一夏「ラウラ、お前のことが好きだ。」 ラウラ「・・・私もだ。」(151)

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俺の名前は織斑一夏。

今日も俺はいつものようにIS学園へ登校した。

ホームルームの時間になると同時に、その少女は山田先生の隣へ歩いてきた。
目を瞑り少し不機嫌そうに、しかし何か威厳のようなものを感じさせる銀髪の少女。

眼帯をしているのが少し気になるが、とても可愛い・・・。


山田先生が少し困ったような、生徒の反応を予測しているような口調で話はじめる・・・・。

山田先生「えっと、今日も嬉しいお知らせがあります。またひとり、クラスにお友達が増えました。」

山田先生「ドイツから来た転校生のラウラ・ボーデヴィッヒさんです。」

「どういうこと?」
「二日連続で転校生なんて・・・」
「いくらなんでも変じゃない?」

山田先生「皆さんお静かに!まだ自己紹介が終わっていませんから!」
すると、千冬姉がその少女へ挨拶をするよう促す。

ラウラ「はい、教官。」

ドイツからの転校生、そして千冬姉のことを『教官』と呼ぶその少女は
恐らくドイツ軍の関係者なのだろう。

ラウラ「ラウラ・ボーデヴィッヒだ・・・・・以上だ。」

威厳を感じさせるが、その中に何か不機嫌そうな、
まるで部屋で見つけた虫に苛立つような口調を含ませて、彼女は短い自己紹介を済ませた。

そして俺を威嚇するような目つきで睨みつけるラウラ。

俺の元へ歩いてくる・・・・気がつくとラウラの右手が空を裂き俺の右頬へ向かってくる。

俺はほぼ反射的にその腕を掴んだ。箒に毎日特訓をされている成果だろうか。

クラスの空気が一瞬にして凍りつく。

彼女の顔を見ると、少し狼狽していたが、すぐに不機嫌そうな顔に戻って、勢いよく俺の腕を振りほどく。

俺も負けじと彼女の綺麗な瞳を睨み返す。

一体彼女は何を考えているのだろうか、と思考を巡らせていると・・・

ラウラ「き、貴様が織斑教官の弟などと、私は認める・・・・ものか・・・・・。」

何か、拍子抜けしてしまいそうな口調で決め台詞を言うラウラ。
明らかに動揺している。

次の日の放課後、ISの特訓。あいかわらず箒・鈴・セシリアの説明はまったく分からない。
こちらが困った顔をしているにも関わらず、まるで食い下がるようだ。


少しイライラしてきた。

そこへ助け舟を出すようにシャルが俺に訓練を申し出る。

俺は逃げるようにシャルと特訓を開始する。相変わらず分かりやすい説明だ・・・。

するとなにやら周りがざわつき始める。転校生のラウラが現れたのだ。
黒いISに乗り、標的を探すようにアリーナを見渡す。

そして、俺のことを見つけると、文字通り上から目線でにらみ付けてきた。

日の光を浴びて、綺麗な銀色の髪が黒いISとのコントラストにより、
不思議な雰囲気をかもし出しとても綺麗に俺の目には映った。

「ドイツの第三世代だ」と、周囲のギャラリーが騒ぎ出す。

無理も無い。今日転校してきたばかりの、それも専用機持ちであるとは、
同じクラスの俺でさえ知らなかったのだから・・・。

俺以外の専用機持ちが、一斉にラウラをにらみ付ける。
俺をビンタしようとした事に対する執念とでも言えるような目だ。

だが、そんな事を気にすることなくラウラは俺に話しかける。

「織斑一夏。貴様も専用機持ちだそうだな・・・・。」

まるで再確認をするかのように俺に問いかける彼女。

「ならば話は早い、私と戦え。」

あまりに突拍子も無い提案。俺は心の動揺をラウラに悟られぬよう、睨み返しながら答える。

「嫌だ、理由がねぇよ。」

この一言で「はい、そうですか」と引き下がってくれるほど、
柔でないことは重々承知しての返答だった。

「貴様にはなくても、私にはある。」

想像通りの答えが返ってくる。少し不機嫌そうな口調と態度。俺の本能が、
『何かまずい。気をつけろ。』と注意を促す。

「今で無くてもいいだろう?もうすぐクラス対抗マッチなんだから。その時で・・・・」

俺はラウラの機嫌を損なわないように、腫れ物に触るような口調で返答する。


目を瞑り、俯き加減で俺の返事を聞いていたラウラだったが、一気に態度が急変した。

「ならば・・・!」

突然のラウラからの攻撃。

ほとんど予測できていた事態とはいえ、『まさか』と思っていたことが起きた。

俺は、一気にブーストを吐き出し、横へスライドする。
ラウラの攻撃はアリーナへ大きな穴を作った。

巨大な砲台のようなその砲撃は止まない。

俺は右往左往して、必死に逃げているようにラウラに見せかけ、
彼女の攻撃パターンと、再装填までの時間に思考を集中させる。

まるで憂さ晴らしでもするかのように攻撃を続けるラウラ。

シャル「大丈夫?!一夏!」

途中でシャルから通信が入るが、軽くあしらうように『大丈夫だ。手を出すな』と答えておいた。

ラウラの攻撃パターンは意外とすぐに判明した。

『罠ではないか』という考えも浮かんだが、今のラウラは、
突然攻撃を始めた時点で非常に直情的なのは明白。

射角が狭い武装の為か、彼女は今、トーチカのような存在だ。

そのため、可能な限り俺を正面に捕らえるように俺の回避先を攻撃してくる。

ただでさえ、ラウラの居る場所は高台。『近づかれてはならない』とばかりに

俺との距離を一定以上保ち続けての攻撃。

武器の連射力は相当早い。

攻撃が粗くなってくる、相当感情的になっているようだ。

俺はその隙を見逃さず、一気に間合いを詰める。

攻撃が一瞬止まる。ラウラは少し怯んだ顔をしつつ慌てて攻撃を再開するが、もう遅い。

一気にラウラに向かってブーストをかけ真正面に飛び上がる。

余裕の笑みを見せながら・・・・。

ラウラは歯を食いしばり俺を睨み付け砲塔を向ける。

俺は腕で砲塔を真上に跳ね上げる。
弾は空中へ、当ても無く飛び去っていった。

ラウラは狼狽した顔で一瞬、弾の行き先を目で追う。
相手を目の前にして致命的なミス。

すぐ我に帰るラウラの顔を横目に俺は真後ろに回り込み、
ラウラをISごと思い切り抱きしめ行動不能にさせる。

ISの行動不能と共に、ラウラは一気に戦意を消失させた。

問いただす為、ラウラの耳元へ顔を近づける。とても良い匂いがする・・・・。

「なぜこんなことをする?理由を聴かせてくれないか?」

目的を果たせなかった少女は、俯き、聴き取れるか聴き取れないかの小さな声で
搾り出すように言った。

ラウラ「いずれ、分かる・・・・・」

そう言うと同時に、ISを解除するラウラ。
俺の腕は空を掴み、ラウラはそそくさとアリーナから出て行ってしまった。

俺はそんなラウラの背中を見つめながら、ラウラの答えた言葉の意味をずっと考えていた。
その間、シャルや箒、セシリア、鈴の心配そうな声が聞こえたが、耳を素通りしていた。

帰り道、千冬姉とラウラが何か言い合いをしている・・・・。

明らかに優勝を確信されていた、IS世界大会での千冬姉の敗退は、俺が原因だった。
そして原因の解決のため情報提供を行ってくれたドイツ軍に千冬姉は恩義を感じ、約1年ドイツ軍で指導をしていた。
どうやらラウラと千冬姉はその時に知り合ったようだ。


部屋に戻るとシャルはシャワーを浴びていた。

・・・・・そういえばボディソープが切れていたことを思い出し、シャワールームに向かう。

中に入るのは嫌がるだろうと思い、洗面台の上に置いておくことをシャルに伝え、
俺はベッドに座り、でラウラについて考え事をしていた。

シャルがシャワーを上がり、冷えたお茶を飲んでいる。
風呂上りだからの暖まった体には普通だな。

すぐに思考をラウラに向ける。

シャルはそれを気遣ってか、「あまり深く考えないようにね。」とだけ気休め程度に言って寝てしまった。


晩御飯は抜くタイプなのだろう。
俺はラウラのことで食欲がなく、就寝することにした・・・・。

ドアをノックするような音が聞こえたような気がしたが、、意識が遠のいていき、
どんどん音が小さくなって行く・・・・。

次の日のホームルームで、学年別トーナメントが2人1組によるものであることが山田先生から発表された。

休み時間になるとすぐに周りの女子たちが俺の元へ群がる。
どうやら他の組の生徒も来ている様だった。

ガヤガヤと俺をまくしたてる女子たち。悪い気分では無いが、酸欠になりそうだ。

チラリと後ろを見ると、ラウラが教室から出て行くのが見えた。
この状況を見て、あきれ果ててしまったのだろう。少しイライラした横顔をしている・・・・・。

「すまない、俺はもう組む相手を決めているんだ。」

そういうと、周りの女子が問い詰めてくる。

「誰なの!?」
「教えて!」

俺は少し呼吸を置いて、机を真剣な目で見つめながら、つぶやくように答える。

「ラウラだ」

一瞬にして女子たちが静まり返る。
分からないでもない。

転校早々俺に暴力を振るおうとし、さらにアリーナでの騒ぎ。
そしてあの言いようの無い、周りを突き放すような雰囲気。

女子達から話かけることなど絶対に無かった。
それをあろうことか俺が率先して指名したのだから・・・。

俺は立ち上がり、女子達を押しのけラウラの後を追う。
女子達はそんな俺を呆然と見つめていた・・・・。

俺は少しでも情報が欲しかった。
ラウラが俺を嫌う理由、そしてなぜか俺はラウラを見ていると何か分からない、
これまで体験したことが無い体の置くから湧き上がる、焦りにも似た『何か』を確認する為にも・・・・。

ラウラは簡単に見つかった。廊下に揺れる綺麗な銀髪の少女。その少女は廊下をゆっくりと、俯いて歩いていた。
俺のことを考えているのだろう。それは、ラウラの背中を見ているだけで明白だった。

「おい、ラウラ!」

その声にビクッと背筋を伸ばすラウラ。動作が可愛いらしい。
俺は自然と笑みを浮かべていたが、それを忘れてしまうほどラウラと話すことで頭の中は一杯になっていた。

ラウラ「・・・・・何だ?」

ラウラがくるりと振り返り返答する。相変わらず無愛想な返事だが、
なぜだろう、俺の顔を一瞥するや少し俯いてしまった。

いつものような、威嚇するような目で俺を睨み付

けてこない。俺の胸元の辺りを見つめて、視線をそらしているかのようだった。何

かあったのだろうか・・・・体調が悪いのか・・・・。俺が心配していると

ラウラ「何の用だ?用件は。」

ラウラに返答を促される。次の瞬間、ラウラの顔は固まった。

「学年別トーナメントで、俺と組んで欲しい。」

周りを歩いていた女子達も同時に固まった。
ラウラはぽかんと口を開け、驚愕した顔をして俺の顔を3秒程見続けた。俺は追い込みをかける。

「俺と是非組んでくれ!お前じゃなきゃダメなんだ!」

周りの生徒がそそくさと退散していく。恐らく噂話として学校中に広めるのだろう。好きにしてくれ。

ラウラ「な、なぜだ・・・・理由を説明してもらおう・・・・・」

俺は嫌われない程度に思っていることを話した。

「ラウラのことを見ていると、なぜか胸が苦しくなるんだ!
こんなの生まれて初めてなんだ!それの理由を確認するためにも、ラウラ、お前ともっと一緒に居たいんだ!」

ラウラは完全に狼狽していた。俺が話しながらどんどん近づいて行ったせいもあるだろうが、
上半身を後ろに仰け反らせ、俺の顔を見つめてくる・・・・・まただ、胸の奥が締付けられる。
心拍数がどんどん上がる・・・・理由が分からない。

ラウラは何も答えてくれない・・・・・俺は手段を選ぶ余裕さえ無くなっていた。
ラウラの右手を取り、俺はあろうことか自分の心臓に押し当てた。

「分かるか?明らかに変だろう?頼む、チームを組んでくれ」

ラウラは勢い良く俺の腕を振りほどく。一番初め、出会ったときを思い出すようだった。

ラウラ「し、仕方無い・・・・わかった・・・・・。」

最後までこのやり取りを見届ける衝動に駆られていた数名の女子が、
全速力で走り出す。初めから分かっていたことだ。断られていたとしても、同じ様に走って行っただろう・・・。

男「まずこのssにて注意していただきたいことが」

1、>>1はss初心者。「いくらなんでもこれはないわ」とか「キモ過ぎる」
とか思った人はブラウザの戻るを押してください。
2、メタ発言があります。ご容赦ください。
3、更新が遅くなります。

男「まあこんぐらいか。あとは…まぁキャラの設定としては>>1の知り合いなどが使われている。
  ちなみに主人公の設定はほとんど作者だ。」

男「次から口調かわる」

男「じゃぁ温かい目で見てやってください。はじまりはじまりー」

午後の授業が終わり昼休みになった。山田先生にトーナメントの書類を提出した。

何か言いたげな顔で見つめられたが、受け取ってもらえた。

そして、もちろん周りからは猛反対を受けた。

箒「き、貴様!自分のやったことがわかっているのか!」

鈴「あ、あんた・・・一体あいつとどういう関係なわけ!?はっきり言いなさいよ!!」

セシリア「い、一夏さん・・・?・・・・・私とペアになって頂けるとものとばかり思っていましたのに。」

シャル「ぼ、僕どうなっても知らないよ?一夏ぁ・・・・。」

理由が言葉で説明できないのだから、回答することができない。

「確かめたいことがあるんだ。」

ただそれだけしか答えることができず、俺は困り果てていた。

すると、なにやら後ろの方のざわつきが収まっていくのが分かる・・・・。
ラウラが現れたのだ。

ラウラ「・・・・織斑一夏、こっちへこい。」

その一言で、全員が黙る。箒が何か言い出そうとしたが、俺が手を挙げ制止させる。

「あぁ、わかった・・・・。」

俺の前を歩くラウラ。背筋を伸ばした華奢な体が上下に揺れる。
一体どこへ向かっているのだろう・・・それにしても良い匂いがする・・・・。
気がつくと食堂に来ていた。

ラウラ「め、飯にするぞ・・・・」

そういえば昼休みだったことを思い出した。

「そうだな、何を食おうか・・・・」

少し考え、鯖焼き定食にすることにした。俺の前に並んでいるラウラに目をやると、
右手を顎に当ててキョロキョロとメニューを見て、焦っているようだ。
そんな中、列はどんどん進む。
遂にあと3人になったところで、ラウラは俺の方を向いて言った。

ラウラ「お、おすすめはあるか?」

予測していた内容だ。もちろん答えは用意してある。

「スパゲッティなんてどうだ?旨いぞ。」

ラウラの顔から不安が消え、少し笑みがこぼれる。

ラウラ「す、すまないな・・・・まだここに来て日が浅くてな・・・・。」

俯きながら頬を赤らめるラウラ。なんて可愛いのだろう。

ラウラを左手に席に着く。少し違和感を感じる・・・・。距離だ。広い円形のテーブルと椅子。
だが腕を伸ばせば頭が掴める程の位置に座るラウラ。特に会話はなく、
スパゲッティを食べ始めるラウラ。

ラウラ「おい、旨いぞこれは・・・・」もぐもぐ

少し興奮気味に言ったラウラは、そんな自分に気付いたのかフォークがピタッっと止まり、
また頬を赤らめて俯く。

会話のキャッチボールを止めてはいけない。

「これも旨いぞ?ほら」

俺は箸で鯖焼きをラウラの口元に持っていく、周りがざわつき始める。

何が珍しいのだろう。

ラウラ「い、いいのか・・・?」

「あぁ、もちろんだ。」

ラウラと交流を深める。
やはり同じ釜の飯を食わなければ始まらない。


「ほら、あーんしろ。あーん」

ラウラ「あ、あーん・・・」ぱくっ

キャーッ!キャーッ!

黄色い声が聞こえる。気絶する生徒まで現れ始めた。

ラウラ「うむ、旨いな・・・・・・」

「だろ?もっと食うか?」

ラウラ「な、なんだと・・・だが、お前の分がなくなってしまう。」

「じゃあ、後でスパゲッティ貰うよ」

なんとなくの昼食だが、心が休まる。
気がつくと心のもやもやが無くなっていた。

千冬姉「貴様ら、何をやっている・・・・・」

騒ぎを聞きつけた千冬姉がやってきた。
さすがに数人も気絶者が現れるとなると、教師も見逃すことができないようだった。

ラウラ「はっ!昼食を摂っているところであります!」

すぐ立ち上がり敬礼するラウラ

千冬姉は少しため息をつき

千冬姉「そういうことを言っているんじゃない・・・・もういい、さっさと食べて教室に戻れ」

ラウラ「了解です!」

「・・・・わかりました」

そんな日々がトーナメントまで続いた。

ラウラとは会話の頻度が上がった。昔に比べれば、だが。
しかし、確実にラウラの俺に対する態度が急変しているのが分かった。

時折、少しぎこちない笑顔を見せてくれるようになっていた。
そしてトーナメント当日・・・・・。

ラウラ「トーナメント表が発表されたぞ。」

モニターに映し出されるトーナメント表・・・・

「1回戦からか・・・・相手は、セシリアと鈴ペア!?」

鈴が近接戦闘、セシリアが援護だ。あまりに堅実なコンビネーション。

ラウラ「ペアで動かれるとまずい。各個撃破が得策だ。」

「あぁ、俺もそう思っていた。余裕があるなら援護を頼む。俺も可能な限りはやってみるが期待はしないでくれ。」

少し緊張しながら2人で作戦を練っていると、試合の時間が近づいてきた。

準備を始める。アドレナリンが分泌され始め・・・・興奮を覚える。
勝手に笑みがこぼれ、どんどん集中力が高まっていくのが分かる。

準備が整うと、ラウラの方へ目をやり小さく頷く。
先に俺に出ろということだ・・・・・俺はラウラと共にアリーナへ飛び立った。

いつも授業や訓練をしているアリーナとは確実に違う。
同じ部屋であって違う部屋。まるでマンションで隣の部屋へ迷い込んだような違和感。


セシリア「ふふふふふ、一夏さん?私とペアを組まなかったこと、後悔させてあげますわ!
そして優勝して・・・・ふふふふふ」

鈴「あんた、何考えてんのかわかんないけど、負っけないんだからねぇー!!
優勝してあんたと・・・・!」


何のことを言ってるのかさっぱりだが、負けるわけには行かない。

カウントが始まる。4人とも縦一列。鈴と俺がにらみ合い、他2人がそれぞれの後

ろ。
3・・・2・・・・1・・・・0!

俺はすぐさま真横にブーストをかけスライドする!
それと同時に縦一列に並んだ鈴・セシリアにラウラがカノン砲を連射!

いきなりの先制攻撃に鈴はギリギリ避けることができたものの、
俺の動きに目を捕られたセシリアに2発浴びせることができた。


セシリアは完全に後手後手だ。ラウラの方は問題無さそうだな・・・・だが、こちらが少し問題だ。

鈴は近距離・中距離タイプ。常に近距離での戦闘を強いられる白式としてはかなりの強敵になる。

近づくだけでも相当ストレスがかかるというのに、
もし攻撃を当てられ、隙を作ってしまえば龍砲の餌食だ。

接近戦に持ち込めるよう挑発も行う。

「へっ、その程度で代表候補生とはな!正々堂々、接近戦で勝負しろ!」

鈴「そんな挑発に乗るわけないじゃない!ほらほらほらっ!!」

そんな手に惑わされるほど鈴もバカじゃないのは重々承知はしていた。
龍砲の連射が始まる・・・・かわすので手一杯だ。

周辺視野でラウラを確認・・・・苦戦してる・・・・・?!

ラウラは学年トップクラスのはず・・・・ラウラから通信が入る。

ラウラ「大丈夫・・・・か?」

ラウラは明らかに俺の状態をみて集中力が途切れているようだ。

「バカ野郎!自分のことだけ考えろ!こっちは逃げ回るくらいはできる!
さっさと片付けてこっちに・・・なっ!」

龍砲の攻撃がさらに激しさを増し、被弾してしまう。

それに気付いたラウラが100m先からこちらへ突っ込んでくる。
ラウラは感情的になって、判断力を見失っている。
俺のことを心配しているのだろうか・・・・。

セシリア「私に背中を向けるなんて、どうぞ撃って下さいと言っているようなものですわね!」

鈴「あら、何?助けに来たの?それとも龍砲の餌食になりたいわけ?」

ラウラ「う、うわぁぁああああああ!!」

止めろ、ラウラ逃げろ。

「くそったれぇっ!」

俺は鈴に特攻をかけるように見せかけて、ラウラを回収・・・・・これが仇になった。
ラウラはパワーゲージがほとんど残っていない・・・・AICが使えない。

さらに白式の出力ではラウラを抱えつつ、2人の砲撃から逃げることはできない。

ラウラ「は、早く逃げろ・・・・何をやっている・・・・・・。」

「何を言って・・・くっ!・・・・・やがる・・・・・!」

「お前は・・・・俺の・・・・・仲間だろうがぁあああ!!」

セシリア「止めですわっ!」

鈴「一夏、悪いけどとりあえず負けてもらうからねぇ!」

間髪入れない息の合った攻撃。まずい、もう保たない・・・・。

そう思った矢先、ラウラが何かを呟く。

ラウラ「寄こせ力を・・・・比類なき・・・・・最強を・・・・・」

すると、突然ラウラのシュヴァルツェア・レーゲンが暴走を始めた。

俺は吹き飛ばされ地面に落下した。落下する途中で苦しみからか、悲
鳴のような・・・・叫んでいるラウラの声が聞こえた。

すると、シュヴァルツェア・レーゲンが液状化を初め、ラウラを取り込む。
アリーナにはランクDの警戒態勢が敷かれた。

ラウラ「一夏を・・・・助ける・・・・・・・」

ラウラの声が聞こえた様な気がした・・・・。
液状化したシュヴァルツェア・レーゲンは、ISのような形になる。

まるで雪片・・・・千冬姉と同じ武器を使うそのISに向かって、攻撃を仕掛ける鈴。

鈴「よくも一夏を!!」

だが、機動性があまりに違いすぎる。
まるで猫がネズミを追いかけてハンティングをするように、あまりに一方的だ。

意識をなんとか保ちつつ俺が立ち上がる。セシリアが俺のことを気遣って駆けつけてくれた。

セシリア「大丈夫ですの?!一夏さん?」

「あぁ・・・・ISは解除されちまったけどな・・・・・・・。」

「しかし・・・奴は一体・・・・・それに、ラウラが中に!助けないと!」

鈴のエネルギーが尽き、ISが解除される。

「セシリア、俺にエネルギーバイパスでエネルギーを送ってくれ!」

セシリア「い、一体何を・・・・」

「急いでくれ、鈴が死んじまう!」

急いでコアバイパスからエネルギーを供給するセシリア
供給が終わると同時に俺はコードを金繰り捨てて、走りながら一極限定で右腕と雪片弐型を展開する。

「こっちだっ!偽物野郎っ!!」

鈴「む、無茶よっ!」

「うぉぉおおおおおおおっ!!ラウラを返しやがれぇ!!」

こちらの声に気付いたのか、ゆらりと俺の方向を向くISのような何か。

そしてものすごい加速で俺に迫りながら、雪片を振りかざす。
絶対にラウラを助ける!その決意を両腕に込め零落白夜を発動!
奴の雪片を弾き飛ばす。俺は、奴が仰け反った瞬間を見計らって・・・ど真ん中を切り付ける!

裂け目からラウラがゆっくりと飛び出してくる。俺はラウラを抱え、

「大丈夫か?」

と心配そうに、優しく声をかける。
ラウラは、俺の目を見て、少し笑みを浮かべた後・・・眠るように気絶した。
ISはまるで黒い霧のように、風に吹かれて消えてしまった。
土で作られた人形のようだった・・・。

ラウラを保健室へ運ぶため、急いで担架を持ってくる教師達。
俺も付き添うことにする。とても心配だ。

俺は保健室の外、廊下のベンチで待たされる。ラウラは女の子なのだから、当然だろう・・・。
俺は俯き、ラウラの体調を心配する。

そこへ聞き覚えのあるヒールの音が廊下にこだまし、近づいてくる・・・千冬姉だ。

千冬姉は俺を一瞥すると、そのまま何も言わず保健室へ入って行った。
そして、俺とラウラを引き離すかのようにドアを閉めた。

数分後、教師達がぞろぞろと保健室から出て行く。
その中に千冬姉の姿は無い。まだ、ラウラと何か話しているようだった。

また数分が経ち、千冬姉が保健室から出てくる。

千冬姉「入っていいぞ。」

いつもの教師の口調だ。だが、少し笑みを浮かべて

千冬姉「いい太刀筋だった・・・。」

そう言うと千冬姉は、また静かな廊下にヒール音を響かせて歩いていった。
俺は、千冬姉に褒められたことで数秒思考が停止したが、すぐにラウラの元へ走っていった。

「ラウラ、大丈夫か!?」

物思いに耽るように窓の外を眺めていたラウラは、突然の訪問者に目を見開き急いで眼帯を付けた。
目の色が違う・・・何か知られたくないことでもあるのだろう。あまり詮索はしない方が良さそうだ・・・。

ラウラ「大丈夫だ。少し体が痛むが、軽い打撲だ。2・3日で授業に復帰できる」

軽い笑みを浮かべ、俺に答えるラウラ。だが何かおかしい。少女のあどけなさの様なものを感じる。

「良かった。心配したんだぞ?」

俺はラウラを気遣いながらも、少し興奮気味にラウラに心情を打ち明ける。

ラウラ「気にするな・・・・・それよりも・・・・・・・」

『それよりも?』なんだろう、頬を赤らめどうみても普通の少女のような顔になったラウラ。
初めてみる表情だ。

ラウラ「た、助けてくれて・・・・済まなかった。迷惑をかけたな・・・・。」

気恥ずかしそうにお礼を言うラウラ。とても可愛く、愛おしい。
気がつくと、俺はそんなラウラを両手で優しく抱きしめていた。

「気にするな。仲間だろう?」

ラウラの華奢な体を包み込む。ラウラは黙っていた。
何か話してしまうと、俺の抱擁が終わってしまうのを恐れるかのように・・・・。

ラウラが授業に参加できるようになるまで、俺は保健室に通った。
別に義務感では無い、何かが俺を突き動かしていた。

ラウラのいない授業は退屈だった。前と同じ、焦りや不安ばかりが募る。
それがラウラと話をしている間だけは忘れることができた。

そして、話をしていくうちに、ラウラは普通とは少しズレた感性を持っているが、
いたって普通の女の子であると思うようになっていた。

相変わらず授業には身が入らない。誰かに相談してみよう・・・。
同じ男子のシャルが良い。
話しやすくて、いつも率直な意見、的確な指摘をしてくれる。

就寝前、シャルにお茶を渡しつつ、問いかける。

「大事な話があるんだ」

・・・・シャルは動揺していた。いつも表情豊かなシャルだが、尋常ではない。

シャル「な、な、な、何かな?」

動揺を隠せないほど狼狽しているのは一目で分かるが、こちらも引くに引けない状況だ。

「最近、胸がドキドキしたり、締付けられるような感覚に襲われるんだ・・・・。」

シャル「えっ、えっ、えっとそれって・・・・・・こ、恋なんじゃないかなぁ?」

語尾が明らかに上がって変な発音になっているシャル。
って、恋!?

「こ、これが・・・・恋なのか・・・・・・」

俺はすぐに勘付いた。ラウラだ。原因はラウラ。
っということは俺ってラウラのことが・・・・。

「俺、好きなのか・・・・・・」

シャル「す、ストレートだよぉ、一夏ぁ!」

「ストレートはよくないことなのか?ど、どうすれば良いんだ?」

俺はシャルの肩に掴みかかる。

シャル「い、いや。わ、悪くは無いよ?でも、相手の心の準備ってものがさ・・・・・」

いつもなら的確なアドバイスをくれるシャルの意見がまったく的を得ていない。
理解に苦しむ。

「なぁ、シャル・・・・同じ男同士なんだ・・・・・頼む、教えてくれ。相手の心の準備って何なんだ?」

そう言った瞬間、シャルは我に帰ったようになってしゅんと元気をなくしてしまった。

俺はますます混乱してしまう。そんな俺にシャルは言う。

シャル「一夏・・・・ごめん、今日はもう寝るね・・・・・お休み」

俺は天にも見放された気持ちになった。

だが、『恋』というキーワードが手に入っただけでも良しとしよう。
明日確かめればいい。

「シャル、ありがとう。お休み。」

向こうを向いて元気をなくしているシャルに向かって、つぶやくように言う。

俺は放課後の保健室で、ラウラの隣に座り梨を剥いていた。
「なぁ、ラウラ・・・・・」

ラウラ「どうした、改まって。」

「俺、お前に恋しているようなんだ。」

俺がそう言うと、耳まで真っ赤にしたラウラはあっちを向いてしまった。
そして、搾り出すような声で呟くラウラ。

ラウラ「きょ、今日はもう帰ってくれないか?」

『ストレートはよくない』というシャルの言葉が頭をよぎる。
しまった、こういうことだったのか・・・・。俺はラウラに嫌われてしまったのだ。

「わかった・・・・・」

そう言葉を残し、俺は席を立った。

後ろを振り向きながら歩いていると、何か急いで通信機の様なものを
取り出しているラウラが目に映った・・・・。

次の日、ラウラが授業へ参加できる日だ。
俺は昨日の出来事で、教室へ向かう足取りが重い・・・。ラウラに嫌われてしまっ

た・・・・。
昨日のことを打ち明けると、なぜかシャルは嬉しそうだ。ますます混乱する。

ホームルームが始まる。ラウラはまだ来な・・・・・・・来た!
つかつかと俺の元へ、勇み足で歩いてくるラウラは俺の真横に立ち、俺を見下ろす形になった。
しかし、目をあわせない。顔が高潮している。何を考えて・・・・俺の思考が止まる。

俺の後頭部に腕を回し、俺を持ち上げながらキスをしてくるラウラ。

俺「・・・・・・・ぷはぁ」

唇を離す時に、唾液が糸を引く。ほとんどディープキスだ。

ラウラ「お、お前は私の嫁にする・・・・決定事項だ!異論は認めん!」

教室が静まり帰る。まるで訳が分からない。俺の告白が上手く行ったと考えていいのだろうか・・・・。

その日の放課後

ラウラと一緒に寮へ帰る。周りの視線がなんだか痛い。
特に後ろから4人の視線が俺達を品定めをするかのように見ているようだ。

ラウラはそんなことをまったく気にもしていない様子だ。
『肝が据わっている』とはこのことなのだろう・・・。すると、突然俺の裾を引っ張るラウラ。

ラウラ「おい、嫁。こっちへこい。」

ラウラが俺を連れてきた先にはベンチがあった。
ラウラが腰掛ける。俺も少し距離を置いて腰掛けた。

ラウラ「あ、明日の休日、買い物に付き合え。」

デートということだろうか。結構強引なところがあるとは思っていたが、
ラウラから申し出てくるとは少し予想外だった。そういえば俺達は既に両思いという奴だったな。

「あぁいいぜ。じゃあ校門に朝10時集合でどうだ?」

買い物ついでに昼飯も食える。朝もゆっくり寝られる。
午前10時というものを作ってくれた神様にお礼を言いたい。

ラウラ「わかった。では明日、午前10時に校門だな。遅れるなよ?」

ラウラは俺に念を押すように言うと、そそくさと寮へ向かって歩いて行った。

ふむ、明日の10時か。生まれて初めてのデートというものは少し緊張するな。
クラリッサに相談してみるか。

ラウラ「聞こえるかクラリッサ。」

クラリッサ「ラウラボーデヴィッヒ隊長!どうされましたか!?」

黒ウサギ部隊のざわつきが電話越しで分かるほど聞こえてくる。

ラウラ「例の、私の嫁についてだが・・・・作戦は成功した。」

クラリッサは少し申し訳無さそうな声で答える。

クラリッサ「隊長・・・・非常に申し上げにくいのですが、ここからが正念場なのです・・・・・。」

ラウラ「な、何!?どういう意味だ!明日、デートの約束までしたのだぞ!」

ラウラは興奮気味に答える。
クラリッサは、さらに落胆したような声で

クラリッサ「あ、明日とは・・・・作戦準備ができません・・・・・。隊長の現在の装備を教えてください。」

ラウラ「学校の制服のみだ。」

ラウラは少し胸を張って答える。最小限の装備。そして何よりも持ち運びが・・・などと考えていると

クラリッサ「な、何をバカなことを!!デートに制服で行かれるおつもりですか!?」
クラリッサは何かを諭すようにラウラに食い下がる。

ラウラ「どういうことだ、理解できない。詳細な説明を求める。」

クラリッサ「デートというものは、言わば戦場!隊長、あなたは洋服を持たない状態。
いわば戦場に手ぶらで行かれるおつもりで・・・・・」

興奮気味にそう言いかけた途端、クラリッサはあることに気付いた。


クラリッサ「隊長、作戦の詳細を今組み上げました。」

ラウラ「ふむ、言ってみろ。」

クラリッサ「織斑一夏に、服を選んでもらうのです!!」

ラウラ「ほ、ほぅ・・・それは名案だな・・・・・」

クラリッサ「はい、是非明日、口頭にて洋服の購入の話をすることを提案いたします。」

ラウラ「承知した。では作戦結果については後日報告する。すまないないつも。」

クラリッサ「了解いたしました。礼には及びません。」



ラウラ「なんだこの気持ちは・・・・まるで戦場に行く前の・・・・いや、それ以上か!」
ラウラ「まったく眠れない・・・・。」

ラウラはベッドの上でくるくると布団に巻き付いては離れ、巻きついては離れを繰り返し、
気がつくと朝を迎えていた。


翌日 午前10時

ラウラ「け、結局一睡もできなかった・・・。」

ラウラが何か言った様な気がしたが余り気にせず声をかける。
一夏「すまないな、ラウラ。待たせたか?」


ラウラ「い、いやまったく待っていないぞ・・・・。」
焦りながら両手を俺に向けて手を振る動作をするラウラ。

一夏「そ、そうか・・・・」

かなり眠そうにしているな。10時だと少し早すぎたのだろうか?

ラウラ「ところで嫁。今日の予定だが・・・・。」

一夏「あぁ、何か買い物でもしにいこうか。」
やはり女の子は買い物が好きだろう。ウィンドウショッピングでも問題ないはずだ。


ラウラ「ふ、服を買いに行かないか?」
唐突な申し出だったが、逆に目的が出来て助かる。それにラウラが服を買いたいと言ってくれたのだから、
それを果たせばラウラは喜んでくれるのだ。余計に助かる申し出だ。

一夏「そうしようか。」
俺は少しにこりと笑い、ラウラを見つめる。
相変わらず目を合わせてくれないが仕方無い。照れ屋なのだろう。

ショッピングモール

一夏「そうだなぁ・・・・ラウラに似合う服でも探そうか」

ラウラ「ふ、ふむ・・・嫁に選んでもらってもいいか・・・・・?」
女性の洋服選びはしたことなどまったく無いが、折角の買い物だ。俺は張り切ってラウラの洋服選びをすることにした。

一夏「あぁ、いいぞ!」

ラウラの銀髪に似合う服となると、やはり黒系の服が似合うだろうな。
このワンピースなんか似合いそうだな。

一夏「ラウラ、このワンピースなんかどうだ?試着してみろよ」

ラウラ「う、うむ。試着してみるか・・・。」

ラウラ「(な、なんだこれは・・・肩の辺りがとても・・・・露出が多いぞ・・・・・・。しかし

嫁の薦めてくれた服だ・・・)」

ラウラ「ど、どうだ・・・・嫁?に、似合ってるか?」
くるくると回ってみせるラウラ。少し照れながら、無邪気な顔をしている。

予想以上の可愛さに俺は数秒固まってしまった。
もじもじと体を震わせながら顔を俯かせ、耳まで真っ赤にしているラウラ。

一夏「とても似合ってる・・・。それを買おう!」

ラウラ「う、うむ・・・・。」

一夏「俺が買ってやるよ。」
ラウラは少し固まったあと、俺に向かって申し訳無さそうに言う。

ラウラ「そ、それはよくない!ダメだ!嫁に奢ってもらうなど・・・」
予想通りの反応だ。相変わらず可愛らしいな。

一夏「そういうと思って、既に精算を済ませてある。」
そう言って俺はレシートをヒラヒラと泳がせる。

少し呆然とするラウラ。

そこへ間髪入れずにラウラに提案をする。

「そうだ、靴も買いに行かないか?」

ラウラ「く、靴か・・・・」
学校指定の靴を見つめるラウラ。この靴では良くないのだろうか?そういうものなのか?
などと考えていることが手に取るように分かる。

「とりあえず制服に着替えて、靴屋へ行こう」
俺は制服に着替えるようラウラに促し、店の入り口で待つことにした。

靴選びは拍子抜けするほどすぐに決まった。

店員に先ほど買ったワンピースを見せると、
そそくさと似合う靴を数種類持ってきた。

ラウラと俺は似たような靴、3種類とお辞儀をするような形で睨めっこしていた。

するとラウラは何かを見つけたように、いきなり1つの靴を選んだ!

ラウラ「これにする。」

店員がそそくさと数種類のサイズを取りに行く。

「どうしてアレにしたんだ?」
真偽を確かめるようにラウラに問いかけると、自身たっぷりにラウラは答えた。

ラウラ「最も安かったからだ!!」
胸を張るラウラ。周りのお客さんの視線が痛い。

靴選びも終わり、昼食も簡単に済ませた。

相変わらずスパゲッティばかり食べるラウラ。

「偏食は良くないぞ?」
そう注意を促すが、聞く耳を持たない。
何か執着心でもあるのだろうか?

午後3時

俺達はウィンドウショッピングを済ませ、近くにある公園へ行くことにした。
そこには大きな湖があり、その畔で休むことにする。

ラウラは三角座り。俺はあぐらをかいて座った。

周りを見ると、家族連れやカップルが遊びに来ているようだった。
すると、突然ラウラが言い出す。

ラウラ「少し、疲れた・・・・」
ラウラが眠そうな声を出し、俺にもたれかかってくる。

仕方無い。眠そうにしているラウラの髪を何度か撫でてやり、俺は膝枕をしてやった。

湖の方を向き、体を丸めて寝るラウラ。

か弱い呼吸が一定の間隔で続く。
永遠にこんなことが続けばいいと思いながら、ラウラの頭を撫でてやった・・・・。

その時は突然やってきた。
ラウラが起きたのだ。

ラウラ「わ、私は何をやって・・・!」

俺はラウラの顔を覗き込む。
「おはよう、ラウラ」

ラウラは自分のおかれている状況が理解できていない様子で
俺の目をじっと見つめていた。そして周囲を確認する。

周りには家族連れは既におらず、カップルが一定の間隔を置いて、
湖の向こうに光る夕日を観ている。

ラウラ「わ、私はどれくらい眠っていた?」
俺のことを気遣ってだろうか。時間を聞いてくるラウラ。

あまり気を使わせたくなかった俺は、
「ほんの少しだよ?」

と言いながら頭を撫でてやった。
頭を撫でられたラウラは、まるで猫のように嬉しそうに目を瞑って笑っていた。

しかし、突然ラウラは俺の方を体全体で向き直り、
俺の首に両手を絡ませて、目を瞑った。

俺はすぐにラウラが何をしたいのか勘付いた。

夕日に染まる湖の畔で、ラウラの唇にゆっくりとキスをした。


「ラウラ、お前のことが好きだ。」

ラウラ「・・・私もだ。」


おわり

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