夏海「チョコ作ったけど、普通にあげんのもつまらんよな。…よし!」 (9)

夏海「それならついでに愛の告白でもしちゃいますかー?」キシシ

夏海「となれば、ターゲットは勿論……」

夏海「ねーちゃんねーちゃん、ウチチョコ作ったんだけど──」ガラッ

このみ「こっっんにっっちはーー!!!」

夏海「おーこのみちゃん、タイミングいいような悪いような……」

このみ「え、なになに? チョコくれってことー?」

夏海「違う違う、逆だよ~」ニヤニヤ

このみ「へ、逆?」

夏海「はい、このみちゃん。これウチからの本命チョコ」スッ

夏海「…これでウチと付き合って下さい!」バッ

このみ「却下♪」ニコッ

夏海「うわっ、即答…。一秒も考えんかったねー」

このみ「だってなっちゃん、笑ってるんだもん。冗談なのバレバレだよー?」

夏海「そっか、んじゃねーちゃんも騙せんかな…」

夏海「くそぅ、ウチは一体何の為にチョコ作ったんだー!?」

このみ「あげる為じゃないの?」

夏海「こうなりゃ自分へのご褒美に…!」ペリリ

このみ「たんまたんま! 私、なっちゃんでも騙せそうな人知ってるよー」

夏海「え、マジで?」ピタッ

このみ「うん、だからちょ~っと電話貸してくれるかなぁ?」

夏海「いいよいいよ、ウチに協力してくれんならじゃんじゃん使っちゃってよー!」アハハ

このみ「じゃ、お構いなくー♪」ガチャ

夏海「……」

夏海(…ん、電話?)

このみ「あ、もしもしひかげちゃん?」

夏海「ぶっ!?」

このみ「私、このみー。緊急事態なんだけど、今すぐ村へ戻ってきてくれるかなぁ?」

夏海「ちょっとちょっと、このみちゃん! ただのイタズラで東京から呼ぶのはちょっと……」

このみ「え~、時間かかるなら新幹線使えばいいでしょ? 緊急事態なんだよ?」

このみ「来ないと絶対後悔するよ? 村のみんなに恨まれるよ? それでもいいの?」

夏海「来たら絶対後悔するし、恨まれるのはウチだよ!!」

このみ「とにかく出来る限り早く来てねっ!」ガチャ

夏海「あ…」

このみ「……」

夏海「……」

このみ「…ナイスサポート?」

夏海「いやいやいや、やりすぎでしょー!? オバサポだよ、オバサポ!!」

このみ「ひかげちゃん来るまで時間あるだろうし、なっちゃんちで時間潰してていいよね?」

夏海「うんまぁ、別にいいけど…」チラッ

夏海(ひか姉が新幹線に乗る前に、なんとか電話して阻止せねば!)

夏海(居間にはねーちゃんが居るハズ。ねーちゃん、なんとか時間稼いで──)トタトタ

小鞠「あ、夏海ー。私これから蛍んちでチョコ交換しに行くんだけどー」

夏海「は?」

このみ「小鞠ちゃんもチョコ作ったの?」

小鞠「あ、このみちゃん来てたんだんだ」

小鞠「小鞠ちゃんもって、このみちゃんもチョコ作ってきたってこと?」

このみ「へ? …あ~じゃあ最初は小鞠ちゃんにあげるつもりだったんだ」チラッ

夏海「……」

小鞠「?」

このみ「ううん、こっちの話。行っておいでよ、小鞠ちゃん♪」ニコッ

小鞠「じゃあ夏海も居ることだしゆっくりしてってね、このみちゃん」ガララ

ピシャ

このみ「なっちゃん、時間まで何してよっか?」

夏海「え~っと、最近発掘したゲームがあんだけどやってみる?」

このみ「うん、やるやるー! 2人プレイ出来るんでしょ?」

夏海「で、出来ると思うよ。多分」

夏海(このみちゃん、もしやウチのもくろみに気付いて……)

夏海(頼む、ひか姉! まだだ、まだ新幹線に乗らんでくれー)


カチカチカチ

このみ「あ、なっちゃん! そっち行ったらやられちゃうよー」

夏海「え? うわぁ!? …あ~即死トラップあったのかー」

このみ「も~、私の残機使っていいから復活しなよ」

夏海「その前にウチ、トイレ行ってくるわ」スクッ

夏海「このみちゃん、ウチそこのステージ苦手だから1人で進めちゃってー」

このみ「はいはい、残機増やしとくから戻ったらちゃんと復活してよね」

夏海(よっしゃー! 電話するチャンスとうら~~い!!)グッ

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