杏子「まどかばっかり可愛くてズルい」(414)

まどか「へんしーん!」

杏子「……」

まどか「な、なに?」

杏子「別に」

マミ「ボーッとしないの!」

杏子「へいへい」

杏子(あたしもあんなフリフリの……似合わない、か)

さやか「ちょっと!前見なさいよ!」

杏子「う、うるせぇな」

まどか「やっ!」パシュンパシュン

さやか「たぁっ!」

マミ「はっ!」

杏子「おりゃあ!」

魔女「バイバイキーン!」

チュドーン

さやか「四人もいたら楽勝だねー」

まどか「私あんまり役に立たなかった……」

マミ「そんなことないわよ、鹿目さんも上達してきてるわ」

まどか「えへへ、ほんとですか?」テレテレ

杏子「……」

杏子「……ズルい」

まどか「えっ」

マミ「どうかした?」

杏子「まどかばっかり可愛くてズルい」

さやか「はぁ?」

杏子「まずピンクだし」

まどか「う、生まれつきだよぉ」

杏子「なんか性格も女の子だし」

さやか「あんたも女でしょうが」

杏子「いかにも魔法少女な衣装だし」

マミ「さ、佐倉さんの魔法少女服も可愛いわよ?」

杏子「あたしなんか格ゲーとかネトゲのキャラみたいじゃん」

さやか「あたしなんて今にもポロリしそうなんだけど」

マミ「要するに佐倉さんも鹿目さんのような可愛い服が着たいのね?」

杏子「そ、そんなん言ってねーし!」

マミ「とはいえ変身は各々の資質に合わせたものだから……」

さやか「あんた昔は幻術使えたんでしょ?それで何とかしたら?」

杏子「自分で見えなきゃ意味無いだろ」

さやか「確かに」

まどか「で、でも、杏子ちゃんの服も動きやすそうで良いと思うよ」

さやか「だよね、まどかみたいなフリフリの服で槍振り回すとか似合わないよね」

杏子「……」

マミ「美樹さん、ダメよ」

杏子「解ってるよそんなこと!帰る!」

さやか「ありゃ」

まどか「もー、さやかちゃん!」

マミ「あんな言い方しちゃダメよ」

さやか「だってさぁ……ついつい」

マミ「佐倉さんだって女の子だもの、お洒落したくもなるわよ」

さやか「ですかねー」

まどか「何とかなりませんかね?」

マミ「んー……普通の服なら買えば済むけど……」

さやか「あ、そうだ、あたしもまどか羨ましい」

まどか「え?」

さやか「ほら、あたし達と違って謎インナーでパンツ見えないじゃん」メクリ

まどか「うわわわわ!?止めてよさやかちゃん!!」

マミ「美樹さん……」

マミハウス

マミ「ただいま」

QB「おかえりマミ、丁度温かいココアを作っていたところだよ」

マミ「あら、気が利くのね」

QB「まぁね」

マミ「ねぇキュゥべえ、ちょっと訊きたいのだけど」

QB「なんだい?」

マミ「私達の魔法少女服って途中で変えられないのかしら?」

QB「うーん……素質に合わせて最適化されてるはずだからね」

マミ「やっぱり無理なの?」

QB「不可能ではないだろうけど、特に意味があるとは思えないよ」

マミ「……女心の解らない子ね」ツンツン

QB「きゅっぷい」

QB「大事なのは見た目じゃなくて魔力の発現だよ」

QB「例えばパワー重視からスピード重視に切り替えるのに、いちいち見た目を変化させる必要は無い」

QB「いわゆるフォームチェンジなんて隙を作るだけだよ」

マミ「はいはい、わかりました」

QB「何をおこってるんだい?」

マミ「もういいわよ、自分で考えます」

QB「わけがわからないよ」

夜の街

女「買ってくれてありがとう、大切にするね」

イケメン「似合うよ、君に着られてその服も幸せだ」

女「キャー」

杏子「……けっ」

杏子「……可愛いスカートだったな」

杏子「あたしのもフレアっぽくて可愛いはずなんだけどなぁ」

幼女「パパー、くまさん買ってー」

パパ「おお、いいぞぉ」

杏子「ふん、コアラのマーチ買ってこよ」

翌日

マミ「鹿目さん」

まどか「あ、マミさん」

さやか「おはようございます」

マミ「おはよう、美樹さんに暁美さん」

ほむら「……おはよう」

マミ「三人とも、今日の放課後は空いてる?暇だったら家に来てもらえないかしら」

まどか「いいですよ」

ほむら「私も問題無いわ」

さやか「あー……あたしはちょっと用事が……遅れてもいいなら」

マミ「大丈夫よ、じゃあよろしくね」

まどか「はーい」

放課後、マミハウス

マミ「いらっしゃーい」

まどか「おじゃましまーす」

ほむら「……チッ」

QB「顔見るなり舌打ちってひどいや」

マミ「今お茶出すわね」

まどか「あ、手伝いますよ」

ほむら「……」

QB「……」

ほむら「……」

QB「綺麗な夕日だねぇ」

ほむら「そうね、誰かさんも消えて見えなくなればいいのに」

QB「……」

マミ「お待たせ……あら?」

ほむら「……」ギュウ

QB「ぐるしぃ……」

マミ「ずいぶん仲良しね」

まどか「首絞めてるような……」

ほむら「気にしないでいいわ、話をして巴マミ」

マミ「えぇ、佐倉さんのことなのだけど」

QB「死ぬかと思ったよ」

まどか「よしよし」

ほむら「佐倉杏子がどうかしたの?」

マミ「あくまで私の推察なのだけど……かくかくしかじか」

ほむら「なるほど」

マミ「彼女はその……えっと、家庭が複雑だったから、お洒落したくなる年頃でも甘えられなかったんじゃないかしら」

マミ「本当は物凄く女の子だったとしても、一人で生き抜くにはそんなこと言ってられなかったと思うの」

ほむら「佐倉杏子なら欲しいものは無理にでも手に入れそうなものだけど」

マミ「変わってきてるのよ」

ほむら「変わった?」

マミ「正しくは戻りつつあるのかしら、貴女や鹿目さん、美樹さん達と触れ合う内に……昔のように」

ほむら「……」

マミ「だから、何かしてあげたいと思うのよ」

ほむら「お節介ね」

マミ「よく言われるわ」クスッ

まどか「えいえい」モフモフ

QB「きゅっぷい」

ほむら「まぁ、私達に迷惑が掛からないなら何でもいいわ」

マミ「で、考えたのだけど……服を作ってあげようと思うの」

ほむら「どうやって?私達は皆、素人よ?」

マミ「それは」

ガチャ

杏子「うーっす、ケーキくれるって言うから来てやったぞ」

マミ「インターホンくらいは鳴らしてほしいわね……」

杏子「なんだ、お前らもいたの」

まどか「うん」

マミ「皆で食べた方が美味しいでしょ?」

杏子「そんなもんかねー……」

マミ「そうよ」

マミ「鹿目さん、ちょっといい?」

まどか「はい?」

マミ「暁美さん、佐倉さんの分も切ってあげて」

ほむら「わかったわ」

杏子「イチゴ乗ってるとこな」

ほむら「注目があるなら自分でやりなさいよ」

マミ「じゃあ、お願いね」

まどか「任せてください!」

杏子「お、帰ってきた、もうイチゴ全部食っちまったよ」

マミ「い、いいわよ別に」

まどか「見事にイチゴだけ無くなってる」

ほむら「わ、私は止めたのよまどか」

まどか「えー、ほむらちゃんも食べたんじゃないのー?」

ほむら「違っ」

まどか「冗談だよぉ」

ほむら「……ホッ」

まどか「…………でも、そのほっぺたのクリームはなにかなぁ」

ほむら「!?」

マミ「そう言えば佐倉さん、昨日は鹿目さんを羨ましがってたわね」

杏子「えっ、うん、まぁ」

マミ「やっぱり可愛い魔法少女服が良い?」

杏子「べ、別に!」

マミ「あらそう」

杏子「ただまぁ……いつも同じのだと飽きるし……その……ゴニョゴニョ」

マミ「うんうん、私も違うのがよくなることあるわ」

杏子「だろ!?」

マミ「えぇ、例えば……」

杏子「まず色、色!あたしもピンクが良い!」

マミ(鹿目さん、頼むわよ)

まどか「イチゴの無いケーキなんておかしいよ」

ほむら「私の分食べて……あ、無い……」

杏子「で!こう、フリフリでヒラヒラが重なってて!」

マミ「うんうん」

まどか「なるほどなるほど」サラサラ

杏子「この辺にリボンとかあったり……」

QB「紅茶はミルクたっぷりに限るね」ズズー

杏子「桜の花びら的な、こうパァーっとした感じで!」

ほむら「ま、まどか、クッキー食べる?」

まどか「後にして」

ほむら「……はい」

マミ「……」ニコニコ

杏子「あっ……」

杏子「な、何言わせんだよバーロー!」

マミ「いいじゃない、女の子だもの、ね?」

まどか「はい」

QB「クッキー美味しい」ボリボリ

杏子「どうせあたしにはそんなの似合わないよ……」

まどか「あんまりピンクが強いとあれだから、赤寄りの色合いにして……」サラサラ

杏子「何描いてんだ?」

まどか「内緒だよー」

ほむら「服なんか何でもいいでしょうに」

マミ「そう言わないの、選べるって大事なことよ」

ほむら「……」

マミ「大きいと似合わない服も多いもの」

ほむら「ふーん、へぇ、参考になるわ」

まどか「うん、出来た!」

杏子「何が?」

マミ「どれどれ……あら、可愛いわね!」

ほむら「……可愛い」

まどか「プリキュアみたいだよね」

杏子「だから何だよ?」

まどか「じゃーん、杏子ちゃんの理想の魔法少女服を絵にしてみましたー!」

杏子「おぉ!おぉ?お、おぉ」

マミ「もちろん絵にしただけじゃないわ、実際に着せてあげる」

杏子「ど、どうやって?」

マミ「私のリボンを使えば……いけるわ」

ほむら「まどかの描いた絵をモデルにリボンで包むって……」

マミ「動かないでね」

杏子「お、おう」

QB「まぁそれによって防御力も上がるからね、無意味とまでは言わないけど」

マミ「結構疲れるわねこれ」ムムム

まどか「頑張ってください!」

ほむら(買うか作るかした方が早くないかしら?)

杏子「く、くすぐったいんだけど」

マミ「我慢しなさい」

まどか「もうちょっとだから」

マミ「ええっと、ここは白ね……チョーカーは淡い紅色……出来た!」

マミ「ふぅ……」

まどか「お疲れ様です」

杏子「うわ……わぁ……」

ほむら「満開の桜って感じね」

まどか「本当は変身の時につぼみがバッと開く感じにしたかったんだけどね」

杏子「いい!スゲーいいよ!」

マミ「喜んでくれたなら頑張ったかいがあったわ」

杏子「あー、でもあたしにはやっぱり似合わな」

まどか「髪型も変えよう!手始めにツインテール!」

杏子(されるがまま……)

まどか「んー、ツインテールは合わないかも」

マミ「服の色を変えてみたら?」

ほむら「メガネかけさせましょう」

QB「それはないよ」

杏子(着せ替え人形じゃねーぞ)

まどか「こうしたらどうかな?」

マミ「三編みお下げ……あら、意外と」

ほむら「悪くないわね」

まどか「あとは、杏子ちゃんはスレンダーだからもう少しスカート絞って」

マミ「おっけー」

まどか「わ、可愛い!」

杏子(まぁ悪い気はしないけどさ)

まどか「可愛いよ!」

マミ「さすが私ね」

杏子「でもこれ、マミが魔力解いたら消えちゃうんだよな?」

マミ「大丈夫よ、構成は覚えたから次はパッとやれるわ」

杏子「すげぇなおい」

QB「力の無駄遣いだよ」

マミ「いいでしょ、これくらい、先輩から頑張ってる後輩へのご褒美みたいなものよ」ナデナデ

杏子「あっ……うっ……あっ」

まどか「照れてる照れてる」

ほむら「ふふっ」

杏子「あっ、ありが、ありが……」

ピンポーン

マミ「美樹さんね、ちゃんと待ってて」

杏子「うっ」

杏子「……」モジモジ

まどか「な、なんかいつもの杏子ちゃんらしくないね」

杏子「に、似合わないだろ!?はっきり言えよ!!言ってくれ!!」

まどか「そ、そうじゃなくて、大人しいから」

ほむら「慣れない格好で落ち着かないんでしょ」

まどか「かーわーいーいー」

杏子「う、うるせぇな」

ほむら「似合ってる……とまでは言わないけど、悪くないわよ」

杏子「なんだよそれ……」

まどか「杏子ちゃんはパンツスーツとかも似合いそうだよね、格好良さそう」

杏子「嬉しくないよ」

さやか「いやー、遅れてごめ……ん……」

さやか「……」

マミ「ほら、可愛いでしょ?私のリボンで作ったのよ」エッヘン

まどか「私がデザインしたんだよ」

ほむら「私は横で見てたわ」

QB「僕なんて四人がキャッキャッしてるのをお茶しながら見てただけだよ」

杏子「……」モジモジ

さやか「……」

まどか「可愛いよね?」

さやか「…………ぷっ」

さやか「ぷあーはっはっはっ!!あははははははは!!」

杏子「なっ!?」

さやか「ごめんごめん、急にそんな服になってるから……ぷぷっ」

まどか「さ、さやかちゃ……」

さやか「まどかのと似てるね」

杏子「あぁ、うん」

さやか「だけどやっぱりさぁ、いつもの方が……これで槍持ってもなぁ」

杏子「……」ジワッ

さやか「変だよ」

ドンッ

さやか「いたっ!?」

杏子「わかってるよそんなこと!!あたしがこんな服着て悪かったな!!」

さやか「ちょ、ちょっと」

杏子「三人ともごめん……帰るよ」

さやか「ありゃあ……」

まどか「杏子ちゃん、泣いてた……」

ほむら「恐ろしいほどのデリカシーの無さね、尊敬するわ」

QB「感情が無いからわからないや」

さやか「い、いや、あれは」

マミ「美樹さん」

さやか「は、はい!」

マミ「今は佐倉さんも興奮してるから聞き入れないでしょうけど、ちゃんと謝りなさい」

さやか「は、はぁ」

マミ「返事ははい……でしょ?次は本気で怒るわよ」

さやか「…………はい」



杏子「ぐすっ……ひぐっ……さやかのばかやろぉ……」

杏子「いい、じゃんか、あたしが可愛い服着たって……」

杏子「変、じゃない……もん……ひっく」

杏子「ま、まどかとマミが作っ、って……くれたのにぃ……」

チャラ男「ねぇきみきみ、そこの君、かわうぃーねぇー」

杏子「あぁ……?」

チャラ男「なに泣いてんの?せっかくの可愛い顔が台無しだよ、良かったらお兄さんが話を」

杏子「うるせぇ」

チャラ男「そう言わずにさぁ、人に話したらすっきりするもんだよ」

杏子「うるせぇって言ってんだろ!!誰が可愛いだ、ぶっ殺すぞ!!」

チャラ男「君、恐うぃーねー」

さやか「……」

まどか「……」

ほむら「……」

さやか「……悪かったってば」

まどか「私達に謝ってもダメだよ」

さやか(うっ、珍しくまどかがガチで怒ってる)

さやか「まさかさぁ、杏子がそんなに可愛い服着たがってるとは思わないじゃん」

まどか「すっごく嬉しそうだったのに」

ほむら「えぇ、そうね」

さやか「うぅ……あーもう!」

さやか「二人とも先帰ってて、杏子に謝ってくる!」

まどか「行っちゃった」

ほむら「全く、美樹さやかにも困ったものね」

まどか「怒ったマミさんなんて初めて見たよ」

ほむら(理性の吹き飛んだ巴マミなら幾度か見たけどね)

まどか「杏子ちゃんとさやかちゃん、仲直り出来るかなぁ」

ほむら「さぁ……私はどっちでも……」

まどか「そうだ、今度ほむらちゃんの服も描いてあげるね」

ほむら「え、えぇ、お願いするわ」



さやか「はぁ、はぁ……どこにいんのよ」

さやか「ん?結界……?まさか!」

―――――

さやか「杏子ー!いるんでしょー!返事してー!」

ビュン!

さやか「うわっ!?」

杏子「なんだよ、お前か……」

さやか「あ、危ないでしょ!刺さったらどうすんのよ!」

杏子「魔法少女がそう簡単に死ぬかよ」

さやか「あんた……」

杏子「で、何の用?また笑いに来たの?」

さやか「違うよ!謝りに……」

杏子「あぁそうだ、魔女ならあたしがやるから邪魔すんなよ、グリーフシードもやらねぇよ?」

さやか「そんなのどうでもいいよ!」

杏子「じゃあ帰れよ!こっちはお前の顔なんか見たくもないんだ!」

さやか「杏子……」

杏子「顔見たらムカついてきた……やるか?」

さやか「なに考えてるのよ……って、危ない!」バッ

杏子「あぁ?」

グサッ

魔女「……」

杏子「いっ……てぇー……」

さやか「杏子!!」

杏子「来んな!!」

さやか「……」

杏子「こういう方が、血にまみれてる方がお似合いなんだろ?」

さやか「そんなこと……」

杏子「もうほっといてくれよ……ああああ!!」ズボッ

魔女「!?」

杏子「どうせこんなのすぐ治るんだ!いくぜ!」

杏子「あははははは!!」

さやか「なんてむちゃくちゃな戦い方……人のこと言えないけど」

杏子「痛くない痛くない痛くない痛くない痛くない!!」

さやか「うへぇ」

杏子「止めだ!!」ザックリ

ボカーン

杏子「あっはっはっは!!」

さやか「……」

杏子「なんだ、まだいたの?それとも……殺るか?」

さやか「やらないってば」

杏子「チッ、鬱陶しい……さっさと帰れよな」

さやか「ごめん」

杏子「はぁ?」

さやか「笑ってごめん……あたし、ちょっと無神経過ぎた……だから、ごめんなさい!」

杏子「……いいよ」

さやか「許して、くれるの?」

杏子「どうでもいいよ」

さやか「あ……」

杏子「謝られたって……」スタスタ

さやか「待って!」

杏子「嬉しかった」

さやか「えっ?」

杏子「あたしに似合うとか似合わないじゃなくて、三人があたしのためにしてくれたのが嬉しかった」

杏子「それを笑ったお前は絶対に許さない……!」タッ

さやか「ごめ……ん」

太陽出るまで寝よっと

そりゃあホームレスがドレス着てたら笑うだろ

>>123
   /i´Y´`ヽ 
   ハ7'´ ̄`ヽ. チッ
   l ,イl//`ヘヘ! またあいつ叩かれてやがる! 仕方なーなぁ
   リノ(! ゚ ヮ゚ノリ       
    /_}li:i} / ̄ ̄ ̄/__
      \/___/

    /i´Y´`ヽ カチャカチャッ
   ハ7'´ ̄`ヽ.
   l ,イl//`ヘヘ! さやかちゃんかわいいよ さやさや
   リノ(! ゚ ヮ゚ノリ       ターンッ
    /_ミつ / ̄ ̄ ̄/__
      \/___/

なにしてんの…
   あんた…
   __     /i´Y´`ヽ 
 . '´   ヽ  ハ7'´ ̄`ヽ.

 { i{ノハ从k}  l ,イl//`ヘヘ! ・・・。
 ヽ!l|.゚ ヮ゚ノリ  リノ(!;゚ ヮ゚ノリ       
  /_}li:i}     /_}li:i}/ ̄ ̄ ̄/__

      ̄ ̄ ̄ ̄\/___/

爆睡してた……顔洗ってくるお


杏子「あたしに似合うとか似合わないじゃなくて、三人があたしのためにしてくれたのが嬉しかった」

杏子「それを笑ったお前は絶対に許さない……!」タッ

泣いた

翌日

さやか「……」ドンヨリ

まどか「そ、その様子だと……」

さやか「超キレてた」

ほむら「自業自得ね」

さやか「仰る通りで……」

さやか「で、でも、ちゃんと謝ったんだよ!?」

ほむら「謝って済むなら警察は」

さやか「いらない……」

まどか「私達からも杏子ちゃんに言った方が良いのかな?」

さやか「いや、いいよあたしが悪いし……何とかするよ」

さやか(とは言ったものの、どうしたもんかな)

さやか(あたしの顔見たくないって言ってたし……)

さやか(いっそ昔の番長みたいにぶん殴り合って夕陽の下で友情誓う?)

さやか(アホらし……)

まどか「……ちゃん」

さやか「ん?」

まどか「さやかちゃん! 呼ばれてるよ!」

マミ「……こんにちわ」

さやか「マ、マミさん!」

マミ「今、大丈夫かしら?」

さやか「は、はい」

廊下

マミ「そう、そんなに」

さやか「はい、びっくりするくらいキレてました」

マミ「せっかく仲良くなりかけてたのに……」

さやか「ご、ごめんなさい」

マミ「責めている訳ではないのよ、美樹さんはキチンと謝ったのでしょう?」

さやか「一応……」

マミ「本当は佐倉さんが落ち着いてからがベストだったのだけれど……」

さやか「うっ」

マミ「まぁ思い立ったら即行動なのは美樹さんらしいわ、謝らないよりよっぽどマシよ」

さやか「はぁ……」

マミ「後は仲直りするだけだけど、話を聞いた限りでは一筋縄ではいきそうにないわね」

さやか「どうすればいいのか、全然解んなくて……」

マミ「あの子も強情だものね」

さやか「あ、でも、マミさんやまどかには感謝してるって言ってました」

マミ「……」

さやか「マミさん達が自分の為に何かしてくれたのが嬉しかったって」

マミ「そう……」

マミ「だったら、そこにヒントがあるかもしれないわね」

さやか「ヒント?」

マミ「えぇ、佐倉さんの為に美樹さんが出来ること、考えてあげて」

さやか「はい」

さやか(あるかなぁ、そんなこと)

QB「やぁ佐倉杏子」

杏子「何だよ、ぶち殺すぞ」

QB「いきなり物騒だなぁ」

杏子「虫の居所が悪いんだ、巻き込まれない内にさっさと消えなよ」

QB「その激情は僕にとって興味深いけど理解は難しいね」

杏子「黙れ」

QB「まぁそう怒らずに聞いてよ」

杏子「あぁ?」

QB「君の街が危ない、幾つか結界の気配を感じる」

杏子「最近こっちにばっか来てたからな……」

QB「向こうは君で持っていたようなものだからね」

杏子「別にあんなとこどうなろうと知ったこっちゃないけど」

杏子「グリーフシードも欲しいし」

杏子「こっちに未練も無いし……帰るとするかねー」

QB「マミやさやかに何も言わないで行くのかい?」

杏子「いいよそんなもん、あとそいつの名前は出すな」

QB「まどか達は寂しがるだろうね」

杏子「生きてりゃ魔法少女やってりゃ、またその内会うだろ……せいぜいよろしく言っといてくれ」

杏子「じゃあな」

QB「気をつけて、マミ達の力が必要ならいつでも呼んでよ」

杏子「呼ばねーよ」スタスタ

QB(いくら君でも一人じゃ限界があると思うけど……ま、そこは僕の知るところじゃないね)タッ

杏子「……」クルッ

杏子「…………」

杏子「…………さやかのばーか、顔見なくてせいせいするよ」

分かっていたことだがさやかちゃんは本当にバカだなぁ

放課後

キンコンカンコーン

さやか「ごめんまどか! 先に行くね!」ダダダ

まどか「う、うん」

ほむら「ずいぶん急いでいたわね」

まどか「きっと、杏子ちゃんを捜しに行ったんだよ」

ほむら「似た者同士はむしろ喧嘩しやすいって本当なのね」

まどか「……」

ほむら「な、なに?」

まどか「ほむらちゃんって結構皆の事ちゃんと見てるよね」

ほむら「別に……あの二人が単純なだけよ」

まどか「ひどいー」

さやか(杏子の行きそうなとこと言えば……ゲーセン!)

―――

オタ「殺人的な加速!」

オタ2「この距離は……俺の距離だ!」

オタ3「ダライアス難し過ぎワロス」

さやか「いない……じゃあ試食品漁ってるとか?」

―――

店員「ウィンナーいかがですかー」

さやか「うまっ……いや、そんなことやってる場合じゃない! どこにいんのよ! あ、そうだ!」

教会

さやか「ここならもしかして……」

さやか「って思ったけど、いないか」

さやか「……」

杏子『食い物粗末にしてんじゃねぇ、殺すぞ……!』

杏子『あたしの願いのせいで、あたしの家族は……』

杏子『他人の為に戦うとか、バカじゃねぇの』

さやか「そうだね、あたしってほんとバカ」

さやか「あんたの気持ち、ほんの少し考えたら解るはずなのに」

さやか「友達泣かせてバカ丸出し……」

さやか「あぁもう! 絶対見つけてやるんだから!」

一方その頃

杏子「はぁっ、はぁ……」

魔女「……」

使い魔達「ウジャウジャ」

杏子「くっそ、次から次へと……」

魔女「……!」

杏子「しまっ!」

グサリ

杏子「いてぇ……けど!」

杏子「捕まえたぜ……」

魔女「!?」

杏子「はっは! その気になりゃ死なないんだ! 何匹でも来いよ! やってやる!」

杏子「うおおおおおっ!!」

使い魔「!」チュドーン

杏子「あたしは強い! あたしは一人で良い!」

杏子「他人の為になんか戦わない!」

杏子「仲間も友達も」

マミ『似合ってるわ』

まどか『可愛いよ』

ほむら『悪くないんじゃない?』

杏子「……!」

さやか『変だよ』

杏子「……いらない!!」

魔女「!!」ボッカーン

杏子「嬉しかった……なんて言うんじゃなかった……」

―――

杏子「さすがに腹は減るな……」グー

杏子「まだちょいと日が高いし……盗むとしますか」

少女「パパー、うさぎさん買ってー」

パパ「おいおい、こないだくまさん買ってあげただろ?」

少女「くまさんも一人だと寂しいよー」

パパ「うーん、そうかもなぁ、仕方ないなぁ」

少女「やったー! パパありがとー! 大好きー!」ギュ

パパ「ははは、こやつめ」

杏子「……」

少女「うさぎさん可愛いー!」

杏子「……」

お巡りさん「ちょっとそこの君」

お前(少女wwwwドゥフフフwwww)

お巡りさん「ちょっとそこの君」

お前ら「えっ?えっ?」

杏子「え、あたし?」

お巡りさん「そうだ」

杏子(まだ何もしてねぇぞ)

お巡りさん「ずいぶん怪我してるじゃないか、どうかしたのかい?」

杏子「あぁこれ……何でも無いんで、大丈夫っすよー、すぐ治りますんでー」

お巡りさん「待ちなさい、ご両親に連絡を……」

杏子「うるせぇな! ほっとけって言ってんだろ!」

お巡りさん「なっ!」

少女「パ、パパ……」

パパ「見ちゃいけません」

杏子「……チッ」

杏子(面倒くせぇな)ダッ

お巡りさん「あ、待ちなさい!」

すまぬ、ご飯を食べる、すまぬ



さやか「どこにもいない……」

さやか「マミさんやまどかに連絡取ってるとも思えないし……」

さやか「まさかもうこの辺りにはいないとか?」

ピリリリ

さやか「ん? はい、もしもし?」

さやか「あぁお母さん……うん、そろそろ帰るよ、はいはい、じゃあね」

さやか「仕方ない、一旦帰ろう」

―――

さやか「ただいまー」

さやか「ごめん、夕飯いらない、ちょっと疲れたからすぐ寝るね」

さやか「とうっ!」バフッ

さやか「……どこいったのよあいつ」

さやか「元の街に帰ったなら……一言言って行きなさいよ……」

さやか「メール? まどかからか」

まどか『仲直りできた?』

さやか「見つかりませんでしたっと」カチカチ

さやか「そういや杏子、布団とかご飯とか大丈夫なのかな?」

さやか「魔法があるから風邪ひいたりはしないだろうけど……」

さやか「はぁ……心配だな」

どっかの廃屋

杏子「……腹減った」グギュルルル

杏子「結局食ったのは公園の水と残飯くらいか」

杏子「くそっ……恐喝でも盗みでも何でも手段はあるのに……!」

杏子「あいつらの顔がちらつきやがる……!」

キーンキーン

杏子「また魔女か……しばらくほったらかしにしてたからなぁ」

杏子「にしても、無駄にダメージ食っちまうなぁ」

杏子「あっちだったらマミ達がフォローしてくれてたからな……」

杏子「ま、いっか、戦ってれば嫌な事は忘れるし」

翌朝

さやか「よっし! 今日は土曜日だし、徹底して杏子を探すぞー!」

まどか「おー!」

さやか「ごめんね、結局手伝ってもらって」

マミ「いいのよ、人手は多いに越したことはないわ」

さやか「ほんとはあたしが自分でやらなきゃいけないのに」

まどか「杏子ちゃんを見つけるだけなら、いくらでも力を貸すよ」

ほむら「……」

まどか「それに、さやかちゃんが昨日メールで言ってた事、良いと思う」

さやか「そ、そうかな? まぁ急ごしらえでブサイクだけど」

マミ「大事なのは気持ちよ」

さやか「そう言ってもらえると助かります」

マミ「それで、出来栄えは?」

さやか「これなんですけど」ゴソゴソ

まどか「可愛い!」

マミ「うん、これなら佐倉さんもきっと喜んでくれるわ」

さやか「だといいんですけど」

マミ「それじゃ、いつまでも話してないで行きましょうか」

ほむら「悪いけど私は別行動をとるわ」

まどか「えっ」

ほむら「心配しないで、佐倉杏子はちゃんと探すわ……巴マミ、昨日キュゥべぇは?」

マミ「昨日は鹿目さんのお家じゃ?」

まどか「来てませんよ」

ほむら「やっぱり……何か解ったら連絡するわ」

―――

さやか「杏子ー! どこー? ごめんってばー!」

―――

マミ「佐倉さーん、ケーキよー! 美味しい紅茶もあるわよー!」

―――

まどか「杏子ちゃーん! 可愛いぬいぐるみだよー!」

―――

マミ「いないわねぇ」

さやか「もう! 連絡とれるようにしときなさいよ!」

マミ「念話も話す気が無いならどうしようもないものね……」

まどか「杏子ちゃん……」

さやか「まさかこんな大事になるなんて」

マミ「嘆いても仕方ないわ、もう一度行きましょう」

さやか「はい!」

杏子「……うへぇ」ドサッ

杏子「疲れた……痛くなくても疲れるもんなんだな……」

杏子「腹減ったし……もう動けねぇ……」

杏子「だいたい、なんであたしがこんなに戦わなきゃいけないんだ」

杏子「気が向いた時だけ適当にグリーフシード手に入れればそれで十分だ……」

杏子「こんな街……どうなっても知るか……親父の話も聞かなかったくせに……」

キーンキーン

杏子「うるさいよ……寝かせてくれよ」

キーンキーン!

杏子「皆食われちまえばいいんだ」

キーンキーン!!

杏子「…………」ムクリ

さやか「杏子……?」

まどか「どうしたの?」

さやか「あ、ううん、何でもないよ」

ピリリリ

まどか「電話……ほむらちゃんからだ」

ほむら『もしもしまどか? 佐倉杏子の居場所が解ったわ』

まどか「ほんと!? どこどこ!?」

ほむら『どうやら元の街……風見野に帰ったみたいね』

まどか「そんな……」

ほむら『戻っただけならまだいいわ、あっちは魔女が多数出現してるみたい』

まどか「す、すぐ助けに行かなきゃ!」

ほむら『えぇ、巴マミとさやかにもそう伝えて……私は所用を済ませたら向かうわ』

ほむら『ちょっと人様に生意気な獣を退治するだけだから』

まどか(じゅ、銃声が聴こえる……)

まどか「かくかくしかじか、まどまどマギマギ!」

マミ「解ったわ、すぐに行きましょう」

さやか「杏子……! あたしのせいで……」

マミ「美樹さんが魔女を生んだ訳じゃないわ、悔む前に急ぎましょう?」

さやか「はい……でも、言ってくれれば」

マミ「そういうのも今は無し、行くわよ!」

まどか「はい!……って、電車だと時間かかりますよ!?」

マミ「変身すれば良いでしょ! 走るわよ!」

まどか「ははははい!」

さやか(無事でいてよ……)

マミ(喧嘩別れしたこともあったけど、大事な後輩を死なせてたまるもんですか!)

隣町

杏子「……げほっ!」

杏子「ははっ、自分の血を飲んだら腹いっぱいに……なるわけねぇか」

杏子「まぁでも、あたしにはこんなのがお似合い……」フラフラ

魔女「ウネウネ」

杏子「あの世だったらまた家族皆で楽しく出来るかなぁ」

魔女「……」

杏子「だけどあの世には友達いないな、こっちにもいないけど……」

魔女「……」

杏子「やるなら一思いにやってくれよ、生殺しはごめんだ」

ティロ・フィナーレ!

杏子「とうとう幻覚かよ、いや死ぬ時は思い出見るって聞いた事が……」

マミ「幻覚じゃないわよ?」

杏子「マミ!?」

マミ「私だけじゃないわよ」

まどか「杏子ちゃん!! 大丈夫!?」

杏子「まどか……」

さやか「……」

杏子「……!」

マミ「私は佐倉さんの治療をするわ、お願い出来るかしら?」

まどか「はい!」

さやか「オッケーです」

杏子「お前ら何で……」

マミ「いいからじっとして、傷にさわるわ」

杏子「こ、こんなの自分で治せるっての!」

マミ「はいはい、それだけ吠えれたら十分ね」

杏子(あいつ……)

まどか「えいっ!!」

さやか「はぁっ!!」

マミ「皆、あなたをとても心配してたのよ」

杏子「……」

マミ「美樹さんのこと、許してあげてくれないかしら」

杏子「……」

マミ「彼女も心底から笑った訳じゃないのよ、ただ少し……その……」

杏子「あいつの性格なんて解ってるよ」

マミ「だったら」

杏子(だから許さない……!)

まどか「さやかちゃん!」

さやか「うん! 止め!」

スッパーン!

まどか「ふぅ……」

さやか「勝ったー」

マミ「お疲れ様、佐倉さんも大丈夫そうよ」

杏子「……」

さやか「血塗れ……っていうかあんた寝てないの!? 凄い隈だよ!?」

杏子「……」

さやか「あ……こないだは、改めてごめん……」

杏子「……」

さやか「でね、これ、お詫びになるかわかんないけど、あたしの手作り……」ゴソゴソ

バシッ

さやか「あっ」

杏子「顔見せんなって言っただろ」

マミ「佐倉さん!」

さやか「……」

まどか「あ、あぅ」オロオロ

杏子「助けてくれたのは礼を言うよ、でもお前を許した訳じゃない」

マミ「ちょっと」

さやか「い、いいんですマミさん! あたし怒られて当然だし……」

杏子「……」

さやか「よ、良かったら見てくれたらいいから……」

杏子「……」プイ

まどか(ほ、ほむらちゃんまだ?)

さやか「……帰りましょう」

マミ「でも……」

さやか「いいんです、杏子も無事だったし」

マミ(もう、この二人は……)

杏子「……」

さやか「だけど、覚えておいて」

さやか「あんたが必要とした時……絶対助けに来るから、いつでも呼んで」

杏子「……うるせぇよ」

マミ「はぁ、もう、いつまで」

さやか「行こう」

まどか「い、いいの?」

さやか「うん……この場は帰るしかないよ」

さやか「約束するから」

マミ「もう! アイス食べて帰るわよ!」

まどか「はーい」

杏子「……」

杏子(何なんだよ、バカにして笑ったり助けに来たり……)

杏子(どうしたら良いのか解んないだろ……!)

杏子「……」ヒョイ

杏子「何だこれ、リボンと……ケーキ?」

さやか『見た目は悪いけど美味しいはずだから、ありがたく食べるように!』

杏子「誰が食うか!」バッ

杏子「……」

杏子「…………食べ物捨てるのはダメだな……くそ」

見滝原

ほむら「おかえりなさい」

まどか「ほむらちゃん!」

ほむら「杏子の様子はどうだった?」

マミ「元気ではあったけど、聞く耳持たずといった具合ね」

ほむら「そう」

まどか「そう言えばほむらちゃんの用事って何だったの?」

ほむら「そうね、一言で言えば宇宙のゴミを片付けていただけよ」

まどか「へ?」

ほむら(杏子を絶望に叩き落としたかったみたいだけど、上手くいかなかったみたいね)

ほむら「ところでさやかは?」

まどか「先に帰っちゃったー」



杏子「……」ギュルルルル

杏子「腹減り過ぎて寝れない……」

杏子「あいつのケーキ……いやいや、食ってたまるか」

杏子「にしても、こっちのリボンは何の意味があるんだ? ま、何でもいいけど」

杏子「……」グーグー

杏子「……」グギュルルルル

杏子「ちっ!」ムンズ!

杏子「背に腹は何とやら」モグモグ

杏子「…………甘い」

杏子「くそ……甘いなちくしょう……」グスッ

杏子(食ったら……眠く……)ウトウト

チュンチュン

杏子「ん……朝か、何か随分久々に寝た気がするな」

杏子「水でも飲みに……え?」

ウギャー! シネー!

杏子「な、なんだよこれ……街が……」

QB「どうやらここら一帯の魔女が束になったようだね」

杏子「お前!」

QB「やぁ、暁美ほむらのせいで新しい個体になったから、ついでに挨拶に来たよ」

杏子「んなことどうでもいい!! 魔女が束になるとかあんのかよ!?」

QB「さぁねぇ、強い魔女が他の魔女を吸収したのかもしれないし、詳細は知らないよ」

杏子「……」

QB「いずれにせよこれは君一人じゃ収束するのは無理があるね」

杏子「そうみたいだな……悪いけど、逃げさせてもらうか」

QB「懸命だ」

QB「見滝原に行くのかい?」

杏子「いや、これからはフリーの流れ魔法少女としてやっていくかね」

QB「止めはしないけど」

杏子「どうせこんな街、遅かれ早かれ滅びてたよ……いざとなったら向こうからマミ達が来るだろ」

QB「かもしれないね」

杏子「そうだ……こんな街……」

少女「パパー! 行かないでー!」

杏子「!!」

パパ「うふふぃはひふひ」

お巡りさん「いいい、一度で良いから拳銃撃ちたかったんだ」バキューン

チャラ男「痛ぅぃーねー!!」

イケメン「おらぁ! ビッチが!」

女「何よヤリチン!」

少女「うわぁぁぁぁぁん!!」

杏子「……」

QB「急がないと結界に呑まれるよ?」

杏子「やっぱ、行かない」

QB「何をする気だい?」

杏子「ここはあたしの街だから、やっぱりあたしが守らなきゃな」

QB「わけがわからないよ」

杏子「さやかに会ったら伝えてくれ、ケーキ美味かった、ごめんなって」

QB「ふむ」

杏子「あと……友達の事、大事にしろよってね」

少女「うわぁぁぁん!!」

お巡りさん「ほほほ、本官は本心では撃ちたくないと思っているであります!」チャキ

少女「ひっ」

バキューン

杏子「止まるなバカ!」

少女「お姉ちゃん……誰?」

杏子「泣いてるだけじゃ死ぬよ……お家で待ってな、すぐにパパも帰ってくるよ」

少女「ほ、ほんと?」

杏子「あぁ、約束だ」

杏子「んじゃ、行くよ」キュイーン

少女(変わった……綺麗……カッコ良い……)

杏子「パパの事、ずっと好きでいてやれよ……いくぜ!!」

―――

杏子「一匹!」

杏子「二匹!」

杏子「三匹!」

魔女「!!」

ボボボボボーン!

杏子「楽勝楽勝!!」

使い魔達「ウジャウジャ」

杏子「鬱陶しい!」ザックリ

シュルシュル

杏子「触手? やべ……」

魔女「……」ドスドスドス!

杏子「うぐっ……!! まだまだ!!」

杏子「この街全部! あたしが守ってやんよ!」

数時間後

杏子「へへへ……こんなに倒したのって、ひょっとして世界記録じゃね……?」ガクッ

魔女「ウジャウジャ」

使い魔「ウジャウジャ」

杏子「なのになんで増えてんだよ……嫌になる」

杏子「こっちの魔力も考えろっての……!」

杏子(あいつらがいてくれたら……)

杏子「何考えてんだあたしは……バカか」

杏子「あんな態度とっておいて……来てくれるはずないだろ……」

使い魔「……」プイーン

杏子「逃げんな!!」ブンッ!

使い魔「!」ボカーン!

杏子「お前らこの街から一歩も出させねぇよ……ここであたしと遊んどけ」

杏子(つってもヤバいな……目が霞んできた……)

見滝原

ザーザー

まどか「すっごい雨だねー」

さやか「うん」

ほむら「天気が悪いと気も滅入るわね」

マミ「そこを魔女につけ込まれたりして」

ほむら「それにしては、今日はずいぶん爽やかな空気ね」

まどか「だね、まるで魔女とか使い魔が全部どこか行っちゃったみたい」

QB「本当にそうかもしれないよ」

マミ「あらキュゥべえ」

ほみら「……チッ」

マミ「どこかに行ってしまったってどういうこと?」

QB「そういう可能性もあるというだけさ、現在魔女の餌場に適した場所がすぐ近くにあるからね」

マミ「まさか……」

QB「もう佐倉杏子には会えないかもしれないねぇ」

さやか「……!」ガタッ

まどか「どういうこと!?」

QB「今から行っても間に合わないかもしれないけど、聞きたいかい?」

さやか「回りくどいこと言ってんじゃないわよ!! さっさと話しなさい!!」

杏子「ぜっ、ぜっ……はぁ……」ガクガク

杏子「お、親玉を倒さないと意味ねぇな」

魔女「……」

杏子「あのデカい奴がそうか……あいつさえ、あいつさえやれば……」フラフラ

杏子「ふぅー……よし! 一発勝負といくか!」

杏子「ふん……おりゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!」ダッ!

使い魔「ウジャウジャ」

杏子「邪魔だ!!」スパスパ

杏子「もらったぁーー!!」

魔女「ニヤニヤ」

少女「お姉ちゃーん」

杏子「なっ!?」

杏子(あたしが魔女を刺すより、あのガキに触手が届く……!)

杏子「ち、く、しょお!!」グィッ

少女「お姉ちゃん! お姉ちゃん! 助けて!」

杏子「わかってるよ!」バッ

少女「きゃ!!」

ドスドスドス!!

杏子「か、間一髪……だな」

少女「あ、ありがとう」

杏子「帰って待ってろって言っただろ……」ギュウ

少女「ごめんなさい……」

杏子「もうちょっとで済むから、待ってな」ナデナデ

少女「うん、でももう待てないから」

杏子「ん?」

少女「お姉ちゃん、死んで」

グサリ

杏子「え……?」ポタポタ

少女「きゃはははははははは!!」

使い魔「キャハハハハハハハ!!」

杏子(あぁ、なるほど、幻術か……あたしが幻術にかかるなんて、バカみてぇ……)

シュルシュル

杏子「うっ!!」カラン

杏子(ソウルジェムが……!)

魔女「ニヤニヤ」

杏子「バカ笑いすんなよ……そんなにあたしを嵌めて捕まえたのが嬉しいか」

ゾロゾロボコボコ

杏子「使い魔に木端連中まで寄ってきやがって……もう好きにしろよ」

魔女「アーン」

杏子「杏子様も年貢の納め時か……」

杏子(あーあ、まさかこんなとこで終わるなんてね)

杏子(いや、親父達が死んだ時点であたしの人生なんか終わってたんだ)

杏子(もう十分だろ、後はあいつらが魔女を倒してくれる、あたしはゆっくりさせてくれ)

杏子(あぁでも、もしもあたしが普通の人生を送ってたら、あいつらと普通に友達になってたのかな)

杏子(一緒に買い物行ったり、ご飯食べに行ったり、下らない話したり……)

杏子「マミ……まどか……ほむら」

さやか『約束するから』

杏子「まだ死にたくないよ……友達に、なりたい……さやか……」

魔女「アーン」

使い魔「ウジャウジャ」

杏子「さやか……さやかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

スパッ!!

さやか「言ったでしょ、呼んだら絶対に来るって……」ギュッ

杏子「さ……や……か……」

杏子「な、なんで」

さやか「いやぁ、大ピンチだって聞いたからさ」

杏子「そうじゃない! 何しに来たんだ! ここは結界のド真ん中だぞ!?」

さやか「それも並の魔女じゃない」

杏子「そうだよ! お前だって死ぬぞ!」

さやか「でも放っておいたら杏子が死んでた」

杏子「そんなの……」

さやか「そんなの、あたしが許さない」

杏子「……!」

さやか「あたしってほんとバカだけど……友達が死ぬのを見過ごすほどバカじゃないよ」

さやか「約束、したしね」

杏子「……ふぇっ」

杏子「ぐすっ……ひっく……ごめん……ごめんね……」

さやか「えええ!? なんで泣くの!? またあたしが泣かせたみたいじゃん!!」

杏子「うる……さい」

さやか「わけがわからないよ……」

使い魔「ウジャウジャ」

魔女「ムッキー」

さやか「ありゃ、邪魔して怒らせちゃった?」

杏子「そ、そうだ! 何匹か逃がした! あいつら追わないと!」

さやか「あぁ、それは心配無いよ」

杏子「えっ」

さやか「皆、来てるよ」

使い魔「プィーン」

マミ「そこっ!」バーン

魔女「キュイキュイ」

マミ「悪いけど、ここは通行止めなのよね……ティロ・フィナーレ!!」

魔女「キュイー!」

マミ「どこからでもかかって来なさい!!」

―――

まどか「やっ!!」

ほむら「無駄に数の多い……!」バンバン

魔女「ウギャー」

まどか「さやかちゃん、杏子ちゃんと合流できたかなぁ?」

ほむら「大丈夫でしょう、筋肉が千切れるより早く回復して走っていたもの」

まどか「私達も頑張らないとね!」

ほむら「えぇ」

杏子「三人とも……?」

さやか「当たり前でしょ」

杏子「……」

さやか「もう一回だけ言うよ、こないだはごめん、あたし無神経で考え足らずでバカだった」

さやか「杏子だって女の子なのに……本当にごめん!! 友達失格だよあたし!!」

さやか「でももし許してくれるなら……杏子の背中、あたしに守らせて」

杏子「……」

さやか「ダメ、かな」

杏子「……」

さやか「何か言ってよ」

杏子「…………へましたら、殺すよ」

さやか「……うん!!」

バッ!

杏子「いくよ、さやか! 背中は任せた!」

さやか「こっちもね!」

さやか「はぁっ!!」

杏子「おりゃあ!!」

さやか(不思議)

杏子(さやかが今、どう動いてるのか解る)

さやか(杏子がいつフォローしてほしいか解る)

使い魔「プーンプーン」

杏子「はっ!」

さやか「伏せて!」

杏子「解ってるって!」

さやか「たぁっ!!」

スッパーン

使い魔「プーンプーン!」

杏子「使い魔はほとんど始末したな」

さやか「後は魔女だけ!」

杏子「さーて、どうしたもんか」

さやか「頭まで駆け上がって叩っ切る」

杏子「お前、作戦とか無いのかよ」

さやか「じゃあ他に何かあるの?」

杏子「いや……賛成だ」

さやか「最初からそう言いなさいよ、素直じゃないわね」

杏子「うるせーよ、いくぞ」

さやか「うん!!」

杏子「触手に捕まんなよ……よーい、ドン!」

魔女「……!!」シュルルルル

さやか「遅い遅い!!」ダダダ

杏子「こんなもん振り払って進んでやる!!」ダダダ

さやか「だああああああああああああ!!」

杏子「もう少し……!」

さやか「斬りながら走るって疲れる……!」

杏子(あ……)クラッ

さやか「杏子!?」

杏子「血、血が足りない……みたい」ガクッ

魔女「ニヤニヤ」

杏子「あうっ!?」グイッ

さやか「くっ!」

杏子「気にすんな! さっさと魔女をやれ!」

さやか「そんなこと言ったって!」

杏子「二人ともやられるよりマシだろ!」

ミシミシ

杏子「ぐ……あっ!」

スパツ

さやか「へっへーん、さやかちゃんの剣は刃が飛ばせるんだよー」

杏子「バカ! 武器捨ててどうすんだよ!!」

さやか「あっ……ま、また出せば……」

魔女「……」シュルシュル

杏子「そんな暇ねぇ! 飛べ! さやか!」

さやか「えっ!? う、うん!!」バッ

杏子「あたしの槍……使え!!」ビュン!

魔女「!!」

さやか「丁度顔の前……」パシッ

さやか「もらったーーー!!」

ザックリ

魔女「ア、ア、ア」

さやか「杏子! 掴まって!」

杏子「……!!」

チュドーン!!

マミ「結界が晴れていく……」

まどか「終わったみたい、ですね」

ほむら「手間のかかる戦いだったわ、色々と」

マミ「そうね」クスクス

さやか「みんな~」

まどか「さやかちゃん!」

杏子「……」

マミ「お帰りなさい、二人とも」

さやか「いやー、危ないとこだったよ」

マミ「お疲れ様」

ほむら「帰ったらハーゲンダッツおごりね」

さやか「えっ」

まどか「私抹茶ー」

杏子「……あの」

マミ「ん?」

杏子「あ、あり、ありが」

杏子「……」

杏子「ありがとな」ニッコリ

さやか「……ぷっ」

杏子「なっ」

さやか「やっぱりあんたは笑ってる方が良いよ」

杏子「うるせぇな!!」

マミ「一件落着、かしら」

数日後

さやか「……」

まどか「またソウルジェム見てるの?」

さやか「うん」

ほむら「ソウルジェムに無駄な装飾をするのは勧めないわ」

さやか「うるさいなー」

まどか「でもこのリボン、可愛いよね」

さやか「うん……あいつも喜んでくれてるといいんだけど」

まどか「絶対喜んでるよ」

少女「パパー! あれ欲しいー!」

パパ「えっ、あれかい? すいません、それはどこで買ったか教えていただけますか?」

杏子「これかい? 綺麗だろ」

少女「うん! 綺麗な宝石! それに……リボン可愛い!」

杏子「だろー、でもな、これはどこにも売ってないんだよ」

少女「えー」

杏子「あたしの大事な友達がくれたんだ……だから、どこにも売ってない」

少女「そうなんだ」

杏子「おう、お前も友達は大事にしろよ」ナデナデ

少女「うん!」

杏子(ありがとな、さやか……大切にするよ、お揃いのリボン……)

終わり

どうしてこうなった……牙狼観て寝るんやな
保守と支援とあんあんありがとう、おやすみ

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