男「死神の歩幅」 (8)

殺人鬼「……なんだ、テメェ」

男「この辺り管轄の始末屋だよ」

殺人鬼「この辺りの? てことは、このチビが死神と呼ばれてる……」

男「今素直に捕まってくれるなら、命は保証します」

殺人鬼「オレのこと、テメェ、舐めてね?」

男「いえ、そういうつもりで言ったわけでは……」

殺人鬼「オレは残酷なことが好きでなぁ……自分で言うのもなんだが、サディストという奴だ」

殺人鬼「妊婦の腹かっぱ裂いて、代わりに石詰めてやったことあるぜ」

殺人鬼「童話とは違ってすぐ死んじまったよ根性ねェや」ケラケラ

男「…………」グスッ

殺人鬼「お? ビビって泣いてんのかァ? やっぱガキだな」

男「いえ、あなたに殺された人と……そうまで歪んでしまった、あなたに対して泣いたのです。可哀相だと」

殺人鬼「ガキが馬鹿にしやがってェ!」スッ

そういって殺人鬼は愚息を出して飛び掛ってきた。
そして俺はそれを受け入れた。
男「アッー!!おおあああっーーーーー!!」

男「これが、快楽か・・・・・・」
男は生まれて始めて果てた・
殺人鬼「ちっ、しらけちまったな・・・。あばよ」
そう言って殺人鬼は去っていった。

男「…………」

女「どうしたの、その血?」

男「三人分の返り血」

女「……最近、あんたのところ治安悪いみたいね」

男「みたいだね。僕にはなんで女のところが荒れてないのかわからないよ」

女「まあ、そうなるわよね。だって……」

女「明後日の終わりには、この世界は滅ぶんだもん。そりゃあ暴れる人も増えますわな」

男「……こんなときに犯罪者を罰することが、本当に正しいことなのかな」

女「やめたきゃやめてもいいのよ。私は、最期の日は世界中の人に幸せな一日を送って欲しい」

男「…………」

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