ナレーション 田口トモロヲ
カリン塔…全長200km(適当)にも及ぶ、世界最大の建造物である。1954年、日本は、高度経済成長の真っ只中…。
鳶職人・山田次郎。
1人の匠が塔の建設に……挑んだ
地上の星
当時、日本は戦後復興の最中、空前の建設ラッシュを迎える…
そして、全国の鳶職人達が現場に駆り出されていた。
山田組社長の山田次郎も、その1人であった…
ある日、山田組に一本の電話が掛かる。
龍球建設のポポからであった…
世界最大の建造物の依頼であった。
世界最大の塔…全長200kmの建造物。
仕事の困難さは容易に想像できた…
然し、山田は引き受けた
後日、現場へ向かった山田が見た物は…想像を絶する光景であった……
円柱の石材を積み木のように積み上げ、頂上に建造物を建てる…
誰が見ても無謀な計画だった
現場に入ってから8ヶ月…
一向に仕事は、進まなかった…
石材を積み上げるも、突風により倒壊。試行錯誤を繰り返すが……山田は、20Mの壁を越えれないでいた
試行錯誤に喘ぐ山田に龍球建設のポポから、連絡が入る
解任の報だった…
山田は、自分の無力さに悔し涙を流す
そして、時は流れ1964年…
山田の事務所に一本の依頼が舞い込んできた…
龍球建設のポポからであった…
カリン塔建設……
様々な鳶職人に依頼するも、誰もが山田と同じ結果。
無謀な仕事と、次第に、どの組も、引き受けなくなってしまっていた
十年越しのリベンジ……
山田は……再び立ち向かった
仕事を引き受けた。
然し、3ヶ月経っても、結果は以前と同じであった。
再び苦悩に喘ぐ山田…
ある時、学生時代の親友である、鈴木一郎が山田の家を訪れる。
酒を酌み交わし、山田が、仕事の愚痴を零す…
石材がどうしても倒れてしまう。鈴木は黙って聞いていた…
山田の話が終わると、鈴木が口を開く…
鈴木の会社が開発した、試作品を試してみろとの事である……
東亜合成の社員であった鈴木が提供した試作品……
『アロンアルファ』
山田の時間が……動き出した瞬間であった
アロンアルファは不安定な石材を安定させる事に成功させた。
山田は……誰も越えられなかった20Mの壁を……越える事が出来た。
そして、作業開始から20年の月日が経った。
完成まで僅と迫った頃……
新たな壁が、山田の前に立ちふさがった……
半円球の建造物を頂上に建てる……
石材を積み上げるだけでも、尋常ならざる苦労だった。
異常な環境下での無謀な作業……
職人達の間に絶望感が広がっていた
然し、山田は諦めなかった
『俺たち鳶職人が諦めたら…誰が建物を造るんだ』
職人達の心に……再び…火が灯った
それから8年の月日が経ち、山田は、半円球の土台となる、小さな居住区の完成まで漕ぎ着けた…
然し、後一歩が足りない…
頭を抱える山田に、一本の連絡が入る。
NASAからであった…
カリン塔建設は、最日本だけではなく、世界的プロジェクトになっていた…
宇宙……衛星から建物を吊し、直接塔に連結させるという物であった…
然し、山田は答えを保留した…
日本人の手で、完成させたいとの思いからだった……
そんな山田に、NASAが声をかける…
連結作業のコントロールをするのは、米国人ではない
日本人初の宇宙飛行士……
毛利衛であると
山田は……了承した
そして……1992年9月18日。
毛利が操作する建物を山田が受け取り……無事に連結が終わる
そして…
1994年12月3日…
カリン塔が……完成した……
山田が挑戦を始めてから、40年もの月日が経っていた…
そして……山田の長い仕事が終わりを告げる
地上の星
プロジェクトX カリン塔に挑んだ男 終
次週もよろしくな
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