P「モフらせて欲しい」有栖川夏葉「モフ……えっ!?」 (9)
1 : ◆TOYOUsnVr. saga 2019年05月19日 (日) 20:29:21 ID: wUNv0k9g0
P「あ、悪い。急に言われたらびっくりするよな」
夏葉「……ええ。詳しく説明してもらえるかしら」
P「ああ。その……なんて言えばいいのか。たまにストレスがたまるとさ」
...
渋谷凛「なぞののうりょく」 (15)
1 : ◆TOYOUsnVr. saga 2019年05月11日 (土) 16:33:18 ID: QfZnhCgW0
よく振った炭酸飲料を開けたときみたいな音をたてて、電車のドアが開いた。
乗客たちはそれが「よーいどん」の合図であるかのように、一斉に降りていく。
携帯電話を鞄へ戻し、その流れに...
【モバマスSS】時限水風船爆弾【モブ視点】 (13)
1 : ◆TOYOUsnVr. saga 2019年04月27日 (土) 23:15:55 ID: tChnMgcV0
クリアファイルをうちわ代わりにぱたぱたとさせながら歩く私の横を、自転車に乗った小学生の一団が猛スピードで通り抜ける。
先頭を走る少年の自転車の前カゴには、大量の水風船が入っていた。 ...
西城樹里「ミドリ」 (18)
1 : ◆TOYOUsnVr. saga 2019年04月14日 (日) 20:02:35 ID: jB+QKM/40
「凛世、そのままのリズムよ!」
「……はい」
「智代子、腕が下がってるわ。最後まで気を抜かない!」
「ひーっ!」
「樹里、ちょっと走ってる。ちゃんと曲を聴きな...
P「夏葉は方言出ないよな」夏葉「そうね」 (15)
1 : ◆TOYOUsnVr. saga 2019年04月05日 (金) 17:47:58 ID: Mu19C/tP0
P「この前、アンティーカの月岡さんと雑談する機会があってさ」
夏葉「ええ」
P「そういえば夏葉も地方の出身なのに方言出ないよな、と思ったんだよ」
夏葉「そうね……私...
有栖川夏葉「選ばれて、ここに」 (16)
1 : ◆TOYOUsnVr. saga 2019年04月03日 (水) 01:42:26 ID: EU7YFYJs0
レッスンルームから一歩外に出ると、じめじめとした空気が私を襲う。レッスン後のため、汗だくであることも相まって肌にまとわりつくような不快感はいつにも増して、その猛威を振るっていた。
...
有栖川夏葉「Libra」 (14)
1 : ◆TOYOUsnVr. saga 2019年03月24日 (日) 22:29:50 ID: yULJlY3j0
全身から出た汗はトレーニングウェアを上下の区別なく、ぐっしょりと濡らす。
鉛のように重くなったシャツは背中にはりついていて、格別の気持ちの悪さを誇っていた。
ダウンを済ま...
有栖川夏葉「(Sat.)ふしぎなこと」 (12)
1 : ◆TOYOUsnVr. saga 2019年03月06日 (水) 05:31:02 ID: AWnUjP/X0
「一秒だって無駄にはできない」
いつだったか、私が担当のプロデューサーに対して言った言葉が、頭の中でリフレインしていた。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp...
渋谷凛「夕空とカレー」 (20)
1 : ◆TOYOUsnVr. saga 2019年02月20日 (水) 00:39:12 ID: QG61bbmB0
人混みをかきわけて、スーツ姿の男が一直線にこちらへ歩いてくる。
「よっ」だとか「ほっ」だとか。
そんな間抜けな声を上げ、私の目の前に到着した彼は歯を見せて笑う。
...
渋谷凛「はい、チョコ」モバP「もうちょっとこう……なんかないの」 (11)
1 : ◆TOYOUsnVr. saga 2019年02月14日 (木) 22:58:29 ID: yyQGend70
凛「なんかって?」
P「ほら、心を込めて作りました。これからもずっと私のチョコもらってください! みたいな」
凛「ない」
P「最初はあったのに」
凛「そ...
渋谷凛「オーダーメイド」 (11)
1 : ◆TOYOUsnVr. saga 2018年12月24日 (月) 18:32:35 ID: EXqurGBL0
そういえばさ、と声が重なった。
ほんのちょっと間を置いて、目を見合わせる。
くすくす笑い合ったのちに、私は「お先にどうぞ?」と言う。
「それじゃあ、遠慮な...
渋谷凛「冬の日、早朝、駅前にて」 (13)
1 : ◆TOYOUsnVr. saga 2018年12月11日 (火) 00:52:42 ID: 8Cb0VKxR0
音量をできるだけ絞った、控えめなアラームが私を起こす。
徐々に覚醒していく意識で、それを止めて時計を見やる。
午前四時前、外はまだ暗い。
自室はまるで冷蔵庫の中...
渋谷凛「“いま”をどんどん過去にして」 (9)
1 : ◆TOYOUsnVr. saga 2018年12月04日 (火) 03:23:44 ID: 4N5ngplN0
ステージの袖へと下がり、安堵の息を漏らす。
そのときになって初めて、自分が拳を握りしめていたことに気が付いた。
ほんの一歩分ほどの違いしかありはしないの...
渋谷凛「きっと、こういう日々が積み重なって」 (6)
1 : ◆TOYOUsnVr. saga 2018年11月16日 (金) 02:54:56 ID: p3JDxvnj0
渋谷凛は悩んでいた。
そして、眼前の喧騒を見るでもなく眺め、何度目かのため息を吐いて、どうしよう、とこぼすのだった。
モバP「ハロウィンと言えばさ」渋谷凛「うん」 (19)
1 : ◆TOYOUsnVr. saga 2018年10月30日 (火) 23:48:27 ID: KwsE+mTl0
P「やっぱり仮装だと思うんだよ」
凛「うん」
P「だからさ」
凛「うん」
P「凛にはこのバニーガールの衣装を着て欲しいんだけど」
凛「…………うん?...
鷺沢文香「特別な一日にこそ、何でもないひとときを」 (9)
1 : ◆TOYOUsnVr. saga 2018年10月27日 (土) 00:00:06 ID: kQQBGx/C0
東から射し込む陽の光。
携帯電話が鳴動する音。
それらによって、私は目が覚めました。
まだ完全に開き切らない瞼のまま、枕元を手当たり次第に探します...
渋谷凛「前職アイドル、そしていま」 (54)
1 : ◆TOYOUsnVr. saga 2018年08月10日 (金) 00:00:36 ID: OipDTOFK0
周囲を忙しなく動き回る何かの気配で目が覚めた。
のっそりと上体を起こし、まだ重い瞼を瞬かせる。
私の周りをうろちょろとしていた気配の主は十年来の相棒、ハナコだった。
...
渋谷凛「ただいまって感じのする場所」 (24)
1 : ◆TOYOUsnVr. saga 2018年07月16日 (月) 22:19:45 ID: /aS1s4K/0
撮影を終えて楽屋に戻ると、どっと疲れが押し寄せた。
様々な服をとっかえひっかえして、ポージングをして、と撮影のお仕事は未だに慣れない。
もちろん、撮られる側とし...
モバP「おしぶ」渋谷凛「……何」 (20)
1 : ◆TOYOUsnVr. saga 2018年07月06日 (金) 02:00:10 ID: eFlU1x8P0
P「おしぶ」
凛「……それ、私のこと?」
P「そうだけど」
凛「そうだけど、じゃないでしょ」
P「あっ、不愉快だった?」
凛「不愉快……とはちょっと...
渋谷凛「夏がはじまる」 (21)
1 : ◆TOYOUsnVr. saga 2018年07月01日 (日) 03:29:49 ID: kdkVKxIA0
太陽が完全に姿を隠して、真っ暗になった浜辺を人工の光が照らす。
その光を頼りに、スタッフの人たちはてきぱきと機材を運んだり、ステージを解体したりしている。
ほんの一時間前...
モバP「惚気を聞いてくれ」渋谷凛「惚気?」 (12)
1 : ◆TOYOUsnVr. saga 2018年06月20日 (水) 21:18:01 ID: 48x+i87U0
P「そう。惚気」
凛「何? 何の惚気?」
P「いいから、いいから。とりあえず聞いて」
凛「よくわかんないけど……はい」
P「今日のことなんだけどさ、車で移動...
渋谷凛「梅雨のおかげ」 (16)
1 : ◆TOYOUsnVr. saga 2018年06月11日 (月) 00:45:35 ID: m7wvDgMq0
画面いっぱいに映し出された週間天気予報は、日本のどこの地名を見ても傘のマークだらけだった。
次に地図へと画面が移り変わり、キャスターの人が画面をぽん、と叩く。
...
渋谷凛「愛を込めて花束を」 (22)
1 : ◆TOYOUsnVr. saga 2018年04月28日 (土) 00:00:09 ID: P0hJ5EgM0
昔、父に連れられ花畑に行ったことがある。
思えば、私が両親の仕事を強く誇りに思うようになったのは、あれからだったのだろう。
もちろん、それまでも両親の仕事は子供ながらに素...
渋谷凛「ジャストライト」 (15)
1 : ◆TOYOUsnVr. saga 2018年04月13日 (金) 03:07:54 ID: NDASyQPp0
静まり返ったレッスンスタジオの廊下に、ぺたぺたという音が響いている。
同じアイドルの子や警備員の人たちは靴だから、来館者用のスリッパの音だとわかった。
そして、利用時間を...
モバP「今日は凛に渡すものがあります」渋谷凛「え、何。急に改まって」 (13)
1 : ◆TOYOUsnVr. saga 2018年03月14日 (水) 00:34:11 ID: bsBodHjT0
凛「それで、何? 渡すものって」
P「ここだと問題があるから、第二会議室まで来て」
凛「……なんか緊張してる?」
P「してる」
凛「まぁいいや。私は第二会...
渋谷凛「ハーゲンダッツさん」 (11)
1 : ◆TOYOUsnVr. saga 2018年03月10日 (土) 00:31:03 ID: eLb1veNO0
「りんー」
プロデューサーが自分のデスクから私の方へと声を投げる。
「りーん」
私が事務所のソファで休憩していると、プロデューサーはいつもこうして横着に私を呼び...
モバP「凛って髪めっちゃ長いよな」渋谷凛「今更?」 (17)
1 : ◆TOYOUsnVr. saga 2018年03月06日 (火) 00:32:56 ID: 7DNiVS7/0
P「見てたらめっちゃ長いなぁ、って思って」
凛「まぁ、うん。長いけど」
P「ちょっと触ってもいい?」
凛「……? よくわからないけど、はい」
<...
北条加蓮「運命的、あるいは作為的」 (55)
1 : ◆TOYOUsnVr. saga 2018年02月08日 (木) 01:43:12 ID: 1k4n5Mtx0
奇跡だとか、運命だとか。
その類の言葉があまり得意ではなかった。
目に見えない存在に成果を横取りされている気がして、どうにも好きになれなかったのだ。
何より、こ...
モバP「ノースリーブのタートルネックってエロくない?」渋谷凛「……え?」 (21)
1 : ◆TOYOUsnVr. saga 2018年02月02日 (金) 01:44:50 ID: BHsgrPsN0
凛「いや、えっ?」
P「ノースリーブのタートルネックってエロくないですか、って」
凛「それ。私を見て言ってる?」
P「他にどこにノースリーブのタート...
渋谷凛「それはきっと、私にとっても記録的大雪」 (22)
1 : ◆TOYOUsnVr. saga 2018年01月22日 (月) 23:33:10 ID: Ths8Jl5j0
「降ってきたな」
窓の外をちらつき始めた雪を眺めていたところ、背後から声をかけられた。
声の主は私のプロデューサーで、手には二つマグカップを持っている。
「気が...