幼馴染「必殺!」 (116)
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ズリュ……ズリュ……
女「う……うぶっ……!」
ヤンキー「オイ、もっと舌絡めろよオラ!」グイッ!
女「あぐ……う、うぇ……」
DQN「おぉぉ……溶ける、マジ溶けるコレ」パンパン!
女「ふぐっ……! ……あ…う……」
DQN「うっ! 出る!」
ヤンキー「くぅ……こっちも限界だ!」
ドピュ! ドピュ!
女「ゲホッ! ゲホッ! ……う、うぇぇ」
???「……何だDQN、五分も保たないのかい?」
DQN「へ、へへ……いやぁ、この女マジ名器ッスよ」
???「へぇ……なら『しばらくは』楽しめそうだね」
ヤンキー「ほれ、綺麗に舐め取れよ」ガシッ!
女「あうっ……! も、もう止めて……家に帰して……」グスッ
???「なに言ってるの? お楽しみはこれからじゃないか。……さて、お薬の時間だよ女さん」
女「い…嫌……!」
???「心配するなって、ただの栄養剤だよ……オイ、押さえろ」
DQN「へへへ……」ガシッ
ヤンキー「暴れんじゃねーよ、このアマ」ガシッ
女「嫌……嫌ぁ……! 止めて…助けて……!」
女(誰か…誰か助けて……助けて…イケメン君……!)
―1ヶ月後―
タッタッタッタッタッ…
ヤクザ「ハァ……ハァ……」
ヤクザ「な、何なんだ……どうしてこんな目に……!」
ザッ…
???「……鬼ごっこは、そろそろ終わりにしようか?」
ヤクザ「ヒッ! ……な、何なんだよお前!? 何で俺を狙う!?」
???「…………」ジリ…
ヤクザ「く、来るな!!」ジャキッ!
???「…………」ヒュヒュン!
ヤクザ「うっ……何だ!? 銃が引っ張られ……!」ギヂッ…
ググッ……ブンッ!
銃「カランカラン……」
ヤクザ「銃が……!」
???「無駄だ……アンタはここで死ぬ」
ヤクザ「ク、クソッ!」ダダッ!
???「だから無駄だって……そっちにも『糸』を張り巡らせてある」
ヤクザ「うっ!?」グンッ!
ドサァ!
ヤクザ「う、うう……何だ? 何かに弾かれた……?」
???「ただの『糸』さ」シュルルッ!
ヤクザ「ぐぇっ!?」グンッ!
ヤクザ「あぐぇ……く、首が…絞ま……!」ギリギリッ…!
???「…………」グググッ…グググッ……!
ヤクザ「か、が…あ……!」ガクンッ
ヤクザ「」
???「…………地獄に堕ちろ」
女子生徒1「ねぇ知ってる? また出たらしいよ」
女子生徒2「え? 何が?」
女子生徒1「ほら、駅前のビルで殺人事件があったじゃない? あれ『糸使い』がやったんだって」
女子生徒2「うそ!? また出たの?」
友「…………」
友(糸使い……俺たちが住むこの街で、数年前からまことしやかに囁かれている殺人鬼の噂だ)
友(老若男女を問わず、老人から子供まで無差別に殺してゆく連続殺人犯。正体は未だ不明)
友(その目的も……だ)
友(分かっているのは二つ。一つは殺された人間が、全員何らかのトラブルを抱えていて、例外なく、その加害者であるということ)
友(もう一つは……必ず細い糸のようなもので、首を絞められて殺されるということだ)
友「それで付いた名前が『糸使い』か……安直だよなぁ……。お前もそう思うだろ男?」
男「……~~~~!!」ギュルルルル……!
友「」
友「え……何お前? どうかしたのか?」
男「い、いや……今朝から腹の調子が悪くて……うぐっ!」グギュゥゥゥ……!
友「腹痛かよ。何か変なもん食ったのか?」
男「き、昨日の晩飯の賞味期限切れの納豆がマズかったらしい」
友「捨てろよそんなモン。……賞味期限切れって、どんぐらいの?」
男「ほんの一週間なんだが……」
友「いや、明らかに危ねーだろ! 何で食った!?」
男「最初から半分腐ってる食い物だし、いけるかと思ったんだけ……どおぉぉぉ!?」ギュルルルルルルル!
友「大丈夫かお前……腹がというか、頭が」
男「うぅぅぅ……ボスケテ、ドラえもん」
幼馴染「……えい!」ブスリ!
男「アギャァァァァァァァァァァ!?」
男「痛だだ……幼! テメーいきなり何しやがる!?」
幼馴染「下痢なんでしょ? 胃腸の調子を整えるツボを押してあげたのよ」
男「せめて一声かけてからにしろよ! 肛門が決壊するとこだったぞ!?」
幼馴染「やだ! やめてよちょっと」
友「うわ! くっせーな、トイレ行けよ」
男「まだ漏らしてねーよ!」
幼馴染「ま、それは冗談として……十分もすれば治るから感謝しなさいよね」スタスタ……
男「……あのアマ、いつか絶対泣かす」
友「アイツはアイツなりに気を使ってくれたんだろ。案外、本当に治るかもしれんぞ?」
男「そんな訳あるかよ……痛てて」ギュルルル……!
~十分後~
教師「え~……で、あるからして……」カリカリ……
男「…………」
男(本当に治るところが恐ろしい……)
――放課後
友「よーし終わり終わり、今日も一日ご苦労さんっと……なぁ男、腹治ったんだろ? 何か食いに行こーぜ」
男「ん? ああ……そうだな」
幼馴染「んー……じゃ、私も行こっかな?」
男「は? お前も来るの?」
幼馴染「うん。奢ってくれるんでしょ?」
男「はぁ!? 何でだよ!?」
幼馴染「あっれー? 誰がアンタの腹痛治してあげたんだっけぇ?」
男「う……それを言われると……」
幼馴染「じゃ、決まりね?」
男「うぅ~……」
友「というか幼、お前部活はいいのか?」
幼馴染「ああ、いいのいいの。どうせ私意外は幽霊部員だし」
男「……前から聞きたかったんだけど『温泉部』って、何やる部活なんだ?」
幼馴染「部費で温泉に入りに行く部よ」キリッ
友「何だそりゃ?」
男「予算の無駄遣いだな……」
幼馴染「貴重な青春の日々を無駄遣いしている、アンタらよりマシよ」
男「また、えらい言われようだなオイ」
友「帰宅部が、そんなに悪いかよ」
幼馴染「アンタ達、運動神経『だけ』は良いんだから、運動部にでも入ったら?」
男「冗談じゃねぇ。そんな腹の減ることやってたまるか。ただでさえ金欠で、食費がギリギリだってのに……」
幼馴染「アンタはいっつもそれよねぇ……そもそも、何でそんなにお金ないの?」
男「……エアコンが壊れたんだよ」
友「またかよ。先月は冷蔵庫で、その前は電子レンジだっけ?」
男「修理代に三万とられた……」
幼馴染「オバ様にお金送ってもらったら?」
男「連絡が取れねーんだよ……連絡先自体、知らねーし」
友「お前の両親、海外にいるんだっけ? まだ帰ってこねーのか?」
男「いつ帰ってくるのか、そもそも帰る気があるのかも分からん。……何か今はアフリカで、動物の写真を撮る仕事をしているらしい」
友「相変わらず訳分わかんねーな、お前の親……」
幼馴染「友は? 何で辞めちゃったの、ウエイトリフティング部」
友「辞めたんじゃなくて、廃部になったんだよ……部員不足で」
男「ああ……新入部員が、一人も入らなかったんだっけ?」
幼馴染「まぁ、そりゃそうよね。そんなマニアックな部……」
友「温泉部に言われたくねーよ!!」
イケメン「…………」テクテク……
友「……ん? よう、イケメン」
イケメン「え……? ああ、友か……何?」
友「これからみんなで、何か食いにいこうって話してたんだけどさ、お前もたまにどうだ?」
イケメン「ん……いや、悪いけど、これから生徒会に顔出さなきゃなんないから……」
友「そっか……」
男「何か顔色悪いぞお前。大丈夫か?」
イケメン「あ、ああ……大丈夫だ」
男「……大丈夫そうには見えねーけど?」
イケメン「……俺、急ぐから……じゃあ」スタスタ……
男「…………本当に大丈夫かアイツ? 顔、真っ青だったぞ」
友「そりゃあな……」
幼馴染「うん。あんな事があったんじゃ……ね」
男「……あんな事?」
―駅前・バーガーショップ店内―
男「……行方不明?」
友「そ、A組に女さんって居ただろ? 文芸部の副部長の」
男「誰だそれ?」
友「いや、お前も何度か話したことあるだろ……」
男「俺、バスト86cm未満の女に興味ないから」
幼馴染「ほーう……それはつまり、私に喧嘩売ってると解釈していいのかな男ぉ……」←80cm
男「……で、その女さんがどうしたって?」(無視)
幼馴染「…………覚えてなさいよアンタ」
友「…………(汗)」
友「コホン! えっとな……聞いた話じゃ、一ヶ月前に彼氏と会ってくるって家を出たきり、行方が分からなくなってるらしい」
男「ただの家出じゃねーのか? 今頃その彼氏んとこに転がり込んでるんだろ、どうせ」モグモグ
友「その彼氏ってのが、あのイケメンなんだよ」
男「え?」
友「待ち合わせの場所に女さんは来なかったそうだ。携帯も繋がらないし、心配して家のほうにも電話したらしいんだが……」
男「……そのまま行方不明に?」
友「ああ、捜索願も出されてるけど、未だ手がかり無しだとさ」
幼馴染「学校にも警察来てたでしょ? TVのニュースでも報道されてたよ」
男「ああ……そういえばパトカー停まってたな。アレって、そういうアレだったんだ」
友「興味ないにも程があるぞお前……」
幼馴染「普段、何考えながら生きてるのアンタ……」
男「そんな目で俺を見るなお前ら」
男「……でもまぁ、それで分かったわ。だからイケメンの奴、あんなに顔色悪かったのか」
幼馴染「仲良かったからね、あの二人。無事に帰ってくればいいけど……」
男「……無事に?」
友「要するに、事件に巻き込まれたんじゃないか、ってことだよ」
男「あ、そういうことか……まぁ警察も捜してるんだろ? そのうち見つかるんじゃねーの?」
「いや~……そんな悠長なこと言ってられんよ実際」
男「へ?」
友「え?」
幼馴染「うん?」
中年刑事「よう、悪ガキども。お揃いで何の悪巧みだ?」
男「あれ? 画伯じゃねーか……アンタ、こんなとこで何してるの?」
画伯(中年刑事)「その呼び方は止めろと言っただろうが!!」
友「なに若い気出して、ハンバーガーなんか食いに来てるんだよ画伯。アンタが行くところは定食屋か、立ち食い蕎麦だろ」
画伯「うるせーな。俺だって、たまには学生時代を思い出して、こういうのが食いたくなるんだよ」
男「あん? 画伯の学生時代って戦前だろ?」
幼馴染「ハンバーガー屋なんてあったの?」
画伯「……お前ら、俺を何歳だと思ってやがる」
男「……んで? 画伯よぉ、本当はなにしに来たわけ?」モグモグ
画伯「んー? 例の不明事件でちょっとな……」モグモグ
友「女さんの? 何か進展あったのか?」
画伯「進展がないから、こうして捜査してるんだろ」モグモグ
幼馴染「ハンバーガー頬張りながら言っても、説得力ないよ画伯……」
男「……というか、画伯って一課だろ? そういうのって地域課の仕事じゃねーのか?」
画伯「いやー……そうなんだけどなぁ」
幼馴染「また勝手に捜査してるの? そのうちクビになるわよ本当に……」
友「画伯は二時間ドラマの観すぎだぜ」
画伯「でもなぁ……流石に自分の娘と同じ年頃の子が、行方不明と言われりゃあ、気になっちまってよ」
男「あんま、入れ込みすぎるのはどうかと思うぜ?」
画伯「まぁコイツはもう、俺の性分だ。せいぜいクビにならない程度に、上手くやるさ」モグモグ
友「……って、オイ! 何で俺のポテト食ってるんだよ画伯!?」
画伯「良いじゃねーか。最近の学生は金持ってるんだろ?」モグモグ
友「そういう問題じゃねーよ!!」
男「ポテトぐらいで、ギャーギャー騒ぐな、みっともない」モグモグ
幼馴染「ホンッと恥ずかしいんだから友は……」モグモグ
友「何でお前らまで食ってるの? ねえ、何で勝手に俺のポテト食うの?」
pipipi……pipipi……
男「あん? 誰か携帯鳴ってるぞ」
画伯「ん……ああ、俺のだ」ピッ
画伯「ハイ……ああ、俺だ。どうした?」
画伯「…………」
画伯「そうか……分かったすぐ行く」ピッ
幼馴染「何か事件?」
画伯「ああ、南口の方で誰か刺されたらしい……悪いけど、コレ片付けといてくれ」ガタッ
友「オイ画伯テメー! さり気なく俺のナゲット箱ごと持ってくんじゃねーよ!!」
画伯「ハッハッハッ……ごっそーさん!」モグモグ
友「信じらんねぇ……警察のやることかよ」
男「オイ、友」
友「あ?」
男「お前のポテトなくなったぞ?」モグモグ
幼馴染「もう一個買ってきて?」モグモグ
友「き、貴様ら……!」
友「ったくよぉ……無駄な金使っちまったじゃねーか」←買ってきた
男「……お前よく、ポテト単品注文なんて出来たな?」
幼馴染「恥ずかしくないの?」
友「誰のせいだよ!?」
※※※
幼馴染「……そういえばさ?」モグモグ
男「ん? 何だ?」モグモグ
友「……また勝手に食うのかよお前ら」
幼馴染「画伯ってさ、何で画伯って呼ばれてるの?」
男「え? 今更それ聞くか?」
友「つーか、知らなかったのか?」
幼馴染「え? 知らないの私だけ?」
友「署内でも画伯って呼ばれてるらしいぜ、あの人」
男「小学生の頃から、あだ名はずっと『画伯』だったみたいだな」
幼馴染「それはまた、随分と年季の入ったあだ名ね……で、何で?」
友「名前がもう『画伯』なんだよ」
幼馴染「はぁ?」
男「あの人の名前な……『山下 清』っていうんだよ」
幼馴染「…………なるほど、そういうことね」
―生徒会室―
イケメン「…………」
生徒会長「……イケメン君?」
イケメン「え……? あ、ハイ! 何ですか?」
生徒会長「さっきからボーっと、してるけど、体調でも悪いのかい? 顔色も良くないようだが……」
イケメン「あ、いや……すみません」
生徒会長「女さんが心配なのは分かるけど、あまり思い詰めない方がいい」
イケメン「……ハイ」
生徒会長「……じゃあ、今日はこの辺にしておこうか? みんな、もう帰っていいよ」
書記「え? 良いんですか?」
副会長「まだ少し書類が残ってますよ?」
生徒会長「残りは僕が片付けておくよ、大した量じゃないしね」
庶務「俺、手伝いましょうか?」
生徒会長「いや、一人で大丈夫さ。それより、来月からは文化祭の準備で忙しくなるし、休める内に休んでおきなよ」
副会長「……それじゃあ、お言葉に甘えて」ガタッ
書記「お先に失礼します、会長」ガタッ
生徒会長「ああ、お疲れさま」
イケメン「…………!?」
イケメン(え……? あ、あれは……)
庶務「ん? イケメン先輩、どうかしたんですか?」
イケメン「あ……いや、何でもないよ」
庶務「そっすか? ……じゃ、帰りましょうよ」
イケメン「あ、ああ……」
イケメン「……………………」
イケメン「どうして……あの人がアレを……?」
―友の家―
友「97……! 98……! 99……!」グイッ! グイッ!
友「ハア……ハア……よし、ダンベル100回終わり」
友「次は腹筋100回! フッ! フッ!」
プルルル……プルルル……
友「ん? 電話か……って、男じゃねーか」ピッ
友「何の用だコラ? 俺は今、筋トレで忙しいんだよ」
男『……第一声がそれってどうよ?』
友「うるせーよ、食い物の恨みは恐ろしいぞテメー」
男『まだ怒ってるのよ、小せぇ野郎だなオメーは』
友「へーへー……どうせ俺は小さいよ」
男『チ○ポが? お前、韓国人だったの?』
友「ブッ殺すぞテメー!!」
男『カリカリすんなよ、禿げるぞ?』
友「余計なお世話だ! ……用がないなら切るぞ」
男『待て待て、用ならあるって……お前、明日暇か?』
友「まぁ特に予定はないが……」
男『じゃあ、ちょっと俺に付き合ってくれよ』
友「……また釣りか?」
男『そんな嫌そうに言うなよ』
友「嫌そうじゃなくて、嫌なんだよ」
男『良いじゃねーか、たまには付き合えよ』
友「先週も先々週も、お前と釣りに行ったんだけど、俺……」
男『頼むって。お前が来ないと、誰がエサ買ってるれるんだよ?』
友「何で俺がミミズに足の生えたような、気色悪い生物を買ってやらんとならんのだゴラァ!」
男『冷たいこと言うなよ……俺たち十年来の親友だろ?』
友「こんなときばっか、親友とか言いやがってよオメーは……一人で行けよ、この馬鹿」
男『だって寂しいじゃねーか』
友「知るか。だったら幼でも誘えよ」
男『馬鹿野郎、釣りは暗くなってからが本番だぞ? アイツも生物学上は一応
女の子なのかもしれないんだから、夜中に、二人きりとかヤバいだろ』
友「……今の発言、幼にメールで送ってもいいか?」
男『アッハッハッ……俺に死ねってか?』
友「というかさ、実際のところ、どうなのよ?」
男『何が?』
友「お前と幼だよ。……付き合ってるのか?」
男『……ブッチャケ、よく分からん』
友「いや、自分のことだろ!?」
男『って、言われてもなぁ……告白したとか、されたとかはないな、今のところ』
友「つーか、さっさとくっついちまえよお前ら。ほぼ付き合ってるようなモンだろ?」
男『じゃあ聞くけどな……俺とアイツか、キャッキャウフフしてるところとか、想像できるか?』
友「……………………無理だな」
男『だろ?』
男『とりあえず今は、友達以上恋人未満ってやつで、良いんじゃねーかなぁ……って感じかな?』
友「アイツ結構モテるんだぜ? そんなこと言ってて、別の奴にかっさらわれても知らんぞ?」
男『それはそれで興奮する』
友「え? お前、寝取られ趣味あったの?」
男『せめて、アイツにあと6cm胸があったら、即決するんだけどなぁ……』
友「最終的に、そこに着地するのかよ。女性を胸で判断するなよ」
男『オッパイは正義です』
友「……お前、今絶対『キリッ』って、顔してるだろ?」
男『揉んだら大きくなるって、本当なのかなぁ?』
友「知るかそんなモン。まず胸を揉める関係になるのが先だろ」
男『何でアイツ貧乳なんだろうな? 貧乳が許されるのは小学四年生までだろ』
友「とりあえず、いろんな人に謝れテメー」
友母「友ー! ちょっと来なさい」
友「……と、オカンが呼んでるから切るぞ?」ピッ
ガチャ……タンタンタン
友「……何? 何か用?」
友母「友達がきてるわよ。玄関で待ってるから、すぐ行きなさい」
友「は? こんな時間に? 誰だよ……」
イケメン「…………よう」
友「イケメンか……どうした?」
イケメン「あ、ああ……ちょっとな」
友「……まぁ上がれよ」
イケメン「ああ……お邪魔します」
友「…………」
イケメン「…………」
友「…………」
イケメン「…………」
友「…………イケメン?」
イケメン「…………ん?」
友「何か話があるんじゃないのか?」
イケメン「…………」
友「どうしたよ? 何かあったのか?」
イケメン「いや…………」
イケメン「…………」
友「言いづらいことか?」
イケメン「……お前は」ボソッ
友「え?」
イケメン「友はさ……信頼してる人とか、尊敬してる人って……居るか?」
友「何だそれ?」
イケメン「…………」
友(信頼してる人か……強いて言うなら画伯と男かなぁ……尊敬は出来ないけど)
友「まぁ居るといえば居るけど?」
イケメン「じゃあ……」
友「?」
イケメン「じゃあ、もし……もしその人が自分の大切な人を、傷つけたかもしれないとしたら……どうする?」
友「…………何があったんだ?」
イケメン「…………」
友「イケメン……?」
イケメン「いや……何でもないんだ。悪い、変な話しちゃって……」
友「は? 何でもないってことないだろ?」
イケメン「……帰るよ」
友「お、おい……!」
ガチャ……バタンッ!
友「……何だアイツ?」ボリボリ…
友「…………ん? 何だコレ?」ヒョイ
つ財布
友「財布……イケメンのか?」
友「……ったく、しょーがねーな」
ピッポッパッポッ……
友「…………」
『只今、電波の届かない場所にいるか、電源を切っているため……』
友「携帯も繋がらんか……まぁいいや、週明けにでも学校で渡すか」
友「フアァァァァ……眠みぃ、今日はもう寝よ」
――翌日
陸上部長「……じゃあ次、ダッシュ十本!」
陸上部員B「ハイ!」
生徒会長「…………」スタスタ
陸上部長「あれ……生徒会長?」
生徒会長「ん? ……ああ、陸上部長さんか」
陸上部長「どうしたんですか? 休みの日なのに……」
生徒会長「ちょっと生徒会の用でね、どうしても今週中に、終わらせておきたい仕事があるんだ」
陸上部長「そうですか……あ、じゃあ私、あとで何か差し入れますね」
生徒会長「はは……ありがとう。でも、気を使わなくていいよ。それより、陸上部は大会が近いんだったね?」
陸上部長「ハイ! といっても、小さな大会ですけど……」
生徒会長「規模の大きい小さいは関係ないさ……良い結果が残せるように、頑張ってね? 僕も応援してるから」
陸上部長「あ、ありがとうございます!」
陸上部員A「部長ぉ! ちょっと良いですかー?」
陸上部長「あ、ハーイ! ……じゃあ私、行きますね?」
生徒会長「うん、それじゃあ」
―生徒会室―
生徒会長「…………」カタカタ…
生徒会長「ん……例のファイル、どこに保存したっけな?」カチッ…カチッ…
コンコン
生徒会長「……どうぞ」
ガラガラッ
イケメン「……失礼します」
生徒会長「イケメン君? どうしたんだい?」
イケメン「家の方に連絡したら、ここに居るって言われて……」
生徒会長「そう。……僕に何か用かな?」
イケメン「……他の役員は?」
生徒会長「ん? 今日は僕が個人的に来ただけだからね、他には誰もいないよ」
イケメン「そうですか……なら好都合だ」
生徒会長「?」
イケメン「会長……そろそろ、本当のことを話してもらえませんか」
生徒会長「え……? 何のことだい?」
イケメン「女の居場所……知っているんでしょう?」
生徒会長「!?」
イケメン「答えて下さい会長……アナタは知っているはずだ!」
生徒会長「な、何を……! どうして僕が女さんの居場所を知っていると言うんだ!?」
イケメン「アンタの使っている、その万年筆だよ!!」
生徒会長「な……!」
イケメン「そいつはなぁ……アイツの誕生日に俺がプレゼントした、一点物の万年筆なんだよ!」
イケメン「何でアンタがそれを持っているんだ!?」
生徒会長「そ、それは……」
ナイフ『ギラッ』
生徒会長「うっ!?」
イケメン「今更、拾ったなんて言い訳が通じると思うなよ? 女をどうしたんだ!? 答えろよ会長!!」
生徒会長「……………………」ギリッ!
―同時刻・港―
男「いや~……今日は天気もいいし、風もないし、絶好の釣り日よりだなぁ」
友「今日の気温4℃なんだけど……そもそも曇ってるし」ガタガタ
男「寒い方がいいんだよ、水温が高いと魚も居ないからな」
幼馴染「居ても居なくても、どうせ釣れないんだから一緒じゃないの?」
友「つーか結局、幼も来てるんじゃねーか」
男「さーて、釣るぞぉー。今日こそイシダイ釣り上げて、鯛飯パーティーだ!」
幼馴染「それ、二年ぐらい前から言ってるけど、釣ったことないよね?」
友「俺、お前がヒトデ意外の生き物を釣ったとこ、見たことないんだけど……」
男「そんな訳ねーだろ。この前ウグイ釣っただろ?」
幼馴染「一回だけね」
友「大体アレ、骨多すぎで喰えたもんじゃなかったぞ?」
男「くっ……よーし、見てろよ? 今日こそ大物釣り上げてやる!!」
幼馴染「ハイハイ……期待してないけど頑張って」スタスタ
友「俺らマスターの店で、時間潰してくるから」スタスタ
男「おう、戻ってくるときに缶コーヒー買ってきてくれ……そりゃ」ブンッ!
―海辺の喫茶店―
カランカラン
マスター「いらっしゃいませ……ああ、友さんと幼馴染さんでしたか」
友「どうも」
幼馴染「こんにちはマスター」
マスター「いつもので宜しいですか?」
友「うん」
幼馴染「私も、いつもので」
マスター「かしこまりました」
※※※
マスター「お待たせしました」カチャ
友「お、来た来た」
幼馴染「うーん……いつもながら美味しそう」
マスター「ありがとう御座います……今日も釣りで?」
友「ああ、向こうで男が釣り竿投げてるよ」モグモグ
幼馴染「今日こそイシダイ釣るんだって」モグモグ
マスター「ハハ……今日こそ釣れると良いですね?」
幼馴染「無理じゃない?」
友「どうせ今頃、バカでかいヒトデ釣り上げてる頃だろ」
マスター「相変わらず……ですか」
友「ああいうのを『下手の横好き』って言うんだぜ?」
幼馴染「五年近く続けてるのに、ヒトデ意外釣ったことないって、どれだけ運悪いんだろ?」
マスター「五年間、ほぼ毎週、男さんに付き合っているアナタ達も、どうかと思いますが……」
友「まぁどうせ暇だしな。この店も、すっかり常連になっちゃったよ」
幼馴染「いいんじゃない? マスターの料理、美味しいし」
マスター「ハハ……売り上げにご協力いただき、感謝してますよ」
―その頃の男―
男「そろそろエサ変えるか……ん? 何か重いな、根掛かったか?」ギーコ ギーコ…
男「いや、動くな……何か掛かってるんじゃねーかコレ?」
男「よーし、イシダイ来いイシダイ!」ギコギコギコ…!
ザパァ…
ヒトデ『よう!』
男「…………」
男「またヒトデかよ……」ガッカリ
―高層マンション・最上階ペントハウス―
イケメン「……ここに女が居るのか?」
生徒会長「あ、ああ……居るよ」
イケメン「よし……ドアを開けろ。言っておくが、妙な真似するなよ?」
生徒会長「ああ、分かっている……」ガチャ
イケメン「……どこだ?」
生徒会長「奥の部屋だ」
イケメン「……行け」
生徒会長「……こっちだ」
生徒会長「……この部屋だ」
イケメン「開けろ……早くしろ! 刺されたいのか!?」
生徒会長「わ、分かってる。……今、開けるよ」ガリャリ
イケメン「…………!!」
女「…………」グッタリ
イケメン「女!」ダッ!
イケメン「女、しっかりしろ! 俺だ、イケメンだ!」ユサユサ
生徒会長「…………」スッ…
スタンガン『ジジジ……』
イケメン「助けに来たぞ女……もう大丈夫だからな?」
生徒会長「…………!」ガッ!
ババババババババッ!
イケメン「あぐっ!? がっ……!」ドサッ!
生徒会長「誰が大丈夫なんだい、イケメン君?」
イケメン「テ、テメー……!」
生徒会長「寝てなよ」バリバリバリッ!
イケメン「あ゛……が…ぁ……!」ガクンッ!
生徒会長「…………」
生徒会長「フッ……護身用のスタンガンが役に立ったな」
Pi…
生徒会長「…………」プルルル…プルルル…
生徒会長「もしもし? 僕です」
生徒会長「実は少々、予定を変更する事になったので……ええ、そうです」
生徒会長「大したことじゃありません。……処分する死体が、一つ増えるだけですよ」ニヤリ…
イケメン「う…ん…………」
イケメン「こ、ここは……?」モゾ…
イケメン「!?」
イケメン(何だこれ……縛られている!?)
生徒会長「目が覚めたかいイケメン君?」
イケメン「会長……!」
DQN「コイツが例の野郎ッスか会長?」
ヤンキー「噂どおりの色男じゃねーかオイ」
イケメン「だ、誰だお前ら!? 会長!! これはどういう事だ!? 女は!?」
生徒会長「……一日遅かったね」
イケメン「なんだと…?」
生徒会長「昨日までは生きていたんだけどなぁ、女さん……」
イケメン「な……!?」
ヤンキー「ヤクを打ちすぎちまってよぉ……泡吹いて、そのまま死んじまったよ」
イケメン「貴様ら! 女に何をした!?」
ヤンキー「うるせーんだよ!」ドカッ!
イケメン「う!?」
生徒会長「顔は殴るな……後々面倒になる」
ヤンキー「おお……悪い悪い、ムカついて、ついヤっちまったぜ」
DQN「アンタの彼女、言い体してたッスよぉ……処女だったのには驚いたッスけどね」
ヤンキー「お前、手ぇ出してなかったのかよ? あのアマ、最後はブッ壊れちまって
俺らに犯されながら『イケメン君、イケメン君』って、喘いでたぜ?」
DQN「レイプされながら、アンタに抱かれるのを想像してたんじゃないッスか」ゲラゲラ
イケメン「や、止めろ……!」
ヤンキー「輪姦(まわ)されながら、終いにゃ自分から腰振ってたぜ? 淫乱な彼女だなオイ」
イケメン「止めろって言ってるだろ!!」
イケメン「どうしてだよ……どうしてだよ会長!? 信じてたのに……アンタを尊敬してたのに!!」
生徒会長「……ごめんよイケメン君。でも、これが『僕』なんだよ」
イケメン「クソ…返せよ……女を返してくれよ!!」
???「……それは出来ない相談ですね」
イケメン「!?」
生徒会長「ああ、待ってましたよ……秘書さん」
秘書「今し方、警察への根回しが終わりました。……あとは適当な場所に死体を捨てるだけです」
生徒会長「ご苦労様です。……では、こちらの処分もお願いします」
秘書「承知しました」ズイッ
イケメン「く……来るな! 何をする気だ!?」
秘書「ご安心を、少しの間、薬で眠っていただくだけです。今は……ですが」ガバッ
イケメン「ムグ……ウムウゥゥ!」
イケメン「…………」カクン…
――数時間後
ブロォォォ……キキィィィ!
秘書「…………」ガチャ…
ズル…ズル…
イケメン「う……」
秘書「失礼……口を開けさせてもらいますよ」
イケメン「……」カパッ…
秘書「まずはこの薬を……」ポイッ
秘書「次は酒です」トプトプトプ…
イケメン「…………!」ゴクン
イケメン「う……ブヘッ! ゲハッ!」
ビチャ! ビチャ! ビチャ……!
秘書「…………これでよし」
秘書「貴方は酒を飲んで、盗んだ車を乗り回し……そして、車ごと海に転落する」
秘書「……そういうシナリオです。例え車から出ることができても
検出されにくい毒薬を飲ませました……万に一つも貴方は助かりません」
クンッ……ガチャガチャ
秘書「……では、さようなら」バタン
車「ヴィィィィ……ン」
ドボォォォン…!
秘書「…………」クルッ
コッコッコッ…ガチャ、バタン
ブロォォォン……
秘書「…………」ブロォォォォォ…
Pi…
秘書「……私です」
秘書「ええ、すべて滞りなく……。ご安心を…………『先生』」
――少し前
友「さて、陽も沈んで、真っ暗なわけだが……」
幼馴染「もう諦めて、帰ろうよ男ぉ……」
男「ここで止められるか! 絶対釣り上げてやる!!」
友「もう充分釣ったじゃねーか……デカいヒトデを十匹も」
男「嫌味かこの野郎!? ヒトデしか釣ってないから止められねーんだよ!!」
幼馴染「退き際って大事だと思うけどな私……」
男「ひ……退かぬ!! 媚びぬ省みぬ!! 帝王に逃走はないのだぁ!」
友「……何の帝王だよ?」
幼馴染「やっぱり『ヒトデ釣りの帝王』じゃないの?」
マスター「おやおや……随分、賑やかですね?」
友「あれ? マスターじゃねーか」
幼馴染「お店はどうしたのマスター?」
マスター「少し早いですが、今日はもう閉めてきました……温かい紅茶でも如何ですか?」つポット
友「お、流石マスター。気が利くじゃねーの」
男「ハァァァァ……南斗鳳凰拳奥義・天翔十字投げぇぇ!」ブォン!
幼馴染「ほら、男も北斗の拳はいいから、こっちに来て戴きなさいよ」
マスター「……して、今日の釣果はいかほどで?」
友「十匹ってとこだな……ヒトデを」ズズズ…
幼馴染「50cm級の大物よ……ヒトデの」フーフー…
男「グヌヌ……!」
マスター「ま、まぁそんな日もありますよ」
友「そんな日ばっかりだけどな」
幼馴染「むしろ、そんな日以外の日なんて無かったよね」
男「クソが……」スクッ…
マスター「ど、どうしました男さん?」
イソメ『ヌタァ……』
ガシッ!
イソメ『!?』
男「ラスト一匹……この最後のイソメでイシダイを釣り上げてやる!」
男「うおぉぉぉぉぉっ! 燃えろ俺の何かぁぁぁぁ……ッ!!」
幼馴染「……何か、無駄に気合い入ってるわね」
友「ああいうことを、やってるから釣れないんじゃねーか?」
マスター「男さん。あまり大声で騒ぐと、警察を呼ばれてしまいますよ?」
男「いけぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」ブォォォンッ!!
ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥ……ドボォォン!
男「……ん?」
友「何だ今の?」
マスター「随分大きな音がしましたが……?」
友「お前、何投げたんだ?」
男「いや、別に普通の仕掛けを、普通に投げただけだけど……?」
幼馴染「さっきのを普通という言い切るのかアンタは……」
マスター「……あ! みなさん、彼処を!」
車『プカァ……』
男「……車?」
友「車だな……」
幼馴染「車だね……」
マスター「車ですねぇ……」
男「……じゃねーよ、海に落っこちたんだ!」
友「オイ! 何かアレ、沈んでってないか!?」
幼馴染「大変……! ど、どうしよう? どうすればいいのコレ!?」
男「落ち着け! ちょっと一回落ち着け……そうだな、俺が何とかしてみるから
幼とマスターは消防に連絡して、救急車とレスキュー隊を呼んでくれ、行くぞ友!」ダッ!
友「俺も!? ……このクソ寒いのに海水浴かよチクショー!」ダッ!
幼馴染「消防局……消防局って何番だっけ? 117?」
マスター「それは時報です幼馴染さん。消防局は119ですよ」
幼馴染「……あれ? 繋がらない……あ、圏外だ!」
マスター「この辺りはエリア外ですからね……私の店の電話を使いましょう」ダッ!
幼馴染「あ、待ってよマスター!」ダッ!
※※※
友「……オイ、男! 完全に沈んだぞ!?」
男「マズいな……仕方ねぇ、飛び込むぞ友!」タンッ……ドボン!
友「え、行くの!? ……クソッ! 心臓麻痺とか、マジ勘弁だからな!」タンッ……ドボン!
ゴボゴボゴボ……
男(クソッ……真っ暗で何も見えん)
男(……というか冷てぇ! 早く出ないと死んじまうぞコリャ……)
男(…………ん? 光が……車のヘッドライトか?)
スイー…スイー…
男(……あった! よし、ドアを開けて)グッ、ググッ…
男(お、重い……!)ゴボォ…!
男(う!? 息が……一度、水面に……!)バタバタ
ザブッ
男「プハッ! ハァ……ハァ……」
男「水圧でドアが開かねぇ……どうする?」
ザバァ
友「ブハァッ! ゼェ……ゼェ……」
男「……そうだ! アイツが居たんだ」
男「友、こっちだ!」
友「ヒィ……ヒィ……あ、男。そっちどうだった?」
男「見つけたぞ、この下だ」
男「でも、ドアが開かねーんだよ。お前の馬鹿力で、どうにかなんねーか?」
友「そ、それより、寒い……また潜るとか無理!」ガチガチ
男「水の中の方が暖ったけーんだよ、こういう場合は! ……多分だけど」
友「いや、無理。マジで無理……もう死にそう」ガタガタ
男「いいから行くぞ!」グイッ!
友「え!? いや、ちょ……!」ザブンッ!
ゴボゴボゴボゴボ……
男(…………アレだ)クイッ
友(……ん? ……ああ、アレか)
男(……よし、頼むぞ筋肉馬鹿。力以外、何の取り柄もないお前のパワーを見せてやれ!)
友(何だろう……今なんかスゲームカッとした)
グググッ……
友(う……重いなクソ)ググググググッ…!
男(頑張れ友! もうちょっとだ!)
友(うぎぎっ…!)グググッ!
バキッ!
友「!?」
男「!?」
友「…………」つドアノブ
男「…………」
男(コイツ……壊しやがった)ワナワナ…
友(壊れた……)
ザバァ!
男「ハァ……ハァ……」
友「ハァ……ハァ……」
男「……お前な、ドアノブ壊してどうするんだよ!?」
友「壊したんじゃねーよ、壊れたんだよ!」
男「クソ……もう一回だ。次は助手席側のドアを開けるぞ……今度は壊すなよ?」スゥゥ…
友「知るかよ。壊れないことを祈ってろ」スゥゥ…
ドプンッ
男「…………」ブクブク…
友「…………」ブクブク…
男(今度こそ頼むぞ?)
友(……というか、お前も手伝えよクソッタレ!)グイッ!
友(ヌオォォォ…!)グググググッ!
友(うおりゃぁぁぁっ!)ガコンッ!!
ゴパアァ…!
男(よっしゃ、よくやった!)
友(いいから早く外に引き出せ!)
男(一人しか乗ってないようだな……よし)
???「…………」グイッ
男(上がるぞ友!)
友(おう!)
男「プハッ! ……ハァ…ハァ…」
友「ハァ…ハァ……シンドいなコレ…」
男「なぁ友、ここって陸に上がれる所あったっけ?」
友「えっと……確か向こうに梯子がついてたと思う」
男「よし、行こう…」ザバザバ…
※※※
男「ゼェ……ゼェ……友、コイツ引き上げてくれ」
友「ああ……よっと!」グイッ!
???「…………」ズル…ズル…
男「よし、じゃあ俺も上に……」カン…カン…カン…
友「ハァァァ……死ぬかと思った」
男「まさか、この時期に海に飛び込むハメになるとは、思わなかったな……」
ヒュゥゥゥゥゥ……!
友「うおぉぉっ! 風冷てぇぇぇ!!」ガクガクブルブル
男「冷てぇっていうか、痛てぇ!!」ガクガクブルブル
???「…………」
友「……そういえば、そいつ大丈夫か? 息してるか?」
男「ん……どうだろうな……?」
???「……う…ううっ……」
男「大丈夫みたいだな……え!?」
友「どうした?」
男「と、友……! コイツ……イケメンだ!!」
友「は!?」
イケメン「…………」
友「何でイケメンが……!? どうなってるんだ?」
男「オイ、しっかりしろイケメン! 大丈夫か!?」ペチペチ
イケメン「う…………」
イケメン「…男……?」
男「気がついたか……大丈夫かイケメン?」
友「お前、何やってたんだよ? 何で車に乗ってたんだ?」
イケメン「……!」ガシッ!
男「え!? ど、どうしたイケメン?」
イケメン「ア、アイツだったんだ……アイツだったんだよ、男!」
友「ちょ……落ち着けよイケメン。何があったんだ?」
イケメン「女が……女が殺された……アイツに!」
男「!?」
友「!?」
友「ど、どういうことだ……? え? 殺されたって……え?」
イケメン「助けられなかった……も、もう殺されてて……」
男「どういうことだイケメン、何があった!? アイツって誰だ!?」
イケメン「アイツが……アイツが女を……うっ!?」
友「オイ、どうした!?」
イケメン「ゲホッ! ゲホッ! あ……がぁ……!」
男「イケメン!? 大丈夫か!?」
イケメン「ゲハァッ…!」ブファッ!
友「血を……!?」
男(まさか、毒……?)
イケメン「か……会…………ちょ……」
男「え? 何だって?」
イケメン「せ、生徒……会…長……」
男「生徒会長? 奴がどうかしたのか?」
イケメン「…………」ガクンッ!
友「イケメン……? オイ、イケメン!?」
イケメン「」
※※※
幼馴染「男! 友!」タッタッタッ…
男「…………」
友「…………」
幼馴染「さっき電話したけど、救急車が来るまで三十分ぐらい掛かるって。
今、マスターが車を出してくれるから、それで病院まで……!」
男「いや……もういいよ」
幼馴染「え?」
男「……死んだよ」
友「…………」
―数日後―
ヤンキー「……で、首尾はどうだ大将?」
生徒会長「ああ、何も心配することはないよ。すべて上手くいっているさ」
DQN「一時はどうなるかと、ヒヤヒヤしたッスよ」
生徒会長「心配性だなぁDQNは……。ま、この世に金と権力に勝る力なんてないのさ」
生徒会長「僕が『あの人』の息子である限り、警察も僕たちを捕まえることは出来ないよ」
ヤンキー「へッ……とんだ孝行息子じゃねーか、オイ」
生徒会長「使える物は、すべて有効活用しなくちゃね。『親の権力』なんて、悪用して下さいって、言ってるようなものだろう?」
ヤンキー「クックックッ……違いねーや」
ゴソッ……!
生徒会長「!?」
ヤンキー「誰だ!?」
ホームレス「へ、へへ……」ヨロ…
DQN「うっ……! な、なんスかこのオッサンは?」
ヤンキー「何の用だオッサン? ブッ殺すぞコラ」
ホームレス「へへ……兄ちゃんら、チョットばかり、小銭を恵んでくれんかね?」つ空き缶
ヤンキー「は?」
ホームレス「頼むよ兄ちゃんたち。オッちゃんな? もう三日も何も食ってなくてさぁ……」
DQN「しらねッスよ、そんなの」
生徒会長「フゥ……仕方ないな」
500円玉『カランカラン……』
生徒会長「……ほら、コレで良いだろ? 行きなよ」
ホームレス「へ、ヘヘ…有りがてぇ。コレで飯が食えるや」フラフラ…
ヤンキー「……ったく、何なんだよ?」
DQN「それにしても、惜しいことしたッスね、あの女。まさか死んじまうなんて……」
イケメン「そうだね、また別の玩具を浚ってこないと……今度はC組の幼馴染さんなんて、どうだい?」
DQN「マジっすか!? あの幼馴染を浚うんスか!?」
ヤンキー「おいおい、あの幼馴染とヤれるのかよ? やっべ、テンション上がってきたぜ!」
生徒会長「任せておきなよ……部のことで話があるとか言えば、簡単について来るさ。
僕は生徒や先生たちからも、信頼の厚い『真面目な生徒会長』だからね」
DQN「……プッ」
イケメン「クックックッ……よく言うぜ」
ホームレス「…………」
ニヤッ…
壮大にミスったので>>55を訂正
ヤンキー「……ったく、何なんだよ?」
DQN「それにしても、惜しいことしたッスね、あの女。まさか死んじまうなんて……」
生徒会長「そうだね、また別の玩具を浚ってこないと……今度はC組の幼馴染さんなんて、どうだい?」
DQN「マジっすか!? あの幼馴染を浚うんスか!?」
ヤンキー「おいおい、あの幼馴染とヤれるのかよ? やっべ、テンション上がってきたぜ!」
生徒会長「任せておきなよ……部のことで話があるとか言えば、簡単について来るさ。
僕は生徒や先生たちからも、信頼の厚い『真面目な生徒会長』だからね」
DQN「……プッ」
ヤンキー「クックックッ……よく言うぜ」
ホームレス「…………」
ニヤッ…
―海辺の喫茶店―
【本日貸し切り】
友「……捜査が打ち切られた?」
幼馴染「どういうことなの画伯?」
画伯「どういうも何も、言ったとおりの意味だ。事故ってことで、処理されることになったんだよ」シュボッ……プカァ~…
幼馴染「……この店、禁煙だよ画伯」
友「そんな馬鹿な話があるかよ、どう考えたって不自然だろ! 画伯だって『司法解剖で微量の毒物が検出された』って言ってたじゃねーか!」
画伯「……俺に言うな、上からの指示だ」
幼馴染「上って……」
画伯「……県警だよ」
友「どういう事だ? 何で県警が出しゃばってくるんだよ?」
男「……生徒会長」
幼馴染「え?」
男「イケメンの奴、死ぬ間際に生徒会長と言い残した……」
幼馴染「じゃ、じゃあ……生徒会長が?」
男「信じがたいがな……」
幼馴染「そんな……」
男「……まぁ、ああいうのに限って、裏で何やってるか分かったモンじゃねーがよ」
友「い、いや……でもよ、仮に生徒会長が犯人だったとしても、何で県警が圧力かけてくるんだよ?」
ホームレス「……それは彼の父親が、やらせたのでしょう」
友「!?」
幼馴染「!?」
ホームレス「どうもみなさん……お集まりで」
男「……マスター?」
ホームレス(マスター)「ええ、私です」ニコリ
友「マ、マスター……何、その格好?」
ホームレス「御覧のとおりですよ、友さん」
画伯「ちょいと確かめたいことがあってな、俺が頼んだんだよ」
幼馴染「……ホームレスになれって?」
ホームレス「調べものをするには、この格好が、一番適しているんですよ」
男「調べもの……って、何を?」
ホームレス「とりあえず、先に着替えてきても宜しいですか? この姿では、何かと不便なので」
※※※
マスター「……うん。やはり、この服装が一番落ち着きますね」
男「それで……何を調べてたんだマスター?」
マスター「無論、一連の事件についてです」
友「……どういうつもりだ画伯? どうしてマスターに……」
画伯「まぁ……とりあえず今は、マスターの話を聞け」
マスター「まず、女さんという方の誘拐、及び監禁については
生徒会長が犯人で間違いないようですね」
友「……!」
幼馴染「本当なのマスター!?」
マスター「ええ、ご本人たちが、そう話しているのを、立ち聞きさせていただきましたので」
男「……たち?」
マスター「DQN、それとヤンキーの二人……どちらも、みなさんの通う学園の生徒です」
友「アイツらか!」
幼馴染「知ってるの?」
友「E組の奴だ。どっちもクズみてーな野郎だ」
男「そのクズ共と生徒会長が、実はツルんでたってか……」
マスター「そのようで……そうそう、『次はC組の幼馴染を浚う』……そう仰っていましたよ?」
幼馴染「え!? 私?」
画伯「今度は幼馴染に目を付けたか……」
友「……自殺行為だな」
男「まったくだ」
幼馴染「まてコラ、どういう意味だそれは? か弱い乙女に向かって失礼な!」
男「お前が『か弱い乙女』なら、ミルコ・クロコップは『貧弱なアンちゃん』だよ」
友「どんな大男でも『指先一つでダウン』だろ、お前なら」
幼馴染「よーし、そこに座れアンタら……脳天カチ割ってやるから!」
マスター「……話を続けても宜しいですか?」
※※※
男「それで……県警が圧力かけてきた理由は何だ?」ダラダラ…
マスター「……血は拭いたほうが良いですよ、男さん」
友「さっき父親がどうとか言ってたけど、それと関係あるか?」ダラダラ…
画伯「……ちょっと、やりすぎだそ」
幼馴染「反省してます……」シュン
マスター「生徒会長の父親というのが、市議会の議員でしてね……
もう、何度も息子の不祥事を、揉み消しているようです」
友「政治家か……市議ってのは、そんなに権力があるモンなのかよ」
マスター「実際に手を下すのは、部下の秘書という人物のようですね。イケメンさんが海に転落した日も
現場近くの監視カメラに、走り去る秘書の車が映っていました」
幼馴染「じゃあ、やっぱり……」
マスター「ええ、始末された……と、いうことでしょう」
男「それで、あくまでも『事故』って事で処理させようってか……」
友「コレじゃ、イケメンが浮かばれねーぜクソッ!」
男「しかし、イケメンは、どうして殺られたんだ? 何かを掴んでたのか?」
マスター「それなんですが……どうやらイケメンさんは、前日に『防犯用品店・荒巻』という店で
『バタフライナイフ』を購入してたようです」
友「バタフライナイフ? 何でそんな物を……というか、何で防犯用品の店で、ナイフが売られてるんだよ?」
画伯「やれやれ……あの店かい」
幼馴染「あの店って?」
画伯「もう何度も行政指導を受けてる店でな……脱法ハーブだの、改造モデルガンだの、果ては米軍基地の横流し品まで
限りなく違法に近い商品を裏で取り扱う店だ。その筋の連中には、何でも手に入るって有名な店でよ……
ったく、最近の若ぇーのは、すぐに刃物やら警棒やらを持ちたがるから困るぜ」
男「そんな店が、未だに営業してるとは……日本の警察は優秀だなオイ」
画伯「フン……俺が言うのも何だが、警察なんてのは所詮、ただのお役人よ。市民の安全だの、治安の維持だのと
そんな正義感を持って職務にあたっている奴なんぞ、数えるほどしかいねーのさ」
マスター「イケメンさんが最後に現れたのが、学園の校庭でした……練習中の陸上部員が
校舎の中へ入っていく、イケメンさんを目撃しています」
マスター「あの日は生徒会長も、学校に来ていたそうですよ?」
男「……つまり、何かの拍子に生徒会長が、女さんを誘拐した犯人だと知ったイケメンは
生徒会長を問いつめに、生徒会室に行った……ご丁寧に武器まで用意して」
画伯「だが、返り討ちにあい、逆に始末された……か」
友「マジかよ……何で一人で行ったんだよ、あの馬鹿!」
男「…………」
幼馴染「…………」
画伯「それとな……今朝、裏山の雑木林で女性の変死体が発見された」
男「え?」
幼馴染「女性の変死体って……まさか!?」
画伯「そのまさかさ……第一発見者は、近所に住む散歩中の老人で
発見時は青いビニールシートに、くるまれていたそうだ」
画伯「長期間に渡って暴行を受けた形跡があり、死因は……中毒死だそうだ」
友「中毒?」
画伯「……薬だよ」
男「ヤク漬けにされて、レイプされ続けていた……って事かよ」
幼馴染「酷い……!」
マスター「何とも残酷な話ですな……」
友「クソッ! どうにかなんねーのかよ画伯!? コレじゃ二人が惨すぎるだろ!?」
画伯「……物的証拠が無い上に、上の連中が睨みを利かせている。最悪、女さんの事件も
形だけの捜査をさせて、有耶無耶にされるかもしれん」
幼馴染「そんな!? そんなのって……!」
男「チッ……胸糞悪い……!」
画伯「だが……かえってコレで良かったのかもな」
友「は?」
幼馴染「画伯……それ、どういう意味?」
画伯「奴らは少年法で守られた未成年だ。まして親が市議会議員ときている……
捕まえたところで、大した罪には問えないさ」
画伯「外道には外道に相応しい、落とし前の付け方ってのがある……」
男「…………『仕事』にする……ってことか?」
画伯「…………」
画伯「……野放しには出来んだろう、こんな連中を」
友「それは……そうだな、ダチを殺られたんだ。黙ってらんねーよ、俺だって」
幼馴染「……うん。私も許せない」
マスター「……やはり動きますか、画伯」
画伯「ああ……」
男「…………でもよ、依頼料はどうするんだよ?」
幼馴染「そんなの別に……」
男「幼……俺たちは、いつから正義の味方になったんだ?」
男「俺たちのやってることはな……犯罪なんだよ。例え相手が悪党(クズ)だとしてもな」
幼馴染「それは……!」
男「『許せねぇ』だけじゃやらねーし、やっちゃいけねーんだ……感情だけで動いてたら
俺たちは、すぐに『歯止め』が効かなくなる。そんなモンは、ただの殺人鬼だ」
男「だから金を受け取るんだ。『恨みのこもった金』をな……それが俺たちの鉄則だろ」
幼馴染「そうだけど……だけど……!」
男「依頼人も依頼料もないなら、俺はやらねーし、やらせねぇ。
掟は掟だ……破るつもりなら、お前たちでも容赦しねー……ケジメはつけさせてもらうぞ」
友「…………」
マスター「…………」
画伯「……今回は、俺が依頼人になろうと思う」
マスター「画伯が……ですか?」
画伯「俺だって腹が立ってるんだ……こんな形で捜査を打ち切られてよ」
男「いや……それは駄目だ画伯。それじゃ筋がとおらねぇ」
男「アンタが刑事として、悔しい思いをしたのは分かるが、それは奴らを殺す理由にはならねぇ」
男「俺だってムカついてるけどな……筋のとおらない殺しは御法度だろ?」
マスター「……男さんの言うとおりですよ画伯。元締めの貴方が、掟を破るような真似をしてはいけません」
画伯「む……」
幼馴染「でも、このまま見て見ぬふりなんて……納得出来る訳ないじゃない!」
男「……せめて依頼料だけでもあれば、話も違うんだがな」
友「……………………あるぜ」
一同「!?」
友「依頼料ならある……画伯!」ポイッ
画伯「?」ガシッ
マスター「それは?」
友「イケメンの財布だ。この前、俺の家に来たとき、アイツ忘れてってよ……。週明けに返そうと思ってたんだが……」
男「返す相手が、もうこの世には居ない……か」
画伯「…………五千円入ってた」
幼馴染「五千円……」
マスター「一人千円……ですか」
男「…………」
友「…………」
画伯「……強制はしない。受けるか受けないか……決めてくれ」
男「……チッ、高い仕事料になりそうだな」つ千円
マスター「元々、金のためにやっている事では、ないでしょう」つ千円
幼馴染「でも、これで気兼ねなく動ける……」つ千円
友「奴らを殺る大義名分が手にはいるなら……俺はコレで充分だ」つ千円
画伯「……決まりだな。マスター、奴らの居場所を割り出してくれ」
マスター「お任せを……すぐに取り掛かりましょう」ガタッ
友「…………で、いつやる?」
男「決まってるだろ……」
男「今夜だ」
―パチンコ店・パーラーゴールデン正男―
デデッデ デデッデ デデッデデー デデッデ デデッデ デデッデデー……
DQN「……」y━・~~~
ヒュンヒュンヒュン……リーチ!
DQN「……お!」
ディリリディリリ……ファンファンファン! スーパーラッキー!
DQN「よっし! きたっスよぉー!」
※※※
自動ドア『ガー……』
DQN「ひぃふぅみぃ……へっへっ、今日はツイてるっスねぇ~」
ガコッ……ブォォォン!
DQN「う~……単車じゃ寒くなってきたっスね……」
ブロロロロロロロロ……
ブォォォォ……ン
DQN「…………」
キキィッ……! ブォォォン!
友「…………」ズザッ…!
ttp://www.youtube.com/watch?v=5peXJqDeMZ0
ブォォォン…!
友「…………」スッ…
ブンッ!
車輪『ガゴゴッ!』
DQN「え!?」フワッ
DQN「う、うわぁぁぁぁっ!」
ドシャァァァ……ン!
DQN「…………」…ピクッ
DQN「う、うう……」
DQN「な、なんスか……? 何かが飛んできて……」
友「……スマンスマン、俺がブン投げたスパナが『偶然』アンタのバイクの車輪に、挟まっちまったみたいだ」
DQN「だ、誰スかアンタ……?」
友「疫病神の代理人さ……ツケを払うときがきたんだよ、テメーは」ゴキリ…ゴキリ…!
DQN「何を言って……だ、誰か……!」
友「バイクに乗るときは、ヘルメットをしたほうが良いぜ? 転けたとき危ないからな」
友「首の骨が砕けるかもしれないぞ……こんなふうに!」ガシッ!
ミシミシミシ…!
DQN「ぎゃあぁぁぁっ! い、痛でぇ……誰か…誰か……!」
友「イケメンや女さんの苦痛と悲しみは、こんなモンじゃねぇ……生まれてしまった罪を悔いて死ね!!」
ゴギィッ!!
DQN「あが……っ!!」
友「…………」
……カクン
DQN「」
友「まずは一人……」
―繁華街―
ガヤガヤガヤガヤ……
<オニイサン ヨッテカナイ?
<タダイマ ホンジツゲンテイイベント カイサイチュウデース
ヤンキー「…………」
ヤンキー「ちっ、暇だぜ」
ヤンキー「あ~……ヤりてぇなぁ」
ヤンキー「今更、ソープのババア共なんかに、金使いたくねぇしよぉ」
ヤンキー「早いとこ、会長の野郎に幼馴染を浚わせてきて……ん?」
幼馴染「…………」
ヤンキー(ありゃぁ……幼馴染か? こんなとこで何してんだ?)
ヤンキー「…………」
ヤンキー「へ、へへ……」
ヤンキー「べつに俺が浚ったって、問題ねーよな?」
ザッザッザッ……
―路地裏―
幼馴染「…………」テクテクテク…
ヤンキー「よう!」バッ!
幼馴染「!?」
ヤンキー「こんなとこで会うなんて奇遇だな」ニヤニヤ
幼馴染「な……だ、誰よアンタ!?」
ヤンキー「あっれぇ? 俺のこと知らない? アンタと同じ学園のヤンキーっていうんだ、ヨロシクな?」
幼馴染「……何の用なの?」
ヤンキー「こんな時間に女の一人歩きは危ないぜ? 俺が送ってやるよ」
幼馴染「結構よ、近づかないで」
ヤンキー「ツレないこと言うなよ、こっちは親切で言ってやってるんだぜ?」ガシッ!
幼馴染「な!? は、離しなさい!」
ヤンキー「いいから俺につき合えよ、可愛がってやるからよ!」グイッ!
幼馴染「い、嫌……やめて……」
ヤンキー「暴れんじゃねーよオラ!」
幼馴染「…………」スッ…
ズブリッ!
ヤンキー「うがっ!?」
ヤンキー「な、何だ……体が、動かねぇ……!?」
幼馴染「…………」スチャ!
鍼灸針『キラッ』
ヤンキー「な!?」
グサッ!
ヤンキー「うあぁぁぁぁっ!」
幼馴染「…………知ってる? 人体に点在するツボは、中国四千年の経絡研究によって
ほぼ全てが解明されたと言われているけど、実際には、ほんの一部しか判明していないのよ」
ヤンキー「な、何を言って……」
幼馴染「同じツボでも、突く角度や強度・種類によって、全く別の効果が現れるの。
世界中の鍼灸師が今なお、新しいツボを探しているわ……」
幼馴染「その中には、人体に重大な悪影響を及ぼすツボも存在している……まさか、手の平に全身の筋肉を
麻痺させるツボがあるなんて、想像したことすらなかったでしょう?」
ヤンキー「お、お前……何をしやがった!?」
幼馴染「そして今、突いたツボは扁桃腺を腫れさせる……いいえ、『膨張させるツボ』と言った方が良いかしら?」
ヤンキー「ゼェ…ゼェ……わ、訳わかんねぇこと言ってんじゃねぇ! 俺に何をしたんだこのクソアマ!!」
幼馴染「膨れ上がった扁桃腺は、あと数分で気道を完全に押しつぶすわ」
幼馴染「つまり…………呼吸が出来なくなるのよ」
ヤンキー「な!?」
幼馴染「窒息した人間が、どうなるか知ってる? 眼球が飛び出し、全身が激しく痙攣して、糞尿をまき散らしながら、のたうち回るの……」
ヤンキー「ヒファ……ゼェ……ゼェ……!」
ヤンキー(い、息が……! まさか、本当に!?)
幼馴染「女性を欲望の捌け口としてしか、見れないアナタには
似合いの死に方よ……残り僅かの命、精々苦しみなさい」クルッ……スタスタスタ
ヤンキー「ま、待て! 待ってくれ……嫌だ、死にたくない! た、助け…て……!」
幼馴染「…………」ピタッ
幼馴染「理解していないようだから、言っておくわ……」
幼馴染「『お前はもう死んでいる』……と、いうことよ」
ヤンキー「あ、ああ……あ゛…!」パクパク…
幼馴染「これで二人……」
―生徒会室―
生徒会長「…………これで最後か」
生徒会長「フゥ……今日は随分、遅くなってしまったな」
生徒会長「まさか、イケメン君が抱えていた仕事まで、僕がやる羽目になるとは……」
生徒会長「全ては、この万年筆のせいか……僕としたことが、迂闊だったなぁ」
生徒会長「まぁいい……帰るとするか」
pipipipipipipi……!
生徒会長「ん? 着信音が……誰か携帯を忘れていったのかな?」
生徒会長「…………!?」
生徒会長「どうして、僕の鞄の中に……?」
ピッ…
生徒会長「……もしもし?」
???『……俺はアンタの『罪』を知っている』
生徒会長「!?」
???『誘拐・監禁・強姦……そして殺人。すべて凶悪犯罪……重罪だ』
生徒会長「な、何を言っているんだ君は? 一体、誰なんだ、こんな悪戯をして……。
どうやって僕の鞄に携帯を入れたんだ?」
???『アンタだけじゃない、お仲間の二人……それとアンタの親父と、その部下も同罪だ』
生徒会長「……っ!」
???『罪には罰だ……相応の制裁が加えられるものと思え』
生徒会長「……僕を脅しているのか?」
???「簡単に揉み消せる……なんて考えない方が良いぞ? アンタの親父……参院選に出馬するそうだな?」
生徒会長「…………」
???「証拠が有ろうが無かろうが、悪い噂が流れるだけでも致命傷だろう……。
まして、今はネットという便利な物があるからな。状況証拠だけでも、アンタの親父を失脚させるには充分だ」
???「どこに流してほしい? mixiか? それともTwitterがいいか? ……ああ、2ちゃんねるに流すのも面白そうだな」
生徒会長「……何か誤解があるようだね? どうだろう、直接会って話せないかな?」
???『……良いだろう、窓の外を見ろ』
生徒会長「窓?」
ピカッ! ピカッ!
生徒会長(光が……?)
???『見えたか? ……第二校舎の屋上、そこで待つ。二分以内に来なければ……分かってるな?』プツ
ツーツーツー……
生徒会長「…………」
生徒会長「…………」…ギリッ!
―屋上―
ギギィィィ…
生徒会長「…………」キョロキョロ
生徒会長「…………!」
???「…………」
生徒会長「君かい? さっき電話をしてきたのは」
???「…………」
生徒会長「君が何を言っているのか分からなかったけど、僕は清廉潔白な人間だよ。誓っても良い」
???「…………」
生徒会長「…………何か言ったらどうだい?」
???「…………」
生徒会長「そうか……なら、もういいよ」
生徒会長「でも、誤解だけは解いておきたいな……」スッ…
スタンガン『ジジジ……』
生徒会長「おそらく、女さんやイケメン君の事件のことを、言っているのだろうけど
僕は無関係さ。むしろ、生徒会長として優秀な役員が、あんなことになって僕も悲しいんだ……」ジリ…ジリ…
???「…………」
生徒会長「本当さ、信じてくれ……よ!」バッ!
スタンガン『バチバチバチバチッ!』
???「!!」
バタンッ!
生徒会長「ハ、ハハハ…………は!?」
マネキン「…………」
生徒会長「な……に、人形!?」
シュルル……
生徒会長「!!」ギチッ!
生徒会長「あがっ……な、何だ、首に何か……!」
男「……ただの『釣り糸』さ」グググッ…
生徒会長「だ、誰だ!?」
男「ただし特別製だ……人間の一人ぐらいなら、余裕で吊し上げられる程度にはな」ググッ…ググッ…
生徒会長「あぐっ……や、やめ……!」
男「罪なき少女を、己の欲望を満たすためだけに監禁し、陵辱の限りをつくし殺害……」ググッ…ググッ…
生徒会長「ぐあっ……!」
男「あまつさえ、自らの保身のために、その恋人の命までもを奪う……まさに鬼畜外道の所業」グググッ…グググッ…
生徒会長「ぁ…………!!」ジタバタッ!
男「貴様にかける情けはない……」スッ…
ピィ――――ン……
生徒会長「がっ……!」ビクンッ……ガクッ!
男「地獄に…………堕ちろ」プツンッ
ドサァ!
生徒会長「」
男「…………」
男「これで三人目。残るは……」
―高級クラブ前―
ホステス「……センセ、是非またいらして下さいね?」
市議「ああ、また寄らせてもらうよ」
秘書「先生、どうぞお乗り下さい」ガチャ
市議「うむ」
秘書「…………」バタン!
ブロォォォ…
市議「……………………」
市議「秘書君、例の件はどうなったかね?」
秘書「ご心配なく……県警とは、既に話がついております」
市議「ならいい……私も来年には国政に打って出る。この大事な時期に
バカ息子の不祥事などに、邪魔をされては適わんからな」
秘書「左様で……む?」
キキィ…!
市議「……どうした?」
秘書「申し訳ありません……自転車が道を塞いでいたもので」
市議「フン……マナーのなっておらん輩は、どこにでも居るものだな」
秘書「少々お待ち下さい、退かして参ります」ガチャ…
秘書「まったく……誰だ、こんな道の真ん中に自転車を停めたのは」
???「ああ、すみません……それ、私の自転車です」
秘書「!?」
画伯「やあ、どうも」
秘書「……なんですか貴方は?」
画伯「あ、わたくし○○署の山下と申します……これが身分証」パカッ
秘書「警察? 警察の人間が何の用ですか?」
画伯「今、数日前に起きた、自動車の転落事故について調べてまして……」
秘書「それが?」
画伯「実はですねぇ……どうも他殺の可能性が出てきたんですよ」
秘書「……!」
画伯「それでですね……市議の先生に、お話を伺いたいと思って、ここで待たせていただいたんですよ……ご迷惑でしたか?」
秘書「迷惑に決まっているでしょう! 何を考えているんだ!」
秘書「大体、その事故と先生に何の関係があるというのですか!?」
画伯「それを確かめたいんですよ……ハイ」
秘書「……話しにならんな。用があるなら、アポを取ってからにして下さい。先生は忙しいんだ」クルッ
画伯「おや? お急ぎで?」
秘書「ええ、そうです! 貴方に構っている暇はない!」
画伯「失礼ですが……行き先をお間違えでは?」
秘書「は?」
匕首『ギラリッ!』
秘書「な!?」
グサッ!
画伯「……テメーの行き先は地獄だよ」
秘書「が、がはっ……!」
ドサッ…!
秘書「」
画伯「…………」ブンッ…!
市議「な、ななっ……!」
画伯「…………」ギロッ!
市議「ひっ!?」ビクッ!
バンッ!
市議「ヒィィィィ!!」ダダッ!
市議「どうなっている!? 何なんだアイツは!?」ドタドタドタ
ザッ…
友「…………」
幼馴染「…………」
市議「!?」
市議「な、何かね君たちは? 退きたまえ!」
友「…………」サッ
石『メキメキメキメキ……バギィッ!』
市議「な!?」
破片『パラパラパラ……』
友「退けられませんね……市議会議員の先生」ゴキリ…ゴキリ…!
幼馴染「彼に首の骨を砕かれるか、私に致命のツボを突かれるか……好きな方を選びなさい」スチャ
鍼灸針『ギラリッ!』
市議「……う、うわぁぁぁっ!」ダダダッ!
友「…………逃げられねーよ」
幼馴染「そっちは……地獄行きよ」
市議「ハァ…ハァ…ハァ……」ヨロヨロ
市議「い、一体どうなっているんだ……何故私がこんな目に……!」
市議「ハァ…ハァ……む?」
男「…………」
市議「こ、ここにもか!?」
男「…………」スッ…
市議「クソッ!」ダッ!
ヒュン…!
両腕『ギシッ!』
両足『ギリリッ!』
市議「うわぁ! な、何だコレは!?」
男「ただの釣り糸だ……」
市議「つ、釣り糸だと……!?」
市議(釣り糸……糸?)
市議「糸だと!? まさか……い、糸使い!?」
男「御名答」グイッ!
ギリギリギリッ!
市議「アガァァァッ……!」
市議「い、痛い……痛い! や、止めてくれ……!」
ザザッ…!
画伯「…………」
友「…………」
幼馴染「…………」
市議「ヒッ…ヒィィッ!」
男「一つ聞いておきたいんだが……アンタが事件の揉み消しを指示したのは、息子可愛さからか?」
男「それとも……テメーの保身のためか?」グイッ!
市議「う、うううっ……!」ギリギリギリッ!
友「まぁ、どっちだとしても……」
幼馴染「……アナタを殺すのに変わりはないわ」
市議「き、貴様ら! 私を誰だと……!」
男「さて? 一体、誰なんだアンタは? 教えてくれよ……人を人とも思わない、腐れ外道の名前をな!」グイッ!
市議「ぐわっ! ……こ、こんな真似が許されると思っているのか!? わ、私は…私は……!!」
画伯「…………」ザザッ!
グサリッ!
市議「ぐあっ……かっ…は……ぁ…!」
画伯「それ以上喋るな……耳が腐る」…ズシャ!
ブシュゥゥゥゥゥゥ…!
市議「あ、ああ……あああ……ぁ……」
ドサッ…!
市議「」
画伯「テメーに国会の赤絨毯を歩く資格はねぇ……自分の血で、どす黒く染まった、アスファルトの上がお似合いだ」
男「…………」
市議「」
男「…………所詮、俺たちは人殺しだ。最初から許されるとは思ってないさ」
友「…………」
幼馴染「…………」
男「だが、一見平和なこの国には……その実、テメーら外道共が我が物顔で、のさばっていやがる……」
画伯「…………」
男「テメーらがいる限り、テメーらの犠牲にされる人間は増え続ける……」
男「どんな綺麗事を並べ立てても、恨みや無念の連鎖は止まらない……理屈じゃねーのさ」
男「だから…………俺たちみたいのがいるんだよ」
―港―
幼馴染「ヒトデが一匹、ヒトデが二匹、ヒトデが三匹……」
男「…………」イラッ
幼馴染「……ヒトデが十一匹、ヒトデが十二匹、ヒトデが十三匹」
友「やったじゃねーか男。新記録達成だな?」
幼馴染「ヒトデばっかり、こんなに釣り上げて……アンタどんだけ、ヒトデが好きなの?」
男「…………」ムカッ
友「ところで、俺たちはいつになったら『鯛飯』が喰えるんだ?」
幼馴染「今日こそは今日こそはって、言い続けて、もう二年ですけど?」
男「うるっせーな! チクショー……何でヒトデしか釣れねーんだよ……」
幼馴染「普段の行いが悪いからじゃない?」
友「それか、前世でよっぽどの悪事を働いたかだな」
男「好き勝手言いやがって…………ハァ、エサ変えよう」
ギコギコギコ…
男「ん? ……コレ、何か掛かってるかもしれんぞ?」
幼馴染「なに? またヒトデ?」
男「いや、それとは違う感じだが……」
友「お、マジで? ウグイ以来、半年振りの魚ゲットか?」
男「魚……とも違うような……?」
幼馴染「じゃあ何?」
男「何だろうな……? まぁ、釣り上げてみれば分かるか」
友「どうせ海藻とかじゃねーの?」
男「せめて生物こい、生物……出来ればヒトデ意外で!」ギコギコギコ…
ザパァ…ン
ダイオウグソクムシ『……やあ』
参考画像 ※グロ中尉
ttp://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/1/18/Giant_isopod.jpg/230px-Giant_isopod.jpg
男「え!?」
友「は!?」
幼馴染「ヒッ…!!」
ダイオウグソクムシ『…………』ブラーンブラーン…
幼馴染「い……嫌ァァァァァァァァァァァァァァァッ!! 何コレ気持ち悪い!!」
男「いや嘘だって、釣れるわけねーって! こんな深海生物釣れるわけねーって!?」
友「捨てろ! 海に戻せ! 今すぐ海に戻せぇぇぇっ!!」
EDテーマ『冗談じゃねえ』
ttp://www.youtube.com/watch?v=Ju9XG2zG1ms
必殺闇狩り人――ひっさつ やみがりびと―――終わり
少しだけ言い訳をさせて下さい……
まず、調子こいてEDテーマとか、やっちゃってすいませんでした。
はぐれ刑事っぽく終わらせたかったんです。
それと、スレタイは必殺なのですが、『闇狩人』という漫画がベースになっています。
北斗の拳や、夢幻街も引用させていただきました。
邪気眼とは別方向に厨趣味丸出しで、ノリノリで書いてて
ふと「世間はクリスマス一色なのに、なんで俺こんな惨殺SS書いてるんだろう……」と、我にかえったときに思ったのですが
これ、オリジナル要素0ですよね……パクリですかね
読んで下さった方、お付き合いありがとう御座いました。
では、少し早いですがVIPサービス運営、並びにSS速報の皆様にとって、来年が良い年でありますように……
良いお年を。
視聴率のためにと、安易にジャニーズやAKBや韓国人を起用しない、必殺の新シリーズが観たい>>1でした。
もう誰も見てないでしょうが、最後に行数制限で削除した部分を……
幼馴染「やだやだやだ……来ないで! 近づけないでぇ!」ドダダダダダ!!
男「と、取ってくれ……針外してくれぇぇぇ!!」ドダダダダダ!!
友「自分でやれよ馬鹿野郎! こっち来んなぁぁぁぁぁ!!」ドダダダダダ!!
ダイオウグソクムシ「…………」ブラーンブラーン
本当に終わり
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