!」

紙一重で避け、再び大きく後退した。

???「あーあ。あと少しでアゴに当たって脳震盪だったのに…神尾みたいにすばしっこくて嫌になるなぁ…」


ランサー「!?」

ランサーは目を疑う。

何故だ。なんなんだコイツらはーーー!!

???「橘さん、あれを使います!!」

更に現れた長身の男が、ラケットを振るう。

跡部「まずい、凛!!」

凛「え?」

危機を感じとったのか、跡部は盾になるように
凛を庇った。


???「波動球ーーー!!!!」


ズカァァァァァァァン!!!


激しい一撃が、柳洞寺を震わせたーーー

跡部「ーーーぐっ…」

凛「あ、ありがとう、アーチャー」

跡部「ち、俺様としたことが埃まみれだぜ」

凛「大丈夫?すごい衝撃だったわね…」

跡部「直接狙われたわけじゃないからダメージはないが…見ろ、クレーターが出来てやがる」

ーーー煙が晴れる。


そこには、膝をついたランサーと…6人の部員達に囲まれた、橘。

凛「あの突然現れた奴ら…実体じゃないわね。魔力で形成されている。これは…召還術とも、傀儡とも違う。一種の、固有結界」



ーーーそれが、橘桔平の宝具。
苦楽を共にし、固い絆で結ばれた彼らは、橘の心象世界より具現化し、橘の守護者となる。

その名はーーー『不動峰』

一度テニスを止める決意をした橘が諦めきれずテニスを続けることで手にした、彼の象徴ーーー



士郎「アサシン…」

士郎はただただ、圧倒される。もう消滅寸前であろう橘のその不屈の姿に。
何よりも、橘とその部員達の姿からーーー見える。彼らの歩んだ日々が。その絆が。

橘「士郎。テニスを楽しむってのは、試合に勝つことだけじゃない。俺にとってのコイツらのように、大切な仲間との日々だって何ものにも、変えられない宝だ。自分を磨いて、ライバルと競い、仲間と笑いあうーー。なあ?楽しそうだと思わないか?」ニコッ

ボロボロの身体で、橘は笑う。


ランサー「ーーー嬢ちゃん、アーチャー。今のうちだ、先に行け」

凛「ランサー?」

ランサー「流石に今の奴にお前らまで相手にする余裕はないはずだ。…行け!!」

凛「ええ!」

跡部「行くぜ!」

凛と跡部が駆けると同時に、ランサーが隙を作るべく突進した

ランサー「はぁぁぁぁ!!」

ギィン!!ガッ!!バシュッ!

一斉に放たれる雨のような打球達を全て引き受けるランサー。
凛と跡部はその隙に通り抜けるーー!

橘「士郎、構わず通せ!そいつらは真田達に任せるんだ!」

士郎「…ああ」

石段を駆け上がっていく凛と跡部。
士郎は、橘の戦いに視線を戻す。

…ドクン。

心臓が、いつもより高鳴っている。


橘の姿、言葉が、士郎の心に強く影響を与えていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

キャスター「ーーようやく来たようね、お嬢さん」

凛「キャスター…!!」

凛と跡部が石段を登りきると、キャスター、葛木、真田が待ち構えていた。

跡部「真田ぁ。さっき士郎を下で見たぜ。1人にするとは、ずいぶん冷たいんじゃねーの。なぁ?」

真田「…黙ってろ、跡部」

真田の瞳には迷いが浮かんでいる。
正直、彼も跡部の言うことは正しいと思っているし、士郎の元へ行きたい。しかし真面目な彼には、マスターの意向であるキャスターとの協力がある。下には橘がいるし、今自分が離れて戦力のバランスを崩すわけにはいかない。

跡部「案外今ごろランサーにやられてるかも知れねーな?お前がいないせいで」

真田「跡ーーーーーっうぐ!?」ドサッ

跡部「ーー跡部王国。悪いな、絶対死角にキツいのをぶち込んだ。しばらく立てねーだろうよ」

凛「跡部…アンタ」

跡部「さ、あとはキャスターを倒すだけだぜ」

真田「ぐ…不覚…」

凛(あの跡部が挑発からの不意打ちだなんてね。流石に不利だと思ったのかしら。ま、そういう勝ちに非情なところは氷帝の部長らしいけど)

※凛も夢で跡部の記憶を見ています。


キャスター「まったく、全員頼りにならないわね。…宗一郎様」

葛木「うむ」ザッ

キャスターを守るように葛木が前に出る。
普通はサーヴァントが前線、マスターが支援なのだが…この二人はどうやら毛色が違う。

凛「アーチャー。葛木はただの一般人よ。わたしが相手をするから、アンタはキャスターを」


跡部「…いや、待て」

跡部の眼力が、葛木の体格から何かを感じとる。

跡部「この立ち振る舞い、筋肉の量、質…一般人と言うには少々鍛えられすぎてるぜ、なぁ?」

葛木「…」

跡部「アーン?無視かよ。まぁいい、凛。お前はまだ下がってな。警戒していこうじゃねーの」

凛「…わかったわ」

跡部(一瞬とは言え、跡部王国と、さっきは氷の世界を使った。凛はこれぐらいでへばるようなマスターじゃないが、真田もまだ倒しきったわわけじゃねぇ。俺も橘との戦いで少し消耗してるしな)

キャスター「さぁ…消えなさい」ポゥ

キャスターの指が発光する。

跡部「手塚じゃないが…油断せずに行こうじゃねーの!!」 

ドドドド!!

キャスターの指から、魔術による光球が機関銃のように放たれる。

跡部「おっと」ダダダダッ

が、跡部もその程度で怯みはしない。襲いくる光球を全て、ラケットで打ち返した。返した球は、更に放たれる光球により打ち消され、まるで弾幕か二人の間で相殺しあってるような光景。

跡部「アーン?さっきの橘とのラリーのほうがキツかったぜ?その程度じゃねーだろキャスター」

キャスター「ええ勿論。でも、あなたを殺すのにはこの程度で良くってよ」クスッ

葛木「…」ダッ!

その時、葛木が動く。彼は相殺しあってる光球にまったく動じず…弾幕の中を、跡部に向かい駆ける。

葛木「ーーぬんっ!」ヒュッ!

三秒で間合いをつめる葛木。その拳が、跡部に放たれーー

凛「…さっせるかぁ!!」ドドドドッ!

葛木「むっ!?」

ーーーる前に、凛のガンドが両者を割る。紙一重で避けた葛木は、そのまま十メートル後退した。

凛(…避けたわね。反応するのに精一杯で、大して魔力を込めてなかったけど。葛木は魔術師じゃないから、魔力による非物理的な攻撃には耐性がないはず。当然キャスターが守るだろうけど、その分アーチャーが付け入る隙が出来るはずーー!!)

ーー宝石を取り出す。バーサーカー戦でほとんど使ったので残りわずかだが…一瞬でAランク級の魔術を行使出来るこれを、今使わないでいつ使うーーーーー!!

凛「行っけぇぇぇ!!」ビームッ!!

一つ目の宝石を消費する。

キャスター「宗一郎様!!」バッ!

無詠唱で放ったキャスターの魔術が、なんなく凛の魔術を相殺した。

凛「人が丹念に魔力込めてきたやつをあっさり相殺されるとか本当はすっごく腹立つけど!!まだまだぁ!!」バッ!!

残りの宝石を全て使い、持てる最大級の魔術を放つ

キャスター「往生際が悪い…!!」バッ

葛木への攻撃に苛立ちを隠せないキャスターは、凛の放った魔術を軽く超える防御壁で葛木を囲った。

凛「今よ!」ポゥ!

跡部「ああ!!」

跡部とキャスターの間の弾幕が消えた瞬間、跡部が駆ける!!

跡部「跡 部 王 国!!」

再び発動する跡部の宝具。絶対死角への打球が、キャスターを襲いーー!!

キャスター「この…程度で!!」

キャスターによる渾身の防御壁で、それは阻まれた。魔力による壁に跳ねた打球が、宙を浮き跡部の所に戻る。

凛(ここはキャスターにとってのホームグラウンド。逃げ延びる方法はいくらでもあるはず。中途半端な攻撃じゃなく、確実に仕留めないと。葛木はキャスターの防御壁で身動きが取れない、今が最大のチャンス!!)

凛「令呪により命ずる。この一撃でキャスターを倒しなさい!」ピカー

跡部「任せておきな、マスター!!」

跡部が跳ぶ。跳ね返った打球を、そのままーー

跡部「失意へのフーガだ!!覚えておきな!!」

令呪によるブーストを加えた威力で、放たれた。
それは、キャスターの防御を軽々貫きーーーーー

ドカァァァァアン!!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

神尾「リズムに乗るぜ!!」

ランサー「ち、うっとおしい奴だ!!」

神尾のスピードに翻弄されながら、他の部員達の打球を槍で受け流すランサー。
桜井、内川、森の打球は他の部員ほどのパワーはないも、当たれば傷をおうので無視は出来ない。

ーーその中で。

ランサー「ーーうっ!?」ピクッ

槍を持つ手に違和感。それは、痺るように、握力を奪っていた。それでも槍を離さないのはランサーの維持と誇りだがーー

伊武「なんだ、越前くんみたいにすっぽ抜けないんだ…。…つまらないなぁ…」

それが、伊武深司の高いテニスセンスによるスポットへの攻撃。当然、この隙を他のプレイヤーは見逃さない。

神尾「ソニックブリット!!」

石田「波動球!!」

音速の弾丸と、超破壊力の砲弾がランサーを襲った。

ランサー「うぐっ!?」

なんとか槍で防御するランサーだが、衝撃で吹き飛ばされる。

橘「行くばいランサーーーー、怪我せんごつ!!」

橘が宙を舞う。


その構え。


上半身を捻るような構えは。


かつて、彼の親友の視力を奪ってしまった。


そして、全国大会、同じ相手に最後に放ったその技の名前はーーーーー!!


橘「あ ば れ 球 ! !」


激しいブレにより分裂した、彼の渾身の打球が散弾銃のようにランサーに直撃した。


ランサー「がーーーはぁ……!!」ゴフッ

バターン!!


盛大な音をたてて、浮き上がっていたランサーの身体は叩きつけられた。

士郎「アサシン!!」

橘「おう…士郎。見てたか、俺達の…テニスを」

士郎「あぁ…ああ!見てたよ、見てた!」

橘「そうか…」フッ

目を閉じ、満足そうに微笑む橘。
ーー心臓を破壊されている彼の姿は、もう今にでも風と共に消えて行きそうなくらい…ボロボロで、成すべきことをやり遂げたような満足気な表情だった。


ランサー「待て、よ…」

アサシン「ランサー…」

士郎「やめろ、ランサー。もうアンタもボロボロだろ。それ以上、戦う意味なんて」

ランサー「…うるせぇ。あるんだよ、俺には」

アサシン「聖杯への、望みか?」

ランサー「んなもん、興味ねぇし…俺の願いは、今叶ってる」

士郎「なら、なんで…」

ランサー「なぁに。そいつとの戦いが楽しくてな。こんなもんで、消えるわきゃいかねぇんだよ。俺が、ずっとずっと待ちわびてた…全力の戦いだからだ!!」

士郎「ランサー…」

橘「いいだろう。受けよう、ランサー」

ランサー「はっ…ありがとよ」フラフラ


対峙する二人。
すでに、同じくらいボロボロの彼らだ。
一撃。それで、勝負はつくはず。


アサシンの部員達は、まだ現界している。
しかし、アサシンの方がもう余力がないのか、彼らに動く様子はない。


ランサー「楽しかったぜ。アサシン」


橘「ああ」


バッ!!


高く高く、ランサーが跳躍した。

ランサーの槍に、再び魔力が集まる。
残りの、ありったけの魔力。それを全て、ランサーはこの一撃にかけるーーーーー!!

アサシン「……」

ーーと、橘は上空を見つめると、固有結界、不動峰を解除した。

士郎「ーーアサシン、なんで」

橘「なぁに。単に、こいつらが傷付くのを見たくないだけだ。たとえ俺の魔力で出来た、偽物でもな」



ランサー「ーー何をゴチャゴチャやってやがる!!覚悟は出来たか!?行くぞ!!」


橘「来るぞ!!士郎ももっと離れておけ!!」



ランサー「突き穿つーーーーー」



ランサー「死翔の槍ーーーーー!!!」


真名解放し呪いの朱槍を投擲する。



それは、流星のように橘に向かいーーーーーその呪いと魔力を、破裂させた。





ランサー「はぁ、はぁ……!!」

これで、ランサーの残っている力はほぼゼロ。
着地したランサーは、膝をつき、もう立つことすらできないようだった。
魔力の破裂で戻ってきた槍が、彼の目の前を転がっている。

ランサー「どう、なったんだ…!?」

ゲイボルクの着弾地点の煙が、晴れる。



そこには。


橘「ーーーーー見事ばい…」


満身創痍だが、しかし消滅はしていない、橘の姿があった。

ランサー「ーーーーーくくっ…」 

橘「?」

ランサー「ハァーハッハ!!」

橘「何が…おかしい」

ランサー「いやー、参ったぜ。あれも耐えられたら、何も言えねえ。俺の負けだ、負け」

橘「俺のほうがダメージ受けてるだろ?良くて引き分けって所だろ」

ランサー「はっ、これを引き分けととるか。…最後に、テメェ見てぇな野郎と戦えて良かったぜ」ニヤリ

橘「最後って…もう消える寸前の俺と違って、お前はまだ…」

ランサー「生き延びるのは簡単だ。だが、今そんなつもりはねぇよ。…おい、坊主!!」

士郎「…俺?」

ランサー「お前、今すぐ俺にトドメをさせ」

士郎「ーーはぁ!?」 

ランサー「驚いてる場合か。俺には、戦闘続行Aってスキルがあるんだよ。今は動けねぇが、消滅するほどでもないし、もう少ししたらここから離脱するぐらいには動けるようになるんだよ」


士郎「じゃあ、いいだろ。生き残れるなら、わざわざそんなことしなくても」 

ランサー「バカかテメェ!!敵のサーヴァントが目の前で動けねぇってのに、放っとくやつがあるか!!」

士郎「ば、バカとはなんだよ。そっちこそわざわざ消えたがって、バカじゃないか!!…実は、ドMなのか?…もしそーなら、ええと、俺にはそんな趣味はないので…勝手にこの石段から飛び降りるとかしてくれると、助かる。だからその、勘弁してくださいってことで…」

ランサー「ーーー!!??あ、あのなぁ…!!違うだろ!!俺は!!」

橘「深呼吸だ、ランサー」

ランサー「?…すー、はー」

橘「落ち着いたか?じゃあ、分かりやすいように話してくれ」

ランサー「…俺をそのままにしてたら、マスターが令呪で何するかわからねえ。あと一つ、残ってるんだよ。俺は、今の戦いで満足だ。出来るならこのまま消えてーー」








言峰「ーー失礼だなランサー。私がそんな往生際の悪い真似をするとでも?」

ランサー「!!」

士郎「言峰…綺礼」 

言峰「久しぶりだな衛宮士郎。半人前なりにしぶとく生き残ってるようで何よりだ」

士郎「まさかアンタが…ランサーのマスターなのか」

言峰「この状況でまだそんなわかりきったことを聞くのかね?それは不正解だぞ衛宮士郎。私ならそんな無駄な問答をする前に相手の頭を砕いているな」

士郎「そういうアンタは敵の俺にまだ攻撃する素振りも見せてないじゃないか。話し合う余地があるってことだろう?」

言峰「ほう。どうやら、致命的なバカというわけではないようだな。…その通り。今はまだ、お前に手を出すつもりはない。私は、な」


ドドドド!!

瞬間、刃の雨が降った。
剣や槍など様々な宝具が、俺をめがけてーーー


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

キャスター「…う。宗一郎、さま…」シュゥゥ

跡部の宝具により致命傷を負ったキャスターは、マスターの葛木に手を伸ばしたまま、消滅した。

葛木「………」

葛木はキャスターが消えるのを確認すると、黙ったまま再び構えをとる。

跡部「アーン?まだやる気か?」

葛木「…最後まで、戦うのみだ」

跡部「そうかいっ」スパーン!!

葛木「…!!」

キャスターの補助を失った葛木が、跡部に叶う筈もなく。
呆気ないほどに、その戦いは一撃で終わった。

跡部「…終わったぜ」

凛「良くやったわ、アーチャー」

流石の跡部も、疲労からかその場に腰を降ろした。

真田「ぐぬ…跡部ぇ!!」ヨロヨロ

跡部「お前もまだ大人しくしとけよ真田ぁ。決着は後てキッチリつけてやるよ」

凛「まったく、あとはセイバーで終わりなのに。案外甘いのねアーチャー」

跡部「うるせぇよ凛。俺様とあろう者が不意打ちなんてみっともない真似しちまったんだ。最後の戦いぐらいは、正々堂々とテニスで決めさせてもらうぜ」

凛「まーいいけど。ここまで来たらアンタを信じるわ」

跡部「さすが俺様のマスターだな」

凛「ふんっ////」

跡部「…ん?」

凛「どうしたの?」

跡部「おかしい…橘の魔力が、消えた」

凛「ランサーが勝ったんでしょ?…あぁ、セイバーの前にランサーのこともどうにかしないとね。なんせマスターが綺礼だし」

跡部「違う。…ランサーも、消えている」

凛「え!?…じゃあなに、士郎が…」

跡部「それも違うな。もう一つ、サーヴァントの気配を感じる。少なくとも良い予感はしねーなぁ」

凛「はぁ!?サーヴァントはもういないはず………まさか、綺礼が…?」

イリヤ「ーーーありえない。八人目のサーヴァントなんて」

凛「イリヤスフィール?そっか、アンタもこっちにいたのね。顔色、悪いけど」 

イリヤ「…聖杯が、ほとんど満たされた。もうすぐ、聖杯戦争は終わる…」バタッ




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
キャスター消滅のほんの少し前



橘「ーーーーーがふっ…」

士郎を庇った橘が、幾つもの宝具でその身を串刺しにされていた。

士郎「アサ、シン」

橘「忘れるなよ、士郎…テニスを…楽しむんだ…」シュゥゥ

そう言い残し、アサシンは消滅した。

ギルガメッシュ「ハァーハッハ!!敵のマスターを庇うとは、なんと愚かなやつだ!」

言峰(あの衛宮士郎の顔www愉悦www)

ランサー「…おいテメエら。どういうつもりだ。今回は手を出さないんじゃなかったのか」

ギルガメッシュ「言峰はそう言ったらしいが…我には関係ないことよ」

言峰「私も手は出していないぞ?」

ランサー「ちっ…!!」スッ

ギル「ほぅ?そのボロボロの身体でやる気か?ランサー」

ランサー「たわけ。ボロボロだろうがなんだろうが俺の槍は一突きで終わらせる。もうテメエらに付き合えるか!!」

言峰「…ならば、令呪にて命ずる」

ランサー「やってみな。その令呪を使った後、あの世へ連れていってやるぜ言峰」 

言峰「自害せよ、ランサー」

ランサー「なっ……!!」グサッ!

ギル「そら、とどめだ」ドドドド!

ランサー「」

言峰(自害させたったwww愉悦wwwギルのとどめで反撃の心配もないwww)


士郎「アサシン……ランサー」

ギル「さて、この雑種はどうする?」

言峰「任せる。一応監督役である私が手を下すわけにも行くまい。向かってくるなら別だがな」

ギル「それがな、ただでさえ雑種には勿体無い俺の宝具がアサシンに阻まれたのでな。興が乗らん」

言峰「ならば行くぞ。…命拾いをしたな衛宮士郎」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

士郎「…俺は…」


士郎「終わらせないと」



士郎「この戦いを」




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

凛「ーーーーーやっぱり、アンタだったのね」

言峰「流石だな凛。これで聖杯戦争の勝者はほぼ決まったな」

凛「よく言うわ。じゃあアンタの隣にいるサーヴァントはどういうつもりよ」

ギル「威勢の良い雑種だ。だが、誰に物を言っている?」パチンッ


ドドドド!!

跡部「凛!!」バッ!


ギル「ほう。避けたか」

跡部「いきなり現れて無作法じゃねーの」

ギル「無作法?知るか、我は人類最古の英雄王。我の断罪を避けることこそ無作法と知れ」

跡部「…やれやれ、最後に面倒そうなのが来たな」

凛(マズいわね…。もうアーチャーはかなり魔力消耗してるし…。あの金ピカの言ってることが本当なら、人類最古の英雄王っていったら1人しかいない。こんなコンディションじゃ勝ち目なんてないみたいなもんよ!!)

真田「うぐ…跡部」

跡部「アーン?お前の相手をしてる場合じゃなくなったんだよ」 

真田「いいから聞けたわけ…。俺がこいつらを抑えるから、士郎を…士郎を頼む」

跡部「正気か?そんな身体で」

真田「フッ…ダメージは残っているが、お前と違い魔力はほぼ満タンだ。今のお前よりは戦えると思うが」

跡部「…カッコつけやがる」



士郎「ーー待て!!言峰!!」

跡部「ーーと、タイミングの悪いやつだな」

真田「ははっ…元気そうで安心したぞ」

跡部「というわけだ、凛。ここは退こうじゃねーの」

凛「…わかったわ」

真田「これで、いつかの借りを返せるな」

跡部「アーン?城の時のか?」

真田「そうだ。あの時、お前のおかげで…」

跡部「バーカ。士郎を連れてってやるんだからプラマイゼロだろ。まだ借りは消えてねーよ。…だから、ちゃんと生き残って返しやがれ」

真田「……………フ」

跡部「行くぞ、凛!」

跡部が凛を抱き上げ、最後の力を振り絞り駆ける。

跡部「こい、士郎!!」バッ

士郎「はっ!?…まてアーチャー、まだセイバーが…」

跡部「察しろバカが!!あいつは、その身を捨ててお前を守る気だ!!」

士郎「そんな…」


ギル「ーーーまて雑種。王に背中を向けるとは何事だ」パチンッ!

一気に石段を駆け下りようとする跡部達の背中を、ギルガメッシュの宝具が狙う。

真田「疾きこと風の如く!!」

ギル「むっ!?」

が、宝物庫の宝具が発射される前に真田の打球がギルガメッシュを直撃した。

ギル「貴様…!!」

真田「ずいぶん堅い鎧だな。火クラスのパワーでないと無理か」

ギル「よかろう、断罪を求めるかーーーーー!!」

先ほどより遥かに多く、宝具が展開される。

真田「…士郎。短い間だが、世話になったな」

覚悟を決める真田。すると


ポゥ…

真田(力が…溢れる。傷も治っていくようだ。士郎、令呪を使ってくれたのか)

ギル「消えろ、雑種!!」

ドドドド!! 

降り注ぐ宝具の雨。だが。


真田「遅い!!」

雷の速さで動く真田が、それを全て避け切った


ギル「なに!?」

真田「動くこと雷霆の如し!!」ドーン!!

ギル「くっ!!」

放たれる真田の宝具を、飛び退いて避けるギルガメッシュ。

真田「俺の雷を避けただと!?」

ギル「ふん、なかなかの宝具だが…その程度、我の宝物庫のモノには遠く及ばんな!!」

真田「くっ!!うおおおおーーーーー!!」

真田の最後の戦いが、始まった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
衛宮邸



跡部「ここまでくれば、大丈夫か」

士郎「なぁ、アーチャー。イリヤは?あそこにいただろ」

跡部「連れて行こうとしたが、すでにあの神父がマークしていた。ありゃ無理だったな」

士郎「そんな…」

凛「イリヤは聖杯だから、抑えておきたかったのね、きっと」

跡部&士郎「「ーーーーー聖杯??」」   


凛「かくかくしかじか」


士郎「なるほど。なんとなく聖杯戦争ってのがわかってきたな」

凛「イリヤを奪われた今、猶予はもうないわ。アーチャーの回復次第仕掛けに行くわよ。アーチャー、全快までどのくらい?」

跡部「アーン?夜明け前には行けるぜ」

凛「士郎、セイバーの様子は?」

士郎「大分弱ってるのを感じる。……あ!!!」

跡部「どうした!」

士郎「………今、消えた」

凛「……そう」

跡部「………」

士郎「セイバー……」

凛「充分時間を稼いでくれたわ。あれからもう一時間たつし、流石にあの金ぴかも消耗してるでしょ。綺礼も聖杯の起動があるから、わたし達への追撃はないでしょうね」

士郎「今は、許された時間を休息にあてるべきってことか」

凛「それで正解よ。夜明けまでの時間、全員仮眠をとって休む。いいわね」

跡部「あぁ」

士郎「了解」




次回の更新で終わります(多分)
あともう少しだけお付き合いくださいw

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
夜、土蔵



跡部「ここにいたか、士郎」

士郎「アーチャー。どうして、ここに?休まないでいいのか?」

跡部「戦闘でもしないかぎり、魔力供給は行われる。凛の話だと、俺様は回復が早いみてーだから問題ないぜ。お前こそ、休まなくていいのか?」

士郎「俺はまったく戦ってないから消耗してないし。本音を言うと、イメージトレーニングしてるほうが落ち着くんだ。日課の鍛錬もあるし」

跡部「へぇ。なかなかストイックだな士郎。いいアスリートになるぜ」

士郎「プロから見たら俺の鍛錬なんてトレーニングのうちに入らないんじゃないか?アーチャーも、テニスのプロを目指してるんだろ?」

跡部「アーン?当然だろ」

士郎「凄いよな。その年でちゃんとした目標があって。アーチャーなら、もうプロ級の実力ありそうだけど」

跡部「当たり前だ…と、言いたいとこだかな。いくら俺様でも、そこまで慢心はしないぜ。手塚や真田、ライバルになる奴はいくらでもいるからな。今でも、鍛錬は怠っていないな」

士郎「…やっぱりさ。そこまで自分をそうさせるのは、テニスが好きだから、か?」

跡部「アーン?」

士郎「アサシンが、言ってたんだ。テニスを…楽しめって」

跡部「なんだ、そんなことで悩んでたのか」

士郎「…」

跡部「ま、いいじゃねーの。お前はお前なりにやれば、よ」

士郎「え?」

跡部「俺様も、他の奴らも各々色々な思いでテニスを続けてる。中には、楽しむことなんて忘れちまう奴もいる」

跡部「ま、橘の気持ちはわかるがな。お前にそこまでの才能があるなら、テニスを好きになれればもっと伸びていくだろうよ」

士郎「でも、俺のテニスは投影してるだけの…偽物だ」

跡部「偽物でもいいじゃねーの。俺様の知ってる奴でも、樺地や仁王、プレイスタイルを真似するやつはいるぜ。お前のそのプレイスタイルを伸ばすかどうかは、お前次第なんだよ」

士郎「そうか。…ありがとう」

跡部「ち、柄にでもないこと長々と喋っちまったな」

士郎「はは…」

跡部「とにかく、今はやることをやろーじゃねーの。試合中に雑念は無用だぜ」

士郎「ああ。俺は俺に出来ることを、やってみる」

跡部「それでいい。やっといい顔になったな」

士郎「アーチャーって、意外と面倒見いいんだな」

跡部「バァカ、俺様を誰だと思ってやがる。氷帝の部長、跡部景吾だぜ」パチーン

士郎(そういう王様気質だから、意外って言ったんだけど)

跡部「ーーあぁ、そうだ。俺様としたことが、用件を忘れてたぜ」

士郎「用件?」

跡部「次の戦いには、俺様とお前だけが行く。凛は俺様が回復に大分魔力を貰っちまったから、本調子じゃないしな。そんなマスターを庇って戦えるほど、アイツらはヌルい敵じゃないはずだ」

士郎「そうだな、俺も賛成だ。わざわざ遠坂を危険な目に合わせることもない。マスターとはいえ、女の子なんだから」

跡部「当然だろ?なぁ?」

士郎「遠坂のサーヴァントが、アーチャーで良かったよ」

跡部「それも当然だ。聖杯戦争だろうがなんだろーが。勝つのは…」



跡部「 俺 様 だ」パチーン

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
夜明け


凛「さぁ、行くわよ!」

跡部「待ちな凛」

凛「は?」

跡部「先にハッキリ言っておくが、戦うのは俺様と士郎だけだ」

士郎「あぁ。遠坂は、戦いが終わるまで安全な所から様子を見ててくれ」

凛「ちょっと何よそれ!そりゃもう宝石はないけど、わたしだってバックアップぐらい…」

跡部「今回は俺様もお前の魔力を全部出し切ってもらうぐらい全力で行かなきゃいけねーんだよ。手負いとは言え令呪でブーストした真田を倒した奴だ。お前を庇う余裕もねーだろ。なぁ?」

凛「………く。そうね。今更、アンタの足手まといにはなりたくないし」

士郎「あとは任せてくれ、遠坂」

凛「わかった。…いーい!?その代わり、勝ちなさいよ!死んだら許さないから!」

跡部「了解だ、マスター」ニヤリ

士郎「ああ。行ってくる」

おお、帰ってきたか

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 柳洞寺


ギル「ーーー来たか。わざわざ殺されにくるとは、つくづく愚かな奴らよな」

跡部「アーン?」

士郎(不遜な感じなのは良い勝負だな、2人共)

ギル「そこの雑種!奥で言峰が待っている。さっさと行くがいい」

士郎「言峰が…」

跡部「行きな。こいつは、俺様があしらっといてやるよ」

ギル「貴様…この英雄王を前になんて態度だ。その罪、死だけでは償えんぞ」ピキッ

士郎「任せたぞ、アーチャー」タッタッタッ

跡部「さぁて、始めるとするか」スッ



跡部「ーーー英雄王だかなんだか知らないが」



跡部「俺 が キ ン グ だ ! !」


ギル「思い上がったな…雑種ぅぅぅ!!」



そうして、最後の戦いがーーー始まった。

言峰「待っていたぞ。衛宮士郎」

士郎「言峰…綺礼」


※原作の会話中略



士郎「うぉぉぉぉ!!」

イリアを見て冷静さを欠き、突っ込んで行く士郎。 

言峰「芸がないな」バッ

言峰が手をかざすと、背後の呪いの泥が士郎を襲った


原作のシーン中ry


士郎「足滑った!!」ズルッ

言峰(究極のバカだこいつ…)ドン引き



呪いの泥が、士郎を包み込んだ。





>>174
遅くなってごめん

ーーーーーーードドドド!!

ギルガメッシュの宝具と、跡部の打球が衝突する。
宝具の雨に不利かと思われる跡部だが、持ち前の眼力で見切り、相殺出来ぬものはラケットで直接弾くことで、ダメージを許すことなく防いでいた。

ギル「ーー雑種ごときが、この我の宝具を防ぐだと?」

跡部「今までの俺様じゃ、キツかっただろうな。しかし、この聖杯戦争を通して、俺様は進化している」

ギル「調子に乗るなよ!雑種風情がぁ!!」


ドドドド!
激昂し、更に弾幕を強くするギルガメッシュ。


跡部(そうだ…焦って攻めて来いよ)

跡部のテニスは、眼力で隙をつくりそこをつく戦法である。
前よりも進化しているとは言え、無数の宝具を持つギルガメッシュに真っ向勝負は勝ち目が薄い。
あえてギルガメッシュを挑発し、その隙を見定めようとしていた。

跡部「そこだぜ!ほぅら、凍れ」

ドドドド!


弾幕の僅かな合間を、跡部が見切る。
無数の氷柱が、ギルガメッシュを襲った。


跡部(…いや、待て。無数だと!?)

自らが放った技に驚愕する跡部。
氷の世界は、相手の死角に氷柱を降らせる技。
つまり、隙が多いほどその数は増えるが。


ギル「ーーーーふんっ!」

新たに取り出した剣の宝具の一閃が、襲いくる氷柱を消し飛ばした。


跡部「こいつ…!」

ギル「雑種らしい姑息な戦い方だな。しかし、慢心せずに何が王か!!貴様の攻撃など、我の宝具を持ってすれば無意味よ!」


跡部「なるほどね。いくら死角をつこうとも、臨機応変な対応ができる宝具がいくらでもあるってことかよ。つくづく相性が悪い戦いをさせられるじゃねーの、聖杯戦争ってやつは」

ギル「生意気な小僧だ。これが、貴様と我の格の差と知れ」

跡部「くっ…」

ギル「しかし、このまま続けても埒があかんな。…よかろう。貴様!我の前で軽々しく王と名乗ったのだ。それ相応の咎、いや…むしろ光栄と思うがいい!王の剣を見せてやる」

跡部「なに…?」

ギルガメッシュが、宝物庫から新たな剣を取り出す。

ギル「行くぞ…エア」

跡部「!!」

ギルガメッシュ、いや、その手に持つ剣が、禍々しい魔力の渦を作り始める。
そのプレッシャーに、跡部の第六感が訴えかける。

…あれは、危険だ。今まで見た、どんな宝具よりも。



ギル「エヌマーーーーーーー!!」


ギル「ーーーーーーエリシュ!!!!」


刹那。


跡部の視界は、禍々しさを越えた、神々しい赤い光に包まれーーーーーーー


ドカァァァァァァァァアン!!!!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーー黒い泥の呪いが、身体を焼いている。
死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。

地獄の亡者に全身を侵されているように、憎悪の叫びが頭を怖そうとする。



士郎「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


いくらもがこうと、絡みついた呪いは剥がれ落ちることはない。


溶ける。


憎悪だけで、全身が溶かされてしまうーー!!



士郎「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」



ーーーーーーーーーーーーーー
跡部「く………あぁ……」

煙が、晴れる。
ギルガメッシュの宝具を受けた跡部は地面にひれ伏し、立ち上がれないでいた。

ギル「ほぅ。まさか生きているとはな、雑種」

跡部「う……」

ギル「ハハハハ!減らず口も、もう聞けぬか!…あぁ、当たり前だろう。このエアの一撃、貴様には過ぎたものよ」

跡部「くそ…」

身体に力を入れる。
が、全身の細胞がそれを拒絶するように、立ち上がろうとすると痛みで、起き上がることができない。

跡部「はぁ…はぁ…」

両手両膝をついて、這いつくばるように身体を起こすのがやっとだった。

ギル「まるで犬よな。四足動物に進化したのか?雑種」

嘲笑うように見下す、ギルガメッシュ。
それはもう跡部を敵としてすら見ていない。
土の上にもがく羽虫を見るような視線。


ギル「ーーあぁ。もうよいぞ。雑種が這いつくばるのを長々と楽しめるほど、我も酔狂ではない」パチーン

もう飽きた、と言わんばかりに。跡部に興味を無くしたギルガメッシュは、すでにエアを閉まった空手の指を、鳴らした。


ドドドド!


射出された五本の宝具が、跡部を襲う。

跡部「ぐぁ!」

なんとかラケットを盾にする跡部だが、3本は弾き、一本は身体を掠め、そして最後の一本は利き腕である右肩に深く刺さった。



跡部(ふ…なるほど。こいつは痛いな…なぁ、、手塚よ)

肩の痛みに思わず、かつて自分が試合で潰してしまった、ライバルの姿を連想する。

跡部(ああ…もしも手塚なら、こんな傷でも、立ち上がって見せるんだろーよ)

あの日の、肩を壊しながら最後まで自分と渡り合った手塚。
跡部にとって、生涯忘れることはないだろうあの試合。


ーーその記憶は。



跡部「チッ…ならば俺様も、このぐらいで這いつくばってるわけにはいかねーよな?そうだろ?手塚…!!」


跡部の身体を、奮い立たせた。


跡部「おぉぉぉぉ!!!!」


ギル「何ぃ!?」

立ち上がる跡部。


ギル「貴様…まだ!」

跡部「負けられねーな…俺様は。キサマくらい超えないと、手塚や氷帝の部員達に合わせる顔がないぜ!!」

ギル「ぬかせ!…消えろ、雑種!!」パチーン

ドドドド!再び襲いくるギルの宝具の雨。

跡部「こんなモノでやられるわけにはいかねーよなぁ?ーーーそうだろ?」


跡部「なぁ…『樺地』」


樺地『ウス』





ガガガガ!!


跡部を庇うように、現れた樺地が宝具を全てラケットで叩き落とす。


ギル「な、なんだ貴様は!…いや違う。あの雑種が魔力で形成したものか!」

跡部「橘。お前のおかげだぜ」

橘との柳洞寺での戦い。
自分の魔力で守護者を産み出すという戦法を知れたのは、彼との戦いの成果に他ならない。


跡部「さぁ、行くぞ樺地。俺様とダブルスだ」

樺地『ウス』


ギル「チィィィ!!」


ドドドド!!

再び宝具の雨。



樺地『イィーー!!』

が、それを全て先行する樺地が叩き落とす。


ギル「ば、バカな!!」


跡部「さぁ、俺様達の美技に、酔いな!!」パコーン!


ギュルルル!!



ギル「なっ!?うぉぉぉ!?」


ついに、跡部の打球がギルガメッシュを捉えた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーー泥の中の士郎は、もがいていた。


全身を呪いでやられようとも、侵されても。
彼の心に生まれた、小さな光が、『この世全ての悪』に抵抗する。


『士郎は、俺が守る』

出会って間もないのに、いつも全力で守り、忠誠を尽くしてくれたセイバー。
彼に、テニスとそれに打ち込むことの眩しさを教わった。

『テニスを楽しめ…士郎』

敵同士なのに気にかけてくれて、最後はその身で守ってくれたアサシン。
彼に、テニスを楽しむ心と、無限の可能性を教わった。






士郎「そうだ…負けられるか…!!」

遠坂も、アーチャーも。最後まで力を貸してくれた。




ここで俺が、何も出来ずに終わってどうするーー!!





士郎「ーー投影、開始」


ーー撃鉄が落ちる。
その瞬間、衛宮士郎の集中力は呪いを凌駕しーー投影した、『あの男』のラケットを握った。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ギル「おのれ!おのれおのれおのれオノレオノレ…!!」

跡部「はぁ!」

樺地『ホゥ!』

跡部が、ギルガメッシュを追い詰めていた。
樺地が全ての宝具を完封し、跡部が攻める。
後退して避けるしかないギルガメッシュは、そのみっともなさと先ほど受けたダメージで、見るものを呪い殺すような形相をしている。



凛「ーーやるじゃない、アーチャー!!」

マスターの凛は、山門の下から使い魔を通して、その戦いを見ていた。
彼女の令呪は、残り2つ。
先ほどの跡部のピンチも、彼を信じて耐えていた。
ーーそう。来るべき、そのチャンスのために。

 


ギル「ぐっ…今はお前が強い!」


大きく後ろに後退するギルガメッシュ。
彼も、認めるしかなかった。
全力ではないとは言え、エアの一撃から立ち上がり、そして宝具の射出を全て防ぎきる、アーチャーの実力を。


ギル「認めてやろう、アーチャー!そして、真の意味で我はこれを抜く!」

再び、その手にエアを握るギルガメッシュ。
先ほどと違い、真に跡部を認めた証として。

ギルガメッシュ「ーーーーエヌマ」


凛「令呪によって命じる。この一撃を、防げ!」ポゥ

跡部「ーー助かるぜ、凛!!…樺地!!」

樺地『ウス!!』

樺地が、ギルガメッシュと同じ構えを取る。

ギル「ーーーーーーエリシュ!!」

跡部「そっくり返してやれ!!」

樺地『イィーー!』

樺地の打球が、赤い光の渦を描きーーギルガメッシュの宝具と、衝突したーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ゴォォォォォ!!


言峰「ーーむ!?」

神父が、驚愕する。
泥に包まれていた衛宮士郎が、それを全て弾き飛ばしたからだ。

士郎「ーー衛宮ファントム」

言峰「投影魔術?貴様、何者ーー」

士郎「言峰、綺礼ーー!」

士郎が、高くサーブトスを上げる。


(忘れるな、士郎。テニスをーー楽しむんだ) 
士郎(ああ!)


サーブを打つ、その瞬間。
士郎の身体は、眩い光に包まれた。





ギル「ーーなに!?我のエアとまったく同じものでーー相殺だと!?」

衝突する魔力。
完全に無防備なこの隙を、跡部は見逃さない!!

凛「今よ!最後の令呪!この一撃で…倒しなさい、アーチャー!!」

跡部「うおぉぉぉぉ!!」

跡部もまた、打球を打つ瞬間、眩い光につつまれた。
この戦いで成長し、そして令呪の加護をうけた跡部と、士郎が到達したそれはーー!





天  衣  無  縫  の  極  み !




跡部&士郎「はぁぁぁぁぁ!!」



そうして、放たれた打球は。


ギル「そ、そんなーー!!」

言峰「バカな…!!」

最後の敵を、容赦なく貫いた。


士郎「ーー終わった、のか?」


敵は、倒した。
後はイリヤを助けて、聖杯をどうにかしないと。


凛「ーー士郎!」

士郎「遠坂、アーチャーも」

跡部「そっちも、勝ったようじゃねーの」

士郎「ああ。お互い無事で良かった」

凛「あれが、聖杯…願望機っていうより、呪いそのものじゃないの!あんなの使ったら、ロクなことにならないわね」

跡部「どーすんだよ?」

士郎「破壊しよう。いいだろ?遠坂」

凛「そうね、お願い。わたしがイリヤを今降ろすから、破壊して」

士郎「ああ」


アーチャーが泥を払いのけ、遠坂がイリヤを救出する。


凛「ありがとう、アーチャー。出会いこそ最悪だったけど、色々助けてくれた。あなたがわたしのサーヴァントで良かったわ」

跡部「アーン?こっちこそ、な。俺様がいないからって、泣くなよ?」

凛「泣かないわよ!もう、あんたは最後までそんな調子で。ま、あんたらしいけど♪」

跡部「そろそろさよならだ。俺様の姿、キッチリ焼き付けとけよ」パチーン

凛「はいはい」クスッ


凛「オッケー!いいわよ、士郎!」

士郎「ーー投影、開始」

見てるか?セイバー、アサシン。
ありがとう。これで、全部終わる。


最後は、一番憧れた、あの技で終わらせよう




 





士郎「あ ば れ 球 ! !」






真田「キェェェェ!俺の技を使わんかぁぁぁあ!!」





おわり

ちなみに補足しておくと、跡部達の英霊としての扱いは、セイバーみたいに生きてるけど…みたいな感じです。
天衣無縫の手塚さんのファントムで魂だけ吹っ飛んで冬木の聖杯戦争に紛れ込んだみたいな。
なので聖杯壊したら、元の世界へ戻るってことでw

初SSで駄文、亀更新と申し訳ありませんでした!

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