佐村河内「ジャイアンリサイタル?」 (88)
佐村河内「アマチュアの歌手かな?聴きに行ってみるか」
佐村河内「場所は空き地で、日にちは⋯っと、あとはチケットだけど、どうやったら手に入るのかな?」
のび太「おじさん、そのリサイタルに興味あるのですか?」
佐村河内「そうだよ」
手話係 シュッシュッシュッ
のび太「じゃあ、これあげるよ。そのリサイタルのチケット」
佐村河内「ありがとう、君はいいのかい?」
手話係 シュッシュッシュッ
のび太「まだたくさんあって、みんなに配らないといけないんだ」
手話係 シュッシュッシュッ
佐村河内「何はともあれ、ありがとうね」
そして、リサイタル当日
佐村河内「さて、今日はリサイタルの日だ。しっかり杖とサングラスをしてっと⋯」
佐村河内「あとは聞こえない設定であることを忘れずにしないと。バレたら大変だし」
佐村河内「ヘイタクシー」
運転手「どちらまで?」
佐村河内「空き地まで」
手話係 シュッシュッシュッ
ー空き地ー
ジャイアン「今日は来てくれてありがとう!ところで、この空席は誰だ?こない奴なんてバラバラの⋯」
のび太「ジャイアンのリサイタルに興味あったおじさんにあげたんだ。来れるか分からないけど、もう少し待ってみようよ」
ジャイアン「そうなのか。で、どんな人だったんだ?」
のび太「サングラスかけて、髪の長い人だよ。あと、手話?みたいなことをしてる人が隣にいたなぁ」
しずか「それってもしかして、佐村河内守じゃない?」
のび太「誰?さむらこうち?」
スネ夫「知らないのかい?ダメだな、のび太は。HIROSHIMAを作曲した人だよ。クラシック回の有名人だよ」
ジャイアン「ということは、音楽に詳しい人なんだな。つまり、俺をスカウトに⋯」
スネ夫「それはどうだろう?」
ジャイアン「どうだろうってどういうことだよ?」
スネ夫「クラシックの人だから、ジャイアンの歌のジャンルにはあまり⋯って感じだと思うよ」
ジャイアン「そ、そうか」
スネ夫(まぁ、どっちにしろあの歌声を聴いたら⋯って耳が聞こえないなら問題ないか)
スネ夫「いや、ジャイアン。佐村河内さんは別のプロデューサーにこのことを話すかもしれないよ。これはチャンスだよ」
ジャイアン「そうか!それなら今日は時間を延長してでもたくさん歌おう!」
のび太(スネ夫~)
スネ夫(ごめん⋯)
運転手「着きましたよ、料金は2500円だよ」
佐村河内「ありがとう、はい\2500」
手話係 シュッシュッシュッ
運転手「まいどー」
佐村河内「さて、着いた。ここで間違いなさそうだ」
スネ夫「あっ、来たみたいだよ」
ジャイアン「あなたが佐村河内さんですか?」
佐村河内「そうですね」
手話係 シュッシュッシュッ
ジャイアン「お待ちしてました。さぁさ、特等席で聴いて下さい」
佐村河内「それはありがとう」
手話係 シュッシュッシュッ
ジャイアン「レディースアンドジェントルメン!ジャイアンリサイタルの開幕だぜー」
子供たち パチ⋯ パチ⋯
佐村河内「どうしたんだ?拍手が小さいよ」
スネ夫(のび太、佐村河内さんに伝えなかったのか?ジャイアンリサイタルのこと?)
のび太(そういえば、伝え忘れてたよ、まずいよ⋯)
スネ夫(まぁ、大丈夫だよ。彼は耳が聞こえないんだ)
のび太(そうなの?)
スネ夫(2級って聞いてる。これはジェット機の真横でも五月蝿く感じないレベル)
のび太(それなら安心だね。僕たちは安心じゃないけど⋯)
ジャイアン「それじゃあ、一曲目!おれはジャイアンさまだ!いくぜ」
ボエー
佐村河内「ギャー!五月蝿い!耳が潰れるー!」
手話係 シュッシュッシュッ
佐村河内「わ、私はここから逃げるぞ」
スネ夫「佐村河内さん、まだリサイタルは始まったばかりです⋯よ」ガクッ
佐村河内「やばい、これじゃ本当に難聴になる。いや、ここは逃げるぞ」
ジャイアン「ありがとう、まずはおれはジャイアンさまだを聴いてもらった⋯あれ?佐村河内さん?どうしたんだ?」
佐村河内 ギクッ
ジャイアン「まだリサイタルは始まったばかりですよ。あと5時間はあるんですよ。ぜひ聴いて行って下さい」
佐村河内「いや、私はその、よ⋯用事を思い出してね。ハハッ」
ジャイアン「そうなんですか。それじゃあ仕方ないな」
佐村河内「そうなんだ、それじゃあね」
ジャイアン「あ、待って下さい。それなら、おれの歌の評価を聴かせて下さい。プロの意見も参考にしたくて」
佐村河内「さ⋯最高だよ。いい歌手になれるよ、それじゃあ」
手話係 シュッシュッシュッ
佐村河内「ふぅ、何とか逃げれた。ここまで来れば安心⋯」
佐村河内「あっ、杖を忘れてきた。まぁいいか、新しいのを買って帰ろう」
5時間後
ー空き地ー
ジャイアン「今日はありがとう!次のリサイタルでまた会おう!」
子供たち パチパチパチ
ジャイアン「ん?これは佐村河内さんの杖?忘れて帰ってるじゃねーか」
ジャイアン「あっ、そうだ」
・
・
・
ジャイアン「この杖の持ち主に届けたいんだ、ドラえもん道具出せよ」
ドラえもん「どこでもドア」
ジャイアン「じゃあ言ってくるよ」
佐村河内「それじゃあ、この歌はこのようにしてね。あと、さっきの聴いたけどここのところはもっと高音にしたらいいんじゃない?」
新垣「⋯もうやめません?こんなこと」
佐村河内「うるさい、黙れ!お前は俺の言うとおりにしとけばいいんだよ」
新垣「⋯はい」
佐村河内「ふぅ、ここ最近新垣が反抗するようになってきたな。だが、世間の評価をみるからに、今公表してもあいつを信じるわけがない」
佐村河内「現代のベートーベン、佐村河内守にな!」
ニュイーン
佐村河内「ん?何だこの音」
ジャイアン「佐村河内さーん」
佐村河内「き、君は!?」
ジャイアン「この前のリサイタルで杖を忘れて帰ったでしょ?届けに来たんだ」
佐村河内「そ、そうなんだ。ありがとう」
ジャイアン「ところで、聴きましたよ。佐村河内さん、耳が聞こえないらしいんですよね?」
佐村河内「⋯そうなんだ」
ジャイアン「本当なんだ。でも大丈夫ですよ。ドラえもん」
ドラえもん「お医者さんカバン」
佐村河内「な、何だ?この青狸」
ドラえもん「僕はタヌキじゃない!」
ドラえもん「まぁ、ここに横になってください」
佐村河内「こ、こうかい?」
ドラえもん「あとは、お医者さんカバンをセットして⋯」
ウィーンウィーン
お医者さんカバン「異常は見当たりません。至って健康です」
ドラえもん「あれ?おかしいな?故障な?」
佐村河内「⋯⋯」
ジャイアン「何でだ?佐村河内さんの耳は聞こえないんだろ?」
ドラえもん「そうのはずなんだけど⋯」
佐村河内「いや、いいんだ。僕の耳は聞こえないままでいいんだ」
ドラえもん「いや、大丈夫です。治す方法がありますよ。ドラミ!」
ドラミ「はいはーい。私のお医者さんカバンを使うわ。昨日買って来た最新モデルよ」
ドラミ「それじゃあ、これをつけてっと」
お医者さんカバン「至って健康です。耳は聞こえてます」
ジャイアン「おい、どうしてだよ!」
ドラえもん「それなら、これを使おう。空気砲」
ドラえもん「それなら、耳を潰せば本当に診察は成立するよね」フヒー
佐村河内「お、おい」
空気砲 ドーン
お医者さんカバン「重度の難聴です。治りません」
ドラミ「よし、これでok」
佐村河内「」
ジャイアン「これで、聞こえないようになったか?」
ドラえもん「うん、聞こえないよ。お医者さんカバンは嘘をつかないよ」
ジャイアン「なぁ、どうしてこんなことをしたんだ?」
ドラえもん「昨日見せたよ。未来では佐村河内という作曲家は本当はあんな人だったってことだよ」
ジャイアン「とはいえ、ここまでするか?」
ドラミ「当然よ。世界中の難聴患者が彼を見てどう思うのよ。それなら、歴史を変えてでもしてあげないと」
ドラ・ドラミ「全く聞こえない恐怖を」
おわり
駄文に付き合って下さってありがとうございました
初SSなので、変な箇所は見逃していただけると嬉しいです
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