女P「一晩だけだから」 (21)
P「ジンジャーエールに柿の種~♪」
P「ふふ、こうやってだらだらしてるだけで楽しい」ポリポリ
P「翌日が休みの夜ってどうしてこう楽しいんだろう、私だけかな」ゴクゴク
P「とりあえず録画しておいた皆の番組でも……ん?」prrrrrr
P「はい、もしもし」
千早『……もしもし、プロデューサー』
P「千早?」
※このSSに登場するPは女性です。
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P「どうしたの、こんな時間に」22:48
千早『実は、鍵が折れてしまって……』
P「鍵? 家の?」
千早『はい』
P「大家さんが合鍵持ってたりは……」
千早『いえ、実は、鍵穴にささったまま折れてしまって』
P「え」
千早『帰れ、ないんです、が……その』
千早『一晩だけ、泊めてもらえませんか……?』
P「え!? うちに?」
千早『はい』
P「ちょっと待って。確か千早の家って響の家と近かったよね。そっちは?」
千早『我那覇さんの家は……前に春香と遊びに行ったんですけど、動物の毛で喉をやられてしまって』
P「ああ……それは困るなあ」
P「しょうがない。一晩だけだからね」
千早『! 本当ですか!』
P「うん。うちの住所知ってたっけ? 来れる?」
千早『はい。今から向かいます』
P「ん、待ってる」プッ
P「……さてどうしよう」
千早「お邪魔します」
P「はい、いらっしゃい」
P(良かった、軽く片付けるのは間に合った)
千早「……綺麗な部屋ですね」
P「まあ、あんまり物置かないしね。せいぜいベッドのゲフンゲフン」
千早「?」
P「なんでもない」
千早「まあ、なんでもいいですけど」
P「あ、そうだ。着替えってどうする? 流石に私の服じゃサイズが合わないでしょ?」
千早「途中で買ってきました」
P「あ、そう。なら良かった」
千早「すいません、こんな時間に」
P「いやいや、良いってことよ。それにしても千早も災難だねぇ。千早も明日休みでしょ?」
千早「はい。久しぶりのオフですし、ちょっと出かけようかと思っていたんですが……」
P「まあ、明日業者呼べば明日中には帰れるでしょ」
P「そうだ千早、夕飯って食べた? 仕事終わって家帰るときにはまだだったけど」
千早「そういえば、まだ食べていませんでした」
P「じゃあ、私のおつまみのついでに作っちゃうから食べてよ。本当についでだけど」
千早「ありがとうございます、何から何まで」
P「良いって。あ、そうだ千早。テレビ点けて、録画フォルダの一番下の奴再生しといて」
千早「あ、はい」ピッピッ
TV『食わず嫌い女王決定戦!』
千早「バラエティですか」
P「うん。伊織が出てたから録っておいた」カチカチボゥッ
伊織『苦手な食べ物ですか? そんなのありませんよぉ~』
P「……正直騙し通せそうなんだよね、伊織の場合」ジュゥゥゥゥゥ
千早「私も思いました」
P「でもテレビ局に高級食材用意させるのはどうかなーって」ヒョイッ
千早「似てないです」
P「ごめん。」ジュゥゥゥゥゥ
P「はい、出来た」
千早「本当におつまみですね」
P「飲むのはジンジャーエールだけどね」
P「カジキマグロを適当に焼いた奴と、イカを適当に焼いた奴と、残ってた朝の米を適当に温めたやつ。召し上がれ召し上がれ」
千早「全体的に適当なんですね、頂きます」
P「一人暮らしの料理なんて適当でいいの。食べられれば」
千早「あ、でも美味しいです」モグモグ
P「それはどうも。イカ食べよ」モグモグ
二人「「…………」」モグモグモグ
P「さて、お風呂先に入っちゃって」
千早「えっ、プロデューサーこそ先に。家の主よりも先に入るわけには……」
P「んー、そうかな? じゃあ、お先に」
千早「はい」
バタン
千早「…………」
千早(突然来てしまったけど……悪く思われてないかしら)
千早(夕飯まで作ってもらって……)
千早(今度改めてお礼をしないと)
千早「……ん?」
千早「何かしら、ベッドの下に何か……」ゴソゴソ
千早「! これって……」
P「ふぅ……」
P(まさか千早がうちに来る日が来ようとは)
P(私も春香とかと同じように友達みたいなノリで接せれば良いんだけどなぁ、プロデューサーとして多少の上下関係は必要だし)
P(ていうか、人を家に呼んだことがないからどんなことをすればいいのか全く分からない)
P(寝るタイミングとかどうすればいいんだろう、私下手すれば明日の朝まで『あず散歩』見てるつもりだったけど)
P「まあ……なるようになるか」
P「明日の朝ごはんどうしようかな」
P「…………」
P「……出よ」
P「お風呂どうぞ~」ガラッ
千早「ッ!」ビクッ
千早「あ、はい、お風呂頂きます(?)」
P「? なんでそんなに、慌て……て……って、あぁ!」
千早「あ、いや、これは」
P「み、見たの……?」
千早「は、はい……」
P「隠しておいたのに……」
千早「すいません」
P「あぁ~、恥ずかしい! 雪歩じゃないけど、穴ほって埋まりたい!」
千早「ま、まあ、でも、個人の趣味は」
P「事務所で仕事してる時は基本クールキャラで売ってたのに! さっきから既にキャラ崩壊を悟ってたのにこれで確定だよぉ!」
千早「ま、まあ、プロデューサー」
千早「ぬいぐるみくらい誰でも持ってますから」
P「こんなの亜美真美辺りに知られたら、「うわー、姉ちゃん、いおりんとキャラ被ってるYO!」とか言われるんだー!」
千早(私もさっきぬいぐるみで遊んでたのは言わないでおこうかしら)
P「……まあいいや。とりあえず千早はお風呂へ」
千早「あ、はい」
ガラッ
P「……穴掘って埋まりたい」
P「二十代後半、アラサーに片足突っ込んだ女がぬいぐるみ集めてるとか知られたら恥ずか死確定」
P「……いや、この言い方だと小鳥よりはマシかなぁと思えてくるから怖いな」
P「いいや、忘れよう。『食わず嫌い女王決定戦』の続き見よう」
今日はここまでで。続きは明日辺りに書きます。
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