妹「恥の多いお兄ちゃんとの、長い生活を送って来ました」 (6)

妹「わたしには、お兄ちゃんの営みというものが、まるで検討もつかないよ」

兄「馬鹿にしちゃいけない。これはあくまで、真っ当な男児の生活だ、妹」

妹「でも、だからって、わたしの下着を学校に持っていくっていうのは、どうなのかな」

兄「分かってないな、きみ」

妹「なにが」

兄「僕ぁね、きみのその、純粋で潔白な姿が、たまらなく好きなんだ。分かってくれよ」

妹「いや、クリスチャンみたいな顔して、今日のお兄ちゃんはまったく変だ」

兄「酷いなあ。ちゃんと最後まで聞いてくれよ」

兄「いいかい妹。僕はね、なにもただの狂人になったというわけではないんだ」

妹「いや、でも、実の妹の下着を肌身離さず持ち歩く兄なんて、聞いたことがないよ」

兄「そこに、見えない落とし穴があるっていうんだ、妹」

妹「落とし穴だって?」

兄「そうだ」

兄「考えてもご覧。世界中の諸兄らが、妹に対してとんと興味を持たぬなどという確証が、どこにあるというんだい」

妹「そういわれると、たしかにそうだ」

兄「そうだろう。この世に妹を好く兄がいないなどとは、一概には言えやしないんだ」

兄「分かってくれ給え、妹。僕は、きみが好きなんだ。他の誰よりも、断然きみが好きだ」

妹「お兄ちゃん。好いてくれるのは嬉しいけれども、下着を持って行くというのはちとやり過ぎだと思うよ」

兄「なに、やりすぎだって」

妹「そうだ」

兄「一体僕の、何がやり過ぎだって言うんだ、妹」

妹「何がって、それはお兄ちゃんの、日々のいかがわしい行動の数々だよ」

兄「きみ、僕に説教をたれる気なのかい?いけすかねえなあ」

妹「何と言われようが、妹として、今のお兄ちゃんを放っておくなんて出来ないよ」

兄「なんだって、ほうっておくことが出来ない?」

妹「うん」

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