男「明星与太話」 (13)


男「なぁ、知ってるか?」

友「勿論しってるぞ」

男「なんだ、知ってたのか」

友「冗談だって、心底残念そうなつらを見せるな」

男「面倒くさそうに相づち打たれたら、心も折れるわ」

友「閑話休題だ、何を言いたかったんだ?」

男「そうこなくっちゃな」

友「百面相だなぁ」

男「ごほん!…空を飛べる人間だよ」

友「あー、スーパーマンのことか?」

男「いやいや違う、ノンフィクションだよ」

友「飛行機の中にいるとか、スカイダイビングとかだったら知ってるな」

男「朝のジョギングで汗を流しているところにな」

友「聞けよ」

高度200メートルくらいのところをスーっと移動するおばさんがいたんだよ。

別に羽をばたつかせたり、背中にマント、ベルトは反重力装置、そんなものは一切なかった。

俺らと同じさ、ただの二足歩行の人間…まぁ、足は動かしてなかったな。

風に流される風船みたいに動いていたってわけよ、この街でさ。

友「ふーん…?」

男「お前って、いつもそうだよな!反応が薄すぎてつまらない!感動を分かち合いたいのにすぐこれだ」

友「お前、今日コンタクトじゃないのな」

男「たまにはメガネだってするさ」

友「なるほどなるほど、空飛ぶ人間。確かにいるな」

男「だろ!?お前のいいところはなんだかんだ信じてくれるところさ!」


友(空論に羽ばたいてる、地に足も付けないこの男。これが空飛ぶ人間の正体…ってか)


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男「いいニュース、わるいニュース」

友「は?」

男「どっちから聞きたい?」

友「突拍子もなく言いよって、アメリカのドラマでも見すぎたか?」

男「つれないなぁ、言うだけ言えって」

友「入れ食いで来られても困るだろうに」

男「困らないよ、むしろウェルカムさ!」

友「やっぱりドラマだな…じゃあ良いニュースから」

男「昨日テスト勉強をしようと机に向かったんだ」

友「テスト無いけどな」

男「そしたら俺は気がついた、テストなんて無か…おぅシット!」

友「フライングゲットしてすまなかった。てかジャストミートしちまったか」

男「サヨナラホームランだよ馬鹿野郎!」

友「悪かった悪かったよジョン」

男「おい、きやすく俺の名前を言うんじゃねえよメーン?」

友「悪かったって、ハンバーガーでもおごるさ」

男「コーラとポテトも付けてくれ」

友「…調子に乗りすぎだが敢えて目を瞑ろう…んで?」

男「はい?」

友「はいじゃねえだろ!ニュース!わるいニュースだよ!」

男「あぁ…いや、もう解決したし」

友「解決したってなんだよ、いいから言えって」

男「…昨日の昼から何も食ってない」

友「金欠の話かよ!」

男「でも、俺はこれからハンバーガーとコーラとポテトにありつけるんだぜ?これ以上のハッピー、俺は知らないね!」

男「さ、いこうぜ相棒!肉いあいつに齧りつけ!」

友「どうでもいいこと言いやがって、俺の財布にわるい野郎だ」

男「そこはサンド(賛同)してくれないかな、なんつって」

友「コーラーたまげた、俺のイモ(胃も)ムカついてきやがったよ」

友「三流記者の三面記事に三文芝居がテンコ盛りだな」

男「俺は千両役者だけどな」

友「おごるのは約800円」

男「なぁなぁ、千両って今幾ら?」

友「知るか!さっさと食って帰るぞ!」


男「あー、夜が終わっちまった」

友「お前時折中二病なのな」

男「言っとけ、また朝が来ちまう…終わらないで春休み」

友「小学生かお前は」

男「初心忘れるべからずってこう言うことだろ?」

友「そりゃただのピーターパン症候群」

男「なにそれ!?カッコイイ」

友「中二に成長したなピーター」

男「ネバーランドって…どこにあるんだろうな」

友「知らねえけど、サンタ・イェンツ渓谷とか」

男「知ってるじゃん、細かいとこまで知ってるじゃん」

友「昔ニュースにもなったからな」

男「サンタと言えば、何歳まで信じてたよ?」

友「話もコロコロ変わりやがって…」

男「俺はボンボン派だったよ」

友「んん、俺は最初からサンタなんて信じてなかったな」

男「はい出ました、一味違います宣言」

友「は?」

男「ブラックが小学生から飲めたり、いきなり蜂が飛んできても動じないとか」

友「親がブラック派で褐色の恋人すらいなかったんだよ。あと砂糖は一々入れるのがめんどくさかった」

男「お前昨今のラノベの主人公みたいだな!めんどくさがりなところとか、ブラック好きとか!」

友「絶対偏見だろそれ…あと俺はそんな主人公になれる要素は無いから。普通だよ普通」

男「いやいやそれもラノベの主人公っぽい!至って普通の~とか」

友「じゃあ俺を表す言葉を探してくれよ」

男「…たんぱく質の塊」

友「ためしてガッテンでピックアップされてそうなやつだな!」

男「ブラック飲めるマン」

友「飲めない僻みにしか聞こえねえよ小学生か」

男「コーヒーのだしがらは、いい肥料になるんだよ」

友「おばあちゃんか!」

男「すっかり光が闇を照らしちまった…ああ!もっと遊びたいー!」

友「いってろ、年齢不詳」


男「俺がラスボスになったらさ、お前って職業なんなの?」

友「ここは、東の村だよ」

男「え?そこは勇者か道中仲間になったり、酒場で勇者様の為にドーピングする奴らじゃないの?」

友「ここで装備していくかい?」

男「俺としてはさ、お前は勇者になれると思うんだよね」

友「俺はお前を切りたくないぞ」

男「お、おぅ…///」

友「どうのつるぎが錆びてしまう」

男「俺価値ねえな!ラスボスだぜ!?」

友「基本的に最初から最強にしてから挑むからなぁ」

男「次の町行くまでにどのくらい時間かかるのさ」

友「丸々1週間はかかる」

男「リアリティ思考なのかゲーム思考なのかわかんねえな!」

友「レベルは最低でも50はあってほしいな」

男「もう素手で戦えるじゃん!どうのつるぎ売れよ!」

友「こんな至らない話、何が面白いのやら」

男「至らない話に至る。ってなんかかっこよくね?」

友「くだらな!なんか揚げ足取りみたいだな」

男「あー、ラスボスになりてぇ。恐怖のどん底に陥れてぇ」

友「どの道お前にゃ、勇者に敵わないだろうよ」

男「そもそもこんな願いも叶わないってね」



男「はぁ…ハローワークの前で何言ってるんだろうな俺らは」

友「ここは、ハローワークだよ」

男「職を捨てるなんてとんでもない!」

友「学生はマスターすると勝手にジョブ外れるんだよ」

男「無職が覚えそうな特技って何かな」

友「お前だけマスターしとけ」


男「昨日、バーベキューに行ったんだよね」

友「家族で?」

男「そんなわけないじゃん」

友「ぬな!?だったら俺も誘えよ、人数はどのくらいだった?」

男「多すぎて、一々カウントしてられないよ」

友「くそ…なんでお前だけその中に入ってるんだよ」

男「いやー、火をおこして焼いて食べて、最高だね!」

友「ていうか全般やってるのかよ、パシリか?」

男「まさか、パシられてないよ」

友「パシリでもいいからみんなでばか騒ぎしたかったなぁチクショウ」

男「いや、ばか騒ぎするのも駄目っぽい」

友「意味分からん。なんでだよ」

男「女の子に絡んだらすごい睨まれた」

友「酔った勢いってやつか?それは睨まれて当然だろ」

男「しかも彼氏に胸倉捕まれた」

友「うわぁ…やっちゃったな」

男「なんとか謝って許してもらえたけど、居づらくなって退散した」

友「だよな、気持ちは分かるけど…片づけも手伝わないで帰るのはマナー違反だな」

男「何言ってんの、しっかり片づけて帰ったよ」

友「いやいや、途中で抜けたんじゃないの?」

男「抜ける?ん?」

友「ん?」

男「昨日、バーベキューに行ったんだよね」

友「家族で?」

男「一人で」

友「ぬな!?だったら俺も誘えよ、人数はどのくらいだった?」

男「俺は一人。周りは多すぎて、一々カウントしてられないよ」

友「くそ…なんでお前だけその中に入ってるんだよ」

男「いやー、火をおこして焼いて食べて、最高だね!」

友「ていうか全般やってるのかよ、パシリか?」

男「まさか、パシリと言うよりワンマンショーだね」

友「パシリでもいいからみんなでばか騒ぎしたかったなぁチクショウ」

男「俺も乗りで混ざろうとしたけど、ばか騒ぎするのも駄目っぽい」

友「意味分からん。なんでだよ」

男「知らない女の子に絡んだらすごい睨まれた」

友「酔った勢いってやつか?それは睨まれて当然だろ」

男「しかも彼氏っぽい人に胸倉捕まれた」

友「うわぁ…やっちゃったな」

男「なんとか謝って許してもらえたけど、居づらくなって退散した」

友「だよな、気持ちは分かるけど…ごめん、やっぱわかんねぇわ」


女友「アトムー!人員不足だ、人手を貸してくれ」

女「私派遣会社じゃないんだけどなぁ…」

女友「ボーイング747-400の座席数最大分の岩倉さんを頼む」

女「素直に20万8千円って言ってよ…これでいい?」

女友「感謝するぞ、これでまた1人の命を救える」

女「自分の今月の生活費でしょ?」

女友「ごほんッ!…もしもし、私だ。頭数は揃った、振り込んでおくからその子を解放しろ」

女「また自分の世界に入ってる…それと、アトムって言うのやめてよ」

女友「どうしてだ!心優しいラララ科学の子だぞ?」

女「ラララいらない」

女友「私なりに敬意を評しているのだが…」

女「アトムっておならって意味でもあるんだよ」

女友「…それでは、さらば!」

女「あ!もう…」


女友「大変なことが起こった」

女「顔色悪いけど、どうしたの?」

女友「オイルショックだ…」

女「紙なんかの単価が高騰するあの?」

女友「うむ、その通りだ」

女「それは大変だねぇ…」

女友「しかも私の財布の中限定で進行形だ」

女「その心は?」

女友「紙を数枚ほどくれないか?」

女「今月2回目だけど…何に使ったの?」

女友「シャングリラに移住希望の者を招待したまでさ」

女「フィギュア…とか?」

女友「……さっさと、カバディの試合ができる人数の夏目さんをよこさんか!」

女「2万円っていいなよ?…」


女友「アトム…すまないが、64万1192ドルくれ」

女「6500万円…無理無理!無理だよ!」

女友「あっはっは、安心しろ。ジンバブエドルで要求しているのだ」

女「あ、そっかー」

女友「まったく、せっかちなやつだ」

女「ええと…18万ね、はいどうぞ」

女友「ありがとう、恩にきる」

女「………たまに自分の感覚が狂ってるんじゃないかってまじめに考えてるんだけど」

女友「大丈夫だアトム。少なくとも、お前が狂うことはない」

女「だ、だよね?」

女友「申し訳ないが、お前を治すのは、まず無理そうだからな」

女「だよね…って断言したね!?」


女友「今月も、助かったアトム」

女「……ねぇ」

女友「なんだアトム、追加は特にいらないぞ?」

女「どうして、私に話しかけてくれるの?」

女友「ん?言っている意味がわからん」

女「だってさ、周り見てみなよ」

女友「周りがどうかしたのか?」

女「私なんかに構うとさ、周りから目を付けられちゃうよ」

女友「奇異の目だったのか?私はてっきり羨望の眼差しかと思ってたよ」

女「なんでそう思うの?」

女友「アトムと話すのは私だけだろう?独占欲か満たされて、私は嬉々しているのさ」

女「そっか…そうなんだ、へへへ」

女友「皮肉を言ったつもりだったんだ、マゾヒズムを引き起こしてしまったか」

女「ありがとう、ありがとうね!」

女友「う、うむ…慣れないとかえって羞恥だな…まったく、よくわからん輩だよアトムは」

女「そうかな?えへへ」


男「なぁ、なんだこの話は?」

友「ん?何だってのは、どういう意味でなんだなんだ?」

男「なんだばっかりで、意味わからんな!」

友「まぁまぁ、それは置いといて…この話、どう思う?」

男「まだ途中なんだろ?」

友「途中と言っても、大体話の流れはつかめただろ?」

男「まぁな…ズバリあれだ。いじめられている女と、それに構う女友達」

友「ほう、なるほどな」

男「え?あってるだろ?」

友「今のところはその解釈で間違いないのかもしれないな」

男「と言うか、女友すげえな!尋常じゃないくらい金借りてるぞ!?」

友「先に女が尋常じゃないほど、貸せることに驚け突っ込めよ」

男「とりあえず、オチまで言ってくれよ」

友「あいよ。まぁ、オチなんて無いほうが良いのかもしれないがな…」

男「俺らの大学受験は、見事に落ちがついたけど、な!」

友「受験も上手いこといってくれれば良かったのにな」

男・友「はぁ…」


女友「私だアトム」

女「……」

女友「今日も、20人の諭吉さんを派遣してくれ」

女「……」

女友「おい、聞いてるのか?いつもの突っ込みはどうした。というより、今回はボケなしだったがな」

女「……」

女友「おい、寝てないでとっとと起きろって。おい」トントン

女友「なぁ…もしかして、拗ねてるのか?」

女友「いつも私が、くだらない閑話を言っているからか?だとしたら、それは君の理解が足りないのだよ」

女「……」

女友「コミュニケーションというものは、人それぞれだ。飽くまで私は、自分の正しいと思うやり方で君と言葉を交わしている」

女友「……はぁ…悪かった、私の負けだよ。君がそこまで我慢強いなんてな」

女「……」

女友「謝るから許してくれ、この通りだ」

女「……」

女友「流石に私も過ぎたことをしたがな…君は誠意を見せる人間に反応すら見せないのか?それはマナーがなってないぞ」

女「……」

女友「忠告さえも無視か…君、どうしてしまったんだ」

?「あのー?」

女友「む、何ですか?私に用ですか?それともコイツに用ですか?」

?「いえ、先ほどからそちらを利用されようとしていましたので、お声をかけさせていただきました」

女友「なら私に用ですか、一体なんですか?」



銀行員「そちらのATM、故障中で現在使用できません」


女友「はっ…何を仰っているか分かりませんね」

銀行員「もうすぐ新しいものが搬入されますのでそれまでは、お隣のATMをご利用くださいませ」

女友「今まで散々無視していたのに、今更話しかけるなんて…虫が良すぎるのでは?」

銀行員「故障も突然でして、対応することもできませんでした…一応そちらにも知らせの張り紙を貼っているのですが」

故障中のため、隣のATMをご利用ください
ご迷惑おかけして、大変申し訳ございません

女友「は、ははは!傑作だな!そう思うだろうアトム?」

銀行員「あ、アトム?」

女友「初めてできて、それで最後の友達です。アトム意外と話す事は私には、できませんし、するつもりもありません」

銀行員「もうすぐ全体で、機器の入れ替えがありますので、修理ではなく処分という形を取らせていただきます。ご理解のほどよろしくお願いいたします」

女友「…何か言えよ、それで良いのかアトム!」バン!

ATM「ありがとうございました、ありがとうございました、ありがとうございました、ありがとうございました、ありがとうございました、ありがとうございました、ありがとうございました………」

銀行員「ああ!また戻った…私はこれで失礼いたします、是非お隣のATMをご利用くださいませ、失礼いたします」


壊れたアトム(ATM)は、無礼を詫びる謝罪はなく…別れを告げる感謝しかできないみたいだった…

お前はアトム(原子)だった。唯一無二の…私の…友達…

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