オタク「良質ギャルゲを手に入れたでござるwwwフヒヒww」(1000)

オタク「では早速……インストール……」

オタク「どの子から攻略しようかな……」

オタク「この子かな……いや、やっぱりこのロリから攻めてみようかな」

オタク「ぶっひぃぃwwwwwwwwwwwww」

オタク「……よし。完了だ」

オタク「起動、起動っと」

オタク「……あれ?」

オタク「はじまらな―――」

ガチャ

ヒロイン「どうもー、こんにちはー」

オタク「!?」

ヒロイン「うわ。くっさ」

オタク「だれだぁ!!」

ヒロイン「お買い上げありがとうございます」

オタク「え……?」

ガチャ

お嬢様「久々に違法ダウンロードではないお宅にめぐり合えましたわね」

姉「ほんとねー」

妹「やっはー、お兄ちゃん」

シスター「ふふ……神は我らを見捨てませんでした」

オタク「だ、だれだよぉ!!おまえらぁ!!」

ヒロイン「私たち、ヒロインです。ちなみに私がメインヒロイン」

お嬢様「ふん。パッケージにおおきく描かれているだけではありませんか!」

オタク「……?」

ヒロイン「さ、ギャルゲスタート!」

オタク「いや……まて……」

お嬢様「たかしー、足をもみなさい」

姉「お風呂はいってくるわ。覗かないでよ?」

妹「お兄ちゃん、あーそぼ」

シスター「では、ミサの時間です」

ヒロイン「お風呂にする?私にする?それとも……しょ く じ?」

オタク「……」

ヒロイン「あ、セーブします?このゲーム選択肢が山ほどありますからね」

お嬢様「はやくなさい」

オタク「まてよ!!だれだよ!!いみわかんねえよ!!」

ヒロイン「今、インストールしたじゃないですか」

オタク「はぁ?」

姉「ギャルゲのキャラクターだよ、私たち」

妹「大事にしてね?」

オタク「……」

シスター「どうやらマサルさんは事態を把握できてないのではありませんか?」

ヒロイン「そうなんですか?」

オタク「うん……全然……」

ヒロイン「チュートリアルターイム!!」

オタク「!?」ビクッ

ヒロイン「この度は『リアル恋愛シミュレーションゲーム・真剣恋愛(リアコイ)』をご購入いただきありがとうございます」

お嬢様「このゲームは、現実に五人のヒロイン、シークレットキャラ一人が現実に貴方の元に現れるわ」

姉「その中から一人と恋愛できればゲームクリア。期限は14日です」

妹「勿論、何度もやり直しができるので、失敗してもだいじょーぶだよ?」

シスター「ふぁいとです」

オタク「……」

ヒロイン「わかりました?」

オタク「全然」

ヒロイン「チュートリアルターイム!!」

オタク「もういい!!」

お嬢様「では、肩をもみなさい、タケル?」

オタク「と、とにかく……もうこの状況がギャルゲなの?」

ヒロイン「はい、そうです!」

オタク「……」

姉「で、誰から狙うの?」

妹「私は二週目でいいよ?」

オタク「……あのさ」

シスター「なんでしょう?」

オタク「ど、どうやればいいの?」

ヒロイン「え?」

オタク「よ、よくわかんない」

ヒロイン「んー……まずは好感度をあげないといけませんね」

オタク「そ、そうなんだ……」

姉「ちなみに現時点では全員ゼロだからね。ほら、はやく好感度あげないとトゥルーエンドにならないよ?」

オタク「どうやってあげるんだ……?」

シスター「ケンジさんの思うままで構いません」

オタク(さっきから適当に名前呼んでるな……)

ヒロイン「そうそう」

オタク「じゃあ……えっと……君」

お嬢様「わ、私ですか?中々、見る目が高いですわね」

オタク「えと……土足はやめてくれない?」

お嬢様「……」

姉「ぷー、ふられてやんの」

ヒロイン「かわいそう……」

お嬢様「……そう……そうなんですのね……」

オタク「え……?」

お嬢様「もういいですわ!!さよなら!!」

オタク「え?どうして……?」

シスター「シンジさんはなにもわかってませんね。乙女心を」

オタク「常識を指摘しただけなのに……」

オタク「……」

お嬢様「でていきますわよ!!とめなくていいですからね!!」

ヒロイン「ほらほら、選択肢でてますよ?」

オタク「え?どこに?」

ヒロイン「目には見えませんが、止める・止めないの選択肢が今、あります」

オタク「そうなのか……」

お嬢様「でていくわよぉ!!いいのかしらぁ!!」

オタク「い、いくな!!」

お嬢様「……本当、ですの?」

オタク「傍にいてくれ」

お嬢様「……うれしい」

妹「おにいちゃんの女たらしー!!」

姉「全く、女の子なら誰でもいいのね」

ヒロイン「ショックです……」

オタク「なんだよ!!どうしたらいいんだよぉ!!」

お嬢様「では、罪滅ぼしに肩を揉んでもよろしくてよ?」

オタク「……わかった」

お嬢様「はー……中々、うまいですわね」

オタク「……」

ヒロイン「さてと、じゃあ私はお料理でも振る舞いましょう」

姉「これみてー、萌えフィギュアってやつじゃない?」

妹「うわー、お兄ちゃんオタクなんだ?」

オタク「やめろよ!!」

シスター「このゲームを買う男性の9割は童貞ニートオタクです」

姉「そっかぁ」

妹「大変だね」

オタク「……」

お嬢様「あら?童貞ですの?」

オタク「ちち、ちがうよ」

お嬢様「隠さなくてもよろしいですわ。顔に書いてあります」

オタク「……」

姉「お、なんだこの本?」

妹「きゃあ!お兄ちゃんのエッチ!!」

オタク「うわー!!」

シスター「なんと卑猥な……次のページをはやく」

姉「はいはい」

オタク「やめろ!!やめろぉ!!」

姉「あんたSM好きなの?大概にしときなさいよ?」

オタク「うるさい!!どうでもいいだろう!!」

妹「わ、わたし……いたいのやだな……」

オタク「そんなことしない!!」

シスター「では受けですか。ふっ……今、私の好感度が上がりました」

オタク「……」

姉「私は下がった」

お嬢様「私は上がりましたわ」

ヒロイン「もつ鍋完成しましたー!!」

オタク「……」

ヒロイン「あれ?どうしたんですか?」

お嬢様「私たちの好感度が下がったようですわ」

妹「お兄ちゃん、ごめんね?もう勝手に部屋に入ったりしないから」

姉「もう、こんなことぐらいで拗ねないでよ」

シスター「申し訳ありませんでした」

オタク「もういいよ……」

ヒロイン「こんなときは何か食べましょう!」

オタク「……」

ヒロイン「ふー……ふー……はい、あーん」

オタク「……」

ヒロイン「あーん」

オタク「あー……」モグモグ

ヒロイン「おかわりもありますからね?」

姉「うん、うまいうまい」

妹「おかわりー」

ヒロイン「はーい」

お嬢様「ナイフとフォークはありませんの?」

シスター「あつ……猫舌には難しい……」

オタク「……」

ヒロイン「あの?」

オタク「え?」

ヒロイン「お口に合いませんでした?」

オタク「ううん。ちょっと、まだ現実感が沸いてこないだけで」

ヒロイン「初めは緊張されると思いますけど、そのうち慣れてきますよ?」

オタク「そ、そう?」

ヒロイン「はい」

オタク「……おいしい」

ヒロイン「よかった。どんどん食べてくださいね?」

オタク「おいしかったぁ」

ヒロイン「お粗末さまでした」

お嬢様「そういえば、ツバサは一人暮らしですの?」

オタク「みればわかるだろ」

ヒロイン「ご両親は海外出張の設定ですか?」

オタク「普通に国内にいるよ」

姉「じゃあ、なんで一人暮らししてんの?」

オタク「大学生……だけど……中退して、今はフリーター」

妹「そうなんだ」

シスター「神でも救えない惨劇です」

オタク「うるさいなぁ!」

ヒロイン「これからなんでもできますよ。プロ野球選手でも目指せばいいじゃないですか!」

お嬢様「あはは。そんな根性、こいつにありませんわ」

ヒロイン「何事も諦めないことが肝心です!」

オタク「そういう問題じゃないと思うけど……」

午後9時

妹「ふわぁ……眠い……」

ヒロイン「もう寝ますか?」

妹「うん」

オタク「えっと……どこで寝るんだ?流石に寝るスペースは……」

お嬢様「今日の夜の相手を選べばいいだけのことですわ」

オタク「え……?」

ヒロイン「はい。家が大きかればそういう選択をしないでいいのですが、大抵は私たちをそのままにできる家なんてないですから」

シスター「相手を選べば、その相手以外のキャラは一度消えます」

姉「ま、消えたキャラの好感度はさがるけどねー」

オタク「そ、そうなんだ」

ヒロイン「今日は誰と夜を過ごしますか?」

オタク「……じゃあ、君で」

ヒロイン「ありがとうございます!」

お嬢様「……ふん。別に悔しくなんてありません!!」

姉「それじゃ、また明日ね?」

妹「おやすみー」

シスター「ごきげんよう」

お嬢様「ふん!」

オタク「消えた……」

ヒロイン「はい。当然ですよ」

オタク「……」

ヒロイン「そろそろ、お風呂にはいります?」

オタク「え!?え、あ、うん……」

ヒロイン「では、お風呂掃除からしないといけませんね」

オタク「こ、これから!?」

ヒロイン「はい。綺麗なお風呂で体を綺麗にする。気持ちいいですよ?」

オタク「でも……悪いし……」

ヒロイン「私は『尽くす女』ですから!」

オタク「そう……なんだ……」

ヒロイン「ふんふふーん♪」

オタク「……」ペラッ

オタク(キャラクター説明……)

オタク(メインヒロイン……あ、スリーサイズまで載ってる……)

オタク「……」

オタク(誕生日やら好きなもの、嫌いなものまで……)

オタク(エッチなことは嫌いなんだ……)

オタク「……」

ヒロイン「ふー」

オタク「て、手伝おうか?」

ヒロイン「いいですよ。浴室が狭いですから二人でやるとかえって効率が悪くなりますし」

オタク「そ、そう」

ヒロイン「貴方はゆっくりしていてください」

オタク「わかった」

ヒロイン「お風呂の準備、できましたよ?」

オタク「き、君から入っていいよ」

ヒロイン「いいんですか!?」

オタク「も、もちろん」

ヒロイン「でも、悪い気も……」

オタク「いいから」

ヒロイン「では……お言葉に甘えて……」

オタク「……」

ヒロイン「あの……」

オタク「え?」

ヒロイン「ど、どこで着替えたらいいかなぁ……なんて……」

オタク「あ、あ……俺、トイレに篭るから!!!」

ヒロイン「な、なにもそこまで……」

オタク「ごゆっくり!!」バタン

ヒロイン「ふふ……よかった、優しい人で」

ヒロイン「―――もう大丈夫ですよ」

オタク「……わかった」

ヒロイン「いいお湯でした」

オタク「うぐ……」

ヒロイン「なにか?」

オタク「な、なんでも……」

オタク(色っぽい……いい匂いもする……)

ヒロイン「どうぞ。次は私がトイレに篭ります」

オタク「い、いいよ。俺は中で脱いで着替えも済ませるから!!」

ヒロイン「でも、服が濡れちゃいますよ?」

オタク「気にしない!!」

ヒロイン「だめです!」

オタク「い、いいだろ!!」

ヒロイン「だーめ。ちゃんとしてください」

オタク「……うん」

午後11時

オタク「……」

ヒロイン「コーヒー、いりますか?」

オタク「い、いい」

ヒロイン「そうですか」

オタク「……あのさ」

ヒロイン「はい?」

オタク「これ、ギャルゲなんだよね?」

ヒロイン「そうですよ」

オタク「終わりとかあるの?」

ヒロイン「当然ですよ。14日後にはエンディングを迎えます」

オタク「エンディングになると……もしかして……む、むすばれたり?」

ヒロイン「はい」

オタク「ぶひ」

ヒロイン「……?」

オタク「そっか……じゃあ、それまで俺は好感度を上げればいいんだな」

ヒロイン「そうですね。がんばってください」

オタク「基本的に夜の相手をずっと同じにしていれば……その……」

ヒロイン「あ、はい!それが一番いい上げ方ですね!!」

オタク「ふひっ……じゃあ、あの……」

ヒロイン「なんですか?」

オタク「ずっと君をえ、選ぶよ」

ヒロイン「いいんですかぁ!?」

オタク「う、うん……」

ヒロイン「嬉しいです!!」

オタク「お、おれも……」

ヒロイン「さて、もう寝ましょうか」

オタク「あ、じゃあ、俺のベッドを使っていいから」

ヒロイン「あはは、遠慮します。くさいですし」

オタク「oh……」

ヒロイン「おやすみなさい」

オタク「おやすみ……」

オタク(好感度がゼロから始まって……今はどれくらいなんだろう)

オタク(今の言い方も好感度が低い証拠なのか……?)

オタク「……」

ヒロイン「すぅ……すぅ……」

オタク(女の子が近くにいるなんて……)

オタク(……ドキドキしてきた……)

オタク「……」

ヒロイン「もう……たべりゃれにゃい……」

オタク「……」

オタク(意識するな……寝よう……!!)

オタク(エッチなことは嫌いって書いてたし……!!)

オタク(ひつじがいっぴき……ひつじがにひき……)

ヒロイン「すぅ……すぅ……」

翌朝

オタク「―――ごふぅ!!!」

妹「おっきろー!!」

オタク「え?え?」

妹「目が覚めた?お兄ちゃん?」

オタク「うわぁぁぁぁ!!!!」

妹「どう?一回やってみたかったんだぁ。お兄ちゃんの上に乗って起こすやつ」

オタク「え?!」

姉「朝からげんきねー」

シスター「さむい……こたつ……」ブルブル

お嬢様「ひろゆきー!!中々お湯になりませんことよ!!どうなっていますの!?」

ヒロイン「それ水のほうを捻ってるからですよ!!」

お嬢様「あら。失礼」

オタク「あぁ……そうか……夢じゃなかったんだ……」

妹「お兄ちゃんも顔、洗ったほうがいいよ?」

ヒロイン「朝食はトーストでよかったですか?」

オタク「うん」

ヒロイン「どうぞ」

妹「お姉ちゃん、ジャムとってー」

姉「スライダー気味になげるよー」

妹「こわいからやめてよ」

シスター「すぅ……すぅ……」

お嬢様「こら!こたつで寝るなんてはしたないですわよ!!」

シスター「私は猫……こたつが鎧……」

お嬢様「わけわかりませんわ」

オタク(これ……食費とかえらいことになるなぁ……)

オタク「はぁ……」

ヒロイン「……どうしました?」

オタク「ううん、なんでもない」

シスター「こたつの中は天国です……すぅ……すぅ……」

オタク「じゃあ、バイトに行って来る」

妹「いってらっしゃい!」

姉「お土産よろしくぅ」

お嬢様「精進なさい」

シスター「神のご加護を」

ヒロイン「がんばってくださいね!」

オタク「うん……それじゃあ」

オタク「はぁ……」

オタク「俺がみんなを養わないといけないのか……」

オタク「……でも、14日だけだし」

オタク「そうなれば……」

オタク「……」

オタク「ふひっ」

バイト先 ゲームセンター

オタク「おはようございます」

店長「おはよう」

オタク「……」

店長「ん?どうかしたか?」

オタク「え?」

店長「なんかやる気に満ちてるな」

オタク「そ、そうですか?」

店長「新しいアニメが面白かったのか?」

オタク「そ、そんなんじゃないですよ」

店長「そうか?」

ピリリリリ

店長「あ、電話だ。開店準備頼むな」

オタク「はい」

店長「はい、お待たせしました。え?バイト?ああ、はい。募集してますよ」

午後1時

少女「あのぉ」

オタク「え?」

少女「アルバイトの面接に来ました」

オタク「あ、ど、どうぞ」

少女「失礼します」

オタク(かわいい……)

店長「奥にどうぞ」

少女「はい」

オタク「ふひっ……」

オタク「でも、今の俺にはあの子が……」


ヒロイン『私、お嫁さんになります!!』


オタク「デュフフフ!!なんちゃって!!」

客「なんだ、あの店員。ずっと笑ってて、きめえな」

少女「失礼します」

オタク「あ、は、はい」

少女「……」スタスタ

店長「明日から入ってもらうことになったよ」

オタク「そうなんですか」

店長「あんな可愛い子がここを選んでくれるなんて……うれしいねえ」

オタク「そうっすね」

店長「いかにもギャルって子は多かったけど、今の子みたいに清楚な感じは初めてだな」

オタク「……」

店長「ほれんなよ?」

オタク「そそそ、そんなことないです!!」

店長「そっか」

オタク「え、ええ」

オタク「だって……もう……フヒヒ」

客「なにあの人……笑ってる……きも……」

夜 自宅

オタク「ただい―――」

妹「おっかえりー!!!」

オタク「うわぁ!」

妹「ごはんにする?お風呂にする?それとも……」

シスター「神々にお祈りですか?」

オタク「いや、しないから」

妹「そうなんだ」

オタク「あれ……?」

シスター「どうされましたか?」

オタク「他の三人は?」

妹「アルバイト、今日から始めたって」

オタク「え?」

シスター「説明書、読まれましたか?」

オタク「ど、どういうこと?」

シスター「一部のキャラを除き、登場人物は自身の生活費を稼ぐように設定されています」

オタク「そうなのか……?」

妹「私は年齢制限にひっかかるからだめなんだよね」

シスター「私は宗教上の理由です」

オタク「でも……14日限定……なんだろ?」

妹「ううん。きちんとプレイしてくれるならずっと働くよ?してくれないなら、みんな拗ねて働かないけど」

シスター「あとアンインストール、およびデータ消去がなされてからも一ヶ月分の生活費は入れますよ」

オタク「そ、そうなんだ……」

妹「だから、安心してね?」

オタク「へえ……最近のギャルゲってすごいんだな……」

シスター「はい。キャラも個々のディスクによって違いますから、街に同じキャラがあふれることもありません」

妹「かんがえてくれてるんだよねー?」

シスター「神はすごい」

オタク「……」

オタク(みんな……働けてるのか……?)

休憩

お嬢様「ただいま戻りましたわ」

オタク「おかえり」

お嬢様「さ、紅茶でもいれてくれないかしら?」

オタク「あの、なんのアルバイトを始めたんだ?」

お嬢様「え?おほほ。知りたいんですの?」

オタク「うん……」

お嬢様「お花屋さんですわ!!」

シスター「おやおや。そんな汚れ作業、苦手なのでは?」

お嬢様「ふん。甘く見てもらっては困りますわ。これでも花を愛でるだけの器量はありますのよ」

オタク「そうなんだ……意外と、乙女なんだ」

お嬢様「意外は余計ですわ!!」

妹「チューリップあるの?」

お嬢様「ありますわ。コスモスもありますわ」

シスター「菊も?」

お嬢様「ええ、当然ですわ。……なんで菊の有無をきいたんですの?」

姉「つかれたー!!」

シスター「おかえりんこ」

姉「ただいまん―――何言わせようとしてんのよ」

オタク「あ、アルバイト、どうだった?」

姉「あー、結構大変ね。もう何回客を張り倒そうと思ったか」

妹「なんのアルバイト?」

姉「ふふん」

オタク「え?」

姉「おかりなさいませー、ごしゅじんさまー」

オタク「ぶっひぃぃ!!」

妹「わかった!喫茶店だ!!」

姉「メイド喫茶ね」

シスター「淫猥……」

姉「どこがよ!?」

お嬢様「ふん。客に媚を売るような仕事なんて私には到底無理ですわ」

ヒロイン「遅くなってすいません。すぐに食事をつくりますね」

オタク「おお、おかえり!!」

ヒロイン「はい」

妹「ごはんだー!!」

姉「はらへったぞー」

お嬢様「はやくしてくれないかしら?」

ヒロイン「はい、すぐにしますね!」

オタク「お、俺も手伝うよ」

ヒロイン「いいんですか?」

オタク「き、君も疲れてるだろ?」

ヒロイン「ですが……」

オタク「て、手伝わせてくれ……」

ヒロイン「はい……では、お願いします」ペコリ

オタク「こ、こっちこそ」ペコリ

ヒロイン「ふふ……」

シスター「はっ、ほっ」

妹「あー!!なんでまた16連鎖!?」

シスター「一気に―――畳み掛けます」

妹「ぎゃーす!!」

姉「つよいわねー」

シスター「今日一日、暇でしたので」

お嬢様「そのプヨプヨしたものはなんですの?」

シスター「これを四つ繋げて消していくゲームですよ?」

お嬢様「楽しいんですの?」

妹「お姉ちゃん、かわってー!!」

姉「はいよー」

ヒロイン「楽しそうですね」

オタク「あの……君はなんのアルバイトを?」

ヒロイン「……えっと……は、恥ずかしいので、いえません……」

オタク「え?」

ヒロイン「できましたー」

シスター「今日も一日平穏無事に過ごせたことを神に感謝します……」

妹「いただきまーす!!」

姉「醤油とってくり」

お嬢様「ご自分でとりなさいな」

姉「あんたの手元にあるじゃないの!?」

オタク「……」

シスター「どうかされましたか?」

オタク「え。なんでも……」

姉「深夜アニメの録画でも失敗したの?」

オタク「ちがう」

お嬢様「ははーん……いやらしいことでも考えていたんですわね?」

オタク「ちがう!!」

ヒロイン「……」ジトーッ

オタク「ほら変な誤解されただろ!!」

姉「たべたー」

妹「ご馳走様でした」

お嬢様「今日はつかれましたわー……ふわぁぁ……」

シスター「おやすみの時間と相成りました」

ヒロイン「もう寝ちゃうんですか?」

オタク「まだ8時だけど」

シスター「いや、既にマスターは一週目のキャラクターを決めているようなので」

妹「だよねー」

姉「私たちは昼だけ相手してくれればいいよ」

お嬢様「次回に期待しますわ」

オタク「あ、え……?」

ヒロイン「でも、今日の夜の相手を正式に決めたわけでは……」

お嬢様「では、一応聞いておきましょうか。誰と夜を過ごしますの?」

オタク「それは……えっと……」

ヒロイン「あの……遠慮しなくてもいいですよ?まだ日数はありますから」

午後10時

オタク「……」

ヒロイン「お茶です」

オタク「ありがとう」

ヒロイン「私で……よかったんですか?」

オタク「うん……いいよ」

ヒロイン「うれしい……」

オタク「ふひっ……」

ヒロイン「明日もお仕事ですか?」

オタク「う、うん」

ヒロイン「がんばってくださいね」

オタク「ありがとう」

ヒロイン「ところで……」

オタク「なに?」

ヒロイン「お、おふろ……どうします?」

午後11時

ヒロイン「では、電気消しますね」

オタク「あ、うん……」

ヒロイン「おやすみなさい」

オタク「……あの」

ヒロイン「はい?」

オタク「みんな……なんで、知ってたの?」

ヒロイン「なにがですか?」

オタク「お、俺が……その……夜の相手を君にするってこと……」

ヒロイン「私たちはデータを共有してますから」

オタク「え?」

ヒロイン「私が褒められたこと、怒られたこと……全てみんなに伝わってます」

オタク「な……?!」

ヒロイン「じゃないと、好感度の変化に影響でますから」

オタク「そうなんだ……」

オタク「……」

ヒロイン「……」

オタク「もう一つ、いいかな?」

ヒロイン「はい」

オタク「ど、どこで働いてるの?」

ヒロイン「言わなきゃ……だめですか?」

オタク「だって……」

ヒロイン「……」

オタク「あ、ごめん……言いたくないなら……」

ヒロイン「じゃあ……言いません」

オタク「う……」

ヒロイン「女の子らしくない仕事……ですから」

オタク「え?」

ヒロイン「おやすみなさい」

オタク「うん……おやすみ」

翌朝

オタク「―――ごふぅ!??」

妹「目覚まし妹怪獣、イモゴンだぞー。がおー」

オタク「いちいち腹の上にのるなぁ!!」

妹「でも目は覚めるでしょ?」

オタク「そうだな……」

シスター「今日も寒い……こたつよ……我をまもりたまへ」ブルブル

姉「ふわぁ……ねむぃ」

お嬢様「こら、リョウスケ。はやく起きなさい」

オタク「適当な名前よぶなよ……」

ヒロイン「おはようございます!」

オタク「あ、お、おはよう……」

ヒロイン「はやく顔を洗ってください。朝食にしましょう」

オタク「う、うん」

お嬢様「その緊張した表情を少しぐらいこっちにも向けて欲しいですわね……」

ゲームセンター

オタク「おはようございます」

少女「あ、おはようございます。今日からお世話になります」

オタク「あ、う、うん」

店長「今からこの子に仕事の説明するから、開店準備しててくれるか?」

オタク「わ、わかりま―――」

少女「あの、店長?」

店長「なんだ?」

少女「あの……私、先輩からお仕事を学びたいのですが」

店長「え」

オタク「え、俺……?」

少女「だめでしょうか?」

店長「えーと……大まかな説明は俺がする。細かい業務についてはこいつにやらせるから」

少女「そうですか。わかりました」

オタク「……?」

オタク「じゃあ、今から台の点検とか……その……」

少女「拭けばいいんですか?」

オタク「ま、まあ……そんな感じ。あと、メダルの補充とか」

少女「はい。店長から聞きました」

オタク「そ、そう……」

少女「先輩?」

オタク「え……?」

少女「どうしたんですか?」

オタク「なにが?」

少女「いえ……目を合わせてくれないので……」

オタク「そ、そんなこと……」

少女「もしかして……わたし……嫌われてます?」

オタク「なんで!?」

少女「なら、いいんですけど」

オタク(変な子だなぁ……)

休憩室

オタク「もう、慣れた?」

少女「いえ。まだまだです」

オタク(物覚え良すぎて、もう教えることないんだけどなぁ)

少女「あのぉ……気になってたんですけど」

オタク「え?」

少女「そのストラップ……」

オタク「え?あ、こ、これ?これは、あのア、アニメのキャラで……」

少女「私も持ってます。ほら」

オタク「おぉぉ?!」

少女「このアニメ、面白いですよね。ストーリーもいいし、作画もすごいですよね。映画並みっていいますか」

オタク「そ、そうだよな!!」

少女「先輩もアニメとかみるんですか?」

オタク「う、うん……た、たしなむ程度には……」

少女「私もアニメ大好きなんです。先輩とは趣味が合いそうですね」

オタク「―――じゃあ、あれも見たの?」

少女「はい。DVDも買いました」

オタク「すごいなぁ」

少女「いやぁ……それほどでも……」

オタク「……」

少女「な、なんですか……?見つめられもこまります……」

オタク「あ、ごめん……」

少女「……あの」

オタク「え?」

少女「よければ……アドレス……教えてくれませんか?」

オタク「い、いいよ!!」

少女「やったぁ」

オタク「で、でも……俺のアドレスきいても……仕方ないんじゃ……」

少女「そんなことありませんよ。そうだ。メールでアニメの実況とかしませんか?きっと楽しいですよ?」

オタク「ふひっ……それはいいね」

夜 自宅

オタク「ただい―――」

妹「ぎゃーす!!」

シスター「さ、脱いでください。神にその身を捧げるのです」

妹「やめてぇー!!」

オタク「なにやってんだ!?」

シスター「あ、おかえりなさい」

妹「おにいちゃぁぁん……貞操のききだよぉ……」

オタク「なにやってんの?」

シスター「いえ。マスターのPCに女の子同士でエッチなことをするゲームがありまして。その……マネを」

オタク「やめろよ……」

お嬢様「……」ハァハァ

オタク「……」

お嬢様「いいところでしたのに……」ハァハァ

オタク(もしかして……選ばれないと……そういう風になるのか……?)

姉「今日もつかれたわー」

シスター「おかえりんこ」

姉「ただいまん―――言わせようとするな」

シスター「つまらない」

姉「あのねえ……」

ヒロイン「遅くなりました」

オタク「お、おかえり」

ヒロイン「はい」

シスター「おかえりんこ」

ヒロイン「ただいまんこ」

姉「ぶっ!!」

妹「おかえりんこ!!」

ヒロイン「ただいまん―――」

オタク「今日の料理はなにかな!?」

ヒロイン「えっと……雑炊にでもしようかと思いまして。寒いですから」

午後11時

オタク「……お疲れ様」

ヒロイン「いえ」

オタク「仕事もして家事もしてって……大変だろ?」

ヒロイン「でも、貴方が手伝ってくれますから」

オタク「そう……?」

ヒロイン「はい」

オタク(なんだか嬉しいな……この子とずっと一緒に―――)

ピリリリ

オタク「あ、ごめん。メールだ」

ヒロイン「……」

少女『あと二時間でアニメ、はじまりますよぉー』

オタク「あ……」

ヒロイン「どうかされましたか?」

オタク「い、いや、なんでもないよ!!」

オタク「返信だけさせて」

ヒロイン「はい。どうぞ」

オタク「えーと……」ポチポチ

オタク『楽しみでござるなwwwwwwwwww』

オタク「よしっと……」

ヒロイン「……っ」ピクッ

オタク「あ、もう先に寝てもいいよ。俺、今日はアニメをみてからねるから、ふひっ」

ヒロイン「……ご一緒してもいいですか?」

オタク「え!?」

ヒロイン「どうして驚くんですか?」

オタク「いや……アニメとか興味ないのかなぁって」

ヒロイン「もしかして……お一人で見たいとか?」

オタク「いいや、一緒に見れるならみよう!!」

ヒロイン「はいっ!」

オタク(メールするぐらいなら別にいいよな……)

深夜1時

ヒロイン「始まりましたね」

オタク「うん。……あ」

少女『きましたぁー!!』

オタク『神作画だぁー』

ヒロイン「あの」

オタク「え?」

ヒロイン「集中してなくてもいいんですか?」

オタク「ほら、録画もしてるから」

ヒロイン「なるほど」

少女『このOP、何回みてもいいですよねー。マジ、トリハダですよぉー』

オタク『そうだな。これは今期一番だな!!』

ヒロイン「……」ジトーッ

オタク「な、なに?」

ヒロイン「いえ。別に」

30分後

ヒロイン「これは……一話から見たいですね」

オタク「そ、そう?じゃあ、暇なときでも録画してある奴をみるといいよ」

ヒロイン「はい!ありがとうございます!」

少女『おつかれまでしたぁー』

オタク『おつかれー』

ヒロイン「さて、もう寝ましょうか」

オタク「うん」

ヒロイン「おやすみなさい」

オタク「おやすみ……」

オタク(なんだが嬉しいな……こんな生活がずっと続くのか……)

オタク(本当にギャルゲみたいだな)

オタク「フヒヒヒ……」

ヒロイン「キモイですから、笑わないでください」

オタク「……はい」

―――7日目

オタク「―――ごふぅ!!いい加減に!!」

シスター「……どうも」

オタク「うわぁぁ!!!」

妹「今日はどうしても変わって欲しいっていうから」

シスター「いつまでも同じ人では飽きると思いまして」

オタク「あ、そう……?」

姉「今日は休みなんでしょ?」

オタク「うん」

お嬢様「では、デートでもしませんこと?」

オタク「で、ででデート!?」

ヒロイン「いいですね、誰と行きます?」

オタク「えーっと……勿論……君と」

ヒロイン「……嬉しいです」

お嬢様「この部屋、あついですわ。冷房つよめてくださいな」

ヒロイン「では、行ってきます」

お嬢様「楽しんできてらっしゃい」

妹「お土産よろしくね」

姉「がんばれよぉ」

シスター「神のご加護を……」

オタク「じゃ、じゃあ……」

ヒロイン「どこにいきましょうか?」

オタク「ど、どこに行きたい?」

ヒロイン「そうですね……」

ピリリリリ

オタク「あ、ごめん」

ヒロイン「……」

オタク「あ……」

少女『今日の夜、テレビの前で待機ですよぉー?』

オタク『おっけーだおwwwwwwwww』



オタク「ふ、服とかみる?」

ヒロイン「……」

オタク「ねえ?」

ヒロイン「……」

オタク「な、なんで無視するの?」

ヒロイン「別に無視なんてしてません」

オタク「だって……」

ヒロイン「どこに連れて行ってくれるんですか?」

オタク「ど、どこにいきたい?」

ヒロイン「どこでもいいです」

オタク「な、なんだよ……そんな言い方されると困るだろ……」

ヒロイン「……もういいです。向こうのデパートにでも行きましょう」

オタク「う、うん……」

ヒロイン「ふん……」

デパート内

オタク「……」

ヒロイン「……」

オタク「あの……なにか見たいものとか……ないの?」

ヒロイン「ありません……」

オタク「そうなんだ……」

ヒロイン「……」

オタク「……」

ヒロイン「……喉が渇きました」

オタク「じゃ、喫茶店にいこう!!」

ヒロイン「はい……」

オタク「確か、上の階にあったと思う!!」

ヒロイン「……」

オタク「うん、ある。行こう」

ヒロイン「はい……」

喫茶店

オタク「す、すきなののんでいいよ」

ヒロイン「では―――」

ピリリリ

オタク「お……?」

ヒロイン「……っ」

少女『今日、深夜三時からもアニメあるんですけどぉ、みますぅー?』

オタク『みるみるーwwwww』

オタク「あ、きまった?」

ヒロイン「……ひどい」

オタク「え……?」

ヒロイン「帰ります」

オタク「ちょっと!!どうしたんだ!?」

ヒロイン「……」ウルウル

オタク「え……?」

ヒロイン「どうして……いつも私を選ぶんですか?」

オタク「あ……の……?」

ヒロイン「もう……やめてください……」

オタク「え……と……」

ヒロイン「私……貴方のこと……好きになれると思ったのに……」

オタク「……」

ヒロイン「もう帰ります……それじゃあ……」

オタク「あ……」

ヒロイン「……」スタスタ

オタク「……なんだよ」

ピリリリ

オタク「……?」

少女『先輩!今、ギャルゲやっててヒロインを追うか追わないかの選択肢でてるんですけどぉー、普通はヒロインを追いますよね?』

オタク「……」

オタク『よくわかんないけど、追わないのも面白いんじゃないの?』

自宅

オタク「ただいま―――」

保険医「お帰りなさい」

オタク「え……?」

保険医「どうも。7日目にしてゲームオーバーになったようね」

オタク「な、なにが……?」

保険医「最後の選択肢はないと思うわ」

オタク「は?」

保険医「最初からやるならエンターキーを、もうやめるならその他のキーを押してね」

オタク「貴女は……?」

保険医「バッドエンド後に出てくるアドバイスキャラよ。ちなみに私は攻略できないからね」

オタク「ほかの……みんなは?」

保険医「だから、もう一度会いたかったら、エンターキーを押すの」

オタク「……」

保険医「あと、これからはこまめなセーブを推奨するわ。セーブするときは夜の相手にその旨を伝えるだけでいいから」

オタク「……じゃあ。続ける」

保険医「じゃあ、もう私と会わないようにしてね?」

オタク「あの……」

保険医「なに?」

オタク「どうしてバッドエンドに……?」

保険医「それは自分で考えなさい」

オタク「……」

保険医「このゲームは真剣恋愛なんだから」

オタク「わかりました……」

保険医「では、アディオス!!」

オタク「あ……」

オタク「……夜の相手はずっと同じにしてたのに」

オタク「選択肢とかいつ出たかわかんないじゃ……難しいだろ……常識的に……」

オタク「はぁ……これからどうな―――」

ヒロイン「どうもー!こんにちはー!!」

オタク「わぁ!?」

お嬢様「二週目ですわね」

姉「今回は私でしょうね」

妹「二週目はロリヒロインって相場が決まってると思うんだけど」

シスター「神の導きのままに」

オタク「あの……」

ヒロイン「……」

オタク「えっと……」

ヒロイン「今度、私を選ぶなら……その……私だけを見てください」

オタク「……!!」

ヒロイン「……」

お嬢様「そういうこといってもいいですの?」

妹「じゃあ、私だけをみてほしいなー、おにーちゃーん!!」

姉「なにをぉ!!次はわたしだぁ!!」

シスター「御心のままに……私だけを……」

午後11時

ヒロイン「お茶をお入れしますね」

オタク「うん」

ヒロイン「どうぞ……」

オタク「ありがとう」

ヒロイン「……」

オタク「……」

ヒロイン「アニメはご覧になるのですか?」

オタク「ううん……みない」

ヒロイン「そうですか」

オタク「うん……俺、君だけを見ることにした」

ヒロイン「……!!」

オタク「またゼロからなんだろうけど……俺……がんばるから」

ヒロイン「はい……」

オタク「ごめん……。あと、よろしく」

深夜1時

ピリリリ

ヒロイン「……電話がなってますよ?」

オタク「……いいよ」

ヒロイン「……」

オタク「……もう君だけを見るから」

ヒロイン「うれしい……」

オタク「……」

ピリリリ

ピリリ……

オタク「……」

少女『はじまりましたよぉー!!』

オタク「……」

オタク(ごめん……)

翌朝 ゲームセンター

オタク「おはようございます」

少女「あ、先輩。おはようございまーす」

オタク「あ、昨日は……」

少女「すいません。深夜に実況メールとか迷惑ですよね。もうやめます」

オタク「うん……ごめん」

少女「いえいえ」

オタク「でも、実況はできなくてもここで話せるし」

少女「それもそうですね」

オタク「じゃあ、開店準備はじめようか」

少女「はぁーい」

オタク「昨日はよかったの?」

少女「うーん……作画がちょっと残念でしたね。でも、面白いことにはかわりないですよ」

オタク「そうか」

―――7日後

オタク「―――がはぁ!!もう毎朝やめ―――」

ヒロイン「おはようございます♪」

オタク「なんでぇ!?」

妹「代わってほしいって」

ヒロイン「おきてください。起きないと……キスしちゃいますよ?」

オタク「いや……あの……」

ヒロイン「んー……」

お嬢様「こら!!貴女が上に乗っているからどうしたって起きれませんわ!!!」

姉「そうだぞ」

シスター「……さむ」

ヒロイン「あ、すいません。なれてなくて」

オタク「べ、べつにいいけど……」

ヒロイン「ほら、おきてください」

オタク「う、うん……」

姉「今日はおやすみ?」

オタク「うん……」

妹「じゃあ、恒例の―――」

シスター「逢引き」

お嬢様「ま、選ばれる相手は決まっていますが」

ヒロイン「や、やめてください……」

オタク「い、いってくれる?」

ヒロイン「はい……」

オタク「……」

ヒロイン「……」

お嬢様「全くもう……三週目に期待ですわ」

姉「お前は無理だとおもうけどぉ?」

お嬢様「私を最後にもってきてもなんのとくにもなりませんわ!!!」

妹「お土産よろしくねー」

シスター「アーメン」



オタク「えっと……どこに行こうか?」

ヒロイン「あ、あなたとなら……どこでもいいですよ?」

オタク「そ、そうなの……?」

ヒロイン「はい……」

オタク「うぅ……」

ヒロイン「……」モジモジ

オタク「じゃあ……あの……」

ヒロイン「はい」

オタク「まずはお、お茶にしようか」

ヒロイン「はいっ」

オタク(先週とは全然違うなぁ……)

オタク(このままいけば……)

オタク「デュフフフ……」

ヒロイン「あの……そういう笑い方は控えたほうが……」

ゲームセンター

ヒロイン「あー……とれませんでした」

オタク「よし、俺がやるよ」

ヒロイン「お願いします!」

オタク「UFOキャッチャーは……こうやって……」

ウィーン……

ヒロイン「お……お……」

オタク「ここだ」

ウィーン……

ヒロイン「すごい!すごい!!」

オタク「……はい」

ヒロイン「いいんですか?!」

オタク「そのぬいぐるみ、欲しかったんでしょ?」

ヒロイン「大切にしますねっ!」

オタク「うん」

ヒロイン「かわいいなぁ……」

オタク「き、きみのほうが……その……」

少女「せんぱいだぁ」

オタク「え!?」

ヒロイン「あ……」

少女「こんにちは!」

オタク「あ、うん」

少女「……彼女さん?」

ヒロイン「え!?」

オタク「あ、いや……そういう関係じゃ……まだない、よな?」

ヒロイン「え、ええ。はい!」

少女「そうですか」

ヒロイン「……」

少女「……」

オタク「あの……」

少女「あれ?貴女……どこかで……?」

ヒロイン「え?」

少女「んー……前、同人ショップで……」

ヒロイン「きゃぁぁぁ!!!!!」

オタク「え?同人ショップ?」

少女「はい。えっと……」

ヒロイン「やめてください!!」

少女「なんですか?確か……あのときは同人誌を―――」

ヒロイン「いきましょう!!」

オタク「え?」

ヒロイン「はやく!!」

オタク「あ、うん」

少女「さよーならー」

ヒロイン「はぁ……はぁ……」

オタク(同人ショップでなにしてたんだろう……?)

公園

ヒロイン「はぁ……」

オタク「はい、お茶」

ヒロイン「すいません……」

オタク「気になってたんだけど……いいかな?」

ヒロイン「わかってます……」

オタク「……言いたくないならいいんだけど」

ヒロイン「いえ……もう黙っておくほうも辛いですから」

オタク「そう?」

ヒロイン「私……その……同人ショップでアルバイトをしながら……」

オタク「うん」

ヒロイン「同人誌も描いていて……」

オタク「え?」

ヒロイン「実は……あの……アニメとか……大好きなんで……す……」

オタク「……」

オタク「そ、そうなんだ……」

オタク(キャラ説明にそんなのなかったけど……)

ヒロイン「ごめんなさい……なんだが……はずかしくて……」

オタク「それはいいだけど……同人誌はどこで?」

ヒロイン「その……バイトの人と共同で……アトリエ的な……場所を借りて……」

オタク「本格的だな……」

ヒロイン「すいません……隠していて……」

オタク「言ってくれればよかったのに」

ヒロイン「だって……気持ち悪くないですか?」

オタク「俺がそんなの気にするように見える?」

ヒロイン「見えません……」

オタク「だろ?」

ヒロイン「はい……」

オタク「ところで、その同人誌……見れたりする?」

ヒロイン「えと……まだ、完成してませんけど……いいですか?」

アトリエ

ヒロイン「どうぞ」

オタク「おじゃましまーす……」

ヒロイン「これが、原稿です」

オタク「……ぶっ!!」

ヒロイン「……」

オタク(十八禁……じゃないか……!!エッチなの嫌いなんじゃ……?)

ヒロイン「どうしました?」

オタク「いや、なんでもないよ……」

ヒロイン「あの、もういいですか?」

オタク「あ、ごめん。ありがとう」

ヒロイン「ふぅ……なんか自分の作品を人に見せるのってドキドキしますね」

オタク「そ、そうなんだ……」

ヒロイン「あの……もしかして……ひいてます?」

オタク「ううん!!なんかすごく意外だっただけで!!」

自宅

オタク「楽しかった」

ヒロイン「そうですね。ただい―――」

妹「ぎゃーす!!!」

シスター「ハァハァ……」

姉「やめろー!!!」

お嬢様「よくってよ!!よくってよ!!」

オタク「またか!!」

妹「助けて……おにいちゃぁん……!!」

オタク「はなれろ!!」

シスター「神はそこにいます」

姉「くそ……大丈夫か?」

妹「うえぇぇん……」

ヒロイン「あまり苛めないほうが……」

シスター「申し訳ありません。魔が差しました」

午後11時

ヒロイン「今日は本当に楽しかったです」

オタク「俺もだ」

ヒロイン「ふふ……」

オタク「あ、そうだ。今日のこと記録しておいてくれないか?」

ヒロイン「はい」

オタク「さてと……もう寝ようかなぁ」

ヒロイン「そうですね」

オタク「あ、そうだ」

オタク「……」ペラッ

オタク「あの」

ヒロイン「はい?」

オタク「ここに書いてあるのって……君のことでいいんだよな?」

ヒロイン「えーと……?」

オタク「……」

ヒロイン「……?」

オタク「どうした?」

ヒロイン「あの……誕生日とか……全然違うんですけど……」

オタク「え……?」

ヒロイン「……」

オタク「これ……君のことじゃないのか?」

ヒロイン「多分……というか……私のこと紹介しているページがないですね……」

オタク「なんで……?」

ヒロイン「わかりません……」

オタク「……」

ヒロイン「……でも、それほど深刻になることはないとおもいます」

オタク「でも……」

ヒロイン「だって、私はちゃんとここにいるんですから」

オタク「……」

ヒロイン「さ、もう寝ましょう?」

8日目

オタク「ん……?」

保険医「どうも」

オタク「え……?」

保険医「ゲームオーバーね」

オタク「なんで……?」

保険医「7日目を超えるだけの好感度が足りないのよ」

オタク「ちょっと待ってくれよ……今度は……!!」

保険医「……」

オタク「なんで……」

保険医「うーん……じゃあ、ヒントあげるわ」

オタク「え?」

保険医「あの子はメインヒロインだけど、簡単には攻略できないのよね」

オタク「簡単には……?」

保険医「うん。これはギャルゲだけどリアル恋愛。女の子の台詞を鵜呑みにしてたら、即バッドエンドよ?」

オタク「じゃあ……この説明書は?」

保険医「キャラクター説明の欄はあまり信じないほうがいいわよ?」

オタク「なんでそんなのいれてんだよ……」

保険医「女の子のプロフィールなんて偽りだらけだもの」

オタク「……」

保険医「さて、三週目をするか、それともセーブポイントに戻るか、あるいは諦めるか」

オタク「もちろん……やる」

保険医「がんばってね」

オタク「……」

保険医「他に訊きたい事、ある?」

オタク「いや……ない」

保険医「では、がんばって。サイチェン!!」

オタク「……」

オタク「よし……」

ヒロイン「どうもー!!こんにちはー!!」

―――1日目 夜

オタク「はぁ……また最初からだな」

ヒロイン「ですね」

オタク「……」

ヒロイン「……」

オタク「でも、そのぬいぐるみは残るんだ」

ヒロイン「はい……これは現実に取ったものですから」

オタク「そう……」

ヒロイン「あの……」

オタク「ん?」

ヒロイン「……私はその……貴方のことを好きになれます」

オタク「え……」

ヒロイン「だから……好きでいてください」

オタク「うん……」

ヒロイン「……おやすみなさい」

―――2日目 夜

オタク「初めて……だな」

お嬢様「そそそそ、そうですわね……」

オタク「何か……飲む?」

お嬢様「こ、紅茶をもらおうかしら?」

オタク「わかった」

お嬢様「そそ、それで……この私を選んだ理由はなんですの?」

オタク「いや……君のこと何もしらないなぁって思って」

お嬢様「え?」

オタク「もしかしたら……俺、あの子にずっと嫌われてたんじゃないかって思った」

お嬢様「……」

オタク「だって……みんな記憶を共有してるんだもんな。一人が嫌な思いしたら……みんな嫌な思いするんじゃないのか?」

お嬢様「それは……」

オタク「一人が上がれば一人が下がる好感度システムじゃなくて……みんなで共有してるんじゃないかなって……」

お嬢様「そんなの……いえませんわ……」

オタク「はい……紅茶」

お嬢様「どうも」

オタク「……」

お嬢様「……それで、なにか話しませんこと?」

オタク「そうだなぁ……花屋のバイトってどうなんだ?」

お嬢様「楽しいですわ。土とか運ぶのはちょっと腰にきますけど」

オタク「楽そうなイメージがあるけどなぁ」

お嬢様「まったく。これだから素人はこまりますわ」

オタク「ごめん」

お嬢様「いいですか。花というのは土からなのですわ。土が駄目だと花も咲きません」

オタク「うんうん」

お嬢様「土を愛でることができないと、花は応えてくれませんわ」

オタク「なるほどねえ」

お嬢様「今度、ガーデニングも教えて差し上げますわ!!」

オタク「それいいな。楽しみにしてる」

―――3日目 夜

姉「あーそこそこ」

オタク「こうか……?」

姉「んー、いいよー。そのまま揉んで」

オタク「……」

姉「ん……きもちいい……」

オタク「凝ってるな、肩」

姉「メイドも楽じゃないわよねー」

オタク「そうか」

姉「いやほんと、たまには思い切り殴りたくなる客もいるんだけどね」

オタク「どんな客?」

姉「写真はだめだっていってるのに隠し撮りしようとしてくるやつとかぁ」

オタク「それはだめだな」

姉「ツンデレを強要してくる奴とか」

オタク「うわぁ……ひどいな」

姉「ていうか、ツンデレとか良くわかんないんだけど」

オタク「あ、これ見る?」

姉「なになに……アニメ?」

オタク「これに全てが詰まってるから」

姉「どれどれ……?」

テレビ『―――べ、別にあんたのことなんて全然すきじゃないんだからね!!』

姉「うわ、主人公ふれたよ?」

オタク「違うよ。これは本当は好きだけど、素直になれない子ってことなんだ」

姉「はぁ?」

オタク「わからない?」

姉「うーん……ちょっと、足も揉みなさいよ」

オタク「え?」

姉「か、勘違いしないでよ?貴方しかいないから貴方に頼んでるだけなんだからねっ!!」

オタク「フヒヒwwwwwwwwwwwwwww任せるでござるwwwwwwwwwwコポォwwwwwwww」

姉「こんな感じかぁ。なるほど。また、教えてよね」

―――4日目 夜

妹「おにーちゃーん」

オタク「んー?」

妹「お風呂、一緒にはいるー?」

オタク「それはだめだろー」

妹「じゃあ、トイレ?」

オタク「それはもっとだめだろー」

妹「なんでー?」

オタク「なんでもー」

妹「このゲームの登場キャラクターは全員18歳以上です」

オタク「うそだー」

妹「でも設定では私、アルバイトもできないんだよ?」

オタク「不思議だな」

妹「だよねー」

妹「ふわぁぁ……ねむい……」

オタク「じゃあ、もう寝るか」

妹「でも……もう少し……」

オタク「どうして?」

妹「だって……やっとお兄ちゃんと二人になれたんだもん」

オタク「そっか……今までごめんな」

妹「許してあげない」

オタク「えぇ……」

妹「もっと夜更かしさせてくれたら、許す」

オタク「よし。夜更かししよう」

妹「わーい」

オタク「じゃあ、ゲームでも……あ」

妹「すぅ……すぅ……」

オタク「……おやすみ」

妹「おにいちゃぁん……だいすき……すぅ……すぅ……」

―――5日目 夜

シスター「やっとですか。待ちくたびれて神も冬眠を始めましたよ」

オタク「はい。すいません」

シスター「いいですか。古来より神は人の行いを―――」

オタク「あの」

シスター「はい」

オタク「……こたつから出てきてくれません?」

シスター「私に死ねと?」

オタク「言ってません」

シスター「仕方ありませんね……」モゾモゾ

オタク「猫舌で寒がりで……狂信者で……大変ですね」

シスター「全くです。まぁ、色物は必要ですからね」

オタク「色物……」

シスター「それで、今宵はどんな話をしますか?」

オタク「そうだなぁ……君の信じる神様ってどんなの?」

シスター「え?」

オタク「いや、いつも神がどうのこうのって言ってるから」

シスター「あー……それはー……そのー……」

オタク「……?」

シスター「あれですよ……エロス」

オタク「なるほど……似非信仰者?」

シスター「失礼な!!」

オタク「そもそも聖書ももってないですもんね」

シスター「いや、あれは宗教上の理由で……」

オタク「あはは」

シスター「マスター!!失礼ですよ!!」

オタク「ごめん。それじゃあ、今度教会に行ってみますか?」

シスター「……そうですね。本物を知らないとなんとも」

オタク「やっぱり」

シスター「あーもう!!約束ですからね!!」

―――5日目 ゲームセンター 休憩室

オタク「朝、みてきたよ」

少女「すごかったですよぉ!!とくに、あのドリル!!」

オタク「ああ!!いいよなぁ!!」

少女「こう!ガッキーン!!ときて、ギュルルルル!!ドカーン!!ってとこが最高にしびれました!!」

オタク「そこにすかさず、敵勢力が!!」

少女「―――ついにこのときがきたな!!」

オタク「ふん。貴様の退路は既にないぞ!!」

少女「だまれ!!俺を誰だとおもっていやがる!!」

オタク「……」

少女「……」

オタク「かっこいいなぁ」

少女「ほれますねぇ……」

オタク「そろそろ休憩終わりか」

少女「また、話しましょうね?」

自宅 夜

ヒロイン「お茶、いれますね」

オタク「ありがとう」

ヒロイン「どうぞ」

オタク「うん……」

ヒロイン「……」

オタク「ぬいぐるみ……」

ヒロイン「え?」

オタク「ずっと抱きしめてるな」

ヒロイン「触り心地がよくて……」

オタク「そうなんだ」

ヒロイン「はい」

オタク「俺にも触らせて」

ヒロイン「どうぞ」

オタク「お……本当だ……」

ヒロイン「……」

オタク「……」

ヒロイン「あのぉ……」

オタク「え?」

ヒロイン「明後日のご予定なんかは……?」

オタク「えっと……デートしよう」

ヒロイン「はい」

オタク「……と思ったけど。みんなででかけないか?」

ヒロイン「みんな……?」

オタク「うん。教会に行ったり、ガーデニングを教わったり……したいことがいっぱいあるから」

ヒロイン「……」

オタク「だ、だめ?」

ヒロイン「いいですよ。いきましょう!」

オタク「うん」

ヒロイン「楽しみですね。きっとみんなも喜びますよ」

―――6日目 ゲームセンター 休憩室

少女「せーんぱい!」

オタク「どうした?なんかすごく機嫌よさそうだけど」

少女「明日、暇ですか?」

オタク「明日は……ごめん。用事が」

少女「あの彼女さんですかぁ?」

オタク「う、うん……そんなところ」

少女「じゃあ、みなさんも一緒に」

オタク「え……?」

少女「いけませんか?」

オタク「君がいいなら……」

少女「やったぁ!実は見たい映画があるんですよぉ。アニメなんですけどね」

オタク「あ、それ、あれか?」

少女「そうあれです!!」

オタク「それなら……帰って相談してみないと……」

自宅

お嬢様「映画?」

姉「いいじゃん、いこうよ」

妹「なんの映画なの?」

オタク「これ」

シスター「ほお……ブッタですか」

オタク「違う」

ヒロイン「今、話題になっているアニメ映画ですね」

オタク「どう?」

姉「ツンデレいるの?」

オタク「いると思う」

姉「オッケー。いくいく」

お嬢様「ちょっと、ガーデニングはどうするんですの?!」

オタク「もちろんそれもやる。明日は一日、フルに使おう」

シスター「なるほど。では、教会でガーデニングしながら映画鑑賞ですか」

―――7日目 朝

オタク「―――ぎゃぁああああ!!!!ごぶぅぅ!!!!」

オタク「はっ!??」

ヒロイン「あ、起きましたよ?」

お嬢様「ほら、早く支度を始めなさい」

姉「みんなに乗られた気分はどうだ?」

妹「お兄ちゃんの顔色、やばいよ?」

シスター「五人ものれば軽く五百キロ……」

ヒロイン「そんなに重くありません!!」

オタク「い……いいから……どけ……!!しぬ、しぬから……」

お嬢様「ほらほら、みなさんおりなさい」

姉「へいへいーい」

妹「あはっ」

ヒロイン「今日はデートですよ、デート」

オタク「うん……そうだな……」

駅前

少女「あ、みなさーん!!こっちでーす!!」

ヒロイン「……おまたせしました」

お嬢様「ふん。このボケが寝坊したんですわ」

オタク「あのなぁ……」

姉「始めまして、だな」

少女「そうですね」

妹「よろしくね」

シスター「神のご加護を」

少女「さて、行きましょうか」

ヒロイン「映画館は電車で?」

少女「はい」

オタク「本当によかったのか?こんな大勢で」

少女「みなさんと一緒って楽しいじゃないですか」

オタク「そうか……?」

電車内

妹「あ、あれテレビでみたことあるあるー」

シスター「ふっ……電車内では静かに」

姉「へー、あんたもアニメすきなのかぁ」

少女「ええ」

姉「ツンデレってわかるよね?どんな感じ?」

少女「うるさい」

姉「!?」

少女「あ、あなたの声……ほんとうに……うるさいから……黙ってて……」モジモジ

姉「なるほど……」

お嬢様「トモヒロ、私の切符をもっていなさい」

オタク「そろそろちゃんと名前で呼ぼうよ」

ヒロイン「楽しみですね」

オタク「そうだなぁ」

映画館

少女「じゃ、入りましょうか」

ヒロイン「はい」

妹「お兄ちゃん、トイレー!」

オタク「はいはい」

姉「ポップコーンは何個まで買ってもいいの?」

オタク「一個!!」

姉「一人一個だって」

お嬢様「特大のやつをくださいな」

シスター「食べきれず、マスターの胃へ5割以上いくに4ペリカ」

姉「7割はいくだろうな」

ヒロイン「食べられる量にしましょうよ!」

少女「あはは……」

ヒロイン「もう……」

上映後 喫茶店

妹「えぐ……えぐ……」ポロポロ

姉「いやぁ……アニメっていいなぁ」

お嬢様「ふん……どこが」

少女「目、真っ赤ですよ?」

シスター「今日この日、あの作品に出会えたことを神に感謝……」

ヒロイン「本当に感動しました」

オタク「そうだなぁ」

ヒロイン「……」

少女「……」

オタク「どうしたの、二人とも」

ヒロイン「いえ」

少女「先輩、このあとはどうするんです?」

ヒロイン「えっと……教会に行ってからガーデニングを……」

少女「楽しそう!!私も一緒にいきます!!」

教会

シスター「すごーい!!ステンドガラスかっこいー!!」

妹「オルガンだぁ」

姉「えーと……誓いのキスを」

お嬢様「んー……」

オタク「やめて!!!」

ヒロイン「……」

少女「やっと……みなさんに会えた……」

ヒロイン「貴女……」

少女「立場上、こうして貴女たちと遊ぶのは駄目なんですけど……貴女の所為ですよ?」

ヒロイン「……」

少女「本当なら私は……先輩を現実に帰してあげないといけないのに……」

ヒロイン「ごめんなさい」

少女「あと7日……ですね」

ヒロイン「はい……」

夕方 駅前

少女「では、これで」

ヒロイン「はい」

お嬢様「それでは」

姉「またねー!!」

妹「ばいばーい!!」

シスター「神のご加護があらんことを……アーメン」

オタク「……」

少女「なにか?」

オタク「ううん、また明日」

少女「はい」

ヒロイン「さて、夕食を買って帰りましょう!!」

妹「今日はスパゲッティがいい!!」

姉「ペペロンがいいね!!」

ヒロイン「ペペロンですね。了解です」

自宅 午後11時

オタク「この時間が来たか……」

お嬢様「ちょっと」

オタク「ん?」

お嬢様「なんで私ですの?」

オタク「だめだった?」

お嬢様「だ、だめとかそういうことでは……」

オタク「聞きたいことがあって」

お嬢様「なんですの?」

オタク「シークレットキャラって、もう出てきてたりするの?」

お嬢様「どうして……」

オタク「いや……気になって」

お嬢様「出てきてるんじゃありませんか?」

オタク「それって、もう出会ってる?」

お嬢様「恐らく」

オタク「そっか」

お嬢様「……」

オタク「ごめん。それだけ」

お嬢様「んま!!私を選んだのはシステムの説明をさせるためだけですの!?」

オタク「あ、紅茶か」

お嬢様「こら!!」

オタク「はい」

お嬢様「……あら、おいしい」

オタク「何回も淹れさせられてると上手くなるもんだな」

お嬢様「い、いや……まだまだですわっ!!」

オタク「あ、そうなんだ」

お嬢様「ふん……」

オタク「明日か……明日は来るかな……」

お嬢様「……大丈夫ですわ」

オタク「……ありがとう」

―――8日目

オタク「―――ごふぅ!!!」

ヒロイン「あ、どうも」

オタク「おぉ……?」

姉「早くおきなよ」

お嬢様「そうですわっ!」

シスター「さむ……」

オタク「とりあえず……どいて」

ヒロイン「はい」

オタク「はぁ……びっくりした」

ヒロイン「顔を洗ってくださいね」

オタク「うん」

オタク(ついに8日目か)

オタク「……?」

ヒロイン「さ、今日も一日がんばりましょう!!」

ゲームセンター

オタク「おはようございます」

店長「おはよう」

少女「おはようございます、先輩!」

オタク「……」

少女「なんですか?」

オタク「ううん、なんでもないよ」

少女「そうですか」

オタク「……」

店長「じゃ、みせあけるよー」

少女「はぁーい」

オタク「はい」

少女「先輩、昨日のあれ見ました?」

オタク「まだ見てない。今日みるよ」

少女「もうすごかったですよぉ!」

自宅

オタク「ただいま」

シスター「おかえりんこ」

オタク「あれ……?」

シスター「なにか?」

オタク「……なんか。違和感があるんだけど」

シスター「はい?」

オタク「えーと……なんだろう……」

シスター「どうしたのですか?」

オタク「なんか気持ち悪い……」

シスター「薬草でも飲みます?」

オタク「そういうことじゃない」

シスター「変なマスターですね」

オタク(なんか忘れてるような気がするんだけど……)

午後8時

姉「でぇぇい!!これだぁぁ!!」

シスター「ダウト」

姉「なんでばれた!?」

お嬢様「顔に出すぎですわ」

姉「マジか……」

ヒロイン「あ、そろそろ」

オタク「そうだな……今日は君で」

ヒロイン「はい」

お嬢様「では寝ますわね」

姉「はぁー、明日もしごとかぁー」

シスター「淫猥」

姉「ほかにいうことないのか、このニート!!」

ヒロイン「ふふ……」

オタク「……?」

午後11時

ヒロイン「そろそろおやすみになりますか?」

オタク「うん……」

ヒロイン「どうかしました?」

オタク「なんか……足りない気がするんだ」

ヒロイン「え?」

オタク「なんだろう……よくわかんないだけど」

ヒロイン「気のせいだと思います」

オタク「そう……かな?」

ヒロイン「はい」

オタク「確かに何も思い当たらないんだよなぁ……」

ヒロイン「……」

オタク「何か言った?」

ヒロイン「いえ。なにも」

オタク「まぁいいや。寝よう。おやすみ」

―――9日目

オタク「ごぶぅ!!」

ヒロイン「はい。今日も早いお目覚めです」

オタク「そうだな」

お嬢様「ふぅ……コーヒーが冷めますわよ」

オタク「はいはい」

姉「ふわぁ……マジねむい……」

ヒロイン「どうぞ」

姉「どうも」

オタク「……?」

姉「今日のニュースはなーにかなぁー」

お嬢様「うお座はビリでしたわ」

姉「マジ?」

オタク「……」

ヒロイン「いただきます」

ゲームセンター 休憩室

オタク「あはは、そうそう!」

少女「やっぱり、あそこのカットはこう斜めからザンッ!って感じですよね!!」

オタク「うんうん」

少女「そうだ。今度、スペシャルやるんですよ!!」

オタク「え?本当に?!」

少女「はい!二時間ですよ」

オタク「それはいいこと聞いたな」

少女「みなさんと見てください、是非是非」

オタク「ああ、そうだな。特に―――」

少女「先輩?」

オタク「あれ……?なんだっけ。映画見てすごい泣いてる子がいたような気がするんだけど……」

少女「……」

オタク「気のせいかな」

少女「じゃないですかね?」

自宅

オタク「ただいま」

姉「よう!」

オタク「……」

姉「どうした?」

オタク「いや……なんだろう。昨日もなんだけど、なんか忘れてる気がして」

姉「そんなことないって」

オタク「そうかな……?」

姉「それより、おやつあるんだ。食べようぜ」

オタク「いいの?!」

姉「私のおごりだ!」

オタク「ありがとう!」

姉「最後ぐらいはな」

オタク「最後……?」

姉「最後のおごりだ。もうお前には絶対に奢らない!」

午後11時

ヒロイン「おやすみなさい」

オタク「なぁ」

ヒロイン「はい?」

オタク「やっぱり……なんか変なんだけど……」

ヒロイン「なにがですか?」

オタク「どうしても……なにかがひっかかる」

ヒロイン「なにかとは?」

オタク「それが良くわかんない」

ヒロイン「……」

オタク「なんだろう……ほんとに……」

ヒロイン「疲れてるんですよ」

オタク「そうなのかなぁ……?」

ヒロイン「はい」

オタク「……おやすみ」

―――10日目

ヒロイン「―――あさですよー」

オタク「ん……あ、おはよう」

ヒロイン「はい。もう朝食もできてますよ」

オタク「そうか」

お嬢様「全く。毎朝よくもまあ、懲りないですわね」

オタク「うるさいなぁ」

お嬢様「そんなことでは先が思いやられますわ」

オタク「あぁ?」

ヒロイン「喧嘩は駄目です」

お嬢様「では、頂きます」

オタク「頂きます」

ヒロイン「……はい、召し上がれ」

オタク「うん……美味しいよ」

ヒロイン「ありがとうございます」

ゲームセンター 休憩室

オタク「ふぅ……」

少女「あ、先輩だぁ」

オタク「よう」

少女「彼女さんとはうまくいってますぅ?」

オタク「いや……それは……」

少女「照れちゃってかわいい」

オタク「……」

少女「どうしたんですか?」

オタク「あのさ……映画、見に行ったよな?」

少女「ええ」

オタク「そのとき……何人いたっけ?」

少女「えーと……先輩と私と……彼女さんが二人」

オタク「そうか……やっぱり気のせいか……」

少女「……」

自宅

オタク「ただいま」

お嬢様「おかりなさい」

オタク「……」

お嬢様「ヨシヒコ。ほら、こっちにきて肩を揉みなさい」

オタク「はいはい。ヨシヒコじゃないけど」

お嬢様「はやくする」

オタク「わかってるよ」

お嬢様「そうですわ……きもちいいですわ」

オタク「そうか」

お嬢様「……ほんとうに……」

オタク「こってるなぁ。花屋さんはこんなにも凝るのか」

お嬢様「……」

オタク「どうした?」

お嬢様「なんでもありませんわ……」

午後11時

お嬢様「……どうして私を?」

オタク「あの……このギャルゲって最後はどうなるのかなって」

お嬢様「また説明のために借り出されたわけですわね。メインヒロインに聞けばいいものを」

オタク「いやぁ。なんか聞きにくくて」

お嬢様「ゲームのENDは大きくわけで四種類ありますわ」

オタク「四種類?」

お嬢様「途中で終わるバッドエンド。何事もなく14日目が終了するノーマルエンド」

オタク「うん」

お嬢様「そして特定のキャラと結ばれるトゥルーエンド」

オタク「……」

お嬢様「最後がシークレットキャラの好感度を一定以上に保ちつつ、他のヒロインの好感度を高い水準でキープすることによる……」

オタク「ハーレムエンド?」

お嬢様「いえいえ。グランドフィナーレエンドですわ」

オタク「そうか……で、今はどのエンドに向かってるんだ?トゥルー?ノーマル?」

お嬢様「それは……秘密ですわ」

オタク「なんだ」

お嬢様「もうすぐ分かるじゃありませんか」

オタク「それもそうだな」

お嬢様「それだけですの?」

オタク「そうだ。また今度の日曜日、ガーデニングでも教えてくれよ、またみんなで―――」

お嬢様「……」

オタク「あれ……みんなって……俺と君と……」

お嬢様「わかりました。みんなでやりましょう」

オタク「あ、うん……」

お嬢様「それではもう寝ますわよ」

オタク「うん」

お嬢様「おやすみ」

オタク「おやすみ」

お嬢様「……大好きですわ」

―――11日目

オタク「ん……おはよう」

ヒロイン「おはようございます」

オタク「んー!!」

ヒロイン「ごはん、できてますよー」

オタク「ありがとう」

ヒロイン「さ、いただきますをしましょう」

オタク「うん」

ヒロイン「いただきます」

オタク「いただきます」

ヒロイン「……」

オタク「……」

ゲームセンター 休憩室

オタク「……」

少女「せんぱーい」

オタク「え?」

少女「どうしたんですか?」

オタク「あ、ごめん。ちょっと考え事」

少女「恋の悩みですかぁ?」

オタク「どうなんだろう……なんかそういうんじゃない……」

少女「え?」

オタク「……あのさ」

少女「はい」

オタク「映画館に何人でいったっけ?」

少女「三人ですよ?私と先輩と―――」

オタク「……」

少女「先輩……?」

自宅

オタク「ただいま」

ヒロイン「おかえりなさい」

オタク「……」

ヒロイン「どうしたんですか?」

オタク「……なんでも」

ヒロイン「さ、お茶でも飲みましょう?」

オタク「うん」

ヒロイン「すこーし……まっててくださいねえ」

オタク「……」

ヒロイン「はい。どうぞ」

オタク「おいしいな」

ヒロイン「どうも」

午後11時

オタク「今日、アニメあるんだけど、一緒に見る?」

ヒロイン「いいですよ」

オタク「なんか寝たくなくて」

ヒロイン「奇遇ですね。私もです」

オタク「なぁ……」

ヒロイン「はい?」

オタク「一緒にいてくれるよな?」

ヒロイン「はい、勿論です」

オタク「それを聞ければいいんだ」

ヒロイン「……」

オタク「さて、と。後2時間はあるな。どうしようか」

ヒロイン「ふふ……なにします?」

オタク「そうだなぁ……ゲームでもしようか」

ヒロイン「いいですね」

オタク「よし……なにしようかなぁ」

ヒロイン「これがいいです。プヨプヨしたやつ」

オタク「え?いいよ」

ヒロイン「一度、やってみたかったんですよ」

オタク「じゃあ。始めようか」

ヒロイン「はい」

オタク「ふんふーん……あれ?」

ヒロイン「どうしました?」

オタク「変だな……なんかスコアランキングが変わってる……」

ヒロイン「そんなぁ」

オタク「いや。俺、いつもイニシャルで登録してたんだけど……なんかいくつか、意味不明はAAAとかBBBとか」

ヒロイン「……」

オタク「なんだこれ……きもちわり」

ヒロイン「きっと、忘れてるだけですよ」

オタク「そうなのかな」

深夜1時

ヒロイン「はじまりましたよ」

オタク「お!きたきた!!」

ヒロイン「……」

オタク「やっぱ、神OPだな」

ヒロイン「……」

オタク「ん?」

ヒロイン「……」ポロポロ

オタク「え……」

ヒロイン「あ、すいません。感動して涙が……えへへ」

オタク「そ、そう……」

ヒロイン「いつもすいません。ご迷惑ばかりかけてしまって」

オタク「なにいってんだよ。こっちは君たちが―――あれ?君たちって……」

ヒロイン「……すいません」

オタク「……」

―――12日目

オタク「……んー」

オタク「行かなきゃ……」

オタク「……」

オタク「あれ……ごはん……」

オタク「まぁ、いいか」

オタク「いってきまーす」

オタク「……」

オタク「だめだ……すごい気持ち悪い……」

ゲームセンター 休憩室

少女「先輩!!」

オタク「え!?」

少女「どうしたんですか?仕事中もなんか呆けてますし」

オタク「いや……なんか……気が抜けて」

少女「しっかりしてくださいよ」

オタク「ごめん」

少女「……」

オタク「なんだろうなぁ……なんかすごいものを失った気がするんだよなぁ」

少女「気のせいでしょう?」

オタク「そうかなぁ……」

少女「さ、仕事しましょう!」

オタク「うん」

少女「……」

自宅

オタク「ただいま」

―――おかえりなさい

オタク「……」

オタク「気のせいか」

オタク「さてと……」

オタク「あれ……?」

オタク「このぬいぐるみ……なんだっけ?」

オタク「……」ポロポロ

オタク「あれ……涙が……」ゴシゴシ

オタク「なんだろう……これ……どこでとったっけ……?」

オタク「一人でゲームセンターにいって……」

オタク「違う……いた……だれかいたよな……」

オタク「だれだっけ……だれだっけ……」

オタク「……」

―――13日目

少女「せんぱーい!!」

オタク「うわぁ!!」

少女「なにやってるんですかぁ!!」

オタク「え?」

少女「手が止まってますよ」

オタク「あ、ああ」

少女「……」

オタク「……」

少女「あの、あとでお、お話があるんですけど……いいですか?」

オタク「え?」

少女「それじゃあ……」

オタク「はなし……?」

休憩室

少女「あの……好きです!!付き合ってください!!」

オタク「え……」

少女「えっと……その……ずっといいなって……思ってて……」

オタク「おぉ……そうなの……?」

少女「すごい話もあうし……その……」

オタク「……」

少女「だめでしょうか?」

オタク「そ、それは……もちろ―――」

―――好きでいてください

オタク「あ……」

少女「え?」

オタク「駄目だ」

少女「え?!」

オタク「ごめん。俺……多分……他に好きな人がいる……」

オタク「ごめん……本当にごめん……」

少女「そんな……」

オタク「し、仕事にもどるよ……」

少女「あ……」

少女「……どういうことですか?」

保険医「……早すぎたのね」

少女「……やっぱり。欠陥ヒロインだったんですね」

保険医「メインヒロインなのに……全員の好感度を一定以上にキープしないと攻略できない」

保険医「だけど、シークレットキャラの好感度を上げてしまえばグランドフィナーレを迎えて、主人公は現実へと戻る。可愛い彼女というおまけつきで」

少女「早すぎたって……やはり三週目では……」

保険医「普通は飽きるまでするし、そもそもシークレットキャラには気づかない仕様なんだけど……」

少女「あのヒロインの所為ですね……」

保険医「本来なら何週もしてヴァーチャルの恋に冷まさせないといけないのに……彼はまだ彼女を愛している」

少女「どうするんですか。期限は明日ですよ?もし、このままだと」

保険医「彼はこの世界から永遠に出られない。現実に帰れないから」

自宅

オタク「いたはずだ……」

オタク「いたんだ……絶対……いた……」

オタク「いた……俺には好きな人……」

オタク「どこだ……どこだ……」

オタク「探さなきゃ……探さなきゃ……!!」

オタク「このぬいぐるみも……」

オタク「このスコアランキングも……」

オタク「この紅茶の葉も……」

オタク「誰かいたはずだろ……」

オタク「……!!」

オタク「どこかにいるはずだ……!!」

オタク「どこだ……!!」



オタク「はぁ……はぁ……!!」

オタク「……はぁ……はぁ……」

オタク「くそ……顔も思い出せない……なんで……!!」

少女「先輩」

オタク「え……?」

少女「……」

オタク「な、なに……?」

少女「私と付き合ってください……」

オタク「無理だ……」

少女「もう貴方が愛した人は……」

オタク「いる」

少女「……」

オタク「いるよ……間違いなく」

オタク「顔も声も容姿も何も覚えてないけど……間違いなくいるんだ」

少女「……でも!!」

オタク「わからないけど、あの人は俺に好きでいて欲しいって言ってくれた!」

少女「それは……」

オタク「だから……探す……探さなきゃ。俺、まだ好きだってこと言ってない」

少女「まって!!」

オタク「離して」

少女「帰れなくなりますよ?」

オタク「え……?」

少女「ここはヴァーチャルの世界です。私と貴方は今、お見合いの最中なんです」

オタク「なにを……」

少女「現実の世界で……私たちはとある装置を使ってお見合いしているんです」

オタク「意味が……」

少女「……」

保険医「ルール違反よ?」

オタク「……!!」

記憶を無くす辺りでtrue remembranceっていうゲームを思い出した

少女「……」

オタク「あの……」

保険医「いいでしょう。簡単に説明してあげます。といっても、帰れば記憶が戻ってしまうから意味なんてないけど」

オタク「え?」

保険医「現実世界では男性の大幅な減少が大きな問題になっています。また、男性の精力の低下も著しい」

保険医「そこで、開発されたのがこの世界。男性の精力回復も見込め、またお見合いの場として使える」

保険医「まぁ……プログラムでしかない女と生身の女……どちらがいいかを再認識させ、見合いを100%成功させるのですが」

オタク「どういう意味ですか……?」

保険医「この世界の女性は生きているようにみえても、パターンがある」

保険医「何週もすればそれらは確実に見えてくる。気持ち悪いほどに見えてくる」

保険医「その中でも生身の彼女だけは異彩を放つ。魅力的なほどにね」

保険医「だから、最終的には必ず結婚に繋がる……はずだった」

オタク「……」

保険医「でも……もうそれもばらしたから意味がないわね」

オタク「おれは……」

>>786
おう本当だ誤字訂正しておいてください

保険医「彼女も十分に可愛いでしょ?いいじゃない、もう彼女を選びましょう」

少女「……」

オタク「前にいいいましたよね」

保険医「え?」

オタク「女のプロフィールは偽りばかりって」

保険医「ええ」

オタク「なら……俺は……こっちの世界を選ぶ」

保険医「本気?」

オタク「だって……その子も俺に嘘をついてるんだろ」

少女「え……」

保険医「……」

オタク「きっと、そんな容姿じゃないし……性格だって……違うかもしれない」

保険医「……」

オタク「ただ魅力的に見せてるだけなんですよね?それなら偽りもなく本来の姿でいてくれる……この世界のほうがいい」

保険医「作られた世界よ?」

オタク「それでもいい」

保険医「ふん……いつか後悔するわよ?」

オタク「……もう決めました」

保険医「わかりました」

少女「あの……!!」

保険医「ふぅ……やはりこのプロジェクトは危険ね。貴方のような人が現れるとなると……」

少女「先輩……私……!!!」

オタク「ごめん……」

保険医「もうこちらには帰ってこれないかもしれない……いいのね?」

オタク「はい」

保険医「……」

少女「そんな……」

保険医「行きましょう」

少女「いや……!!だって!!私は―――!!」

オタク「……ごめん」

女「……」

係員「お疲れ様でした」

女「……あの人は?」

係員「このまま……」

男「……」

女「そうですか……」

係員「強制終了してもいいのですが……」

女「それはまた考えておきます」

係員「それでは」

女「……」

男「……」

女「飽きたら……帰ってきてください……」

女「待ってますから……ずっと……」

女「先輩……」

―――15日目

オタク「―――ごぶぅ!!」

妹「お兄ちゃん!!あさだよ!!」

オタク「あ、うん」

姉「はよせい」

オタク「ごめん」

お嬢様「まったく……駄目ですわね、あなた」

オタク「うるさいなぁ」

シスター「さむ……」

オタク「んー……!!」

オタク「ふぅ……」

オタク「さてと、仕事に行かないとな」

お嬢様「はやくなさい」

妹「お兄ちゃん、お土産よろしくね!」

シスター「神のご加護を……」

ゲームセンター

オタク「おはようございます」

店長「おはよう」

オタク「……?」

店長「どうした?」

オタク「誰かいなくないですか?」

店長「いや」

オタク「気のせいか……」

店長「じゃ、店を開けるよ」

オタク「はぁーい」

店長「今日も忙しくなるなぁ」

オタク「ですね」

施設

チーフ「で、バグは直ったの?」

「ええ。もう大丈夫です」

チーフ「全く。そんなバグがあるなら報告してもらわないと」

「すいません」

チーフ「……で、彼は?」

「強制終了の準備はできました」

チーフ「そう……」

「実行しますか?」

チーフ「彼女の許可さえ出ればね」

「わかりました」

チーフ「ところでバグで生じたことを報告して」

「はい。登場人物が一人多くなるというバグですね」

チーフ「どんな影響が?」

「各登場人物の好感度システムに不具合を生じさせていました。これだと被験者はバッドエンドかグランドフィナーレしか迎えられず―――」

自宅

オタク「ただいま」

妹「ぎゃーす!!」

シスター「神の導きのままに……」

オタク「やめろ!!」

お嬢様「そのままでいいですのに……」ハァハァ

姉「だめだろ」

オタク「まったく……」

お嬢様「さ、はやくごはんにしますわよ」

オタク「そうだな」

オタク「あれ……?」

シスター「どうかされました?」

オタク「ううん。なんでもない。作るよ」

妹「おにいちゃーんたすけてぇー!!」

姉「もう離れろ!!」

午後11時

オタク「……」

オタク「……?」

オタク「このゲームのパッケージって……こんなだっけ?」

お嬢様「そうですわ」

オタク「ここに大きくもう一人いなかった?」

お嬢様「いえ?」

オタク「……」

オタク「そうだな……そんなわけないな」

オタク「さ、もう寝るか」

お嬢様「ええ。おやすみなさい」

オタク「おやすみ―――」



―――強制終了を開始します。


END

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