男「蛙少女と空の国」 (4)
その少女を始めて見たのは、小学生時代だった。
肌と髪の色は白く薄く儚げで、その瞳は肌とは対象的に違和感を覚えるほどの強烈な赤を持っていた。
それを色素欠乏症アルピノと呼ぶことを、僕は同じ症状を持つ蛙の写真から知っていた。
他の子供達はただ不気味がったが、僕は彼女のその人形のような外見にとても興味を持った。
今思えば失礼な質問を数え切れないほど繰り返したような気もする。
ただ、彼女が何か言葉を返してくれることはなかった。
僕があれこれ話し掛けても、ただ彼女は笑顔を作るだけだった。
様子から察するに、言葉が伝わっていなかったのかもしれない。
僕は毎日話し掛けたけれど、3日と経たずに彼女はいなくなった。
ただいなくなる前日、彼女は僕に拙い舌回しで「ありがとう」と言った。
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男「……」
女「どうしたのさ、考えごとなんて似つかわしくない」
男「そりゃ人間なんだから、生きてる内は息をするし考えごとだってするよ。お前は俺を普段どんな目で見てるんだ?」
女「それは失敬、ゴキブリだって十数秒前後思考をする時があるらしいからね。男みたいな短絡的な生き物だって七八秒ぐらいは何かを考えたって不思議でもなんでもないか」
男「……俺を人ではない何かに分類されるみたいな言い方しやがって。つーか、ゴキブリに若干負けてるじゃないか」
女「まぁ生きた化石なんだし、たまには持ち上げてあげても良いんじゃないかな」
女「そう言えば男さ、なんであのC組の美人さんを振ったのさ。後押ししたのは僕だから、少しばかり気まずいじゃないか」
男「そいつは悪かったな」
女「別に構わないよ。あの日の夜、泣いている彼女の表情を思い出して僕は久し振りに良い気分で眠ることができたから」
女「悪いけど、僕はそういう人間なんだ」
男「知ってるよ。形式的かつ反射的に謝っただけで、お前に対しては何ら罪悪感を持ったことなどない」
女「ふ〜ん、あの事件の時もそんな心境だったのかい。傷付いちゃうなぁ僕」
男「……ふざけてる時にその話を振るのは、少し卑怯じゃないか」
女「いやいや、良いんだよ。別に気にはしていないし、少しふざけていた程度で掠れる罪悪感ならない方がマシだしさ」
男「……」
女「ヤダなぁ黙っちゃって、ジョークだよ。僕はこういう性格だって知ってるだろ?」
女「で、なんで振ったんだい? ねぇ、ねぇったらねぇ」
男「別にどうでも良いだろ」
女「どうでも良くないから。そこ、滅茶苦茶大事だから」
男「……」
女「他に好きな娘でもいるの?」
男「まぁ、そんな感じ」
女「やっぱりか、ふふふ」
男「なんだか嬉しそうだな。測り間違ってもお前ではないから安心して良いぞ」
女「はいはい」
男「……」ハァ
女「またまたワザとらしい溜め息付いちゃって、そんなことで誤魔化される僕じゃあないからね」
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