心臓「はー疲れた、少し休もうかな」(130)

俺「おいやめろ」

心臓「ん?動くのやめてほしいの?」

俺「いやそうじゃなくて」

心臓「あー疲れたなーしんどいなー」

俺「すいませんすいません」

心臓「俺働いてんだからお前も俺を見習って働こうぜ」

俺「うるせぇ俺を見習って働くのやめろ」

肝臓「……」

腎臓「……」

肺「あいつら最近疲れてないか?」

心臓「沈黙の臓器だからな」

胃「人体ってマジブラックだわ」

俺「食いすぎた……」


肺「ねえちょっと、狭いんだけど」

胃「え、俺?」

肺「もっとそっち行ってよ」

胃「無茶いうな」

肺「うりゃー!」グイ

胃「やめて中身出ちゃうからやめて」

横隔膜「お前らいい加減にしろ」

俺「ポテチうめぇ~!!!!」バクバク

心臓「」ドクッドクッ

肺「最近つらそうだな?」

心臓「あぁ、血圧上がってるんだ」

肺「循環器は大変だよな」

心臓「部下の血管達もかなり疲弊してるし、最近筋肉痛気味なんだ」

肺「誰だよ血圧上げてるの」

心臓「たぶん腎臓だと思う。アンジオテンシン出してる」

肺「けしからんな。抗議してくる!!」

心臓「よせって。あいつが一番大変なんだから」

腎臓「……」アセアセ

肺「おい、腎臓のヤツかなりくたびれてるぞ」

心臓「あいつまじめで繊細なヤツだからね。何があっても
    不平不満言わずにがんばってきたんだ」

肺「何で血圧上げてるんだ?」

心臓「あいつ、血液の老廃物取るのが仕事じゃん? でも働き過ぎで
    機能低下してるからその分余計に血流が必要になってるんよ」

肺「それで血圧あげてまで仕事してるのか」

心臓「そう。でもあいつ自身高血圧の影響を受けやすいから、身を削って
    仕事してるようなものなんよ」

肝臓「腎臓だけじゃないよ。俺だってこのザマさ。酒ばっかり
    流し込みやがって」

胃「俺だってストレスで肌荒れちまってるし」

肺「うわぁ~、消化器も悲惨だな」

肺「と言いつつ俺もツライんよ。最近あいつタバコ吸い始めたし」

肺「ゲホ、ゲホ」

心臓「最近調子悪そうだな?」

肺「あ、あぁ、大したことねぇよ」

心臓「おい、お前肺胞つぶれてるじゃねえか!!!!」

肺「は、はは、こうまでなっちまったらもう隠し通せねえか……」

肺「肺気腫だよ。こうなっちまったらもう元には戻せん」

心臓「お前……これからどうなるんだ?」

肺「徐々に呼吸機能が低下してゲホッ ゲホッいってしまう」

肺「酸素を十分に供給してやれなくなるから、みんなにも迷惑掛けちまうな」

俺「はぁはぁ……」

俺「最近息切れしやすくなったな……まあ、体力が落ちただけだろ」

俺「さてと、やっぱ休みの日はバーガーとコーラしながらアニメ鑑賞と
  しゃれ込もうか!!」

ゴクゴク……


血液A「おい、なんか血糖値上がってるぞ!!」

血液B「膵臓なにやってんだ!!」

膵臓「わ、わかってるよ、はぁはぁ……なんでインスリンが効かないんだよ……」アセアセ


俺「やったら喉かわくなぁ」

俺「コーラ切れてるじゃねえか。買いに行くか」

俺「かったるいから車使おう」

俺「はぁはぁ……息苦しさが尋常じゃねぇ。いったい何なんだよこれ」


肺「……」

心臓「肺のやつ、もう限界だな。肺胞が破壊されて正常な細胞がほとんどない」

心臓「この体もそろそろ……うっ、か、冠状動脈どうした!! 養分がこないぞ!!」

冠状動脈「す、すみません。け、血管が狭窄を……」

心臓「狭心症……ついに俺も……」


俺「うっ、なんだこの胸の痛みは!?」

俺「うっ、だずけでぇ」

ピーポォ ピーポォ ピーポォ ピーポォ

血管「……」

血液「……」

心臓「諸君、循環器を代表して、私から告げねばならんことがある」

心臓「単刀直入に言うと、もうこの体はダメだ」


ザワザワ ザワザワ


心臓「見ての通り私も、冠状動脈に狭窄を起こしていて
   いつ心筋梗塞になってもおかしくない状態だ」

心臓「私だけではない、肺・肝臓・腎臓・膵臓……みんな
   いつ倒れてもおかしくない状態だ」

心臓「君たちの身を削っての働きに、私は敬意を表するとともに
   なにもしてやれない自分の無力さを詫びたいと思う」

盲腸「今日もネトゲやってからVIPでゆとり煽るおwwwwwwニート最強wwwww」

胃「おい、循環器の連中、もうお通夜ムードだぜ」

小腸「そりゃあ、心臓があれじゃあねえ」

大腸「肝心(腎)って言葉あるだろ? あれって肝臓と心臓・腎臓のことなんだぜ」

胃「つまりこの体は、その肝心かなめの臓器がほぼやられてるわけだ」

大腸「そう。だからお前らも身の振り方考えておけよ」

小腸「はははっ、移植用臓器として他の体へ行くってか?
    拒絶反応でいじめられてボッチだぜ?」

胃「それならここで死ぬわな、ハハハ…ハ………」

小腸「おいおい、どうした?」

胃「い、いや、ちょっと具合が」

大腸「どれ、ちょっと粘膜見せてみろ……ガンは無いよな?」

小腸「うん、綺麗だよ」

胃「そ、そっか……(まさか、スキルス!?)」

盲腸「あんまりニートしてると摘出されるから適度にハロワいくおwwwww」
盲腸「うはwwwwwブラックだらけwwwwwオワタwwwwww」

大腸「ところで、こいつ救急車で運ばれたらしいぜ」

小腸「それからどうなったんだろう? 脳からの情報が全然こないな」

胃「な、なぁ、それってまさか、脳死ってやつなんじゃ……」

大・小・胃「!!!!!」

大腸「い、いや待て。まだそうと決まった訳じゃない」

小腸「そ、そうだ、神経のヤツに聞いてみよう」

小腸「おい神経、今の状況脳から聞いてこい!」

神経「ガッテンです!!」

………………………
……………………
…………………

胃「おい、返事がないな」

小腸「てことはやっぱり……」

大腸「あるいは、神経がどっかで切れてるのかも……」

脳「俺ならいるよ」

小腸「お、おい脳! いるんなら会話に混ざれよ、心配したじゃねえか!!」

脳「ゴメンゴメン、俺もいま意識取り戻したばっかだからよ」

大腸「それで、状況どうなってる?」

脳「たぶんもう少ししたら医師から病状告げられるはずだから
  お前らストレスに備えておけよ」

胃「やべえな、今回のストレスアタックは最大級の威力だろ……」

小腸「お前、今度こそ穴あくぞ」

胃「やめろよ嫌なこと言うの。ただでさえ調子悪いんだから……」

脳「まあ、人間いつかは死ぬ。それが早いか遅いかの違いってだけ」

大腸「なんでんそんな楽観的なんだよ」

脳「みんな病気になる前はこんな風に考えてるんだぜ? バカだろ?」

俺「う、う~ん……」

医師「気がつきましたか?」

俺「ここは?」

医師「病院の集中治療室です。あなたは道で倒れていたところを
   ここまで運び込まれたんです」

俺「あの、俺、急に胸が苦しくなって、それから……」
俺「先生、この胸の苦しさは何なんですか? はっきり仰って下さい」

医師「……では申し上げます。まずあなたは肺気腫という
   病気にかかっています」

俺「肺気腫?」

医師「ええ。肺というのはスポンジ状の臓器なのですが、あなたの肺は
   そのスポンジの目が壊れてしまっている状態なのです」

俺「……治療するにはどうしたら?」

医師「一度壊れた肺胞を元に戻す方法は、現代の医学ではありません」

俺「そ、それじゃ俺は……」グサッ

胃「やべえ、キリキリしてきた」

医師「それからですね……」

俺「ま、まだ病気があるんですか?」

医師「ええ」

俺「」

ドック ドック ドック ドック ドック ドック ドック ドック ドック……


心臓「な、なんだよこれ。脈が上がって……」

胃「や、やべぇ」キリキリキリ

肝臓「おいしっかりしろ二人とも!!」

肝臓「誰か来てくれ!! 心臓と胃の様子がおかしい!!」

血管「つったって、こっちだって手一杯なんだよ!!」ドクドク

ドック ドック ドック ドック ドック ドック ドック ドック ドック……

血圧150/100 → 210/140  心拍数200


心臓「うっ、うぐぅ……」ドックドック

血管A「だめだ!! 脈圧に血管壁が耐え切れねぇ!!!!」

血管B「自律神経は何をやってるんだ!!!!」


腎臓「ぐ、ぐはぁ!!!!」

肝臓「腎臓!!!!」

腎臓「……」

小腸「ダメだ、糸球体が潰れてやがる! こいつはもう使い物にならねぇ!!」

俺「」ガクガク

医師「お気を確かに」

俺「……せ、先生。俺の命は、あと、どのくらいなんですか?」


心臓「」ドックドックドックドックドックドックドックドックドックドック

胃「」キリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリ


医師「……持って」

俺「……持って?」


ドック ドック ドック ドック ドック ドック ドック ドック ドック……

心臓「う、うぅ……」ドックドックドックドックドックドックドックドックドックドック

胃「くっ……」キリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリ

医師「あと1年がいいところかと」

俺「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

心臓「ぐはあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」

胃「がはぁああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

脳血管「ぶっち───────────!!!!!!!!!!!!!!!!」



ピィ──────────

_________∧∧____


──────*──────

──────

医師「……ご臨終です」

小腸「他のみんなは?」

大腸「先に逝っちまったよ。俺たちもすぐに冷たく固い肉の塊になっちまう」

小腸「なあ大腸。俺たち、何のために働いてきたんだろう?」

大腸「さあな。臓器ってのは目的があって付いてるもんだ。いらない
   臓器なんて無い。でも、その目的を知ってるのは、この体の持ち主だけだからよ」

小腸「この体の持ち主は、いったい何を目的に生き、何を得て死んでいったんだろう」

大腸「そいつは分からない。だが、これだけは言える。俺たちの役目は
   生まれてから死ぬまでの間、この体を生かすこと」

大腸「それがたとえ長かろうと短かろうと、今死を迎えたってことは
   俺たちはその役目を全うできたってことじゃないかな」

小腸「そっか……そうだな……俺も眠くなってきた……じゃあな大腸」

大腸「ああ……おやすみ」


こうして臓器達はその役目を終えた。今も臓器達はあなたの体の中、あなたの意志とは
無関係なところで働き続けている。

生きている喜び、人生を謳歌すること。それが彼ら臓器の働きに
報いる唯一の方法なのではないだろうか

END

   /.   ノ、i.|i     、、         ヽ
  i    | ミ.\ヾヽ、___ヾヽヾ        |
  |   i 、ヽ_ヽ、_i  , / `__,;―'彡-i     |
  i  ,'i/ `,ニ=ミ`-、ヾ三''―-―' /    .|

   iイ | |' ;'((   ,;/ '~ ゛   ̄`;)" c ミ     i.
   .i i.| ' ,||  i| ._ _-i    ||:i   | r-、  ヽ、   /    /   /  | _|_ ― // ̄7l l _|_
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  'ノ  .. i ))  '--、_`7   ((   , 'i ノノ  ヽ
 ノ     Y  `--  "    ))  ノ ""i    ヽ
      ノヽ、       ノノ  _/   i     \
     /ヽ ヽヽ、___,;//--'";;"  ,/ヽ、    ヾヽ

あ、俺1じゃないんだけど勝手に書いた。
乗っ取ってすまん。
俺は医者じゃないから間違いだらけだぞ。

あと、お互い体には気をつけような!!


頭髪「はぁー、そろそろここから抜けるか・・・」

俺 「」

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