タモリ「これは”主人公”になりたい男の話です。」 (40)

皆さんは”RPG”というものをやったことはあるでしょうか?

それには必ず主人公が存在し、プレイヤーは主人公を操作しお話を進めていきます。

画面の中にはその主人公だけの世界が広がっているのです。

まるで主人公が軸としてその世界が動いているかのように…。

今回のお話はそんな”主人公”になりたい男の物語。

タモリ「さて、どうなるのでしょうか?」

ー会社ー

男(この世界は間違ってる…)ボケー

男(なぜ朝から終電の時間まで働いているのにこんなに給料が少ないのか…)

上司「おい!男!まだ作業残ってるだろ!ボケッとしてる時間があったら働け!」

男「はっ、はいっ!」

上司「じゃあ俺は帰るから、明日までには終わらせとけよ!」

男「はい!」

男(そうして何故俺と同じ時間に出社し、定時に帰る上司の方が給料が高いのか…)

男「はぁ…」

男(けれど俺にも唯一の癒しがある…)

男「ただいまぁ~…」

彼女「また終電ギリギリ~!もう!」

男「ごめんごめん…なんせ残業が…」

彼女「別にいいけどね~」

彼女「ご飯温め直すから待ってて、あ、お風呂が先の方がいっか?」

男「いや、待ってるよ、」

男(俺の唯一の癒し…この彼女…)

男(信じられないかもしれないが彼女は有名雑誌の読者モデルをしている)

男(どうして俺みたいな奴と付き合っているのかはよく分からないけど…愛してくれているのは分かる)

彼女「じゃあ待っててね♪」

ー翌日ー

男「おはようございます」

上司「おい男っ!!!」

男「は、はい!」

上司「昨日の書類!不備があるじゃないか!」

男「え…?あ、」

上司「あ、じゃないよ!全く!これは今日会議で使うんだよ!早く直せ早く!」

男「す、すみませんすぐに…」

男(朝からテンションガタ落ち…帰りてぇ…)

男(つーかなんで俺がこんなに怒られなきゃ…)

男(美人の女さんがミスしても笑顔で許す癖に…)

男「はぁ…こんな凡人じゃなくて主人公になりたいよ…」

ppppppp……

男「…ん?」

▼貴方は、この世界の主人公になりますか?
→はい いいえ

男「なんだこれ?」

▼貴方は、この世界の主人公になりますか?

→はい いいえ

男「はは、なんだこれドラクエかよ?」

男「答えないと消えないのか?」

男「丁度いいや」

男「はい」

ppppppp……

パチン

上司「おい男!」

男「は、はい!」

上司「今日はもう疲れたろう、帰っていいぞ」

男「……え?」

男「けど、書類の不備が…」

上司「それは俺がなんとかしておく!早く帰って休みなさい」

男「え、あ、はい…」

男「じゃ、じゃあ…お疲れ様です」

同僚「お疲れ様!」

同僚2「お気をつけて!」

男(なんだよこれ…)

男(まさかさっきのアレか…?いやいや流石にないだろ…。)

男(けどさっきのみんなの態度の変わりよう…)

男(主人公…か…?)

男(いやいやないない…偶然偶然…)

男(あんなので主人公になれたら苦労しないって)

街人「おはようございます!」

街人2「今日も頑張ってください」

街人3「いつも応援してます!」

男(偶然偶然…いや、これはもう…)

男(まず見知らぬ人から応援されるとか…普通はあり得ん…)

男「とりあえず家帰ろ…」

街人4「お家までお送りしましょうか?」

男「いやいいです!」

男(主人公になった以外考えられない…!)

男「ただいまぁー!って誰もいないか」

男「けどすごいなこれ!マジでみんなが俺を知ってる!マジで主人公じゃないか!」

TV『皆さん気持ちいい朝をお過ごしですか?では早速ニュースの前に男さんの近状を報告します!』

男「え?」

TV『今日男さんは朝会社を早退したのち笑顔で帰宅されました!いい笑顔ですね!』

男「………」

男「嘘だろ!?すげぇー!」

男「TVも俺の事を報じてる!俺中心の社会だろこれ!?」

男「今なら何やっても成功しそうだ!」

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