男「高飛車なお嬢様には無視が一番だよな」(132)
嬢「あら、そんなところで何をしてるのかしら?その辺の石ころの方がよっぽど立派な顔をしてるわよ」
男「…」
嬢「とりあえず朝の挨拶がまだだったわね、挨拶をする許可を差し上げます、どうぞ」
男「…」
嬢「ど、どうしたの?」アタフタ
男「…」
嬢「や、やだ私ったら、声を出す許可をあげてなかったわね…許します、挨拶をさせてあげましょう」
男「…」
嬢「…」
嬢「…ねぇ、私あなたの気に障るようなことしたのかな?もしそうだったら私に教えな…」
嬢「教えてくれると…ありがたいのですが」
男「…」
嬢「…」ジワ
やったか!?
いや、流石に無理でしょ
普通に寝るでしょ
後15分もすれば5時でしょ
牛乳屋さんも動き出すでしょ
明日俺9時起きだから、ね
ごめんなさい
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org2393236.jpg
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org2393238.jpg
これでかんべんしてくだちい
男「……」
嬢「これだから庶民は!口のきき方も知りませんこと?」
男「……」
嬢「わ、わたくしが特別に教えて差し上げましょうか?」
男「……」
嬢「……もしかして貴方、言葉を離せなくなったの?」
男「……」
嬢「……べ、別に私が庶民ごときの心配をするなんてありえませんが!?
一応!一応クラスメイトとして!貴方に気をかけてあげますわ!じ、じい!」
じい「なんでございましょうか」
嬢「こ、こいつが言葉をしゃべれなくなったのよ!」
じい「お言葉ですがお嬢様、この方はいたって健康です。言葉もしゃべることが可能でしょう」
嬢「え……」
男「……」
嬢「……ね、ねぇ」
ごめんやっぱ寝る
嬢「じい!」
じい「なんですか。お嬢様」
嬢「続きを書いてくれる人を探しなさい」
じい「・・・」
男「ん、おはようじいさん」
じい「おはようございます、男様」
嬢「何よ! あんた喋れるんじゃないの! なら一緒に学校に――」
男「おう男友! こんな時間に会うなんて奇遇だな!」
男友「あぁ、男か。奇遇も何も登校時間なんだから別におかしくないだろ」
男「細かいことは気にすんなって。一緒に学校行こうぜ?」
男友「え、でも……嬢は?」
男「は? 誰それ?」
嬢「え……?」
みたいな?
男友「え、だってそこにいるし今まで仲良さそうに……」
男「は? じいさんとは話してたけど嬢って誰? もしかしてお前霊感あんの?」
男友(……チラリ)
嬢(ウルウル)
男「幽霊とかこわっ。南無阿弥陀仏」
じい「……行ってしまわれましたな」
嬢「ど、どうしよう、じい……男に私……嫌われちゃったのかな……ぐすっ」
じい「心当たりはありませぬかな?」
嬢「そ、そういえば……」
エロ書いたことないから書けないけどいい?
エロとかどう考えてもいらない
ソフトなエロならウェルカム
>>43>>44
おk
嬢「あら、そんなとこに這いつくばって何をしているのかしら?」
男「何って見ればわかるだろ。掃除だよ掃除。雑巾がけしてんだよ」
嬢「おーほっほっほ! エメラルドゴキブリバチとさして変わらぬ美しさしかもたない貴方にはお似合いね!」
男(イラッ)
……
嬢「ってことが昨日あったような」
じい「間違いなくそれが原因ですな……」
嬢「え、でも! エメラルドゴキブリバチはとても美しい虫なのよ!」
じい「名前を良く考えてみなされ……ゴキブリ、というワードが付いている時点で一般人は身の毛もよだつ恐怖を覚えますぞ」
嬢「じゃあ……スマトラヒラクワガタのように強い?」
じい「それもイマイチでは……」
嬢「じゃあ……ゴライアストリバネアゲハのように心が広い?」
じい「……」
嬢「では、アブラムシを守るアリのように優しい?」
じい「いや……そうではなくて……」
嬢「では、ヘラクレスオオカブトのようにカッコいい?」
じい「いい加減虫から離れなされ」
嬢「で、でも! 虫ってカッコいいじゃない!」
じい「一般人は虫にはそう良い印象は抱かないのです。なんでもかんでも虫に喩えるその癖は治したほうが良いかと思います」
嬢「だって……お父様が毎年海外出張から戻られると昆虫標本をお土産に持って帰ってきてくださるから……」
嬢「それも三歳の頃からですよ! そして裏の山に虫捕りに連れて行ってくださるから、こんなにも虫が好きになってしまったのです!」
じい「だからといって、昆虫標本を置くために客間を一つ倉庫にするのはやりすぎですぞ」
じい「おまけに旅行から帰られる度にお土産に買ってきた昆虫標本を学校に持って行っていっては」
じい「気持ち悪がられて同性のお友達も少ないではありませんか」
じい「ヨロイモグラゴキブリの標本を学校に持って行ったときなぞ、酷い目にあったのをお忘れですか?」
嬢「う、うるさいわね! あんたなんか……オオベッコウバチにゴライアスバードイーターみたいに食べられればいいのよ! うわぁぁん!」ダッ
じい「そんな虫に喩えてばかりいるから奇特だと思われて無視されるのですぞ……」
嬢「うぅ……なんで誰もわかってくれないのよ……」
嬢「……あら? こんなところにアシダカグモの巣があるじゃない。可哀想に……追い出されたのね」
嬢「ちょっと待っててね。うーん……冬だからエサの虫がいないわね……ちょっと待ってなさい」
店員「ラッシャッセー」
嬢「エサ用のコオロギをちょうだい」
店員「マイドアリー」
嬢「さすがペットショップね。この時期でもちゃんとストックしてるなんて」
嬢「待っててね……!」
あれ、アシダカグモって冬に巣張るんだっけ?
嬢「ほら、食べなさい」
クモ(ムシャムシャ)
嬢「ふふ、可愛いわね……クモの食事風景は心が和むわ」
嬢「……はっ! お腹を空かせたアシダカグモにエサをあげる女の子って好感度上がらないかしら!?」
ご近所さん「ヒソヒソ……あの子、クモにエサあげてるわ」
ご近所さん「あんなに大きいクモに……気持ち悪いわぁ……」
嬢「……そういえば、じいが一般人は良い顔しないって言ってたわね……こんなに可愛いのに」
嬢「……いけない、そろそろ遅刻しかねない時刻になってしまったわね。急がないと! 貴女もできるだけ早くいい家見つけるのよ!」
キーンコーンカーンコーン
嬢「はぁ……あのアシダカグモ、大丈夫かしら?」
嬢友「どうしたの、ため息なんてついて」
嬢「実は……かくかくしかじか」
嬢友「……はぁ。あんた、もう今朝のこと忘れてるの?」
嬢「今朝のこと……?」
嬢友「男友君から聞いたわよ? 男君に盛大にシカトされたって」
嬢「あぁ……思い出したら鬱になってきたわ……」
嬢友「ったく、完全に忘れてたみたいねあんた……」
嬢「あ、貴女だって可愛らしいアシダカグモを見ればきっと……!」
嬢友「やめて! 想像しちゃうから!」
嬢「なんで嬢友もわかってくれないのかしら……」
嬢「男……」チラッ
嬢「普段冴えないけど、ああやって休み時間中寝てるのはオオクワガタのように冬眠して力を蓄えているってことは知ってるわよ」
嬢「授業中に寝てるの見たことないもの。男はキリギリスじゃないわ」
嬢「どうして気付いてくれないのかしら……」
嬢「カイコガのように求愛フェロモンが出せればいいのに……」
先生「授業はじめっぞー。おら男! 寝てないで起きろ!」
男「はいはいさーせんっす」
嬢「……次の昼休みに!」
キーンコーンカーンコーン
嬢「ね、ねぇ男? その、この後空いてる?」
男「……」ぐー、ぐー
嬢「ちょ、ちょっと起きなさいよ! 私が起きろって言ってるんだから起きなさい!」
男「……」むにゃむにゃ
嬢「うぅ……お願いだから起きて私の話を聞いて……くだ……さい……」
男「……」zzz
男友「おう、男! 飯食ってないだろ? 一緒に食おうぜ」
男「おう、どこで食う?」ガタッ
嬢「」
男友「嬢友ちゃんもいるんだけど、いいか?」
男「嬢友? 別にいいけど?」
男友「嬢も一緒にどう?」
嬢「えっ……いいの?」
男友「あったりめーだろ?」
嬢「ありがt――おーほっほっほ! 仕方ないわねぇ……感謝しなさい! 私が特別に一緒に食事してあげますわ!」
男友「はは、嬢友ちゃんは先に食堂でストーブの近くの席確保してるハズだぜ! 早くしないと温かいうどん売り切れっぞ!」
嬢(男友……ありがとう)
男友「お、嬢友ちゃんありがとな!」
嬢友「じゃーん! 温うどん食券ゲットしちゃった!」
男友「お、すげーな!トッピングは?」
嬢友「んー、それはわかんなかったから買ってないよ。私は温うどんじゃなくてショウガがゆ定食の券買ったし」
男「食いてぇな温うどん。俺にくれないか?」
嬢友「あはは! ほっぺたつっつかないでよぉ。でも、これで売り切れだから……」
男「え、マジか!? じゃあ俺がもらった」
男友「あっ! ずりぃーぞ! 俺だって欲しいのに!」
男「うっせ、早いモン勝ちだよ。代わりに買ってきてやるよ。何食う?」
男友「ちぇっ。じゃあカレーライスで」チャリーン
男「おう、わかった。嬢友はなんか欲しいもんあるか?」
嬢友「じゃあ、野菜スープ欲しいな」チャリーン
男「わかった」
嬢「わ、私m」
男「ほいじゃ行ってくる」
>>64で男友が嬢を呼び捨てにしてた……脳内でちゃん付けといてください
嬢「わ……私も行くわ!」タッタッタッ
……
嬢友「嬢、大丈夫かなぁ」
男友「嬢ちゃんと男、なんかあったんかね……」
嬢友「わかんない……でも、何があったのか知らないけど男君も心が狭いよ」
男友「なんだか知らねェけど許してやればいいのにな。ゴキブリ呼ばわりでもされたんかね」
嬢友「あはは、それなら怒るのもわかるかも」
嬢「お、男! 待ちなさい!」
男「……」スタスタ
男「カレーライスと野菜スープ一個ずつ、と」ピッピッ
嬢「待ちなさい! 私も野菜スープを……」
男「よし、これでOKだな。おーい、おばちゃんこれ頼んだ!」
おばちゃん「はいよ。カレーライスと野菜スープ、温うどんだね。お兄ちゃんよかったね、野菜スープ最後の一杯だよ!」
おばちゃん「最後だから野菜大盛りにしておくよ!」
男「マジか! あっぶねぇ……俺のじゃないけど一緒に食うヤツの一人が欲しがっててな。ほかに欲しい奴がいなくてよかったよ」
嬢「」
嬢「うぅ……」ピッ
嬢「これ……ください」
おばちゃん「ショウガから揚げ定食……ってお嬢ちゃん大丈夫? 目真っ赤だけど……」
嬢「大丈夫……大丈夫よ……」
おばちゃん「そうは見えないけどねぇ……はい、どうぞ。ショウガオマケしといたよ」
嬢「ありがとう……ございます……」
嬢「……ゴキブリエメラルドバチがいけなかったの?」
嬢「どうしてあんなこと言ったんだろう……」
嬢「だって……エメラルドゴキブリバチ、美しいのに……どうして?」
男「でさ、昨日男友がさ!」
男友「ばっ! お前それ言うなって言っただろ!」
嬢友「あはは! そんなこと男友君言ったの?」
嬢「……」カチャカチャモグモグ
男「そういう嬢友だって一週間前にさ……」
嬢友「ちょ、ちょっと! それ言わないって約束したじゃん!」
男友「ははは! お互い様だばーか! 聞かせろ聞かせろ!」
嬢「……」カチャカチャモグモグ
嬢(どうしてなの……? みんなと食べてるのに、なんだか一人で食べているみたいに寂しい……)
男「でよ、そいやエメラルドゴキブリバチって……」
嬢「!」
キーンコーンカーンコーン
男「やべっ! 予鈴鳴っちまった! 急いで片付けて教室戻ろうぜ!」
男友「うお、こんな時間かよ! 急いで戻らねーと!」
嬢友「次移動教室じゃん! うっかりしてた……」
嬢「……はぁ」
嬢友「何やってんの嬢! 早くしないと遅れるよ!」
嬢「え、ええ……」
嬢(男はいったい何を言おうとしてたのかしら……)
男「まずこのssにて注意していただきたいことが」
1、>>1はss初心者。「いくらなんでもこれはないわ」とか「キモ過ぎる」
とか思った人はブラウザの戻るを押してください。
2、メタ発言があります。ご容赦ください。
3、更新が遅くなります。
男「まあこんぐらいか。あとは…まぁキャラの設定としては>>1の知り合いなどが使われている。
ちなみに主人公の設定はほとんど作者だ。」
男「次から口調かわる」
男「じゃぁ温かい目で見てやってください。はじまりはじまりー」
先生「では、今日はプラークアッセイを行います。プラークアッセイとはファージが大腸菌を溶菌する様子を確認するための実験であり――」
男「ふぅ……なんとか間に合ったな……」
男友「間に合ってねーよバカ。黙って静かに入れよ」
嬢友「はぁ……はぁ……二人とも走るの速いよぉ……」
男友「あれ、そういや嬢ちゃんは?」
嬢友「さっきトイレ行くって言ってたよ」
男友「あぁ、そういうことか。とりあえず、嬢ちゃんのプリントとか確保しといてやろうぜ」
嬢友「うん、そうだね」
先生「おい、そこのこっそり入ってきてる三人。お前ら後で職員室に来い」
嬢「はぁ……サボってしまったわ……」
嬢「でも、男とこれ以上顔を合わせているのは怖いし、実験も班同じだし……」
嬢「お父様が知ったら嘆かれるでしょうね……」
嬢「中庭だったら……きっと誰も来ないわよね?」
嬢「はぁ……今日はなんだかため息をついてばかりだわ」
嬢「空はルリモンハナバチのように青いのに……私の心はゴキブ――ダンゴムシのように真っ黒だわ」
嬢「危ない危ない……ゴキブリは嫌がる人が多いんだったわね」
嬢「……あら、こんなところにダンゴムが歩いているわ」
嬢「この時期にこんなところに居たら死んでしまうわ。仲間のところに戻りなさい」
嬢「……この石の下の子たちのところに帰してあげればいいかしら」
嬢「また春になったら会いましょうね」
キーンコーンカーンコーン
嬢「授業、終わったようね」
嬢「教室に戻りましょうか」
……
嬢友「ちょっと嬢、教室に来なかったけどどうしたの!?」
嬢「ごめんなさい、あの後少し気持ちが悪くなってしまって保健室で休んでいたの」
嬢友「ったく……そういうことならメールでもくれれば先生に言っといたのに」
嬢友「なんで俺の授業だけ来ないんだー! って先生カンカンだったよ?」
嬢「後で職員室に謝りに行こうかしら……」
嬢友「そういうことなら一緒に行こうよ。私達三人も遅刻したから呼ばれてるんだよ」
嬢「三人ってことは……」
嬢友「うん。私と男友君と男君だよ」
嬢「っ! ……ごめんなさい、やっぱり体調が悪いみたい。代わりに先生に言伝お願いできないかしら?」
嬢友「大丈夫? 無理しないでね……。次の授業の先生には言っておくから……」
嬢「ええ、ありがとう」
嬢「結局早退をしてしまったわ」
嬢「じいに連絡して迎えに……そういえば今朝、あんな酷いことを言ったばかりだったわね」
嬢「オオベッコウバチに食べられてしまえ、だなんて恐ろしいわ」
嬢「きっとじいも怒っているでしょうね……。歩いて帰りましょう」
嬢「大丈夫よ。歩いて三十分程度だったはずだもの」
……
嬢「道、どっちかしら……」
嬢「じいの迎えの車でしか帰ったことがないからわからなくなってしまったわ」
嬢「今からじいに連絡して……え、携帯の電池が切れてる」
嬢「公衆電話を使えば……どうしよう、十円玉が切れてるわ」
嬢「今まで来た道を戻れば……それもわからない……!」
嬢「どうしましょう……この歳で迷子になってしまうなんて……情けないわ」
嬢「ここどこかしら……」
嬢「なんだか暗くなってきたし、寒いし……」
嬢「こんな暗いところを一人で歩いたことなんてないのに……不安だわ」
嬢「これも男に酷いこと言ったから、だから私に罰が当たったの?」
嬢「うぅ……どうすればいいのよ……」
DQN1「ヘイじょーちゃん、こんなとこで何やってんのォ?」
DQN2「ここ、俺らみたいなファンシーボーイがいっぱいで危ないぜェ?」
嬢「下がりなさい愚民。それにファンシーではなくファンキーよ?」
DQN1「へっへっへ、そんなこと言わないで遊びに行こうぜェ?」
DQN2「ファンシーボーイのクーリッシュでデンジャリングなところを見せてやるぜェ?」
嬢「触れないで! 汚らしい!」
DQN1「いってェ! 何しやがんだこのアマッ!」
DQN2「ファンシーなトコ、見せちゃう? 見せちゃうゥ?」
嬢「ひっ……!」
嬢(男……助けて……!)
DQN1「いッてェッ!? 誰だテメェ!」
DQN2「あァん? 俺達に逆らおうってのかァ?」
???「今すぐ下がれよ、三下」
DQN1「あァ? 今なんつったテメェ!」
???「聞こえなかったのか? 三下って言ったんだよ」
DQN2「どうやら、よっぽどファンシーな目に遭いたいようだなテメェ」
???「はっ。どうやら三下未満のゴミムシのようだな。英語を使うときはちゃんと辞書を引いてからにしろ」
DQN1&2「うるせぇ! 死にやがれッ!」
嬢「待ちなさいッ!」
嬢「いい? ゴミムシって貴方言ったけど、ゴミムシは素晴らしい生き物なのよ?」
嬢「活動場所こそゴミ捨て場などが多いけれども、その存在は人間にとって環境指標生物としての役に立っているの」
嬢「その結果は国勢調査にも使われるほどのものなのよ?」
嬢「それ以前にあの美しいフォルム! 黒く輝き、そして元気に動き回るその姿はまるで最強の生命体のゴキブリのように凛々しいわ」
嬢「ただ黒いだけじゃない、その背には暗赤色の斑紋があるの」
DQN1「お、おい……」
嬢「これもまたチャームポイントね。これはメラニン色素が抜けて薄くなっていて、それで赤く見えるのよ」
DQN2「な、なんかやべェよこの女……」
嬢「成虫で越冬するからこの時期でも見ることができるわよ。湿ったところなどを好むわね」
DQN1&2「に、逃げようぜ!」
嬢「昆虫やカタツムリなどの小動物をエサとするのだけども、たまに新鮮な死肉も食べるようね」
嬢「またイネ科の雑草などの種子なども食べるの。ただ、似てる虫が多いから種を同定するのはとても難しいわ」
???「……」
嬢「この微妙な差異は顕微鏡で観察しないとわからないのよ」
???「おい……」
嬢「そのために用いられる方法として、ピットフォールトラップなどが挙げられるわね。いわゆる落とし穴の類なんだけども……」
???「おい!」
嬢「ひっ! え、あ、男!? あれ、さっきのDQN達は!?」
男「お前にドン引きして逃げてったぞ」
嬢「わけわかんないわ……。って、え……」
男「どうした?」
嬢「なんで……どうして……男が私と喋っているの?」
嬢「それにどうしてここに!?」
男「じいさんがお前を迎えに来たんだよ。で、もうとっくに早退したって話をしたら大騒ぎになってな」
男「仕方がないから探しに来てみれば……なんでこんな反対方向のトコにいるんだよ」
嬢「し、仕方ないでしょ! 私、歩いて家に帰ったことないんだもの……」
男「虫探しとかで歩き回ってんじゃねぇのか?」
嬢「裏山を歩き回るだけで精一杯よ。お父様が特別に整備した山だから、十年かかっても終わらないわ」
男「どんだけ虫が住んでるんだよ……」
嬢「それより! この私を半日無視するとは一体どういう了見ですの!? 寂しか――馬鹿にしてるのですか!?」
男「おい、一瞬本音が漏れたぞ」
嬢「ッ!?」カァッ///
嬢「うぅ……理由を話さなければ、私の権限を使って貴方の家にセアカゴケグモを放しますわよ?」
男「勘弁してくれよ……。わかった、話せばいいんだろ?」
嬢「Honesty is the best policy(正直は最も良い方法である)ね。聞いて差し上げますわ」
男「お前、虫好きなんだろ?」
嬢「ええ、好きよ」
男「話聞いてる限り、相当な虫マニアだと思ってさ」
嬢「それで?」
男「その、なんつーか、話をしたいと思ったんだけど、普通に話をしてもお前、高飛車な態度ばかり取ってまともな話にならねーじゃん」
嬢「そ、そうなのかしら……?」
男「だから、思い切って無視をしてみた」
嬢「な……!」
男「高飛車なお嬢様には無視が一番効くだろ?」
嬢「ちょっとそれどういう理屈ですの!?」
男「俺の思った通り、お前は慌てまくって俺の気を引こうとしたじゃねーか」
男「で、お前の素の顔を引き出したかったんだよ」
男「中庭で見たことないほど悲しそうにしてたろ、お前」
嬢「な、見てたんですの!?」
男「男友や嬢友と話をしてるときもやたら素直だったし、ちょっと怖いくらいに効果出てびっくりしたよ」
嬢「何よ……私、ハメられたの?」
男「男友や嬢友にはお前が帰るまでは黙ってたよ。でも話したら案の定蹴られた」
嬢「当たり前じゃない! そんなことをした貴方の罪は木材を食い荒らすシロアリよりも重いわよ!」
男「でも、お前って事実俺のこと、ただのクラスメイトとしか思ってなかっただろ?」
男「俺が急に喋らなくなっても一応クラスメイトとして気をかける程度だったみたいだし」
嬢「そ、それは……」
男「この冬を超えたらクラスが変わっちまうかもしれないじゃねーか。だから、今のうちに仲良くなっておきたくてさ」
男「お前とこんなに話をしたの、今日が初めてだろ? 俺の作戦大成功だぜ」
嬢「うぅ……バカ……なんてことを考える男なの……!」
男「……嬢?」
嬢「ムカデ」
男「……は?」
嬢「貴方の家の布団に“私直々”にオオムカデを仕込んで差し上げますわ! か、覚悟しておきなさい!」
男「ちょ、ちょっと待て、オオムカデはガチでやばい! アレに噛まれたら死ぬほど痛いんだぞ!」
嬢「……はぁ、そういうことを言っているんじゃないですわ」
男「は……?」
嬢「私を貴方の家にあげなさい、と言っているのよ!」
――それから一年と数ヶ月後
嬢「お父様も思い切ったことをなさるわ……まさか大学に通うために屋敷を一つ買うだなんて……」
嬢「ま、まぁ……離れた場所の大学に通うためには一人暮らししなければならないけれども」
嬢「あの過保護なお父様がそんなことを許すとは思えないものね」
嬢「結局、私の夢は叶わず、か……」
嬢「男は今頃どうしているかしら?」
嬢「……まあ、あの男ならば問題ないでしょうけどね」
メイド「あ、お嬢様! お帰りなさい!」
嬢「貴女がこの屋敷を管理するのメイド?」
メイド「はい! はじめましてお嬢様!このお屋敷の管理全般を任されましたメイドと申します! 以後、よろしくお願いします!」
嬢「とりあえず、居間に案内してちょうだい」
メイド「はい、わかりました!」
……
メイド「こちらが居間になります」
嬢「ありがとう。紅茶とお茶菓子をお願いね」
メイド「お茶菓子は何にしましょうか?」
嬢「そうね……焼き菓子がいいわ。マドレーヌかクッキーだと嬉しいわね」
メイド「かしこまりました。すぐにご用意致します」タッタッタッ
嬢「はぁ、長旅は疲れたわ。ゆっくり休みたいわね」ガチャッ
――その部屋には陽光が窓から射し込んでいた。
暖かい、暖かい光。まるで心までも癒されそうなほどに眩しい光。
カーテンと窓は開け放たれ、近くの森から風と共に緑の匂いが飛び込んでくる。
土臭いような、青臭いような、けれども不思議と心の安らぐ香り。
けれども私にとってそんな些細なことはどうでもよく、そこにいた人物が目に飛び込んでくると同時に鞄を投げ捨て、走り出していた。
男「遅かったな。待ちくたびれたぞ?」
嬢「男! 先に着いてたの!?」
男「ん、まあな。新幹線は渋滞知らずなんだぜ?」
嬢「ったく……そっちは乗り継ぎ多いから心配したのよ?」
男「町内で迷子になるお前と一緒にすんな」
嬢「う、うるさいわね! もうそのことは忘れなさいよ!」
男「忘れられるわけがないだろ? こうして今、一緒にいられる原因になった出来事なんだからな」
嬢「は、恥ずかしい言い方しないでよ!」
男「別にいいだろ? そんなことよりあのメイド、めっちゃ料理上手いな。このケーキ食ってみろよ」
嬢「ん……確かに美味しいわね。ってそうじゃなくて!」
男「なんだ?」
嬢「――ふ、ふつつかものですが……よろしくお願い……します」
私としては、狭いアパートの一室でいいから二人だけで暮らしたかったのだが、男との交際を認めてくれたお父様もこれだけは認めてくれなかった。
なんでも、そんなゴキブリの湧きそうな部屋に住ませたくない、というのが原因だそうだ。
結局メイド一人をつけての少し狭い屋敷に三人で住むことになったのである。
私としてはやや不満ではあるものの、男といっしょにこれから先、暮らすことができるので良しとしようと思う。
けれどもいつか未来、できれば近い将来に――男と二人だけで小さなペンションにでも遊びに行きたいな、と私は思った。
fin.
勢いだけで書いたので内容はグダグダだ、すまん
まったく校正もしてないし、一つ書いてから続き考えて書いては考えての繰り返しだから無理やりだし、いろいろと酷過ぎる
書き溜めもなかったし、虫の細かい説明は調べながらだったから投稿スピード遅かったし、もう読んでるやつほとんどいないだろ
本当にお目汚し申し訳ない
と思ったら案外読んでる奴多くて感動した
面白かったとか、ほんとに励みになるわ
ちなみに俺は虫嫌いだけど、インターネットで見るのは好きだ
毒持った虫の記述とか読んでるとわくわくしてくる
けど、実際に見たり触ったりするのはちょっと・・・って感じだな
お前らありがとな
そろそろ自分の執筆に戻ります
乙
面白かったぞ
>>1帰ってきてくれ
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません