魔王「先客か」エルフ「!?」(189)




歴代で最も魔王らしくなかった魔王のお話。





SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1349573370

――魔王城

人魚「これから会議を始めたいんですけどー」

側近「あれ、魔王さまはどこじゃ?」

魔大臣「そういえばどこでしょうね」

ゴブリン「先ほどまでここにいたのに」

魔大臣「一息つきに風呂へ行ったのでしょうか?」

側近「…………いや」ペラ

人魚「メモが残ってますねー。嫌な予感しかしませんねー」

ちょっと国の様子見てくる。
                 魔王

全員「逃げやがった!!」

――魔王城、中庭

魔王「ククク、馬鹿めが」

魔王「この俺が一日中大人しかったことに疑問を抱かなかったのが敗因だ」

ワー ワー

魔王「ちっ、もうこっちに来たか……」

魔王「まだこんぐらいじゃ会議は続行されるな」

魔王「いつもの茂みに隠れて時間を潰そう」ガサッ

魔王「……む?」

 すでに誰かが隠れていた。
 体型や耳の尖りぐあいからしてエルフだろう。

魔王「先客か」

エルフ「!?」

 声をかけられて初めてエルフの少女は魔王に気づく。
 半月の光に照らされて金色の目が揺らいだ。

エルフ「す、すいません……!」

 慌てて立ち上がろうとする少女を肩を押さえて制止した。

魔王「今はマズい」

エルフ「な、何かあるんですか?」

魔王「ああ。追われているからな」

エルフ「あなたが…ですか?」

魔王「そうだ」

 動作も何もなく、二人の周りに一瞬魔法陣が浮き出た。
 それはすぐに消えてしまう。
 変化らしい変化はない。

エルフ「今のは…」

魔王「魔力を察知させない魔法だ。いかんせん、俺は駄々漏れしてるからな」

エルフ「駄々漏れ!?」

魔王「魔力を強く感じられる奴なら一時間前に歩いたところも分かるぐらいだ」

エルフ「それはそれで嫌ですね…」

魔王「全くだ。おっと、隠れろ」

 慌てて少女はフードを被る。
 明るい金色の髪が沈んだ緑色の生地に隠れた。

側近「まだこのあたりじゃな。魔力がある」

魔大臣「もしかしたらフェイクかもしれませんよ」

ゴブリン「否定できない自分が悔しい」

人魚「他を当たりましょうー。厨房とかー」

 魔王たちから少し離れた場所で会議をしていた彼らは、その場から散った。
 側近はしばらくその場に留まっていたが、彼もやがて去った。

魔王「ちっ……相変わらず勘がいいやつだ」

エルフ「あ、あの」

魔王「なんだ?」

エルフ「あなたも、ここに忍び込んできたんですか?」

魔王「……」

 少し考えた後に頭を振った。

魔王「違う」

エルフ「え、じゃあ、何故……」

魔王「会議がすごくめんどくさくてな」

エルフ「かい…ぎ?」

魔王「分からないのか」

エルフ「い、いえ。会議の意味を知ってはいますが」

魔王「俺のことは?」

エルフ「あなたのことですか?」

魔王「俺が誰だとか、知ってるか?」

エルフ「ええと…すいません、私たちエルフ一族はあまり表に出ないので」

魔王「そうか」

エルフ「ごめんなさい…」

魔王「いい。そもそも俺、あまり公に出たことがないからな」

 だいたい逃走しているために。

エルフ「あの、誰か聞いてもよろしいですか?私はエルフです」

魔王「ほう、いい名だ」

エルフ「あ、ありがとうございます」

魔王「俺は魔王だ」

エルフ「はい?」

魔王「魔王だ」

エルフ「ま、まおう」

魔王「なんだ、魔王の意味を知らないのか」

エルフ「いえ知ってはいますが。あれこの会話さっきも繰り返したような」

魔王「気のせいだ」

エルフ「まお…う…まおう…魔王…あなたが?」

魔王「一応な」

エルフ「」

魔王「あ、固まった」

エルフ「ひぃぃ、ご無礼のお許しを!」

魔王「配下に正座三十分させられる魔王だからそのぐらいはいいんだけど」

 ちなみに何も敷いていない床の上で正座をする。

エルフ「あ、あ、あの、わわ、私、魔王さまの目から見てどう思いますか?」

魔王「侵入者」

エルフ「……」

魔王「侵入者、しかも中まで入れたから危険レベル」

エルフ「どうみても終わりです本当にありがとうございました」

魔王「まあそう悲観的になるな」

エルフ「えっ?」

魔王「五日間頑張れば釈放してもらえる。生きていればだが」

エルフ「その五日間って拷問ですよね!?」

魔王「まあな」

エルフ「……」

魔王「……」

エルフ「あああ…もう死ぬしかない…」

魔王「お前、今誰の前にいるか分かってるか?」

エルフ「…魔王さま…ですよね」

魔王「ああ。ここに来た事情を話せ。取り繕ってやる」

エルフ「…ほんとですか?」

魔王「ほんとほんと」

エルフ「オークの群れに投げ込みませんか?」

魔王「投げ込まない投げ込まない」

エルフ「……おにぃを探しに来たんです」

魔王「鬼?」

エルフ「あ、お兄ちゃんです」

魔王「兄弟か。それがどうしてまた、魔王城なんかに」

エルフ「その、非常に言いにくいのですが…」

魔王「言ってみろ」

エルフ「魔王さまを倒すとかいって、村から出ていってしまったんです」

魔王「ほう」

エルフ「だから…魔王城で待ち伏せすれば、会えるし、止められるかと」

魔王「なるほどな。中まで入る必要があったかどうかは疑問だが」

エルフ「あ、それは犬に追いかけられて、無我夢中で蔦を登っていたら」

魔王「入れたと」

エルフ「はい」

魔王「だけど出られないと」

エルフ「はい」

魔王「馬鹿か」

エルフ「……」

魔王「馬鹿か」

エルフ「返す言葉もありません…」

魔王「まあいい。恐らくすぐにはここへ来ない」スク

エルフ「え――?」

魔王「くくく、奴ら、大軍を組んで攻めるつもりだな」

エルフ「大軍って…なんのことですか?」

魔王「お前は知らなくて良い。誰かに送らせよう」

エルフ「……」

魔王「」ピイッ

エルフ「おにぃは…おにぃは死んでしまうのですか?」

魔王「最悪な」

エルフ「そんな……」

魔王「……むしろ、一人だけ生き残るというのも良くないだろ」

魔王「仲間への後悔と共に暮らしていくんだ。幸せな未来はない」

エルフ「……」

 エルフが黙りこくり、不思議に思って魔王は彼女を盗み見る。
 金色の瞳から透明の雫が流れていた。

魔王(えっ)

エルフ「……」

 慰めの言葉など知らない。
 むしろかけないほうがいいのだろうか。

魔王(謝ったほうがいいのか……?)

魔王(どうしよう、本当にどうしよう)

茶髪「お呼びですか、魔王さま」

 ちょうどいいタイミングで助っ人が現れた。
 一見すると十代後半の人間だが、顔や手足首には羽毛が生えている。爪も鋭い。
 なにより、背には大きな羽が生えていた。

魔王「なんか泣かせちまった」

茶髪「…何をしているのですか」

 彼は小さくため息をついた。

魔王「ちょっと現実の話をしていたら泣いた」

茶髪「参考までに、どのような?」

魔王「…反乱軍の中に兄貴がいて、つれ戻したいと」

茶髪「おおかた、その人がいても手加減しないみたいなことを言ったのでしょう?」

魔王「…うん」

茶髪「そこは無理でもまかせとけというべきです」コソコソ

魔王「俺、嘘つけないし」

茶髪「何をいってますか脱走常習犯」

休憩
いきなりきていきなりきえます

魔王「というかどうすりゃいいんだよ。女の扱い得意じゃねぇんだ」コソコソ

茶髪「涙を拭いてやるのが男です」コソコソ

魔王「無茶だろ今までの会話でいっきに信用落としたわ」コソコソ

エルフ「あ、あの…」

茶髪「もう土下座しかないんじゃないですか」コソコソ

魔王「ちょっと待った俺は魔王だぞ一応。魔王が土下座とか前代未聞だわ」コソコソ

エルフ「えっと……」

茶髪「会議から脱走する魔王も前代未聞ですよ」コソコソ

魔王「俺ぐらい肩の力を抜かないとやっていけねぇっつの」コソコソ

茶髪「魔王さまの場合、もはや肩が外れてます」コソコソ

エルフ「あのっ!」

魔王「うおっ」

茶髪「あ、すみません。なんでしょうか」

エルフ「…ごめんなさい。ちょっと、私泣き虫で」ゴシ

魔王「気にするな、魔大臣も泣き虫だ」

茶髪「彼女はほぼ百パーセントあなたに泣かされてますけどね」

エルフ「私のわがままで魔王さまのお手を煩わせるなんておこがましい」

エルフ「気の迷いですから、忘れてください。申し訳ありませんでした」ペコリ

魔王「…ああ」

茶髪「……」

魔王「彼女を送ってやってくれ。もう夜だ、色んなもんが動き出す」

茶髪「分かりました」

 次の瞬間、青年は大きな鷲へと姿を変えていた。

エルフ「わあ…」

魔王「じゃあな。門番は怖いから気を付けることだ」スタスタ

エルフ「あ……」

魔王「そうだ、お前どこに住んでいる?」クル

エルフ「一山越えた場所です」

魔王「なるほどな」

エルフ「あの…ありがとうございました」

魔王「」ヒラヒラ

 エルフを背にのせ、鷲の首に腕を絡ませた。
 風が穏やかなので振り落とされることはないだろう。

鷲「ちゃんと掴まっていて下さいね――行きますよ」バサッ

 二三回羽ばたいた後、ふわりと浮き上がった。
 そして空を目指しているかのようにぐんぐんと上へ昇っていく。
 下を見ればもはやどこに魔王がいるのかも分からない。

鷲「ここまでくればいいでしょう」

 その言葉と共に水平になった。

エルフ「こんなに高いところ来たの、初めて…」

鷲「怖くありませんか?」

エルフ「いえ!気持ちがいいぐらいです」

鷲「本当はもっと低くとんでもいいんですけどね」

エルフ「なにか地上にあるんですか?」

鷲「たまにいるんですよ。下から攻撃するやつ」

エルフ「だからこんなに離れて…」

鷲「僕も一度、被害を食らったことがありまして」

エルフ「えっ!?」

鷲「大変でしたねあれは。ギリギリで側近さんに助けてもらいました」

エルフ「どんな攻撃を……」

鷲「寄生型の触手です」

エルフ「」

鷲「触手です」

エルフ「触手って、あのうねうねしているやつですよね」

鷲「それ」

エルフ「怖いですね…ここらへんの森にも生息していたんですか」

鷲「やつら、すべて搾り取るつもりで来るから気を付けてね」

エルフ「いやあぁぁ」ガタガタ

鷲「ちょ、ちょっと首しめないで!ごめんって!」

エルフ「触手ってどうすれば倒すことができるんですか!?」

鷲「触手を全部切れば問題ないそうだよ」

エルフ「どう考えても普通のひとには無理ですねそれ」

――魔王城

魔王「今日はよく頑張ったほうじゃん俺」セイザ

側近「毎日頑張りなされ!!」

魔王「まあまあ、血圧あがっちまうから落ち着けよ」

魔大臣「誰のせいだと…」ハァ

人魚「そういえば魔王さまー」

魔王「ん?」

人魚「不審者が現れたと聞きますがー、見かけましたかー」

魔王「どんな?」

人魚「女の子みたいですよー。門の前でうろうろしてたみたいですー」

魔王「知らないな」

人魚「そうですかー、ならいいですー」

魔王「……なあ人魚」

人魚「はいー?」

魔王「パッドずれてる」

人魚「あ?」

魔王「なんでもない」

ゴブリン「ほんとだ、今こっそり直した」ヒソヒソ

側近「しかも昨日より少し大きくなっとるぞ」ヒソヒソ

ゴブリン「ほんとだぁ!」

人魚「終焉の歌をー歌いますがいいですねー」

魔大臣「人魚ちゃん!お願いですからおさえて!」

この人魚は次代の魔王様の頃にはおばちゃんになって
たゆんたゆんしてるから、まだ成長前なだけだよ、きっと

鷲のにーちゃんは魔法使いのパパかと思ったけど、
パパは確か師匠の友達だし、若すぎるし違うよねえ…

(´・ω・`)


「はぁ……こんなことしなくても、何かあいつを誘き寄せる罠を作るべきじゃない?」

夢魔『例えば?』

「混血を人質にとるとかね。――来たところで一族特製の毒をプレゼント」

300 1[saga] 2012/09/30(日) 22:24:29.86 ID:QRQDaeiAO

夢魔『うっわー、わっるーい』

「前代魔王の后も殺せたぐらいの毒だからね。効果はあるわけ」

夢魔『アナタたち一族、魔王にバレたら滅んじゃうね』

魔王「ま、人魚の胸はAってことは置いといて」

人魚「ああん!?Aのなにが悪いんですかー!?」

魔大臣「まあまあまあ、ほら、わたしもありませんから」

人魚「魔大臣は鳥だから関係ないじゃないー!」クワッ

魔大臣「逆効果!?」

ゴブリン「さらに怒らせてどーする」

魔王「ほら、そんなに暴れるな。カルシウム足りてないんじゃないか」

側近「そもそも魔王さまがこの騒ぎの元凶ですから」

ゴブリン「はい、塩水」

人魚「」ゴキュゴキュ

人魚「ふぅー、お騒がせしましたー」

魔大臣「いっきに落ち着きましたね」

側近「…いつも思うが、塩水になにか変なクスリ混じってないかの?」

人魚「失礼ですねー」

ゴブリン「陸上に出る『人魚』にとって、海水や塩水が精神安定剤代わりなんだって」

側近「なるほどよく分からん」

魔大臣「というより、塩水に負けるわたしのフォロー力って…」

魔王「お前の息子はこういうの宥めるの得意なのにな」

魔大臣「もうあの子に後を継がせたいぐらいですよ…」

ゴブリン「まだ彼は若いし経験不足だからやらせるにしても、もう少したたないと」

魔王「俺もまだ若いし経験不足だからもう少し遊んでもいいと思う」

側近「あなたは何十年もやってるじゃないですか魔王さま!」

人魚「まったくですー」

魔王「父さんが早期退職しなぎゃ良かったのにな……」ハァ

側近「先々代魔王さまがあっさり勇者にやられましたからな…」

人魚「ああー…聞いたことありますねそれー」

魔大臣「おかげで先代魔王さまは幼くして魔王になったんですっけ」

ゴブリン「休みたくもなるなそりゃ」

魔王「なるほど、原因はじいさんか……」

側近「魔王さまはわりといい年齢で魔王になったじゃありませんか…」

魔王「遊び盛りなんだよ。落とし穴作ったりよ」

側近「あれ作ったのやはり魔王さまでしたか!!」

魔王「え、なに、落ちたの?」プクク

側近「おち…ま、まさか落ちておらんですよ!」

ゴブリン(落ちたんだ)

人魚(落ちたんですかー)

側近「二メートルも掘る暇があったら会議にでなされ!」

ゴブリン「魔法で掘ったんですか?」

魔王「手堀り」

魔大臣「ああもう…そんなに根気力はあるのに」

魔王「足痺れてきたんだけど姿勢崩していい?」

側近「あと三十分ついかですじゃ!」

魔王「うええ」

――エルフの村

鷲「ここで良かった?」

エルフ「はい、ありがとうございます」ストッ

鷲「これは、まあ、僕の勝手な妄想だけど」

エルフ「?」

鷲「魔王さまは泣いている女の子を無視するようなひとじゃないよ」

エルフ「どういう…ことですか?」

鷲「そういうことさ。これからの彼に期待だね」

鷲「あと」スッ

エルフ「……羽?」

鷲「城に入るときは門番に僕か魔大臣に用がある、と言って見せるんだ。通してくれるはず」

エルフ「い、いいんですか?」

鷲「あのめんどくさがりな魔王さまが君のこと受け入れたんだから」

エルフ「そうですか…」

鷲「なにか、用事があったら来なよ。歓迎する」

エルフ「そんな、私ごときが」

鷲「いいんだって。じゃ、バイバイ」バサッ

エルフ「さ、さよなら……」

エルフ「……」

エルフ「あの鷲さん、魔王さまのなんなんだろう…」

――上空

鷲(しかし魔王さまのあの慌てよう……)

鷲(もしかしたら脈ありかも)フフフ

タスケテー

鷲「!」

鷲「森の中から声が……」

鷲「あそこか!…あれ、あそこって……」ヒュウウ

ウネウネ

鷹「食べられるー!」バタバタ

鷲「やっぱり触手だー!」

また夜か明日に


鷹さんに触手プレイ…(;・`д・́)ゴクリ

え、これ前スレあるの?

>>65
前スレっていうか、連載中

少年「混血の女の子に一目惚れした」
少年「混血の女の子に一目惚れした」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1347548969/)


その前が
魔王「おれと来てくれないか、魔法使い」魔法使い「…ああ」
魔王「おれと来てくれないか、魔法使い」魔法使い「…ああ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1346245762/)

で、その前が
魔王「おれと手を組め」魔法使い「断る」
魔王「おれと手を組め」魔法使い「断る」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1339856123/)

鷲「とりあえず一旦人形(ひとがた)になって……」ポン

茶髪「よし…」

鷹「あっ、すいません!助けて下さい!」ジタバタ

茶髪「分かった!君の貞操が奪われる前になんとかする!」

鷹「うわああぁぁ目を逸らしていた未来をぉぉ」ジタバタ

茶髪「まずは――『焼却』!」ボウッ

触手「!!」

茶髪「一部がこんがり美味しそうに焼けただけか…」

触手「!」

茶髪「こっちに来た。『切断』!」

ヒュンヒュンッ

ボトッ

茶髪「うわっ、鮮度良く跳ねてる」

鷹「律儀に実況しなくてもいいと思います!」ジタバタ

茶髪「そ、そうだね!――『広範囲』『切断』!」

ズパパパパパ

茶髪「多すぎる!君!」

鷹「はい!」

茶髪「なにか魔法を使えるか!?」

鷹「……ちょっと試してみます!」

茶髪「えっ、リハーサルなしでやるの?それは危険なんじゃ――」

チュドーン

鷹「げほっ、げほっ」

茶髪「なんという威力だ……」

鷹「すいま、せ、今まで実戦では使わなくて」

触手「!!!」シュルッ

茶髪「…すごいぬるぬるしてるな。思い出通りだ」ブチッ

鷹「止めをさします?」

茶髪「どこが核か分からないよ」

鷹「数打ちゃ当たれってよく言うじゃないですか」

茶髪「なかなか容赦ないんだね君」

また明日
外伝ですね

鷹「狙うとするならどこでしょうか」

茶髪「大元を仕切ってるであろう根本かな――おっと、『切断』」スパッ

鷹「じゃあそこを狙います」

茶髪「え?僕からは触手に遮られて見えないけど、君からは見えるの?」

鷹「いいえ、フィーリングで」キリッ

茶髪「少し待とう。冷静な判断を持とう」

鷹「『爆発』ッ!!」

茶髪「話を聞けェェェェェェェェ!!」

ドーン

……

茶髪「……はぁ。倒せたことは、倒せたけど」

鷹「」

茶髪「これは…魔力切れかな…」

鷹「」

茶髪「確か鷹一族は魔力に特化してるんだっけ?まあいいや」ヒョイ

茶髪「この子――同い年っぽいけど、この子の家はどこなんだろ」

バサバサ

蝙蝠「ワカル!ミチ、ワカル!」

茶髪「ああ、じゃあ頼もうかな」

蝙蝠「ショクシュ、バラバラ!」

茶髪「うん、しばらくしたら再生するよ」

蝙蝠「カンゼンニ、ケス!」

茶髪「数年は誰も襲えないよ。それまでに対策しとく」

蝙蝠「ヨーソロ!」

茶髪「じゃあ案内いい?」

蝙蝠「ウン!」

鷹「」

蝙蝠「カンペキ、キゼツ!」

茶髪「この子、色々教えたらすごく強くなれそうなんだよね」

蝙蝠「シット?」

茶髪「ちょっとだけね。僕、魔力はイマイチだから」

蝙蝠「ゼイタク、イワナイ!」

茶髪「あはは、ごめんごめん」

――魔王城

魔王「やれやれ、やっと説教が終わった」トコトコ


メイド長「これをあれこれ」

メイド「了解。では今から」


魔王「新入りかー、真面目だな」


メイド「」シュタタタ

メイド長「慌てて行くと転けますよ!」

メイド「」ベチャッ

メイド長「ほらやっぱり!」


魔王「……」

魔王「…まあ、よくあることだよな」

また深夜か明日に

メイド「絶望。やはりわたしはダメな『メイド』です」シクシク

メイド長「またそんな…ほら、どこも怪我してませんよ」パンパン

魔王「……」ジッ

メイド「!?」

メイド長「まあ、魔王さま。いかがなさいましたか?」

魔王「いや。なんか、俺も『メイド』になりたいと思って」

メイド「」

メイド長「」

魔王「え、なんでそこで固まるんだ?」

メイド(思考。魔王さまがメイド服)

メイド(提案。浅黒いお肌にはやはり黒いメイド服でしょうか)ブシュッ

メイド長「鼻血が!?」

魔王「おい大丈夫かよ」

メイド長「お言葉ですが、魔王さまの頭も大丈夫でしょうか…」

魔王「思いっきり失礼なことを言ったな。普段通りだ」

メイド長「そ、そうですか。では何故『メイド』になりたいなどと…」

魔王「こうさ、皿を洗えばピカピカになるって実感できるし」

魔王「すぐに成果の見える仕事って憧れるんだよな。体も動かせるし」

メイド長「あ、ああ…仕事内容のことでしたか」

魔王「むしろなんだと思ってたんだ」

メイド長「いいえ、なんでもありません。失礼いたしましたわ」ペコ

メイド長(まさかそのようなご趣味に目覚めたと思ったとか言えない…)

メイド(長考。長身だから膝より上のソックスを…ならスカートを短めに…)

魔王「なんか俺を見る目が変に怖いんだが……」

メイド長「なぜこの子は恍惚とした目をしているのでしょうか」

メイド長「そういえば、侵入者が来たとお聞きしましたが」

魔王「安心しろ。もう出ていったはずだ」

メイド長「魔王さまがそうおっしゃるのなら良いのですが」

魔王「……不安か?」

メイド長「…正直に申し上げると、そうですね。魔物達が妙に緊張状態ですし」

魔王「縄張り争いだな。以前はこんなことなかったのに」

メイド長「時代が重なれば、様々なこともお変わりになります」

メイド「肯定。いつかそのご趣味が認められる日が来るかと」

魔王「お前は何をいっているんだ」

メイド長(嗚呼、不自然なほど強引に話を逸らしていたのに)

魔王「ま、仕事中悪いな。じゃあ」

メイド長「はい、おやすみなさいませ」ペコリ

メイド「就寝。おやすみなさいませ」ペコリ

メイド長「………また窓から脱走しないでくださいね」

魔王「ぎくっ」

メイド長「窓が開かないからとガラスを割るのもお止めください」

魔王「…善処する」

メイド「まず窓は本来の使用をしてください、お願いですから」

――上空

バサバサ

茶髪「蝙蝠」

蝙蝠「ナニ?」

茶髪「こんなとこにいるってことは、また人間の偵察にでも行ってたの?」

蝙蝠「…ウン」

茶髪「君も立場上危うくなるから止めろとはいえないけどさ」

茶髪「しかし…奴ら、ますます本格的に人間の住み家を襲うつもりなんだね」

蝙蝠「チカイ、ミライニネ」

茶髪「人間も魔物もお互い付かず離れずが丁度いいのに」

蝙蝠「ソウ、オモウ」

茶髪「これからは慎重に見ていくべきだね。両方さ」

蝙蝠「ソダネェ」

茶髪「…しかし人間も人間だな。攻めたいなら魔王さまに勇者を送ればいいのに」

蝙蝠「ユウシャ、マオウサマ、イッタイイチノ、キマリ」

茶髪「へぇ。その他大勢と共に戦えないんだ」

蝙蝠「アト、ユウシャノシカク、ナイト、ダメ」

茶髪「面白いね。勇者ね」

蝙蝠「アコガレタコトアル?」

茶髪「まさか。でも、昔みた勇者パーティーで憧れたのはいたな」

蝙蝠「ナニナニ?」

茶髪「『魔法使い』」

眠い寝ます
続く

――数日後、魔王城

人魚「……」

ゴブリン「……」

魔大臣「……」

側近「……」

魔王「なんだよ、顔になにかついてるか?」

側近「…魔王さまが」

人魚「自主的にー」

魔大臣「仕事を」

ゴブリン「しているだと………!!」

魔王「失礼すぎるだろお前ら。堪忍袋ぷっつんすっぞオラ」

ゴブリン「あれって影武者なんじゃないか?」

人魚「ですよねー、それしかないですー」

側近「そうじゃなければなんなんじゃ」

魔大臣「うっうっ…書類が減ります…」グスグス

人魚「間違えないでー、あれはきっと違うわよー」

ゴブリン「でもあの座り方は魔王さまな気がする」

側近「影武者なんだからそういうの真似しないでどうするんじゃ」

魔王「怒るぞ」

人魚「あー、わりとヤバイオーラがー」

ゴブリン「このオーラは本物だな……」

魔大臣「書類を自らやって下されば首の一つや二つ、安いものです」グスグス

ゴブリン「追い込まれすぎだろ」

側近「何をなさってるのですじゃ、魔王さま」

魔王「何って……別に。仕事だけど」

ゴブリン「質問が抽象的すぎましたか。――何故仕事をしているのですか、魔王さま」

魔王「……自分のせいとは言え、かなりへこむものだなこれ」

人魚「そりゃー普段の行いがーアレですしー」

魔大臣「」グスグス

魔王「魔大臣にいたっては泣き出したし」

ゴブリン「彼女のもっぱらの仕事があなたの放り出した仕事ですからね」

側近「変に義務感があると大変じゃのう……」

魔王「俺ぐらい暢気に生きればいいのに」

人魚「魔王さまは暢気すぎなんですよー」

側近「しかし本当にどうなさったんですか?」

魔王「別に」プイ

ゴブリン「これは裏になにかある」

人魚「うーんー…なにかありましたっけ最近ー」

ゴブリン「なんにも」

魔大臣「またシェフがクソ不味い新作出したことぐらいですかね」

側近「忘れるんじゃ!あのことは!」

魔王「なんというか……」ボソ

一同「?」

魔王「ちょっとカッコよくみせたいなって」

人魚「なんだこの思春期ー」

ゴブリン「まるで恋したみたいですね」

魔王「ああ、したようだ」

ゴブリン「なんと」

側近「ハッハッハ、魔王さまにも春が来ましたか」

人魚「めでたいですねー」

魔大臣「うふふ、やはり出会いは魔物(ひと)を変えますね」



一同「―――――え?」



魔王「あ?」

一同「えええええええっ!?」

ゴブリン「やばいやばいぞこれは」

魔大臣「天地がひっくり返る事態です」

側近「衛生兵を呼べ!とびっきりのな!」

人魚「あらあらー」

魔王「ちょっと待てやオラァ」

側近「まままままさか魔王さまが、こ、恋じゃなんて」

魔王「おい俺より側近のほうに衛生兵呼べ。血圧がやばいんじゃないかこいつ」

人魚「まあー、今更感もありますがー」

魔王「今更って、なんでだ?」

人魚「よく遊びにいきますからー。出会いがまるっきりないわけじゃないですものー」

魔王「出会い求めてるわけじゃないからな」

魔大臣「お相手は!?お相手は誰なんですか!」ズイ

魔王「うお」

ゴブリン「そうですよ!気になるお相手は!」

魔王「あのな…俺が好きなだけで、相手は分からねぇから」

ズササササ

側近「あの魔王さまか……奥手、じゃと」

人魚「これはー…案外純粋ですねー…」

ゴブリン「どうしよう…眩しくて見てられない」

魔王「おい」

魔大臣「わたしの息子も早く彼女作りませんかねぇ……」ハァ

――どこかの森

エルフ兄「……」

オーク「おい、なんだよそんな陰気な顔は」

豚「ぶひ」

エルフ兄「いや……なんでもない」

オーク「また妹のことか?」

豚「シスコンぶひ」

エルフ兄「べ、別に妹なんか考えてないし」

オーク「いっそ呼んじまえよ。気になるならよ」

エルフ兄「出来るわけないだろう。ぼくたちは魔王を倒しに行くんだ」

エルフ兄「妹も魔法を使えることは使えるが――危ないことをさせたくない」

オーク「ハンッ。妹思いでなによりだ」

豚「早く魔王を倒せば早く帰れるぶひ」

エルフ兄「その通りではあるが…しかし勝てるか?」

オーク「馬鹿だな、なんのためにこんなに集まったんだよ?」

豚「ぶひ」

エルフ兄「やつは強い。勝目があるかもまだ分からないのに?」

オーク「はぁー…だからエルフ族は悲観的って言われるんだ」

オーク「いいか、今は魔王が政治をすべて治めている。なぜか?力があるからだ」

オーク「おかしい話じゃないか。力がすべてみたいな思想はもう古いんだよ」

エルフ兄「……」

オーク「正しい信念をもった奴が戦えば勝てるに決まっているだろ?」

エルフ兄「…そう、だな」

エルフ兄(王権がなくなったらその後どうなるかと言う話は聞いていない)

エルフ兄(それに、あの魔王は本当に間違えた存在なのだろうか?)

オーク「明日明後日には出発なんだからよ、いつまでもうだうだすんな」

豚「そうぶひ」

エルフ兄「…分かったよ。じゃあ、おやすみ」

オーク「おう」

豚「ぶひ」

オーク「……」

豚「……」

オーク「ククク」

豚「まだ笑うのは早いぶひ」

オーク「だってよ…あそこまで綺麗に騙されてちゃあ…な?」

豚「ぶひひ、悪いやつぶひ」

オーク「あんなパチ言わないと魔力値の高いエルフ族なんか引き込めないだろ?」

豚「たしかにぶひ」

オーク「おれら何人かに何百の魔物が踊らされて面白いったらありゃしねぇな」

豚「ぶひひ!おらたちが国を治めるなんてまだ誰も知らないぶひ」

オーク「クク、それはまだ言うなよ。好きに弄り回してやろうぜ、この国を」

豚「ぶひ!」

オーク「さて問題です」

豚「ぶひ?」

オーク「これはなんでしょう」サッ

豚「手紙ぶひか」

オーク「そうだ。しかもエルフ兄の妹宛のな」

豚「ぶ?なんでぶひ?」

オーク「あいつの妹めちゃくちゃ美人らしいんだぜ」

豚「ぶひ」

オーク「それに知ってるか?エルフ族のメスは気持ちいいんだ」

豚「!!」

オーク「せめて裏方で活躍させてやろうよ――ククク」

豚「いいぶひねぇ――楽しみぶひ」

オーク「いつごろエルフ兄が気づくかも見ものだな―――」

――エルフの家

エルフ「!」ガバッ

エルフ「な、なにか今悪寒が」

エルフ「なんなのでしょう…」

エルフ「……」

エルフ「もしかして、お兄ちゃんの身になにか……」

エルフ「…明日にでも探しに行かなくては」

しばらくすいませんでした
続きます

――魔王城

魔王「……」

魔王「寝れない。そうだ脱走しよう」

魔王「いやまて、メイド長に怒られるな――普通に外出るか」

ガチャ

メイド「」

魔王「なんだ、まだ仕事か」

メイド「焦燥。お、おはようございます?」

魔王「いや、寝れないから」

メイド「謝罪。申し訳ありません、命だけは」

魔王「お前オレに対してどんなイメージもってんの?」

メイド「想像。戦が好きなお方だと……思って、ます」

魔王「なるほど」

メイド「はい」

魔王「……」

魔王「戦は好きじゃないな、あんまり」

メイド「驚愕。そうなのですか?」

魔王「だってめんどくさいじゃねーか」

メイド「は、はぁ」

魔王「そもそも魔王とかやらないで遊びたい。遊んで暮らしたい」

メイド「…困惑。魔王様の立場は憧れのものですのに」

魔王「当人以外にはそうだろうよ。こっちにとっちゃあ窮屈でしかたない」

魔王「兄弟がいれば押し付けられたんだろうけどさ」

メイド(鬼畜。ですね)

魔王「残念ながら魔王は一人しか産まれないからな」

メイド「疑問。何故ですか?」

魔王「聞いたことないか?ずっと代々魔王は一人っ子なんだよ」

魔王「何回生殖行為に励んでも一人しか産まれない」

メイド「懐疑。例えば、その、何人か妻を持っていたら子供も増えるのでは?」

魔王「それでも、だ。一人を除いてあとは産まれない。産まれても死産だ」

メイド「奇怪。不思議ですね」

魔王「ああ。呪いにでもかけられてるんだろうな、オレの血筋は」

魔王「無駄な争いを起こさないためか、はたまた厄介な血筋を増やさないためか――」

メイド「――」

魔王「……あとは、母体に負担をかけさせてしまうってのもあるだろうな」

メイド「魔王さま?」

魔王「母上は、オレが」

メイド「失礼!魔王さま、お身体が冷えます!」

魔王「あ?うん」

メイド「提案。眠れないのであれば何かお持ちいたします」

魔王「そうだな。なんか、温かいやつ」

メイド「承知。かしこまりました、しばらくお待ちくださいませ」スタスタ

魔王「……」

魔王「あれ将来的にメイド長になりそうだな……」

魔王「怖い怖い」

――厨房

メイド「」ガタガタガタガタ

メイド長「そんな会話割ったぐらいで魔王さま怒らないから大丈夫ですってば…」

メイド「ししししょうそう。わわわわたしなんてことををををを」

メイド長「敬いすぎも問題ですね…」

メイド「しばらくは顔向けできませんの」ゴンゴン

メイド長「落ち着きなさい。キャラぶれてるから」

メイド「し、質問。あの、メイド長」

メイド長「はいはいどうしました?」

メイド「質問。魔王さまのことですが」

メイド長「ええ」

メイド「疑問。魔王さまのお母様は――いらっしゃるのですか?」

メイド長「…生存しているかいないかってこと?」

メイド「肯定。そうです」

メイド長「何故いきなり…とは思うけど、あなたには言った方がいいのでしょうね」

メイド長「お妃様はずいぶん前に亡くなられました」

メイド「やはり……」

メイド長「今は――それだけにしておきます」

メイド長「いずれか知ることになるだろうから」

メイド「……」

メイド長「はいじゃあ魔王さまにホットミルク持って行って」

メイド「」ガタガタガタガタ

メイド長「……今日は無理かぁ」

約束守れなくてすいませんでした
続きます

――早朝、エルフの村

エルフ「エルフタウンにさよならバイバイ」ソー

エルフ「わたしはこれから旅に出ます」

エルフ「うーん、どこかで聞いたセリフですね……」

エルフ「とりあえず、しばらくさよなら、ですね…」

ガサガサ

エルフ「はう!?」

ピー ピギ-!

エルフ「ひゃあ!?」

エルフ「こ、これは早くいけという知らせ…ですかね…」

ガサガサ

エルフ(まずは人間の町に降りましょう)フードカブリ

エルフ(魔物の動向は魔物よりある意味人間が詳しいですし……)

ガサガサ

エルフ「……」

エルフ「」ピタ

ガサガサ

エルフ(と、止まってるのに音がする!?)

エルフ「ど、どなたですか?」

狼「グルルルル」

エルフ「ぴぎぇー!」

狼「グルア!」バッ

エルフ「っ」ダッ

エルフ(こういう時、おにぃならどうしていたでしょう!?)

エルフ(魔法!そうだ、魔法がありました!)

エルフ(あれ!?わたし魔法を使えましたっけ!?)

エルフ(あ、使えます使えます大丈夫です!)

エルフ「『霧!』」

 突如あたりに霧が満ちる。
 視界が真っ白になったことにより狼はうろたえる。

エルフ(今のうちに逃げ……)

 辺りは真っ白だった。

エルフ「わたしまで見えなくてどうするんですかー!」

 なんとか自ら作った罠から抜け出す。
 走ろうとしたときだった。

狼「ガアアァ!」

 匂いを辿ってか、霧の中から狼が飛び出してきた。

エルフ「なんですかわたしは美味しくないですよ!『落とし穴』!」

狼「ギャン!?」

 狼が突然足元に出来た穴に落ちる。
 そっとエルフが覗くと、そんなに深さはなさそうだ。

エルフ「わたしが行くまではそこにいてくださいね…」

 乱れた息と髪を整えて、そこからまた歩く。

 しかし。

エルフ「……」

エルフ「迷った……」

エルフ(冗談でしょう?そんなベタなことが…)

エルフ(あるんですね…)

エルフ(そもそも私、人間の町に降りたこともあまりないですし)

エルフ「本当にここはどこなんでしょう……」

エルフ(太陽の方向に歩いて行きましょうか…)

エルフ(いずれかは大きい町につきますよね?)

――人間の町

エルフ「おかしいなぁ…」

エルフ「こんな大都会に来る予定ではなかったんですが」

 ついた先は大教会がある町だった。
 本来行きたかった町にはこのようなものはないはずだったが。
 歩き続けているうちにここへたどり着いてしまったらしい。

エルフ(とりあえずエルフ族だとバレないようにしないと)

エルフ(人間にとっては性道具としての需要が高いと村のみんなに言われてましたし)ブルッ

エルフ(さて、どこにいけばいいんでしたっけ?)

ごめんなさい
続きます

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年06月23日 (木) 22:34:45   ID: 6rFvXA66

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