男「何言ってんのよ」
幼馴染「でも何でかわかる?」
男「お前を愛しているからだろ?」
幼馴染「///」
男「……ハッ」
男「謀ったな貴様!」
幼馴染「残~念、録音しました~」
男「誘惑されたとか言うなよ絶対」
幼馴染「いやんっ」
男「やめてくれよ」
幼馴染「でも私が好きなんでしょ?」
男「そりゃ好きさ、でも色々違うじゃん?」
幼馴染「何が違うのさ」
幼馴染「男が聖なる夜に口付けをしてから」
幼馴染「千ノナイフガ胸ヲ刺スほど衝撃受けたんだよ?」
男「ありゃ口付けしたかったんじゃない、偶然だ」
幼馴染「振り返れば故郷は私だって言ったじゃない」
男「それは酔ってたからだ」
幼馴染「でも一度は考えたんでしょ?」
男「……」
幼馴染「口唇に奪われたあの愛の蜃気楼の中で私は……」
男「でも華麗な歴史なんて作ってないだろ」
幼馴染「これから作るんじゃない」
男「んなこと……」
幼馴染「いい加減腹決めて私と付き合いなさい」
男「俺は親から愛されたと言う記憶はない」
男「そら少し前までは愛されたいと願ったが今はそんな気持ちなんざさらさらない」
男「でも大人になって考え方が変わったんだよ」
男「愛されたいと願うことを諦めてしまったんだ」
幼馴染「家族や友、恋人にさえも?」
男「あぁ」
幼馴染「私の部屋に古びた写真があるんだ」
幼馴染「幼い頃の私と無邪気な笑顔の男」
男「……でも」
男「お前と付き合ったとして何があるんだ」
男「嘘や欺瞞に目をつむるのは嫌だ」
幼馴染「……」
男「だからお前とは……」
幼馴染「結局自分本意なんだね」
幼馴染「自分さえ良ければそれでいい、他人の事なんか構ってられない」
男「当たり前だ、それが人間っていうもの」
幼馴染「……そっか」
男「仮にそういった考えがどうでもよくなるくらいにお前を愛したとする」
男「俺明日から単身赴任でカナダ行くんだ」
幼馴染「えっ?」
男「だから、会いたくても会えない」
幼馴染「そ、そんなの聞いてない……」
男「……すまんな」
幼馴染「……」
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