咲「今日もお姉ちゃんに無言電話しよっと」 (27)
照「もしもし」
咲「…………」
照「またか……」
咲「…………」
照「あなたね、こんなことしている暇があったら別のことしたら?その方が何百倍も建設的ですよ?」
咲「…………」
照「趣味とか見つけたらどうですか? 無言電話以外の!」
咲「…………」
照「本当迷惑なんです」
咲「…………」
照「聞いてます?」
咲「…………」
照「どこの誰だか知りませんけど、言いたいことがあるならハッキリ言ってください」
咲「…………」
照「警察に通報しますよ」
咲「…………」
照「いいんですか? 人生終わっちゃいますよ」
咲「…………」
照「っ――」ガチャ!!
ツーツーツー。
咲「ふぅ、充実した時間だったよ」
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咲「そうだ、ファンレターの続き書こう」
咲「私が一番お姉ちゃんの喜ぶツボを知ってるんだから」
咲「かっこいいよりかわいいって言われる方が嬉しいとか。そのくせ、自分にクールってイメージをつけるために必死で無表情作ってクールを演出していることとか」
咲「利き手で書くとバレる可能性があるから、逆で」
咲『インターハイ優勝おめでとうございます。ぼくもテレビの前で「やったー」ってさけびました。ざっしに書いてありましたが、おかしが好きと書いてありました。ぼくもおかしが大好きです。宮永選手がすこし身近に思えてますます応援――』
咲「んーー。応援より好きの方がいいかな?」
咲「『ますます応援したくなりました』、『ますます好きになりました』。どっちがいいかなー」
咲「うん。好きになりましたの方かな」
咲『これからもがんばって下さい。お手紙のお返事ありがとうございました。とてもうれしかったです。原村和也。9才」
咲「できた! この手紙封筒に入れてっと」
咲「あ、そうだ返信用の切手も中に入れなきゃ」
咲「9才の子がここまでしたら、きっとまたお姉ちゃん返事をくれるはずだよ」
咲「さぁ、投函しに行こう」
咲「うーーん!」(背筋を伸ばしながら)
咲「なんだか幸せだなぁ~」
【和の自宅】
恵(和の父)「ん? 原村――和也?」
恵「なんだ、これは?」
恵「ふむぅ」
和「あっ、その手紙私のです」
恵「和の?」
和「はい、男の人の名前にすると防犯上役に立つとかで」ドキドキ
恵「そうか、この手紙は和に」
和「はい、ありがとうございます」
和「危ないところでした……」
和「この手紙は咲さんに渡さないと」
和「ふう……こんなことやめさせるべきなんでしょうか」
和「でも……私には……」
和「歩く道すがら考えましょうか……」
和「やめさせるにしても、なんと切り出せばいいのか……」
和「う~ん」
和「あっ、いけない! ICレコーダーを忘れていました。あれがないと咲さんの声を録音できないじゃないですか」
和「録音ボタンを押して、カバンの中に忍ばしてっと」
和「咲さん!」
咲「和ちゃん。おはよう」
和「おはようございます。これ手紙です」
咲「ありがとう、和ちゃん!」
和「いえいえ」
咲「じゃあ、早速」
(熟読中)
咲「お姉ちゃん、文中に『!』が多いな」
咲「手書きなのに、『(^^)/』こういった顔文字使うんだ~」
咲「やっぱり、設定を9才にしたのが大きかったのかなぁ」
パシャ(無音)
和(いい写真が撮れました。これは引き延ばして部屋に飾り用決定ですね)
和(もう少し蕩けた顔の写真も欲しいですね。外だから無意識に自制しているかもしれません。今度は試しに人目のつかない屋内で手紙を渡してみましょう)
咲「お姉ちゃんの私物とかほしいな~」
和(わかります)
咲「できれば、お姉ちゃんの匂いのついた私物がほしいな~」
和(私も咲さんのパンツが欲しいです)
咲「タオルとか、枕カバーとか」
和(えっ!? そっち!?)
咲「ほしいな~」
和(咲さんが健全すぎて、涙が出そうです……)
和(でも、枕カバーは私も欲しいですね。染みこんでそうですもんね、匂いが)
咲「お姉ちゃんとパジャマパーティーとかしたいなぁ」
和(パジャマパーティーネタは誰しもが一度は考えますね)
咲「パジャマを交換し合ったり」
和(パジャマパーティーでパジャマを交換とは斬新ですね)
咲「くすぐり合いとかしたり」
和(そして、その後はもちろん)
咲「そういうことがしたいなぁ」
和(あれ!? 続きは?)
和(でも、咲さん用のパジャマなら、もうありますよ。私の家に)
和(パジャマの限界を超えたくらいフリフリがついてますけど)
和(もう1着『実用』のパジャマもありまよ)
和(リアル抱き枕に着せて、毎晩そりゃあもう)
咲「あ、帰りに切り抜き用のアルバム買わなきゃ」
和「切り抜き用のアルバム?」
咲「うん、雑誌とかに載っているお姉ちゃんの写真を切り抜いて専用のアルバムを作ってるの」
和「そうなんですか」
咲「綺麗に切り抜くのが結構大変で、失敗してまた同じ雑誌を買い直したり」
和「へぇ~」
咲「加工したりするのも時間かるんだよね」
和「加工!? 咲さんもアイコラを作ったりするんですか!?」
咲「アイコラ?」
和「ええ」
咲「ハート型に切ってみたりってこと?」
和「…………似たような感じです」
和(そういえば、咲さんパソコンを持っていませんでしたね……)
和(アナログでアイコラもデジタルとは違った味があるかもしれませんね)
和(今度、やってみましょう)
和(はっ! それでは咲さんの写真を切らないといけなくなるじゃないですか!)
和(なしですね……)
和(体の方の写真を紙の着せ替え人形みたいに、咲さんの写真に重ね合わせればどうでしょうか)
和(着せ替え咲さん……ふふ、いい響きですね)
咲「制服の写真ばかりなのがちょっと不満かなぁ」
和「わかります」
咲「それもバストアップばっかり」
和「仕方ないですね」
咲「お姉ちゃんの私服の写真ほしいな」
和「でしたら、カメラをお貸ししましょうか?」
咲「和ちゃん、カメラ持ってるの?」
和「ええ、最近カメラに凝ってまして」
咲「風景とか撮るのかな?」
和「いえ、私は専ら人物ばっかりで」
咲「へぇ~今度見せてね」
和「へっ?…………写真をですか?」
咲「うん」
和「お見せするほどの物ではないですよ」
咲「別に笑ったりしないよ?」
和(むしろ笑えないかと)
和(急いでカモフラージュ用の人物写真を撮らなければなりませんね)
和(さすがに咲さんの笑顔の写真が4冊分(200枚ちょい)もあれば引きますよね……)
和(いや、かえって性的な目で咲さんを見ていなく、純粋な好意であることの証明になるかもしれません)
和(ふむ。一か八かですね……)
咲「この前、大掃除してたらお姉ちゃんが昔書いたポエムノートが出てきたんだ」
和「へぇ」
咲「今日持ってきたの。見てみて」
和「はあ……」ペラペラ
咲「お姉ちゃんね、創作用と清書用って2冊にわけてるんだ。かわいくない?」
和「そうですね」
咲「そのポエムノート、お姉ちゃんが5年生の時に書いたものなんだけど、字がすごく上手だと思わない?」
和「そうですね」(そうでしょうか……)
咲「表紙に書いてあるタイトルが『部屋とTシャツと私』。すぐ何かに影響されちゃうところがかわいくて、好きなんだよね~」
和「はぁ」
咲「影響と言えば、白糸台に行ってからあからさまにキャラを作るようになって、見ていてこっちが恥ずかしくなってくるよ」
和「そうなんですか」
咲「あれってお姉ちゃん好きな小説の影響なんだ」
和「へぇ」
咲「マスコミの前では愛想良くして、対局中は笑わない、無駄なことは一切しない。あれは昔、お姉ちゃんがすごくはまっていた小説の主人公そのまんまなんだよね」
和「へぇ~」
咲「そのくせ必殺技なんて作っちゃうあたり、お姉ちゃんぽいなーって」
和「ほぅ」
咲「卓の右端を掴んでからわざわざツモるっていう動作にも元ネタがあって――」
和「はぁ」
咲「すぐわかっちゃうよ。ああ、アソコから取ってきたんだなーって」
和「…………」ニヤリ
咲「子供の時、って言っても小学生の時ね。あの必殺技をつかったんだけど、アガリ牌じゃなくてそのままツモ切りしたことがあったんだ」
和「へぇ」
咲「お姉ちゃんの顔が真っ赤になっちゃて、俯きながら打ってたな~。その時のことを鮮明に覚えてるよ」
和「はぁ」
咲「思い出しただけで、すごくきゅんきゅんするよ~」
【その夜、和の自宅】
和「…………」カチカチ
和「今日は大漁でしたしやることが多いですね」
和「…………」カチカチ
和「……上手くいきませんね」カチカチ
和「…………」カチカチ
和「再生っと」
『ザァッ 和ちゃんの プチッ 子供 ほしいなあ~』
和「雑音が入っちゃいましたね」
和「…………」カチカチ
『和ちゃんの プツ 子供ほしいなあ~』
和「次へ行きますか」
『和ちゃん……好き』
和「これは自然ですね」
『和ちゃんの匂い プツ きゅんきゅんするよ~』
和「『きゅんきゅんするよ~』は汎用性高いそうですね」
カチカチ。
『アソコ プチッ きゅんきゅんするよ~』
和「合わせましょうか」
和『和ちゃん、すごく上手 プツ アソコきゅんきゅんするよ~』
和「うん」ニッコリ
和「『アソコ』というワードが出てきたのは大きかったですね~」
和「いくらでも作れそうです」
和「…………」カチカチ
和「……………」カチカチ
和「………………」カチカチ
和「…………………」カチカチ
和「よし」
『私と和ちゃんのアソコ プツ くすぐり合いしたいなぁ』
『アソコ プツ 真っ赤になってるよ~』
『アソコから プツ 何か プツ 出てきた』
和「いい感じですね」
和「ただ、少し調整が必要ですね」
和『…………』カチカチ
和『…………』カチカチ
和「できた」
和「最初から聞いてみましょうか、再生っと」
ピッ。
『和ちゃん、かわいいね
和ちゃん……好き
じゃあ早速、したいなぁ
和ちゃんの子供ほしいなあ~
バスト見せて
和ちゃんがほしいな~
私と和ちゃんのアソコ、くすぐり合いしたいなぁ
アソコ真っ赤になってるよ~
和ちゃん、すごく上手。アソコきゅんきゅんするよ~
アソコから何か出てきたよ』
和「今日はこれを聞きながら寝ることにしましょう」
和「いい夢が見られそうです」
和「いずれは咲さんのボイスCDを作りたいですね」
和「ふふふ。充実した時間でしたね」
カン。
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やべえやつだ