唯「相川さんとちゅーしたい」(60)

―教室―

ゆずこ「ねぇ、唯ちゃん」

唯「なに?」

ゆずこ「もう、あいちゃんとちゅーした?」

唯「はぁっ……!?」カァァァッ

縁「ちゅーしたの?」

唯「帰れっ!お前ら今すぐ帰れっ!」


唯と相川さん付き合ってる設定

ゆずこ「え~、したかしてないかだけでいいから~!ちゅーしてる最中の感触を思い出しながら語ってくれなくていいから~!」

唯「最初からする気ないわっ」

縁「え!?あいちゃんとちゅーしたくないの?」

唯「あ、そっちじゃなくて……」

ゆずこ「で!したの?してないの?」

唯「う…………ま……まだだけど……」カァァァッ

ゆずこ「………………」

縁「………………」

唯「あ、無言やめてください」

ゆずこ「い、いやあ……なんか……こう……ねぇ?」

縁「うんうん……!……なんか…………ねぇ?」

唯「な、なんなんだよ……」

ゆずこ「こっちの方が恥ずかしいわ!ってやつ」

縁「てやつ!」

唯「そうか!……はいこの話終わり」

ゆずこ「だめだめ!今夜は寝かせないぜ?」

唯「夜じゃねーし」

ゆずこ「でさ、ちゅーしたいんでしょ?本当は」

唯「……え?……ま、まぁ……そりゃ……」

縁「ちゅ……チュパカブラ……」

唯「……は?」

縁「チュパカブラ見たいんでしょ~?」

唯「……い、いや別に」

ゆずこ「ちょっと縁ちゃん!今マジな話してるから!」

縁「あっ、ごめんゆずちゃ~ん!」

ゆずこ「え~?いいっていいって~」

縁「ほんとに?怒ってない?」

ゆずこ「うん!ぜんぜんぜんぜん!」

縁「よかったぁ~」

ゆずこ「で、話戻すけど……」

唯「う……」

ゆずこ「チュパカブラの感触どうだった?」

唯「混ざってる!!」

縁「あははははははは!」

ゆずこ「………………チュパカブラ」ボソッ

縁「くふっ!あひゃっ……!あはっ……!あははははは!」

唯「あー、ツボ入っちゃったやつか」

縁「あはは!チュパカブラっ……!ふふっ……っ……カブラってなに……あははははは!」

唯「チュパはいいのかよ」

ゆずこ「うわ……女子高生がチュパだなんて……」

唯「色々お前にだけは言われたくないわ」

縁「あははは……!………………ふぅ」

唯(あ、落ち着いた)

ゆずこ(もうちょっとチュパカブラネタ引っ張ろうと思ってたけどやめとこう)

唯「……そういえば、なんであんなこと聞いてきたんだよ」

ゆずこ「なにがー?」

唯「そ、その……ちゅー……したのかって……」カァァッ

ゆずこ「あー、もししてたらあいちゃんに聞きに行こうと思って」

唯「嫌な予感しかしないけど何をだよ」

ゆずこ「上手かった?って」

唯「あほ!消えろ!粒子レベルに分解されろ!」

ゆずこ「もぉ、そんなに口が上手くてもちゅーが上手いとは限らないんだよ?」

唯「黙れ、ドヤ顔やめろ」

縁「ゆずちゃん!私は今の好きだよ?」

ゆずこ「…………いぇーい!」

縁「いぇーい!」

唯「…………はぁ」

唯「ていうか上手かったらどうするつもりだったんだよ」

ゆずこ「そりゃあ、私にもしてもらおうと思って」

唯「……つま先だけタンスの下敷きにしてやろうか」

縁「ゆずちゃんだけずるいよー!私もー!」

ゆずこ「おっけーおっけー!半分こね!」

唯「口裂けるわ、あほ」

ゆずこ「嫌ああああああ!ポマードポマード!」

縁「ぽ、ぽまーど!」

唯「うざい!縁も分からんなら言わないでいいから」

縁「えへへ、なんか言いたくなっちゃった」

ゆずこ「ってことで、上手いかどうか確かめるためにちゅーしよっか!」ガシッ

唯「うわっ……!おい……!まじかっ……!」ググッ

ゆずこ「はぁはぁ……!ゆいちゃん……!」グイッ

唯「やめろっ!このアホ……!縁も見てないで助け――」

縁(お腹減ってきたー)グー

唯「見てない!」ドスッ

ゆずこ「ぐふっ……!」

唯「はぁ……危なすぎるだろお前……」

ゆずこ「ちなみに上手くなかった場合も練習と称してキスを迫るつもりでした」

唯「いらん情報くれんな」

ゆずこ「まぁ、それは冗談として」

唯(分かりづれえ)

ゆずこ「あいちゃんと付き合ってから1ヵ月はそろそろ経つんだし、そろそろそういうことしちゃっても捕まらないよ?」

唯「お前は私にどうなってほしいんだよ……」

千穂「………………」ジーッ

佳「あいつらまた馬鹿なことやってんなー」

千穂「ね、ねー!」

佳「櫟井が野々原とあんなことしてて、彼女として不安にならねえのー?」

千穂「んー、不安ではない……と思う」

佳「へー」

千穂「なんていうかね……櫟井さんは野々原さん達と仲がいいのとは別で、私のこと考えてくれてるって感じがしててね……あっ、あくまで感じなんだけど……」

佳「へ、へー、よ、よかったじゃん」

千穂「うんっ、良かった!」ニパッ

佳「お、おう……」

佳「……そっか……」

佳「…………よかった……な……」

ふみ「………………」ナデナデ

佳「憐れむな!」

ふみ「あわれむなだって、何かいいね」

佳「なんだよっ」

ふみ「あわれむな……アフリカ・アワレムナ共和国」

佳「それはもういい」

唯「あ、ちょっと飲み物買ってくる」

縁「いってらっしゃーい」

ゆずこ「私ドクペね!」

唯「一人で飲みきれよ?」

ガラッ

唯(くそ、無駄に騒いだからノドかわいた……)

佳「よぉ、櫟井」

唯「え?岡野さん?」

佳「さっきの話だけど」

唯「さ、さっき?」

佳「相川はちゅー上手いぞ」

唯「え?」

佳「じゃあな」タタッ

佳(ふっ、まあ嘘だけどな)

佳(なんかムシャクシャしたからやったけど)

佳(櫟井のびびった顔見れたから良かったわ)

ふみ「…………」ナデナデ

佳「だからやめろって……」

翌日

―唯の家―


唯(これから相川さんがうちに来るわけだが……)

唯(ゆずこがあんなこと言うから、変に意識しちゃうな……)

唯(ちゅー……か……相川さんと……)

唯(あーだめだって、相川さんは絶対そういうのしたがる子じゃないし)

ピンポーン

唯(ああああ!?もう来た!?)

唯(やばいやばい……!昨日のことなんか忘れろ!)

唯(平常心……平常心だ……!!)

ガチャ

唯「へいらっしゃい!!」

千穂「お、お寿司屋さん!?」

唯「今日は何にしやしょーか!」

千穂「さ、サーモン?」

唯「かしこまりましたぁ!!」

千穂「……あ、ありがとう」

唯「……ドア開ける前からやり直していい?」

千穂「わ、わかった!一回外出るね!」

唯「ごめんごめん、ちょっと間違えちゃって」

千穂「そ、そっか、しょうがないよね」

唯「ハハハ、さっき読んでたマンガがお寿司ものだったから間違えちゃったのかなー」

千穂「そ、そんなのあるんだ」

唯「そうだ、今お茶いれてくるから私の部屋でちょっと待ってて」

千穂「あっ、ありがとう~」

唯(よし、ここからは普通でいくぞ)

唯(ちゅーしたいとかは忘れて……)

唯(ちゅー……したいけど)

千穂「――でね、岡ちーが変なこと言うから――」

唯(……あー、今日も可愛いな相川さんは)

唯(うちに来るだけなのにあんなオシャレしてきてくれて……Tシャツ一枚のこっちが恥ずかしいわ)

唯(告白された時は、相川さん可愛いし告白されて嬉しいからって男子サッカー部の中学生みたいな考えでOKしたけど……)

唯(それから二人っきりになる機会が増えて一緒に遊びに行ったりしてるうちに完全にはまっちゃったよなぁ……)

唯(喋ってるだけですごい楽しいし、手つなぐと顔にやけちゃうし、相川さんの匂い嗅ぐとドキドキするし……)

唯(……ってゆずこかよ私は)

唯(はぁ……ちゅーしたいけど……無理だよな……)

千穂「ねぇ、櫟井さんはちゅー」

唯「はぁぁあぁあああああ!?」ガタッ

千穂「……学生の頃はどんな感じだった?……って聞こうと思ったんだけど……」

唯「あ!?あ!!ああ、中学生の頃?えっと……その頃から縁とゆずことは一緒だったから……」

千穂「あはは、じゃあ今とあんまり変わらないんだ?」

唯「あー……今より馬鹿だったかもなぁ……」

千穂「わぁ、大変だね…………あっ!馬鹿にしてるわけじゃなくて……」

唯「大丈夫大丈夫、むしろ馬鹿にしてもらった方があいつらも大人しくなるから」

千穂「えへへ、野々原さん達のことよく分かってるんだねー」

唯「ん、まぁ分かりたくないようなことまで向こうから言ってくるからね」

千穂「そっかぁ……」

唯「あれ?どうかした?」

千穂「……隣、座っていい?」

唯「え……」ドキッ

千穂「い、いいよねっ」スッ

唯「う、うん」

千穂「…………」

唯「…………」

唯(あ……やわらかっ……)

千穂「…………」

唯「あ……その……相川さん……?」

千穂「…………いちいさん」

唯「な、なに?」

千穂「……えと…………なんでもないっ」

唯「そ、そっか……」

千穂「…………」

唯「………………」

千穂「……ご、ごめんね、やっぱり何でもなくないっ」

唯「う、うん、なに?」

千穂「あの……昨日、教室で野々原さん達と話してたことなんだけど……」

唯「…………え!?聞こえてた!?」

千穂「う、うんっ……結構」

唯「あ、いや、ちがくて!あれはああいうノリでさ!ああ言わないとゆずこ達収まらないから!」アセアセ

千穂「え?そんな変なこと言ったの?」

唯「……あ……言ってないよ」

千穂「……あのね……ちょっと気になったんだけど……」

唯「……なに?」

千穂「櫟井さん……今までにちゅーしたことあるのかな……って」

唯「……!な、ないよ!」

千穂「野々原さん達とも……?」

唯「当たり前だよ!あいつらとはそういうんじゃないから」

千穂「…………私は……そういうん?」

唯「…………うん」ガシッ

千穂「……!」ドキッ

唯「…………」ドキドキ

千穂「…………」ドキドキ

唯(……やば……勢いで肩掴んだけど……ちゅーする覚悟全然できてない!)

千穂「……いちいさん……」キュッ

唯(ちょっ!目つぶらないで!いや、これはあれだ、目に砂が入ったとかのあれだ!室内だけど!)

千穂「………………いちいさん……?」ウルッ

唯「あ…………うあ…………」


アーシタヲノボッテソーラヲミーアゲタラ


唯「あっ!メールだ!」バッ

千穂「……あ…………」

唯「え、えっと……ゆずこからか……」


件名:ちゅー
本文:したら五万円プレゼント!!


唯(そこまでしてさせたいのかよ……)

唯「あ、縁からも来てる……」


件名:チュパ
本文:カブラ


唯(気に入ったのか……)

千穂「なんだって?」

唯「あ、ああ、いつもの下らないやつだよ、何でもない」

千穂「そっかぁ……」

唯「…………」

千穂「…………」

唯(あー、やっちゃったなー、さっきの流れちゅーできたのに……)

唯(ま、いいか……そんな焦ってしなくても……)

千穂「……いいなぁ……」ニコッ

唯「……!?」

千穂「…………野々原さん達が羨ましいなぁ……」ニコニコ

唯「あ、相川さん?」

千穂「…………」

唯「えっと…………」

千穂「……なに?」

唯「……怒ってる?」

千穂「別に」

唯(うわああ、それ怒ってる人が一番言うやつ!)

唯「ご、ごめん」

千穂「何で謝るの?悪いことしたの?」ツーン

唯「あ、あははは……」

唯(これは……どう考えても相川さんの目の前でゆずこ達を構いすぎたからだよなぁ……)

唯(ど、どうすればいい……今は何か言っても聞いてくれる感じじゃないし……)

千穂「……お茶……おかわりほしいな」

唯(何か……相川さんのことを一番に考えてるって証拠になること…………)

唯(………………あ)

唯「…………相川さん」ガシッ

千穂「え…………」

唯「…………んっ」チュッ

千穂「……ふぁ…………」

唯「……好きだよ」カァァァッ

千穂「……!!」カァァァッ

唯(そうだよな……ちゅーしたいしたいってそればっかり考えてたけど)

唯(ちゅーって本当はこうやって何かを伝えるためのもんだよな)

千穂「……あ、いちいさんっ、ごめんなさい、わたしちょっと怒ってたっ」

唯「……許してくれる?」

千穂「う、うんっ!」

唯「ごめんね、こんなんが彼女で」

千穂「……あのね、櫟井さん全然好きって言ってくれないから……もしかしたら野々原さん達といる方が好きなのかもって内心思ってて……」

唯「……両方好きだけど……二人きりになりたいって思うのは相川さんだけで……」

唯「ごめん、自分でもよくわかってないんだけど……そんな感じでも大丈夫?」

千穂「うんっ!私もそうだから!」

唯「ふふっ、良かった」

千穂「…………もういっかい」

唯「うん……」チュッ

千穂「…………んっ」

唯「…………好きだよ、千穂」

千穂「……あ、それ……!」

唯「……あはは、ちょっと照れるけどね」

千穂「じゃ、じゃあ私も…………ゆ、ゆい……さん?」

唯「ん、ちょっと変かな」

千穂「ゆい……さま?」

唯「そんなに偉くないから……」

千穂「ゆいどの?」

唯「武将!?」

翌日

―教室―


ゆずこ「…………」ニヤニヤ

縁「…………」ニヤニヤ

唯「な、なんだよ……」

ゆずこ「にやにや」

縁「にやにや~」

唯「口に出さんでも分かるわ」

ゆずこ「昨日はお楽しみでした~?」

縁「でした~?」

唯「……ん……まあ……ちゅーはしたよ」

縁「おぉ~!」

ゆずこ「よっしゃー!じゃあ早速!」ガタッ

唯「待て!」ガシッ

ゆずこ「な~に~唯ちゃん?今からあいちゃんに唯ちゃんのテクニックのほどを聞きに……」

唯「五万円」

ゆずこ「…………ああっ!」

唯「五万円」

ゆずこ「あ、あれは……その……」

唯「五万円」

ゆずこ「…………すんませんしたっ!」

唯「そういうのいらないから」

ゆずこ「……え?」

唯「五万円」


―おわり―

以上でした
読んで下さった方ありがとうございました

5巻の表紙最高

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