マミ「言ったでしょ!?これ以上魔法少女の勧誘をしないでっ!」(578)

ほむら「…」

ほむら「ハッ」

ほむら「また、戻ってきたのね…」

ほむら(もう何度繰り返したかわからない…)

ほむら(どうしてまどかを救えないの?)

ほむら(もう彼女が絶望して魔女となる姿も、死ぬ姿も見たくない…)

ほむら(もう、私一人ではどうしようもないのかしら…)

ほむら(でも誰も私の話を信じない。誰も魔女化という現実を受け止められない)

ほむら(弱気になっちゃ駄目。たとえ一人きりであっても、私はまどかを救う!)

~学校~

ほむら「暁美ほむらです。宜しくお願いします」

クラス一同「「ワッ」」

ほむら(はぁ…、もう何度目の挨拶かしらね)

まどか「(転校生だって!仲良くなりたいね)」ヒソヒソ

仁美「(綺麗な方ですわ)」

まどか「(いろいろお話したいなぁ)」

さやか「(うんうん、私達と合わせて4人揃えば姦しいって感じ?)」

まどか「(さやかちゃん、それ3人だよ…)」

ほむら(ああ…私の大好きなまどか…)

ほむら(今度こそ、今度こそあなたを救ってみせる)

ほむら(そのためには彼女を魔法少女にしてはいけない…)

ほむら(QB、いえ、インキュベーターを彼女に近づけない様にしなければ)

~放課後:デパート上階部~

ほむら「はっ」

QB「きゅっっ…」

ほむら「まだっ」

QB「き…」

ブシュッ

ほむら(くっ、CD屋に寄ろうとしたまどか達を引き止められなかった以上…)

ほむら(今ここでQBを叩き続けなければ、またまどかとこいつを引き合わせてしまう!)

サッッ

ほむら「!しまった(逃がした!?)」

ほむら(まずい、これではまた…)

QB「助けて…」

まどか「あなたなの?助けを呼んでたのは…」

ほむら(くっ)

ザッ

まどか「ほむらちゃん!?」

ほむら「そいつから…離れて!」

まどか「だ、駄目だよ、この子怪我してる」

ほむら(美樹さやかが消火器を放ってくる前に無理やりにでも…)

キィィィン

ほむら「!?(魔女の気配!?そんな、今まではもっと後のタイミングだったはず…)」

さやか「まどか、こっち!」

ほむら「!(しまった、魔女に気をとられて…)」

ほむら「…仕方ない、今度は巴マミと戦うことになっても、あの子達を連れ戻す!」

♪サールティーロイヤーリー

マミ「危なかったわね、でももう大丈夫!」

まどか・さやか「「!」」

ドドドドドド

まどか「す、すごい、変な生き物を一瞬で!」

さやか「あ、元の景色に戻った!」

QB「ありがとう、君達のおかげで助かったよ」

まどか・さやか「わっ、しゃべった!」

マミ「ふふ、自己紹介がまだだったわね」

マミ「私は巴マミ、あなた達と同じ見滝原中学の3年生よ」

マミ「そして、QBと契約した魔法少女よ」

まどか「魔法…」

さやか「少女?」

ほむら(…)

ザッ

まどか「!ほむらちゃん…」

さやか「あいつ、また…」

マミ「あら、あなたも魔法少女?」

ほむら「あなたには関係ない。そいつを引き渡して」

マミ「へえ、QBを攻撃したのはあなただったのね」

ほむら「だったら…?」

マミ「私のお友達をいじめるのは許せないわ」

マミ「お帰りいただけるかしら?」

ほむら(ここで帰ったら、また同じ轍をふむことになる…)

ほむら(こうなったら時間を止めて…)

マミ「でも、これ以上QBを攻撃しないというのなら、一緒にいてもらってもかまわないわ」

ほむら「?」

QB「僕、君達にお願いがあって来たんだ!」

まどか・さやか「お願い?」

ほむら「!」

ほむら(契約を迫る気!?)

QB「僕と契約して、魔法…」

ほむら(させないっ)

マミ「QB!」

まどか・さやか(ビクッ)

QB「…」

マミ「言ったでしょ!?これ以上魔法少女の勧誘をしないでっ!」

ほむら「…え?」

QB「…わかったよ、マミ」

マミ「…、本当に?」

QB「うん(彼女達が自発的に契約を願えば別だけどね)」

マミ「わかったわ。えっと、鹿目さんと美樹さんだっけ?驚かせてごめんなさいね」

まどか「いえ」

さやか「全然OKですよ!」

ほむら(巴マミが、まどか達を魔法少女にすることを拒んた!?)

マミ「せっかくだから、うちでお茶でもいかがかしら」

まどか「え?そんな、悪いです」

マミ「一応さっきの空間のこととか、今後の注意についてお話しておきたいと思って」

さやか「まださっきみたいなのがいるんですか!?」

マミ「ええ、詳しくはうちでお話しするわ」

まどか「それじゃぁ…御呼ばれしようかな?」

さやか「そうだね」

マミ「ふふ、いらっしゃい」

ほむら「…(一体何を企んでいるの!?)」

マミ「あなたも一緒に来る?えっと…」

ほむら「ほむら、暁美ほむらよ」

マミ「うん、暁美さん。ぜひともあなたのお話を聞きたいわ」

ほむら(とりあえず敵意は無いようね)

ほむら(QBを監視する意味でも行っておいたほうがよさそうだわ)

ほむら「それじゃ、遠慮なく」

マミ「ええ(にっこり)」

まどか「…(ほむらちゃん…)」

~マミハウス~

マミ「…そういうことだから、ひとけの少ない所とか路地裏、廃ビルなどにはなるべく近づかないでね」

まどか・さやか「「はい」」

マミ「あと…」

スッ

ほむら「!(グリーフシード…)」

まどか「えっと、それは…」

さやか「何かのアクセサリですか?」

マミ「ううん、これはさっきの空間の敵が近くにいるって警告する印よ」

マミ「もしこれを見かけたら絶対に近づかないで」

マミ「そして、私に連絡して欲しいの」

まどか・さやか「「わかりました!」」

マミ「ありがとう。遅くなってきたから、そろそろ帰ったほうがいいわね」

まどか「はいっ、ありがとうございました」

さやぁ「お茶とケーキ、おいしかったです!」

マミ「ふふ、ありがとう」

ほむら(魔法少女のことも、魔女のこともごまかした…)

ほむら(こちらの世界になるべく関わらないようにするための配慮ね)

まどか「ほむらちゃんはどうするの?」

ほむら「私は、もう少し聞きたいことがあるから」

まどか「そっか、それじゃ、ばいばいっ」

さやか「もうQBいじめるなよ!」

バタン

ほむら「…」

マミ「さて、暁美さん。あなたに一つ提案があるの」

ほむら「何かしら?」

マミ「あなた、私と組んでみない?」

ほむら「…何を話すかと思えば。お断りするわ」

ほむら「私は一人で十分戦える」

マミ「…そう、やっぱりあなたも同じなのね」

ほむら「?」

スッ

ほむら「(電話番号?)これは…?」

マミ「私の携帯の番号よ、何かあったら連絡して欲しいの」

ほむら「あなたに連絡することなんて無いわ」

マミ「危険な魔女がいたり、グリーフシードが足りなくなった時でいいの」

マミ「はい、お近づきの印」

ほむら「グリーフシード…、これは受け取れないわ。あなたもストックは必要のはず」

マミ「大丈夫。私はまだ十分数があるし、魔力の節約には自信があるんだから!」

マミ「他の地区の魔法少女の子たちにもあげてるんだから、受け取って?」

ほむら(どういうこと?魔法少女にとって生命線であるグリーフシードをばら撒くなんて…)

ほむら「あなた、何を考えてるの?」

マミ「え?」

ほむら「あなたのしていることは、魔法少女にとって一番ありえないことよ」

マミ「…そんなことないわ、暁美さん」

マミ「他の魔法少女の子たちが頑張ってくれれば、魔女の数だって減るはず」

マミ「魔女殲滅の一つの戦略よ」

ほむら「それなら何故新たな魔法少女の勧誘を止めたの?」

マミ「それは…、ほら、これ以上増えちゃったら、グリーフシードの数が足りなくなっちゃうじゃない」

ほむら「…」

ほむら(わからないわ…、今までの巴マミとは少し違う…)

ほむら(でも、これ以上のQBの勧誘行動を制限してもらえるなら…)

ほむら(まどかが魔法少女になることは無いはず!)

ほむら「わかったわ」

マミ「!」ぱぁぁぁ

ほむら「何か用があったときには連絡するわ」

マミ「ええ、よろしくね、暁美さん」

~1週間後:学校~

キーンコーンカーンコーン

さやか「はー、やっと授業終わったー」

まどか「さやかちゃんずっと寝てたよね」

さやか「そ、そんなことないぞー」

ほむら「よだれ…(ボソッ)」

さやか「はっ」

ぐしぐし

さやか「つ、ついてないじゃないか!」

まどか「やっぱり寝てたんだよね」

仁美「くすくす」

さやか「くっそ~」

仁美「すっかり仲良くなりましたこと」

ほむら「そんなことはないわ(キリッ)」

さやか「全力で否定するなよ…傷つくぞ!」

ほむら(美樹さやかとこんなに話をする日が来るとは)

ほむら(まどかとの会話も増えたし、これはいい傾向ね)

さやか「さてと~」

ゴソゴソ

まどか「あ、それCD?また上条君?」

さやか「へへへー ///」

さやか「この前さ、恭介のところにこの人のCD持ってったら、すごく感動したみたいで」

さやか「他の曲も聞きたいって言ってたから」

まどか「そうなんだー」

仁美「…」

ほむら「?」

さやか「手を怪我してからずっと落ち込んでたけど、少し前から元気取り戻してきたみたいだし」

まどか「さやかちゃんのおかげだね!毎日お見舞いに行ったかいがあったよね!」

さやか「うん!」

仁美「そうですわね…」

さやか「最近恭介の方から電話もくれるようになってさ」

まどか「きゃーっ、さやかちゃんってば ///」

さやか「こらっ、声大きいって ///」

仁美「…(ハァッ)」

ほむら(どうしたのかしら、志筑仁美の様子が変ね)

~帰り道~

仁美(美樹さんうれしそう)

仁美(そうですわよね、想いを寄せる人が振り向いてくれてるのですから)

仁美(私だって、上条君のことお慕いしているのに…)

仁美(彼女達の間に入るのは難しそう…)

仁美「私も、上条君に振り向いてもらいたいですわ…(ボソッ)」

???「それが君の望みかい?」

仁美「!?だ、誰ですか!?」

スッ

QB「驚かなくてもいい、僕の名前はQB」

仁美「!?(猫がしゃべった!?)」

QB「君には資格があるようだ」

仁美「し、資格?」

QB「僕と契約して、魔法少女になって欲しいんだ」

QB「そうしたら、なんでも一つ願い事を叶えてあげる!」

仁美「!な、何でもですか!?」

QB「そうだよ、どんな願いだってかまわない」

仁美(この子の言っていることは本当なのでしょうか…)

仁美(願い事で上条君に好きになってもらうのは、卑怯だとは思いますけれど…)

仁美(まさか、本当に叶うなんてことあるわけないですわ)

仁美(それでしたら、ちょっとでも気が楽になる方が…)

仁美「QBさん、あなたにお願いがあります」

QB「言ってごらん、志筑仁美」(ニヤリ)

やめろ!!仁美っちゃん!!

~見滝原市:公園内~

ほむら「たしかこのあたりに…」

ほむら「あった、魔女の結界…」

ドンドンドン!

ほむら(もう誰かが戦ってる…まさか、巴マミ!?)

マミ「くっ、これなら!」

ドン!

マミ「外した!?」

ほむら「危ない!」

カシャ

ほむら「停止解除」

カシャ

マミ「???何が起こったの!?」

ほむら「たいした魔女ではなさそうね」

マミ(暁美さん!?って、あれは機関銃!?)

ほむら「消えなさい」

ズドドドドドドドドド

魔女「ッッッッ……」

ほむら「ふぅ」

マミ「すごい、あっという間に倒しちゃった」

ほむら「巴マミ、何なの?この様は」

マミ「え?」

ほむら「魔女相手にマスケット銃のみで対抗するなんて」

ほむら「あなたにはもっと強力な必殺技があるでしょう!」

マミ「ごめんなさい…、ちょっと魔力を節約しなきゃいけなかったの」

ほむら「グリーフシードがなくなったの?」

マミ「ううん、そういうわけではないんだけど」

♪Tirotirotiro Tirotirotiro

ほむら(巴マミの携帯?)

マミ「はい、巴です。ああ、はい、ええ、すぐに持っていくわ」

ほむら「?誰からなの」

マミ「他の街の魔法少女の子たちよ。今からグリーフシードを配りに行くの」

ほむら「!?」

ガシッ

マミ「きゃっ、暁美さん、痛い」

ほむら「何を考えているの!そんな余分なことするくらいなら自分に使いなさい!」

マミ「私は私の考えで動いているの。暁美さんには関係ないわ」

ほむら「その考えが何かはわからないけど、あなたのやっていることは自殺行為だわ」

マミ「…心配してくれてるのね」

ほむら「当たり前でしょう、同じ魔法少女なのだから」

ほむら「脅されているのなら私に言って。そいつらを黙らせてあげるから」

マミ「ありがとう、でもこれは私の意志でやってることだから」

ほむら「っ!」

ほむら(この人は一体何を考えているの…!?)

ほむら(でもこのままではいずれ巴マミは魔女となるか死を迎える)

ほむら(なんとかして理由を突き止めて、巴マミの行動を止めなければ)

~4日後~

ほむら(とはいったものの、なかなか尻尾をつかませないわね…)

ほむら(なんとか他地区の魔法少女達と接触できればいいのだけれど)

まどか「あの…、ほむらちゃん…」

ほむら「?何かしら?」

ほむら(元気が無いわね…)

まどか「あのね、今日学校終わったら一緒にさやかちゃんの家に行って欲しいんだ」

ほむら「…(やっぱりね)」

ほむら(美樹さやか、どういうわけか3日も続けて休んでいる)

ほむら(事故にあったわけでもないようだし、一体?)

ほむら「ええ、今日は時間もあるし、大丈夫よ」

まどか「ほむらちゃん…、ありがとう」

ほむら(まどかを悲しませるなんて…美樹さやか、やはりあなたとは仲良くなれないわ)

ほむら「志筑さんは?」

まどか「うん、仁美ちゃんはお休みだって、先生言ってたから…」

ほむら「なら、二人で行きましょうか」

まどか「うん!」

~さやほーむ~

ピンポーン

まどか「ごめんください」

ガチャ

さや母「あら、鹿目さん。と、あと…」

ほむら「暁美ほむらです。さやかさんのお見舞いに来ました」

さや母「ごめんなさいね、わざわざ」

まどか「さやかちゃん、何かあったんですか?」

さや母「それがね、詳しく話してくれないの」

さや母「3日前に上条君のお見舞いから帰って、それっきり」

さや母「ほとんど何も食べてないみたいだし、心配で…」

ほむら「…」

まどか「私、さやかちゃんに聞いてみます!」

さや母「こういうとき、お友達でないと話せないこともあるから」

さや母「お願いするわ」

まどか「はい」

ほむら「任せてください」

コンコン

まどか「さやかちゃん、まどかだよ。部屋、入るね」

ギィィ

まどか「さやかちゃ…っ!」

ほむら(目の下、すごいくま。それにまぶたの腫れが酷い)

ほむら(ずっと泣き続けてたようね)

まどか「さやかちゃん!さやかちゃん!?一体どうしたの!?」

さやか「…まど…か?」

まどか「うん!そうだよ!」

ほむら「美樹さん、何があったのか話してくれないかしら」

さやか「ほむら…」

さやか「わたし…3日前、病院に行ったんだ…」

さやか「恭介が、大好きだって、言ってくれたCD持って…」

さやか「昨日、まで、あんなに喜んでたから…今日も、喜んで、くれ、るって…っく」

さやか「そしたら…そしたら…」

まどか「さやかちゃん!?」

さやか「ふぁああああああああん」

まどか「さやかちゃん!!?」

ほむら(この泣き方、尋常じゃない…)

さやか「うあ、うあああ…あああああああ」

ほむら「落ち着いて、美樹さん。お願いだから」

ギュッ

さやか「うううぅぅぅぅぅ…」

まどか「さやか…ちゃん…」

ほむら(落ち着いてしゃべれるまで胸を貸してあげる)

ほむら(だからこれ以上泣かないで…)

まどか「さやかちゃん、落ち着いた?」

さやか「ごめん、もう大丈夫だから…」

さやか「みっともないところ見せちゃったね」

ほむら「何があったか、話してもらえないかしら」

ほむら「その方があなたも楽になれると思うの」

さやか「うん…」

さやか「3日前ね、学校帰りに病院に行ったんだ」

さやか「恭介が気に入ってくれたCDを持って」

さやか「いつものように恭介のいる部屋に向かって…」

~3日前:回想~

さやか(恭介びっくりするかな?結構レア物奮発して買っちゃったから)

さやか(また喜んでくれると良いな!)

ガラガラ

さやか「恭す…」

上条「仁美!?」

さやか「…え?」

上条「何だ、さやかか」

さやか(!?)

さやか「ど、どうしたの恭介」

さやか「仁美がどうかしたの?」

上条「仁美じゃないのなら帰ってくれ」

さやか(ムッ)

さやか「だから、何でそこで仁美の名前が出てくるのさ」

さやか「しかも、その…名前を呼び捨てで」

上条「僕が好きな人が志筑仁美だからさ」

バサバサッ

さやか「…え?」

さやか(嘘…)

さやか「そ…そっかぁ…、な、なぁんだ、仁美が好きだったのかぁ」

さやか「仁美ったら何も言わないから~、そっかぁ、そうなんだ…」

さやか(そんなこと初めて…)

上条「なぁ、さやか、もういいだろ?これ以上僕を苦しめないでくれ」

さやか「苦しめるって…私は別に何も…」

上条「未練がましくこんなCD買ってきてさ。さやかは僕をいじめてるの?」

さやか「私、そんなつもりじゃ…」

さやか「ほら、恭介だって…この人の曲好きだって言ってたじゃん!」

上条「…そんなこと、言ったかい?」

さやか「え…」

上条「もう僕は、演奏なんてできやしないんだ・・・」

上条「こんな目障りなもの二度と持ってこないでくれ!」

バリンッ

さやか「っ!?」

さやか「仁美のことが好きなのは…っく、別にかまわないけど…っく」

さやか「何もここまでしなくて良いじゃない!」

上条「…はぁ、早く来ないかなぁ、仁美…」

さやか「っ!」

ガラガラッ ビシャッ

~現在さやほーむ~

まどか「上条君ひどいっ…」

さやか「そりゃあさ、仁美は美人だしおしとやかだからさ。あいつが好きになっても変じゃないけどさ」

さやか「あんな風に突き放すことないのに…」

ほむら「…」

ほむら(おかしいわね、私の知る限り上条恭介は、そこまで美樹さやかのことを嫌うことは無いはず)

ほむら(しかもいきなり志筑仁美の名前が出てきたと見える)

ほむら(まさか…)

さやか「ごめんね、二人とも。話したら何かすっきりした」

まどか「私にできることがあったら何でもするから!」

さやか「大丈夫だって。明日からはさ、ちゃんと学校行くから」

まどか「うん、わかった。明日はお迎えに行くね」

さやか「おう!それでこそ私の嫁だぁ」

グリグリ

まどか「きゃっ、さやかちゃんってば!」

ほむら「それじゃぁ、さようなら」

まどか「ばいばい、さやかちゃん!」

さやか「うん、ありがとね」

ほむら「それじゃ、私は用事があるから」

まどか「ごめんね?ほむらちゃん。無理に付き合ってもらって」

ほむら「いいえ、あなたのお願いなら何だって聞いてあげるわ」

まどか「?」

まどか「っと、それじゃあ、また明日ね。ほむらちゃん」

ほむら「ええ、さよなら、鹿目さん」

ほむら(さて、志筑仁美のことは気になるけど)

ほむら(巴マミのことも調べなければならないし)

ほむら(まどかを救う前にやることが多すぎる…)

ほむら(せっかくうまくいけそうだったのに、また歯車が狂ってきてしまったわ…)

♪♪♪

ほむら(電話?)

ほむら「もしもし」

マミ『暁美さん?今時間大丈夫かしら』

ほむら「?特に問題はないけれど」

マミ『良かった、あなたに紹介しておきたい子がいてね、今から私の家に来て欲しいのだけど』

ほむら「わかったわ」

ピッ

ほむら(紹介しておきたい子?魔法少女かしら…)

ほむら(一度会っておく必要がありそうね)

~マミハウス~

マミ「こちら、志筑仁美さん。私たちと同じ魔法少女よ」

ほむら「…!」

仁美「あ、暁美さん!?」

マミ「あら、二人とも知り合いだったかしら」

ほむら「どういうこと?新たな魔法少女はこれ以上勧誘しないといっていたはず」

仁美「それは…」

マミ「志筑さんね、この間事故にあったみたいで。生死にかかわる怪我を負ったところを、QBに助けられたみたいなの」

仁美「そ、そうなんですっ」

ほむら「…」

 /i /{/'⌒'}  }}Y/ / ,r-、ヽ,  /

 ノ、|、ヾ_,,ノ  ノ ノ{ ヾ {^')) }フ/ /          _/
   \ヽ、    彡'`、、  'ー' ノ //",,゙ """ /    ヽ 
 ヽ-、ミ‐-、、 、,r=‐'¬ー=、、,-‐'_ ヽ、    /ノ     / 『味』 ウ・  こ
 ミ/   ~          ̄ノ /\   /彡 ""  |/   だ  ソ・  の
  /   ,'    u ∪   ! ヽ  | i、゙ー''"彡     /|   ぜ   を・  味
  、、∪ / ノ /  _,,,...-‐‐ニ=,ノ,,/ ヽ、,,_ \   ,イ / |    :  つ・  は
  ニ、=!, l_. レr=-ニ二、,,,.-'"    ー、==-ヽ'"/ / ヽ   :  い・
  、(・,)>ノ⌒  ∠,(・,)_く  ゙`   ヽ゚ノ`ー=、_ /// ∠   :  て・
    ̄/""゙   ヽ ̄ ̄  \ヽ      ̄ ̄ //   ノ     る・
  u 〈  、     u   (ヽ          //     ̄ノ
    ヽ -'   lj     >、       //  /    ̄ヽ、
    /ヽー‐ 、      /'"´ 'i     //  /       ∨ヽ/
    ^゙"⌒ヾ、     ,i|  ,"__}    //  /  /
    ー-  -      ヽ_人`'′ //  /  /
               / i'゙' /-─‐‐''/_/_
   、         _/-‐ヽ、___,,,, -‐‐  ̄
   ー-、、,,__,-‐'//ノゝノ ノ  ヽ\

マミ「私と同じ境遇だったから、気になってね。一緒に戦ってくれないかしらって誘ったの」

ほむら「…そう」

仁美「あ、暁美さんも、魔法少女だったのですね」

ほむら「ええ、そうよ」

仁美「…」

ほむら「…」

マミ(く、空気が重いわね…)

♪Tirotirotiro Tirotirotiro

マミ「はいはい、巴です!あ、うん、わかったわ」

ほむら「…また例の?」

マミ「ええ、そうよ。ちょっと隣街まで行ってくるわ」

仁美「お気をつけて」

マミ「ええ、ゆっくりしていって頂戴ね(ホッ)」

バタン

ほむら「…志筑さん」

仁美「な、何でしょう」

ほむら「あなた、嘘をついているわね」

仁美「!そ、そんなことないですわ」

ほむら「上条恭介」

仁美(ビクッ)

ほむら「あなたが契約した理由はそこね」

仁美「…」

ほむら「どういう願いをしたのかわからないけど、あなたのせいで上条恭介はおかしくなっている」

仁美「そ、そんなことないですわ!」

ほむら「彼が美樹さんにどんなことをしたのか知っていて?」

仁美「…え?上条君が、さやかさんに何を?」

ほむら「お見舞いに来た美樹さんに、罵声を浴びせた挙句追い払ったそうよ」

ほむら「そのせいで美樹さんは3日間も学校を休んだわ」

仁美「!?そんな…私は、私はただ、『上条君が私に振り向いてくれますように』とお願いしただけですのに…」

仁美「それに、本当に願い事が叶うなんて思わなかったの…」

ほむら「彼は他の病院の人にも当り散らしているそうよ」

仁美「そ、そんな…」

ガクガク

ほむら(っ!つい責めてしまったけど、これ以上は志筑仁美が魔女化する可能性がある)

ほむら「済んでしまったことは仕方ないわ」

ほむら「他の人に対してももう少しまともな対応をするよう、あなたから伝えておいて」

仁美「はい、わかりました…」

仁美「すみません、これで失礼させていただきます…」

ほむら「ええ、さようなら」

ほむら(まさか志筑仁美が魔法少女になるなんて…イレギュラーにもほどがあるわ)

ほむら(このままだと、美樹さやかが上条恭介のために契約をするかもしれない)

ほむら(QBのやつ、まさかそこまで見込んで!?)

ほむら(そうなってしまえば、彼女は十中八九魔女化してしまう)

ほむら(巴マミにだけは、魔法少女の魔女化という真実を見せてはいけない…!)

~翌日~

さやか「おーっす、ほむら」

ほむら「おはよう、美樹さん」

まどか「さやかちゃん…もう平気なの?」

さやか「うん、迷惑かけちゃったね。ごめん」

まどか「ううん、さやかちゃんが元気になってくれたらそれで十分だよ」

ほむら(とりあえず美樹さやかの様子は落ち着い…)

ガラッ

中沢「おい、上条じゃないか!もう退院しても大丈夫なのか!?」

上条「ああ、まだ車椅子だけど、なんとか学校に来たかったからね」

中沢「そうか…って、押してるの志筑さん!?え、どういうこと?」

ざわざわ

男子A「志筑さんと上条が!?」

女子A「上条君と付き合ってるのって、てっきり美樹さんかと思ってたのに」

さやか「…っ」

まどか「さやかちゃん…」

ほむら(昨日の今日で…、一体何を考えているの?)

キュッキュッ

上条「やぁ、さやか」

さやか「!」

上条「この前は悪かったよ」

さやか「!?え??」

上条「あんなふうに怒鳴ったりして。どうかしていた様だ」

さやか「恭介…。ううん、いいの、恭介が一番大変だって知ってるから」

上条「そうか、許してくれるのかい。よかった」

上条「仁美がさ、さやかが許してくれるまで、もう口を利いてくれないって言うからさ」

さやか「…え?」

上条「何とか許してもらおうと思って」

上条「いやぁ、土下座だって何だってする覚悟があったんだよ」

さやか「……」

さやか「…っ 馬鹿!!!」

ダッ

まどか「さやかちゃん!」

上条「?ひょっとしてまだ許してもらえて…」

まどか「最低だよ!上条君!」

ダッ

上条「?」

仁美「…っ」

ほむら(願いによる上条恭介の性格改変が酷い…、まるで志筑仁美以外を全て拒絶している様…)

ほむら(QBのやつ、志筑仁美の願い事を改悪した形で叶えたのね…、美樹さやかが契約するきっかけを作るためにっ)

仁美「あの…、暁美さん…」

ほむら「あなたは心配しなくてもいいわ。美樹さやかのことはこちらで何とかする」

ほむら「それよりも、あなたは上条君のことをお願い」

仁美「…(コクッ)」

そんな修羅場二秒で切り返してくださいよ

~屋上~

さやか「ははは…終わっちゃった…」

まどか「さやかちゃん…」

まどか「上条君、何か変だよ…。あんなのいつもの上条君じゃない!きっと何かが…」

さやか「うん…、でももういいんだ、まどか」

さやか「もう、いいから… っく」

まどか(さやかちゃん…)

さやか「何かもうどうでも良くなってきちゃった。私、帰るわ」

まどか「待って、さやかちゃ…」

ほむら「まちなさい、美樹さん」

さやか「ほむら…、あんたにも迷惑かけたね。ごめん。それじゃ…」

ほむら「…」

ぎゅっ

さやか「!?? ほっほむらっ!? ///」

ほむら「どうか命を投げ出したり、甘い言葉に誘われて流されたりしないで」

ほむら「あなたがいなくなったら悲しむ人たちがいるということを、忘れないで」

さやか「…う、うん ///」

まどか「ほむらちゃん」

ぎゅっ

まどか「大丈夫、私もいるから。ほむらちゃんだっているから…」

さやか「うん、ありがとう。ありがとう、二人とも」

ほむら(早くもとの美樹さやかに戻って…)

ほむら(そして)


ほむら(どうかこれ以上、まどかを悲しませることはしないで…)

~放課後~

まどか「それじゃあ、私はさやかちゃんと一緒に帰るけど、ほむらちゃんは…」

ほむら「ごめんなさい、私、隣街に用事があって」

さやか「そっか。それじゃあ」

ほむら「さようなら」

さやか「あ、えっとさ…」

ほむら「?」

さやか「今日は…その…ありがとう!」

ずき

ほむら「…ええ、どういたしまして」

まどか「さやかちゃんまっ赤っ赤~」

さやか「うっ、うるさ~い! ///// 」

ほむら「…」

ほむら(ごめんなさい…)

ほむら(そんなふうに好意のまなざしを向けてもらえる資格なんて、私にはない…)

~隣町~

ほむら(このあたりね、巴マミがよく訪れるという場所は)

ほむら(…あれは!?)

少女A「それにしてもさー、楽できて良いよねー」

少女B「そうそう、わざわざ魔女狩しなくてもグリーフシードゲットできるわけだしー」

少女C「願い事叶えてもらって、魔法の力使い放題!ノーリスハイリターンだからねー」

ハハハハハ

ほむら(この子達はもしや…)

少女A「ん?何?私らのことじろじろと見て」

ほむら「先ほどの話、もっとよく聞かせて欲しいわ」

少女B「うわ、こいつ盗み聞きしてたよ。てか、その格好、あんたも魔法少女?」

ほむら「ええ、そうよ」

少女C「いいんじゃない?あの人いくらでもグリーフシードくれるわけだし」

ほむら「あの人って?」

少女A「知らないの?有名だよ。『電話一本グリーフシード即日配達!デリバリー巴マミ!』ってさ」

ほむら(…やっぱり)

少女B「なんかさ、一度一緒に戦っただけで私らのことすごく気に入ったみたいでさ」

少女C「そうそう、これからも一緒に戦ってね(きらきら)だってさ」

少女A「ほんと。電話したらいつでもグリーフシード持ってきてくれるからさ」

少女B「こっち来たついでに魔女も倒してってくれるし」

少女C「私たちほとんど魔女退治しなくて良いよねー」

ほむら「…、あなた達、本当にそれでいいと思ってるの?」

少女A「向こうが勝手にくれてるわけだし、こちらがわざわざ協力する義理はないんじゃない?」

少女B「そうそう、大体、わざわざ魔女なんてリスクの高いやつ相手にする必要なんてないし」

ほむら「…そう、あなた達とはとても話し合いになりそうにないわね」

ほむら「早く巴マミとの縁を切りなさい」

少女C「何、こいつ。独り占めでもしようっていうの?」

少女A「全然魔力が感じられないひよっこの癖に、良くそんなこと言えるわね」

少女B「いっちょ、先輩達が指導してあげよっか~?」

くすくす

ほむら「…」

カシャ


カシャ

少女A「そんじゃ私らも変身して…!?そ、ソウルジェムがない!?」

少女B「わっ私も!?」

少女C「なんで!?」

ほむら「それじゃ、私は忙しいから、ゆっくりと探すと良いわ」

少女A「こ、こいつ何かしやがった!」

少女B「こ、困ったときの巴マミ…て、携帯も壊れてる!?」

少女C「は、早く探そう!?QBのやつが大切な物だって言ってたし!」

ほむら(これでしばらくはあの子達からの呼び出しは無いわね)

ほむら(もう一度、巴マミに忠告しておかないと)

~見滝原市内~

仁美「…」

仁美「はぁっ…」

仁美「せっかく上条君と親しい仲になれましたというのに」

仁美「さやかさんのことを考えると…」

仁美「はぁ…」

仁美「どうしてこんなことになったのでしょうか…」

???『ひょっとして上条君がおかしくなったの、志筑さんのせいじゃない?』

仁美「!?」

キィィィン

仁美「こ、これは魔女の結界!?」

仁美「と、巴さんに連絡を…」

「ただ今おかけに鳴った電話は、電波の届かない場所にあるか、電源が入っていないため…」

仁美「っ…、私一人で何とかしませんと…」

魔女の使い魔『志筑さん、何か上条君の弱み握ってるんじゃない~?』

仁美「!?わ、私はそんなっ…」

魔女の使い魔『もしかしたら相当な色仕掛けで迫ったのかもね~』

仁美「そ、そんなこと…、そんなこと…」

魔女の使い魔『美樹さんずっと看病してたのに、あんなふうに追い払うだなんてかわいそう』

仁美「あんな風になるなんて…思ってなかったんです…っっく」

ズズズズ

魔女の使い魔『なんか志筑さん、ちょっと綺麗でお嬢様だからって、いい気になっているんじゃないの?』

仁美「…っ、やめてください…」

魔女の使い魔『仁美ちゃん…、何か言ってよ…』

仁美「…やめて…」

ズズ

魔女『仁美、もう話しかけないで』


仁美「もう…やめて」



パリィィィィン



ほむら(思ったより時間がかかってしまったわ)

ほむら(でも巴マミのほうは何とかなりそうね。あとは美樹さやかを…)

キィィィン

ほむら「!魔女の結界!?」

ほむら「こんなところで…、まぁいいわ、魔女は全て倒す、この私の手で!」

魔女の使い魔『暁美さんって何か暗いよね~』

ほむら「!(これは…?)」

魔女の使い魔『容姿端麗成績優秀スポーツ万能だってさ。なんかすっごく生意気よね』

ほむら(精神攻撃の類ね。あいにく、私にはその様な攻撃効かないわよ…)

魔女の使い魔『ほむらちゃん助けてよ…』

ほむら「っ!?」

魔女の使い魔『ほむらちゃん酷いっ』

ほむら「…るな…」

魔女『ほむらちゃんなんて大っ嫌い!』

ほむら「お前がまどかを語るなぁぁっ!」

ドドドドドドドドドド

魔女「ッッッ!!!!」

ほむら「はぁっ、はぁっ」

ほむら「くっ、この程度のことで、気落ちしてちゃ駄目…」

ほむら「気分が悪いわ…早く帰って…」

ほむら「結界が解けない!?確かに私は魔女を倒したはず…」

マミ「暁美さん危ない!」

ほむら「!?なっ!??」

ほむら(もう1体…別の魔女!??)

マミ「大丈夫!?暁美さん!」

ほむら「ええ、おかげさまで」

ほむら「でも、魔女の結界の中に2体も違う魔女がいるなんて、聞いたことが無いわ」

マミ「2体?この魔女だけじゃなかったの!?」

ほむら(巴マミは最初の魔女は見ていなかったのか)

ほむら(ある意味幸いね)

マミ「とにかく、あの魔女を倒せばいいのね」

ほむら「ええ、あなたは下がって…」

マミ「いいえ、これは私の役目」

ほむら「…?」

マミ「ごめんなさい」

マミ「今、あなたを解放します」

マミ「ティロ・フィナーレ!」

魔女「……ッッ」

ヒュウウウウ

ほむら「…やっと大技を出したわね。他人にグリーフシードを配る余裕があるならまず自分に…」

マミ「…」

ほむら「巴マミ…?」



???『ありがとう…、ごめんなさい……』

ほむら「!?今の声は…志筑仁美!?」

マミ「…やっぱり、この魔力の波長、志筑さんだったのね…」

マミ「ごめんなさい…、もっと早くに気づいて、あなたのところに来ていれば…」

マミ「ごめんなさい、ごめんなさい…」ぽろぽろ

ほむら「どういうこと?何故志筑仁美の声が…」

マミ「…」

ほむら「まさか…さっきの魔女が志筑仁美なの…?っあ」

ほむら(まずい、魔女化のことを知ったら彼女は…)

ほむら(でも、精神を病んでいる様子は無い…?まさか…)

マミ「ごめんなさい、暁美さん。私、あなたに隠し事をしていたわ」

ほむら「魔法少女は…魔女になる、ということ…?」

マミ「…(コクッ)」

ほむら「そん…な…」

ほむら(巴マミはいつその事を!?それよりも何故真実を知ってもなお、正気でいられるの!?)

マミ「もう一度、あなたとゆっくりお話がしたいわ」

マミ「私の家、来てくれるかしら?」

ほむら「…(こく)」

~マミハウス~

マミ「どうぞ」

ほむら「ありがとう、いただくわ」

ほむら「…」

マミ「…」

ほむら「…」

マミ「最初にね、このことを知ったのは○年前なの」

マミ「そして、私は初めて、魔女となった魔法少女に手をかけてしまったの」

マミ「佐倉さんを…殺してしまったの…」

ほむら「!?(さ、佐倉杏子!?)」

ほむら(何故このループ上で杏子の魔力が感じられなかったのか、疑問に思ってたけど)

ほむら(まさか、魔女化していたなんて…)

あんこちゃぁぁぁぁん!!

マミ「佐倉さんはね、お父様が神父で、人々に教えを説いていたの」

マミ「ただ、新しい信仰を説いたことで、人々から見放され、信者もいなくなってしまった」

ほむら「…」

マミ「佐倉さんはね、お父さんが、お父さんの教えが大好きだったから」

マミ「QBと契約してお父さんの説教に、信仰に耳を傾けて欲しいとお願いしたの」

マミ「魔法少女になりたての佐倉さんは、魔女相手にとても苦戦してたわ」

マミ「そんな時ね、彼女と私は出会ったの」

ほむら(私が今までに聞いている話と、特に違いは無いわね…)

マミ「それから一緒に魔女退治をするようになったり、一緒に遊んだり」

マミ「佐倉さんの家にご招待されたこともあったわ」

マミ「でもね、ある日を境に佐倉さんは明るさを失った」

マミ「次第に私との距離をとるようになっていったの」

ほむら「…」

マミ「あとから聞いた話なんだけどね、願い事の件が佐倉さんのお父様にばれたせいで、佐倉さん酷い扱いをされたみたいで…」

マミ「でも当時の私はそんな事情に気づかなかった…。あんなに一緒だったのに…」

マミ「それから数日後、私はもう一度佐倉さんを問いただすために教会近くまでやってきたの」

マミ「そこではじめて異常に気がついた…魔女の気配にね」

マミ「私は戦ったわ。今の状態の佐倉さんではきっと戦えないだろうからって」

マミ「幾重にも分身して攻撃を仕掛ける魔女だった…」

マミ「思えばどうしてそこで気がつかなかったのかと、今でも後悔してる」

ほむら(佐倉杏子の魔術の特性は占い・幻術、たしか、ロッソ・ファンタズマという分身技を持っていたわね…)

マミ「やっとの思いで倒した時、私はその声を聴いたの」

マミ「佐倉さんの『マミさん、ごめんなさい、ありがとう』って声を」

ほむら「魔女の消失時に声が聞こえるなんて、聞いた事が無いわ」

マミ「私もね、その時までそんなことが一度も無かったから、何が起きたのかわからなかったわ」

マミ「でもね、近くに佐倉さんの体とソウルジェムではない異物が落ちていた」

ほむら「グリーフシード…」

マミ「そう。十字を模した形のそれを見たとき、私は胸騒ぎがした」

マミ「佐倉さんの近くのどこを探してもソウルジェムは見つからなかった」

マミ「だから、QBに問いただしたの。佐倉さんは別の魔女に倒されてしまって、ソウルジェムを破壊されたのか、って」

マミ「でもQBの口からは一番聞きたくない言葉を告げられたわ」

マミ「『あれは紛れも無く、杏子が魔女化した存在だ』と」

ほむら「…」

マミ「私はそれを聞いて、気がおかしくなっていたわ」

マミ「多分、ソウルジェムも一瞬で真っ黒になってたと思う」

マミ「もう何もかも忘れて投げ出したいと思ったその時、佐倉さんの言葉を思い出した」

マミ「望まず魔女となってしまった彼女の、呪縛から解放された感謝の言葉を…」

ほむら(佐倉杏子の特性が、幻聴という形で表れたということ…?)

マミ「私はもう立ち止まることはできなかった」

なかなか斬新な展開だな……

マミ「93人」

ほむら「!?」

マミ「今までに解放してきた魔女の数よ」

マミ「魔女を消滅させるたびに、さっきのような感謝と謝罪の言葉を聞き続けたわ…」

マミ「佐倉さんと同じ思いを、他の魔法少女たちにさせてはいけない…」

マミ「私と同じ思いを、他の魔法少女たちにさせてはいけない…」

マミ「だから、私は…魔女を、魔法少女たちの呪われた結末を救うために戦ってるの…」

ほむら「…」

マミ「グスッ」

マミ「ごめんなさいね、あなたにこんな変なお話して」

ほむら「…いいえ」

ほむら「変なんかじゃないわ」

ほむら「あなたが他の魔法少女達にグリーフシードを分け与えていた理由、はっきりしたわ」

ほむら「あなたも…、あなたも気の遠くなるような、永遠の迷路に閉じ込められていたのね…」

マミ「…?」

マミ「あなたもって…?」

ほむら「19回」

マミ「…回?」

ほむら「数は少なくとも背負ってきた思いは同じ」

ほむら「私がまどかを救えなかった回数よ」

マミ「まどかって…あの鹿目さんって子!?」

ほむら「ええ、鹿目まどか。彼女こそが私が魔法少女として戦う唯一の、そして最大の理由よ」





ほむら「…以上が、今までのいきさつ。まどかと、私の19ヶ月」

マミ「…」

マミ「っく…」

ほむら「?」

マミ「あ、暁美さん…っく、あなたも…あなたも私と同じ戦いをしてきたのね…っく」ぽろぽろ

ほむら「…そんなに泣かれると、少し困るわ」

マミ「ご、ごめんなさい」

マミ「でも、そうだとしたら、鹿目さんは絶対に魔法少女にしてはいけないわね」

ほむら「ええ」

ほむら「だから、あなたと最初に出会ったとき、あなたがQBを牽制してくれた事には感謝してるわ」

ほむら「あの時は理由がわからなかったけれど、今ならはっきりとわかる」

ほむら「巴マミ、どうか鹿目まどかを魔法少女にさせない様、協力して欲しい」

マミ「暁美さん…」

マミ「ええ、私でよかったら…」

マミ「私のほうこそ、これ以上魔法少女たちに悲しみと絶望を与えない様、一緒に手伝って欲しいの」

ほむら「…ええ、わかったわ」

ほむら「宜しくお願いするわ、巴マミ」

マミ「うん、こちらこそ宜しくね」

ほむら(初めて…初めて事情を知る協力者を得られた…)

ほむら(これなら…これならまどかを魔法少女にせず、救うことができる!)




QB「残念だけど、ちょっと遅かったようだね」


ほむら「!?」

マミ「QB!?どういうこと!?」

QB「どういうことも何も」



QB「鹿目まどかは、ついさっき僕と契約して魔法少女になったのさ」

  /\___/\
/ ⌒   ⌒ ::: \

| (●), 、(●)、 |    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|  ,,ノ(、_, )ヽ、,,   |  < やるじゃん
|   ト‐=‐ァ'   .::::|    \_____
\  `ニニ´  .:::/
/`ー‐--‐‐―´´\

~1時間前~

まどか(さやかちゃん、やっぱり元気になんかなってない…)

まどか(上条君のこと引きずったままだ…)

まどか(こんなの酷いよ…。さやかちゃん、何も悪いことしてないのに…)

まどか「さやかちゃんを、何とかして助けたい…」


QB「今の言葉に嘘はないかい?」

まどか「!?あ、あなた、たしかQB?」

QB「やぁ、久しぶり、まどか」

まどか「私に何か用があるの?」

QB「いや、たいしたことではないよ」

QB「君が美樹さやかのことを心配して悩んでいるから、少し助言をしてあげようと思って」

まどか「?」

QB「君は、今の美樹さやかをどう思う?」

まどか「どうって…、上条君がおかしくなって、すごく気落ちしてる」

まどか「何とかして元気付けてあげたいって思う」

まどか「でも、私の力じゃ無理だって思う」

まどか「上条君が元に戻ってくれないと、きっとさやかちゃんはあのままなんだ…」

QB「では、その上条恭介が正気に戻る方法があるといったら、どうする?」

まどか「!?本当にあるの、そんな方法が!?」

QB「勿論さ」

QB「ただし、それには一つ条件があるんだ」

まどか「教えて!私さやかちゃんが元気になるんだったら、何でもするから」

QB(…)

QB「それはね」



QB「僕と契約して、魔法少女になればいいんだよ、まどか!」

~現在~

ハァッ ハァッ

マミ「待って、暁美さんっ…」

ほむら「まどかっ…」

ハァッ ハァッ

ほむら(そんなはず無い!)

ほむら(あれだけ巴マミが忠告したんだ)

ほむら(QBや巴マミとの接点もほとんどない。魔法少女や魔女と関わることなんてほとんど無かった)

ほむら(だから、まどかが)

ほむら(魔法少女になるわけがない…)

まどか「あ、ほむらちゃん」

ほむら「……っっ」

まどか「えへへ、私もね、ほむらちゃんと同じ魔法少女になったんだよ?」


ほむら(そ…んな…)

グラッ

まどか「あ、ほむらちゃん!」

マミ「危ない!…っと」

まどか「だ、大丈夫?ほむらちゃん」

ほむら(あなたは…あなたは……)

ほむら「どうして…?」

まどか「え?何、ほむらちゃん」

ほむら「どうして魔法少女になんかなったのっ!?」

まどか「(ビクッ)」

まどか「ほむらちゃん、なんで怒って…」

ほむら「巴マミからも忠告されたでしょ!?魔法少女になるなって」

まどか「うん…でもそれは願い事のことを知らなかったから」

まどか「私ね、落ち込んでるさやかちゃんに元気になって欲しかった」

まどか「だからQBにお願いしたの」

まどか「上条君が元の上条君に戻りますようにって」

ほむら「……っ」

マミ「鹿目さん…」

まどか「上条君が元に戻れば、きっとさやかちゃんとの関係も元に戻るって」

まどか「仁美ちゃんともちょっとすれ違いがあったけど」

まどか「またさやかちゃんと仁美ちゃん、そしてほむらちゃんと4人で皆仲良くお話できるって、思ったから」

ほむら「できるわけないじゃない!」

まどか「(ビクッ)」

マミ「暁美さんっ、ちょっと落ち着いて…」

ほむら「なんで…なんでそんな願い事のために…魔法少女になったの…」

まどか「そんな…願い事…?」

ほむら「そうよ、美樹さやかの私情なんかのために、あなたが犠牲になることなんて…」

まどか「ほむらちゃん!」

ほむら「っ」

     \          ヽ         |           /           /
      \       ヽ           |        /         /
      殺 伐 と し た ス レ に メ タ ル Q B が 降 臨
          \      r、 、              /       /
‐、、            \.   i .ヘ .\ __    _, .- '.l     ./          _,,-''
  `-、、          l_,- >  '~   ~ ''-.<   ./l            _,,-''
      `-、、     /  i           /,/      _,,-''
         `'    /  ./  ●        ヘ ',

              /   .,          ●  }:l < トゥットゥルー♪ 1万円だよ!
───────‐  /   .|,     しν     ノ.|   ───────────‐
.            -i'\   | '- ,_         ノ i
           .>\  ̄ ̄''),_ /~' ー--.t-‐‐i'~  l,,__ 
         _,,-''・::: :  ̄ ̄j'--k' .,  ,.  ..i ∠.|__,,,ヽノ}    `-、、
     _,,-''    フ::・:,:: :: ::/ /  l  .| i i:|:L..,,______,,,..ノ         `-、、
            '--'' ヘ・/  i'  |  |. l l:|' νヘ:・

まどか「取り消して。今さっきの言葉取り消して!」

まどか「さやかちゃん、友達なんだよ?ほむらちゃんだって、さやかちゃんと仲良くしてたよね?」

まどか「友達のさやかちゃんが辛い目にあってるのに、どうしてそんなこと言うの?」

ほむら「全てはあなたを救うためだったのよ」

マミ「あ、暁美さん!」

ほむら「あなたが平穏な生活を送ってくれれば、それでよかったの」

まどか「…っ」

ほむら「加えて言うと、美樹さやかと上条恭介が結ばれることはないわ。今の今まで一度もそんなことなか…」

パシッ

ほむら「!?し、鹿目さん…?」

まどか「ほむらちゃんの馬鹿!大っ嫌い!!」

ダダッ

239
また、やってしまいました…
しかめ×→かなめ○

ほむら「な、何で!?鹿目さんっ…  まどかぁ!」

マミ「落ち着いて暁美さん!」

マミ「今のは少し言いすぎよ…」

ほむら「でも…私はまどかのために…」

マミ「あなたは鹿目さんのためでなく、自分のためだけに行動しているわ」

ほむら「!?」

マミ「鹿目さんの気持ち、考えたことある?」

マミ「あなたは鹿目さんを救えばそれでいいと思っているけど」

マミ「鹿目さんを本当に救うというのならば、彼女自身を彼女の世界を救わなければいけないのよ」

ほむら「…っ」

ほむら「まどかの…世界…」

ほむほむの願いは「頼れる自分になりたい」だからちょっと違うと思う
目的が「まどかを救う」になったのは、厳密には3ループ目ラストからだとおもわれ

マミ「そう、鹿目さんのご家族、お友達、住んでいる街。当然そこにはあなたも入っているわ」

マミ「だから、もう一度良く考えて。鹿目さんを救うということがどういうことかを…」

ほむら「…」

ほむら(私は…私のことしか考えていなかったの…?)

ほむら(こんなにもまどかのことを想っているのに…)

ほむら(まどか…)

マミ△

しかしまどっちどうするんだろう
まだ願いの残ってるさやかが最後の希望かも試練

QB「話はすんだかい?」

マミ「…QB」

QB「おっと、怒らないで欲しいんだけど」

QB「僕はちゃんと約束を守っ…」

パァン     ぼとっ

マミ「…」

QB「やれやれ、無駄だって知ってるくせに」

マミ「…」

QB「それじゃあ、僕はゆっくりと待つよ」

QB「最大にして最高のエネルギーが手に入る、その時をね」

マミ「鹿目さんは…絶対に魔女にはさせない!」

~1週間後:学校~

早乙女「暁美さん、暁美さん?今日もお休みかしら」

女子A「もう1週間も連続だよね」

女子B「無断欠席って何かあったのかしら」

男子A「そういえば志筑さんも見てないなあ」

男子B「上条に聞いても知らないっていうし、どうしたんだろう」

まどか「…」

さやか「まどか、まどか?」

まどか「!?さ、さやかちゃん?」

さやか「本当にほむらと仁美のこと、知らないの?」

まどか「う、うん、私も聞いてないよ」

まどか(ごめん、さやかちゃん)

さやか「そっか~」

さやか「ほむらのやつにはもう一度お礼したいんだけどな~」

まどか「お礼?」

さやか「うん、あの日あいつが自分を大切にしろって言ってくれたから」

さやか「私、ちょっと思いつめすぎちゃってさ。らしくないよね!ははっ」

まどか「さやかちゃん…」

さやか「まさか恭介とまた昔のように話せるとは思ってなかったからさ」

さやか「あの時、私が変な方向に走って行っちゃってたら、こうして恭介と接することはできなかったから…」

さやか「本当に感謝してるんだ」

まどか「…」

一週間だと…?
ほむマミはなにしてたんだろう

~ほむほーむ~

マミ「今日も学校行かなかったの?」

ほむら「…」

マミ「はい、浄化終わり。そろそろ立ち直ってくれると嬉しいんだけど」

ほむら「…」

マミ「顔を合わせ辛いのはわかるけど…」

マミ「鹿目さんとはちゃんと仲を取り持つから!」

ほむら「…」

マミ「…(空気が…)」

ほむら「鹿目さんとは、ちゃんと私自身で決着を付けるわ」

マミ「決着って…」

ほむら「それより、鹿目さんの魔法少女としての力は、どう?」

マミ「どうもこうも、あんなにすごい子見たことないわ」

マミ「ほとんどの魔女は一撃で倒してしまうわ」

ほむら「例の声は?」

マミ「いえ…彼女は魔女を敵として見ちゃっているから…」

ほむら「そう。魔法少女の成れの果てとして認識し、それを救うという気持ちでないと聞こえないわけね」

マミ「ええ…、できればちゃんと『解放』してあげたいんだけど…」

ほむら「まどかに魔女化の真実を話すことはできないわ」

ほむら「まどかと一緒のときはあきらめて。それはあなた一人か、私と二人の時に」

マミ「うん!」(にこにこ)

ほむら「巴マミ、そこで何故喜んで…」

マミ「だって、私と暁美さんと二人の時って!」

ほむら「…」

ほむら「そ、それより鹿目さんのソウルジェムは?」

マミ「それが、まったく濁りがないままなの」

マミ「魔力の総容量が多すぎるせいかもしれないけど、輝きがかげることがないわ」

ほむら「そう。少しでも濁りが見えたらすぐに浄化して」

マミ「ええ、わかったわ。でも、できれば早くあなたと3人で行きたいのだけど…」

ほむら「…善処するわ」

マミ「うん、お願いね」

~3日後~

まどか「おはよう、さやかちゃん」

さやか「おっはよ~、まどか」

さやか「今日もほむらは休み?」

まどか「うん…多分…」

さやか「そっか…」

上条「暁美さん、今日もお休みだって?」

さやか「うん、そうみたい」

上条「残念だね、さやか」

さやか「あー、こんどはほむらに手を出すつもり!?」

上条「やめてくれよさやか」

上条「さやかの元気の無い姿を見ると、皆気分が沈んじゃうってことだよ」

さやか「あ…うん /// 」

ほむら「…」

ほむら(美樹さやかと上条恭介、元通りに戻ったのね…)

さやか「あっ、ほ…」

まどか「ほむらちゃんっ」

ほむら「鹿目さん…」

まどか「あの…、えっと…こ、この前は…」

ほむら「ごめんなさい」

まどか「え!?」

ほむら「あなたの言うとおりだわ、鹿目さん」

ほむら「私、周りのことが何も見えてなかった」

ほむら「今こうして美樹さんが楽しそうに過ごせていることも」

ほむら「それを見て、鹿目さんが喜んでいることも」

ほむら「その全てが、私の守るべき対象だった…」

まどか「ほむらちゃん…」

ほむら「ごめんなさい、こんな簡単なことに気づいてなくて、酷い事言って、ごめんなさい…」ぽろぽろ

さやか「ほ、ほむらっ!?」

男子A「お、おい!暁美さんが泣いてるぞ!?」

男子B「鹿目さんが泣かした!?」

女子A「え?何この状況」

中沢「は、早くハンカチを…」

まどか「…」

ぎゅっ

ほむら「!?鹿目さん??」

まどか「こっちこそ、ごめんなさい、ほむらちゃん」

まどか「私も、ほむらちゃんの気持ち、全然考えてなかった」

まどか「ほむらちゃんが今までどんな経験をしてきたのかはわからないけど」

まどか「あなたが私のことをとても大切に想ってくれてたこと、伝わったから…」ぼろぼろ

ほむら「鹿目さん…」

ぎゅっ

さやか「お、おーい、何この状況は…」

上条「ははは…」

さやか「でもまぁ、いっか」

さやか「二人とも、こんなにいい笑顔なんだから」

マミ「…」

マミ「ふふふ、良かった、仲直りできて…」

早乙女「あなた…ここ2年の教室よ?それに、チャイムなったわよ?」

~放課後~

マミ「さて、あなた達に話しておくことがあるの」

まどか「?」

ほむら「ワルプルギスの夜…ね」

マミ「ええ、間もなく見滝原に訪れる、最大にして最強の魔女」

ほむら「こいつを倒さない限り、この街は廃墟と化してしまう」

まどか「そんなっ」

マミ「だから、なんとしてもこの魔女を倒さなければならないわ」

ほむら「私たち、3人で」

まどか「…うん!」

ほむら(今回は佐倉杏子も、美樹さやかもいない)

ほむら(近接攻撃ができないのは痛いわね…)

ほむら(だけど、この3人の大火力ならあるいは…)

マミ「それじゃあ、今日もパトロールに行くわよ」

まどか「はい!」

ほむら「ええ」



QB「契約してから10日か。予想以上に順調だね」

QB「我々インキュベーターの悲願が叶う日も近い」

QB「お手柄だよ、巴マミ、暁美ほむら、そして、鹿目まどか!」

~魔女戦~

ほむら「この魔女…強い!」

マミ「予想以上に素早いわね!」

まどか「あ、当たらない!?」

ほむら「無駄うちは駄目、もっとよく引きつけて」

まどか「そ、そうは言っても…」

ほむら「こうなったら」

カシャ

ほむら(この爆弾を直撃させれば!)

カシャ

ドォォォォォン

ほむら「やったか!?」

マミ「暁美さん!危ない!!」

ほむら「くっ(効いていない!?)」

まどか「ほむらちゃん!」

カァァァァン

ほむら「こ、これは…」

ほむら(魔力の矢で作り上げた檻?)

まどか「私の力は攻撃だけじゃないよ!皆を守ることだってできるんだから!」

マミ「鹿目さん、すごいわっ」

ほむら「鹿目さん、手を!」

まどか「え?あ、うん!」

はしっ

ほむら「時間停止!」

まどか「…あれ?まわりが止まって…」

ほむら「私と、鹿目さん以外の時間を止めたわ」

まどか「わ、私も動けるの!?」

ほむら「ええ、ただし、手を離してしまうとあなたの時も止まってしまうわ」

ほむら「だから」

ぎゅっ

まどか「あ /// 」

ほむら「一緒にあの魔女を撃ちましょう、あなたの矢で」

まどか「うん!」

ほむら(ごめんなさい、名も知らぬ魔女…、あなたを魔女化という鎖から今、解き放つわ)

まどか「ほ、ほむらちゃん」

ほむら「何かしら?」

まどか「なんか、二人で弓を撃つって、ちょっと恥ずかしいね」

ほむら「 /// 」

まどか「それじゃぁ、行くよ!ほむらちゃん!」

ほむら「ええ、まどか!」




『ありがとう…』



マミ「え?あら?ひょっとして、もう魔女を!?」

ほむら「ええ、私と、鹿目さんの力で…」

ほむら「鹿目さん?」

まどか「(にこにこ)」

ほむら「ど、どうしたの…?」

まどか「今、ほむらちゃん私のこと名前で呼んだ!」

ほむら「え!?」

ほむら(つ、つい口走っちゃった…)

まどか「えへへー、やっとまどかって呼んでくれたー」

ほむら「 /// 」

マミ「ええー、ずるいわよ!私も聞きたかった!」

まどか「嬉しいなっ、ほむらちゃん」

ほむら「そ、空耳よ…」

ほむら(ちょっと恥ずかしい…)

まどか「また名前で呼んで欲しいんだけどな?ほむらちゃん」

ほむら「が、頑張ってみるわ」

まどか「ウエヒヒヒ!」

マミ「うふふ」

ほむら(まどかが魔法少女になってしまったのに、私、笑ってる…)

ほむら(一緒に戦うなんて、すごく久しぶりのことだったから…)

ほむら(まどかを魔法少女にしたくないという気持ち、今でもそれは変わらない)

ほむら(だけど…)

マミ「さぁ、パトロールも終わったことだし、帰って夕食にしましょう?」

まどか「今日はマミさん家でお食事会だね!」

マミ「今日は気合入れて作ったんだから!」

まどか「うわー、すごく楽しみです」

ほむら「ええ」


ほむら「こういう世界も、悪くないわね」



ズクン


まどか「あ…れ?」

ズクン


まどか「おか…しいな、胸がいた…」

マミ「?どうしたの鹿目さん」

ほむら「鹿目さん、どこか怪我でも…」

ズクン!

まどか「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

マミ「!?か、鹿目さん!?」

ほむら「え!?ま、まさか…」

まどか「時々・・・年に何回か・・・これでいいのか・・・・?っていう
疑念・・・不審・・・不安が胸を押し上げてきて・・・・
面倒な事を全部詰め込んだ・・・押入れ・・・
そのふすまを恐る恐る・・・開けてみるんだ・・・!
・・・・びっくりするぞ・・・
あまりにも・・・どえらいことに・・・・!
暗黒へと続く・・・・奈落っ・・・!千尋の谷っ・・・・!
その底で・・・カルマのように蠢く諸問題っ・・・・!
どうなるもんじゃないっ・・・・あまりに・・・挽回不能・・・

QB「やぁ、思ったよりも早かったね」


マミ「QB!あなた何を…」

ほむら「そ、ソウルジェムは…変わっていない」

マミ「鹿目さんに何をしたの!?」

QB「いや、僕は彼女に何もしてないよ?」

QB「毎回毎回、魔女を倒すには余分すぎる魔力を消費し続けて、ソウルジェムの浄化を行わなかったら、こうなることくらい、目に見えているよね!」

マミ「でも、鹿目さんのソウルジェムは全然変化してないわ!」

QB「それはそうだよね、だってそれは、鹿目まどかの本当のソウルジェムではないのだから」

ほむら「な、なんですって…?」

QB「それは僕らインキュベーターの作り出したフェイクさ。本物はほら、こちらにある」

マミ「!?ま、真っ黒に…」

QB「そちらの偽ソウルジェムは、魔法少女に変身するために必要な機能を備えたデバイスでしかない」

QB「魔力の供給は、こっちの本物のソウルジェムから送られていたのさ」

QB「このエネルギー回収システムを作り出した僕達にとって、このくらいのことは造作もないよ」

マミ「な、なんでそんなことを…」

QB「だって、こうでもしない限り、君達は鹿目まどかのソウルジェムの浄化をし続ける」

QB「いつまでたっても魔女にならず、僕達は最高のエネルギーを手に入れられないってわけさ」

QB「並の魔法少女なら、その異常に気がついて問い詰めてきただろうけど」

QB「まどかほどの魔力の持ち主であれば、それは異常ではないと感じてしまったんだろうね」

ほむら「っく、この…!」

パァン   コロン

ほむら「早く、浄化を!」

QB「やれやれ、ちょっとやそっとのグリーフシードでは、もはや魔女化の進行を止められないよ」

ほむら「黙れ!」

まどか「ぅ…ぁ…」

ほむら「まどか!?」

まどか「魔女化って…何?」

ほむら「そ、それは…」

まどか「私、このまま、魔女に、なっちゃうの?」

QB「そうだよ。穢れを溜め込みすぎた魔法少女はのろいを生み出す魔女に生まれ変わるのさ」

マミ「QB!」

パァン

QB「だから無駄だって言ってるのに、こりないなぁ、君達も」

ほむら「こんなやつに耳を貸しちゃ駄目!」

まどか「そっか…、だからほむらちゃん…私のこと…怒ってたんだ…」

まどか「わたし、ばかだぁ…。こんなに心配、してもらってたのに…」

まどか「自分のことしか考えなくて…自分勝手に魔法少女になっちゃって…」ぼろぼろ

ほむら「まどかっ、お願い、しゃべっちゃ駄目!巴マミ、早く!」

マミ「やってるわ!でも、ぜんぜん穢れがとれない…余計に黒く塗りつぶされていくの…」

まどか「えへへ…、またまどかって、言ってくれた」

まどか「嬉しいなぁ…」

ほむら「まどかぁ…」ぼろぼろ

QB「もう間もなくだね、やっと僕達のノルマが達成される」

マミ「鹿目さん…」

まどか「マミさん…、ちょっと、そのソウルジェム、見せて、もらえないですか?」

マミ「え…あ、う、うん…」

まどか「そっか…、これが私の、本当の姿か…」

まどか「えへへ、真っ黒だね…」

ほむら「巴マミ!グリーフシードの保管場所は!?」

マミ「う、うちの押入れの中だけど…」

ほむら「私が時間を止めて回収しに行く!時間停止が途切れている間、残りのグリーフシードで持ちこたえさせて!」

マミ「わ、わかったわ」

まどか「ううん、もう、いいんだよ。ほむら、ちゃん。マミさ、ん」

ひゅっ

ほむら・マミ「え?」

マミ「ソウルジェムを…上に投げ…」

ほむら「ま、まどか?」


スッ

まどか「ありがとう…ごめんね」


ほむら「ま、待って… 撃っちゃ駄…っ」

バギンッ


QB「!?」

QB「そ、そんな馬鹿な!自分のソウルジェムを自ら破壊するなんて!?」

QB「ありえない…」

ほむら「あ、あ、あ、」

ほむら「あああああああああああああああっっっ」

マミ「暁美さんっ、しっかりして!」

マミ「あなたまで魔女化してしまうわっ」

マミ「暁美さんっ!」

ほむら「まどか、まどか、まどか、まどかぁぁ…」

マミ(だ、駄目、暁美さんのソウルジェムが…)

マミ(もうこの子だけは、この子だけは魔女にしてはいけない、死なせてはいけないっ)

QB「やれやれ、興ざめだよ」

QB「まさかこんな結末になるとはね」

QB「…ちょうどワルプルギスの夜がお出ましのようだ」

QB「あと半日もすればこの街はワルプルギスの夜に飲み込まれる」

QB「あとは君達で何とかするんだね」

QB「僕はまた、別の街に魔法少女達を探しに行くとするよ」

QB「じゃあね」

ほむら「まどか…まどか…」(ブツブツ)

マミ「暁美さん…」

マミ(暁美さんはもう、戦えない)

マミ(ワルプルギスの夜が来るまであと半日足らずって言ってたわね…)

マミ(何とか一緒に戦ってくれる仲間を探さないと…)

♪Tirotirotiro Tirotirotiro

マミ「もしもし、私、巴ですけど…」



ほむら「…あ」

マミ「…気がついた?」

ほむら「わ、私は…」

ほむら「!ま、まどか!?」

マミ「…」

ほむら「…そうだった、まどかは、もう…」

マミ「暁美さん、あなたはもう少し休んでて」

ほむら「!そうだ、ワルプルギスの夜が…」

ほむら「あ…」

へたっ

マミ「今のあなたに戦わすことなんて、とてもできない…」

ほむら「それなら、あなたが普段からグリーフシードをあげている連中に話せば」

ほむら(3人ほどは連絡つかないようにしてしまったけど…)

マミ「(ふるふる)」

ほむら「え?」

マミ「全部で15人くらいかな?連絡取り合ってたんだけど」

マミ「皆、来れないって。そうよね、相手が史上最強の魔女だもん」

マミ「誰も、来るわけないよね…」

ほむら「巴マミ…」

マミ「でも大丈夫、気にしないで」

マミ「今までだって、ずっと一人だったんだから」

マミ「一人ぼっちでも戦える!」

ほむら「わ、私も…」

スッ

マミ「あなたは駄目」

マミ「あなたには、あなたにしかできない役割がある」

ほむら「…」

マミ「だ・か・ら」

マミ「ここはどーんと人生経験豊富なお姉さんにお任せして!」

ほむら「…」

ほむら「…ふふ」

ほむら「繰り返した時間を含めれば、ほとんど年は変わらないけどね」

マミ「うふふ、そうね、私も、あなたも」

マミ「…」

ほむら「…」

マミ「それじゃあ、行ってくるわ」

ほむら「っ…」

ほむら「巴さんっ!」

マミ「!びっくりした。あなたがさん付けなんて」

ほむら「昔はずっとあなたのこと、巴さんって呼んでましたよ」

マミ「ふふ、なんだか先輩らしくて良いわね、その呼ばれ方」

ほむら「今でもあなたは…私の先輩です」

マミ「ありがとう、暁美さん」


マミ「元気でね」

ほむら「…」

ほむら「…」

ほむら「また、私は誰も救えなかった…」

ほむら「まどかも、巴さんも、杏子も…」

ほむら「美樹さやかのことも、一度は不幸に陥れてしまった」

ほむら「…」

ほむら「巴さん、助けに行かなきゃ」

ほむら「あの人はずっと一人だから」

ほむら「ずっと辛い十字架を背負ってきた人だから…」

ほむら「…」

ほむら「だめ、動かない」

ほむら「私はまどかを救わなければいけないから」

ほむら「巴さんも救いたいのに」

ほむら「皆を救いたいのに…」



『大丈夫』

『きっと、大丈夫だよ。ほむらちゃんなら、きっと、できるよ』


~ワルプルギスの夜戦~

マミ「くっ」

マミ「ティロ・フィナーレ!」

ドゴォォォン

少女の影A「HUHUHUHUHU」

少女の影B「HAHAHAHAHA」

マミ「っ」

マミ「この魔法少女の姿をした影に遮られて、ダメージが与えられないっ」

マミ(この影達は一体何?魔法少女や魔女と関係があるの!?)

QB「この影達はワルプルギスの夜の一部、もともと魔法少女だった者達の在りし日の姿さ」

マミ「…QB、あなたまだいたのね」

QB「マミとは長年の付き合いだし、君が絶望した際にはきちんとエネルギーを回収してあげようと思ってね」

マミ「あなたは結局、最後までそうなのね」

QB「まだまだ最後じゃないんだけどなぁ。まぁ、いっか」

マミ「離れてなさい、巻き添えを食らうわよ」

QB「君こそ、こんな僕の心配をしてる場合かい?」

マミ「あなたとは長年の付き合い、だからね」

QB「…」

マミ(グリーフシードにそこまで余裕があるわけでもない)

マミ(一気に攻め立てる!)

マミ「アルテマ…シュートッ」

ドガガガガガガ

マミ「よしっ、効いた!これなら…」

ヒュン!

マミ「え?」

マミ(この影…近距離タイプの魔法少女!?)

マミ(避けられな…)

マミ(駄目、死…)


???『ったく、そういう油断の多いのが、マミさんの悪いところだぞ』

マミ「え?」

ガキィンッ

マミ「わ、わたし生きて…  っ!?」

マミ「あ、あ、あなたは…」

マミ(この影、姿、ああ、見間違えるわけが無い!)

マミ「佐倉…さんっ」

QB「まさか…ワルプルギスの夜の一部として取り込まれた魔法少女が、本体に背き、自分の意思を持って行動するとは…」

QB「巴マミ、君は一体…?」

杏子の影『あんたが私を魔女の姿から解放してくれたおかげで、私は誰も苦しめずにすんだ』

杏子の影『ありがとう』

マミ「あああ、佐倉さん、佐倉さん…っ」

杏子の影『私だけじゃないよ』

???『あの時は、ご迷惑おかけしてすみませんでした』

マミ「!?し、志筑さん!?」

仁美の影『魔女として成り果てた私たちを、あなたは消滅させてくれました』

杏子の影『だから、今度は私たちがあんたを、マミさんを呪縛から解放させる番だ!』

バババババッ

マミ「!ほ、他にも私が解放した魔法少女の子達がこんなに…」

マミ「す、すごい…」

杏子の影『魔女になってしまったやつらだけじゃないぞ』

マミ「え?」

魔法少女A「いた!巴さん!」

魔法少女B「ごめんなさい!遅れました!」

マミ「み、皆、どうして…?来れないって…」

魔法少女C「最初は皆怖かったんですけど」

魔法少女D「私たち、いつも巴さんだけに魔女退治を押し付けた上、お世話までしてもらってました」

魔法少女E「だから、皆で連絡取り合って、決めたんです」

魔法少女一同「今度は巴さんを助けるんだって!」

マミ「皆…皆ぁ……」

杏子の影『皆、あんたに感謝してるんだ』

仁美の影『巴さん、あなたのやってきたことは、全て意味のあることだったんです』

マミ「ありがとう、ありがとう…」

杏子の影『ほら、泣いている場合じゃねえぞ』

仁美の影『そうですわ。一緒にあの魔女を倒しましょう』

マミ「でも、それじゃああなた達まで…」

杏子の影『おいおい、また私たちはあの魔女の一部となっちまってるんだ』

仁美の影『もう一度、助けていただけないでしょうか』

マミ「…っ」

マミ「ええ!」

QB「形勢が変わったようだね」

QB「マミを味方する影、特に杏子の影の力が秀でている」

QB「これならワルプルギス本体側の影達を制圧できそうに見えるけど」

QB「そうもうまくいくわけないよね」

杏子の影『ロッソ・ファンタズマ!』

魔法少女A「あの影、すごく強い!」

魔法少女C「これならいけるよ!」

杏子の影『へっ、他の魔法少女ってのはこんなにチョロいやつらばっかりだったのかい!?』

仁美の影『油断してはいけませんよ』

杏子の影『もっともっと行くぜ… っ!?』

ガギィィン

杏子の影『ぐはっ』

仁美の影『!杏子さん!?』

バシッ

仁美の影『ああっ…』

マミ「!?あ、あれは…」

魔法少女B「うそ…あの影って、まさか…」

魔法少女D「ジ、ジャンヌ・ダルクに」

魔法少女E「卑弥呼…!???」

魔法少女A「他にも…歴史上の英雄が何人もいる…」


QB「やはりね、もともとが普通の人間だった魔法少女と、英雄と称された魔法少女」

QB「実力の差は明らかだね」

杏子の影『っ…つ、強すぎる』

マミ「佐倉さん!」

魔法少女の影『きゃぁっ』

魔法少女A「だめっ、他の人たちも押され始めてる!」

魔法少女E「私たちでなんとか援護をっ」

魔法少女C「でもっ、グリーフシードももうほとんど無いよ!」


QB「加えて存命の魔法少女たちには魔力の限界がある」

QB「これはもう、勝負あったね」

マミ「なんとかあの強力な影の攻撃を止めないと…」

マミ「アルテマ・シュート!」

ドォォォン

マミ「直撃したわ!これなら…」

ジャンヌの影『…』 

マミ「無傷!?」

杏子の影『マミさん!避けて!』

マミ「あっっっ」

マミ(佐倉さんっ)

マミ(志筑さんっ)




マミ(暁美さんっっっ)



カシャッ

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

魔法少女A「巴さん!」

魔法少女B「そ、そんな…」

魔法少女C「巴さんが死んじゃ…」

ほむら「巴さんは、無事よ」

マミ「あ…暁美さん!?」

ほむら「遅れてごめんなさい」

マミ「でもあなた、戦える状態なんかじゃ…」

ほむら「いいえ、もう大丈夫」

魔法少女A「あ、あんたは…」

ほむら「この前はごめんなさい。あなた達が助けに来てくれたおかげで、巴さんは生き延びることができたわ」

魔法少女B「こ、こっちこそ…」

魔法少女C「反省してるわ…」

ほむら「ありがとう」

杏子の影『何者か知らねーが、マミさんを助けてくれて、ありがとな』

ほむら「例には及ばないわ、佐倉杏子」

杏子の影『!?あんた私のことを知って…?』

ほむら「ええ、遠い昔に、ね」

杏子の影『?』

ほむら「時間がないわ、あいつを、ワルプルギスの夜を倒すわよ」

マミ「で、でも、向こうには卑弥呼とか英雄と称された魔法少女が…」

ほむら「あら、こちらには最強の魔法少女がついていること、忘れたのかしら?」

マミ「え?」

???『行くよ!ほむらちゃんっ!』


ド ン !

ワルプルギス側の影達『…ッッ』

魔法少女C「えっ!??」

魔法少女D「すごい…、あのジャンヌや卑弥呼の影を一撃で…」

魔法少女A「は、はははは、何あれ?」

マミ「か、鹿目さん!??」

まどかの影『マミさん、ごめんなさい。あんなお別れの仕方しちゃって』

マミ「…っ、私のほうこそ、ごめんなさい!あなたを、あなたを救うことができなかった!」

まどかの影『ううん、そんなことないよ、マミさん』

まどかの影『私、十分楽しかったし、幸せだったよ』

まどかの影『それに、マミさんには何回も助けてもらってたから』

まどかの影『初めて会ったあの日から…』

マミ「あ…」

まどかの影『だから、本当にありがとうございました、マミさん!』

まどかの影『そして、今度こそ、本当のお別れです』

まどかの影『次の一撃で、全てを終わらせます』

マミ「鹿目さん…」

ほむら「まどか…」

まどかの影『ほむらちゃん』

まどかの影『最後までわがまま言ってごめんね』

ほむら「ううん、もういいのよ、まどか」

まどかの影『でも、一つだけ最後のお願い、聞いて欲しいな』

ほむら「ええ、何でも言って、まどか」




まどかの影『次の世界では、どうか馬鹿な私のことを助けてあげてください』


ほむら「…」

ほむら「ええ、約束するわ」

ほむら「必ず、必ずあなたを救うわ、まどか!」



まどかの影『(ニコッ)』



~3日後~

少女C「それじゃあ、巴さん、お世話になりました」

少女一同「ありがとうございました!」

マミ「ううん、こちらこそ。皆、ありがとう」

マミ「また、グリーフシードが無くなったら電話してね?」

少女B「ううん、今度からは私たちも自分の力で頑張るから」

少女A「あんなふうになってしまった子達を救うために…」

マミ「うん…ありがとう」

ほむら(巴さんは仲間の魔法少女たちに全てを打ち明けた)

ほむら(真実を知り絶望してしまう人もいるかと思って心配したけど)

ほむら(皆、冷静に受け止めていた)

ほむら(巴さんの苦しみ、痛みを理解していたから…)

マミ「静かになっちゃったわね」

ほむら「ええ、3日間この家であの人数がひしめき合っていたんですもの」

ほむら(あの日、まどかの一撃によりワルプルギスの夜は崩壊)

ほむら(というより、こちらに味方した魔法少女の影と、ワルプルギス側の影のパワーバランスが崩れた)

ほむら(それにより、魔法少女達の群体としての存在を維持できなくなったと言った方が正しいかもしれないけれど)

ほむら(…)

ほむら(まどかや、佐倉杏子、志筑仁美の影も、一緒に消滅してしまった…)

ほむら(だけど、彼女達の想い、祈りはこの胸の中にある)

ほむら(だから…)

マミ「…」

ほむら「…」

マミ「そ、それじゃ、とりあえずパトロールでも行きましょ…」

ほむら「巴さん」

マミ「えっ?あ、はいっ!何かしら?」

ほむら「私も…、私もそろそろ行きます」

マミ「!?」

ほむら(そう、私も進まなくてはいけない。前に)

マミ「ま、まだあの戦いから3日しかたってないし、疲れてるわよねっ?」

ほむら「もう大丈夫です、疲れはなくなりました」

マミ「そ、そうだ!この前暁美さん、私の焼いたケーキ食べたいって言ってたわよね!今から…」

ほむら「それは、また次の時に頂きます」

マミ「だ、だったら、今日一日だけでも…」

ほむら「巴さん」

マミ「…」

マミ「本当に、本当に行っちゃうの?」

ほむら「…はい」

マミ「もう一度、私と一緒に組んでみない?」

ほむら「ごめん、なさい…」

マミ「そう…」

ほむら「…」

マミ「…」

ほむら「あの…」

マミ「ごっごめんなさいね!引き止めちゃって」

ほむら「あ…」

マミ「困っている後輩を引き止めるだなんて、先輩失格だよね!(てへ)」

ほむら「巴さん…」

マミ「あなたには大切な使命があるんだから!早く終わらせてきてね!」

ほむら「…はい」

マミ「あと、ついででいいから」

マミ「次の世界でもね…」


マミ「私のこと、救ってくれると嬉しいかな?」


ほむら「はい」

ほむら「約束します」

ほむら「きっと、巴さんも救ってみせます」

ほむら「皆、笑顔でいられる様に…」

マミ「ありがとう…」

ほむら「…」

ほむら「巴さん、ありがとう」

ほむら「そして、さようなら…」



カシャン

         {`_ヽ、

         l!  \``ヽ、               _, -≠ニ了
           !    \  ヽ、         , - ' ´<   ./
          '     >    ̄ ̄ ̄ ̄ `¬ /     /
          ',  /                \ヽ     /
           ∨/                  ' ,∨ /     _/\/\/|/|_
           // ,ォ ≠ミ       ィ ≠ミ、  ', ∨     \          /
            // 〃yr=ミ:、        !/行ミt     ', ヘ    < イイハナシダナー >
          i { イ. {_ヒri}゙        ゙ ヒrリ.》     i ',     /         \
         l :{     ̄´                ::}, ヘ      ̄|/\/\/\/ ̄
           l l::.',       {ニニニィ       .::/:::, ',
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           l l::::::::::::≧、_   `ミ 、__ノ  ......::_::; イ::::::::::::',. i
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ゝ、_ =ニ¬l l:::::::::::::::::::l   l::::::ヘ::::::::::::l  .i  ト、  .}:::::::::::::::::l├¬冖冖つ ゙ >
    ̄`ヽ、`ヽ、::::::::::::: :ト、   l::::::::::i:::::::::::l.  /   >"<}:::::::::::::::::l }ー==彡 '

シーン

マミ「…」

マミ「行っちゃった」

マミ「ぐすっ」

マミ「もう、私って駄目な子、ね。こんなことくらいで泣いちゃう、なんて…」

マミ「でもよかった、暁美さんの前で、泣か、なくて…ぐすっ」

マミ「…っく、でも…」

マミ「本当は…一緒に…っく、もっと一緒にいたかった…な…」

QB「やれやれ、相変わらず寂しがりやだね、マミは」

マミ「!?きゅ、QB!」

ぐしぐし

マミ「今更何しに来たの?」

QB「失礼な言い方だね」

QB「まぁ、でもお願いをしに来たのは確かだ」

スッ

マミ「この子は…っ まさか!?」

QB「誤解しないで欲しい。魔法少女であるのは確かだけど、僕からけしかけたわけではない」

QB「この子は両親を魔女に殺され、自身も殺されかけていた所を魔法少女に助けられてね」

QB「ずっとその子について行ってたんだけど、つい最近、その魔法少女が魔女になってしまった」

マミ「!?じゃあ、その子はその様子を目撃して…」

QB「ああ、目の前で魔女になってしまった恩人の姿をみて、僕にこう願ったのさ」

QB「『この人を助けてあげてください』とね」

マミ「…」

QB「残念ながら、魔女が魔法少女に、または魔法少女が元の人間に戻ることは不可能だ」

QB「その魔女は消滅するという形で救われたことになった」

マミ「そう…」

マミ「あなた、お名前は?」

???「…」

マミ「怖がらないで」

ゆま「ゆま…だよ」

マミ「ゆまちゃん…ね」

マミ「ゆまちゃん、私と一緒に暮らさない?私も魔法少女なんだ」

ゆま「…やだ」

マミ「どうして?」

ゆま「お姉ちゃんも、魔女になっちゃうんでしょ?」

ゆま「ゆま、もう見たくないよ…っく」

ゆま「もうあんなのやだよぉ…」

ギュッ

ゆま「!?」

マミ「大丈夫、お姉ちゃんは魔女になったりなんかしない」

マミ「約束するわ」

マミ「絶対にあなたを一人ぼっちになんてしないって」

ゆま「…っ」

ゆま「…っく」

ゆま「うわぁぁぁぁぁぁぁぁん」

ギュッ

マミ「もう大丈夫よ、お姉ちゃんがずっと守ってあげるから…」

マミ(そう、私はこれからも同じ魔法少女の子達を守り続ける)

マミ(そして、魔女となってしまった子達を解放する)

マミ(それが、ここに残された私の使命だから…)

マミ(だから、お願い、暁美さん)

マミ(あなたは私を孤独の中から救ってくれた大切な人)

マミ(あなたもどうか、幸せになって…)

~Epilogue~

早乙女「それじゃあ、午前の授業はこれでおしまいです」

まどか「やっと終わった~」

さやか「全然耳に入らなかったよ~って、ん?」

ほむら「…」

さやか「ほむら?」

ほむら「ん…(ぴくっ)」

ほむら「何か用かしら?」

さやか「あんた、寝てたでしょ(にや)」

ほむら「寝てなんかいないわ」

さやか「よだれ」

ほむら「ハッ」ゴシゴシ

ほむら「…ついてないじゃない」

まどか「ほむらちゃん、やっぱり寝てたんだね…」

仁美「暁美さんが居眠りなんて、珍しいですわ」

さやか「そうだよなー、成績優秀の暁美ほむらさんが居眠りなんてねー」

ほむら「…声が大きいわよ、黙りなさい」

まどか「?どうしたのほむらちゃん、なんだか嬉しそう」

ほむら「ええ、ちょっと昔の夢を見て、ね…」

まどか「昔?」

ほむら「ええ、ちょっとだけ昔の、懐かしい思い出」

マミ「皆ー、お昼ご飯食べましょー」

さやか「あ、マミさんだ!」

まどか「はーい、今行きまーす」

~屋上~

さやか「うーん、やっぱマミさんの入れたお茶とケーキはめちゃうまっすよ!」

マミ「うふふ、ありがと」

まどか「はい、ほむらちゃん、お茶」

ほむら「ありがとう、鹿目さん」

サッ

ほむら「?何で引っ込めるのかしら」

まどか「ほむらちゃん、前にも言ったけど、私のことちゃんと名前で呼んで欲しいなっ」

ほむら「…善処するわ」

マミ「くすくす」

杏子「おー、いいにおいがするじゃねーか」

さやか「杏子、あんたまた不法侵入…?」

杏子「こまけぇこたぁいいんだよ!」モグモグ

杏子「マミさん、これ最高だな」

マミ「褒めてもらえると作ったかいがあるわ」

杏子「それにしても、あのワルプルギスの夜を乗り越えて、こうしてまた皆で会えるってのも、すげーよな」

マミ「ええ、本当ね」

ほむら「同感だわ」

さやか「私も見たかったなー。皆の戦い」

まどか「しょうがないよ、さやかちゃん。私たちにはどんな敵かも見えないんだから」

さやか「そうなんだけどねー」

ほむら「…」

ほむら(あの時の巴さんのおかげで、私はとうとう最後の時間にたどり着いた)

ほむら(まどかと美樹さやかを魔法少女とならせず、巴マミ、佐倉杏子、そして他の街の多くの魔法少女たちと一緒に戦うことで…)

ほむら(そして、あの時の巴さんの努力が、今の魔法少女たちの精神的支えとなっている)

マミ「それにしても、最初に魔法少女が魔女になるって話を聞いたときは、私びっくりしたわよ」

杏子「全くだよなー。ほむらのやつ、突然変になっちまったのかと思ったよ」

マミ「私のソウルジェム、結構危なかったのよ?」

ほむら「ごめんなさい、もうちょっと段階をふむべきだったわね」

マミ「そうね、でもあなたがちゃんと真実を伝えてくれたから、私たちは今こうして一緒にお昼を食べることができているのよ」

杏子「『彼女達を、魔女という呪縛の鎖から解き放つために、力を貸して欲しい』だっけか?」

さやか「うっわー、なんかその言い回し方、マミさんみたい…」

マミ「素敵な言葉だったわよ!胸にこう、ジーンと来る感じで」

ほむら「くすっ」

マミ「?」

ほむら「この言葉は、全てあなたの受け売りよ、巴マミ」

マミ「え!?」

ほむら「今こうして私が皆といられるのも、あなたのおかげ」

マミ「え、あ、うん。そ、そうなんだ。えへへ /// 」

杏子「おいおい、大胆に告白か?」

さやか「ひゅーひゅー」

ほむら「勘違いしないで、私は鹿目さん一筋よ」

マミ「そこは嘘でもいいから、そうだって言ってほしかったのにぃ」

まどか「ウエヒヒヒ」

ほむら「ふふふ」

巴さん、あなたのおかげで私は永遠の旅路の終点につくことができました

私はいつまでも、この平和な日々を守り続ける様頑張ります

だからどうか、あなたの旅路にも幸せな結末が訪れることを祈っています

おもしろかった、乙!

ほむら(巴さん…)

ほむら(頑張って……)


まどか「ほむらちゃん、チャイムなっちゃうよ?教室に戻ろっ」


ほむら「ええ、わかったわ、まどか」

~Fin~

長い文章遅くまで読んでいただきありがとうございます。
全体的に重いお話になってしまいましたが、一応のハッピーエンドという形になったのではと思います。

※本編のワルプルギスの夜はコミック版に近い感じです。歴代の魔法少女達の影が戦う光景、見てみたいものです…
※いつ書いても思うのですが、ワルプルギスの夜の対処方法が思いつきません
普通に戦ったら、どうあがいても勝てるイメージがわかないものでして(´・ω・`)
※あんこちゃんの出番、少なすぎました…orz  次こそは…

誤字があったり、ボロがでたところも少しあったりしましたので、
今後の反省点としてなんとか生かしていきます(´・ω・`)
やはり、ストーリーを考えるということは難しいけど、楽しいものです。

どうもありがとうございました!

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