あかり「一人ぼっち」(156)

今日も朝早く起きる。


下に降りて、大量の食料の中から適当に見繕って朝食を取る。


おいしい。
でも…やっぱり、一人で取る朝食は寂しいなぁ。


…ダメダメ!元気出して…


顔を洗って、歯を磨いて、制服に着替える。


よし、準備万端!
私はドアを開けながら元気よく叫ぶ。


「あかり、学校行ってくるねー!」

家から出ると、ポストに新聞がささっている。
いつも、いつのまにか、ささっているんだよね。


「毎日、誰が書いてるんだろう…?」


新聞には今日の天気と…一言。


「赤座あかりは一人です」


それしか書かれてない…。
でも、天気は気になるから、毎朝学校に行きながら読んでる。


車が通らないのに点滅する信号。


遅刻しそうになるけど、
一人になる前のクセで、無視はできない。


「学校に遅刻しちゃうよぉ…」

「はぁっ、はぁっ…」


8:25。
誰も居ない校舎へ到着する。


「ま、間に合ったよぉ…」


さっそく、教室に向かう。


机が一つしかない教室へ。

教室に着く。
ドアを開ける。


「…おはよう」


むなしく響く声。


1時間目:数学
2時間目:理科
3時間目:道徳
4時間目:国語
5時間目:社会


毎朝、黒板に8:25から8:30まで表示される時間割。


いつもどおり、私は慌ててメモする。

キーン…コーン…カーン…コーン…


8:30。
数学が始まる。


バサッという音を立てながら、私の机に必要な教材が落ちる。


「今日の黒板の指示は…書いてある説明を元にして問題集を解きなさい、かぁ…」


カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ


黒板に説明が表示される。


あいかわらず分かりやすいなぁ。

理科も終わり、道徳。


黒板には…


「…えっ。グループ学習っ!?差別にりついて話し合え…!?」


「ど、どうすればいいの…グループ学習なんて出来ないよぉ…」


カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ…


はやくしろ。


そう黒板に表示される。


「ひっ…」


冷や汗が大量に出てくる。

「あっ、えっと…ちなつちゃんっ!どう思う!?差別について!」

「…ふむふむ…櫻子ちゃんは?」

「…え~。もっと真剣に考えようよぉ。向日葵ちゃんは?」

「…む、難しいね…あかりは、差別なんて無くなるべきだと思うなっ」


チラッと黒板を見る。


カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ…


「ひっ…」


真面目にやれ。あと5分だ。


そう表示される。


カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ…


はやく。はやく。はやく。はやく。はやく。はやく。はやく。はやく。はやく。



黒板を埋め尽くす文字。


こんなことは、一人になってから初めてなので、なかばヤケクソになる。



「…あかりはっ!世界から差別されて悲しい!一人ぼっちで悲しい!」

「だから差別されてる人の気持ちも分かるんだ!だから…」

「差別なんて無くすべきだよっ!!ねぇ、皆はどう思う!?ねぇ!?!?」

「…返事してよっ!!誰か…」

「…………………」

「…お願いだよぉ…っ」


思わず泣いてしまう。

           /,    ヽ \
             ,'.,       `、ヽ,
         //-─'''''''─-、,!.  ', _,,,..-‐''''",二ニ‐-、
     _,,,.-''"   ._      `ヽ!,,.-‐'''"      ,','
    |,.  _  i'"::::::L,,,!::`i__,,i''''ヽ, ヽ、      ,r'
   く   (::::::L,,/::;'::::;':::;:::::::;':::::::::::;':L,,,,_\     ,r'
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   .,r':::::;:'::r-!::'ーr、;;;;/ .|::;':::;'::::::::::::::::/::::::r` ``ゝ
  ,r'::::::;:':::::i .,!::::::|_,,,,_  ``'''-、;::::::メ/::::;'::::'ーi  「
,..--─--、;::`i:::::;::!  `ヽ    ,.-==,く`ソ:::::;':::i`''"
       `|:::::;::|       !;;oソノ ./\:::/リ
        |::::::;::|   !ー、_,'  `''" /:';:::::`!     非常に興味深いスレですね
         |:::::::;::|.  'ー     ./:;;:-''"`\
       .|::::::;;:::|ヽ、,,,,...... -‐''i:::;r'" `'''`ヽ,ヽ
     ,.-┴''"ヽ``,`'、  !.,'  '/   /`ニ=_,ノ!
    .,r'   ヽ、`i !ノ  ','   i'    _,フ'-:'":、
   /  '" `i i .ノノ-' ', !  i    「  ';::::::::::::`、

カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ…


お前は一人だ。
だからグループ学習なんてできるわけない。
真面目にやれ。


そう表示される。


「っ…!!グループ学習してって言ったのは誰なのぉっ!?」


カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ…


ノルマが達成出来ないなら、それ相応の罰を与えます


そう表示される。


もう嫌だ…怖いよぉ…!


この部屋が…一ヶ月前まで慣れ親しんだ家が…怖いよぉ…!

家に帰っても。
教室に来ても一人。


また、そのことを自覚する。


泣いてしまう。


「えぐっ…ぅぅ…みんなぁ…助けてよぉ…!!」


カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ…


罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰


そう表示される。


あまりの恐怖に…慣れてきたはずなのに。


いつも頭の隅で考えていたことが爆発するように…口から溢れ出てくる。

「ぁあぇいぁあう嫌ぁぁああぃぁ!!!!返して!!!!」


泣きじゃくりながら黒板をドンドンと叩く。


「返して!みんなを返して!ねぇ、何であかりは一人なの!?おかしいよねぇ!?みんなはあかりを見捨てたの!?あかりは一生このまま一人ぼっちなの!?嫌だ嫌だ嫌だ!!嫌だよぉ!!」


「お母さんは!?お父さんは!?お姉ちゃんは!?ちなつちゃんは!?向日葵ちゃんは!?櫻子ちゃんは!?京子ちゃんは!?結衣ちゃんは!?先輩は!?」


「何で!?何であかりだけ!?」

カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ…


体調不良のようですね。
罰はもう終わったので、今日は帰っていいですよ


そう表示される。

「っ…罰が終わった…!?…どういうことなの…っ!?」


カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ…


このプリントを配布します
また明日


ピラッ


「…?」


そのプリントのタイトルは…


「みんなが居る場所」だった。

         ___     ///〉
          {//////>=厶=‐┴─‐-=ミ
         ∨//> ´           `´ ̄二ニ=ミ ☆
         r=ァ ´            ヽ   、    `ヽ ☆
.          〉′       i    ヽ  ;. : .\   ヽ\
         /         }  i: .     ∨:}\: :. ヽ   ハ `
       ′     i   .;ハ :人: : .   :ト{  }Nト :ハ  ヽ}
        |    i /' j//`ヽ: . / .ィ巧トv: : } :ト〈
        |      ′ ′    }/} {{ ,ハ Ⅵ∨ ハ!
        |     ‘{ vr ==㍉      V㏍  { レ′
        |: ☆   ! ‘´        ,   、、 : {    きゅぴーん
    ☆  |:!  |i   ‘, 、、、          从
.        从 :|{:.   ',     ー -    .: :,′ _」`ヽ __
       / : : 八:   |`V ∩           イ :/  ヽ    r'
.      / . : /: : :ヽ.| l | |:ト . __,. </ j:/   し'ヽ.ノ
     / . : 斗=ミ⌒ | |V 从   /、_:_:/_/ /         ☆
.    / :/     >'  、 {/,ハ 'ーv'/// 厶
   /r‐┴      / _ヽノ ∨斗っ|// /ニ}ヘ  ☆
.  /       { └く  ´ x:くハ^|/.′.仁7 }i

/⌒丶.   斗‐ァ-{  ノ  /∨//} |/{  {ア  八ヘ

「!…この、みんなって!?」


このプリントを配布します。
また明日


「…今日は、終わり…」


さっそくプリントを読む。

「みんなが居る場所」

ここに、みんな居るよん!
一人ぼっちのあかりちゃん!
寂しいかな~?
だったら、早くおいで!
場所は下の図↓



プリントには期待していたよりも短い文と、場所が記載されてる。


「…行ってみるしかないよね…」

                    __
       ___/,.ニ´,.--、\____          ___                 __
      /-‐──‐{   }{   } , ---,ヽ     /,. --、ヽ          /,.-‐┐}
    / /        厂⌒ー‐'´/  / 〈___,//   //    _,.-─v‐'′/  //
     {└──┐  l / ̄l /  / ,.-──┐/   //ノ,.ニニ,ニ、/ ̄/ ̄//   ヽニニニヽ
     ` ̄ ̄7 ,′  l |   l l   l 〈____ //   / ' /  / /  /'  //        //
         / /   / ,'   j l   |_ノ ̄/ r‐, /   /_,/  /L./ー/   //    ト、___//
     __,//   / /   //       , ' , ' //        , ' _ノ /  //   / r─-'′
   /rー‐'    //   /,/     //  l l       / ,ニニ-'′ //   / /
    { l___/ {___,/ 〈__//   { l___,/ /l {____/ {__/ /
   `ー─-'⌒ー─‐'⌒ー‐─‐'′    `ー──‐'´  `ー──‐'⌒ー─‐′
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                      /       厂l  / //    └;‐'’/ /‐┘ └┐
                      `フ  '=ニ{  |,/ /   `7 /,ニニニ、/ /ー┐ r‐′
                       / _   ,-、 ヽ‐ヘ.  \  ノ / 'ー‐一'/ /  / /
                    {  (ノ / 丿 丿  ヽ   l/  /厂l__l  7r‐'′/
                    ヽ_/厂_/    |_」l__,/〈_____/`ー'〈_/
                         ̄

校門から出る。


「よし…校門を出て右…左…」


図の通り、歩いていく。


「…あれ…?」


途中から違和感を覚える。


「あかり…この道、知ってるよ…?」


違和感は…どんどん既視感に変わっていく。


「…嫌な予感がするよぉ…でも…みんなが居るなら…」


                / 二`く: : / : : _:\{{_
              {l 厂} ヽ} : : : : : ⌒ ̄: :\`__
               /:〉:_ノ_:イ: : : : :/: : : : : : : : 、┐ハ
               7: /: : :|: /:|: : : :/:./.:.: : : : :| : : : : : |
           //: : : :/|/: :|: : :/:ム-く|:|: : : :| : : : : :├: :、
             ⌒ \/: |: /| : /|/_ |/ lメ: : : :|:/|: :|: : |V:〉}
               / : : /|/: | : アヵリヽ l: : : :/_ l /: : :|:.}ソ
           / : : : (|: : ∨ 乂ン  |/l/  メ: :/:ハノ: }
              {/|: : : : | : : | 〃〃    アヵリヽ/: /: : ハノ\
             |ノ|: : :| : : |      , 乂ン ムイ/:/レ\}⌒
             | : 人: lノ   「  、 〃〃_./: : |イ
             レ r「N  \ ー '   ノ>\l: |_
               //⌒\\ 「三「ト从Ε   У:.\ ⌒ ☆
             //.    \\У/| \ 〉ァイ: :/〉
            /ニ{   \   \Χ :|   ヽ/: : : : : :\
           ∧ニニ∧   \  }\N   |ニヽ : : : : : L
              \ニ∧ |      >┴i  。>   |ニlハ: : : : : : :}
            ⌒ |   /ニ/ニ〉「| |_ノニll人: : : : :{
               | /ニ/ニ/\| | {='' へ-: : : ノ
                   くニ/ニ/ : : : : \  ̄    ̄
                Υ┬イ \_:_:_:_: : \
                 | |  |    \: : : : : :\
                厂\   |     \: : : : : :\
                  /   \      |l\: : : : : :\
                /       \      ||:::| \: : : : : :\

「…あっ!!」


着いた。


昔、結衣ちゃんや京子ちゃんとよく遊んだ公園だ。


一人になる前も、ちょくちょく来ていたので、ハッキリと覚えている。


ジャングルジム。
ブランコ。
給水所。


見慣れた物がいっぱいだ。


でも…


何個か、見慣れない物が置いてある。

        / : : : : : /. . . . . . . . . . . . . . . . . . . \
        ,': : : : :/. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .\
         : : : : / : : : : : \: : : /{ : :|: : : }ヽ : : : : : : ヽ
       l: : : /: : : : / : / j\/八: :¦: : :/ }/: :l : : :ハ
        | : : ': : : : : i: :ィf笊弐く__\}: : :/ イ:∧: :|: :| : : |
.      | : : {: :j{ : : {∨ { .::;心   ノ/ f笊ミx :|: :|∧ |
.       |: : : ∨i : :八  乂こソ       { ::;x} ∨:/  }ノ  とととととととととととと歳納京子!?
.        |: :/ :{|: : : 丶 _ /////V:ツ {:(__
      | /: :八从: : : : : / /⌒ ー 、    j: : : :/
      〉: :/.:.:.:\ゝーイ  /      |   u .: : /
.     /: :/.:.:.:.:.:.:.:|: /八  {       |   イ‐く
     : : : .:.:.:.:.:.:.:.:}/ : /ト 、ゝ       ノ  イ: :}
     |: : .:.:.:.:.:.:.:.:/ : /: |  }> ニニ r<ノ :ノ :ノ_
     |: : :.:.:.:.:.:.:.,' : : : : | r|     }/: : :/:::/> 、

     |: : :.:.:.:.:.:. i: : i : : |イノ    〃/: /::://   \
     |: : :.:.:.:.:.:._{: : l : : |::ト- __-‐/:∨ /::://   ,  ⌒\_
     |: : :.:.:.:/人从: : |::|/==∨:::::∨─── 、 /   /::::入
     |: : :.:./ \\::::\|::{::::::::::/:::::::/ア7 , ─ \ /:::::/::::::〉

     |: : :/   \\:::::::':.,::::/::::// 〈 / / ̄  \/:::::::. く
     |: :/   ∨ \\::::∨// rー‐〈_/_/⌒ヽ  \/  \

     ∨    ′   >r云K´   `ー─ 、 _     \    \
.     /::\   |     |ー‐ |         }   `\   \    ヽ

棺桶だ。


何個か、棺桶が寝転ぶようにしてズラッと並んでいる。


真っ黒の棺桶。


「…ひっ…」


カタカタと体が震える。


「なにこれ…怖い…」

なぜか、その棺桶には触れるべきではない気がした。


なにより不気味だし…


そのまま帰ろうとすると


聞き慣れたテンポの音が後ろで聞こえる。


カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ…


発している音は少し違う感じだけど、このテンポは聞き覚えがある。


これまで、私を散々怖がらせた音。


あの黒板に文字が表示される音だ。


思い切って振り返る。

地面だ。
広がる白い砂の中に、色が濃い線が。
予想通り、文字が書かれている。

棺桶を開けろ棺桶を開けろ棺桶を開けろ棺桶を開けろ棺桶を開けろ棺桶を開けろ棺桶を開けろ棺桶を開けろ
全ての棺桶を開けてこい。
でないと、また罰を与えるぞ。


そう書かれていた。

「っ…っ…!」


手が震える。
足が震える。

怖い…怖い…


カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ…

はやくしろ


文字が消えたと思ったら、また表示される。


「っ…やれば…いいんだよね…そうだよ…っ…ここで怖がったら…」


「一生一人ぼっちかもしれないんだ…もしかしたら、これはチャンスかもしれない…」


そうやって、自分を奮い立たせる。


棺桶は、幸い一直線に並んでいる。
端から一気に開けていけばいい。


「ふぅーっ…はぁーっ…」


「…えいっ!!!!!!!」


開けた。

京子ちゃんだ。







眼球が無いけど








京子ちゃんだ。

「?」


ゴシゴシと目をこする。


今のは…?


…ああ。そうだ…



眼球が無いけど





京子ちゃんだ。

「……………」


手を触る。


冷たい。


死んでる…


「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ」


あまりの衝撃に受け止めきれない。


でも、息が荒くなってくるのは分かる。


「…ぁあ、はぁっ…」


次の棺桶を開ける。

頭が無い結衣ちゃんだ。


これもすぐに視界の隅に追いやって、次々と棺桶を開けていく。


「はぁっはぁっはぁっはぁっはぁっはぁっはぁっはぁっはぁっはぁっはぁっ」


受け止めきれない。


「おぇ、はぁ、ぅぅ…!」


腹に穴が開いている。



ちなつちゃんだ。

足が無い櫻子ちゃんだ。
腕の無い向日葵ちゃんだ。
血だらけの杉浦センパイだ。
首に絞められた後がある池田センパイだ。
たくさんのアザがある千鶴センパイだ。
頭しか無い西垣先生だ。
髪の毛しかない松本会長だ。


そして最後。


少し大きい棺桶だ。



勢いで開ける。

体が入ってない。


代わりに手紙が入っている。


手に取って読んでみる。








「赤座一家からあかりへ送る言葉」

「母より。あなたは一人です」
「父より。あなたは一人です」
「姉より。あなたは一人です」


たった、それだけだった。


「・・・・・・・・・・・・・」


カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ…

もう帰っていいですよ。
お疲れ様でした。



「・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・」


どこを歩いてるんだろう。


「・・・・・・・・・・・・」


もう、どうでもよくなってきた。


「・・・・・・・・・・・・」


あんなものを見せられて。
少しの希望も絶たれて。


どうすればいいんだろう。

歩いていると、自分の家が目についた。
行く場所も無いので家に帰る。


何気なくテレビを点ける。


いつもならザーザーと砂嵐が流れるはずのテレビ。


今日は違った。




「…おいこら…」

「…ちょっとぐらい、いいじゃん…」


楽しそうにごらく部の部室に集まるみんなの姿が写っている。

なんだろ、これ。

皆いる。


お母さんとお父さん以外の、棺桶に入っていたはずの人が

みんな集まっている。

「や、やめとけって…」

「そうですよぉ…これはヒドイ…ぷふっ」

「あー!今ちなつちゃん笑ったよね!?じゃあOKだ!」

「歳納京子!こんな時にも、またしょうもないことして!」

「いーじゃん~イタズラしたくなるんだよ~」

「あはは~歳納さんらしいやんか~」

楽しそうだなぁ…


「ぷふっ…ちょ、やめなさい歳納京子…」

「いーじゃないですか杉浦センパイ!私達が主人公なんだし♪」

「…櫻子!あなたまで便乗して!…ぷっ…」

「向日葵は黙ってて!てゆーか笑ってるし!」

「…」

「ああ。お前の言うとおりだ。仲いいな。あの二人は」

「「仲良くないですっ!!」」



「…よし!完成!…いやぁ、なかなかやるねぇ」

「いや歳納センパイこそ…」

「…はぁ。怒っても知らないからな?」

「大丈夫だって!」

「はぁ。私みたいな芸術センスを磨いてくださいよー…」

「え。あ、ああ…そうだね」


涙が出てきた。


なんで、あかりは差別するの。


なんで皆だけで楽しそうにパーティーの用意してるの。

「よーっし!こんなもんかな?千鶴~?」

「私に聞くな」

「…私の絵…なかなかじゃないですか?結衣センパイ!」

「え、うん。そ、そうだね」

「…こ、怖いですわ…」

「そう?慣れたら意外とラクなもんだけど」

「芸術は爆発だ。な、松本?」

「…」

「あーもうっ!始めるよ?」






「それじゃ…」



「あ、お願いします」




「あかり、起きて。寝てる間にみんな用意してくれたのよ?」

「ん…あれ?」

「起きたわね…」




壁にはちなつちゃんのおぞましい絵と、
「一年生歓迎&親睦会」の看板。


見上げると、微笑んでるお姉ちゃんが。

私を撫でてくれてる。


「カンバーイ!あかりも早く…ぷふっ」


…まさか…夢?

あはは…

こんな絵に囲まれてちゃ夢も見るよね…

頭にとても安心する感覚を感じながら。

私の顔を見て笑うみんなを愛しく思いながら。

部室を愛しく思いながら。

私は微笑む。


今、これを言ったら意味わからないだろうけど


改めて気づかされたから、言っておこうっと。


「みんな、大好きっ」



おわり


綾乃千歳千鶴はどうなったん?

京子の場合
京子「ユイ、ドコ?ドコイッタノ?ユイユイユイユイユイユイユイユイユイユイユイユイユイ」

京子「……ユイ イナイ。オイテカレタ。ヒトリ。ワタシ、ヒトリ。ヒトリ ハ イヤ」
京子「ユイ ニ オイテカレタ」
京子「ユイ ニ オイテカレタ」
京子「ユイ ニ オイテカレタ」
京子「ユイ ニ オイテカレタ」
京子「ユイ ニ オイテカレタ」
京子「ユイ ニ オイテカレタ」
京子「ユイ ニ オイテカレタ」

京子「オエーッ」ゲロゲロビチャビチャ
京子「オエーッ」イエキ

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