照「菫も淡も皆迷子か、まったく……」(742)
照「あいつらは高校生にもなって迷子になるなんて」
照「もう少ししっかりした奴らだと思っていたが」
照「まぁ淡はまだいい、少し前まで中学生だったのだから子供っぽいのも可愛げがある」
照「だが菫は駄目だろ……あいつはクール系な雰囲気を出しているのだから」
照「それに私と同じレギュラーの3年なのだからしっかりしてもらいたいところだな」
照「うん、次にあったらしっかりするように言いつけてやらないとな」
照(それにしても……ここはどこだろう)
照「菫や淡を探したせいで私も自分がどこにいるのかわからなくなってしまった」
照「まったく、世話を焼かせる二人だ」
照「……」
照「とにかく電車に乗れば知っている駅に降りれはずだ」
ガタンゴトン
照「……」
ガタンゴトン
照「……」
ガタンゴトン
照「……」
照(どんどん見慣れない田舎になっていくような)
照「さすがにこれはまずいな、戻ろう」
照「多分こっちのホームの電車に乗れば戻れるはずだ」
―――――
―――
照「電車にずっと乗っているのも疲れたな……ちょっと駅からでて休憩しよう」
照「ん?なんだこの駅は、Suicaが使えない!?」
照「駅から出られた……」
照「それにしてもあの駅員はなんだったんだ」
照「人をかわいそうな方向音痴みたいな目で見て、帰りも無料で入れてあげるなんて言って……」
照「本当に方向音痴なのは迷子になった菫と淡の二人だっていうのに」
照「そういえばここの駅はなんて名前の駅だ?」
照「……七久保駅?東京にこんな地名の場所があったか?」
照「……いや、なんだか昔こんな駅をよく見かけてきがする」
照「見かけた記憶があるということはここは東京ということだな」
照「もしかすると菫や淡がここにいるかもしれないな」
照「あいつらはいつも迷子になるからな」
照「いつも汗だくになってやっと見つけたって駆け寄ってきて……」
照「まったく、汗だくになるほど迷子になって焦るなら最初から迷子にならないようにしてもらいたいものだ」
菫「尭深、照につけたGPSで場所はわかったか?」
尭深「長野……」
淡「ちょ、ちょっと待ってください、宮永先輩が行方不明になって数時間でなんで長野に!?」
菫「淡いまさら何を言ってるんだ、このまま放っておいて照が北海道や沖縄に行く前にみつけるぞ」
淡「さすがにそこまで……」
菫「この3年間にあった照の方向音痴の記録が知りたいか?」
淡「はぁ……」
照「コンビニが見当たらない……」
照「本当にここは東京なのか?でもこの道もなんとなく見覚えがある……」
照「暑い……」
照「とにかく涼しいところを探してみよう……」
照「今は菫と淡を探すのは休憩だ……」
照「何か店があるな……とにかく店内に入れば涼しいはずだ」
―――――
―――
照「美容院に入ってしまった……髪を短くすることになってしまったが今はこれぐらいの髪のほうがすごしやすいな」
照「だがこの髪型は咲を思い出させられるな……」
優希「おっ!咲ちゃんだじぇ!」
照「誰だお前は」
優希「え?咲ちゃん冗談きついじぇ」
照「私は咲じゃない」
優希「咲ちゃんじゃないなら微妙にはねた髪とか何から何までそっくりさんだじぇ」
照「そうだお前」
優希「じょ?」
照「この辺で涼める場所を知らないか?暑くてな」
優希「じゃあうちの麻雀部部室にくるじぇ!」
優希(咲ちゃんとこのお姉さんが並んだら面白そうだじぇ)
照「涼しい……」
優希「というわけでこのお姉さんを連れてきたじぇ」
久「み、宮永照!?」
和「ど、どうして東京にいる咲さんのお姉さんが!?」
優希「じょ?」
照「私を知ってるみたいだね」
久「知ってるも何も、全国を目指す麻雀部なら知らないわけないじゃない」
照「その割には私を知らないのもいたみたいだが、そうか、ここが咲の学校なのか」
照(いつの間に咲は東京にきていたんだ)
照「ところで余っている着替えはないか?」
照「汗をかいたから気持ち悪いんだ」
久「……私の予備の制服なら常備してるから貸してあげるけど……」
照「サイズは問題なさそうだ、助かったよ」
和(髪色の微妙な違いと表情でしか咲さんとの違いがわかりませんね……)
優希「咲ちゃんにしかみえないじぇ」
久「全国の会場で返してくれたらいいわ」
照「自信はあるみたいだな、色々助かったよ、ありがとう」
和「あ、あの!どうして咲さんを避けるんですか!咲さんは家族で一緒にいたいと……」
照「……その理由は咲が一番良く知ってるはずだよ、それじゃあね」
久「あ、ちょっと!優希、あの人を駅まで送ってあげて、多分辿りつけないから」
優希「ガッテン承知」
久「咲よりもすごい方向音痴ねぇ」
和「そうですね、咲さんが来るまで引き止めておくべきだったんでしょうか」
久「多分止めても無駄よ、咲と話す気はなさそうだったし」
久「咲がいうように麻雀を通して伝えるしかないんじゃないかしら」
和「……そうですね」
淡「やっと追いつきましたよ宮永先輩、ここにいるんですよね」ギィ
久「え?」
淡「あ、あれ?」
菫「どうした淡、照はいたか?」
和「あなた達は白糸台の!?」
久「どうしてこんなところに……」
菫「その服は!?」
久「え?あぁこれはさっき宮永照が汗で気持ち悪いからって置いていったのよ」
菫「たよりの発信機が……」
淡「もうクタクタですよ弘世先輩……」
久(苦労してるのね……)
久「えっと、宮永照ならさっきここを出て駅に向かったばかりよ」
菫「本当か!それなら駅周辺以外を探せば」
久「あ、うちの子に案内は任せたから迷わないと思うわ」
菫「なんてことをするんだ!」
淡「はぁ……」
咲「遅くなりましたー」
まこ「いやーすまんねぇ、先に手伝ってもらっとったんよ」
咲「あ、あれ?その制服って白糸台……お姉ちゃんの通ってる学校の人!?」
菫「!!」
淡「!!」
咲「え?あ、私何かしてしまいましたか?」
淡「こんな人畜無害そうな人があの宮永先輩の妹!?」
なんか急激に眠気が
ちょっと休憩ってことで仮眠とってくる
爆睡してました
淡「でも確かに似てるね」
咲「え、えっと」オロオロ
淡(普段宮永先輩には苦労してるから似てるこの子いじって晴らしたくなってきた……)
菫「こうしている場合じゃない、照がどこかに行く前に行くぞ」
淡「はぁ……はーい」
菫「清澄の制服を照は着ているということで良かったか?」
久「えぇ、まぁ東京ほど電車があるわけじゃないから多分捕まえられると思うわ」
菫「助かる」
優希「ちょ、お姉さんこっちだじぇ」
照「ん?あぁ、そうだったな」
優希(そうだったなって絶対わかってないじぇ……)
優希「お姉さんは電車にどこにいくんだじぇ?」
照「どこに行くも帰る決まっているだろ」
優希「帰りの電車はわかるのかー?」
照「あぁ、西に行けば帰れる」
優希(方向がわかってるなら大丈夫なのか?)
照(同じ東京で私と全国で会いたいということはここは東東京の区域、なら西東京の私は西にいけば帰れる)
優希「お姉さん気をつけて帰るんだじぇ」
照「あぁ」
ドアが締まります
優希「ミッションコンプリートだじぇ」
菫「い、いた!清澄高校の制服!」
淡「はぁ……はぁ……もう走れない……」
優希「じょ?」
菫「あ、あれ?照を知らないか?」
優希「お姉さんなら電車に乗っていったじぇ」
菫「行った方向はわかるか?」
優希「西にいけば帰れるって行っちゃったじぇ」
淡「西って……」
ピッピップルルルル
菫「あぁ、尭深はあいつの行動パターンから行きそうな範囲を絞り出してくれ」
淡「はぁ……」
菫「淡は私と一緒に行動だ」
淡「はーい……」
優希「麻雀部と思えないぐらい大変そうだじぇ」
淡「大変そうじゃなくて大変なんだって……」
ガタンゴトン
照「……」
ガタンゴトン
照「……」
ガタンゴトン
照「……」
照(また見覚えのない田舎になっていく……)
照(まぁ菫や淡がまだ迷子だからどのみち帰る前に探さないといけないしな)
照「かなりの時間乗っていたがやはり見知った都会にはならないな……」
照「大きな駅で電車を乗り換えるか」
―――――
―――
照(そうだ、Suicaが使えないんだったな、まぁいい……部で渡された1位の私専用のカードがある)
照「カードで支払いをお願いします」
菫「照に持たせたカードが使用された?それはどこだ」
菫「何!?名古屋駅!?」
淡「なんでそんなに移動早いんですか宮永先輩は……」
淡「ワープしてるとしか思えないんですけどー」
菫「はぁ……すまんな淡」
淡「半年もいれば慣れっこですよ……」
菫「レギュラーじゃない部員皆が両脇に立って道を作ることで照の迷子をうまく抑制していたんだが」
淡「今回は移動中ですからしょうがないですよ……」
淡「ところで名古屋駅で何にカード使ったんですか?お腹でも空いたとか?」
菫「……」
淡「どうしたんですか?」
菫「新幹線だ……」
淡「……え?」
菫「新幹線……だ……」
淡「……何を思ってあの人って切符買ってるんでしょうね」
菫「私も長い付き合いだが未だにわからない」
淡「そうですよね……」
優希「今もどったじぇーってお姉さんなんで戻ってきてるんだじぇ!?」
咲「え?」
優希「あ、なんだ咲ちゃんかー」
和「ずいぶん遅かったですね」
優希「しらたきいとこんにゃくは見てて飽きなかったじぇ」
まこ「話を聞く限りやと警察の捜査官とかに卒業生がいっててもおかしくなさそうじゃのお」
久「今こうしている間、白糸台は練習できていない……今が差を詰めるチャンスって思いましょう」
和「はい!」
咲(お姉ちゃん……)
照「見覚えはないが東京に近い大きな都会だな」
照「やはりこっちで間違いはなかったみたいだ」
照「ここに菫と淡がいるかもしれないな」
照「少し暗くなってきているが……あいつらの迷子には困ったものだ」
―――――
淡「田舎で次の電車が遅くて接続も悪かったせいでこっちはやっと名古屋ですね」
淡「ところで宮永先輩の行き先ってどこなんですか?切符買ったならわかりますよね?」
菫「あぁ……大阪だ」
淡「え?」
菫「大阪だ……」
淡「……」
照「……」
ドンッ
洋榎「おっとすまんすまん、大丈夫やったか?」
照「あぁ」
洋榎「……」
照「なんだ?」
洋榎「あんたどっかで……」
絹恵「お姉ちゃんどうしたん」
洋榎「ん?いやな……あー!」
照「な、なんだ」
洋榎「思い出したで宮永照!」
絹恵「え?あのインハイチャンプかいな!なんでこの時期に大阪におんねん!?」
照(大阪?東京の間違いだろう)
照(もしかすると東京には大阪とつく地名の場所があったのかもしれないな)
洋榎「せや、なんで大阪におんねん」
照「白糸台のレギュラーが迷子でな、探しまわっているんだ」
照「この二人なんだが見てはいないか?」
洋榎「見てへんなぁ」
絹恵「その前に迷子で東京から大阪ってどんな迷子やねん!」
洋榎「てか携帯電話つかえばええんちゃうん?」
照「携帯電話を忘れてしまってな」
洋榎「いや、そこは取りに帰ったらええやん!」
絹恵「というかもう暗くなるのに大阪におって大丈夫なん?泊まる場所あるんですか?」
照「ない」
絹恵「な、なぁお姉ちゃん」
洋榎「なんや絹」
絹恵「なんかこの人放っておいて何かあったら目覚め悪いで」
洋榎「確かにな、それに……なんていうか多分この人が迷子な気がするで」
絹恵「うちに泊めたって白糸台に連絡したったほうがええんちゃう?」
洋榎「せやなぁ、ここまでの迷子やったら手慣れた対応してきそうやしなぁ」
洋榎「あー、よかったらうち来る?泊まるところないんやろ?」
照「いいのか?助かる」
洋榎「ええてええて、代わりに白糸台のレギュラー情報と交換な」
絹恵「そんなんええわけないやん!」
照「そんな事でいいのか」
絹恵「って即OKかい!」
照「どれだけ研究されようと対策をしてこようと負けないのが王者だ」
洋榎「冗談や冗談、それに他校の研究は恭子に任せとるからする気もないわ」
洋榎「それにしても自信満々にいうてくれるでほんま」
淡「宿どうします……」
菫「そうだな、宿を見つける前に照を見つけたいんだが……」
淡「今見つければ深夜には帰れそうですしね」
菫「あぁ……」
どんっ
淡「おわっとと」
怜「あ、ごめんな」ふらっ
淡「ちょ、ちょっと大丈夫?」
菫「千里山か……」
淡「知り合いですか?」
菫「全国ランキング2位の学校だ」
竜華「おった!怜!」
怜「あ、竜華……」
竜華「大丈夫か?」
怜「また、ごめんな」
竜華「あ、怜のこと支えてもらってありがとうございまし……白糸台!?」
洋榎「今日はからあげやてー」
絹恵「ほんま?嬉しいわぁ」
洋榎「こうふわっじゅわーって肉汁がたまらんで」
絹恵「想像しただけでもたまらんわ」
照「……」
洋榎「なんや?インハイチャンプはからあげは嫌いか?」
照「いや、お前たちは家でも騒がしいなと思っただけだ」
洋榎「あんた、家でもそんなんなんか、気が滅入るで」
絹恵「連絡しといたで、やっぱり手馴れてる感じやわ」
洋榎「あーやっぱりかー」
絹恵「にしてもあれがインハイチャンプかー」
洋榎「白糸台自体が怖い感じのイメージ強いけど」
洋榎「普通にしゃべってみると割りと普通なもんやわ」
絹恵「迷子で東京から大阪まで来るような人が?」
洋榎「それ言われるときっついなぁ」
菫「すまないな、泊まる場所に困っていたから助かった」
竜華「ええて、怜の恩人やで」
淡「体支えただけですけどね」
―――――
―――
竜華「それで怜がなぁ」
淡「へー」
ピリリリ
菫「失礼、どうした?」
怜「ウチちょっと病弱で……」
竜華「だからそのアピールやめ」
淡「でも病弱なのは本当ですよね、ふらふらしてたし」
怜「ほんまぶつかる気はなかったんやわ」
菫「照の居場所がわかったのか!?」
淡「弘世先輩、宮永先輩がどこにいるかわかったんですか?」
菫「あぁ、姫松高校の愛宕姉妹が保護してくれたそうだ」
淡「じゃあ今から行くんですか?」
菫「いや、昼ぐらいまで保護してくれるそうだ、疲れたし休んで明日になったらでいいだろう」
淡「賛成です……東京からまさか長野、名古屋、大阪って行くなんて思ってなかったし」
竜華「そっちはうちんとこより大変そうやなぁ」
菫「すまないが地図を貸してもらえないか?姫松高校に連れてきてくれるそうだから場所を知りたい」
怜「地図は確か……」ふらっ
竜華「怜は動かんでええで座っとり」
淡「宮永先輩もこれぐらい保護しやすいと楽なんだけどなぁ……」
竜華「というか姫松高校なら場所知ってるで?明日案内したろか?」
菫「いいのか?」
竜華「これも何かの縁や、全国では敵やけど困ってるのに放おっておくんは違うやろ」
菫「助かる」
―翌日―
竜華「北と南でわかれてるだけにちょっと遠いんやわ、あともうちょいやで」
怜「みえてきたわ、校門のところにおるの愛宕姉妹やないかな」
菫「しかし照の姿がみえないが……」
淡「嫌な予感がしますね……」
絹恵「ほんますんません」
洋榎「まさか朝になったら出て行ってるとは思わんかったわ」
絹恵「お母さんらにちゃんと話してなかったもんでお弁当持たせていかせてもうたみたいで」
菫「いや、1日照を保護してくれただけでもありがたい」
淡「ほうっておくといつか野垂れ死にしそうですしね……」
竜華「こうして話聞いてると洒落にならんねそれ」
洋榎「行き先のヒントになるかわからんけど……二人が電車で移動してないんじゃないかとか昨日疑ってたで」
菫「すまない、恩に着る」
淡「はぁ……」
ピリリリリ
菫「失礼、どうした?」
菫「またカードが使用された?場所は?……そうか……あぁ……今から向かう」
淡「場所はどこですか?」
菫「あぁ、鹿児島行きのフェリーにおそらく乗ったようだ……」
絹恵「ほんまに方向音痴のスケールがちがうなぁ……」
竜華「ほんますごいわ……」
淡「本当に沖縄行きそうですね……」
菫「千里山も姫松も世話になった、ありがとう」ペコリ
淡「お世話になりました」ペコリ
洋榎「おつかれさんさんさんころりー」
怜「ほな」
絹恵「なんで携帯とか連絡とれるようなもん持たせてへんのやろ」
洋榎「うちが最初にあった時すぐに宮永照ってわからへんだけど」
洋榎「制服違うし髪型微妙に変わってるしって事はやで、なにか持たせても下手すると捨てられるだけなんちゃうんかな」
竜華「聞いてる限りやと色々と策をこうじてはおったみたいやしなぁ」
怜「淡って子も1年なのにもう慣れっこみたいやったし、常習犯みたいやしなぁ」
洋榎「ってなんで千里山がおんねん!」
竜華「いまさらかい!」
淡「にしても電車じゃないっておもって船を選ぶのはいいけど」
淡「どうしてその船にのるまでは迷わないんですかね……一直線で目的地に向かえてますよ……」
菫「本人に聞いてくれ……」
淡「長野、名古屋、大阪、鹿児島……2日とは思えない移動距離ですよ……」
淡「観光する時間でもあるなら宮永先輩の迷子も捨てたもんじゃないんですけどね」
菫「照がパスポートを持っていないだけましと思うしかないさ……」
照「船だとゆっくりだな……」
照「それにしてもよく考えると船があるということはここは東京の最も東側か」
照「西を目指していたのに不思議なものだ」
照「鹿児島……東京には大阪以外にも鹿児島なんていう地名があるんだな」
照「わかりにくい地名なんて作るから覚えれない子供がでてくるんじゃないかまったく」
御飯食べてくる
菫「はぁ……はぁ……間に合わなかった……」
淡「あ、あのフェリーのところで黄昏てる感じの宮永先輩じゃないですか?」
菫「声が届くわけがないし……ああもう」
菫「淡、鹿児島にあいつがいったとわかったんだ、電車で鹿児島に向かうぞ!」
淡「はーい……」
淡「って先輩おちつきましょうよ、電車で鹿児島っていけるんですか?」
菫「そうか、じゃあ大阪の空港から鹿児島の空港だ」
淡「先回りできそうだしそれが確実そうですよね……はぁ……」
菫「費用は全部部費から出してもらえるから心配するな」
淡「部費で旅行って聞こえはいいですよね本当……」
小蒔「……」ジィー
照「なんだ?」
小蒔「どこかでお会いしましたよね?」
照「あぁ、永水の神代か」
小蒔「あ、思い出しました、印象が変わっていますけど宮永照さんですよね」
照「なんでお前がここにいる」
小蒔「寝て目が覚めたら大阪にいまして……鹿児島に戻る途中です」
照「前からすこしボケの入ったやつだとは思っていたが……」
照(それにしてもこいつも東京に引っ越したのか、今年の東東京は激戦区だな)
小蒔「鹿児島まで随分と時間があるので知っている方がいて少しほっとしました」
照「私はお前とまともに会話をした記憶はないが」
小蒔「やはり一人なのは寂しいと感じますので」
小蒔「そういえば、あなたはどうしてこちらのフェリーに?」
照「私は迷子になっている菫と淡を探すためだ」
照「高校生にもなって迷子になるなんて恥ずかしい奴らだ」
小蒔「迷子ですか、私もよく皆に迷子にならないようにと言われていました」
照「確かに言われそうだなお前は」
小蒔「そうですか?」
淡「あ、そういえばフェリーがつくまでは宮永先輩もうごけないですよね?」
菫「そうだな」
淡「せっかくですし観光に行きましょうよ弘世先輩」
菫「それはいいがまずはフェリーが付く場所をしっかり確認してからだ」
菫「そこで確実に照を捕まえる」
淡「はぁ……麻雀部なのに全然麻雀してないですね」
菫「かといって長野も大阪も出会うのは代表校ばかりで麻雀をするわけにもいかないがな」
菫「ついた、ここだな……」
淡「遠い所まで来たって感じがしますね」
霞「小蒔ちゃんは罰として1週間おやつ抜きにしましょうか」
初美「姫様大丈夫ですかねー」
春「宮永照と会ったらしい……」
巴「あーあの人怖そうだけどしっかりしてそうだしラッキーかもしれませんね」
霞「それにしてもなんで宮永照がこんな遠くまできてるのかしら」
初美「噂をすれば白糸台のお二人ですよー」
菫「お前たちは……」
淡「代表校と本当によく会うなぁ……」
照「意外だな、携帯電話を使えるなんて」
小蒔「あまり得意ではありませんが皆が持っておくようにと操作方法も教えてもらったので」
小蒔「それにちゃんと帰る途中だと伝えないと皆が心配してしまうみたいで」
???「電車乗り間違えるなんて考慮しとらんよ」
初美「意外ですねーあの宮永照が重度の方向音痴だなんて」
霞「でもフェリーが到着するのは明日の朝よね?あなた達はそれまでどうするのかしら?」
巴「こっちは姫様が帰ってくる前に一応下見できただけだからいいけど」
淡「……」
菫「……」
霞「たいしたおもてなしはできなくてもいいなら一晩ぐらいなんとかなると思うけど」
菫(これ以上部費を消費するのは避けたい……)
菫「……すまない、よろしく頼む」
淡「ここから近いの?」
春「霧島神宮のあたり……ちょっと遠い……」
淡「あ、でも観光できそう」
淡「普段東京なだけに違った雰囲気を感じますね」
菫「そうだな」
初美「つきましたよー」
菫「一ついいだろうか」
霞「どうかしましたか?」
菫「照は本当に重度の方向音痴で目を話したら東京からここまで来てしまうような奴なんだ」
菫「だからフェリーが到着する前に待ち構えておきたいのだが」
春「問題ない……」
初美「姫様も寝てると行動がよめませんからねー、こっちも元々そのつもりですよー」
エイスリン「シロ、ノリカエ!」
シロ「だるい……おぶって……」
ドアがしまります
エイスリン「シロ、トビラシマル」
シロ「あー……」
エイスリン「シロ、シロ」
塞「あれ?シロは?」
豊音「エイスリンさんがついてたはずだけどー」
胡桃「エイちゃん実力行使はしないからね」
豊音「アハハ」
塞「笑い事じゃないって……はぁ……」
霞「皆朝よ、起きなさい」
春「……」
初美「んー」
巴「もう朝ですか」
菫「布団で寝るというのは久しぶりの感覚だな」
淡「え?もう朝……まだ4時半じゃないですか……」
霞「あら?東京だと朝は遅いのかしら?」
淡(眠い……)ウニョウニョ
春「髪が動いてる……」
霞「あらあら」
初美「すごいですねー」
菫「淡、目を覚ませ」ベシ
照「船というものは遅いものだな、東京から東京という短い距離なのに1日かかるなんて遅すぎる」
照「というかなぜあいつは私の部屋のベッドを奪っているんだ……」
小蒔「すぅ……すぅ……」
照「しかし目的地までもうすぐか、いい加減菫と淡が見つかるといいが」
ゾクッ
照「!!」
小蒔「……」
小蒔「……」キョロキョロ
小蒔「面子がいない……」ボフ
小蒔「すぅ……すぅ……」
照(こいつが寝るとゾクリとくるせいで眠れない……これだから意思に関係なく発動する奴は……)
すまん、お出かけしなくてはならなくなった
帰るのは夜中になるかもしれない
いちご「寝過ごして鹿児島にくるなんて考慮しとらんよー」
淡「フェリーが見えてきましたね」
菫「あぁ、やっと東京に帰れるな」
霞「目がはなしたら小蒔ちゃんがいなくなった時はどうなるかと思ったわね」
巴「そういえばその時だれも誘拐されたって考えませんでしたよね」
春「……普段の行い……」
初美「姫様は眠ると行動がわかりませんしねー」
照「おい、起きろ」
小蒔「ん……どうかしましたか?」
照「船が目的地に到着したみたいだぞ」
小蒔「そうですか、わざわざ起こしていただいてありがとうございます」
照「早く準備をしろ」
淡「遅いですね……」
菫「人もまばらになってきたんだが……まさか乗っていなかったとか?」
初美「はるるが姫様とメールをやり取りして確認はできているのでいるはずですよー」
霞「でも、たしかに遅いわねぇ」
巴「船からどうしたら出られるかわからないとかないですよね?」
春「ありえる……」
淡「宮永先輩もありえる……」
菫「まぁすぐに出ないと出発するものではないはずだし待つしかないか」
照「ここはどっちに進むか……」
小蒔「どこも同じように見えてわかりませんね」キョロキョロ
照「なら適当に進むしかないね」
小蒔「それよりも人を探して聞いたほうが良いのでは?」
照「迷子と思われたら恥ずかしいだろ」
小蒔(すでに私たちは迷子なのでは?)
小蒔「あ、階段ですね」
照「下に行くぞ」
小蒔「そうですね、大きな船でしたから下に出入口がないとでられませんし」
照「あぁ」
淡「……」
菫「そっちで神代に連絡をとることはできないのか?」
春「……電池切れしてる……」
初美「普段姫様は携帯電話なんて使わないから充電してなかったんでしょうねー」
霞「それにしても遅いわねぇ」
淡「はぁ……お腹空いてきた」
春「……」スッ
淡「え?何?黒糖?くれるの?」
春「……」コク
淡「あ、美味しい」
春「うん……」ニコ
淡「おみやげに買っていこうかな……」ポリポリ
春「これ……」スッ
淡「え?何?」
春「あげる……」ニコ
淡「え?ありがとう!鹿児島だけだよ観光もできておみやげまで手に入ったの」
霞「本当に大変だったのねぇ」
菫「それもやっと終わる……よな?」
淡「聞かないでくださいよ弘世先輩……不安になるじゃないですか……」
照「出口がないな……」
小蒔「そうですね、人気もありませんし……」
照「そういえばこの関係者以外立入禁止のトビラとか」
小蒔「開けないほうがいいのでは?」
照「乗船客は関係者だろ?」
小蒔「そうなんでしょうか?」
照「出入口がないんだ、確かめたほうがいいだろう」
淡「あ!あれって!」
菫「照!」
初美「姫様ともう一人係員?みたいな人がいますねー」
霞「行ってみましょうか」
巴「そうですね」
春「……」コク
菫「照!」
照「ん?菫!どこに行ってたんだ探したぞ」
菫「それはこっちのセリフだ……」
淡「いやー肩の荷が下りた気分ですね……」
初美 巴「姫様ー」
霞「よかったわ、小蒔ちゃんが無事で」
小蒔「お騒がせしました」ペコリ
―――――
―――
菫「はぁ……関係者以外立入禁止の部屋に入って怒られているなんて……」
照「乗客が関係者じゃないならなんだというんだ」
淡「でもこれでやっと帰れますね」ノビー
菫「世話になったな」
淡「お世話になりました」
小蒔「こちらこそお世話になりました」ペコリ
照「あぁ」
霞「道中お気をつけて」
初美「ではまた全国大会でー」
巴「またはぐれないように気をつけて」
春「……また」
―――――
―――
淡「長い電車の旅もあとちょっとですねー」
菫「まだ大阪だぞ」
淡「あ、そうだ、大阪で降りた後ちょっとおみやげ見に行っていいですか?」
淡「せっかくですし目的も果たしたから少しぐらい遅くなっても」
菫「そうだな、まぁ少しぐらいはいいか」
照「遠くにきたぐらいで子供みたいだな」
淡(迷子になってた宮永先輩がそれを言いますか……)
淡「これなんて渋谷先輩にどうですか?」
菫「いいんじゃないか」
照(東京から出たわけでもないぐらいの遠出だというのに何をはしゃいでいるんだ)
照(暇だ……ちょっとぶらついてみるか)
菫「……」
淡「……」
ピッピっプルルルル
菫「もしもし、すまないが照を見失った……」
菫「あぁ、あぁ、おそらく方向として東京の方面には向かうと思う」
菫「あぁ、情報が入ったら連絡を頼む」
淡「すみません、おみやげなんて私が言ったから……」
菫「いや、目標を達成したと思って私も気が抜けていた、気にするな」
照(普段あまり見かけない電車が走っていたからのってみたが……)
ガタンゴトン
照「……ん?」
ガタンゴトン
照(菫と淡がまたいなくなった……)
ガタンゴトン
照「菫も淡も皆迷子か、まったく……」
淡「どうして東京の方へ行くって思うんですか?」
菫「あいつの方向音痴のタイプだ」
淡「タイプ?」
菫「方向音痴には自分が信じられずに目的地が思ったより遠いだけで間違えたと引き返し、その結果迷うようなタイプ」
菫「間違った道を間違えと気が付かずに突き進むタイプがいる」
菫「私達が向かっていたのは東京、そして照のタイプは後者だ」
淡「あーそれでですか」
照(そろそろ戻って迷子の二人を探すか……)
―――――
―――
照(また見覚えのない場所に来てしまっている……やはり東京は広いな)
照(朝から動きっぱなしだし、少し降りるか)
菫「あぁ、わかった」
淡「どうですか?」
菫「あぁ、奈良県、吉野駅でおりたようだ」
淡「大阪から奈良程度で済んだってほっとしてしまうっておかしいですよね」
菫「あぁ、だが気持ちはわかる」
照(東京は自然がないとよく言われていたが自然もたくさんあるじゃないか)
照(しかし……店があるように見えないな……)
穏乃「ん!?清澄高校の制服!?」
憧「え?清澄?」
照「何か用か」
憧「あーいや、知り合いが清澄高校に行っているもので」
照「そうか」
憧(この人どこかで見たような……)
穏乃「清澄高校の麻雀部って知ってますか!」
照「あぁ」
照(咲がいた麻雀部だったか)
穏乃「じゃ、じゃあ原村和は知ってますか?」
照(……誰だ?)
憧「去年全中優勝した胸の大きい」
照(胸の大きい……あぁ、あいつか)
照「知っているけど、それがどうかしたか?」
穏乃「和は元気ですか?」
照「あぁ、元気にしていたと思うが」
照(多分)
穏乃「ところでどうしてここに?」
照「何か食べ物をと思ったんだが店が見当たらなくてな」
憧「あーこの辺はお店とかあんまりないですから」
照「そうか、なら駅に戻るか……」
穏乃「せっかくですし私達が案内しますって!」グイ
照「あ、おい!」
穏乃「あ、私は高鴨穏乃っていいます」
憧「私は新子憧です」
穏乃「そういえばお姉さんのな前は?」
照「私は宮永照だ」
憧(宮永照!?)
穏乃(どこかで聞いたような……)
アニメのほうは「本当に感謝している」っていうのが腹黒っぽくなってて残念
原作みたいにそのまえに「えっ」って入れてほしかった
淡「奈良って修学旅行とかでよく行きますよね」
菫「それがどうした」
淡「こんな風に観光楽しみぐらいに考えないと気疲れしそうで」
菫「……そうだな」
淡「はぁ……」
穏乃「照さん、あっちの方いきましょうよ」グイグイ
照「わかったから引っ張るな」
憧「そうだよ穏乃、落ち着きなって」
穏乃「あ、ごめんなさい」
宥「あれ?穏乃ちゃんと憧ちゃんと……どなた?」
憧「あ、宥姉」
照(この暑い中でマフラー!?)
穏乃「なんと清澄高校の人です!」
宥「あ、玄ちゃんが言っていた和ちゃん?」
穏乃「和とちょっとした関わりがある人だそうです!」
照(数日前に少し話したぐらいだが……)
穏乃「照さん、あそこでご飯食べましょうよ」
宥「あそこは美味しいよね」
照「そうか」
憧(清澄高校の服だしやっぱりインハイチャンプとは別人だよね、名前が一緒なだけで)
穏乃「良かったら和の話とか聞かせてください!」
照(話せることなんてないんだが……)
淡「奈良県吉野駅……着きましたね」
菫「あぁ」
晴絵「白糸台!?」
淡「え?」
玄「白糸台?」
灼「全国一位の学校」
玄「ええ!そんな人達がどうして奈良に!?」
菫「人探しだ」
淡「この人見かけませんでしたか?」
晴絵「見てないね」
晴絵(宮永照を探している?)
菫「はぁ……見つけた時にGPSをつけておけば……」
淡「私達のこと知ってるみたいだし事情話して手伝ってもらったほうがよくないですか?」
菫「そうだな……といっても無理強いはできないだろ」
晴絵「この荷物を運ぶのを手伝ってくれたら手伝ってあげる」
菫「そんなことでいいなら」
淡「なんだか文化系のはずなのに体力がついていきますね……」
菫「そうだな……」
淡「これをどこまで運ぶんですか?」
玄「あそこまでだよ」
淡「……山?」
晴絵「運びながらでも事情は話せるよね」
玄「方向音痴ですか」
菫「あぁ、方向音痴だ」
灼「それって方向音痴なの?」
淡「ちょっと次元の高い方向音痴です」
晴絵「なんか、荷物運びなんて疲れることさせて悪いね」
玄「この数日で東京から長野、名古屋、大阪、鹿児島、奈良ですか」
灼「冗談にしか聞こえない」
菫「冗談ならどれほどいいか……」
晴絵「歩き慣れてなさそうなのに思ったより早く着いたね」
淡「歩きまわってますから……」
菫「ここでよかったか?」
玄「はい、そこに置いといてください」
灼「それはこっち」
淡「よいしょっと」
晴絵「お疲れ、約束どおり人探しを手伝えばいいんだったね」
菫「土地勘がないのでそうしてもらえると助かります」
灼「人探しなら人手は多いほうがいい」
玄「おねーちゃん達にも手伝ってもらえるか聞いてみますね」
宥「あ、玄ちゃんから電話……ごめんね、先に行ってて」
穏乃「わかりました」
憧「何の用だろ?」
穏乃「まぁ何の用でもまずは照さん送って行かないと」
照「助かる」
玄「もしもし、おねーちゃん?」
宥「玄ちゃんどうしたの?」
玄「えっと、今から時間ってある?」
宥「え?うん、何か用事?」
玄「人探しをしてる人がいて、手伝ってあげる事になったから人出があったほうがいいと思って」
宥「そうなんだ、じゃあ穏乃ちゃんと憧ちゃんにも伝えておくね」
玄「本当!ありがとうおねーちゃん」
宥「どんな人を探してるの?」
玄「えっとね、宮永照っていう」
宥「え?」
玄「あれ?聞き取れなかった?宮永照っていう人で、セーラー服を着てるらしいんだけどね」
宥「ふぁっええええー!」
憧「気をつけて帰ってくださいね」
穏乃「それじゃあまた!」
照「あぁ」
ドアが締まります
宥「ま、待ってえええ!」
穏乃「うわっ!びっくりしたー」
憧「どうしたの宥姉」
宥「わわわわわ、どうしよう間に合わなかったよ……」
穏乃「?」
晴絵「悪いね、なんだか手伝わせただけになっちゃって」
菫「いえ、あいつの行動を早くに知ることができただけでも十分です」
憧「やっぱりあの人がインハイチャンプだったんだ……」
穏乃「清澄高校の人じゃなかったんだ」
淡「清澄高校ってところは数日前に行って制服を借りたみたいで」
玄「聞けば聞くほどすごい人なんだね」
菫「電車がきたな」
淡「今度こそ追いつけるといいんですけど……」
昨日は寝落ちしてごめんね
ついでにこれからアルバイトなんだ帰るのは夜になると思うが許してくれ
ほ
菫「照は名古屋駅に向かったみたいだ」
淡「ある意味順調に東京に戻ってきてますよね」
菫「帰巣本能はあるのかもしれないな」
淡「じゃあ放っておいても戻ってこれるんじゃないですか?」
菫「本当にそう思うか?」
淡「……」
菫「……」
照「ここは……飯田駅?」
照「ここも見覚えのない場所だな」
華菜「あ!清澄の!なんでこんな所にいるし!」
照「……誰だ?」
華菜「な!た、大将戦で戦って一緒に合宿までした相手を忘れるか!?」
照「それは私じゃない」
華菜「よくわからないけど、どうしてここにいるんだ?」
照「電車に乗ってきたに決まっているだろ」
華菜(こいつってこんなに話が通じないやつだっけ?)
美穂子「どうかしたの華菜」
華菜「あ、キャプテン」
美穂子「あら?宮永さん?」
照「なんだ」
美穂子「……もしかしてお姉さんの方かしら?」
照「私に妹はいない……」
美穂子(やっぱり……)
華菜「で、なんでこんな所にいるんだし」
照「帰り道だ」
華菜「ははーん、確かお前は方向音痴だから帰り道がわからなくなったんだろー」
華菜「帰るならあの電車に乗ってしばらくすれば見覚えのある景色が見えてくるはずだし」
照「……そうか」
照(人を迷子みたいに扱うなんて失礼なやつだ)
華菜「礼もなく行くなんてひどいやつだし」
美穂子「華菜、あの人は清澄の宮永さんじゃないわ」
華菜「え?」
美穂子「宮永照……」
華菜「え?でも宮永照は東京なのにどうしてここに?」
美穂子「わからない、何かあるのかもしれないわね」
菫「ここで降りたはずだ!」
淡「まだあんまり時間もたってないし、この辺に!」
美穂子「白糸台の制服!?」
美穂子「あの、もしかして、人探しですか?」
淡「え?よくわかりましたね」
美穂子「宮永照さんを探しているのでしょうか?」
菫「もしかして場所を知っているのか?」
美穂子「その……あなた達が降りた電車に乗って……」
菫「入れ違いか……」
淡「そんな……」
華菜「わけがわかんないし」
ドアが開きます
照(確かにいつだったかに見た景色になってきたが私が住んでいる場所ではないな)
ドアが締まります
桃子「セーフっす!」
ゆみ「なんとか間に合ったな」
桃子「ちょっと遠くまできただけあって楽しかったっすね」
ゆみ「そうだな」
照(な、何でまだ明るいのに幽霊が見えるんだ!?)
桃子「まだ明るいのに帰らないといけないのが残念っす」
照(冥界にか!?)
ゆみ「蒲原が運転して遠出をすると車酔いで体調が悪くなるからな」
ドアが開きます
照(この電車は駄目だ、降りよう)
照「次の電車が来るまで時間があるな……少しぶらつくか」
透華「あなたは……清澄高校の宮永咲!」
照「私は咲じゃない」
透華(よく見るとこの髪の色はもしや……)
透華「宮永照!?」
照「あぁ」
透華「どうしてここにいらっしゃるのかしら?」
照「ここで電車から降りないといけない気がしたからだ」
照(幽霊がいたし)
透華(強者は強者と惹きあうもの、もしや私や衣に惹かれて!)
透華「お急ぎですの?」
照「いや、急いではいない」
透華「では私の家にご招待しますわ」
照「いいのか?」
透華「ただし、条件として半荘を一度だけ打ってもらいますわ」
照「自信があるみたいだな」
透華(どこまで私が通用するか、試してみるチャンスですわ)
菫「まだ降りてはいないようだが」
淡「結構乗り続けてますね」
照「おかしいな……どうやら切符を落としたようだ」
透華「いいでしょう、その程度私が払いますわ、どこからお乗りに?」
照「あぁ、確か……飯田という場所から」
菫「おかしい、もう終点についてしまった……」
淡「どうしてあの人はどこかに消えるんですか……」
菫「今日は長野に一泊して、明日になっても情報がないようなら一度東京に戻ろう」
淡「そうですね、それにしてもどこに行ったんでしょう……」
菫「はぁ……」
―――――
―――
衣「今日は楽しかった!」
冷透華「……」
照「まさか本気を出すことになるとはな」
衣「もっとあそぼう!」
照「かまわない……・と言いたいところだが……」
透華「……」
衣「気を失ってしまったのか、残念だ……ハギヨシ」
ハギヨシ「はっ」
衣「照を送ってやってくれ」
ハギヨシ「かしこまりました」
照「いいのか?」
衣「楽しい時間を過ごさせてくれたお礼だ!」
照「着替えや食事、何から何まで助かった」
一「透華大丈夫かな……」
純「にしてもあれが全国トップか……今日は満月だってのに」
智紀「すごい対局だった……」
純(あと、あの3人相手にハコテンにもならずにうってたハギヨシもおかしいよな……)
―――――
―――
照「朝……私は寝ていたのか……」
ハギヨシ「お早うございます」
照「ここは……見覚えがあるな」
ハギヨシ「申し訳ありません、東京のどこかまではわからなかったので東京駅までは来たのですが」
照「いや、ここまででいい、あの二人にありがとうと伝えておいてくれ」
ハギヨシ「お気をつけて」
照「あぁ」
照「こっちの電車だったか?」
照「それにしても菫と淡はいつまで迷子なんだまったく……」
菫「何?照が東京で目撃された!?」
淡「これでやっと東京に帰れますね……」
菫「まだ確保はできていないらしいが、ココにとどまる理由はなくなったな」
淡「新幹線で帰ります?」
菫「それが部費を消費しすぎていてな……まだあるにはあるが節約したい」
淡「というと?」
菫「バスを使う、今からでも昼になら予約できそうだ」
照「また見覚えのない場所に出てしまったな……」
?「あれは……」
?「どうしたの?」
ブロロロ
菫「ここまで長くなるとは思ってなかったがやっと帰れるな……」
淡「まさかあそこまで行くなんて思いませんでしたよ……」
菫「やはり今後は目を離さないように注意が必要だな」
淡「そうですね」
恒子「ふくよかすこやかインハイ生レディオ!」
恒子「はい今日はふくよかじゃないスーパーアナウンサー福与恒子と」
健夜「え、す、すこやかじゃない小鍛治健夜でインターハイ情報をお知らせいたします」
菫「車内に流れているのはインターハイの情報ラジオか……」
淡「暇つぶしに聞くのもいいかもしれませんね」
恒子「今年も、三千項の生徒たちが全国各地で激戦を繰り広げてきました」
恒子「そして……その壮絶な地方大会を制した48代表校が」
恒子「次々とここ、東京に集まってきています!」
恒子「と、ここでなんとばったり出会ってそのまま連れてきてしまった特別ゲストを紹介します!」
菫「特別ゲスト?」
淡「三尋木プロとかじゃないですか」
恒子「インターハイと言えばこの人、宮永照さんです!」
照「こんにちは、宮永照です」
菫(なんで照が!)
淡(しかも営業モード!?)
恒子「いやー宮永選手を茨城県で、たまたま見かけて思わず話しかけてみたら」
健夜「いいのかなぁ……練習忙しい時期じゃ……」
照「いえ、大丈夫ですよ」
恒子「ところで宮永選手はどうして茨城に来ていたんで?」
照「白糸台のレギュラーが迷子になってしまいまして」
恒子「迷子で茨城県って随分とスケールが大きな迷子ですねー」
健夜「大きすぎるよ!」
恒子「さて、白糸台のレギュラーというと、弘世選手、渋谷選手、亦野選手、大星選手ですが迷子はどなたでしょうか」
照「菫と淡の二人です、高校生にもなって迷子と思うのですがよく迷子になるんです」
恒子「なんと!あのクールっぽい雰囲気の弘世選手がまさかの迷子!」
恒子「さらに1年でレギュラー入りしている大星選手までもが!大丈夫なのか白糸台!」
菫「な!」
淡「え!?」
久「なんというか、かわいそうねあの二人」
和「そうですね、でも東京に戻っているのなら連れ戻せたわけではないのでしょうか?」
まこ「引き返してきて茨城県までいったんかいねぇ」
優希「さすが咲ちゃんの姉だじぇ!」
咲「お姉ちゃん……」
洋榎「なんでやねん!迷子はお前やろ!」
恭子「突然どうしたんです主将」
由子「主将がおかしくなったのよー」
絹恵「お姉ちゃんがツッコミとうなる気持ちもわかるわ……」
漫「どういうことなん?」
絹恵「いやな、数日前に色々と……待って、茨城県でたまたまってことはあれからずっと迷子やったん!」
洋榎「んなあほな!あの二人鹿児島までおっかけたんちゃうん!?」
怜「あの二人も大変やなぁ」
竜華「全国に高校生で迷子になるって言われるなんて同情もんやわ」
竜華「ほんまはあの二人は迷子になってへんのに」
怜「苦労してるなぁ」
浩子「?」
セーラ「なんかあったん?」
泉「ようわからんね」
霞「あらあら」
小蒔「まだお二人を探しているんですね」
初美「姫様、逆だと思いますよー」
巴「事情を知らない人にはわからないですねこれ」
春「……あの二人は晒し者……」
小蒔「??」
胡桃「シロ!だるくてもちゃんと動かないとダメでしょ」
白望「あー……」
塞「シロの面倒くさがりは今更だって」
胡桃「よくわからないところで行動力を発揮するのに!」
エイスリン「デモ、シロヨリヒドイ ヒトモイル ミタイ」
豊音「これチョー受けるよね、白糸台の人が高校生にもなって二人迷子って」
塞「それは比較対象にならない気がするけど……」
豊音「どんな人なんだろー」
トシ「……」ズルズル
穏乃「うわー照さんのがラジオにでてるよ!」
憧「うん、探してた二人はとばっちりを受けたけど」
穏乃「ん?」
灼「高校生で迷子になるというイメージを植え付けられた」
宥「あわわわわわ」
玄「菫さんと淡ちゃんも大変だね」
晴絵「悪意なくやっていそうでたちが悪そうだわ」
まもなく全国大会開会式が始まります
ヒソヒソ ネーアノフタリ
マイゴダッタンデショ?
コウコウセイデマイゴダッテ ソンナンコウリョシトランヨー
ヒソヒソ
菫「……」
淡「……」
菫(照……個人戦で倒す!)
淡(宮永先輩……個人戦で絶対倒してやる!)
ゾクッ
咲(今何か……背筋がゾクッって……)
衣(とてつもないものを感じた……)
小蒔(今何か……)
照(今妙な感じが後ろから……)
この辺で終わろう、そうしよう
最初は照と咲を入れ替えようと思ったのになぜか照が旅をしていた不思議
そして途中からどこまで咲キャラを出せるかにチャレンジしていた気がする
こんなのを保守させてすまんかった暇つぶしにでもなってりゃ幸いっす
照と絡ませるには岩手は遠すぎた!遠すぎたんや!
初美「審判さん!この人さっきから私のことをジロジロ見てますー!」
塞「な!」
初美(これで私をまじまじと見つめることは不可能なはず!)
みたいなネタを誰かやってくださいおやすみなさい
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