サーニャ「ダメもとで両親に手紙を送ったら…」 (92)

 
501基地 某日 訓練中



ハイデマリー「ミーナ中佐…お久しぶりです」

ミーナ「あら、ハイデマリー少佐、どうしたのかしら急に」

ハイデマリー「長い休みが取れましたので…旧友に会いたくなりまして」

ミーナ「そう、それでこの基地までわざわざ来たってわけね」

ハイデマリー「はい……もしかして邪魔だったでしょうか」

ミーナ「そんなことないわ、こっちが申し訳ない気分よ、せっかくの休暇なのに騒がしいところでごめんなさい」

 
        <なんだ!ハルトマン!また穿いてないのか!


               いやあ!芳佳ちゃん!どこ触ってるの~!>


   <ああ゛~!虫~~~!シャーリー!そっち行った!捕まえて~!




ハイデマリー「いえ、そんな……」

ミーナ「とにかくせっかく来てくれたんですから、自由にくつろいでくれて構わないわ…」

ハイデマリー「ありがとうございます…」




 
   ~ 訓練後、サーニャの部屋 ~

 ガチャ…

サーニャ「……?」

ハイデマリー「…サーニャさん……私のこと…わかりますか?」

サーニャ「えっと…もしかしてハイデマリー少佐…?」

ハイデマリー「はい…!覚えていてくれて嬉しいです…!」

サーニャ「実際に会うのは久々ですよね、いつも交信に応じてくれてありがとうございます…」

ハイデマリー「こちらこそ……」

サーニャ「……相変わらず、素敵な人で安心しました…」

ハイデマリー「す、素敵な人って……そんな…//」

サーニャ「とにかく、いろいろ話をしましょう…会える日が来るのを楽しみにしていましたから」

ハイデマリー「…そう…//」

ガチャ…

 
芳佳「サーニャちゃん?」

サーニャ「…芳佳ちゃん」

芳佳「あ、今忙しかったかな」

サーニャ「いえ、大丈夫よ」

ハイデマリー「…こんにちは…カールスラント空軍夜間戦闘航空団、ハイデマリー・W・シュナウファーです、サーニャさんとはナイトウィッチ同士ということで、たまに交信しています…」

芳佳「あ、ええ…はじめまして…えっと…」

サーニャ「この子は宮藤芳佳ちゃん…同じ501の仲間で、私の友達…」

ハイデマリー「この子がミヤフジさん…」

芳佳「…は、はい…」

サーニャ「芳佳ちゃん、少しの間501基地に滞在するらしいわ」

芳佳「そうなんですか!よろしくお願いします!といっても…これといったおもてなしは出来ませんけど…」

 
ハイデマリー「いえ、気にしないで下さい…こうしてサーニャさんに会えただけでも、十分嬉しいですから」

芳佳「そうですか」

サーニャ「それで芳佳ちゃん、要件は?」

芳佳「あ、晩ご飯の用意が出来たから、いつでも食堂に来ていいよ。ハイデマリーさんもよろしければ是非!」

ハイデマリー「そんな…!」

芳佳「気にしないでいいですよ。うちには無駄に大食いな人がたくさんいますから、いつも多めに料理をつくるんです」

ハイデマリー「でも…」

芳佳「あ、せっかくだから、この機会に自己紹介したらどうですか!?きっと皆と仲良くなれますよ!」

ハイデマリー「わかりました…」




 
    ~ 食堂 ~


エーリカ「いや~まさかハイデマリーが501基地に来るとはね~」

バルク「ハルトマン、食事中くらいは黙って食べられないのか、ポロポロと口から落ちて汚いぞ」

エーリカ「だって久しぶりに会えたんだからさー、すこしはうるさくたって仕方ないよねー」

ハイデマリー「は、はい…」

バルク「見ろハルトマン、ハイデマリーのこの上品な食べ方を」

ハイデマリー「上品て…そんなものじゃ…」

サーニャ「皆さんとはお知り合いなんでしょうか…?」

ハイデマリー「はい、カールスラントで一緒に訓練しましたから…私はナイトウィッチなので会う機会は多くなかったんですけど…」

サーニャ「でも、知り合いが多いってだけで…正直憧れます」

ハイデマリー「…//」

 
エイラ「おいミヤフジ」ヒソヒソ

芳佳「どうしたんですかエイラさん」ヒソヒソ

エイラ「どうしてあいつはサーニャとあんなに仲がいいんだ」ヒソヒソ

芳佳「夜間哨戒中によく交信してコンタクトをとっていたみたいです」ヒソヒソ

エイラ「おいおい……なんだこの気持ちは…」ヒソヒソ

芳佳「妬いてるんですか…?」ヒソヒソ

エイラ「ななっ!! そっ…そんなことないぞ!!!」

    ガタッ!





サーニャ「ひっ!」ビク

ハイデマリー「何!?」ビク

エイラ「あっ……」

ペリーヌ「エイラさん、少し落ち着いて食べなさいな」

美緒「行儀が悪いぞエイラ」

 
エイラ「ご…ごめんなさい」シュン

芳佳「やっぱりサーニャさんが自分以外の人と仲良く会話してるのが気に喰わないんですね」

エイラ「み、ミヤフジぃ……」

芳佳「エイラさん!大丈夫です!私はエイラさんの味方ですから!」

エイラ「……ミヤフジ、どうしたらサーニャを取り戻せるんだ…?」

芳佳「一緒に考えましょう」

サーニャ「ハイデマリーさん…食事が終わったら私の部屋に来て下さい…」

ハイデマリー「は、はい」

サーニャ「せっかく会えたから、もっと一緒に居たいんです」

ハイデマリー「…//」

エイラ「うぁぁん…あんな事言ってるぅうう」シュン





 
  ~ そしてサーニャの部屋 ~


サーニャ「ハイデマリーさん、一つお願い事があるんですけど…」

ハイデマリー「何でしょうか…」

サーニャ「……私は、オラーシャ出身で…とてもネウロイの被害が大きい地域だったってことはいつか交信して話しましたよね…」

ハイデマリー「はい…」

サーニャ「入隊してから、両親には全く会ってないんです…ネウロイから逃れるために国を捨て…今どこで暮らしているかもわからない…」

ハイデマリー「……」

サーニャ「……そんな両親に…手紙を書いてみたんです…」

ハイデマリー「…送ったんですか?」

サーニャ「いえ…正直、これが両親のもとに届くのはありえないですから……ずっと引き出しにしまっています」

ハイデマリー「そうなの……」

サーニャ「…ずっと会いたいって願ってました…オラーシャで、家族と静かに暮らすのが私の夢なんです…」

 
ハイデマリー「……」ウルッ

サーニャ「それで…この住所も書いてない手紙…やっぱり捨てることにしました」

ハイデマリー「…え!?」

サーニャ「はい…やっぱり、届くかわからない手紙なんて、なんて書けばいいかわかりません」

ハイデマリー「……なんで手紙を書こうと思ったんでしょうか…?」

サーニャ「…ほんの小さな期待です」

ハイデマリー「……」

サーニャ「私が成長するに連れて…両親の顔、声、ぬくもり、そういうのがどんどん忘れていく気がして…」

ハイデマリー「……」

サーニャ「……実際にハイデマリーさんに会ってみたら、なんか手紙書いたことが馬鹿らしく感じちゃって……なんだかハイデマリーさんと会話していると、優しかった両親を思い出すんです」

ハイデマリー「…サーニャさん…もう一度、書きなおしてみたらどうでしょうか」

 
サーニャ「…?」

ハイデマリー「純粋な気持ちを、ありのまま手紙に書くんです…そして、ダメもとでもいいから送りましょう」

サーニャ「…でも!」

ハイデマリー「……大丈夫、きっと届くはずですよ、根拠はありませんが、大切なのは『伝えたい』という気持ちです」

サーニャ「わかりました…」





    


      ガチャ…

ハイデマリー「ひっ!」

エイラ「捕まえたぞ~」

芳佳「ハイデマリーさん!あなたは罪深い人です!」

ハイデマリー「な、何故!?」

 
エイラ「正直に言うんだな。あの部屋でどんな会話をしていた?」

芳佳「サーニャちゃんとはいったいどういうご関係で…!」

ハイデマリー「ちょっとはなして下さい!私は…別に…」

エイラ「サーニャに変なこと吹き込んでないだろうナ」

芳佳「サーニャちゃんはエイラさんと一緒じゃなきゃだめなんです!」

ハイデマリー「私はそんな…!ただ、サーニャさんと会話がしたかっただけで…」

芳佳「本当ですか!?」

ハイデマリー「ほっ…本当です!」

エイラ「…仕方ないな、帰っていいぞ」

ハイデマリー「………」ダッ



    ガチャ…

 
エイラ「サーニャ、夜間哨戒までの間、ちょっとタロット占いを…」

サーニャ「ひっぐ……ううっ……」シクシク

エイラ「サーニャ!!!!!」

芳佳「どうしたの!サーニャちゃん!」

サーニャ「……なんでも……ない……」シクシク

エイラ「はいでまりいいいいいい!!!!! よくも私のサーニャをおおおおおお!!!!!!」ダッ!

芳佳「エイラさん!」

サーニャ「違うの、エイラ…!」

芳佳「どうしたのサーニャちゃん!どうして泣いてるの!?」

サーニャ「……これ…」

芳佳「なにこれ…手紙?」

サーニャ「どうしてもうまく書けないの…!」

 
芳佳「誰への手紙?」

サーニャ「わたしの親…」

芳佳「え!両親の住所が分かったの!?」

サーニャ「ううん…わからない……ハイデマリーさんがせっかく書き方を教えてくれたのに…」

芳佳「……サーニャちゃん…」

サーニャ「ううっ……」シクシク

芳佳「なるほど、居場所がわからない両親に手紙を書いていたんだね、私も応援するよ、サーニャちゃんを」

サーニャ「芳佳ちゃん…」

芳佳「絶対届くって信じてみよう、絶対読んでくれるし、返事も来る…私も似たような経験あるから…」

サーニャ「………?」

芳佳「今両親に伝えたいことをそのまま、指に任せるだけ。簡単だよ」

サーニャ「……わかったわ」

芳佳「そうだ!今日は私が夜間哨戒変わってあげるよ!」

 
サーニャ「そんな…!」

芳佳「気にしないで、ミーナ中佐には私から説明しとくから」



ダダダダダ…




エイラ「うおおおおおおお!はいでまりいいいいいいい!」

ハイデマリー「いやあああ!何するんですかぁぁ!!!!!」

エイラ「観念しろおおお!」

  ダダダダダ…


芳佳「なにしてるんだろうあの2人」

 
ダダダダダダ

エイラ「うおおおおっ!なんだこの胸は!!!!」モミモミ

ハイデマリー「やめてえええ!許してええええぇ!」

エイラ「ちょ、ちょっと静かにするんだな」モミモミ

ハイデマリー「ひいいいっ!」

エイラ「おぉ…意外とあるじゃないか…これでサーニャをモノしていたんだな」モミモミ

ハイデマリー「ちがいます!私はっ……ッ…!」

エイラ「ほらほらぁ~おとなしくしないとこうだぞ~」モミモミ

ハイデマリー「いやっ!いやあっ…!……アッ……」



芳佳「…エイラさんにもあとで詳しく説明しとくよ…」

サーニャ「おねがい…」

 
  ~ そんでもって次の日 ~



芳佳「ふぁぁぁあ……眠い……」

サーニャ「ありがとう芳佳ちゃん…」

芳佳「おはよーサーニャちゃん……手紙書けたー?」

サーニャ「うん…」

芳佳「それはよかった……ふあああぁ…」

サーニャ「ごめんなさい…夜間哨戒任せてしまって…」

芳佳「気にしなくていいよぉー………」

サーニャ「それじゃあ私、一旦部屋に戻るわ」

芳佳「うん……ふぁぁ…」




エイラ「……オハヨウ」グッタリ

芳佳「おはよう……ってどうしたんですかエイラさん!顔が死んでます!」

 
エイラ「ミーナ中佐に……やられた」

芳佳「エイラさん………」

エイラ「どういうわけか、ミーナ中佐にこっぴどく叱られてしまって…」

芳佳「…あぁ~」

エイラ「ああ、ブルーだ、なにもやる気が無い、サーニャはずっと落ち込んだままだし…どうすればいいんだ私は」

芳佳「エイラさん!私にいい案があります!」

エイラ「本当か!」

芳佳「サーニャちゃんが落ち込んでいる理由、わかったんです!」

エイラ「何!でかしたぞミヤフジ!」

芳佳「サーニャさんを元気にする方法…コレしかありません」ヒソヒソ…




 
サーニャ「はい、芳佳ちゃん、これが手紙よ…」

芳佳「ありがとう、しっかり送っとくね!」

サーニャ「私ね…書いてる途中…なんて言ったらいいかわからないけど…希望が湧いてきたの」

芳佳「サーニャちゃん…!」

サーニャ「本当に親がこの手紙を読んでくれるんじゃないかって…返事が来るんじゃないかって…」

芳佳「大丈夫!絶対届くよ!」

サーニャ「本当に…ありがとう…」

-------


ハイデマリー「サーニャさん…?」

サーニャ「あっ…ハイデマリー少佐」

ハイデマリー「手紙は…?」

サーニャ「今芳佳ちゃんに渡しました…」

ハイデマリー「そう、よかった…ちゃんと書けたんですね」

 
サーニャ「……本当に返事が来るんでしょうか…」

ハイデマリー「なんとも言えません…でも、ご両親はいつだってサーニャさんを想っていますよ」

サーニャ「…はい」




   ~ 午後 ~

芳佳「サーニャちゃん!」

サーニャ「な、なに?」ビクッ

芳佳「手紙、しっかり出しといたよ!」

サーニャ「ありがとう…」

芳佳「…手紙、届くといいね」

サーニャ「…うん…」

エイラ「サーニャぁぁ!」

サーニャ「エイラ…」

エイラ「大丈夫か!あいつに変なことされてないか!?」

 
サーニャ「大丈夫よ」

芳佳「だからエイラさん、昨日は手紙についてただ話していただけなんだって言ってるじゃないですか」

エイラ「サーニャ、何かあったらまずは私に相談しろよな!得意のタロット占いでサーニャを導いてやる!」

サーニャ「ありがとうエイラ」

美緒「おーい3人とも!何してる!さっさと訓練始めるぞ!早くこーい!!」

サーニャ「…いこっか」

エイラ「ああ!」





ハイデマリー「あの…ミーナ中佐…」

ミーナ「何かしら」

ハイデマリー「私、本当にココにいて大丈夫なんでしょうか」

ミーナ「…皆、刺激がほしいのよ、だからあなたが来てくれてほんとうに助かってるわ」

ハイデマリー「ありがとうございます」

ミーナ「騒がしくってごめんなさいね。昨日はちゃんと寝られたかしら」

 
ハイデマリー「はい、なんとか…」

ミーナ「エイラさんにはキツく言っておいたから…もしまた何か変なことするようだったら私に遠慮無く言って頂戴」

ハイデマリー「…はい」

ミーナ「…………」

ハイデマリー「………………」

ミーナ「……いつまでここに?」

ハイデマリー「1周間ほど…でしょうか」

ミーナ「そう…じゃあ最後の日は何か軽くパーティでもしようかしら」

ハイデマリー「そんな…気を使わずに…」

ミーナ「ここに居る皆は、毎日訓練の繰り返し、たまにネウロイが襲ってきて出撃…そんな日々にうんざりしてるわ」

ハイデマリー「………?」

ミーナ「……エリートすぎるのよ皆、ネウロイにすら恐れない人たちばっか…」

ハイデマリー「凄いですね、みなさん」

 
ミーナ「めったに来ないゲストなの、思いっきりはしゃがせてあげないと」

ハイデマリー「ありがとうございます…」

ミーナ「……」

ハイデマリー「………」

ミーナ「………」

ハイデマリー「……あの…」

ミーナ「何かしら」

ハイデマリー「サーニャさんのことなんですけど」

ミーナ「サーニャさん?」

ハイデマリー「あの娘、とても悲しい過去を背負っているのに…どうしてウィッチになったんでしょうか…」

ミーナ「そういえば、同じナイトウィッチとして交友があったわね」

ハイデマリー「久々に会ってみてわかったんですが…彼女、悲しい目と声をしています」

ミーナ「………」

ハイデマリー「私が彼女にしてあげられることは…何かあるのでしょうか」

 
ミーナ「……そばに居てやって」

ハイデマリー「…?」

ミーナ「何もしなくていいわ…ただ、サーニャさんのそばに居るだけで、あの娘の慰めになるの」

ハイデマリー「………」






   ~ 夜 サーニャの部屋 ~


サーニャ「………」

ハイデマリー「…………」

サーニャ「…………そろそろいかなくちゃ」

ハイデマリー「夜間哨戒?」

サーニャ「はい……」

ハイデマリー「………私も行く」

サーニャ「そんなっ……休暇中なのに働かせるなんて……」

 
ハイデマリー「関係ありません……ずっと、サーニャさんのそばにいなきゃ…心配なんです」

サーニャ「………いつも一人で行ってるの……たまにエイラもついて来るけど…………一人でも全然平気です」

ハイデマリー「私も飛びたいの、ロマーニャの空を」

サーニャ「そうですか……」


ブウウウウウン…   ブウウウウウウン………


ハイデマリー「……こうやって、サーニャさんと一緒に夜間紹介してみたいって…思ってました」

サーニャ「……私もです……」

ハイデマリー「……手紙、なんて書いたんですか?」

サーニャ「………全然まとまってない文章だったけど…『私は元気です』『絶対に国に帰ります』『いつでもあなたのことを想っています』『大切な友だちができました』みたいな内容を…」

ハイデマリー「…素敵」

サーニャ「やめてください…恥ずかしいです…//」


ブウウウン…   ブウウウウウン…

 
   ~ 一方その頃基地では ~



エイラ「…そんなっ…」

エイラ「………サーニャが…私以外の人と……」

エイラ「………ううぅ……さーにゃあ……」

エイラ「私じゃ…満足できなかったのかあ……?」

エイラ「ふえぇぇぇぇ……」グスッ


芳佳「エイラさん!こんな所でなにしてるんですか!」

エイラ「ああ~ミヤフジぃ~」

 
芳佳「……サーニャさんが、ハイデマリーさんと?」

エイラ「ミヤフジぃ~~~私はもう自信がないぞ~」

芳佳「まったく……」

エイラ「…………どうしたらいいんだぁ~…」

芳佳「ともかく、あのことは忘れてませんか!?」

エイラ「ああっ……グスッ……しっかり…出来てるぞ…」

芳佳「なら大丈夫です…サーニャさんの笑顔を手に入れるのは、エイラさんですよ!」

エイラ「ああ…!」

芳佳「どんなに困難でくじけそうでも、かならず最後にエイラさんが勝ちます!」

エイラ「ナンダそれ」




 
     ~ そんなこんなで次の日の朝 ~


ハイデマリー「サーニャさん、昨日の夜間哨戒はどうでした? …私、邪魔じゃなかったでしょうか」

サーニャ「そんなことありません…エイラ以外の人と夜間哨戒に行くのは久しぶりだったので…楽しかったです」

ハイデマリー「それは良かった…!サーニャさん、もしよろしければ私がカールスラントへ帰るまでの間、一緒に夜間哨戒に付いて行ってもいいですか…?」

サーニャ「ええ…もちろん…!」

エイラ(サーニャ……大丈夫だ……すぐにそいつから離れさせてやるぞ…ふっふっふ)ブツブツ

芳佳(エイラさん!怖いです!なんだか病んでる人みたいですよ!)ヒソヒソ




ハイデマリー「…!これ美味しい…!」

芳佳「気に入ってくれましたか!?」

ハイデマリー「はい……」

美緒「はっはっは、これは扶桑のおふくろの味、"味噌汁"だ!」

ハイデマリー「ミソシル…?」

 
ミーナ「味噌とこんぶ出汁で味付けして、豆腐、カブ、刻んだネギ等を入れて煮込んだものよ」

美緒「家庭によって全く味が違うんだ、使ってる味噌や、だし、そして具、全てにおいて作る人の個性がでるからな、扶桑の人は皆、親の作ったみそ汁の味はいつまでも覚えているものだ」

ハイデマリー「そうなんですか…」

芳佳「ハイデマリーさんの舌に合ってよかったです!」

エーリカ「ミヤフジー、じゃがいも入りの味噌汁は作らないの~?」

芳佳「それは…あまり好きじゃないです…」

エーリカ「なんで~?じゃがいも入れたら美味しそうじゃん」

美緒「私もじゃがいも入りの味噌汁はすきだぞ」

シャーリー「おっ!確かに美味そうだ!」

芳佳「わたしは……じゃがいもの味噌汁はあまり……」

美緒「しかたがない」

エーリカ「え~」

-------

 
サーニャ「ハイデマリーさん、今日の予定は?」

ハイデマリー「そうね…基地周辺を探索しようかしら」

サーニャ「じゃあ私が案内します…今日は特別、午後の訓練がありませんから」

ハイデマリー「…ありがとう…!」ニコッ





エイラ「……」テクテク

芳佳「………」テクテク

エイラ「……」テクテク

芳佳「………」テクテク

  ガチャ…

  バタン……

 
   ~ エイラの部屋 ~


エイラ「……………うおおおおおあああああ!」

芳佳「うわ!びっくりした!」

エイラ「見たか!なあ!見たか!ミヤフジ!あの2人のイチャイチャっぷり…」

芳佳「はい、見てました……よく耐えられましたね…」

エイラ「私はもう挫けそうだ……あんなサーニャ見てられない…」

芳佳「別に洗脳されてるとかいうわけじゃあ…」

エイラ「なあミヤフジ!いつなんだ!いつになったら"あれ"ができるんだ!」

芳佳「そうですね……早すぎても不自然だし…あと5日くらいってところでしょうか…」

エイラ「そんなっ……5日間もあのイチャイチャっぷりを見なければいけないのかぁ…」

 
芳佳「エイラさん!サーニャさんを笑顔にしたいんでしょ!?」

エイラ「あ、ああ」

芳佳「だったら挫けてちゃだめです!信じて下さい私を!」

エイラ「…ああ…!」

芳佳「信じ抜くことです…ダメになりそうな時、それが一番大事なんです…!」

エイラ「ナンダそれ」


   ~ そして夜 浴場 ~


   カポーン…


美緒「ああ…いい湯だ」

ミーナ「2人きりで入るのは久しぶりね…」

美緒「そうだな…」

ミーナ「……美緒、いつも訓練お疲れ様」

美緒「おっ、どうした急に」

 
ガラガラ


ハイデマリー「…………」キョロキョロ

ミーナ「あら、ハイデマリー少佐」

ハイデマリー「……あ、ミーナ中佐…」

ミーナ「どうかしら、扶桑式の露天風呂は」

ハイデマリー「はい、凄く綺麗です」

美緒「気に入ってくれて嬉しいぞ」

ハイデマリー「……となり、失礼しても…」

ミーナ「どうぞ」

ザパアアア


ハイデマリー「ふぅぅぅぅ…んっ…」

ミーナ「あらあら」

ハイデマリー「…今日は疲れちゃいました」

 
ミーナ「あなたは休暇中だというのに、なんだか矛盾してるわね」

ハイデマリー「はい…あの、サーニャさんのことなんですけど」

美緒「サーニャか?」

ハイデマリー「………あの娘、強いです」

美緒「強い?」

ハイデマリー「実は…サーニャさんを励まそうと思ってこの基地に来たんですけど…なんだかサーニャさんと一緒にいると、逆にこっちが励まされてる気になるっていうか…」

ミーナ「……ええ、あの娘は下を向いてなんかいないわ…常にすべての方向を把握できているの…」

美緒「ナイトウィッチの特性だな」

ハイデマリー「あの…手紙の話…本人から聞きましたか?」

ミーナ「手紙?」

美緒「知らんな」

ハイデマリー「彼女、両親に手紙を書いたんです」

 
ミーナ「本当!?」

美緒「一体何故…両親の居場所がわからないんじゃなかったのか…?」

ハイデマリー「はい…でも、親への想いを伝えるためにはこの方法しかないって…本人に伝えたんです…」

美緒「なるほど…ダメもとで送ってみたってわけか」

ミーナ「もし返事が帰ってきたら…素敵な話ね」

美緒「まあ、無いと思うがな。はっはっは」

ミーナ「ちょっと美緒!」

ハイデマリー「もう二度と逢えないって悲しいじゃないですか…だから、手紙を書いて、両親の記憶を心のなかに留めておくのは…ダメなことでしょうか…」

ミーナ「どうかしら…」

美緒「サーニャがそれで納得してるんだったら…なんとも言えん…」

-------


ハイデマリー「ふう………」

  カポーン

ハイデマリー「癒される……」

 
  ガラガラ

ハイデマリー「!」ビクッ

エイラ「いたな…!」

ハイデマリー「…ど、どうも…」

エイラ「……」ジリジリ

ハイデマリー「な、なんでしょうか…」

エイラ「……ふうむ…」

ハイデマリー「…?」

エイラ「……えい」ムニュ

ハイデマリー「ひゃっ!」

エイラ「……おおっ……すごい……」ムニュニュ

ハイデマリー「いやっ……ぁ……」

 
エイラ「……」

ハイデマリー「………なにするんですか」

エイラ「……」

ハイデマリー「………?」

エイラ「……さらばだ!」ダッダッダ

    ガラガラ


ハイデマリー「何なの…」


------

   ~ 脱衣場 ~
 
芳佳「ちょっとなにしてるんですかエイラさん!」

エイラ「無理だ…無理だ……あれを目の前にして会話なんて…」

芳佳「ダメじゃないですか!早いうちにハイデマリーさんとエイラさんの壁を取り除かないと!」

エイラ「私はダメダ…もう…」クヨクヨ

芳佳「仕方ないですね…」

 
  ガラガラ

   ~ 浴場 ~


芳佳「あの…ハイデマリーさん」

ハイデマリー「…!」ビクッ

芳佳「あの~ちょっと話したいことが」

ハイデマリー「何でしょう」

   ザバァ……

芳佳「エイラさんについてなんですけど………って!」

ハイデマリー「ど、どうしたんでしょう…」

芳佳「おっ…ふおおお…ふうう…」

ハイデマリー「あ……あの…」

芳佳「……うりゃ!」ムニュッ!

 
ハイデマリー「いやあ!」

芳佳「うりぃ……うう……」ムニュムニュ

ハイデマリー「やめてください……」

芳佳「……はっ!」

ハイデマリー「…?」

芳佳「………私はなんてことを…!」

ハイデマリー「…………」

芳佳「……さようなら!」ダッ!


   ガラガラ


ハイデマリー「………疲れた…」





 
ハイデマリー「あの、サーニャさん…?」

サーニャ「あ、ハイデマリー少佐……」

ハイデマリー「今日も…付いて行っていいでしょうか」

サーニャ「はい…」


ブウウウウウウウン…

ブウウウウウン……

サーニャ「……この海の果てに、何があるんでしょうか」

ハイデマリー「沢山の人ですよ、サーニャさんのご両親も、きっと」

サーニャ「……たまに、夜飛んでいると無性に悲しくなるんです」

ハイデマリー「それは私も同じです」

サーニャ「でも…今だけはこの海は私のもの。この絶景を独り占めできる瞬間が、大好きなんです」

ハイデマリー「…………あの」

サーニャ「何ですか」

 
ハイデマリー「どうして501のメンバーは皆、あんなに仲がいいんでしょう」

サーニャ「…」

ハイデマリー「正直、サーニャさんが羨ましく思えるんです………」

サーニャ「…私もわからないけど…私がこの基地に来た時はあんな感じじゃありませんでした」

ハイデマリー「………?」

サーニャ「…芳佳ちゃんかな…あの娘が501に来てから、なんだか全てが変わったように感じた」

ハイデマリー「そう……」

サーニャ「……」

ハイデマリー「一番仲がいいのは…エイラさんですか?」

サーニャ「はい……」

ハイデマリー「…なんだかエイラさんを見てると、こっちまで元気がもらえます」

サーニャ「…」




 
    ~ そんなこんなで数日経過 ~

エイラ「ミヤフジぃ…」

芳佳「うわびっくりした」

エイラ「長かった…長かった…ついに明日だな…」ゲッソリ

芳佳「…そうですよ」

エイラ「……この数日間…飯も満足に喉を通らない……サーニャとまともに会話していない…」

芳佳「お疲れ様です」

エイラ「…どうしてなんだ!どうして私じゃなくてハイデマリーとかいうやつに懐くんだぁぁ!」

芳佳「ちょ、落ち着いて下さいエイラさん」


ガチャ


ミーナ「エイラさん…?」

エイラ「!!!」

芳佳「ミーナ中佐!な、なんでもありません!」

 
ミーナ「…そうかしら?」

エイラ「……」

ミーナ「…ふふふ」

ガチャ


芳佳「………」

エイラ「……………」

芳佳「……」

エイラ「………いったな」

芳佳「行きました…」


エイラ「うぉぉぉぉぉ!サーニャぁぁ!」

芳佳「ハイデマリーさんが帰るまでの辛抱ですよ」

エイラ「うう…グスッ……」

 
芳佳「…サーニャちゃんにとって、ハイデマリーさんは憧れの存在だったんですよ…今だけはサーニャちゃんの好きにしてあげましょう」

エイラ「…ミヤフジのうらぎりものぉ……」

芳佳「…とにかくエイラさん、"あれ"はちゃんと準備出来てるんですか?」

エイラ「…ああ……グスッ……しっかり用意出来てるぞ」

芳佳「なら大丈夫です!私を信じて下さい!」

エイラ「ああ!頼むぞミヤフジ!」

芳佳「なんだかんだ言っても、サーニャちゃんの笑顔は最後にはエイラさんのものになるんです!」

エイラ「ああ!」

芳佳「この作戦!絶対成功させましょう!」

エイラ「ああ!」

芳佳「今年も海へ行くって…いっぱい映画も見るって…サーニャさんと約束したじゃないですか!」

エイラ「ナンダそれ」

 
  ~ その日の夜 夜間哨戒 ~


サーニャ「……」

ブウウウウウウン…

ハイデマリー「………」

ブウウウウン…



ハイデマリー「あの…!」


サーニャ「……わっ」

ハイデマリー「あっ…ごめんなさい…びっくりさせてしまいました」

サーニャ「…いえ…大丈夫です、どうぞ」

ハイデマリー「……あの、今日の昼のことなんですけど」

サーニャ「?」

 
ハイデマリー「宮藤さんと…エイラさん…なにか話してました……ヒソヒソと、まるで秘密事のように」

サーニャ「…」

ハイデマリー「……すみません…少し気になったもので」

サーニャ「……エイラが芳佳ちゃんと秘密の話をするなんて…今まで無かったわ」

ハイデマリー「……?」

サーニャ「………」

ハイデマリー「…サーニャさん…」

サーニャ「?」

ハイデマリー「……手紙はちゃんと送りましたか?」

サーニャ「はい…芳佳ちゃんが出しておいてくれました……」

ハイデマリー「そうですか」

サーニャ「………」

ハイデマリー「…………」

 
サーニャ「……あと1日で帰ってしまうんですね……」

ハイデマリー「はい」

サーニャ「…………ハイデマリーさん」

ハイデマリー「?」

サーニャ「悲しいです」

ハイデマリー「……私も……でも、私には帰らないといけないところがあるの……」

サーニャ「………」

ハイデマリー「……大丈夫、サーニャさんは強いひとですよ、誰よりも…」

サーニャ「そんなことありません」

ハイデマリー「サーニャさんは皆に愛されています…仲間にも…ご両親にも」

サーニャ「…………」

ハイデマリー「……」ギュッ

サーニャ「……!」

 
ハイデマリー「また…私が帰っても交信しましょう…501のお話、もっと聞かせて下さい」

サーニャ「はい…」

ハイデマリー「…」


ゴゴゴゴゴゴ…


サーニャ「!!!!!」

ハイデマリー「!!!!!!」

ゴゴゴゴ…


サーニャ「大変…!ネウロイだわ…!」

ハイデマリー「そんなっ…」

サーニャ「…至急連絡を…!」

ハイデマリー「待って!」

 
サーニャ「…!?」

ハイデマリー「…私が撃墜します」

サーニャ「……ダメです…!応援を待ちましょう…!」

ハイデマリー「安心してサーニャさん、私も強いの」

サーニャ「…!」

ハイデマリー「…サーニャさんほどではありませんが……夜間哨戒中だけでも、撃墜数100を超えるんですよ?」

サーニャ「でも…!でも…!」


ゴゴゴゴゴゴゴ…


ハイデマリー「機材を貸してください…」

サーニャ「…重いですよ」

ハイデマリー「大丈夫」

 
サーニャ「………」

ハイデマリー「……おっと」

サーニャ「……すみません……」

ハイデマリー「私は、サーニャさんを守りたいの」

サーニャ「……」

ハイデマリー「……ね?」




ガガガガガガガ!


サーニャ「ハイデマリー少佐!」

ハイデマリー「……」



ドガガガガガ!

        ドオ

    オオ        オオ    オ
      オ    オ
        オ
            オ     オオ!
     オ
                オ!!!     !!





ハイデマリー「やった!」

サーニャ「…ネウロイ撃墜…!」

ハイデマリー「…大丈夫ですかサーニャさん」

サーニャ「……はい」

ハイデマリー「よかった……」

 ピー……ガガガ


ミーナ『サーニャさん!大丈夫!?』

 
サーニャ「あ、ミーナ中佐…」

ハイデマリー「…すみません」

ミーナ『ハイデマリー少佐…!? あなたもいるの!?』

ハイデマリー「はい……独断による身勝手な行動、お許し下さい」

ミーナ『…まったく……仕方ないわね…本日の夜間哨戒は終了してちょうだい…』

サーニャ「……」

ミーナ『…サーニャさん、ハイデマリー少佐…あなたたちに無茶をさせる訳にはいかないわ』

ハイデマリー「…はい」




 
   ~ 朝 ~

美緒「…おい…これは夢じゃない…よな…」

ミーナ「ええ……確かにこれは…」

美緒「信じられない………こんなことが本当にあるのか…!」

ミーナ「………本当に……手紙が来るなんて…」




  ~ サーニャの部屋 ~


サーニャ「……どうしたんですか急に」

ハイデマリー「……眠い…」

芳佳「それがね…サーニャちゃん」

エイラ「サーニャ…聞いて驚くなよ…?」

芳佳「さっき坂本少佐から手渡されたんだよ…これを」

エイラ「喜べサーニャ!そして私に笑顔を見せてくれ!」

 
サーニャ「……これは…」

ハイデマリー「手紙…オラーシャからの…」

サーニャ「うそ…」

エイラ「嘘じゃないぞ…!サーニャ、ちゃんと想いは届いたんだよ!」

芳佳「すごいよサーニャちゃん!本当に返事が来るなんて!」

サーニャ「………」

ハイデマリー「………読まないんですか…?」

サーニャ「……」

  ビリビリ


芳佳「…」ワクワク

エイラ「…」ワクワク



サーニャ「……これ、本当にこの基地に届いたの?」

エイラ「ああそうだ!少佐が言ったんだから間違いない!」

 
芳佳「サーニャちゃん!はやく読んでみてよ!」

サーニャ「………」

エイラ「サーニャ?」

ハイデマリー「サーニャさん?」




サーニャ「酷いわ…エイラ」

エイラ「なっ!!!!!」

芳佳「何言ってるのサーニャちゃん!」

サーニャ「これ、エイラが書いた手紙でしょ…?」

エイラ「なななぁ!」ギク!

芳佳「そそそそんなことないよ!ねえエイラさん!」

エイラ「ああああ、ああ!ああソウダ! ヤダナアサーニャ、ナニイッテルンダマッタク…」

サーニャ「…だって私が出した手紙…基地の名前や場所なんて書いてないもの…!」

エイラ「!!!」

 
芳佳「!!!!」

ハイデマリー「…サーニャさん…」

サーニャ「…あえて自分の居場所を書きたくなかったの…親を心配させたくないって……まだ今もネウロイと戦ってるって思われたくなくて…私の想いが届けばそれでいいって…!そう思ってたの…」

エイラ「……ご、ごめん…サーニャ」

サーニャ「だから、返事が届くわけがない……エイラ…せめて筆跡くらいはごまかしてほしいわ…」

エイラ「……あ…」

芳佳「エイラさん…!」

サーニャ「あと…私の親は『~だな』『~するなよ』なんて言い方しないわ」

エイラ「………」

芳佳「………」

ハイデマリー「…………」

サーニャ「…………エイラ」

エイラ「……本当に……ごめん……」

 
芳佳「エイラさんは悪くないよ……私が考えたことだもん……悪いのは私だよ……」

サーニャ「…………」

ハイデマリー「…………?」

サーニャ「……………ふふっ」

エイラ「?」

サーニャ「……うふっ…ふふふっ……なんだか可笑しい…」

エイラ「…サーニャ!」

サーニャ「こんな騙す気もない手紙で……『両親からの手紙だぞ!』って……やっぱりエイラは相変わらずね…」

エイラ「さっ…サーニャあ…」ブワッ

芳佳「え、エイラさん…」

エイラ「うぉぉぉ~!ごめんよサーニャぁ~~~!こんな馬鹿なことをしてしまって…!本当に…グスッ…さああにゃああ~!」

 
サーニャ「まったく、エイラったら…ふふふっ」

芳佳「サーニャちゃんが笑顔に…!」

ハイデマリー「宮藤さん…サーニャさんって…あんな笑顔もできるんですね…」

芳佳「はい…あれはエイラさんの前でしか見せない表情です」

エイラ「うわああああ!さーにゃああ!」





 ~ そして最後の夜 ~


サーニャ「……最後の夜間哨戒ですね…」

ハイデマリー「…大丈夫です、私はいつでも、サーニャさんの事を想っていますよ…ご両親のように」

サーニャ「………ありがとうございます//」

ハイデマリー「……一週間、本当に楽しかった…」

サーニャ「?」

ハイデマリー「……あういう仲間に囲まれて…サーニャさんは幸せ者ですね」

 
サーニャ「そんな……!」

ハイデマリー「……皆…サーニャさんのことが大好きなんですよ」

サーニャ「……//」

ハイデマリー「………照れてるんですか?」

サーニャ「いえ、別に…」

ハイデマリー「魔導針が赤くなってます」

サーニャ「!」

ハイデマリー「信じて下さい、"自分は強い"って、"自分は幸せなんだ"って」

サーニャ「……はい」

ハイデマリー「ほら…」ギュッ

サーニャ「!!!」

ハイデマリー「……私も、サーニャさんのことが好きな人の一人です」ムギュゥ

サーニャ「……//」

 
ハイデマリー「……わかりますか…私の魔導針も赤くなっているのが」

サーニャ「……!」

ハイデマリー「ほら…こうやって…」

サーニャ「きゃっ!」ピクン!

ハイデマリー「魔導針同士をこうやってくっ付けると、相手の想いがより一層伝わるんです…」

サーニャ「ハイデマリーさんの…想い…」

ハイデマリー「……ええ、サーニャさんの想いが…いま私に流れて来ています」

サーニャ「……あたたかい…」

ハイデマリー「目を閉じて下さい…もっと強く感じられますよ…」



ハイデマリー「…」

 
ハイデマリー「!」



ハイデマリー「これは……」


--------------



   「サーニャは本当にピアノが上手ね…」


          「私に似たんだ!この子は将来、大物ピアニストになるぞ!」

   「あなた、気が早いわ」


                  「こんな子を持って、親として誇らしいことだよ!」


-----------------

ハイデマリー(何これ!?サーニャさんの…記憶…?)

 
----------

  「ああ、サーニャ…どうしてうちの子が…」


          「…ウィッチに入隊だなんて……私は信じない」

  「この子はピアニストになるという夢があるのよ!? その夢はどうなるの!」


                「もっとウィッチにふさわしい人間はいっぱいいる!どうして…サーニャが…!」

--------

ハイデマリー(これは…)

---------


      「いやああ!やめて!サーニャを連れて行かないで!」


   「この子はまだ幼いんだ!それなのに…こんな子供にネウロイと戦わせるなんて、どういう神経してるんだ!」

                   
                    「サーニャ!サーニャ!お願い!サーニャを返して!」

 
------

ハイデマリー(いやっ……いやっ)

ハイデマリー「いやあああああああああ!!!!!!」

サーニャ「ハイデマリーさん!どうしたんですか!」ユサユサ

ハイデマリー「……はっ!」

サーニャ「ああ、よかった…気が付いた…」

ハイデマリー「サーニャさん…」

サーニャ「…?」

ハイデマリー「ううっ…」ムギュウウ…

サーニャ「ちょ…強いです……苦しい…」

ハイデマリー「ごめんなさい……ごめんなさい……」ギュウウ…

サーニャ「ハイデマリーさん!しっかりしてください!」

ハイデマリー「ごめんなさい……」




 
  ~ サーニャの部屋 ~


サーニャ「落ち着きました?」

ハイデマリー「はい…」

サーニャ「………よかった」ホッ

ハイデマリー「……ごめんなさい、急に取り乱してしまって」

サーニャ「気にしないで下さい…」

ハイデマリー「……最後の夜ですね」

サーニャ「……はい……今日は一緒に寝てもいいですか…?」

ハイデマリー「えっ…」

------


 ~ エイラの部屋 ~


エイラ「何故だあああ!どうして今日も私の部屋に来ないんだあああ!」

 
芳佳「ちょっとうるさいですエイラさん…」

エイラ「ミヤフジぃ…!そして何故お前は私の部屋に来るんだ…!」

芳佳「いいじゃないですかぁ~、エイラさんの部屋、いいにおいがするんだもん」ゴロゴロ

エイラ「…やっぱりハイデマリーのほうがいいのか!? 私じゃ満足できなかったのか!?」

芳佳「ふぁぁぁ…仕方ないですよ…今日はハイデマリーさんが帰る日なんです…最後の日くらい一緒に寝てあげさせましょう…」

エイラ「くそぉぉぉ……手紙作戦は失敗に終わるし……ミヤフジはなんかハイデマリー側についてるし…どうしてこうなったんだあ~!」

芳佳「大丈夫ですよ、今日からまたどうせいつもの2人に戻るんでしょ……ふぁぁあ…」

エイラ「ミヤフジいい!私は悲しいぞぉ!」

芳佳「まったく…エイラさん、むしろ今こそがチャンスなんですよ」

 
エイラ「何?」

芳佳「ハイデマリーさんが去ってしまって、悲しんでいるサーニャちゃんを励ませらるのは…誰ですか?」

エイラ「…はっ!…そうか!むしろ私は今サーニャに一番好かれる立場にいるのか!」

芳佳「そうですよ!」

エイラ「ありがとなミヤフジ!元気が出てきた!」

芳佳「真夜中のマシンガンで、サーニャちゃんのハートを撃ち抜けるのはエイラさんだけですよ!」

エイラ「ナンダそれ」





    ~ 滑走路にて ~


ミーナ「それでは、ハイデマリー少佐、体に気を付けて」

ハイデマリー「はい……この1周間、ほんとうに楽しかったです」

美緒「楽しんでくれて何よりだ、また私達に会いたくなったらいつでも来い」

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