食蜂「永遠に変わらない心と愛」 (737)

このSSは上条「よう、操祈じゃねーか」の続編です

新約編ではなく、あくまでもあのSSの続きとなっております。ご了承ください。


※このSSの設定として、みさきちの能力は上条さんに一切効きません。お願いします

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1382191432


ー8月・真夜中ー

「あ~あ……ったく嫌になるぜ」

真夜中の路地裏にて、背の高いホスト風の男はそう呟いた。

今しがた自らの手で殺した、クローン人間を見下ろしながら。

「レベル6になるためとはいえ、こんなに弱い奴らを殺しまくるなんて胸が痛むよ全く…」

血だまりの中でうずくまっている死体から視線を外さないまま、罪悪感の欠片も感じさせない声音で言い放った。


その表情は、ひどく無表情で。


「これで何人目って言ってたっけコイツ?……ま、たいしたことじゃねーか」


彼の名は垣根帝督。学園都市が誇るレベル5の第二位である。レベル5の中で第一位の一方通行と肩を並べることが出来る
唯一の存在であり、無論、第三位以下とは圧倒的な力の差がある。第三位以下に負けることなどありえないと彼は自負していた。

垣根(なんとしてでも統括理事との交渉権を手に入れてやる……たとえ二万人を犠牲にしてでも)

学園都市第二位・垣根帝督は、死体には目もくれずにその場を後にした。


残るは、血まみれの肉塊のみ―――


ー8月14日ー

食蜂「ここよぉ!当麻さんと絶対行きたいって言ってたお店!四季の花全部そろってるの!」

上条「さすがは学園都市……ってか、俺実は花全然詳しくないんだよな…」

食蜂「あらぁ?私は大好きよ?」

上条「やっぱ女の子だなぁ操祈は」

夏休み中盤。上条と食蜂は学園都市の花屋を訪れていた。上条は記憶を失ってまだまだ日が浅いため、食蜂は毎日ほとんどの時間を
彼と一緒に過ごしていた。あの日、病室で約束した「これからたくさん思い出を作る」という約束を実行しているのもあるが、純粋
に上条と過ごすことが楽しいのである。彼と一緒にいれる幸せを噛み締めながら日々を過ごしていた。


食蜂「みてみて当麻さん!コスモス!」

上条「おお、それなら上条さんでもわかりますよ!よくみるやつだもん!」

食蜂「コスモスの花言葉はね、乙女の愛情とか、乙女の真心とか、すごく綺麗なのよぉ」ニコニコ

上条「確かに綺麗な花言葉だなぁ…操祈にぴったりじゃないか?」ニッコリ

食蜂「も、もう!当麻さんたら!/////」

食蜂と上条は見事なバカップルッぷりを花屋の店員に見せつけながら、様々な花を見ていった。この店に来た当初はあまり
興味のなかった上条だが、食蜂の満面の笑顔と彼女が教えてくれる花言葉でだんだんと花に対して興味を持ち始めていた。



上条「なぁ操祈。この花はなんて名前なんだ?」

上条はある花を指差して食蜂に尋ねた。がくの色が赤・紫・黄や白など豊富に彩られていてとても可愛らしい。

上条の何気ない問いに、食蜂はぎゅっと拳を握り締め、それを震わせた。



―――落ち着いて。もう吹っ切れたはずじゃない



軽く深呼吸をして、彼の目をしっかりと見据えて答えた。

食蜂「…………この花は、スターチスっていうのよぉ」

上条「スターチス?」

食蜂「そう」




食蜂「私の大好きな花」




上条は疑問に思った。なぜ彼女がこのスターチスという花が好きなのか、ということではない。




――――――どうしてそんなに悲しそうな顔をしているんだ?


とりあえずプロローグおわりです
読んでくださった方々ありがとうございました!!

続編遅れてしまって申し訳ありませんでした!一方通行のSSに手間取ってしまって…これからはこのSSに専念できそうです!

期待せざるを得ない

上条「よう、操祈じゃねーか」の続きとな!?超期待!!

>>1
一方さんがホモのSS、あれはあれで良かったヨ!
原作の一方さんって上条さん大好きだし、上条さん漢にもフラグ立てまくってるし!

いまって人いるかな?いたら投下しようかと思います

あざーす投下しまーす



しばらくして、上条と食蜂は花屋を出て次の目的地へ向かおうとしていた。


スターチスのことを尋ねて以来、食蜂との会話がどうにもぎこちない。いくら鈍感な上条でも、何か地雷を踏んでしまったのか
と心配になっていろいろと考え込んでしまう。


いったい、あの花にはどのような思い出があるのだろうか


上条(ん?思い出?)

上条はふと思いつく。つい最近今までの思い出をすべて失って、一人の少女を悲しませた男がここにいるではないか。


上条(……もしかして俺のせいか……?)

一方通行「ウホっ!いい三下ァ!」





食蜂は思い出していた。まだ学園都市に来る前のことを―――




食蜂はひとり、公園のブランコに揺られていた。


食蜂「うう…ぐすっ…」


「あれ?君、どうしたの?」

うつむいていた食蜂に降りかかってきた優しい声。普段の生活で、こんなにも優しい声を同じくらいの年の子にかけて
もらったことがあっただろうか。顔をあげてその少年を確認してみた。

その少年はにっこりと微笑んでいて、しっかりと食蜂の目をとらえていた。


少年は尋ねた。


「きみの名前は?」

食蜂「しょくほうみさきっていうの…」

「みさきちゃん、どうして泣いていたんだ?」

食蜂「そ、その…みんなが、わたしの目はおかしいっていうの…」

「そうかな?すごく綺麗な目だと思うけど」

食蜂「ほんとうに?」

「本当だ」

その少年は真剣なまなざしで答えてくれた。今の食蜂にとって、そのまなざしはとても温かくて。眩しくて。

「星がきらきらしてるみたいだよ。とっても綺麗だ」



「もし信じられないってんなら、これやるよ」

少年は左手に持っていた花を食蜂の目の前に差し出した。

「もらいものなんだけど、君が持ってるほうがこの花もうれしいだろ」

食蜂「かわいいお花……ありがとう」


食蜂「なんてなまえの花なの?」



「ああ」



「スターチスって花だ」


食蜂「スターチス……」

「花のまんなかに星みたいな白いのがあってかわいいだろ?」



快活な笑みを浮かべてそう言う少年の、「かわいい」という言葉になぜか胸がドキドキしてしまう。自分に言われた
わけでもないというのに―――。

「その花の花言葉は、<永遠に変わらない心>って言うらしいぞ。この花を受け取ったからには俺を信じろよ」


「おまえはどこもおかしくなんてねーよ」


「じゃーな!もう泣くなよ!」

食蜂「ちょ、ちょっと待って!あなたのなまえを教えてほしいの!」

「俺の名前なんか聞いてどうすんの?」

食蜂「い、いいじゃない!教えて!」



「上条当麻ってんだ。じゃーな~」フリフリ



―――――――――――――――――

―――――――――

――――

それは、初めて彼と出会った記憶。大切な記憶。
あれからだろうか。自分が星のグッズを良く使うようになったのは。


頭ではもう分かっている。彼はもうそのことを覚えていないのだと。
だが自分はまだ覚えているのだ。それが食蜂の辛さを増大させていた。

食蜂(……馬鹿ねぇ…私は…)

食蜂(記憶なんかなくても、当麻さんは変わらない……)



上条「……あ、あのさ、操祈。あのスターチスって花、欲しかったりする?えっと、買ってこようか?」オロオロ

なんとかこの空気を打破しようととりあえずそんなことを提案してみた上条だったが、さらに空気が悪くなったら
どうしようという不安でいっぱいで、食蜂の顔もまともに見れずにオロオロしていた。



食蜂「……………………くすっ」



―――――記憶なんてなくても、彼さえいれば自分は大丈夫だ


あらためて彼の優しさを実感した食蜂は、にっこりと微笑んで答えた


食蜂「ええ、ありがとう。喜んでいただくわぁ」

すみません急用が入りました。続きは夜にでも。ほんとすいません

>>17
あとこいつ俺のリアフレです。俺んちで3DSで投稿したようです。混乱させてしまい申し訳ありません

一方通行「あァ…次はそげぶだァ…」

こんばんは!大変申し訳ないんですが、投下出来ません。しっかり構想を練っていきたいので明日まで待っていた抱きたいです。すみません

ちょっとですが投下しますー



『絶対能力進化計画』


それは、学園都市第一位である一方通行をレベル6へと押し上げるための計画だった(表向きの話ではあるが)。
しかし一方通行本人は

「俺は人を殺す暇があるならコーヒーを作る」

と言い張り、この計画に見向きもしなかったのである。そのため、計画を続行するにはどうしても代わりとなる
人物が必要だった。そして、この学園都市において、一方通行の代わりが務まるのはたった一人しか存在しない。


学園都市第二位   垣根帝督


第一候補の一方通行が蹴った権利を第二候補の彼が拾い上げることによって、無情にも計画は続行された。



その計画内容は、第三位<超電磁砲>のクローン二万人を、二万通りの戦闘パターンで殺害するという恐るべきものだった―――



ぐちゃり


夕方の路地裏にて、一人のクローン人間が殺害された。だが、殺した者が咎められることはない。そのクローン人間は
一人の男に殺されるために生まれた存在であり、逆に殺した男は研究者たちに「よくやった」と賞賛の声を浴びること
になるはずである。


アスファルトが鮮血で染められていく。それを無表情で眺める男――垣根帝督。
彼はクローン人間を殺したとき、いつも無表情だ。いつも。


垣根「たしかコイツ…10031号だとか言ってたっけ……」


垣根「疲れるなぁもう」

―――――――――――――――

――――――――

――――



街は夕日に照らされ、美しいオレンジ色に染め上げられていた。
街中では多くの学生たちが夏休みを謳歌しており、それはこの二人も同様だった。


上条と食蜂はすっかりいつものバカップルっぷりを取り戻し、食蜂は満面の笑みで上条の腕に自身の腕を絡ませていた。
もう片方の手には、先ほど彼からプレゼントしてもらったスターチスがしっかりと握られていた。


上条「そういえば操祈に聞きたいことがあったんだよ」

食蜂「なぁに?当麻さん」

上条「御坂美琴ってどんなやつなんだ?」





食蜂「…………………は?」


先ほどの上機嫌とはうってかわって一気に負のオーラを放出させる食蜂。普段の彼女からは想像もできない(上条以外の
人はわりとすぐ想像がつくだろうが)雰囲気に思わずぎょっとする上条。


上条(こ、これも地雷!?今日も上条さんは絶好調です!)

自分の不幸を心の中で嘆いていると、彼女にしてはかなり低い声で尋ねられた。

食蜂「で、当麻さん。どうして御坂さんのことを聞くのかしらぁ?」

上条「あ、あのさ、今日公園で待ち合わせしてただろ?で、ベンチに座って待ってようと思って座ってたんだよ」

上条「そしたら御坂ってやつから話しかけられたんだ。以前の俺を知ってる風でさ。俺とあいつって親しい友人だったり
したのか?」

食蜂「御坂さんとあなたが…………………?」



気に食わないの一言だった。愛する上条があの第三位と知り合いだったことも勿論だが、彼の話から察するに
御坂は親しい友人のように話しかけたらしい。まったくもって許しがたい。


食蜂にとって、上条が自分以外の他の女と仲良くすることは苦痛でしかない。上条が恋愛感情を持ってないのが明確な
インデックスはまだ許せたが、御坂美琴は見過ごすことができない。
早急に手を打ち、上条に近づけないようにしなくては……


そう思った矢先だった。



上条「ん?あれ御坂じゃないか?」


上条が、すぐそばで道を歩いている御坂美琴らしき人物を発見したのだ。


食蜂「と、当麻さん!あっち行きましょぉ!?」グイグイ

上条「え?いや、無視はどうかと思うぞ?」

食蜂は必死に彼の腕を引っ張るが、食蜂の力では上条はビクともしなかった。

上条「よう御坂」




「なんですか?とミサカは初対面のあなたに声をかけられて驚きつつも対応します」



上条「あれ?その口調、妹の方か」


食蜂(妹……?)


上条「てか初対面って……公園で会っただろ?」

御坂妹「いえ、あなたと私は初対面です、とミサカは事実を述べます」

上条「え?それってどういう……」

御坂妹「………失礼します、とミサカは言葉を濁して立ち去ります」スタスタ

上条「あ!おい!」


食蜂(もしかして……絶対能力進化計画の……)


今日はここまでです。見てくださったかた、ありがとうございました。
また明日来ます

すみません。今日も投下は無理なようです。色々あってちょっと精神的に参てます。期待してくれれる方がいてくれるかはわかりませんが、もう少し時間ください。すみません

お久しぶりです!今日の9時頃投下します!待っていただいた方、感謝です!

遅れました!投下します!

上条「不思議なやつだな~……ん?どうかしたのか操祈」

食蜂「い、いえ…大丈夫よぉ」

食蜂はなんとか平静を装った。彼がこの計画を知ってしまったら、あの第二位に挑みかかって殺されてしまうかも
しれない。それだけは何としてでも避けなければいけない。



だが、世の中とは思い通りにならないことばかりだ


それは、上条の提案だった。

上条「近道があるんだ。そこのほうが早く帰れるぞ」

食蜂「近道?」

上条「ああ、最近見つけてな。ちょっと狭い路地なんだけど、けっこうな時間短縮できるぜ」

そんな上条の提案に特に反対する理由はなく、その路地を通って行こうと決まった。


だが、それは――――――

――――――――――――

―――――――

――――

上条は立ち尽くしていた。
目をこれでもかと見開き、顔を真っ青にしながら。


上条「うっ…」

よろよろと少し離れたところへ行き、盛大にぶちまけてしまう。

食蜂「と、当麻さん!しっかりしてぇ!!」

あわてて上条の元へと走り、必死で背中をさする。


上条「なんだよこれ……………」

少し落ち着いた上条は、暗いまなざしでそれを見る。

そこには、見覚えのある少女が血だまりの中で絶命している凄惨な光景が広がっていた。
壁には血しぶきが何箇所もついており、それらはまだ乾ききっていなかった。
それはつまり、ほんの少し前にこの残忍な行為が行われたということである。

上条「どうして…御坂妹が…さっきまであんなに元気だったのに……」



食蜂「………」


やはり、この世界はつくづくうまくいかない。彼には、彼にだけはこの計画を知られて欲しくなかった。
彼はおそらく、何としてでも殺した相手を見つけ出し、計画を止めようと奮闘するのだろう。
だが、彼の持つ幻想殺しがいくら能力を無効に出来たとしても、第二位に勝つのはあまりにも難し過ぎる。



でも、どうすればいいの?



このまま放っておいても、彼は必ず解決に乗り出すだろう。かといって自分が計画のことを伝えたら、あの第二位に
挑みかかってしまうはずだ。


彼の異常なまでの「善」は、間違いなく今回も働くだろうという確信があった。


一旦路地裏から出た。人気はほとんどなく、ここならば落ち着いて話が出来そうだった。

上条「………操祈」

上条は振り返り、食蜂の目をしっかりと捉えて離さない。その真っ直ぐな視線に思わず目をそらしてしまう。

上条「何か知っているんなら、教えてくれ」


食蜂「……根拠は?」


上条「顔を見りゃわかるさ」


上条「伊達に恋人やってねぇよ」



食蜂は目を閉じて深呼吸し、覚悟を決める。


――――もう誤魔化しきれない



その後、御坂妹と思われる遺体を確認しようと路地裏に戻った二人だが、遺体は跡形もなく消え去っていた。
遺体だけではない。辺り一帯に散っていた大量の血しぶきも一滴残らず消滅していた。

上条はそれに戦慄すら覚える。

見えないところで、何か大きな力が働いているような気がしてならない。


そしてそれは、間違いなどではなかった。


二人は現在、いつもの公園のベンチに腰掛けていた。食蜂の抱えるスターチスの花束が寂しげに揺れる。
すでに日は沈みかけ、周りには二人以外誰も見当たらず、盗み聞きされる心配はない。
仮に盗み聞きされていたとしても能力で簡単に消去できるのだが。


食蜂は、自分が知っていることをすべて話した。


この計画は何のために行われているのかということ


御坂美琴のクローン人間は大量に生産されており、あの路地裏で遺体となっていたのは別の個体かもしれないということ


それらの情報は研究員の心を覗いたときに得たこと


そして―――



食蜂「この計画の核となっている、第二位・垣根帝督」



食蜂「第一位と唯一肩を並べることが出来る超能力者、らしいわぁ…」


上条「そいつがどんな能力を使うか、分かるか?」

食蜂「詳しくは分からないけどぉ……『破壊』の第一位に対して『創造』を司る能力、としか分からないわねぇ…」

上条「そうか…」

上条「御坂本人はこのことを知ってるのか?」

食蜂「……たぶん知らないと思うわぁ…知ってたら、こんな風に計画を野放しにしていないと思うしぃ…」

上条「………だよな」


少し考えるようなそぶりをしてから、上条はすくっと立ち上がり、不自然なほど明るい声で言った。


上条「まぁもう遅いし、とりあえず帰ろう。送ってくよ」


食蜂はなんだか非常に嫌な予感がした。もしかして彼は……


食蜂「当麻さん、まさか一人で第二位を探そうとしてるんじゃないでしょうねぇ?私を送ったあとに」


上条「ちげーよ。ちゃんとお前を送ったら家に帰るって。インデックスが腹をすかせてるだろうしさ」


それでも食蜂の疑念は消えなかった。彼が本当に家に帰るのか、見張らなくてはならないだろう。


食蜂「じゃあこうしましょう。私があなたを寮まで送るわぁ。それでちゃんと寮に帰ったのを確認したら、
私はタクシー(と言う名のそこらへんの一般車)で常盤台まで帰る。どうかしらぁ?」

上条「それでいいぜ」


その後、上条はいたって普通だった。急に走り出したりして食蜂を振り切ったり、などという行動も特になく、
無事彼の寮へとたどり着く。

上条「ありがとな、操祈。ちゃんとタクシー見つけられるか?」

食蜂「大丈夫よぉそれくらい。それじゃあまたね、当麻さん」

上条「ああ、また」




上条が部屋の中に入ったのを確認した食蜂は、夜風に揺られるスターチスの花束をぎゅっと握り締めた。
そうして、急いでタクシーを捜し始める。


―――念のため、やるべきことはやっておきましょう




上条「ただいまインデックス」


禁書「おかえりなんだよとうま」


上条「悪いな遅くなって」


禁書「おなかペコペコなんだよ……」ぐう~


上条「あはは、ったく仕方ねぇなー。すぐ作るからちょっと待ってろよ」


禁書「楽しみなんだよ!」


上条「なぁインデックス。今日は何して過ごしたんだ?」カチャカチャ


禁書「スフィンクスと一緒に遊んだり、テレビ見たりしてたんだよ!当麻とも遊びたいかも!」ごろごろ


上条「ああ。明日は多分大丈夫だから、一緒に遊ぼう」


禁書「本当!?嬉しいんだよ!」


上条「楽しみにしとけよ~…っと、ご飯できたぞ~」


禁書「ごはん~~~♪」




禁書「今日の晩御飯もおいしかったんだよ!ありがとうとうま!」げふー


上条「喜んでもらえて何よりだ」


禁書「さて、お風呂入ってくるんだよ」


上条「おう」


禁書「いいお湯だったんだよ」ほかほか


上条「さっぱりしたか?」


禁書「うん!」








禁書「………ねぇとうま。何かあった?」



上条「………どうしてそう思うんだ?」



禁書「顔を見ればわかるかも」



上条「……そっか」


禁書「そうなんだよ」


上条「…………」


上条「なぁインデックス」


禁書「何かな?とうま」




上条「俺、今から戦ってくる」




禁書「…………」



禁書「また、誰かのために戦うの?」



上条「いや」



上条「自分のために戦うんだ」




禁書「………そう」



禁書「早く帰ってきてね」


上条「ああ」


上条「待っててくれ」

疲れた…18レス投下は初めてでした…
今日はここまでです。読んでくれた方、待ってくれていた方ありがとうございました!

次回は、できたら明日投下します

昨日はマジすいませんでした
今日こそは投下しますから!
21時頃に投下します!

おす!!
投下する!!!

バタン


上条は寮の扉を閉じ、再び外へと出た。その目的はただひとつ。あの狂気に満ちた計画を止めること。


御坂妹のために。自分のために。


上条「どこから探そうか……」

学園都市は一人で一つの場所を、一晩で探し出せるほど狭くはない。場所を絞って考えなければ発見は困難を極めるだろう


上条(人目につかない場所なのは間違いねぇ。見落とさないように気をつけなきゃな…)

今にも走り出そうとした、その時だった。




「待って」




後ろから、もう聞き慣れた恋人の声が響いた。反射的に振り向いてしまう上条。

上条「操祈……」

食蜂は軽くため息をついて、呆れたような声を出した。

食蜂「やっぱりねぇ……こんなことだろうと思ってたわぁ」

上条は苦笑しながら、ばつの悪そうな声で尋ねる。

上条「やっぱバレてた?」

食蜂「当然でしょぉ?あなたの顔を見ればわかるもん………でも、分からないこともあるわねぇ…」

すうっと深く息を吸った。

食蜂は今まで我慢していたものを吐き出すがごとく、大声で彼へと訴える。



食蜂「どうして!?どうして今日会ったばかりの人に、そんなに必死になれるの!?」


食蜂「当麻さん、言ってくれたじゃない!私とずっと一緒にいてくれるって!!」


食蜂「もしあなたが殺されちゃったら、私はもうこの世界で生きていけない!!記憶を失くすのと死ぬのは違うの!!!
もう私を一人にしないで!!」


食蜂「自己満足のために命を捨てちゃだめ!!」


溜まっていた感情を爆発させた食蜂は、肩で息をしながら彼の返答を待った。

だが、上条は怯むことなく、堂々と言い放った。


上条「確かに自己満足かもしれねぇ。でも、それでたくさんの命が救えるなら自己満足でかまわない」


上条「それに、お前を一人になんて絶対にしないさ」


上条「俺は死なない。絶対にお前のそばから消えたりしねぇ」







上条「信じて待ってろ」







そう言って快活な笑みを浮かべてやると、食蜂は少し、ほんの少しだが安心したような表情を見せた。


食蜂(やっぱりダメねぇ……相手はあの第二位なのに、当麻さんの笑顔を見ると何とかなるんじゃないかって思っちゃう…)


食蜂「第二位の場所…知ってるのかしらぁ?」

上条「いや、これから探すつもりだったんだ」

食蜂は驚いたような、呆れたような顔をして、静かに言う。

食蜂「場所、教えてあげる。このメモ用紙に場所が記してあるわぁ」スッ

上条「知ってるのか!?」パシッ

食蜂「いったん常盤台に戻って、大勢の取り巻…友達に協力してもらったのよぉ」

上条「そうか……悪いな、手間取らせちまって。情報ありがとな」



上条「じゃあ、行くわ」


食蜂「あ……」


――――――私も一緒に行く


そう言うつもりだった。彼と一緒に戦うつもりだった。


しかし、行ったところで果たして彼の役に立つことができるのか?
『学園都市第5位』という大層な肩書きを持ってはいるが、はっきり言って戦闘能力は皆無に等しい。
第三位の電磁バリアにすら防がれるこの能力は、自分たちとは別格の存在である垣根帝督に通じるのか?
もし『心理掌握』が通じるなら、それこそ一瞬で勝利を勝ち取ることができるだろう。しかし通じなければ、一般人
以下の身体能力である自分は足手まといそのものだ。そうなれば彼を助けるどころの話ではない。かえって上条を
危険な状況へ追い込んでしまうかもしれない。


考えて、考えて、考えて。


その結果、彼女が出した結論は―――





食蜂「………いってらっしゃい、当麻さん」




上条「おう!行ってくる!」





上条当麻は走る。

あの計画を潰すために

御坂妹のために

自分のために





目指す場所は、操車場―――



あれ?もう投下しといてなんですけど、操車場で合ってますっけ?

少しくらい違ってても脳内保管でいるからいちいち気にしないでいいと思います

>>112
了解です


垣根帝督は大きなコンテナの上で寝そべっていた。夜空で自分の存在を誇示するかのように輝く月を憎々しげに見つめる。

すると、こちらに向かってくる足音が聞こえた。

気だるそうに上半身だけ起こし、自分のほうへと近づいてくる訪問者の姿を確認する。


ザッ


御坂妹「……これより3分20秒後に10032回目の実験を開始します。実験の準備をお願いします、とミサカは事務的に伝えます」


垣根「……ご苦労なこって」


垣根はようやく立ち上がり、コンテナの上から御坂妹を鋭く睨み付けた。



垣根「お前らさぁ、これから殺されるのが分かっててよく平然としていられるよな」


御坂妹「これが私の任務です、とミサカはまたも事務的に答えます」


垣根「ふーん……任務ねぇ。ま、俺はアレイスターとの交渉権を手に入れられるなら何だってやるけどな」



垣根「お前らクローンに別に恨みはねえが、俺のためにさっさと殺すぞ」



御坂妹「…………」



御坂妹「そろそろ時間です」



御坂妹「3…2…1…実験を開始します」




垣根「せめて3分くらいは持たせてみろ、欠陥品が!」



無情にも、実験は始まった。一方的な殺戮になるか、それとも―――

今日はここまでです!読んでくれた方ありがとうございました!

また明日21時頃!

大幅に遅れてしまいましたが、投下したほうがよろしいでしょうか?
今から見てくださる方がいれば投下させていただきます

あざっす!!!投下します!!



御坂妹はポケットから拳大の金属製の玉をすばやく取り出した。流れるような動きでピンを抜き、垣根の端正な顔立ち
をぐちゃぐちゃにするべく顔面に向けて投合した。

垣根「ほう、手榴弾か」

垣根は不敵に口元を歪めながら、両手をポケットに突っ込んだまま全く動こうとしない。



刹那、爆発音が響き渡る―――



御坂妹「やったか!?とミサカは嫌な予感がしつつもそのセリフを口にします」


やがて煙は晴れ、垣根の様子が見て取れた。


垣根「こんなもんが俺に効かねぇことくらいお前分かってんだろ?」


まったくの無傷―――


御坂妹はその問いに答えずすぐさま垣根から距離をとり、体中から電撃を迸らせ、垣根へと撃ち込んだ。

『超電磁砲』には及ばないにしても、人間一人を戦闘不能にするには十分過ぎる威力の電撃だ。

だがその電撃にも垣根は瞬き一つしない。謎の力を放出させて、荒れ狂う電撃を完璧に防いで見せた。


垣根「……テメェらをちょっと甘やかしすぎたのかなぁ」


垣根はこれ見よがしに大きくため息をついた。御坂妹は彼の言葉に意味が分からず、眉をひそめる。


垣根「テメェ以降のクローン共が、少しでも手応えがあるようにしてやる……」


にやりと笑う垣根帝督。背中から目を覆うほどのまばゆい光があふれ出す。





そして、天使のごとき6枚の純白の翼が顕現した





垣根「せいぜい下のクローン共にお得意のネットワ-クで伝えとけ!!俺の『未元物質』を!!!」





声高に叫ぶその言葉は、事実上の死刑宣告だった―――




御坂妹(あ、あの翼は!?とミサカは柄にもなく目を見開きます)

御坂妹には過去の妹達の戦闘データが記憶されており、垣根が謎の力を使うことは知っていた。

しかし、あの6枚の翼は妹達のデータにはない。その影響がどれほどのものなのか、どんな攻撃をしてくるのか、
まるで予測できない。



だが、先ほどの垣根の言い方からして、今までとは桁外れの力だということは理解できる。





ブンッッ!!!



垣根は1枚の翼を御坂妹の頭上から叩きつける。御坂妹は咄嗟に体を捻ってなんとか直撃は避けたものの、
その絶大な威力が引き起こす爆風によって大きく吹っ飛んでしまう。全身を何度も地面に打ちつけ、巨大なコンテナに激突
してようやくその体を止めた。

御坂妹「か…は…」

肺の中の酸素が絞り出され、息を吸うと全身に激痛が走った。
至る所から血が流れ、意識も朦朧とする。



垣根は翼をはためかせ、コンテナの上から地上へと舞い降りた。

眼下では、すでに虫の息の御坂妹が横たわっている。

垣根「たった一撃でダウンとは情けねぇなぁオイ」

ガッッ!!!と容赦なく御坂妹の腹部を踏みつける。

御坂妹「あ…ぐ…」

激痛に苦しみながらも、反撃のため体中から残り少ない電撃を右手に集中させる。

御坂妹(この至近距離なら……!!)



だが




ぺちっ




垣根としては、それは蚊を殺すくらいの感覚だったのだろう。実際、傍から見ていれば翼が御坂妹の右腕を軽く触れた風にしか見えない。



だが、それはただの翼ではない。いわば『未元物質』の塊だ。



結果を言えば、御坂妹の右腕の骨は粉々に砕け散った。一瞬にして。





御坂妹「がああああああァァぁあアァア!!!!!」




御坂妹は震えながら自身の右腕を見つめた。見るも無残なその右腕を。




頭にあるのは、恐怖と絶望――――




垣根「苦しいだろう?いいぜ、すぐに楽にしてやるよ」


垣根はバサッ!!と翼を広げ、御坂妹の頭へと照準を定めた。


垣根「10032回目はこれにて終了だ」


そう宣言した垣根が、絶大な威力を持つその翼を振り下ろそうとした、まさにその瞬間―――







「おい」







声が、響いた―――



反射的に後ろを振り向く垣根。



そこには、並々ならぬ気迫を持った一人の男が立っていた。





「テメェ……御坂妹に何してやがる」





垣根「あん?何ってお前、ちょっとした遊びだよ。関係ねぇ奴はすっこんでろ。殺すぞコラ」




「………御坂妹から離れろよ」




垣根「………お前、誰に口聞いてんのか分かってんのか?本気で殺すぞ?」




上条「離れろッつってんのが聞こえねェのかメルヘン野郎!!!!!」




上条は腹の底から怒声を張り上げた。あの学園都市第二位・垣根帝督に向けて―――

今日はここまでです。書き溜めがここで0となってしまいましたので、少しばかり待っていただきたいです。
読んでくださった方々、本当にありがとうございました!
これからはもっと盛り上げていきたいです!

今人いますか?
いたら投下します

投下します。少しですがすみません



垣根「……ムカついた。こんなにムカついたのは久々だよ。よほど愉快な死体になりたいと見える!!」

高笑いをしながら翼をはためかせ、上条へと突進した。しかし上条はそれをまるで予期していたかのように動き、
紙一重でそれをかわした。

垣根(ああ?かわされた?肉体強化の能力者か?)

あの突進は決して全力ではなかったが、今までこれをかわす人間は見たことがない。疑問に思いつつも、所詮は格下。
自分が負けることなどありえない。


垣根はそれを対して気にした風もなく、低空から純白の翼で烈風を巻き起こす。

垣根(この風には未元物質を注入してある!触れた瞬間バラバラだ!!)

勝利を確信した垣根だが、それはあっさりと崩される。


パキイイイイイイイン


垣根「なんだと!?」

一体何が起きているのか理解できなかった。普通であれば絶対に殺せるはずの攻撃。しかしあの男は、しっかりと
その足で立っているのだ。


右手を前に突き出しながら




そのとき、垣根に隙が生まれた。それは、仕方のないことだったのかもしれない。絶対の自信を持っていた未元物質
が消されることなどこれまで一度もなかったのだから。

しかし上条はその隙を見逃さない。

幸い垣根は現在低空にいた。少しジャンプすれば届く距離だ。
両者にあいた40メートルほどの距離を埋めるため、全力で前へとダッシュする。

上条「おおおおおおおおおおおっっっっ!!!」


迫り来る上条に軽くパニック状態に陥る垣根。

垣根「くっ!」

咄嗟に一枚の羽を前方へと出した。大体の攻撃はこれ一枚で事足りる。防御も出来るし、すぐに攻撃へと転じることも
できる非常に万能な翼だ。

だが上条は全くひるむことなく走りながら右手を横薙ぎに振るう。その右手に触れた瞬間、一枚の羽は跡形もなく消滅
してしまう。


垣根(な……)


上条「うおおおおおお!!!」


上条は一気に距離を詰め、飛び上がる。






上条(この高さなら…届く!!)






雄叫びをあげながら空中で右手を振りかぶる。



上条「おおおおおおっっっっ!!!!」



一人の男の、覚悟のこもった一撃は、第二位の鳩尾へと叩き込まれた―――


垣根「がはっっっ!!」

鳩尾に叩き込まれた拳に、痛みよりもまず驚愕した。垣根帝督にとって、「痛い」と言う感情は本当に久しぶりのことなのだ。


だが、垣根も何時までも硬直しているような馬鹿ではない。消滅した一枚の羽を復活させ、上空へと退避する。


垣根「はぁ…はぁ…」


冷や汗でその頬を濡らしながら、荒く呼吸を繰り返した。
垣根帝督はスラリとした体型ではあるものの、けっして弱々しくはない。だが、先ほどの男から食らった拳は垣根の体に
強く響いた。それは痛みだけではない。怒りと、怒りとはまた別の強い意志がこめられていたように感じた。



垣根「………テメェはなんだ?」


自分の未元物質をあっさりと消し去り、素手でダメージを負わせてきたこの男は、しっかりと垣根の目を捉えて鋭く
言い放った。


上条「お前を止めにきた。それだけだ」


垣根「この俺を止めに、だと?」


垣根は上空から上条を見下ろし、嘲笑う。


垣根「一発食らわせただけで勝ったつもりか?まさか本気で俺を止められるとでも?」





上条「止めなきゃダメなんだ」





垣根「……とことんムカつく野郎だなぁオイ!!目障りだ!!」


垣根は怒りの表情で未元物質入りの猛烈な風を巻き起こす。だが上条はまたも右手でそれを消し去った。


垣根(ちっ…何だあの右手は!なぜ俺の未元物質が消せる!?一体どんな手を使ってやがるんだ!!)


困惑する垣根。

だが、少し冷静に考えてみれば突破口はいくらでもあった。



垣根(おそらくアイツが能力を消せるのは右手のみだ。でなきゃいちいち右手を突き出すメリットは何一つねェ)



垣根(そして俺への攻撃手段も接近戦しかない。なら、アイツが近づけない上空から攻撃すればいいだけ…)


ニヤリと笑う。



――――俺が負けることなどありえない



先ほどとは打って変わって、余裕に満ちた表情の垣根は、今度こそ勝利を確信した―――



終わりです。ちょっと用事があるので一週間後にまたきます。
ていとくんすげー悪者っぽくなってしまったけど一方さんと同じくらい好きなキャラです
もっと活躍させたいです
読んでくれた方ありがとうございました

ていとくんが終わったら存分にいちゃいちゃしてもらいます

操祈じゃねーか
から来たけど面白いな
待機

>>170
こういうのホントに励まされます。
ありがとうございます!


明日投下したいと思います
待ってくれている方は多くはないと思いますが、お願いします!

早ければ9時半、遅ければ10時半に投下します。なるべく早くできるよう務めます

投下します


御坂妹は苦痛と驚愕に顔を歪ませていた。

御坂妹(あの方は……街中で会った……。どうして私を助けに…?)

何しろほとんど話していないのだ。そして彼がなぜこの計画を知っているのかも御坂妹には分からない。

でも。それでも。


彼があの垣根帝督に一撃を入れた。それだけは紛れもない事実だ。
妹達が一万回の戦闘を経ても一撃も入れられなかった、あの怪物にだ。

御坂妹(あの方なら…垣根帝督を倒してくれるかもしれない…)


垣根「ショータイムだ」

垣根は6枚の翼を数メートルほど巨大化させた。丁度上空から上条へと届く距離だ。


垣根(反射神経がいいのか知らねえが、羽一枚だとアイツは右手で対処すんだろうな……)


垣根(でもよぉ…枚数増やすだけで一気に苦しくなるんじゃねぇの?)ニヤリ


手始めに一枚の羽を振り上げ、上条へと振り下ろす。が、右手によってすぐに消されてしまった。


垣根(ここだ)


右手によって攻撃を阻まれた瞬間、二枚目の羽を振り下ろした。

それは、巨大な撲殺兵器として上条へ襲い掛かる。


上条(何っっっ!!?)


急いで後ろにステップするがその範囲外には届かず、すぐ足元に翼が叩きつけられ、衝撃で後方へと吹き飛ばされてしまう。


上条「ぐうううっっっ!!!」


二転三転と地面を転がり、激痛に声を上げそうになるが―――






『もう私を一人にしないで!!』






上条(っ!!!!)





上条「ああああああああああっっっっっっ!!!!」





気力を振り絞り、追撃を警戒して即座に立ち上がる。


上条「はっ…はっ…」





垣根「ほう……」




垣根(咄嗟に後方へ飛んだことでダメージを抑えたんだ。やるもんだな)

垣根(だがあの状態から直撃を避けれるとはな……一瞬だけ速く動いてんのか?)

しかしそんなことはどうでもよかった。確実に奴へダメージを与えることが出来たし、それは決して少なくないダメージだ。

垣根(こんな面白い奴はそう会えるもんじゃない。すぐに殺すには惜しい。痛ぶって、痛ぶって、痛ぶりまくって殺してやる。)


上条は思考を巡らせていた。

ここから少し離れたコンテナで、御坂妹がぐったりと横たわっている。このまま垣根と交戦していれば巻き込んでしまう可能性が高い。
なんとか避難させたいのだが、何しろ彼女の怪我はひどい。果たして移動することができるのだろうか。自分が
連れて行くのはとても現実的ではない。一瞬で消し炭にされてしまうだろう。

上条(どうやって助ければいい?)

上条にはまったくいい考えが浮かばなかった。どうやったって垣根に阻まれてしまいそうだ。

冷や汗をかきながらとりあえず御坂妹のほうを見る。




御坂妹はこちらをチラリと見てきた上条に気づく。

御坂妹(はて?なぜあの方はこちらを見ているのでしょうか、とミサカは首を傾げます)


チラッ  


チラッ


チラッ



御坂妹(ずいぶんとしつこいですね……私に気があるのでしょうか、とミサカは顔を赤らめて期待します/////)



上条は御坂妹と目が合ったことに気づく。そこで脳内に、あるアイデアが電撃のようにほとばしる。


上条(そうか!!アイコンタクトだ!!!!!)ピコーン


垣根を見上げると、ニヤニヤといやらしく笑いながら自分のほうを見下ろしていた。どうやら御坂妹は眼中にないようだ。

上条(今ならいけるか!?なんとかここから少しでも離れたところへ移動してくれたら!!!!)

上条は必死で御坂妹へとウインクをし始めた。

上条(察してくれ~~~~~~!!!!)パチパチパチ





御坂妹(え!?ウインクするということは私に気があると受け取っても宜しいのでしょうか、とミサカは鼓動の高鳴りが
収まりません)キャー

ダメだ…ついつい寝たりしてしまうので今日はここまででお願いします…
また明日夜9時くらいに投下します

今日無しでいいすか?
人居たら投下しますが・・・

じゃあまた明日で。マジですまん

こっちは『見させて貰っている』立場ですし、お気になさらず


…それすらわきまえない『読者様』も居たりもしますが…


あざっす!!

今日は絶対投下しますから!!
もうちょっとだけ待ってください


上条(なんでアイツは顔があんなに赤いんだ!?速く移動してくれ!辛いだろうが頼む!!アイツの攻撃に巻き込ま
れちまうぞ!!)フイッ

顎で垣根のほうを指す上条の行動にようやく事態を飲み込み始める御坂妹。

御坂妹(移動しろ、ということでしょうか?なるほど、確かにこのままでは巻き込まれてしまいますね、とミサカは
落胆しつつも重い腰を上げます)ヨッコラセ


上条(よし!!動いた!あとは気づかれないように俺が注意を引く!!)ダッ

垣根「なんだぁ!?追いかけっこかぁ!?」

上条(なるべく遠ざかる!)ダダダダ

垣根「ほらよぉ!!」ビュン

垣根は翼を一枚上条のほうへと飛ばし、少し間をおいて二枚目を繰り出す。

上条(同じ轍は踏まねぇ!!!)

まず一枚目を回避し、そして二枚目を打ち消した。

垣根(もう対策してきやがったか!!でも!!)

ビュン!ビュン!ビュン!

三枚の翼を連射する。迫り来るそれに、上条は冷静さを保って対処しようとする。

上条(まずかわす!!!)


またもかわそうとした上条だが、それは垣根の策によって防がれる。

垣根(馬鹿が!)

ヒュンッ

垣根は三枚の翼を同時に地面へと突き刺す。

上条(何!?)

刹那、三枚の翼が爆発する。爆風にあおられて大きく吹き飛んでしまう上条。

上条「ぐううううぅぅぅう!!!」ズサアアア

ダメージは決して軽くない。それでも。

上条(まだ…だ…そうだろ……操祈……インデックス……)

すぐに立ち上がる。それは、守りたい人たちがいて、守りたい約束があるからに他ならない。

上条「はーっ……はーっ……」


垣根「しぶとい奴だな……」

垣根は翼を三枚重ね合わせて一つの巨大な翼へと変貌させた。
それを容赦なく横薙ぎに振るう。

上条は痛む体に鞭打って、急いで右手を突き出した。


ギュイイイイイイイイイイイン




垣根(あん?)




パキイイイイイイイイイイイイイン

幻想殺しの力で三枚を重ね合わせた翼が消失する。だが垣根はそんなことに興味を示さなかった。


垣根(今、消すのに今までよりも遥かにタイムラグが無かったか?)


失われた三枚を再び生み出し、もう一度先ほどと同じように攻撃してみた。

当然それを右手で防ぐ上条。

ギュイイイイイイイイイイイイイイン



垣根「………」



パキイイイイイイイイイイン



垣根(ふっ……)



疑問が確信に変わった瞬間だった。

垣根(コイツの右手にも限度がある。出力がでかすぎるものには多少時間が掛かるらしい)

面白い。率直に面白いと思った。
こんな人間は人生で初めて見た。殺そうと思えばすぐに殺せるが、殺すには惜しい人材なんじゃないかとさえ思ってしまう。

垣根(こんな能力はめったにねぇ。俺の力試しに使わせてもらおう)ニヤ


上条は先ほど御坂妹がいた場所を確認した。すでに姿はない。垣根の死角となる場所で休んでいるのだろう。ひとまずは
大丈夫だろうと上条はホッと胸をなでおろした。

上条(さてと…問題は俺だ。どうすりゃ空に浮かんでるあいつを倒せる?何か手を考えないと……)

必死に考えをめぐらせるが、はっきり言って全くいい考えは思いつかない。上条には上空への攻撃手段などこれっぽっちも
ないのだ。

険しい顔で考えている上条に、上空から声が降りかかってきた。



垣根「力比べといこうじゃねぇか」



上条は突然発せられたその言葉に疑問符を浮かべる。


上条「何の話だ…?」

垣根「オイオイ、察しの悪い野郎だな。オマエの右手と力比べしようってことだよ」

そう言うと垣根は6枚の翼を一斉に天へと掲げた。







垣根「消せるモンなら消してみろ」







まばゆい光を伴って6枚の翼が一つに融合していく。そして巨大な一つの剣となった力の塊が容赦ない速度で上条へと
振り下ろされた――――

イメージ的にはトランザムライザーみたいなモンです


ギュイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン



上条「ぐうううぅぅぅぅおおおおおおぉぉっっっ!!!!」



急いで右手を突き出し、巨大な力の塊を受け止める。
だが、右手一本ではあまりにも重すぎるすさまじい衝撃がのしかかる。

上条(ちっく…しょう!!!消えねぇ!!?)

内臓が軋んだような気さえしてきた。すでに膝はガクガクと震え始めている。

上条(このままじゃ…持たねぇ…くっそおおお…)


上条「ぐっ…うおおおあああ!!!」

半ばやけくそ気味に腕を横薙ぎに振るう。
すると


くんっ


ほんの僅かだが、6枚羽の塊の軌道が右方向に逸れた―――


それはほんの数センチだったが、上条にとっては生きるチャンスとなりうる数センチだ。


上条「間に合えッッッッ!!!」


思いっきり左方向に飛び込む。圧倒的な威力を誇る6枚羽の塊は上条に直撃することなく地面へと叩きつけられた。





だが―――





ドッガアアアアアアアアアアアアアアアアアアン


先ほどとは比べ物にならない破壊力の力の塊が、間一髪直撃を避けた程度の距離にいる上条に、影響を及ぼさないわけがない。
鼓膜が破れるかと思うほどの爆発音と共に、凄まじい衝撃波が上条の全身に叩き付けられる。


上条「ぐわああああああああああああああああああ!!!!!!」


ノーバウンドで数十メートル先のコンテナに激突する。それは、かなりの硬度を誇る学園都市製のコンテナがあっさりと
ひしゃげてしまうほどの衝撃であった。


上条「げほっ!げほっ!……ごぼっ!!!」

口からは大量に血があふれ出し、頭部からの出血も深刻だ。直撃を避けてこのダメージなのだから、もし直撃していたら
まさに一瞬で消し炭にされていただろう。

上条(でも………そんなに……喜べる状況じゃあ……ねぇな……やべぇ……意識………が……)

虚ろな眼差しでコンテナに寄りかかる上条。ぶれまくる視界の中で、翼を収めて地上に降り立つ垣根の姿が確認できた。
垣根はわざとらしく踵を鳴らしながら、ゆっくりとした足取りでこちらに向かってくる。

>>215
一万人ほどぬっころして強くなったんだろ

>>216
それでいこう


コツコツ…

上条(俺は…何しにここまで来た…?御坂妹を…助けるためだろうが…)

コツコツ…

上条(まだ何も成し遂げてねぇだろ…立てよ…)

コツコツ…




『早く帰ってきてね』




上条(約束しただろ!?インデックスと!すぐ帰ってくるって!!)




『お前を一人になんて絶対にしないさ』



上条(約束しただろ!!?操祈と!!一人にしないって!!!ずっと一緒だって!!!!)





上条(動け!)

上条(動け!!)

上条(動け!!!)


ザッ……

垣根「なかなか面白い体験が出来たぜ。そろそろお別れと行こうか」

垣根は手のひらから槍のようなものを生み出し、切っ先を上条の胸へと向けた。

心臓を一突きしようと振りかぶった、その瞬間――――



「させるかぁ!!」


ズドン!!と垣根は横から吹き飛ばされ、追い討ちをかけるようにコンテナが垣根に降りかかっていく。

垣根はコンテナの下敷きとなり、ポッコリとコンテナの山が出来上がる。


上条には一体何が起こったのかわからなかった。必死に力を入れて顔をあげると、そこには見覚えのある人物が立っていた。


短めの茶髪。意志の強そうな瞳。そして、上条が助けようとした少女と瓜二つの容姿。


上条「み……さか……?」


美琴「まったく……なんて無茶すんのよアンタは……」


この計画のすべての始まり、学園都市第三位・御坂美琴だった。

今日は終わり。明日もくるかも。無理なときは報告します

美琴は別に好きじゃないけどさすがに出さないと無理あるなーって

今日はなしでおk?

ちょい遅めだけど投下


上条「どう…して…お前…実験を……」

美琴「はぁ?アンタねぇ……私が公園であの娘と会ったとき、どう思ってたわけ?まさか複雑な家庭くらいで済ませてたんじゃ
ないでしょうね?」

図星を突かれてしまった上条。あの時はこんなことになるとは思わず、ついつい流してしまっていたのだ。

上条「あは…は…………あれ?…でも操祈は……」

上条は食蜂が「多分御坂はこの実験のことを知らないはず」だと言っていたことを思い出す。
あの彼女が自分に嘘を教えるとは到底思えないので、食蜂は本当に知らなかったのだろう。

美琴「……アンタが食蜂と知り合いなんて正直驚いたわよ。あの食蜂が私に直接頼み込んできたときは、もう腰を抜かすかと思ったわ。
まぁアイツが頼みに来なくても、いずれ垣根とはこうなっていたわ。その時期が早まっただけ」

さて、と美琴は会話を区切る。そう、長話している余裕は正直無いのだ。振り返り、コンテナの山を見据える。

美琴「とにかく、アンタはしばらく休んどきなさい。私が時間を稼ぐから」

上条「わりぃ……ちょっとの間頼んだぞ」


コンテナに寄りかかって一息つきながら、上条は食蜂へと想いを馳せた。



上条(はは……ほんと、操祈にはいっつも助けられてばっかだなぁ……)









上条(情けねぇ……)




美琴は垣根が下敷きになっているコンテナの山に向かって歩き始めた。

美琴「………」

美琴「ずいぶんと死んだフリがお上手なのね、第二位さん?」













垣根「何だよ。お前らが話し終わるのを待っててやったんだぜ?」





コンテナの山から、嘲るような笑い声が響いた―――。


垣根が言い終わったその瞬間、コンテナの山が四方八方に飛び散った。

美琴「くっ!」バリバリ

美琴は驚きつつも能力で何とか防ぎきる。
前方を確認すると、再び六枚の翼を背に携えた垣根が薄く笑っていた。

垣根「まさかお前が直々に出てきてくれるとはなぁ?え?オリジナルさんよぉ」

垣根は全くの無傷だった。その事実だけで自分と垣根の実力差がはっきりと分かる。

だが、ここで怯むわけにはいかない。

美琴「………もう私の妹達は殺させないわよ、第二位!せいぜいそこでふんぞり返ってなさい!!」

垣根「ほざけよ三下。絶対的な力の差があるんだよ、俺とお前には」


ギリ、と歯を食いしばる。

正攻法でやってどうにかなる相手でないのは美琴自身も良く分かっている。垣根と自分にはどんなに努力しても埋められない
力量の差があるのだ。

美琴「それでも!!戦わなくちゃいけないのよ!!」

ポケットからコインを取り出し、彼女の二つ名ともなっている超電磁砲を打ち出す。
とんでもないスピードで垣根の頭部へと伸びていくが、垣根は六枚の翼を繭のように体に纏い、衝撃を完全に遮断する。

美琴「ちぃっ!!」

普通にやり合っても勝ち目は0だ。何か策を練らなければならないだろう。


垣根「どうしたどうしたぁ!!!もう終わりじゃねぇだろうなぁ!!」

高笑いしながら翼を振りかざし、美琴を肉塊にするべく迫る垣根。
それに対し、能力を応用した高速移動でかわす美琴。

だが、肝心の反撃が加えられず歯噛みする。

美琴(奴はその気になれば一瞬で私に追いつけるスピードを出せるはず……)

つまり完全に舐められているのだ。本気を出すに値しない、格下だと。

垣根「はっはぁ!!逃げてばかりでどうすんだ!!ちっとは反撃してみろっての!!」


美琴(攻撃のチャンスがあるとすれば奴が攻撃を出し終わった瞬間……そこを突く!!)

垣根は一枚の翼を叩きつけてきた。これを高速移動でかわした瞬間、手のひらで雷槍を精製し、投合する。
しかし垣根はコレをいとも簡単に残りの5枚で防いでしまう。

美琴(翼の数が多すぎる!あれじゃどんなに攻撃したって通らない……どうすればいいのよ…)

垣根「そんな攻撃じゃ実験を止めるなんて到底不可能だなぁ!これくらいの攻撃してみろってんだ!!!!」

垣根は六枚の翼を一斉に天へと掲げた。
翼はどんどん融合していき、巨大な剣のようなものに変貌を遂げた。

それは、上条の幻想殺しと真っ向から勝負し、重症を負わせた技だった。


垣根「止めてみろよオリジナル!!!」

そう言い放ち、容赦なく絶大な破壊力をもった六枚の翼の塊を振り下ろす。



美琴「全力で打ち勝ってみせる!!!」

美琴は全身から雷を迸らせ、膨大な量の電撃を発射する。



ぶつかり合う二つの塊。


一瞬でも気を抜けばやられる。垣根にはそうするだけの力がある。


美琴(あいつにダメージは与えられなくても、相殺くらいは!!)


だがその思いも虚しく崩れ去る。垣根の六枚羽の塊が、ついに美琴の渾身の一発を打ち破ったのだ。


美琴(そんな……私はもう…)

出力の高い攻撃を繰り出せばその分反動も増す。今の美琴にこの攻撃を防ぎきる余裕など無かった。
自然と涙が零れ落ちる。

美琴「ごめん……みんな……私は結局何もできなかった……」ポロポロ






上条「諦めんな!!!」







ギュイイイイイイイイイイイン



すんでのところで上条が割り込み、右手で受け止める。すでに満身創痍であろうその体は、背中は、美琴にとって何よりも
大きく、頼もしく見えた。


上条「お前が何にもできなかったって!?馬鹿言ってんじゃねぇよ!!お前が頑張ってくれたおかげで……」


パキイイイイイイイイイイイン


上条「こうして打ち消せる!!!」


美琴の攻撃で幾分か威力が削がれていたらしく、今度こそ六枚羽の塊を完全に打ち消した上条。
その目には、今だ輝きが消えていない。あれほど痛めつけられてなお、勝利への執念を燃やしている。

終わり。次でもう戦い終わります。やっとみさきちのイチャイチャがかけるわ……
もちべ上がって来た

 【このスレは無事に終了しました】

  よっこらしょ。
     ∧_∧  ミ _ ドスッ

     (    )┌─┴┴─┐
     /    つ. 終  了 |
    :/o   /´ .└─┬┬─┘
   (_(_) ;;、`;。;`| |

   
   【放置スレの撲滅にご協力ください】  
   
      これ以上書き込まれると

      過去ログ化の依頼が

      できなくなりますので

      書き込まないでください。


            SS速民一同
 【糞スレ撲滅にご協力ください】

>>245

ガンゴンバキン!! と、拳を振り落とす音が連続した。
上条当麻にしては珍しく、一撃では済まさなかった。

         _、、ィ,._                   _ _
   \\\ゞ´   ヾ                , ',___、 ヽ
   (⌒\Z ,w'レviゞ               {ィ|rwniト }

    \ ヽヽ(l. ゚ -゚ノ  文句はねぇよな?  ○i、゚ヮ゚|l_,○
     (mJ     ⌒\             .U__リ史.リ!_し  ハ,,ハ
      ノ ∩  / /              _,ノ八. ヾ、 O(゚ヮ゚,,O
     (  | .|∧_∧              ``''=''=ー'"´ `c_,,o)~
  /\丿 | (     ) ←>>245
 (___へ_ノ ゝ___ノ


おひさしぶりです

今人いますか?いたら投下します。いなかったら今夜の20時頃に投下します

投下します


美琴(何を弱気になってんのよ!何の関係もないコイツがここまで頑張ってくれてんのに!!)

美琴「よし!反撃するわよ!!」

上条「おう!!」





垣根「嘘くせぇ演技もそこまでにしとけよ」





上条「………なんのことだ」

垣根「お前の体はもう限界だよ。お前が一番分かってると思うが?」

すでに消された翼は再生しており、二人を見下しながら余裕の表情でにやにやとほくそ笑んでいる。

上条「そんなこと……!!!」

走り出そうとする上条。だがすぐに足がもつれて地面へと突っ伏してしまう。

上条「ぐ……」

美琴「だ、大丈夫!?」

走りよる美琴。しかし、悔しながら自分には上条を治療する手段は持ち合わせていない。


垣根「ほら見ろ、言わんこっちゃねぇ」

さも可笑しそうに笑う垣根を美琴は地上から睨み付ける。しかし奴を倒せそうな策は思いつかない。
どうすれば―――

そのとき、上条がうつ伏せのままボソボソと喋りだす。

上条「御坂…俺に案がある。今から話すからあんまり反応すんなよ」

美琴「えっ…う、うん」


――――――――――――

―――――――


垣根「さて、そろそろ飽きてきたところだ。茶番は終わりといこうじゃねぇか」


美琴「終わらせないわよ」ニヤリ

やたら自信ありげな美琴に垣根は怪訝な顔をする。なぜニヤついているのか分からないが、どうせあの二人は俺に勝つ
ことが出来ないだろうとタカをくくる。

美琴「どっせい!!!」ブンッ

上条を横脇に抱えた美琴は、全力で近くのコンテナの上に投げ飛ばす。

垣根「おま……死にかけの奴を投げるか普通?鬼畜だな」

美琴「アンタにだけは言われたくない」

素早くポケットからコインを取り出して垣根へと照準を定める。
超電磁砲の構えである。


垣根「学習能力がねぇな……お前ホントに第三位か?もういっそのことレベル5なんて降りちまえばいいんじゃね?」

美琴「余計なお世話だっつーの!!!!」

そう叫ぶと同時に、超電磁砲を放つ。だが、垣根は六枚の翼を繭のようにして体を包んで完全に防御する。

美琴(ここだ!!!!)

防がれたことなど美琴にとってどうでもよかった。もう片方の手で素早くある操作を行う。



美琴と、そして上条はこのときを待っていたのだ。垣根に最大の隙が出来る防御の瞬間を。


垣根が超電磁砲を防ぎ、繭状態を解いた時だった。


後方で、風切り音がした。


直感的に振り向く垣根だったが、



ドガッ!!!




垣根「!!!???」




何者かに頬を思い切りぶん殴られる。そして一瞬の間に六枚羽は消え去り、垣根はただの人間へと戻ってしまった。
何が起きているのか理解できずパニック状態に陥り、そのまま地上10メートルから落下していく。
落下していく垣根が見たものは、宙に浮かぶコンテナに、荒々しい呼吸を繰り返すあの男が乗っていた光景だった。



垣根(オリジナルの能力かっ……!!!)



気づいたときにはもう遅い。すでに地面は目と鼻の先だった。


ドシャッッッッ!!!!


垣根「がっ…は…!!!!!」


無様に地面へと叩きつけられる垣根。まともに受身を取ることもできず、全身を打ち付ける。あまりの痛みで叫ぶこともままならない。

だが、何としてでも起きなければいけない。垣根は恐るべき執念で激しい痛みを押さえつけ、体を起こそうとする。

上条「おおおおおおおおおお!!」

コンテナは美琴に操られ、上条を地上へと誘う。地面すれすれのところで跳躍し、垣根の真正面に降り立つ。

一方の垣根は、足をブルブルと震わせながら何とか立ち上がったところであった。

垣根「はぁ……はぁ……」



上条「はぁ……はぁ……」


相対する二人は、すでに限界が近い。だが、それでも二人は倒れなかった。お互いが抱える使命のために。


睨み合ったまましばらく硬直状態にあった二人だったが、それは垣根によって破られた。


垣根「っざけんじゃねえぞ!!!!」


あれほどの高さから落下し、恐らく何本か骨が折れているだろう。しかしそれを感じさせないほどの圧倒的な気迫を
伴って垣根が上条へと走り出す。

垣根「オラアァァァァァ!!!」バキッ

上条「ぐはっ!!」

すでに満身創痍であり垣根の拳を避けることが出来なかった上条は、そのまま地面へと倒れこむ。


垣根が上条を殴ったのを見た美琴は慌てて電撃を繰り出そうとするが、大出力の電撃を何発も打ったため、電池切れ寸前であった。

美琴「くっ!でも、能力の使えないアイツを気絶させることくらいは!!」

大した威力ではないが、垣根を気絶させることが可能な程度の電撃を打ち出す。


だが―――――





垣根「俺は、一万人を殺してまでここまで来たんだ!!今更辞められるかよ!!!」



垣根「何としてでも!!!第一候補にならなきゃいけねぇんだ!!!!」




バサアアアアアアアア




満身創痍の垣根が、再び能力を発現させたのだ。

その翼でいとも簡単に電撃が弾き飛ばされてしまった。



美琴「そ、そんな……まだあんな力が残っていたの…?」

絶望に打ちひしがれた美琴は、膝から崩れ落ちる。


上条にも美琴にも、もう能力を振るう垣根と戦えるほどの力も、気力も残されていない。
もうこれまでか―――


美琴がそう思った瞬間、垣根の翼は消失してしまった。


美琴「え…?」



垣根「ちく……しょうが……」


弱々しい声で悪態をつく垣根。
すでに限界の近かった垣根にとって、未元物質を操れるのはほんの一瞬だけであった。
立っているのが精一杯な状態なのである。



地面に倒れこんでいた上条がフラフラと立ち上がり、垣根を見据える。



上条「お前がどんな思いでこの実験をやってたのかは、さっきの言葉で大体は想像がつく!!!」


上条「お前にどんな使命があったのかは知らねぇが、それはきっと何よりも重要で、この実験に参加してまで成し遂げたいこと
だったんだろう!」


上条「それでも!!!」


上条「どんな使命だろうと、それで人を殺していい理由にはならねぇだろうが!!!!」




垣根「黙りやがれ!!お前に何が分かる!!お前なんぞがこの俺に説教してんじゃねぇよ!!!!」




残り少ない力を振り絞り、雄叫びをあげながら上条へと拳を放つ。



上条「人は生きてる限り何度でもやり直せる!今日からでもお前は変われるんだよ!!第二位!!!!」



キツく握り締めた拳を掲げ、接近する垣根に振りかぶる。



「「おおおおおおおおおおおおおおおッッッッ!!!!」」


交差する二つの拳。


だが、垣根帝督の拳は上条へと届くことなく宙を切った。

反対に、上条の渾身の一撃は垣根の頬へと突き刺さった。


ドサッ


気絶した垣根は、地面へと倒れこむ。

その顔が若干微笑んで見えたのは、きっと上条の見間違いではない。




一瞬の静寂―――。


美琴は震える声で、誰に伝えるでもなく小さく呟いた。


美琴「か、勝った……?」

信じられないというように呟く。やがて状況を完全に飲み込めたらしく、飛び跳ねて喜び始める。

美琴「か、勝った!!勝ったのよ私たち!!」

嬉しさを隠そうともせず、上条のもとへ駆け寄り、勢い余ってダイブする。

上条「げふっ!!」ズシャ


ちーん


美琴「……あれ?ちょ、ちょっと?おーい?」


上条「」


美琴「ちょ、ヤバイ!病院!どうしよう!私一人じゃ連れて行けないし……」


ザッ……


御坂妹「お困りですかお姉さま、とミサカは最高のタイミングで再登場します」

美琴「全然最高のタイミングじゃないけど!?もっと早く出てきなさいよ!まぁとにかく助かったわ!協力して欲しいの!」

美琴と御坂妹は気絶した上条を二人がかりで抱え、急いで操車場を去っていった。

とりあえずおわり。こっからほのぼの路線かな
今夜時間があればちょっと投下するかも

投下しようかなとおもいます

――――――――――――――――

―――――――

―――




静寂に包まれた操車場。

そこに、垣根帝督の姿は無かった。垣根の目が覚めて、自分からこの場を去ったのではない。

何者かによって連れ去られたのだ。

それは、このあとに起こるであろう事件の目的のためだった。




「はい。無事第二位は回収できました。至急そちらに戻りますので、はい」



「しかし、一体第二位を回収してどうするんですか?」



「未元物質を利用した新兵器の開発?マジすか?」



「未元物質製の兵器の要請がもう来てるんですか……ちなみにどこから?」



「えっ!!?『木原』から!?」



「は、はい!すぐ戻ります!!失礼します!!」ピッ



―――――――――――――

――――――――

――――


上条「ん……?」パチッ

上条は病院のベッドで目を覚ました。ぼんやりと辺りを見回し、しばらくして焦点が定まってくると驚きの表情になる。

上条「み、御坂妹!?」

御坂妹「お目覚めのようですね、とミサカはまるで妻のごとく慈愛に満ちた表情をします」

上条にはいつもと同じような無表情にしか見えないし、妻でもなかったが、問題はそこではない。


上条「どこに手を当ててんだ!?」

御坂妹「どこってミサカの胸ですが、とミサカはごく普通に答えます」

そう、上条の手が御坂妹の胸に押し当てられていたのだ。しかしながら麻酔でなんの感触も得られない。


上条(不幸と思うべきか操祈を裏切らずにすんだと喜ぶべきかっっっ……!!)

御坂妹「何を悶えているのですか、とミサカは可愛らしく首を傾げます」

上条「自分で言うか……」

冗談はさておき、上条はふと気になることを彼女に尋ねる。

上条「お前のねーちゃんはどこに行ったんだ?」

御坂妹「お姉さまはお役目を終えたのでログアウトしました、とミサカはお知らせします」

上条「なんのこっちゃ」


ガラッ


冥土帰し「あれ?上条君もう起きたんだね?具合はどうだい?」

上条「あ、先生。案外平気です」

冥土帰し「それは良かった。それと、君に話があるんだ。ちょっと来てくれるかな?」


冥土帰しは御坂妹のほうへ視線を送る。


御坂妹「え?あ、はい。分かりました、とミサカは名残惜しそうに手を離します」


ピシャ




上条「ったく御坂妹の奴、からかいやがって…」


上条「………」


上条「静かになったな……」


上条「ふわぁ~~~……」


上条「もいっかい寝るか…」



―翌朝―


上条「ぅ…ん…」ムクッ


上条は目を覚ました。体の節々が痛むが、起き上がれないほどではなかった。
目をこすってぐっと背伸びする。

ようやく目が冴えてくると、ベッドの横で眠っている存在に気がつく。






食蜂「……」スヤスヤ






夜遅くにわざわざお見舞いしに来てくれたのだろうか。食蜂はパイプ椅子に座り、ベッドに突っ伏して眠っていた。




上条「また、心配かけちまったな」



食蜂の頬には、一筋の涙の跡が残っていた。
上条は嬉しさ半分、申し訳なさ半分といった風で、複雑な顔をする。



食蜂の柔らかな髪をそっと優しく撫でた。食蜂は眠ったままだが心地よさそうな表情をしている。






上条「ただいま、操祈」




おわりです。ここからしばらくほのぼので行きます
読んでくださった方々ありがとうございました

お久しぶり!
今日は夜に投下します!短いですけども

待たせたな!投下します!


ー入院一日目ー



食蜂「ほんと、死ななくて良かったわねぇ……」

食蜂は目覚めたあと、自分を見つめる上条の視線を敏感に察知してしんみりと呟いた。
これには上条も苦笑するしかない。


食蜂「でも、あなたは死なないって信じてたわ」


食蜂「信じて待ってろってあなたが言ってくれたから」


上条は照れくさそうに頬をかく。あの時は正直勢いだったのでよく覚えていないが、なかなか恥ずかしいことを言ったようだ。
だが、たとえ恥ずかしくても彼女にどうしても言わなければならない言葉があった。




上条「信じて待っててくれて、ありがとな」





その後、食蜂は「お風呂に入ってくる」と一旦病院を出て行こうとした。どうやらシャワーも浴びずにここに
直行してきたらしい。昼頃にはまたお見舞いに来てくれるそうだ。あんなに体力の無い食蜂が無理をしているのでは
と少々心配になる。


食蜂「あ。あと昼にはインちゃんが来るって言ってたわよぉ?」

上条「インデックスが?」

食蜂とインデックスは意外にも仲がいい。最初こそ上条関係で険悪なムードではあったが、食蜂がインデックスのことを
「無害」だと判定してからはちゃんと仲良くしているようだ。

食蜂「そうよぉ。まぁ、私も昼にもう一度来るから楽しみにしててねぇ」

上条「りょーかい」



食蜂が病院を出て一時間ほど経ったが、未だにインデックスは来ていない。
インデックスが予想よりも遅く、上条は暇を弄んでいた。


上条(暇だな………)



上条(……よし)



上条(新しい決め台詞でも考えるか)



上条「俺に壊せない幻想は存在しねぇ」キリッ


上条「………」


上条(なんかしっくり来ないな……前の方が良かったような……)



上条「テメェの幻想は潰す………俺を誰だと思ってやがる……」


上条「………」


上条(俺にハードボイルドは似合ねぇぜ)フッ


上条「あとは……」



上条「God Only Knows―――俺が言いたいのはそれだけだ……健闘を祈る」


上条「………」


上条(英語カッコイイな……決戦前に使えるわ、これ。今度使ってみよう)


上条「忘れないようにメモっとこう」カキカキ





ガチャ

上条「」ビビクビクッン



禁書「とうまーお見舞いに来たんだよ」

上条「ようインデックス、いらっしゃい」

禁書「あれ?何か紙隠した?」

上条「まさか」

禁書「まぁ食べ物じゃないならどうでもいいんだよ」


禁書「とにかく、今日遊ぶってことはちゃんと覚えてたんだね?とうま」

垣根帝督との決戦前に、インデックスと一緒に遊ぶことを約束していた。
上条はこのことをきっちり覚えていたのだ。

上条「もちろん。ほら、折り紙を売店で買ってきたんだ。鶴の折り方をレクチャーしてやる」

禁書「正直余裕なんだよ」

これも以前上条が記憶喪失になった際、約束していたことであった。いろいろあってうやむやになってしまい、今日まで
教えることが出来なかったのである。



―15分後―


禁書「できたー!」

上条「おお、意外に綺麗にできたなー」

禁書「意外は余計なんだよ」

上条「インデックスって器用なんだな、意外に」

禁書「意外は余計なんだよ」

上条「とりあえず良くできたな!えらいぞインデックス~~~」ナデナデ

禁書「わわっ//////て、照れるんだよ/////誤魔化されたのは見え見えだけど//////」


ガチャ


食蜂「あら?インちゃん来てたのねぇ」

禁書「あ、みさき」

上条「よう」

食蜂「こんにちはぁ☆」

食蜂「それにしても今のインちゃんと当麻さん………」


食蜂「本当の兄弟みたいね☆」


上条「え!?そんな感じだった!?やったなインデックス~~~~」ナデナデ

禁書「不服なんだよ」



―――――――――――

―――――――


禁書「じゃあそろそろ私は帰るんだよ」

上条「お?もうそんな時間か」

食蜂「楽しかったわよぉ、インちゃん」

禁書「私も楽しかったんだよ。とうま、はやく元気になってね」

上条「おう、来てくれてありがとな」

禁書「あ、そういえば伝言があったんだよ」

上条「伝言?」

禁書「ここに来る途中、真っ白な人から『上条に、明日はお見舞いに行くって伝えといてくれ』って言われたんだよ」

上条「店長だな、そりゃ。分かった、教えてくれてありがとなインデックス。気をつけて帰れよ」

禁書「うん!ばいばい、とうま、みさき」

食蜂「ばいばいインちゃん。また遊びましょうねぇ」フリフリ


次回は入院二日目です。しばらくこんな感じでゆるーくやっていきます
読んでくれた方ありがとうございました

今日の夜投下します

遅くなって申し訳ない
投下します



入院2日目


時刻は昼過ぎ。昨日インデックスから「一方通行が来る」と言われていたのでずっと待っているが、なかなか来ないので
またも上条は暇を持て余していた。



上条(暇だな)


上条(昨日作った歌でも歌うか)


上条「ドッテンドッテン♪ドッテンズクズク♪テテテテテテテテーン♪テンテンテンテンテン♪」


上条「幻想♪疾走♪」


上条「そんな俺の♪中に眠る♪熱き魂♪幻想ルゥ!!!!」キリッ





ガチャッ



上条「」ビクッ♪




一方「よォ上条」


上条「てんちょー!!!」





一方「今なンか歌ってなかった?」

上条「まさか」

一方「だよなァ」



学園都市第一位でもあり喫茶店店長でもある一方通行は、ベッドの横にある椅子に腰掛けた。
そして、ゆったりとした口調で切り出す。

一方「あの計画を潰したらしいじゃねェか」

上条「う、うん…まぁな」

一方「……俺もよォ、まさか俺無しで計画再開するとは思わなくてよォ……」

そうして、一方通行はガバっと頭を下げてきた。

一方「悪かった!俺が気づいていれば……お前は怪我をせずに済ンだはずだ…」


あのプライドの高そうな一方通行が自分に頭を下げたことに驚きを隠せなかった。
上条は両手をわたわたと振りながら一方通行の言葉を否定する。

上条「や、やめてくれよ店長。俺は、喫茶店で店長やってる店長が好きなんだよ。戦いなんてやって欲しくない」

一方「……いやァ、でもよォ…俺がいればあンな野郎すぐぶっ殺してやったってのに……」

悔しそうに呟く一方通行。彼はベクトル操作によってあらゆる攻撃を反射できるのだ。しかし、一万人近くの妹達と
戦闘を積んできた垣根帝督と、店長をやっていた一方通行では、一概には一方通行が圧勝するとは言えない所である。

上条「ともかく、もう暗い話は無しにしようぜ!終わったことだしな!」

一方「おう……」

いまだ納得がいってなさそうな一方通行だが、上条は強引な話題転換を図る。


上条「にしても、店長の髪ってすげえサラサラだよな!触らせてくれ!」

一方「はァ?」

自分でも、なんでよりにもよってこんな話題にしたのかと思ったが、一度言ってしまったことだ。ハイテンションで
突き抜けるしかない。

上条「いいだろ別に!親友じゃん!」

一方「仕方ねェな…ちょっとだけだぞ?」

上条(いいのかよ)



上条「おお!すげぇ!ヤバイ!!すげえよ店長!マジやべぇ!!」サワサワ


一方「ポキャブラリー少ねンだよ/////」





ガチャ


食蜂「おっじゃまっしまぁー……」




上条「サラサラだ!ほんとに髪の毛かコレ!?」サワサワ

一方「もういいだろ」

上条「もうちょっと!」サワサワ





食蜂「当麻さん……」

上条「あ、操祈。来てくれたのか」

食蜂「ホモなの?」

一方「ホモとか言うな気持ち悪ィ」

上条「俺は操祈一筋だぞ?」キリッ



食蜂「…………ならいいけど//////」プイッ



―――――――――――――

――――――――

―――――

一方「じゃ俺はもう帰るわ」

上条「今日は来てくれてありがとうな」

一方「おう。あと、第三位のクローンが明日お見舞いに来るってよ。さっき道端で会った」

上条「段々テレフォンショッキングみたいになってきたな」



一方「じゃあな」フリフリ

上条「おう!」

おわりです。髪をさわるのはみさきちでやろうと思ったのにどうしてこうなった


明日も多分投下します


もっと砂吐くくらいのイチャイチャでもいいんですよ?

>>344
一応は用意してるつもりですが、ご期待に添えるかどうかは……

ほんとちょっとですまんけども投下


入院3日目


上条(御坂妹まだかな)


上条(暇だ)


上条(モノマネの練習でもするか)



上条「ピカチュー」轟!


上条(…………)


上条(似てないし、なんか俺が言うべきじゃない気がする……)



上条「ソォォォーナンス」轟!!


上条(…………)


上条(これも俺が言うべきじゃない気がする……)


上条「やっぱ俺には藤原竜也のモノマネしか残されて………」



ガチャ




上条「」ひ"く"う"う"



御坂妹「ちわー、とミサカはフランクに挨拶します」

上条「来たか御坂妹」






御坂妹「なんかブツブツ言ってませんでした?」


上条「まさか」


御坂妹「そうですか、とミサカは藤原竜也のモノマネをするあなたを想像して吹き出します」プッ


上条(コイツ立ち聞きしてやがったな……/////)



上条「とにかく、体の調子はどうだ?」

御坂妹「すこぶる快調です、とミサカはピースサインを出します」

上条「それはなによりだな」


御坂妹「私よりもあなたの傷の方が酷そうでしたが、ミサカは心配します」

上条「オイオイ、男の俺と女の子のお前とじゃ話が全然違ってくるっての」

御坂妹「でも、私は」

上条「まあまあ。男の傷は勲章、とかよく言うだろ?」ニコッ



御坂妹(かっこいいです////)


御坂妹「し、失礼ですが、彼女とかはいらっしゃるのですか、とミサカは…」




ガチャ



食蜂「私よぉ☆」



上条「お、操祈。今日も来てくれたのか」


御坂妹「みさ……き……?」


上条「俺の彼女」


御坂妹「」


食蜂「」ドヤッ


御坂妹「動揺を抑えられないので帰ります……とミサカはしょんぼりしながらドアに向かいます」トボトボ


上条「もう帰るのか?とにかく来てくれてありがとな」


食蜂「」ドヤッ


御坂妹「あ、そういえば」

上条「?」

御坂妹「明日はあの方が遊びに来るそうですよ、とミサカは事務連絡します」

上条「だれ?」

御坂妹「ここの先生です。リラックスして待っていろとのことです」


上条「それただの診察だろ」

終わりです。気が向いたらまた明日も来るかもです

すみません。急に忙しくなって投下ができません。
一週間後にもなれば落ち着くと思いますので、どうかよろしくお願いします

少し時間が空いたので報告させてもらいます。明日は投下出来そうです。

すみません。仕事が予定より長引きそうです。早くても11時半くらいになってしまいそうです。ほんとにすいません

待っててくれてありがとうホントに
投下します


入院4日目


上条(4日目にしていよいよやることが無くなって来たな……)


上条(………)


上条(1人じゃんけんでもするか)


上条「じゃんけんぽん!」

上条「じゃんけんぽん!」

上条「じゃんけんぽん!」


上条「あ~やっぱ左手の圧勝か~」ヤレヤレ



ガチャ



上条「」ビックリ



冥土帰し「」


上条「」


冥土帰し「………………座ってもいいかな?」


上条「あ、はい」



冥土帰し「で、怪我の調子はどうだい?」

上条「順調ですね」

冥土帰し「それは良かった」


冥土帰し「あんまり無茶しちゃだめだよ?」

上条「あはは……すいません……」

一通り話した後、冥土帰しはそれまでのにこやかな表情とは一転、真面目な顔つきになった。

冥土帰し「ところで、食蜂さんとはうまくいっているのかい?」

なぜいきなりそんなことを聞かれるのかは分からなかったが、とりあえずありのままの気持ちを語る。

上条「はい!あんな良い娘は他にいませんよ!」

笑顔でそう語る上条の顔を見て、冥土帰しはホッとしたように肩の力を抜いた。

冥土帰し「ならいいんだ。私も君の記憶のことは申し訳ないと思っていたからね……」


上条「そんな、先生が気にする必要なんてまったくないですよ」


冥土帰し「そう言ってもらえると助かるよ」


冥土帰しはふとドアのほうを凝視して、口元に微笑をたたえながら尋ねてきた。



冥土帰し「君は、今、食蜂さんと一緒で幸せかい?」




上条「もちろん」


上条「世界一幸せです!」ニッコリ




冥土帰し「そうか」


冥土帰し「じゃあ、そろそろ若い二人に任せるとするよ」ガタッ


椅子から立ち上がり、ドアを開けて部屋から出て行く冥土帰し。それを目で追っていた上条は一人の少女が部屋の前の廊下で
でプルプルと震えているのを発見した。



食蜂「と、と、と、当麻さん/////////」プシュー



上条「み、操祈!?廊下で聞いてたのか!?」

今更ながら冥土帰しの思惑に気づく。ドアの向こうを察知するとは末恐ろしい。



食蜂「あわ、わ、そ、その……」



食蜂「私も当麻さんがいてくれるおかげで幸せだから!//////」



食蜂「じゃあまた明日!」ダッ



上条「あ、おい!もう帰っちゃうのか!?」



タッタッタッタ……


上条「……行っちまった」


上条「………」


上条「っ///////」カアッ

さすがにこんな時間だと人いなさそうなんで、続きはまた明日!
ちゃんと書き溜めてあるから安心してください

投下します



入院5日目


食蜂「今日も来たわよぉ当麻さん☆」

上条「お、操祈。毎日ありがとな」

はっきり言って昨日はほとんど会話してないが、お互いそのことには触れなかった。
言葉を交わさなくてもお互いの愛情さえちゃんと理解していればいい、と二人は思っていた。

食蜂「はい!これ、お見舞いのスターチス!」

満面の笑みでスターチスの花束を上条へと差し出す。
色とりどりでとても可愛らしい。

上条「お、操祈が一番好きな花じゃねーか!嬉しいよ!ありがとな」


食蜂はやんわりと微笑んでベッドの椅子に腰掛けようとしたが、途中で体を止めた。


食蜂「花瓶に入れとこうかしら?」

この病室には花瓶が置いてあったが、何の花も挿さっていなかったのでそれを使わせてもらおうと言う提案だった。
しかし上条は首を横に振った。

上条「いや、いいよ。あとで俺がやっとくから。お客さんだろお前は」

食蜂「そういう当麻さんは病人でしょ………」


昔から変わっていないが、彼は基本的に人に頼らない。それは、不幸を呼び寄せる右手を持っている彼なりの配慮なの
かもしれないが、せめて自分くらいには気を使わないで欲しいと思う食蜂だった。

上条から無理矢理スターチスの花束を取り上げて、花瓶に入れようとすると彼は申し訳なさそうな顔をして「ごめん」と呟いた。


食蜂「あのね、当麻さん。もっと人を…………ううん、私を頼ってくれてもいいのよぉ?」

上条「…え?あ、お、おう……分かった」

恐らく上条は、なぜ自分がそんなことを言うのか理解していないのだろうと思った。これはなかなかの重症である。
これからしっかり改善していかなくてはならないだろう。


食蜂が花を入れ終わり椅子に腰掛けると、上条は花瓶のスターチスを眺めて尋ねた。


上条「そう言えばさ、前に花屋で聞きそびれたんだけど、あの花の花言葉って何なんだ?」

その瞬間、食蜂の頭の中に上条と初めて出会った記憶が鮮明に映し出される。




―――――花言葉は、永遠に変わらない心っていうらしいぞ




かつて上条から教えてもらった花言葉を、今度は自分が彼に教える。
前へ進む決意を固めた食蜂はその事実をしっかりと受け止めて、今の上条を愛しているのだ。悩むことも、怖がることも無い。

ふんわりと柔らかな笑みを浮かべて、驚くほどの透明さを兼ね備えた声で答えた。






食蜂「永遠に変わらない心」






食蜂「それが、スターチスの花言葉よぉ」



上条「永遠に変わらない心、か」

上条は噛み締めるように花言葉を繰り返した。ただの花言葉として片付けるには重い言葉だった。

食蜂「私たちにピッタリの花でしょ?」

上条「ああ、そうだな」

すると食蜂は、イタズラっぽくウインクして底抜けに明るい声で言った。


食蜂「私の心も愛も、永遠に貴方のものだゾ☆」


上条「ばっ/////きゅ、急に何言ってんだ!?」

食蜂「あらあらぁ、そんなに動揺しちゃってぇ。私おかしなこと言ったかしらぁ?」クスクス

上条「い、いや、可笑しくはないけどさ」

食蜂「で、当麻さんは?」

上条「はい?」

食蜂「貴方の愛と心は、私にくれないのかしらぁ?」


上条はようやく察した。急に明るくなって不自然だと思っていたが、彼女は不安なのだ。
また二人が離れ離れになってしまうんじゃないかと思っているのだろうか。
彼女がそんな考えを持ち始めた原因は自分だ。きっちり償っていかなくてはいかない。

上条「もちろん、俺の心と愛は操祈のものだよ」

そう告げた瞬間、食蜂の顔が真夏の太陽のようにぱぁっと輝いた。

食蜂「ありがとう当麻さん!ずっと一緒よぉ!」ダキッ

上条「ああ。もちろんだよ操祈。愛してる」ギュッ

食蜂「私の方が愛してるけどね☆」クスクス

二人はきつく抱きしめあう。



―――ずっと一緒



今まで何度となく彼と約束を交わしてきた食蜂の心では、ようやく暗雲が消えつつあった―――


――――――――――――

―――――――

――――


上条「なぁ操祈」

食蜂「なあに?当麻さん」

上条「俺が退院したらさ、二人で遊びに行こうな」

食蜂「もっちろん!」



上条「あ、そうだ。第二位とのあれだけど、御坂を呼んできてくれてありがとな。アイツがいなかったら死んでたよ」

食蜂「…………私は戦えないから、せめてもって思って……」

上条「ほんと、俺って操祈に助けられっぱなしだよな……」

食蜂「あらぁ、不服なのかしら?」

上条「ちげーよ。ただ、男として情けないなーとは思う」

食蜂「情けない人は実験を止めに言ったりしないと思うけど……」

上条「そうかな?」

食蜂「そうよぉ」

上条「…だったらいいんだけどさ………………」


上条「お、そろそろ暗くなるな。操祈、もう帰ったほうがいいんじゃねーか?」

食蜂「もうちょっとだけ」ギュッ

上条「………ま、いっか」ニコ


しばらくして、食蜂は病院を後にした。

だが、彼女は寮についた後も連絡してきた。12時までに三回ほど。嬉しいのだが、食蜂は面倒くさくはないのだろうかと思ってしまう。
まぁ、電話での彼女は終始笑顔で話してくれるので、きっと自分と話すことを楽しんでくれているんだろうなと思うことにした。






そしてそれから数日。上条は無事退院した。残り少ない夏休みをなんとか平和に過ごして行きたいなーと思う上条であった。



――――――――――――――


――――――――


―8月21日―



学園都市・某研究所



殺風景な会議室に、十人程度の研究員が集まっていた。壮年の者もいれば、若々しい研究員もいる。
その場にいる全員が無表情であり、まるで感情の無いロボットが寄り集まっているようだった。

ふいに、低くしわがれた壮年の男の声が部屋に響く。


「さて、そろそろ会議を始めるとしよう」


「第二位の未元物質を使用した新型兵器の件はどうなっている?」




おわりです
今日みたいに投下する時間が遅くなってしまうのがしばらく続きそうですが、読んでくださっている方がいれば感謝です

今日投下します

投下します


別の研究者は落ち着いた雰囲気のまま、淡々と答えた。


「すでに完成しています。『木原』の要望どおりです」


「ほう、仕事が速いな」


「ではこの場にいる全員に兵器の概要を解説をしてくれ」


「承知しました」


さきほど壮年の男に状況を語った研究員が立ち上がり、前方へと歩き始める。
すると、どこからか巨大なスクリーンがフッと出現し、新型兵器と思われる写真が映し出された。


「これが、『木原』の要望通りに製造した兵器の写真です」


「色は白いが……これは「蚊」のようなものに見えるな……」


「ええ、その通りです。暗殺に特化したものであり、暗殺対象をこちらで設定すれば自動でその場所まで飛んでいきます。
そして対象に未元物質製の毒を打ち込むことで死に追いやります」


「シュミレーションの結果、この毒は脳の中枢にまで侵食していき、数ヶ月かけて対象を100%殺すことが可能です」


「100%殺せると言うのはさすが未元物質と言わざるをえんな。だが、なぜわざわざ数ヶ月かけるのだ?未元物質なら即死させる
ことくらいわけはないだろう?」


「それは………」






「おっと。それについては私から話そうか」





突如会議室に現れた人物に、研究員たちは騒然とする。


「あなたは……木原一族の……」


一人の研究員が呆然と呟いた。その人物ははすでに年老いており、白衣を着込んで不気味なオーラを放っていた。


「私は木原幻生。この兵器の発案者は私だ。ご苦労だったね」


木原幻生は不気味に笑うと、足早にスクリーンに向かった。前に立って説明をしていた研究員を押しのけ、ゴホンと咳払いする。


幻生「さて、なぜこの兵器がわざわざ数ヶ月もかけて殺すのか、とういうことだったね」

幻生「答えは簡単、怪しまれないためだ」


幻生「今まで元気だった人間が何の前触れも無く即死なんてあまりに不自然じゃないか。生憎、暗殺対象の周りの人間は厄介な奴ばかりでね。
感づかれると色々面倒だ。だからわざと数ヶ月というタイムリミットを与えることで、『未知の病に運悪くかかって死んだ』って思い込ませるのさ」


幻生「それに最初毒を打ち込まれてからしばらくは侵食を抑えるように設定している。そうだね?」


「あ、は、はい」


幻生「これも勿論狙って設定しているんだ。暗殺対象自身と、その周りの人間を安心させるために」

幻生「でもね、最初の対処が遅れればもうそこまでだよ。あとはどんどん侵食して身体機能を壊していく。色んな感覚も無くなるかもしれないねぇ」


幻生「そして、あっけなく、いつの間にか死んでるんだ」

木原幻生はニヤニヤと不気味な笑みを浮かべたまま、少年が夢を語るように兵器について語っていった。
その内容はあまりに計算高く残酷で、思わず研究者たちですら茫然とするほどだった


幻生「さて、兵器についての説明が終わったところで、対象の説明をしようか」ニッコリ


研究者たちはゴクリと生唾を飲み込む。これほどまでに恐ろしい兵器の餌食になるのは誰なのかと。



幻生「標的は、第五位『心理掌握』だ。今日にでも打ち込もう」



あっさりと言い切った木原幻生だが、研究者たちは目が飛び出してしまうのではないかと思うほど衝撃を受けたのは言うまでもない。


「だ、第五位ですって!?あなたはレベル5を殺すつもりなのですか!?」


一人の研究員があまりの驚きで叫ぶように抗議する。だが木原幻生はあくびでもしそうな表情で、

幻生「そうだよ」

なんの迷いも無く答えた。


幻生「私はすでに『外装大脳(エクステリア)』を手中に収めている。彼女はもう用済みなんだよ。私のこれからの計画にとって邪魔にしかならない。
ここらで処分していたほうがいいんだ。世界のためなんだよ。彼女は世界の平和のための生贄となるんだ。素晴しいじゃないか!」


まるで素晴しい芸術品でも見たかのようなうっとりとした顔でそう語る。

『外装大脳(エクステリア)』とは、食蜂の『心理掌握』を誰でも扱えるようになると言う、悪魔染みた装置である。
それを木原幻生は手に入れているというのだ。研究者たちはそれ以上反論することも出来なかった。あれを使われたら
自分たちは間違いなく終わると言うことを理解していると同時に、木原一族の恐ろしさを改めて痛感した。


幻生「では、私はこれで失礼させてもらおう」

それだけ言い残して、木原幻生は会議室から出て行った。会議室には静寂だけが残り、しばらく誰も声を発さなかった。


痛いほどの沈黙を破ったのは、例の壮年の研究員だった。


「……標的を、設定するぞ」


「は、はい!」



木原幻生は、廊下を歩きながらほくそ笑んでいた。

幻生(あの毒は、例の幻想殺しを持ってしても処理できないような、脳の最深部にまで届くように設計してある……)

幻生(やつがどう動こうともどうにも出来はしないんだ)

幻生「さて、これで、また私の絶対能力進化計画は始まるんだ……第5位さえ死ねば……!!」


歪んだ表情の幻生は、狂ったように笑い始めた。その姿は、さながら死神のようでも、悪魔のようでも、一人の人間でもあった。






そして




8月21日   17時30分



第五位『心理掌握』食蜂操祈を目標として設定し



その無機質な体に「死」そのものを宿した兵器は




放たれた――――


終わりです
次回はほのぼのだお

今日投下します

そろそろ投下します



8月21日  11:00


食蜂は待ち合わせの時間を確認する。予定の時間まであと2分。予想していたが上条はまだ姿を見せていない。
軽く溜め息をついていると、ドタドタと慌しい足音が聞こえてきた。

食蜂(当麻さん…ようやく来たわねぇ……ちょっとイタズラしてやるんだゾ☆)

素早く物陰に隠れて様子を伺う。

上条「げほげほ……あぁ…やっと着いたか…」

上条(出かける直前までインデックスにしつこく甘噛されたからなぁ……振り払うのに時間が掛かった……)

上条「二分前。何とか間に合ったけど、操祈はまだか…」

キョロキョロと辺りを見回していると、急に視界が暗くなってしまった。思わず肩がビクンと跳ね上がる。
後ろからは楽しそうな声が聞こえてきた。

食蜂「だぁれだっ☆」

上条「み、操祈か!うわ~ビックリした……」

クスクスと笑いながらパッと手を離す。彼の反応が予想以上に面白くて、彼女は満足そうな表情で優雅にお辞儀をして見せた。

食蜂「ごきげんよう当麻さん☆私なりのおもてなしはどうだったかしらぁ?」

上条「心臓が飛び跳ねました」

食蜂「大げさねぇ」クスクス

上条「いやいや、急に目が見えなくなったら驚くって」

食蜂「そうかしらねぇ…ま、いいけどぉ」


食蜂「ところで、今日はどこに行くのか決めてるのかしらぁ?」

上条「えっ」

食蜂「えっ」

上条「き、き、き、決めてますよ!当たり前でしょ!?」

ああ、この男はきっと何も考えてこなかったんだなぁと瞬時に察した食蜂だが、ここはあえて彼の即興の場所を聞いて
みるのもいいかな、と思って黙って待つ。

上条「うんと、えっと、あれだ……」




上条「て、店長の喫茶店……」

食蜂「却下」


上条「ええ!?じゃ、じゃあ……」アセアセ

うんうんと唸りながら考えを絞り出す上条。記憶を失ってからと言うもの、かなりの日数を病院で過ごしていた彼に
とって酷な質問だったかもしれない。そろそろ限界かなぁと助け舟を出そうとした瞬間、上条と目が合った。
その瞬間、彼は「そうだ!」と声を上げた。どこに行くかひらめいたらしい。

上条「プラネタリウム!プラネタリウムに行こう!行きたい!」

なかなかステキな提案ではあったが、食蜂には一つ引っかかることがあった。

食蜂「当麻さん…その提案はどこを見て思いついたのかしらぁ?」

上条「フィーリングさ!頭にスーッと沸いてきたんだよ!」

食蜂「……ほんとは?」

上条「………操祈のキラキラ輝くおめめです」

食蜂「……」ペシペシ

上条「痛い!待って!決して馬鹿にしたわけじゃないんだぞ!?」


上条「俺はお前の全部が大好きなんだよっ!」


食蜂「っ////////」ボッ


上条「てか、操祈がごくふつーな目だったらここまで魅力的に感じなかったかもなぁ……」


食蜂「っ~~~///////」ペシペシ


上条「痛い!やめて!」


上条「さて、誤解も解けたところで早く行こうぜ!」

食蜂「うん!」





―プラネタリウム―


上条「着いたな」

食蜂「大きなところねぇ……」

上条「それだけいいもんが見られるってことさ。よし入ろう」





上条「結構埋まってるんだなぁ」

食蜂「カップルばっかり……」

上条「俺たちもその中の一人だけどな」

食蜂「あらぁ、私もそう言おうと思ってたのにぃ」





上条「お!星が映されてきたな!」

食蜂「これだけ広いと、まるで本当に夜空の下にいるみたい……」


ナレーション「今上にあるのは夏の大三角です。これがうんたらかんたらでばーんってなります」


上条「へー…さすが学園都市。プラネタリウムの説明も超一流だな」

食蜂「すごく分かりやすいわねぇ」



食蜂「いつか、本物の、こんなに綺麗な星空を見てみたいわねぇ」

食蜂は、天井で煌く星空を見上げたまま、独り言のように呟いた。
上条は食蜂の横顔を見つめた。まるで小さな子供のように、目を輝かせてプラネタリウムを見上げる彼女がとても愛おしい。



上条「いけるさ。何度でも」



上条「俺たちはずっと一緒だろ。そんな機会、これから何度だってあるさ」


上条「だろ?」


食蜂「くすっ、それもそうねぇ」


食蜂「ありがとう当麻さんっ☆」ニコッ



プラネタリウムを見終わった二人は、近くの公園のベンチで少し遅めの昼食を取っていた。


食蜂「お弁当作ってきましたぁ!」

上条「え!?マジ!?」

食蜂「マジよマジ!私の女子力を舐めないで貰いたいわねぇ」ゴソゴソ

そう言って食蜂はバッグから弁当箱を取り出した。
もし彼と結婚したらぜひとも専業主夫をしてもらいたいという願望はいまだ変わっていないが、少しくらい料理が作れるようにならないと
女として及第点とはいえないという考えも生まれ始めてきていた。

食蜂「はい!あーん!」

綺麗な出来栄えの卵焼きを箸でつかんで彼の口元に持っていく。しかしこの公園には他にも多くの人がいた。さすがにちょっとためらう上条。

食蜂「………あーん」

心なしか彼女の声が低くなったように感じる。目が「あーんってしろ」と訴えかけていた。このままでは公園にいる人々
全員を能力で操って追い出すかもしれない。多くの人に迷惑をかけるのは心苦しい。

上条「あ、あーん」

パクッ

上条「」モグモグ

食蜂「おいしい?」

上条「……やばい、めっちゃうまい」

食蜂「ほんとっ!?うれしい!」

上条「いや~驚いたな。本当にうまいよ。操祈は何やってもできるなぁ」

食蜂「運動以外はね」

上条「そ、そういやそうだったな」



それからも、二人は色んなことを話した。


楽しい時間、と言うものは本当に早く過ぎていくもので、気付けばもう17時を過ぎていた。

ここで上条がある提案をする。

上条「最後に店長の喫茶店に行かないか?」

食蜂「結局そうなるのねぇ」

食蜂は渋々といった感じで了承する。確かにコーヒーはうまいが、店長が一方通行ではどうにも落ち着かない。
実のところあまり積極的に行きたいところではなかった。
だがあそこは上条との思い出がたくさん詰まった店なのも確かだ。

二人は、喫茶店への道を歩き出した。



――17:40



上条「お、もうすぐ喫茶店だぞ」

上条が前方を指差す。もう喫茶店は目の前だった。
今日は歩き疲れたなぁなどと食蜂が今日を振り返っていた、その時―――







チクッ







食蜂「……あれ?」


上条「ん?どうかしたのか操祈」

食蜂「ううん、ちょっと首に違和感があっただけよぉ。虫かしらぁ」

上条「痛むのか?」

食蜂「ううん、ぜーんぜん☆」

上条「そうか、ならいいんだ」


二人は、そのまま喫茶店へと入っていった。



――――たった今、絶対的な「死」が打ち込まれたとも知らずに


もう寝ます

今日は投下します
若干遅くなるかもしれませんがご了承ください



カランコロン

一方通行「いらっしゃい…って上条かァ」

上条「よう店長」

一方「第五位も一緒ってことは、またウチの客に見せびらかしに来たのかァ?」

上条「そんなんじゃねーって」

一方「まァ別にどっちでもいいけどよォ」

一方通行に案内され、席に着く。ここの店に来るときは常にこの席だった。客がどれだけ多くてもこの席だけはいつも空いているのだ。
まさに自分たち二人の専用席といっても過言ではないほどに。

食蜂は、こういう妙な気遣いをする一方通行がはっきり言って苦手だった。普通に見守ってくれたらいいのに少し度が
過ぎているような気もする。


しばらくすると、コーヒーが運ばれてきた。

一方「お待たせしましたァ」

上条「ありがとな」

軽く手を上げて応じると一方通行はスタスタと戻っていく。その間にすでに上条はコーヒーを飲み始めていた。

上条「おいしいな!」

コーヒーを飲んだ上条が笑いかけてくる。自分もさっさと飲もうと思い、コーヒーを飲みこむ。
すると、異変に気づいた。




――――――何の味もしない




食蜂は一瞬思考が停止した。この店のコーヒーを飲んで味覚を感じないと言うのはどう考えてもおかしい。あの一方通行がこんな
失敗作を差し出すわけが無いからだ。
一体何が起こっているのだろうか?

上条「ん?どうかしたか?」

心配そうに顔を覗き込む食蜂。内心は不安で一杯だったが、彼に迷惑をかけるわけにはいかないと無理矢理笑顔を作り出す。

食蜂「ううん、なんでもないわよぉ」ニッコリ


上条「そうか、ならいいんだ」

ほっとした表情でそう呟く。上条の優しさに感謝しつつも、何の味もしない黒い液体をただ流しこんでいく。




しばらくすると、急に味覚が戻ってきた。きちんとコーヒーの味も感じることが出来る。
疲れていたのだろうか?
深くは考えないことにした。なんだか深く考えることが怖かった、というのもあるが、せっかくの彼とのデートを自分の
せいで妙な雰囲気にはしたくなかったというのが大きい。




上条と食蜂はコーヒーを飲み終わったあと、喫茶店をでて常盤台に向かって歩いていた。
食蜂はもうあの味覚が無かったときのことなどどうでも良く感じていた。なにせ治ってしまえばどうでもいいからだ。
気にするほどじゃない。ましてや、病院にいくほどでもない。


上条「じゃあ、このへんで。またな、操祈」

すぐに帰ろうとする上条を半分呆れ返りながら呼び止める。

食蜂「ちょっと待って当麻さん。……あなた、ほんとに変わってないわねぇ」

上条「え、え?」

食蜂「おやすみのちゅーがまだでしょ?」



ちゅっ



上条「っ////////」


食蜂「じゃあ、また///」

上条「お、おうっ」


上条も、食蜂も、今この瞬間確かに幸せを感じていた。それは、嘘偽りの無いものだと断言できる。
だが二人の思いとは裏腹に、食蜂に打ち込まれた毒は静かに、ゆっくりと彼女の体を蝕んでいた。


ゆっくりと、ゆっくりと。


だが、確実に。












―――――そして、毒を打ち込まれて5日後、食蜂は倒れた


上条当麻は走っていた。病院から食蜂が病院に搬送されてしまったという聞き捨てなら無い電話が掛かってきたからである。

ロビーを駆け抜け、すぐに彼女の病室へとたどり着く。

ガラッと勢いよく扉を開くと、すやすやと寝息を立てている食蜂を発見する。
彼女を起こしてしまわないように、静かにベッドの横の椅子に座り、食い入るように彼女の顔を見つめた。



――――操祈は今、どんな状態なんだ?



頭の中をマイナスな考えが延々と駆け巡る。静かな部屋に、彼女の寝息と自分の鼓動だけがこだまする。


ガラッ


冥土帰し「失礼するよ」

上条「あ、先生……」

冥土帰し「食蜂さんは、まだ目が覚めてないのかい?」

上条「いや、今来たところなんで、なんとも……」

冥土帰しはドア付近で立ち止まったままこちらに近づいてこようとしなかった。それはまるで、上条たち二人の世界に
入ることを拒んでいるように感じられた。

冥土帰しは静かに語る。


冥土帰し「彼女の体を検査してみたんだけどね」


思わず息を呑む上条。


冥土帰し「彼女は未知の毒に侵されている」



声を震わせて呟く

上条「未知の……毒?」

目の前が真っ黒に染まっていくのを感じた。天井や床、そして背後の食蜂までもが黒く染まっていく。
しかし、目の前で悲しそうな顔をする冥土帰しだけは、酷く鮮明に映って見えた。


がっくりと肩を落とす上条を見て心を痛めながらも、冥土帰しは続けた。

冥土帰し「この私でさえ今まで見たことが無いものだ。この世界ではありえないような構造をしている。どんな影響があるのか
まるで予想がつかないんだよ。死んでしまうのか、生きていられるのかさえ」

上条は椅子に座ってうつむいており、彼の顔色をうかがうことは出来ない。恐らく彼の中では「毒」=「死」という結論が
出てしまっているのだろう。無理も無いことだった。しかし、彼と食蜂を救うため打ちひしがれている彼に告げた。

冥土帰し「私も全力で治療方法を探す」

冥土帰し「君も希望を捨ててはいけないよ。まだ食蜂さんが死ぬと決まったわけじゃないんだから」

うなだれていた上条の頭がゆっくりと持ち上がってきた。
少しばかり光を取り戻した上条の眼差しをしっかりと見据え、強めの口調で言い放った。


冥土帰し「それとも、君はこのまま黙って見るだけなのかい?」


上条はすっと立ち上がった。そこに先ほどまでの弱々しさはない。決意を固めた男の表情だ。


上条「すいません……俺、どうかしてました」


黒く染まってしまった彼の視界が再び色を帯び始めていく。



心から愛している食蜂操祈という少女は、記憶を失った自分に笑顔で歩み寄ってくれた



自分のために涙を流してくれた



ずっと一緒にいようと言ってくれた



心から愛していると言ってくれた





――――上条当麻はここに誓う




上条「今度は俺が……操祈を助ける!!!」



それが、今の自分にできる精一杯のことだった。

終わりです 次の更新は日曜日で

投下します



翌日、上条は拳をキツく握り締めながら、病室を訪れた。険しい顔つきでドアを開くと、予想外の光景に思わず目を疑った。
意識を失っていたはずの食蜂が、窓から射し込む光を浴びながら、景色を見て鼻唄を歌っていたのだ。


食蜂「~~♪~~♪」


今朝冥土帰しから掛かってきた電話では、食蜂はまだ目が覚めていないと聞いていたのだ。上条にとってこれほど嬉しい誤算は無い。
今すぐにでも抱きしめたいところであったが、食蜂に悪影響を与えてしまうかもしれないのでここはぐっと堪える。



上条「………よう、操祈」



彼の声にピクリと反応した食蜂は、振り返って嬉しそうに笑った。

食蜂「あらぁ当麻さん!来てくれたのねぇ!」

彼女の声を聞いた瞬間、思わず目頭が熱くなった。だが、せっかく彼女と話すことが出来るのに泣いていてはもったいない。
無理矢理にでも笑顔を作りながら、彼は尋ねた。

上条「……いつ、目が覚めたんだ?」

食蜂「ついさっきよぉ」

食蜂「目が覚めて、初めて会ったのは当麻さんなの」

上条「………そっか」


上条は正直安心していた。毒のことはどうしても自分の口から話したかったのだ。彼女の能力は他人の精神に干渉すること。
つまり、看護師などから情報を得て、一人で不安を抱えて怯えてしまうことだけは何とか避けることが出来たようだ。


食蜂「ねぇ、当麻さん。私は、どうして入院しているの?」


彼女に嘘は通用しない。たとえこの場を切り抜けたとしても冥土帰しや看護師たちの心を読み取られてすぐにバレてしまうだろう。
まぁそもそも上条は嘘をつく気など毛頭無かった。ありのままの真実を伝え、彼女の不安や苦しみを一緒に分かち合いたいと思っていた。



上条「……落ち着いて、聞いてくれよ」



上条「操祈は今、未知の毒に犯されてるんだ」



言い終わった瞬間、思わず目を瞑った。食蜂がどんな顔をしているのか確認するのが非常に怖かったのだ。
しかし、食蜂から返ってきた言葉は、意外なものだった。


食蜂「そう」


上条はその淡白な言い方に驚いて目を見開く。

上条「………驚かないのか」

食蜂「……いいえ。すごく驚いてるし、すごく怖い」


食蜂「でも、死ぬわけじゃないんでしょ?」


―――言葉に、詰まった


不安そうに揺れる彼女の眼差しを見ると、どうしようもないほどの無力感に襲われる。

上条「……分からない…あの先生ですら見たこともない毒らしいから……」

うつむき加減にそう呟くが、今度はしっかりと食蜂の目を捉えて告げる。

上条「でも、俺は絶対に死なないって信じてるし、解毒方法も先生と一緒に模索していくつもりだ。だからお前は安心して
待っててくれないか」

彼女の不安を少しでも取り除きたくて、彼女を安心させたくて。
ただその一心で声を絞り出した。

上条の声を聞いた食蜂の顔からは、確かに不安が取り除かれていた。彼を心底愛し、信じているからだ。
彼を疑う余地など何も無い。


食蜂「ありがとう、当麻さん。頼むわよぉ」ニコッ

上条「あ、ああ!これから毎日サポートしていくからな!」

食蜂「あら、頼もしいわねぇ」クスクス




彼女を死なせたくない。そのために自分は何をしなくてはならないのか―――


上条の心はそれで埋め尽くされていた。

―――――――――――――

――――――


上条は現在、病院から自宅へと帰る途中であった。

上条(思ったよりも元気でよかった……)

もっと弱々しくなってしまっているのではと危惧していたのだが、今日見たところではそれほど危機は感じなかった。
もしかしたらそこまで気負うほどの毒ではないのかもしれない。上条の中でそんな考えが生まれ始めていた。

上条(そうだよ、ネガティブになってどうすんだ!もっとポジティブになんなきゃ!)


上条「明日も張り切ってお見舞いに行こう!」


ピピピピピピピピピピピピピピ

携帯のアラームが鳴り響く。上条はパチッと目を開いて騒がしく鳴り響くアラームを止めた。
隣で煩そうにもぞもぞと体を動かしているインデックスにあくびをかみ殺しながら声をかける。

上条「おーいインデックス。朝だぞー起きろー」

禁書「ねむいんだよ~……」

か細い声で唸るように言うインデックスを見ながら、ボリボリとうなじを掻く。

上条「ったく、しかたねぇな……俺ちょっと行かなきゃならねぇとこがあるからもう行くぞ。朝飯置いとくから食べとけよ」

禁書「むうむ……」

上条「聞いちゃいねえな……よっこらせっと」


ベッドから立ち上がって朝食を作りにいく上条。

上条とインデックスは一緒に住み始めてからずっと二人で寝ていた。この部屋に来た最初の日のインデックスは、
それはもう大興奮で上条の貞操を奪おうとやる気に満ちていたが、上条がすぐに寝たために断念。
次の日も、その次の日も上条はすぐに眠りについてしまう。上条にとってはインデックスはあくまで妹的なポジション
としか見ておらず、同じベッドで寝ようが特に興奮したりはしないのだ。この事実をインデックスは未だに認めようとしていないが。


手早く支度を済ませた上条はインデックスのために作った朝食にラップをし、置手紙を添えて寮を出た。

今日は8月27日。夏休みももうすぐ終わってしまう。だが宿題にはまったく手をつけていなかった。
まぁ事情が事情だし、正直仕方ないだろうとすでに諦めていた。名前も知らないが、自分の担任が優しい人であることを祈るばかりである。



もう行きなれてしまった病院への道を歩いていると、見覚えのある白い人影を見かけた。

一方通行「よォ上条」

上条「おはよう店長」

一方通行は片手にコンビニの袋を持って歩いていた。中身は大量の缶コーヒーである。彼は流行を見逃さないため、日々
の研究も欠かさないのだ。

一方「どうしたンだ?こンな朝早くに」

上条は考える。食蜂の毒について一方通行に話してもいいのだろうかと。
店長になら、と上条は思うが自分の判断だけで決めるよりも食蜂に相談してからの方がいいだろう。

上条「うん、まあちょっとな」

言葉を濁す上条だったが一方通行は特に怪しむそぶりもせず、

一方「ふーン」

ただそれだけ呟いた。

上条「じゃあまたな!店長!」

一方「おォ」

食蜂の許可が下りたらきちんと話そう、と思う上条であった。

終わりです
インさん書いてるとすげー癒されます
更新はできたら明日です

―――――――――――――

――――――――

――――

病院に着いた上条は食蜂の病室のドアを開いた。ベッドの上では状態だけ起こしてリモコンを弄繰り回している食蜂の姿があった。

上条「おはよう、操祈」

病室に入ってきた上条に気づくと、食蜂はにこやかな笑みを浮かべた。

食蜂「おはよう当麻さん!」

やはりそこまでの毒ではないのかもしれない。どこから見たって彼女は健康そうだし、とても死ぬようは状態には見えない。
とりあえず一方通行のことについて話そうとする上条。

上条「聞いてくれよ、さっき店長に会ってさ」

食蜂「あら、第一位に?」

上条「なぁ、店長にお前の体のことは教えてもいいのか?店長にならって思うんだけど」

食蜂「そうねぇ……まぁとりあえずは保留にしとこうかしら。私が話してもいいかなって思ったらそのときは言うわぁ」

上条「そうか、分かった」


――――――――――――――

―――――――

それから一週間、彼は毎日食蜂の元へと足を運んだ。結局新学期にはきちんと学校に出席したのだが、クラスメイトは
みんな良いやつばかりでなんとかやっていけそうだった。そして学校帰りは毎日食蜂に会いに行った。
彼女はこの一週間とても元気でいつも笑っていた。彼女が笑顔を見せるたびに、上条の不安が少しずつ和らいでいった。
このまま行けば、彼女は間違いなく良くなるだろう。



やはり毒など大したものではなかったのだ―――――




今日は日曜日。上条は例のごとく食蜂のもとへと足を運ぶ。
彼女は今日もニコニコと笑っていた。
二人が談笑していると、ガチャッとドアが開かれる。

普段のにこやかな表情をすっかり消した冥土帰しだ。彼は部屋に入るなり後で院長室に来るように言いつけて去っていった。
彼らしくない淡白さに少し驚きを覚えたが、食蜂に別れの挨拶をしてから言われたとおり院長室へと赴く。



コンコン



冥土帰し「入ってきていいよ」

上条「し、失礼します」

緊張した面持ちで足を踏み入れる。彼は何度もこの病院を訪れていたが、院長室に訪れるのは初めてのことだった。
それに冥土帰しの表情から読み取るに、あまり言い話ではないことが予測できた。冥土帰しに促され、そろそろと椅子に座った。
冥土帰しも向いの席に座り、じっと上条の目を見つめた。

冥土帰し「………その椅子は、以前君が記憶喪失になったときに食蜂さんも座っていたんだ。今度は君が、食蜂さんのために
そこに座っているんだね……」

上条は俯いた。記憶喪失の話になると気まずくて仕方が無い。まるで自分はとんでもない間違いを犯してしまったのではないかと言う気分になるからだ。
彼はもちろん食蜂に対して心の底から申し訳無いと思っているし、自分が悪いと言うことは重々承知しているがインデックスを助けたことはまったく後悔
していない。記憶を失くしたのはインデックスのせいではなく、きっと自分に力が足りなかったからだ。


冥土帰し「さて、単刀直入に言おう」


冥土帰し「毒については、いまだ詳しくは分かっていない」


冥土帰し「だが、この世界ではありえない構造をしていることから、自然発生したものではなさそうだと思うんだ」


上条「能力……ってことですか……?」

冥土帰し「可能性があるってだけだけどね?本当に自然発生したものかもしれないし。でもこの学園都市において
それは非常に低い確率だと思うんだよ」

上条「……でも、もし能力によるものだとしたら、誰が何の目的でこんなことを……」

信じられないとばかりに呟く。

冥土帰し「分からない…。これからさらに詳しく調べて毒を創った能力者を割り出して行きたいと考えてるよ」

上条は大きく頷いた。
自分に出来ることがあればどんなことだってやってやる。
そんな思いがここ最近の上条の心に激しく燃え上がっていた。

上条「お願いします!俺にも出来ることがあればどんどん言ってください!」

冥土帰し「何を言ってるんだ。君は食蜂さんに毎日笑顔を届けているじゃないか。それは現状で一番重要なことだと
思うよ」

上条「そ、そうですかね……」

冥土帰し「ああ。もっと誇っていい」


冥土帰しはさて、と話を切り上げ椅子から立ち上がった。


冥土帰し「時間をとらせて悪かったね。もう彼女のところへ戻ってもいいよ」

上条「はい!失礼します!」



上条が冥土帰しに連れられたあと、食蜂は一人で悶々と考え込んでいた。


――――体に不気味な異変を感じていた


痛みを感じたり、気分が悪いわけではない。ただ漠然と何かが自分の体の中を駆け巡っているように感じているのだ。


食蜂(私は、どうなるのかしら……)


上条の言葉を思い出す。彼は自分に安心してくれと言ってくれた。彼の存在はいつも自分を救ってくれる。今回も彼が
いれば大丈夫だと自分に言い聞かせて、パンッと手のひらで両頬を軽く叩いて気合を入れなおした。

――――――――――――――――

―――――――――

――――


食蜂が入院してから2週間が過ぎた。毎日かかさずお見舞いに行っているが、今のところは何の異常も見られない。
この調子ならきっと退院も近いだろうと思っていた。彼女が一刻もはやく退院できるようにしっかり自分が元気付けてあげようと
張り切る上条。


いつものように勢い良く病室の扉を開けた



食蜂は上体だけを起こし、何をするわけでもなくただぼーっとしていた。
何をしているのか不思議に思いながらも、彼女のほうへと歩いていくと、彼女は予想外の行動に出た。
ベッドの脇に置いてあったリモコンを素早く手にし、上条のほうへ向けてボタンを押したのだ。




…………操祈?




彼女は自分に能力が効かないことなど知っているはずだ。リモコンを向けるのはどう考えてもおかしい。
上条は少し考えて、やめた。自分の予想など外れているに決まっている。彼女はきっと悪ふざけで―――



食蜂はリモコンをスッと下げた。


食蜂「読めないってことはぁ……」




食蜂「こんにちは当麻さん!今日も来てくれたのねぇ!」





今日彼女と初めて目が合った。するとすぐに異変に気がついた。



――――――目に光が無い



光が無いだけではない。目が不規則に揺れ動いており、どう見ても普通の動きではない。
思わず背筋が寒くなった。



上条はゴクリと生唾を飲み込む。今見ているのは、タチの悪い夢か何かだと信じたかった。逃げたかった。


しかし現実は逃げることを許してはくれない。


彼女に嘘だと言って欲しくて。

彼女に「何を言ってるの当麻さん」と笑い飛ばして欲しくて。


かすれた声で、尋ねた。




上条「操祈…………おまえ…………視えないのか……?」

今日はここまでです
次回更新は明日か明後日です
それでは

投下します


食蜂は光を失ってしまった目を隠すようにまぶたを閉じて、消え入りそうな声で呟いた。


食蜂「ごめんなさい………」




―――――――食蜂が視力を失った




その事実が彼女の口から確認できた瞬間、脳天をぶん殴られたかのような衝撃が走り抜けた。

彼女の世界に、もう光は無いのだ。




――――――いつか、本物の星空を………




上条「っ!!!」


プラネタリウムでの彼女の言葉が脳裏をよぎる。
彼女が見たかった星空は、もう――――


上条は思わず口を押さえた。こうしていないと今すぐにでも大声で泣き出してしまいそうだったからだ。
だが、ここで自分が泣き出してしまっては彼女の不安を増長してしまう。目が見えなくなって一番心細いのは彼女だ。
何とか堪えなくてはならない。


上条「なんで……?謝るなよ……お前は何も悪くないのに……」

食蜂「……ごめんね当麻さん……」



上条「謝るなっつってんだろ!!!!」



ビクッと大きく肩を跳ねさせた食蜂を見て、上条はハッと我に返った。


上条「……ごめん……お前が一番辛いんだよな……ごめんな……」


震える食蜂の肩を、震える腕でそっと抱いた。


上条「俺がずっと側でサポートするから……だから……」


―――安心してくれ

その一言は言葉にすることが出来なかった。
今の彼女にはあまりにも薄すぎる言葉だ。


彼は、震える彼女を抱きしめることしか出来なかった。


――――――――――――

―――――――

冥土帰しに呼ばれて、再び院長室を訪れた。部屋に入るなり彼は上条に告げた。

冥土帰し「彼女が視力を失ったのは間違いなく毒のせいだろう。それ以外に考えられない」


―――やはり……


上条「でも、どうして……入院してから2週間経ちますけど、全然元気だったのに……」

冥土帰し「今までが潜伏期間だった、ということだろうね……私でも予想できないほどの爆発的なスピードで侵食が進んでいる。
毒の動きに何か計画性を感じるね。自然発生したものではないことは確定と考えていいだろう」

冥土帰し「あともう少しで正体が分かりそうなんだ。それまで彼女のサポートをお願いできるかな?」

上条「……もちろんです」

―――――――――――――――

―――――――――


上条は帰り道を歩きながら様々なことを考えていた。


食蜂はこのまま一生目が見えないままなのだろうか。

あの毒はこれからも彼女を苦しめるのだろうか

彼女を救う方法を冥土帰しに任せっきりでいいのだろうか。


考えれば考えるほどに不安は増していく。
改めて、痛感した。




自分は無力なのだと




朝になった。今日は平日であり、当然学校にもいかなくてはならない。
だが、食蜂がこんな状態のときに学校なんてのんきに行っていいはずが無い。

上条(だって俺はアイツの恋人なんだ。もう記憶はないけど、幼馴染だったんだ。きっと昔から俺が困ってるときは
アイツが助けてくれていたんだ。俺が一日中アイツのそばで安心させてやらなくちゃいけないんだ)

呪文のように自分に言い聞かせた。全ては彼女のために。



上条はインデックスにご飯を作ることも忘れ、よろよろと病院を目指した。


上条は病室の前でスーっと深く息を吸い、ゆっくりと吐き出した。気持ちを落ち着かせて、扉を勢い良く開いて明るく挨拶をする。


上条「おっはよ!操祈!」


食蜂「あ……当麻さん…おはよう」

彼女はアイマスクをしていた。おそらく目がぐるぐると動き回るのを彼女が嫌がったのだろう。
だが彼女がアイマスクをしていようがそんなことは上条にとって関係なかった。彼女は彼女だ。

上条「どうしたんだよ操祈、元気ないなぁ」

食蜂「う、うん……」






上条「……………」


上条「……操祈」

食蜂「な、なあに?」


上条「お前、俺に遠慮とかしなくていいんだぞ」

上条「俺は、どんなお前でも受け入れるよ。恋人で、幼馴染だからな」



食蜂「!」



それは、かつて記憶を失う上条が口にしていた言葉。
そして、どんなでも自分でも受け入れるという彼の言葉。


彼は、視力を失い、もう二度と光を見ることが出来ないかもしれない自分を受け入れてくれると言ってくれたのだ。


そんな女と一生を共にする、というのは生半可な覚悟ではできない。
それを、彼はいとも簡単に言ってのけたのだ。


食蜂「あり……がとぉ……」ポロポロ


上条「お前はお前だ。たとえどんな姿になっても俺は操祈をずっと愛し続けるよ」



上条「永遠に変わらない心」



上条「俺たち二人にピッタリ、ってお前が言ってだろ?」ニコッ


そして、優しく抱きしめた。

食蜂は声を上げて泣き始めた。それは、悲しいからではない。

彼に対する感謝と、愛情と、信頼からあふれ出た涙であった―――

おわり
次回更新は明後日の予定
時間があれば明日で

すまんぼーっとしてたから脱字がひどいわ…ちょっとしばらくROMっとく 

>それは、かつて記憶を失う上条が口にしていた言葉。
失う前に変更

>上条「俺たち二人にピッタリ、ってお前が言ってだろ?」ニコッ
言ってただろ?に変更


日といるかな


彼は寮への帰り道をふらふらとおぼつかない足取りで帰っていた。

上条(そういや俺、何も食べてねーんだった……)

上条(インデックスにも何も作ってないし……どう言い訳しようかな……)

出来る限りインデックスを巻き込みたくは無い。だから食蜂の毒のこともずっと黙ったままであった。

現在の時刻は午前11時。朝食を食べていないインデックスはどれほど凶暴化しているのか考えるだけで足が重くなる。




ガチャ

上条「ただいまー……」

禁書「……」

上条「ご、ごめんインデックス。ちょっと色々あってさ……今からたくさん作ってやるから」

禁書「それもだけど、ほかに言うことがあるんじゃないのかな?」


上条「言うこと……?」

禁書「私が気付かないとでも思った?最近のとうま、どこからどう見てもやつれてるんだよ」

上条「え…」

自分では全く気がつかなかった。そういえばここ最近鏡を見ていない気がする。
自分の顔がどうなっているのか確認する余裕すらなかったらしい。

禁書「ていうか、今日は平日なんだよ。学校はどうしたのかな?」

しまった、と思った。そういえば今日は平日だった。午前中に帰ってきているのはどう考えても不自然だ。

禁書「そして本題!毎日とうまはなにをしているの?」

インデックスの追求に言葉が出ない上条。それは気まずくて答えられないのではない。頭がぼーっとして何も言葉が浮かんでこないのだ。
彼女の言うとおり、自分は相当疲れていたらしい。

上条「学校は、具合が悪いから早退したんだよ。ご飯作ったら少し寝かせてくれ」

禁書「それは分かったんだよ。とうまは毎日どこへ行っているのか教えて欲しいかも」

上条「……時が来れば、話すよ」

ただそれだけ呟いて、上条は台所に向かった。



しばらく昼寝をして起きると、大分体が軽くなっていた。ひとまずは元の体調に戻せたようだ。

上条(俺、やっぱ情けねえ……たったの2週間毎日お見舞いに行っただけでこの始末だ……もっと心を強く持たねぇと…)


上条「俺はアイツを助けるんだ…助ける…助ける…一番辛いのはアイツなんだ……俺が支えてあげなくてどうする……俺が…俺が…」ブツブツ



禁書「……とうま?何ブツブツいってるの?」


上条「」ハッ


上条「いや、なんでもねぇよ。昼寝したおかげで元気になった」

禁書「なら、いいんだけど」

インデックスは半ば疑うようにしてそう呟いた。



――――――――――――――――――

―――――――――




食蜂が入院してから一ヶ月が過ぎた



現在上条はアイマスクを装着した食蜂を車椅子に乗せて、病院のちょっとした広場を散歩していた。

上条「なー操祈」

食蜂「なあに当麻さん」

上条「今日はいいもん持ってきたぞ」

食蜂「え?いいもの?」

すると車椅子を止めた上条はゴソゴソとかばんの中を漁り、二つのものを取り出した。

上条「これ、お前の友達が取ってきてくれたんだ」

彼は食蜂の目の前にそれを持って行くが、当然彼女は見ることが出来ない。

上条「おっと、こっちのほうが分かりやすかったな」

そうして彼女の耳元へと移動させた。


サラサラサラ……


食蜂「あ……この音は……」


食蜂「砂時計……」


それは、記憶を失う前の上条と、今の上条の両方にプレゼントしてもらったものだ。
どちらも大切な宝物である。

上条「これ、なんで2つあるんだ?」

食蜂「ふふ、あなたにプレゼントしてもらった分と、前のあなたにプレゼントしてもらった分よぉ」

上条「え?2つとも俺が?」

食蜂「そうよぉ。2つ目を貰ったとき、私は気付いたの。記憶が無くなったって、あなたはなぁんにも変わってないんだなって」

食蜂「改めて、お礼を言うわぁ。プレゼントありがとう」

上条は照れくさそうに頬を掻くと、ポンと食蜂の頭に手を置いて撫でた。

上条「お礼なんていーんだよ。早く元気になろうな」

食蜂「うん!もちろんよぉ!」

食蜂はにっこりと笑った。彼女の笑顔によって、最近疲れで精神的に余裕の無かった上条の心は癒されていく。
彼女が笑うだけで元気になった。彼女は自分の生きる価値ともいえる存在なのだ。



これ以上、もう彼女を壊されたくない―――


砂時計を渡してから2週間が経ったある日のこと



今日は土曜日であり、上条はいつものように病院に訪れていた。

上条「おーい操祈、今日も来たぞー」

軽い感じで挨拶をすると、食蜂はびっくりしたように口をあんぐりと開けた。

上条「ど、どうした?そんなに驚いて」

食蜂「だ、だって当麻さん…「今日も」って、さっき来たばかりじゃない」



上条「……………は?」



上条「何言ってんだよ……?」

そう、上条が最後にここを訪れたのは昨日の午後5時。「さっき来た」という言葉が食蜂の口から出るのはどう考えたって
ありえないことだった―――本来ならば


上条(まさか、まさか、まさか……!!)


どれほど食蜂を苦しめれば気が済むのだろうか。
信じたくない。信じられない。
だが、目の前で不思議そうに首をかしげる食蜂を見て、どうしようもなく確信してしまう。




―――――記憶が……ごちゃごちゃになってんのか……?




嫌な汗が頬を伝った。ごくり、と生唾を飲み込み、おそるおそる尋ねる。

上条「なぁ……操祈。昨日の晩御飯、何食べたか覚えてるか……?」

食蜂は人差し指を頬に当て、うんうん唸りながら首を捻った。

食蜂「昨日の……晩御飯…?昨日……あれ?今日は何日だったかしらぁ?ていうか、何月…?」



上条はただ茫然と立ち尽くした。


その日、彼は頭の中が真っ白になる、というのを初めて体感した

ひとまず終わり
夜にまた投下するかもしれない

人いるかな?いなかったら明日で

じゃあ明日にしますね


―院長室―


冥土帰し「……そうか…記憶が…」

上条「先生……俺は一体…どうすれば……」

上条は驚くほど顔が青かった。
以前食蜂を絶望させた「記憶」が、今度は上条へと牙を剥く。

冥土帰し「しかし、彼女の記憶はキミと違って全部壊れてしまったわけじゃない。一時的なものかもしれないし、少し様子を見てみよう」


上条「……はい」


上条の顔色は終始優れなかった


翌日、上条は内心ビクビクしながらも病室のドアを開けた。

上条「お、おはよ……操祈」

彼女の反応が怖くて仕方が無かった。
彼女が視力を失ったときと昨日の記憶の一件で軽くお見舞いがトラウマになりつつあった。

食蜂「あ!当麻さん!」


食蜂「昨日は来てくれなかったけど、何かあったのかしらぁ?」




上条(…っ!)




上条「悪いな、ちょっと用事が長引いちゃってさ」ハハハ


食蜂は光を失い、あまっさえ記憶もあやふやな状態になってしまっているのだ。
記憶のことは彼女には黙っていたほうがいいだろう。これ以上彼女を苦しめるのはあまりにも心苦しい。


食蜂「用事って?」

上条「い、色々あるんだよ俺にも」

食蜂「ふぅ~ん……」ジトー

上条「な、なんだよ」

食蜂「べっつにぃ~」



食蜂「当麻さんは、私にだけは隠し事なんてしない人だと思ってたのに」



上条(………)


上条(それでも、話すわけにはいかないんだ)


上条(それが操祈のためなんだ)


それからは毎日、必死に自分にそう言い聞かせた。彼は、心の奥底では自身の本当の気持ちに気付いている。
本当は彼女のためだけではなく、もう自分が傷つきたくないから話さないのだと。
自分の醜さ、愚かさを隠すように、必死に頭に「彼女のため」だと刻み込んでいるのだ。


彼女に対して何も出来ない無力感、自己嫌悪に苛まれながらも、それでも彼は明日、明後日と毎日食蜂へのお見舞いを続けた。
それは、無力さからの罪悪感か、義務感か、彼女への愛情からか。様々な感情が入り混じり、彼の疲労は目に見えて溜まっていった。


そして日を重ねるごとに、彼女の記憶はどんどん崩壊していくのが手に取るように分かった。

あまりに辛い現実。

だがそれでも、今日までなんとかお見舞いを続けてこれたのも、彼女が上条のことだけは忘れていないからだった。


食蜂が入院してから二ヶ月が経とうとしていた。


彼女が入院したときはうだるような暑さだったが、すでに季節は秋。時の流れを感じずにはいられない。

上条は病院に行く前に彼女が大好きなスターチスの花束を購入していた。

ガチャッ


上条「操祈ー俺だぞー」

彼女の前では勤めて明るく振舞う上条。せめて少しだけでも安心させてやりたいからだ。

食蜂「………」

食蜂は何も言わなかった。どうしたのだろう。

上条「どうした?操祈」

きょとんとした表情で尋ねる。彼女が自分といるときに無言になることなんてほとんど無いからだ。

食蜂はこちらに顔を向け、首をかしげた。




食蜂「あなたはだぁれ?」




上条は、ゆっくりとまぶたを閉じた。現実から目を背けるように。


食蜂「あなた、私の名前を知っているようだけどぉ、どこかで会ったかしらぁ?」

食蜂「もしそうだとしたらごめんなさいねぇ。私、見ての通り目が視えないのよぉ」

食蜂「だから、一、二回会っただけなら誰だか分からないかもしれないわぁ」


食蜂「あれ?聞いてる?もういないのぉ?」


しーん


食蜂「いないみたいねぇ……誰だったのかしら?」





俺は、俺はここにいるよ、操祈
そうか、目が視えないから分からないんだな
ん?でもさっき俺の声を聞いても誰だか分かってなかったんじゃないか?
それなら、どうすれば俺だって分かってくれるんだ?
操祈の目は見えない、声を聞いても俺のことが分からない
あれ?それってつまり





俺は操祈から忘れられた


走る。走る。走る―――


上条は全力で走った。病院から遠ざかるために、現実から遠ざかるために。

寮に着き、自分の部屋に転がるようにして駆け込んだ。

インデックスの置手紙があった。散歩に行っているらしい。

だが、そんなことは今の上条の頭に入ってこなかった。


部屋の壁に力なくもたれかかり、全身の力が抜けて座り込む。


上条「あなたはだぁれ……か」

上条「あはは……」

自嘲気味に笑うと、右手に握るスターチスの花束が目に入った。



―――永遠に変わらない心


―――私たちにピッタリの花でしょ?


―――私の心も愛も、永遠に貴方のもだゾ☆




上条「永遠に変わらない心……か」



上条「現実は……残酷だなぁ……」ポロポロ



上条「俺は、無力だ……」ポロポロ


上条「ごめん……ごめんな……操祈……俺……は……お前に…何もしてやれなかった……!」グスッ


上条は、目を覆いながら激しく嗚咽を漏らして泣いた。
二ヶ月のお見舞い生活で、彼は今日初めて涙を流した。
彼の深い悲しみと絶望に呼応するように、涙が彼の頬を濡らす。


上条「うぅ……操祈……みさ……きぃ……」


彼の悲痛な叫びは、ひとりぼっちの部屋で寂しく響いた―――




そうして、翌日

上条は、この二ヶ月間で初めて病院を訪れなかった。


見舞いをするべき大切な人は、もういないのだから

おわり 更新は明日です
ここから倍返しが始まるかもしれない

ちょっと遅くなるかも

上条は病院にも行かず、幸せだった彼女との日々を思い出していた。




砂時計をプレゼントした


一方通行が営んでいる喫茶店に行った


四季の花が全部揃った花屋にも行った


垣根との決戦で入院した自分をお見舞いしてくれた


退院してからプラネタリウムを見に行った


いつか星空を見に行こうと約束した


公園で彼女お手製の弁当を食べたときもあった


上条(楽しかったな……あの頃は……)

上条(たった3か月なんだよな、操祈と過ごしたのは)

上条(それでこんだけ色々楽しくやってこれたのは全部アイツのおかげだよな……)





……それだけ?

なんだろうか、この心に引っかかっているモヤモヤしたものは

いままで挙げたのでほんとに全部か?

違うだろ そうじゃないだろ

操祈と俺はどんな状況で会った?俺が初めて操祈と会ったのはどんな時だった?

逃げんなよ 上条当麻

お前は傷付きたくないだけだろ もう絶望したくないから、だから逃げてるんだ

アイツは、食蜂操祈という少女は、俺と初めて会った時、どんな状況だった?




今の俺と同じ状況だっただろうが!!!!


アイツは、俺が記憶を失って、その記憶はもう一生思い出せなくて、きっと絶望してたんだ!

今まで俺はその時の操祈の気持ちを深く考えたことが無かった。
考えることが怖かったから、アイツに申し訳なかったから、自分がとても情けなかったから

今の俺はどうだ?そんなに自分が可愛いのかよ!
傷付きたくない!?絶望したくない!?

操祈が俺に会いに来てくれたとき、操祈がそうじゃなかったとでも!?

俺は、あの時の恩返しをしなくちゃダメなんじゃないのか!?
このままずっと部屋に閉じこもってる気か!?

お前を助ける、安心しろって言ったのはどこのどいつだ!?


アイツが俺のことが見えなくても、覚えていなくても、俺はアイツを助けなくちゃならねえ!


上条「………行かなきゃ!」

そう思った瞬間、心に渦巻いていた何かが消えた。
急いで服を着替え、玄関に向かおうとすると、ポケットに入っていた携帯電話が着信音を響かせた。

上条「……はい」

冥土帰し「……上条君、私だ」

上条「先生…」

冥土帰し「今から来てくれ。伝えなければならないことがあるんだ」


上条「……もちろんです」

―院長室―


冥土帰し「この2か月、食蜂さんの毒について色々調べたが、やはりこの毒は未知の物質だ」

上条「……それはつまり、もう操祈は助からない、ということですか?」

上条はこのことを考えたことがないわけではない。2か月のお見舞い生活で疲労がピークに達した時、ふと考えてしまったことがある。


操祈は本当に助かるのか、と


だが本当にこの瞬間がこようとは―――


歯を食いしばって涙をこらえていた上条だったが、冥土帰しは首を横に振った。

冥土帰し「調べてみたところ、未知の物質を生み出す能力者がいるようだ」

冥土帰し「その能力者があの毒を作り出した可能性が極めて高いと見ているよ」

上条「その能力者っていうのは…?」

冥土帰し「おそらく、学園都市第二位 垣根帝督だ」


すまんもう無理またあすたのむよ

投下します



上条「垣根……?」

上条は疑問符を浮かべた。
かつて妹達を救うために戦ったのが学園都市第二位・垣根帝督である。
彼の絶大な力に圧倒されながらも、御坂美琴と協力して辛くも勝利した相手だ。
その垣根の能力で毒を作ったとすると、復讐のために食蜂を狙ったのだろうか…

考えられることではある。だが、決着の瞬間に彼が見せた柔らかな笑顔が脳裏をよぎる。



上条「……垣根じゃないと思います」



自然にその言葉が出た。根拠なんてほとんどないが、彼じゃないという漠然とした自信があった。

冥土帰し「私もそう思っているよ」

上条「え?でもさっきは……」

冥土帰し「正しくは、彼の作った物質を何者かが利用した、といったところかな」


冥土帰し「色々調べてみて分かったんだけど、キミたちと戦って以来、垣根くんの姿を見た者はひとりもいないそうだ」

上条「え……?」

冥土帰し「つまり彼はある研究所に囚われて無理矢理能力を引き出されている可能性が高いね」

冥土帰し「おそらく食蜂さんに毒を打ちこんだのはその研究者たちだろう」

上条は無意識の内にきつく拳を握りしめていた。

上条「その研究者ってのは誰なんですか?」


冥土帰し「レベル5を捕えることのできる組織なんてほとんど存在しない……考えられるのは……『木原』」


冥土帰し「木原一族の内の誰かだろうね……彼らはまさしく狂気に満ちた集団だ。生半可な覚悟で立ち向かうもんじゃないよ」


上条「……覚悟なんて、もう決めてますよ。俺は行きます。操祈を助けなくちゃいけないんだ」


冥土帰し「………キミならすぐそう言うと思ったよ」

冥土帰し「死なない限りは私が絶対に治すから、思い切りやってきなさい」




上条「はい!」


冥土帰し「しかし、もう一つ君に言っておかなくてはならないことがある」


冥土帰し「食蜂さんのことだ。彼女の毒は私たちの予想を遥かに上回るスピードで侵食が進んだ。仮に奴らから血清を
奪えたとして、彼女の視力や記憶は治らないかもしれない。もうその段階に来てしまっているんだ」



冥土帰し「それでも、君は行くのかい?」



上条の答えは、すでに決まっていた。





上条「たとえ目が見えなくても、記憶が無くても、操祈が生きてくれさえすれば、俺は満足です」


ニッコリと微笑んで、堂々とそう答えた

―――――――――――――――

――――――――――

ガチャ


食蜂「あらぁ?どちら様?」



上条「……名乗るほどのもんじゃないさ」



上条「名前なんてどうでもいい。ただ、約束するよ」



上条「俺が君を必ず救い出してみせる」




上条「それだけ言いたかったんだ。じゃあな」



バタン



食蜂「……今のは……誰……?」



それから一週間、彼は寝る間も惜しんで毒を作ったであろう研究所を探し当てた。
そして3日後には学園都市中の研究員がほとんど出席する会議のようなものがあることを突き止めた。
つまり毒を作った研究所には数人しか残らない。
攻め入るならその日しかチャンスは無いだろう。

上条(やっと、やっとここまで来たんだ……絶対に毒の血清を奪ってやる)

相手がどんな組織だろうが関係ない。自分はひたすら食蜂を助けるために動けばいい。それが俺にとっての正解なのだと上

条は思っていた。









そして、3日後 時は来た



早朝4時、インデックスを起こさないように静かにムクリと起き上がって着替えはじめた。
そろそろ研究者たちがぞろぞろと会議に向けて出ていっている頃だろう。

上条(急がなきゃ……!)

足音を立てないように、そろそろと玄関に向かう。片方のスニーカーを履きかけたその時、



禁書「とうま」




上条「…………インデックス」




後ろから声が響いた。


しまった、と思った。インデックスに気づかれてしまうとは、とんだ失態を犯してしまった。
何があろうともインデックスだけは絶対に巻き込みたくない。
どうすれば誤魔化せるだろうかと考えを巡らせていると、インデックスは予想外の言葉を放った。


禁書「いってらっしゃい」


上条は一瞬耳を疑った。この少女は寝惚けているのかと思い、まじまじと見つめるが、彼女の顔は食事を目の前にしたとき
のように眠気の欠片も感じられなかった。


禁書「早く帰ってきてね、とうま」


この少女は具体的にとまではいかずとも、上条がこれから何をしに行くのかは大体察知しているらしい。
だがそれを察知してなお、こうして笑顔で送り出してくれるのだ。彼女の優しさは素直に尊敬できる。
にっこりとほほ笑んでそう言うインデックスに、上条は照れくさそうにはにかみながら親指を突き立てた。


上条「おう!!」



決戦へ向けて、上条当麻は力強く足を踏み出した。


――――――――――――――――――――――――

―――――――――――

そして上条は研究所に着いた。

計画通りだ。窓枠から覗き込んでそう思った。
中は閑散としている。研究員の数がこれほど少なければ血清を奪える確率はグンと上がる。

上条(よし……さっき拾ったこの石で…)


パリン!


軽快な破壊音が鳴り響く。石で窓ガラスを割った上条は素早く研究所の内部に入り込んだ。

上条(この研究所のどこかに血清があるはずだ……虱潰しに探していくしかないか)

迷ってばかりでは時間の無駄だ。迅速な行動をしなくてはならない。

上条(よし、まずはこの部屋から………)

そうして上条は虱潰しにドアを開けていった。



上条(くっそ……この部屋も違うか……)

現在11部屋目。血清らしきものは一つも発見できなかった。
だが4部屋目を開いた時に一人の研究員と遭遇し、素早く殴って気絶させたことで白衣と眼鏡を剥ぎ取ることが出来た。
これで他の研究員と遭遇しても幾分か誤魔化せるだろう。

上条(にしても度がきついな……気分が悪くなりそうだ)

ゆらゆらとゆらめく視界に頭を抱えながら、この日12部屋目の一際大きな扉を開いた












――――その部屋は明らかに異質だった




大きな筒状のケースに、培養液に漬かった巨大な脳みそのようなものが浮かんでいる。
その巨大な脳のケースの左右には男と女の研究員が一人ずつ配置されており、なにやら機材をいじっていた。




――――――そして、もう一人。その巨大な脳を見つめる男がいた




「これは『外装代脳(エクステリア)』」



男は巨大な脳を見つめながら、独り言のように声を発した。



「食蜂くんの大脳皮質の一部を切り取って培養・巨大化させたものであり、私の目的を達成させるために不可欠な装置だ」


「この『外装代脳』が完成した今、私は食蜂くんの存在価値に疑問を抱いた」



「なぜなら、彼女に出来ることは『外装代脳』があれば誰でもできる。まぁ、全部彼女と同じ、とはいかないだろうけど、

大抵のことはそこらの一般人でも出来るよ」



上条「…………だから操祈に毒を打ちこんだのか?」




その男―――木原幻生はようやく上条の方を振り返って、ニタリと笑った。



幻生「御名答。初めまして、幻想殺し」


幻生「私の崇高な目的を達成するためには、『心理掌握』の力が必要だった。しかし、『心理掌握』本人の彼女は全くもっ

て力を使いこなせていない。あれほどの力を有していながら、つまらん遊びにしか使っていないんだからね。そのくせこの

『外装代脳』の干渉すら受け付けない強固なプロテクトを張っているのだよ。タチが悪いったらありゃしない」



幻生「まぁ彼女に毒を打ちこんだ理由はそんなところだよ。私は彼女よりも『心理掌握』を遥かに使いこなして計画を完遂

させる」


上条はフン、とせせら笑う。


上条「べらべらとよく喋るジジイだな」



幻生「何?」



上条「操祈が能力を使いこなせてない、だと?『心理掌握』が危険な能力だって分かってたからこそ、アイツは本気で能力

を使わなかったんだろうが!!!そんなことも分かんねぇお前に、『心理掌握』を使う資格はねぇ!!!」


上条「お前のような奴に、操祈は殺させない」

そして上条は血清よりも、まず一番最初に確認しなくてはならないことがあった。




上条「オイじいさん。垣根はどこだ?」


幻生「ほう……君はもうそこまで辿り着いていたのか」

幻生「だが残念だったね。今回多くの研究員が集められる会議、あれは垣根くんの未元物質が主題の会議だよ。すでに別の

場所へ輸送されているよ」

上条(くっ……垣根さえ助けることが出来たらあとはどうとでもなるのに……)


上条「だがあれほど強力な毒だ。血清を作っていないはずがない。もし自分たちが狙われたら困るだろうからな」



上条「あの毒の血清はどこだ?」




幻生「……ふん、君は血清が欲しいのか」

上条「何処にあるのか答えろ」

静かな怒りに満ちた上条の声に、幻生は余裕を持って答えた。



幻生「あの毒の血清はほとんど作っていなくてね。そしてその貴重な血清は……」

幻生は懐から小さな注射器を取り出した。中には白いサラサラとした液体のようなものが詰まっている。



幻生「私が持っているよ」ニタ



幻生「ま、譲るつもりは勿論ないけどね」

そう言って再び注射器を懐へ収める。

幻生「キミももう諦めなさい。彼女を助けるなんて無理だよ」


上条「んなもんテメェが決めることじゃねぇだろ」



上条「俺が決めることだ」



そう言うと研究員から奪った眼鏡と白衣を投げ捨て、諸悪の根源・木原幻生を鋭く睨みつけた。

終わり
そろそろこのSS終わりたいな

初めて読み直してみたらなんか妙な間隔が空いてたり誤字があったりですげえ読みにくかった
正直すまんかった 気を付けます

投下してもよろしいか?


幻生「ふん、癇に障るね」

幻生は鼻を鳴らすと、食蜂のものとはまた違ったタイプの細型のリモコンを取出してスイッチを押した。
すると、『外装代脳』の横で機材をいじっていた白衣の男がビクンと体を震わせた。
まるでロボットのようなぎこちない動きで振り返り、懐から銃を取り出して構える。


幻生「いくら君が異能の力を無効化できても、普通の銃には太刀打ち出来ないんだよねぇ」

上条「……っ」



幻生「撃て」

男「ハイ」ダン!

上条は低く身をかがめ、寸でのところで銃弾をかわす。

幻生「ちっ、反射神経が良いのかねぇ」

舌打ちする幻生を横目に上条は驚異の足の速さで男へと走り出す。

上条「おおおおっ!!」

右の拳を振り上げ、白衣の男の鼻っ柱にぶち込んだ。

『外装代脳』の力から解き放たれると同時に気絶し、倒れ込む。

上条(こいつらがいくら銃を持とうが、所詮は研究ばっかやってきたモヤシだ!これならなんとか……!)


上条「血清を渡せっっっ!!!」


怒号を上げながら幻生のもとへと走り出すが、



バンッ!



上条「ぐっ!?」



あと少しで幻生に到達するというところで床に突っ伏してしまう。その原因は、



上条(くッ…右足に銃弾が……)

右足のふくらはぎに銃弾が撃ち込まれ、血が噴き出していた。
銃弾が飛んできた方向を確認すると、今まで機材をいじっていた白衣の女が銃を構えている。


上条(ぐっ…あの女か……!)

そんな上条の様子を幻生はニヤニヤとしながら見下ろしていた。

幻生「キミは銃には勝てないんだよ。もう分かっただろ?」


上条(足に銃弾が当たったくらいで何だ!!操祈を助けるためなら、これくらい!!)ググッ

立ち上がろうとした瞬間、激痛が体中を駆け巡るが、圧倒的な精神力でねじ伏せる。
そして目の前の幻生をぶん殴るために左腕を上げた。

上条「おおおおおっ!!!」


バンッ!!!


上条「ぐっ……ああァぁっ!!」


白衣の女が放った弾丸が振り上げた左腕に命中する。
苦痛で顔を歪ませながらも、目の前の幻生を殴ることにだけ集中する。


上条「ぐおおおおあああっっ!!」バキッ


拳を幻生の頬に叩き付けた。だが殴った瞬間、途方もない激痛が迸る。

上条「が……あ……」


上条の攻撃によって床を滑る幻生。
だが、頬をさすりながらすぐさまムクリと起き上がる。

幻生「全くキミの精神力も大したものだよ……手足に銃弾をを撃ち込まれてまだ殴れる力があるんだからね」

幻生「だがやはり冷静さを失っているようだ。今のは左じゃなく、右で殴るべきだったよ。銃を撃ち込まれていない方の腕
で殴られていれば私も倒れていたかもしれないねぇ」



幻生「そんなんじゃ、食蜂くんを助けるなんて到底無理な話だよ」



上条「お前が決めるなっつってんだろうが!!!」



今度は右腕を振り上げ、今度こそ幻生を倒すため足を踏ん張るが、


バンッ!!


またしても白衣の女の銃によって阻止される。今度は右腕に弾丸を撃ち込まれてしまう。


上条「ちっく…しょうがああぁぁ!」

無理矢理右腕を振るうが、速度は大したものではなく、安々とかわされてしまう。


幻生「ハハッ!やはり冷静さを失っているようだねぇ。あんな安い挑発にのるようじゃまだまだだ」

あいかわらず人を小馬鹿にしたような笑みを浮かべている幻生に、上条はありったけの怒りと敵意を込めて睨みつける。


上条(でも、まずはコイツよりもあの女を何とかする方が先だ!)


激しい怒りが功を奏したのか、痛みは先程よりも感じなくなっていた。
右足の傷を物ともせずに白衣の女に向けて突っ走る。女は上条を近づかせまいと発砲するが、焦っているのか標準がずれて

おり上条にかすりもしない。

ようやく女のもとへと辿り着き、長い髪を乱暴に掴んで床に叩き付ける。
なおも立ち上がろうとする女の頭を左足で思い切り踏みつけて気絶させた。
しかし、


バンッ!


上条「がっ……!?」

背後から銃声が聞こえたと思った瞬間、背中に激痛が走る。
思わず息が止まった。
震えながらも背後を振り返ると、銃を持った幻生が満面の笑みで佇んでいた。


幻生「いやはや、ここまで銃を出し惜しみして良かったよ。油断している馬鹿を背後から撃つ……これほどの快感が得られ

るとはねぇ」ニヤニヤ

上条「ハッ……外道が……」

口では強気でも、はっきり言って限界が近かった。それもそのはず、すでに彼は4発も銃弾を受けているのだ。大丈夫なは

ずがない。

幻生「外道で結構」


バンッ!

躊躇うことなく引き金を引く。
撃ち出された弾丸は背中の激痛で動けない上条の鳩尾に突き刺さった。


上条「が……あ……」


鳩尾から瞬く間に大量の血が溢れ出し、ボタボタと床に零れ落ちた。


上条「ぐ……ほっ……」


口から血を吐き、虚ろな目で片膝をついた。
鳩尾はもちろん、今の上条は全身から血が流れ出ている状況だった。


幻生「おとなしく帰りたまえ。あの医者のとこに行けば今ならまだ間に合うかもしれないよ」


ニヤけつつそんなことをほざく幻生。
しかし上条はすぐには反応できなかった。あまりの痛みで呼吸すらままならないのだ。


だが、それでも上条は必死に声を絞り出し、血を吐きながらも堂々と幻生に向けて言い放った。




上条「引き返す……わけねぇだろう……」




上条「そうだろ……操祈……」




おわり!あと2回くらいの投下で完結するかも!

おわり!あと2回くらいの投下で完結するかも!

おわり!あと2回くらいの投下で完結するかも!

ちょwwwwwwなんか三回書き込まれてるwwwwww
原因分からんけどすまん

ごめん酉付けてなかったwwwwww

人いるかな?

ごめんねてたわ
まだ人いる?

ぼちぼち行きます


幻生「全く馬鹿な奴だよ、君は」スチャ

哀れみの表情で銃を構える幻生。
対する上条は、腹にぽっかりと空いてしまった穴を抑えながら、荒々しく呼吸をしながら跪いていた。
まさに絶体絶命の状況だった。


上条(このままじゃ……操祈を助けられない……)


痛みと絶望で視界がぐらつく。
そして、今現在も毒に蝕まれているであろう食蜂の姿を頭に浮かべる。


目も見えず、記憶も崩壊している彼女を助けられるのは、自分だけだ。

上条(俺が、助けるんだ……操祈を……必ず……)


上条(何か、突破口を……)


上条「ご……ふ……」ビチャビチャ


口から大量の血が零れ落ちる。彼の身体はとっくの昔に限界が来ていたのかもしれない。
だがそれでも上条は諦めない。必ず救うと約束した少女が待っているから―――


上条(……アイツは、これまで研究ばっかして来たやつだ……何か一瞬でも気をそらせれば、その隙に距離を詰められる可

能性は十分ある……今のところ突破口はこれくらいしかねぇな……)

上条はそのままの姿勢を保ちながら、右手は腹の穴を抑え、左手をポケットへと伸ばした。

上条(奴に気付かれないよう……慎重に……)


上条「ごぼっ……」ボタボタ


幻生「ふふふ……私が殺すまでも無いかな?酷い出血じゃないか」ニヤニヤ


上条(アイツは油断しきってる……やるなら今だ……準備はできてる……)


上条と幻生の距離は約10メートル。
全力で突っ込めば何とか幻生に到達できる。
しかし体中にある傷はどれも酷く、この状態で果たして全力が出せるのか……


上条(いや、出せるのか、じゃない。出さなきゃいけないんだ)


幻生「どうしたんだい?もう喋ることすら……」

上条(今だ!!!!!)



ポーン



左のポケットに忍ばせていた石を足元から投げ上げた。
その石はこの研究所に侵入する際、窓を割って鍵を開ける時に使用した物だった。
突如として現れた石に思わずビクリとする幻生。
このチャンスを見逃す上条ではない。全身に力を込め、一気に突き進む。だが当然、4発もの銃弾を受けている上条の体中

からは血が噴き出す。それでも彼は構わず全力で突っ込んだ。

しかし幻生もすぐに我に返り銃を撃った。
だが標準が定まって無い状態で撃ったために先程の2発に比べれば甘い。


上条(避けれるっ!)


ぐらっ


上条(!?あ、足がからまっ……)



ズチュッッ!



上条「か……は……」



幻生の放った弾丸が、脇腹に炸裂した―――――

>>663
ごめん4発じゃなくて5発だった


上条「ぐ……」



上条「あああああああああああああああああああああっっっ!!!」




広い部屋に上条の絶叫が響き渡る。だがそれは苦痛に悶えて発したものではなかった。
激痛で気絶しないよう、死力を振り絞って叫んでいるのだ。
脇腹に弾丸が突き刺さってもなお、上条は一度も動きを止めずに幻生へ向けて走り寄る。



幻生(な、なんだコイツは!?なぜ倒れない!?)



焦ってももう遅い。すでに上条は十分拳が届く距離まで迫ってきていた。


幻生(マズイ!!このままでは……っ!!!)



上条「お前のクソみてぇな計画で操祈を殺そうってんなら!!!!!」




上条「俺がその幻想をぶち殺す!!!!」




恐怖と焦燥に歪む幻生の顔面に、ありったけの力を振り絞って拳を叩きこんだ。
上条の全てが込められたその一撃は、幻生を5メートル近く吹き飛ばして気絶させた。
床には、殴られた衝撃で折れたのか幻生の歯がいくつも転がっている。


上条「はっ……はっ……はっ……」


体中から血が流れ出ており、力が入らない。今こうして意識があるのが不思議なくらいだった。
それでも彼は此処で倒れるわけにはいかないのだ。
ズルズルと足を引きずって幻生へと近づく。懐のポケットを探ると先程幻生がチラつかせていた注射器を取り出した。

上条(やっと……手に入ったんだ……)

後半は夜で
後半のが長いけどな

最終投下いきまーす



血清を手に入れ、安堵する上条。
だが、


上条「ごぼっ……」ビチャビチャ


口から大量の血が溢れ出す。鳩尾と脇腹に銃弾を喰らっているのだ。いつ死んでもおかしくない状態だった。


上条「げほっ……がは……ぁ」


上条(あと……少しなんだ……もってくれ……)


上条は幻生から白衣を剥ぎ取り、胴体に巻き付けた。
これで止血もできるし、通行人に傷を見られなくてすむ。
だが、依然として腹の傷口から血が止まることはなく、白衣にどんどん染みて来ていた。

上条(もうちょっと……もうちょっとだから……俺を……)








研究所を出た上条は腹に巻いた白衣に染み出た血を懸命に隠しつつタクシーを止める。

キキッ

運転手「お客さん、どちらま……ってその腕どうしたんですか!?」

上条は言われて腕を見る。腹にばかり注意が行っていて腕を確認する余裕がなかったのだ。

上条「これは……ですね……ファッションです……」

運転手「へ~そうなんですか!あ、乗ってください。それでどちらまで?」




上条「第7学区……病院まで……」


上条はゆっくりとした動きでタクシーに乗り込んだ。
タクシーの窓から虚ろな目で景色を眺める上条。背中の傷は腹に比べれば浅かったようで血はほぼ止まりかけていたが、腹

からは今だに血が滲んでいた。
しかし、血が滲み出てはいるものの痛みは感じなくなっていた。
それがまずいことだということに、上条は気付いており、もう受け入れてしまっていた。
そして、頭の中でこれまでの短い人生を振り返っていた―――




―――俺は、目が覚めたとき記憶がなかった


それからすぐにインデックスが来て、泣きながら謝ってきた


俺は彼女を泣かせたくないと、漠然とそう思ったんだ


だから嘘を吐いた。その時はこの娘を助けられたんなら記憶なんて安いものだと楽観していたんだ


でも、操祈が来た時に俺の中の全部がひっくり返った。操祈は記憶を失う前は俺と幼馴染で恋人だって言ってきたからだ


操祈は泣いていた。それはまぎれもなく自分のせいだって、楽観できるわけがない現実を突き付けられた


俺は自分が酷く情けなくて、何が何でも操祈を泣かせないように一生そばに居るって決意したんだ―――



上条「げほっ!!がはっ!!」ボタボタ



でも……一生そばに居るってのはもう無理かもしれない……


だけど、お前は絶対に死なせない……絶対にこの血清は届けるよ……




まだ俺という人格が生まれて3か月くらいしか経ってないけどさ、俺にも立派な夢があったんだぜ



それは、食蜂操祈と結婚して、幸せな家庭を築くこと



派手に結婚式挙げて、みんなが祝ってくれて、新婚生活を楽しんで……



いろんな所に二人で旅行して、いろんな景色を見て……



元気な子供も生まれて……パパとか呼ばれたりしてな……一緒に笑ったり……泣いたりして……



子供も大きくなって……孫にも恵まれて……静かでゆったりとした老後生活をして……



そんな風に……生きてみたかったんだ……







操祈と……いつまでも……ずっと……




キキッ


運転手「お客さん着きましたよー、さっきから咳が酷いけど大丈夫ですか?はやく風邪直してくださいねー」


上条「はは……ありがとう……ございました……」


足を引きずりながら上条は病院へと入っていった。看護師やロビーにいる患者に気付かれないよう、白衣に染みている腹の
血を隠しながら、ゆっくりと。


上条(はぁ…はぁ…操祈……待っててくれ……)


もうとっくに限界を超えているボロボロの体に鞭打って、食蜂のいる病室を目指した。


上条「げほっ!げほっ!」ビチャビチャ


上条(もうちょっと……あと少しなんだ……)


そしてついに食蜂のいる部屋へと到達した。


ガチャ


食蜂「……………」スースー


上条(みさ……き……寝てるのか……)


食蜂はベッドの上でスヤスヤと眠っていた。アイマスクを外している彼女を見るのは本当に久しぶりだ。
上条はポケットから血清が入った注射器を取り出して食蜂の枕元にそっと置いた。


上条(持ってきたぞ……操祈……)


注射器を置いた瞬間、上条はドサっとうつ伏せに倒れてしまった。もう立ち上がるほどの気力は残っていなかった


上条(ああ……やっと……操祈は……毒から解放されるんだ)


上条(記憶も……視力も戻らないかもって先生は言ってたけど……)


上条(生きてくれさえすれば……俺は……それで……)



俺は、操祈といれて本当に幸せだった……



もう一度……お前のそばで……一緒に……過ごしたかったんだけど……



上条「ごふ……がはっ……」ビチャビチャ



俺……もう無理だからさ……




お前は生きてくれ……



記憶が無かろうが……視力が無かろうが……お前なら絶対に……幸せになれるから……



……俺が幸せにしてやりたかったんだけどなぁ……



ごめんな……


もう意識が無くなる直前、様々な人の顔が頭の中を駆け巡った。


すでに限界を超えていたその体は、もう声を出すことなど到底無理なはずだった。


しかし上条には何が何でも言葉で彼女に伝えたいことがあったのだ。



上条「み………さ……き………」



かすれた声で。小さな声で。


だが、確かに。



上条「愛して……る……」





上条「また……いつか…………会おうな…………」






たった一人の少女を助けるために、自分の全てをかけて戦った男は、





静かに瞼を閉じた―――――




――――――――――――――――――――

―――――――――――――

―――――

食蜂「ん……」


冥土帰し「気が付いたかな?」


食蜂「あなたは……?」


冥土帰し「私は君の医者だ」


食蜂「あ…そうなんですかぁ?」


食蜂は上体を起こした。すると、すぐに自身の異変に気が付いた。


身体が異様に軽い。何か憑き物でも落ちたかのようだ。




冥土帰し「………君の身体の中を這いずりまわっていた毒は、綺麗さっぱり無くなったよ」


しかし、予想はしていたが血清を使っても視力や記憶は戻らなかった。
だがもう命に別状はない。
彼女は生きていくことが出来るのだ。



食蜂「毒が無くなった……?」


冥土帰し「君を救うために、血清を手に入れた人がいるんだ」


食蜂「ほんとぉ?すごい人なのねぇ。いくら感謝してもしたりないわぁ」


冥土帰し「ああ……本当に……」


食蜂「その人は今どこなのぉ?御礼に行かないと!」








冥土帰し「………もういないんだ、この世界のどこにも」


食蜂「え……」


冥土帰し「彼は、君のことをとても大切にしていた……」


冥土帰し「きっと、君を救うためなら自分がどうなったっていいって考えだったんだろうね……」


冥土帰し「それくらい、彼は君のことを愛していた」



食蜂「でも……私は……その人のことを……覚えていない……」



食蜂「…………」



食蜂「あの……その人の名前……教えてください……」



冥土帰し「上条当麻」




冥土帰し「キミがこの世界で一番愛していた人だ」




食蜂「上条……当麻……」




食蜂「…………あれ……?」ポロ




食蜂「なんでかしら……上条当麻なんて名前……聞いたこと……無いのに……」ポロポロ




食蜂「なんで……涙が溢れてくるの……?」ポロポロ




食蜂「うええええぇぇぇん…………」ポロポロ




なぜこんなにも涙が溢れるのか、自分でも良く分からなかった。
ただ死ぬほど悲しくて、辛くて、切なくて―――


張り裂けそうな胸を押さえるように手を当てて、ひたすらに泣いた。









エピローグ





一ヶ月後・学園都市外



心地よい波の音が耳に響いた。眼下には綺麗な海が広がっているが、残念ながら彼女はそれを見ることはできない。


禁書「ふう……やっと着いたんだよ」

食蜂「ごめんなさいねぇ、インちゃん。車椅子押して貰っちゃって」

禁書「全然平気なんだよ!……それにしても……綺麗な丘なんだよ……」


食蜂はあれからインデックスと冥土帰しから全てを聞いて、とめどなく涙を溢れさせた。
そして現在、どうして学園都市の外に来ているかと言えば、

禁書「あそこにあるのが……とうまのお墓なんだね……」

綺麗に整備された丘の真ん中に、同じく綺麗な墓が立っていた。


食蜂「今……私の目の前に……上条当麻さんがいるのねぇ……」


インデックスが車椅子を押し、上条が眠る墓へと近づいて行った。


食蜂「…………インちゃん、今、目の前に上条さんのお墓があるのぉ?」


禁書「そうだよ……」


頷くインデックス。彼女の肯定を聞いた食蜂は車椅子から立ち上がって、両手に携えていたスターチスの花束をそっと備え

た。


食蜂「……お久しぶりねぇ……上条当麻さん……」


食蜂「私は……あなたに命を助けてもらって……でも、あなたのことを覚えていなくて……」


食蜂「とっても自分が嫌になったわ……時には死にたくなることもあった……」


食蜂「それでも、そう思うたびに、記憶にいないはずのあなたが『頑張れ、生きろ』って言っているような気がして」


食蜂「……信じられる?私はあなたと過ごしたことを覚えていないのに、いつの間にかまた貴方のことを好きになってたのよぉ」


食蜂「あなたが私に何度も送ってくれてたっていう、スターチスの花言葉」


食蜂「意味を調べたとき、涙が止まらなかった……」


食蜂「あなたが私に誓ってくれた、永遠に変わらない心と愛は、私もこれからずぅっと誓うって決めたの」


食蜂「私にはそれくらいしかできないけど、絶対に約束するわぁ」




食蜂「一生、あなただけを愛し続ける」




食蜂「あなたに貰ったこの命が果てるまで」




食蜂「だから……あなたと会えるのはもうちょっと先になっちゃうけど……」




食蜂「信じて待ってて」





刹那、そよ風が吹いた―――――




きっと、彼が喜んでいるんだ




直感的に食蜂はそう感じた




そう考えるとなんだか嬉しくて、天を仰いで微笑んだ





食蜂「永遠に変わらない心」






食蜂「私達二人にピッタリでしょ?」




――――――――――――――――――――

――――――――――

―――――



そして月日は流れ、食蜂は今、上条に助けられたこの命が尽き果てようとしていた。
こうして体が老いて、天寿を真っ当しようとするこの瞬間まで、彼女はただの一度も上条以外の異性を愛したことは無かっ

た。それは別に罪悪感から来るものではなく、ただ純粋に彼を愛していたのだ。



そうして彼女は、かつて上条がそうであったように、最期まで愛する人を想いながら天国へと旅立っていった。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                       



食蜂は色とりどりのスターチスが咲き誇る花畑を歩いていた。
自分の思いの強さゆえか、姿は彼がまだ生きていた頃の年齢に戻っている。
さらには失っていた視力も、記憶も取り戻していた。



どれくらい歩いただろうか。ひたすらスターチスの花畑を進んでいると、ある一人の男が立っていた。



ツンツンした黒髪で


意志の強そうな瞳をしていて


優しそうな顔立ちで


世界で一番自分が会いたかった人




―――――花びらが美しく舞う




彼は優しく微笑んで、自分に手を差し伸べて言った。





「よう、操祈じゃねーか」






fin



これにて完結です
読んで下さった方々、今までありがとうございました
またいつか別のSSでお会いしましょう

HTML依頼出しました
皆さんほんとにありがとうございました

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2013年11月10日 (日) 11:48:12   ID: pwcmlsah

やっぱ面白いな。期待

2 :  SS好きの774さん   2013年12月11日 (水) 00:41:42   ID: UDQyV8b9

続きお願いします。

3 :  SS好きの774さん   2013年12月29日 (日) 01:46:51   ID: jeJTPUCx

死ぬほど泣いた

4 :  SS好きの774さん   2014年02月12日 (水) 09:55:20   ID: GPHEsbjL

ヤバい...超泣けた

5 :  SS好きの774さん   2014年03月07日 (金) 23:34:15   ID: pfrOYhLb

禁書SSで一番泣けた

6 :  SS好きの774さん   2014年03月25日 (火) 21:16:59   ID: dgcnhved

こりゃもう禁書スレ最優秀賞だな

7 :  SS好きの774さん   2014年04月17日 (木) 23:20:48   ID: ed6G7lkg

SSで初めて泣いた
ラストは感動で鳥肌が立った

8 :  SS好きの774さん   2014年05月23日 (金) 14:46:54   ID: 0yHYePVb

泣いた

9 :  SS好きの774さん   2014年08月09日 (土) 02:18:26   ID: VqkUKG6C

新約の11巻は上条さんとみさきちの話っぽいね

10 :  SS好きの774さん   2014年08月22日 (金) 22:27:27   ID: vJdILqim

泣ける

11 :  SS好きの774さん   2014年10月03日 (金) 11:01:46   ID: rGKM3PF0

みさきちを一番に考えるなら1人でやろうとするんじゃなくて信頼出来る人に協力を求めるなりすべきだろ

12 :  SS好きの774さん   2014年10月11日 (土) 08:19:40   ID: GKUySWXS

結局のところ自分がヒーローになることしか考えてなくて、みさきちのことなーんも考えてない。
信頼できる人に相談して助力を仰いで万全の体制で計画をなすべきで、その結果死んでしまったとかなら感動ものだった。
いや、この上条は信頼出来る仲間がいなかったのかもしれんな。それなら仕方ない。

13 :  SS好きの774さん   2014年12月19日 (金) 11:04:45   ID: e9woMpf2

泣けた

14 :  SS好きの774さん   2014年12月27日 (土) 02:28:01   ID: YPuYJObY

せめてアクセラさんに相談してれば上条さんも助かっただろうに・・
残されたインデックスの気持ちも考えると
こんな終わりかたは泣ける。

15 :  SS好きの774さん   2015年12月04日 (金) 20:58:07   ID: cakBhMMt

もはや軽い小説レベル

16 :  SS好きの774さん   2015年12月28日 (月) 01:28:30   ID: vf2Jef49

こんなん泣くわ

17 :  SS好きの774さん   2016年11月19日 (土) 22:20:36   ID: kIsUbQXB

SSで初めて泣いた

18 :  SS好きの774さん   2017年04月30日 (日) 22:28:41   ID: Xr2B12XF

マジで泣けた

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