エレン「兵長に四肢切断されてから回復する気配がない」(243)

エレン巨人「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」

アルミン「まずい、このままじゃエレンが女型の中身ごと食い殺してしまう!」

ジャン「おいおい、エレンのやつまた暴走したのか!?」

リヴァイ(ちっ、仕方ねぇ! まだ足が痛むが、ここは俺がやるしかない!)

ヒュン!

リヴァイ(上手くうなじの表面だけ切り裂いて、あのバカを引っ張りだす!!)

ザシュッ

エレン「ッ!? ああああああああああああああああああああああああああ!!」

リヴァイ「!?」

リヴァイ(い、今……明らかに手応えが…………)

ミカサ「エレン、どうしたの!?」

エレン「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

ミカサ「え、エレン! しっかりし――」

ミカサ「………………………………え?」

ミカサ「エレン……う、腕は? 脚は?」

リヴァイ(…………おい、待ってくれ。まさか、俺はまさか)

アルミン「ど、どうかしたの!? 早くアニを捕まえないと!!」

ピキピキピキピキ

ジャン「おい、アニが結晶化しやがったぞ!」

ミカサ「そんなことはどうでもいい!! エレンが、エレンが!!!」

エレン「ああああああああああああああああああああああああ腕がああああああああああ脚があああああああああああああああああああ!!!」

ミカサ「エレンしっかりして! 治療を……ハンジ分隊長、早くエレンを助けて!!」

ジャン「なんだよこれ……エレンの手足はどこ行ったんだよ!?」

アルミン「まさか……さっきのリヴァイ兵長の斬撃で……」

リヴァイ「…………」

ハンジ「た、大変だ! 早くエレンを医療班のもとへ運ぶんだ! このままじゃ本当に死んでしまう!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――

――――――

ハンジ「…………」スタスタスタ

ミカサ「!! ハンジ分隊長、エレンは……エレンは助かりましたか!?」

ハンジ「手術のかいあって……と言うより彼の体力のおかげかな、無事一命は取り留めたよ」

ミカサ「よ、良かった……」

ハンジ「ただ……その……」

アルミン「? どうかしたんですか?」

ハンジ「彼の四肢についてなんだけど……」

ジャン「そ、それなら巨人の力で回復できるんじゃないんですか?」

ハンジ「私達もそう思ってた……思ってたんだ…………でも」

アルミン「待ってください、それって」

ギィ……

エレン「…………」

ミカサ「あ………あ…………エレン…………」

エレン「…………」

ジャン「エレン、お前……」

アルミン「嘘だろエレン……どうして、どうして四肢が回復していないんだ?」

エレン「…………」

ハンジ「切断された肉体は全く回復しない。今の彼は、自分では何をすることもできない体だよ」

ミカサ「…………嘘」

アルミン「体力を消耗し過ぎて回復が遅くなっているだけでは?」

ハンジ「遅いんじゃない、完全に回復が止まっているんだ」

ジャン「また巨人に変身すれば、四肢も復活するんじゃ……」

ハンジ「私もそう思って、さっき彼に巨人化を試させたよ。でも駄目なんだ、彼は巨人に変身することもできない」

ハンジ「エレン・イェーガーは、身体回復能力を含めた”巨人の力”を完全に失っている」

リヴァイは悪くない……!!(震え声)

ミカサ「エレン……エレン…………」ポロポロ

エレン「…………」

アルミン「どうして回復しないんだ……どうして力を失ってしまったんだ。エレン、何か言ってくれ。お願いだ!」

エレン「…………」

エレン「俺は……巨人どもを一匹残らず駆逐するんだ」

アルミン「!」

エレン「たくさんの訓練を乗り越えて……巨人どもを駆逐して…………絶対に外の世界を探検するんだ」

エレン「探検するんだ」

アルミン「エレン……」

エレン「だから、こんなところで足踏みしていられないんだ……」

エレン「足踏みする足ももう無いけどな……」

ジャン「…………」

エレン「なんだよ、つまらなかったか? 我ながら上手いジョークだと思ったんだけど」

エレン「じゃあこれならどうだ。俺は絶対に自由を掴みとる」

エレン「掴みとる手もないけどな」

ミカサ「エレン、もうやめて」

エレン「なんだよ、そんなに面白く無いのか俺のジョークって」

エレン「仕方ねぇな、じゃあ…………ああ、子供の頃みたいにダルマさん転んだでも――」

ミカサ「もうやめてエレン!」

ミカサ「これ以上自分を苦しめないで! そんなつまらない冗談を言ってももう、あなたの体は――」

エレン「分かってんだよそんなことは!!!!!!!」

ミカサ「!!」ビクッ

エレン「俺はもう巨人に変身できない……それだけでも絶望的だ。せっかく巨人どもに対抗する力を手に入れたのに……」

エレン「でも巨人に変身できないだけなら、俺も一人の兵士として……調査兵団の一員として巨人と戦うこともできたんだ」

エレン「でも、今の俺は違う」

エレン「腕が無い」

エレン「脚もない」

エレン「戦えない」

エレン「なんだよこれ、どういう仕打ちだ? 俺は巨人に立ち向かうことすら許されないのか?」

エレン「なんでだよ」

エレン「なんでなんだよ……」

アルミン「エレン…………」

エレン「ごめんな、アルミン。一緒に外の世界を探検しようって約束、果たせないみたいだ……」

エレン「ごめんな……ごめんな…………」ポロポロ

アルミン「謝らないでくれよ、エレン。そんなふうに謝られたら、僕まで……」

アルミン「う…うぅ……ああああああああああああああ!!!」ポロポロ

ミカサ「…………」グスン

ミカサ「ねぇ………」

ミカサ「さっきから黙って……何か言うことはないんですか、リヴァイ兵長」

リヴァイ「…………」

ミカサ「何か言うことはないんですか?」

リヴァイ「……………………」

リヴァイ「すまない」

ミカサ「それだけ?」

ミカサ「それだけなの?」

リヴァイ「…………」

ミカサ「誰のせいでエレンがこんな姿になったと思っているの?」

ミカサ「あなたが切断したんでしょう、エレンの四肢を」

リヴァイ「…………」

ミカサ「……殺してやる」

ミカサ「殺してやる!!!!!!」バッ

アルミン「よ、よすんだミカサ!」ガシッ

ジャン「落ち着け!!」ガシッ

ミカサ「離して二人とも! 私はこいつを殺す!!!」

エレン「やめろミカサ!!」

ミカサ「!? え、エレン?」

エレン「兵長は……悪くないんだ」

ミカサ「何を言っているの、エレン。こいつがあなたの体を!」

エレン「俺が暴走した時、兵長が俺の四肢を切断して巨人の体から引っ張りだす」

エレン「これは事前の話し合いで既に決まってたことなんだよ」

ミカサ「!!」

エレン「巨人の力を失うだなんて、いくら兵長でも予想のしようがない」

エレン「だから、あの人は悪くないんだ」

エレン「むしろ悪いのは……理由も分からないまま巨人の力を失って、全人類を失望させることになる俺のほうなんだ」

エレン「だから……リヴァイ兵長は何も悪くないんだ……」

リヴァイ「…………」

エレン「すみません、兵長。ミカサが失礼なことを」

リヴァイ「…………」

エレン「俺はあなたは何も悪くないと思っています。全ては俺自身の責任です」

エレン「でも…………」

エレン「二度と、俺にその顔を見せないでください」

リヴァイ「!」

エレン「分かっているんです、頭では分かっているんですよ、兵長は悪くないって」

エレン「でも……それでも…………俺は今、あなたのことが心の底から憎いんです」

エレン「本当にすみません、兵長…………」

リヴァイ「…………」

リヴァイ「そうか」

スタスタ

バタン

~病室の外~

リヴァイ「…………」

ハンジ「辛そうだね、リヴァイ」

リヴァイ「そう見えるか?」

ハンジ「見えるよ。表情は相変わらずだけど、私にはなんとなく分かる」

リヴァイ「……俺はいったい、どう声をかければよかったんだ、ハンジ?」

リヴァイ「今まで、俺の判断のせいで仲間が犠牲になることは何度もあった。でも、”俺自身”が仲間を犠牲にすることはなかった」

リヴァイ「だから俺には、あいつに何を言えばいいのか本当に分からなかった」

ハンジ「私にだって分からないよ。ただ……」

ハンジ「しばらくは彼に顔を見せないほうがいい」

リヴァイ「…………」

ハンジ「私はもう行くよ。エレンには復活してもらわなくちゃ困るからね、なんとか方法を模索してみる」

リヴァイ「あぁ……」

リヴァイ「どうせまたトカゲみたいに生えてくるんだろ?気持ち悪い」ドヤァ

リヴァイ「」

リヴァイ「…………」

リヴァイ(俺のせいなのか)

リヴァイ(ああ、そうだろうな。本調子の俺なら、あのうなじを上手く削いで、エレンを無傷で引きずり出すこともできた)

リヴァイ(だが俺は失敗した。この足の怪我のせいで……)

リヴァイ(いや、言い訳か。たとえ本調子じゃなくても、俺ならそれができたはずだ)

リヴァイ(完全に俺のミスだ)

リヴァイ(俺のせいで、エレンが……人類の希望が…………)

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――

――――――

ミカサ「はい、エレン。朝食……」

エレン「…………」

ミカサ「た、食べさせてあげるから」

エレン「いらねぇよ」

ミカサ「駄目。食べないと死んでしまう」

エレン「はは、何言ってんだミカサ?」

エレン「俺なんてもう、死んだようなもんじゃねぇか」

ミカサ「エレン……」

エレン「自分じゃ何もできない。お前の手を借りないと、自分の口にパンを運ぶこともできない」

エレン「なぁ、これって生きてるって言うのか? 俺はただ、生かされてるだけじゃないのか?」

ミカサ「エレン、そんなこと言わないで。生きる理由はこれから見つければいい。だからそのためにも、このパンを食べて」

エレン「……自分で食うよ」

ミカサ「私が食べさせてあげる」

エレン「いいからそのパンを置いてくれ。自分で食う」

ミカサ「……わかった」

コトッ

エレン「……くそっ」

ムシャムシャ

ムシャムシャムシャムシャ

ミカサ「え、エレン、そんな犬みたいな食べ方――」

エレン「うるせぇな、食ってるからいいだろ! こうでもしないと自分で食えないんだよ!!」

ミカサ「う……うぅ………」

ムシャムシャムシャムシャ

ムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャ

アルミン(今頃エレンは朝食を食べているだろうか。さすがにあの体じゃミカサに食べさせてもらうしかないだろうし、エレンも辛いだろうな)

アルミン(さて、病室に……って、あれ?)

ミカサ「お願いエレン、病室に戻って! そんな無理をして外に出ても――」

エレン「黙れっつってんだろ! 足なんてなくても、俺は自分で外に出れるんだよ!」ズル……ズル……

アルミン(ど、どうしてエレンが病室から出ているんだ。しかも、あんな芋虫みたいに這って……まさか自力で診療所から出るつもりなのか!?)

ミカサ「!! アルミン、エレンを止めて!」

エレン「そこをどいてくれ、アルミン。俺はこれから立体機動装置を取りに行って、巨人どもを駆逐してやるんだ」

アルミン「あはは、朝から何を言ってるのエレン……寝ぼけているのかい?」

エレン「冗談じゃない。俺は絶対に巨人どもを……」

ズル……ズル……

ズル……ズル……ズル……

アルミン「エレン、お願いだから病室で寝ていてくれ……そんな這いつくばっているようじゃ、巨人になんて勝てやしないよ」

エレン「…………うるさい」ズル……

エレン「俺はここから出る。止めないでくれ」ズル……ズル……

アルミン(ああ、なんだこの光景は)

アルミン(こんな惨めな姿を晒しているのが、あのエレン・イェーガーなのか? かつて勇敢に僕をいじめっ子から守ってくれて、勇敢に巨人に立ち向かったあのエレン・イェーガーなのか?)

アルミン「エレン、早く戻ろう」

エレン「嫌だ」

アルミン「そんなこと言わないでくれ。僕はこれまで、君に助けられてきた。だから今度は僕が君を助けたいんだよ」

エレン「おせっかいだ。俺は自分でできる」

アルミン「はぁ…………病室に連れて行くよ、ミカサ」ガシッ

ミカサ「わ、分かった」ガシッ

エレン「お、おい、やめろ! 離せ!! 嫌だ、連れて行くな!!! 俺は絶対に巨人どもを駆逐してやるんだ!!!」

エレン「絶対に自由を手に入れるんだ!!!」

エレン「絶対に母さんの仇を取るんだ!!!」

エレン「あああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」ポロポロ

リヴァイ「…………」

アルミン「!? リヴァイ兵長!」

ミカサ「どうしてあなたがここにいる……」

リヴァイ「…………」

エレン「あはは、何突っ立ってるんですか兵長?」

エレン「俺言いましたよね、二度とその顔を見せないでくださいって」

エレン「どうして来たんですか? もしかして、笑いに来たんですか?」

リヴァイ「そうじゃない」

エレン「じゃあどっか行ってくださいよ……今俺がどんな気持ちか分かってくれるでしょう?」

リヴァイ「すまん。だが、どうしても謝っておきたくてな」

エレン「謝る? それなら一言だけですが頂きましたよ。もう充分です、帰ってください」

リヴァイ「いや、ちゃんと謝っておきたいんだ。お前には……申し訳ないことをしたと心から思っている」

エレン「ははは、馬鹿言わないでください。そもそもあなたは何も悪くないんです。あの時勝手に暴走した俺の自業自得なんです……」

リヴァイ「…………」

エレン「そう、自業自得……自業自得…………」

エレン「なんて……」

エレン「納得できるわけないだろうが!!!」

リヴァイ「!!」

エレン「お前のせいで……お前のせいで俺はこんな惨めな姿になったんだ!!!」

エレン「お前のせいで俺は巨人とも戦えなくなったんだ!!」

エレン「お前のせいで、もう二度と母さんの仇をとることもできないんだ!!」

エレン「お前のせいで、お前のせいで!!!!」

リヴァイ「……すまない」

リヴァイ「本当にすまない」

エレン「頭下げた程度で許されるとでも思ってんのか?」

アルミン「エレン、もうやめよう。怒っても何も変わらないよ」

エレン「ふざけるな! 俺はこいつに何もかも奪われたんだ!!! ふざけるなふざけるなふざけるなふざけるな!!!!!!!」

ミカサ「……リヴァイ兵長、あなたがそこに立っているだけでエレンは平常を保てなくなる。早くここから去ってほしい」

リヴァイ「……すまない」

ハンジ「あ、いたいた。おーい、みんなー!」スタスタ

アルミン「ちょ、ちょっとすみませんハンジ分隊長。今立て込んでいるんで」

ハンジ「えーなになに? せっかくエレンが元の体を取り戻す方法を見つけてきたのに」

全員「!!??」

エレン「も……元の体に……?」

リヴァイ「それは本当だろうなハンジ!」

ハンジ「嘘はついてないよ。方法は見つけたんだよ、一応ね」

ミカサ「せ、説明してください! いったいどんな方法なんですか!?」

ハンジ「うん。まずね、エレンの体を調べた結果、実は巨人の力は完全に失われたわけではなかったんだ。ほんのわずかにだけど、身体が回復しているのを確認した」

アルミン「回復……じゃあ、いつかは手足が復活するということですね!」

ハンジ「それなんだけど、その回復速度から計算してみた結果……」

ハンジ「四肢が完全に回復するまで二百年かかる計算になった」

エレン「…………」

エレン「はぁ? に、二百年…………?」

エレン「それじゃあ、復活する前に寿命が来ちゃいますよ」

ハンジ「そうだね」

エレン「なんだよ……なんだよ、ぬか喜びじゃねぇか…………!」

ハンジ「いや、本題はここからなんだ」

アルミン(あの時、エレンにあんな発破かけなきゃ良かった…)

ハンジ「エレン、君の体なら移植手術が上手くいくかもしれない」

エレン「移植……ですか」

アルミン「ちょ、ちょっと待ってください。現代の医療技術では、仮に移植をしたとしても手足を本人の神経につなげることは不可能なはずです」

ハンジ「そう、本来ならね」

ハンジ「でも彼は違う。彼のわずかな回復能力を利用すれば、移植した後もすぐに神経に接続される可能性が高いんだ」

ミカサ「そ、それじゃあエレンは」

ハンジ「うん、完全に手足を取り戻すことができる」

エレン「ほ、本当に? 本当にですか?」

エレン「うっ……うぅ……」ポロポロ

アルミン「あはは、エレンまた泣いてるよ! 最近涙もろいね」

ミカサ「でもさっきの涙とは違う」

エレン「う、うるせぇ! ずっと怖かったんだ、ずっと絶望してたんだ。でも、これで俺もまたお前らと一緒に戦えるんだ……!!」

エレン「そ、それじゃあハンジさん、早速ですが手術をお願いします! たとえ巨人に変身できなくても、一刻も早くみんなと一緒に戦いたいんです!」

ハンジ「あー…………それがね、残念だけど今のところ移植用のドナーがいないんだ」

エレン「え?」

ハンジ「当たり前だけど、移植するには別の誰かの手足が必要だ。そう、”誰かの手足”が必要なんだ」

ハンジ「君を救いたいのはやまやまなんだけどね、さっきも言ったとおり私は”元の体を取り戻す方法”を見つけただけだよ」

ハンジ「方法はあっても材料がない。残念だけど、諦めてくれるかな」

エレン「…………」

エレン「そんな」

エレン「そんなのって……」

アルミン「ハンジ分隊長……それじゃああなたはエレンをぬか喜びさせただけだ。よくもそんなことを――」

ハンジ「私だって言うべきかどうか悩んだよ。でも一応方法だけでも教えてあげたほうがいいと思っただけ」

エレン「そう……ですか」

アルミン「いまこそ影武者の出番でしょ!」

ジャン「」

エレン「ははは、せめて右手だけでも元に戻れば、自分で飯を食うこともできるんだけどな」

エレン「俺はやっぱりこのままなのか……」

ミカサ「…………」

ミカサ「……エレン、病室に戻ろう。待っていれば、いつか腕を譲ってくれる親切な人が現れるかもしれない」

エレン「そんな親切通り越して狂ったような奴、いるわけないだろ……」

ミカサ「いいから病室に戻ろう。アルミン、手伝って」

アルミン「う、うん」

リヴァイ「移植か……」

ハンジ「うん」

リヴァイ「それは死体から切り取った腕でもできるのか? あまりこういうことはしたくないが、壁外遠征で死んだ仲間の死体を使うことも――」

ハンジ「残念だけどそれは無理だよ。切り取った直後にすぐ移植しないと意味が無いみたいなんだ。死体の腕を使っても遅い」

リヴァイ「ちっ、上手くいかないもんだな……」

ミカサ「…………」スタスタ

ハンジ「あ、ミカサ。どうだったエレンは。おとなしくベッドに就いてくれたかい?」

ミカサ「ベッドに入るなりすぐに眠ってしまいました。あなたがぬか喜びさせたせいでショックを受けたのだと思います」

ハンジ「そうかい……」

ミカサ「……ところで、ふと思ったのですが」

ミカサ「エレンの手足を奪ったのは誰だっただろうか」

リヴァイ「……………………」

ハンジ「ははは、どうしたのミカサ。怖い顔して」

ミカサ「…………エレンの四肢……彼はせめて片腕だけでもと言っています」

ミカサ「……………………」

リヴァイ(ああ、そういうことか)

リヴァイ(当然といえば当然だろうな。まさか謝るだけで何もしないと言えまい)

ミカサ「リヴァイ兵長」

リヴァイ「ああ、分かってる」

リヴァイ「分かってんだよ、くそっ……」

リヴァイ「ただし……右腕だけだ。それならエレンの望みどおり、自分で飯を食うこともできるだろ」

ハンジ「え?」

ミカサ「……本当ですか?」

リヴァイ「言っただろ。俺は今回の件であいつに心から申し訳ないと思っている」

リヴァイ「どう理屈をこねたって、お前の四肢を奪ったのはこの俺だ。だからせめて、腕の一本ぐらいでも……」

ミカサ「兵長……ありがとうございます。あなたの懐の深さに感謝します」

リヴァイ「やめろ、感謝されることじゃない。せめてもの罪滅ぼしだ」

ハンジ「それじゃあ本当にいいのかい、リヴァイ?」

リヴァイ「あぁ。元々生きるか死ぬかの戦いをかいくぐってきたんだ。腕一本失う程度の覚悟ならいつでもできてる」

ハンジ「……わかった。そこまで言うのなら移植に応じよう。リヴァイ、こっちへ……」

リヴァイ「あぁ…………」

ミカサ「…………」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――

――――――

エレン「」モグモグモグモグ

ミカサ「エレン……美味しい?」

エレン「あぁ、やっぱ自分で食べる飯は美味いな」

エレン「右腕一本だけでも、こんなに変わるもんなんだな」

ミカサ「それは良かった」

エレン「それにしても、誰なんだろうな。見ず知らずの俺に右腕を譲ってくれるなんて」

ミカサ「エレンは巷では救世主と呼ばれている。きっとあなたを応援する人が親切にも譲ってくれたのだろう」

エレン「そうなのか。でも俺、もう巨人に変身することもできないからなぁ、なんか申し訳ねぇ」

ミカサ「気に病むことはない。アニを捕まえることに成功しただけでも充分すぎるほどあなたは人類に貢献した」

エレン「だといいけど…………でもやっぱり」

ミカサ「やっぱり?」

エレン「左腕も欲しいなぁ……」

巨人「ギャーッ」ザシュー

リヴァイ「…………」

ハンジ「腕は衰えないね、リヴァイ」

リヴァイ「腕は減ったがな。まぁ片腕だけでも巨人は狩れる」

ハンジ「そうかい、でもあまり無茶していでくれよ。君は人類にとって最も欠かせない兵士なんだから」

リヴァイ「分かってる……ちっ、しかしハンカチで拭うときはやはり面倒だな……ん、あれは」

エルヴィン「大丈夫か、リヴァイ」

リヴァイ「エルヴィンか。見ての通り、おおむね良好だ」

エルヴィン「だと良いんだが」

エルヴィン「とにかく今日は撤退だ。君もその状態ではまだ慣れないだろう」

リヴァイ「気にし過ぎだ……だがまぁ、今日はそれに甘えさせてもらう」

ハンジ「そろそろお腹も空いたしね」

~カラネス区~

ハンジ「ふぅ、やっと街に戻ってこれた」

エルヴィン「では私は報告に行ってくる。後は任せた」

リヴァイ「分かった」

ハンジ「……おや、あそこに見覚えのある顔が」

リヴァイ「……!」

ミカサ「…………」

ハンジ「おやミカサ、わざわざ壁外に来て何の用だい? 君はエレンと一緒のはずじゃ」

ミカサ「エレンが左腕を欲しがっています」

ハンジ「あぁ、なるほどそういう…………え?」

ミカサ「だからリヴァイ兵長、今度はその左腕をエレンに譲ってください」

リヴァイ「…………」

ハンジ「ははは、何言ってるのさ。つい最近右腕を移植したばかりじゃないか。だいたい、リヴァイから左腕すら奪ってしまったら調査兵団にとっても大きな痛手だ。彼一人で兵士何人分になるか知ってるかい?」

ミカサ「分かっています。でも……」

ミカサ「兵長がエレンの腕を奪ったことには変わりないでしょう?」

リヴァイ「…………」

ハンジ「だからってそんな」

リヴァイ「わかった」

ハンジ「え?」

リヴァイ「ハンジ、人類最強とやらは引退みたいだ。調査兵団のこれからは任せる」

ハンジ「な、何言ってるのさ」

リヴァイ「これは俺の責任だ。俺に断る資格はない」

ミカサ「では、譲っていただけるんですね?」

リヴァイ「あぁ……くれてやる。化け物を狩るのにも飽きたしな」

ミカサ「それを聞いて安心しました。ではハンジ分隊長、移植のほうよろしくお願いします」

ハンジ「そ、そんな……」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――

――――――

エレン「ははは、見ろミカサ! 両腕だ! 俺に両腕があるぞ!」

ミカサ「良かった、エレンが喜んでくれて」

エレン「喜ぶに決まってるだろ! おかげで身の回りのことは自分でできるようになったんだ!」

エレン「左腕を譲ってくれた人には感謝しねぇと。しかもこの左腕、長さも右腕と同じぐらいだからバランスもいいんだ」

エレン「見ろよ、ミカサ! 一人じゃんけんもできちゃうぞ! ほら!」ジャンケンポン!

ミカサ「エレンが楽しそうで何より」

アルミン「ははは、それにしても驚いたね。もう一人エレンに腕を譲ってくれる人が現れるなんて」

ミカサ「それだけ親切な人がいるということ。世の中捨てたもんじゃない」

アルミン(でも、同じ長さの腕を持った人が都合よく現れるなんて……そんなことがありえるのだろうか。まさか、同じ人物が両腕提供したという可能性も)

アルミン(……いや、いくらなんでもそれはないか。見ず知らずの人間に自分の両腕を譲ろうと思うような人間、そうそういるとは思えない)

アルミン「さて、それじゃあそろそろ僕は行くよ」

エレン「え、どこ行くんだよアルミン。一緒にいてくれよ」

アルミン「そうしたいのはやまやまだけど、僕も調査兵団の一員だからね。悪いけど出発しなきゃいけないんだ」

エレン「あ……そ、そうか」

アルミン「ごめんね。一段落ついたらまた来るから」

バタン

エレン「…………」

エレン「そうか、アルミンは戦えるんだよな。俺とは違って」

ミカサ「エレン?」

エレン「俺も……俺にも」

エレン「脚があればなぁ……」

リヴァイ「…………」モグモグ

ハンジ「美味しいかい、リヴァイ?」

リヴァイ「あぁ。お前に料理ができるということにまず驚いたが」

ハンジ「酷いなぁ。わざわざこうやって付きっきりでいてあげてるのに」

リヴァイ「……すまない」

ハンジ「いや、いいんだよ。私も今は研究に集中するために壁外遠征には行かないようにしてるんだ」

リヴァイ「バカ言え。こんな介護なんてやってて研究に集中できるわけないだろ」

ハンジ「…………」

リヴァイ「無理しなくていいんだぞ。簡単な食料さえ置いといてくれれば、後は自分で食える」

ハンジ「そうはいかないさ。君が皿に顔をくっつけて食べるところなんて想像もしたくないからね」

ハンジ「ほら、あーん」

リヴァイ「……ちっ」

リヴァイ「ふん……味も意外に悪くないもんだ」モグモグ

ハンジ「…………」

ハンジ「ねぇリヴァイ、本当にこれでよかったの?」

リヴァイ「良かったかどうかといえば良くねぇな。だが何度も言ってるように、俺は罪滅ぼしをしただけだ」

リヴァイ「これは俺の自業自得。言わばこれは、エレンの腕を弁償したようなものだ」

ハンジ「そう………」

ハンジ「でもさ、リヴァイ」

リヴァイ「なんだ」

ハンジ「その理屈だと、今度は腕だけじゃなく――」

バタン

ミカサ「…………」

リヴァイ「…………!」

ハンジ「何の用かな」

ミカサ「…………」

ミカサ「エレンが」

ミカサ「エレンが脚を欲しいって」

ハンジ「あのね、ミカサ……君は今この状況を見て、その上で言っているのか?」

ハンジ「見てごらん、リヴァイはすっかり引退者だ。彼はもう戦うことができない。それどころか、自分でご飯をたべることもできないんだ」

ハンジ「こんな姿になってもなお、彼から何を取り上げるというんだい?」

ミカサ「最初にエレンから何もかも取り上げたのはそっちでしょう?」

ハンジ「…………」

ミカサ「巨人と戦い、母の仇を取る。そしてまだ見ぬ外の世界を探検をする。そんなエレンの夢を奪ったのはリヴァイ兵長、あなたです」

ミカサ「脚がなければエレンは巨人とは戦えない。探検だってできはしない」

ミカサ「まさか腕を譲ったぐらいで精算されたと思っているの?」

ミカサ「そんなわけない。腕だけでは何も意味は無い」

ミカサ「……返して」

ミカサ「返してよ」

ミカサ「エレンの脚を返してよ! エレンの夢を返してよ!!」

ミカサ「あなたが全てを奪ったんだ! リヴァイ兵長!!!」

アルミン (人間性捨てろってことになって内部戦争が起きるのかな……)

リヴァイ「……俺が」

リヴァイ「俺が脚を譲れば満足なのか……?」

ミカサ「あなたが奪ったのはエレンの四肢。つまり、後は脚さえ貰えれば精算される」

リヴァイ「…………」

リヴァイ「なぁ、だが待ってくれ。もし脚を譲ればあいつは確かに元通りだ」

リヴァイ「だが、それはつまりあの戦場に再び送られるということになるんだぞ」

ミカサ「!?」

リヴァイ「お前は確か、エレンを死なせないために調査兵団に入ったんだったな」

リヴァイ「それなら、いっそこのままでいたほうが、エレンも死地へ飛び込む必要もなくなる」

リヴァイ「そうすればお前も――」

ミカサ「まさか怖いんですか、リヴァイ兵長?」

人気投票の結果を見ろよ、全国のリヴァイファン敵に回すことになるぞ腹筋

リヴァイ「…………は?」

ミカサ「突然そんな言い訳がましく…………それは本当にエレンのことを思って言っているのですか?」

リヴァイ「それは……」

ミカサ「本当はただ、自分の脚が無くなるのが怖くて言っているだけではないんですか?」

ミカサ「リヴァイ兵長?」

リヴァイ「違う……俺は、そんなことで、怖がるほど、やわな――」

ミカサ「リヴァイ兵長……」

ミカサ「どうしてさっきから震えているんですか?」

リヴァイ「!?」

リヴァイ「何言ってんだ」

リヴァイ「俺は震えてなんて」

ミカサ「嘘つかないでください。さっきから小刻みに震えているの、バレているんですよ?」

ミカサ「ハンジ分隊長、あなたも気づいているでしょう?」

ハンジ「…………」

リヴァイ「違う、俺は、別に」

ミカサ「怖くない……そうおっしゃるんですか、リヴァイ兵長?」

リヴァイ「あぁ、俺を誰だと思ってるんだ」

ミカサ「なら」

ミカサ「譲っていただけますよね」

ミカサ「あなたの脚」

これはBADに定評のあるクリスタ巨大虫の>>1か?

リヴァイ「……分かった。エレンに俺の脚を……両脚を移植しよう」

ハンジ「何言ってるんだ、リヴァイ! そんなことしたら君の体は」

リヴァイ「分かってる。だがエレンの四肢を奪ったのはこの俺だ」

リヴァイ「その俺が代わりに四肢を失う……当然の報いだ」

ミカサ「分かっていただけて幸いです。ではハンジ分隊長、早速お願いします」

ハンジ「……エレンは、リヴァイの現状を知らないんだよね」

ミカサ「はい。もしあの両腕がリヴァイ兵長のものだと知れば、エレンも気に病むかもしれないと思ったので」

ハンジ「それで何も知らない彼にリヴァイの脚を与えるのか」

ミカサ「そうです。何か問題でも?」

ハンジ「…………いや」

ハンジ「分かったよ、移植をしよう。リヴァイも……覚悟はできてるね?」

リヴァイ「大丈夫だ、俺は……」

リヴァイ「大丈夫なんだ……」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――

――――――

エレン「うおおおおおおおおおおおおお!!」

ザシューッ

巨人「ギャアアアアアアアアアア」

アルミン「やったね、エレン! 絶好調だよ!!」

ミカサ「もしかすると、私よりも凄いかもしれない」

エレン「そうか? へへ、脚が戻ってから早速壁外遠征に参加してみたが、自分の体とは思えないほどスゲー調子いいんだよな」

アルミン「そうだね、見ていてもそれが分かるよ」

エレン「この脚といい腕といい、四肢の相性がバッチリだ。おまけに信じられないような身体能力も発揮できるようになってきた」

エレン「このままなら、ミカサどころかリヴァイ兵長をも抜かせる気がするぜ」

ミカサ「…………」

エレン「そう言えば……兵長にも会いに行かなくちゃな。俺、あの人に失礼なこと散々言っちゃったし」

ミカサ「その必要はない。あのチビがエレンにやったことを考えれば、別に気にする必要はない」

エレン「そういうわけにもいかないだろ。結果的にこうして元通りになったんだから」

ミカサ「元通りではない。エレンの巨人化能力は失われたままだ」

エレン「それは別に兵長が原因って確定したわけじゃないだろ?」

ミカサ「……いずれにせよ、無理に会う必要はない」

エレン「なんだよ、止めなくてもいいじゃねぇか」

アルミン「そう言えばリヴァイ兵長だけじゃなくハンジ分隊長も最近見ないね。壁外遠征に参加していないのかな?」

ミカサ「ハンジ分隊長は……研究に忙しいだけ」

アルミン「あ、そうなんだ」

パシューン!

エレン「お、煙弾だ。お前ら、そろそろ壁内へ帰還するぞ」

~カラネス区~

エレン「ふぅ、久しぶりに街へ戻った気がするな」

アルミン「と言っても今日はトロスト区へのルートの模索が目的だったから、数時間で戻ってこれたね」

ミカサ「初めての壁外遠征と比べたら大したことではない」

エレン「……あ、俺ちょっと行ってくる」

アルミン「ちょ……どこ行くのさ」

エレン「ちょっと野暮用だよ! お前らは先に戻ってろよー!」

タッタッタッタッ

エレン(確かこっちのほうにハンジさんの研究所があったはず)

エレン(もしかしたらそこにリヴァイ兵長もいるかもしれない)

エレン(リヴァイ兵長……この間のこと、俺からちゃんと謝らないと)

~ハンジの研究所~

エレン(ここがハンジさんの研究所か……兵長がいればいいけど)

バタン

エレン「お、おじゃまします」

シーン

エレン「えーと……誰もいませんかー?」

エレン(やけに静かだな……ん? ベッドの上に人影が)

エレン(……………………え、あれって……まさか…………)

エレン「へ……兵長……?」

リヴァイ「…………」

エレン(え、どういうことだこれ)

エレン(ベッドの上にいるのは確かに兵長だ)

エレン(でも……どうして、どうしてこの兵長には…………四肢がないんだ?)

エレン(どうして兵長がこんな姿になっているんだ!?)

エレン「へ、兵長! リヴァイ兵長!!」

リヴァイ「…………エレンか」

エレン「いったいこれは……どうして兵長がこんなことに!?」

リヴァイ「やはり聞いていないのか」

エレン「え?」

リヴァイ「お前のその腕と脚……誰が提供したと思ってるんだ」

エレン「え……え………まさか、これって」

リヴァイ「そうだ、その四肢は全部俺のだ」

リヴァイ「俺が罪滅ぼしとして譲ったものだ」

エレン「そんな……俺は別に、兵長にこんなことをして欲しかったわけじゃ!」

リヴァイ「なら返してくれるのか?」

エレン「!!!」

リヴァイ「お前には申し訳ないことをした。この姿になって、嫌というほどそれが身に染みた」

リヴァイ「今やハンジがいなければ一人では何もできない。まるで生きている心地がしない。完全に生かされている身だ」

リヴァイ「俺もこの体で一生を過ごすなんて、想像するだけでゾッとする」

リヴァイ「エレン……お前は返してくれるのか? 俺が譲ったその四肢を」

エレン「……………………」

移植を提案したのはハンジさんだったな
もういっそハンジ→リヴァイのヤンデレENDでしたー
で良いよもう(白眼)

エレン「無理ですよ兵長。俺への移植が成功したのは俺にわずかに巨人の力が残っていたからです」

エレン「兵長は人類最強といえど、やはり普通の人間です。もう、あなたに腕も脚も返すことはできない」

リヴァイ「分かってる…………だがお前、もし移植ができたとしても俺に返してくれたのか?」

エレン「え……」

リヴァイ「本当は最初から返すつもりはないんだろ」

エレン「それは…………」

エレン「それはそうですよ」

エレン「俺には夢があるんです。兵長にはないかもしれませんけど」

エレン「巨人どもを駆逐して、アルミンやミカサと外の世界を探検するという夢が、俺にはあるんです」

リヴァイ「それはこの俺を見捨てるほど大切なことなのか?」

エレン「はい。この夢は、俺にとって何物にも代えられない、絶対に叶えたいものなんです」

エレン「だから申し訳ありませんが、この四肢は絶対に返したくありません」

リヴァイ「っ…………!」

エレン「でも安心してください。兵長の四肢のおかげで今の俺は絶好調です。兵長の分だけ俺が頑張ります」

エレン「だから兵長……ごめんなさい、俺はもう行きます」

ギィ……

エレン「短い間でしたが、今までありがとうございました」

エレン「リヴァイ兵長のおかげで、俺はこれからも闘えそうです!」ニッコリ

バタン

唐突にリヴァイ班の死を思い出してしまった…

リヴァイ「…………」

リヴァイ「……………………」

スタスタスタ

ハンジ「あれぇ、さっきエレンの声がした気がしたけど、気のせいだったかな。あ、そろそろご飯だよリヴァイ」

リヴァイ「…………」

ハンジ「? リヴァイ?」

リヴァイ「…………ハンジ」

ハンジ「?」

リヴァイ「俺を殺してくれ」

ハンジ「え、何言ってるの」

リヴァイ「俺はこれから先、ずっとこの姿だ」

リヴァイ「ずっと…………それで、何のために生きるんだ? 生きる意味があるのか?」

リヴァイ「こんなの、生きてても仕方がない。だから俺はもう終わりにしたい」

ハンジ「…………もしかしてエレンに何か言われたの?」

リヴァイ「あいつには夢がある。だが俺にはない」

リヴァイ「目指すべき夢のない俺に、生へ執着する理由なんてない」

リヴァイ「もう充分だ。元々くだらないゴロツキだったのが、何かの間違いで人類の英雄だなんて呼ばれるようになったんだ。それで充分じゃねぇか」

リヴァイ「だからもう、この世を去りたい。これ以上生き恥を晒したくはない」

リヴァイ「殺してくれ、ハンジ」

ハンジ「…………」

ハンジ「……………………」

ハンジ「ねぇ、リヴァイ」

リヴァイ「なんだ」

ハンジ「実はね、さっき巨人の研究で面白いことがわかったんだ」

リヴァイ「? どういう?」

ハンジ「それは……いや、やっぱり内緒。でも、ちょうど実験をしてみたいと思ってたんだよね」

ハンジ「あー、でも都合よく巨人を生け捕りにできるわけでもないしなぁ。アニは水晶の中に閉じこもっちゃってるし」

リヴァイ「何の話だ、ハンジ」

ハンジ「別にー。とにかく、君の望みは今は叶えられない。また今度にしてくれ」

リヴァイ「俺を殺してくれるのか?」

ハンジ「…………」

ハンジ「さぁ、ね」ニコッ

え……ちょ…………え?

アルミン「あ、エレン。まったくどこへ行ってたのさ」

エレン「あぁ、悪いな心配かけて!」

ミカサ「本当にどこへ行っていたの?」

エレン「別に大したことじゃねぇってば。ちょっと街を散歩してただけだ」

アルミン「? 変なエレン」

エレン「はっはっはっ! そんなこと言うなよ!」

ミカサ「……なんだかさっきより元気に見える」

エレン「ん、そうか? まぁそうかもな」

エレン「なんていうか、逆に今は気分が晴れ晴れとしてるんだ。なんでだろうな? ははっ!」

ミカサ「?」

アルミン(よくわからないけど、なんだか吹っ切れたみたいだなぁ、エレン)

~壁外遠征・巨大樹の森~

アルミン「今のところ、森のなかに巨人は見当たらないね」

ミカサ「なら立体機動の出番はなさそうだ。このまま馬で森を抜けれるかもしれない」

エレン「おっと、最初の作戦通り、ここは三人とも別れないとな。また後で会おうぜ、二人とも」

アルミン「うん、それじゃあね」

ミカサ「二人とも、油断はしないように」

パッカパッカパッカパッカ

ミカサ(……二人なら無事だろう。今回の遠征もそこまで危険ではない。全員無事に帰れるはず)

ミカサ(それにしても…………前回の遠征から帰った後、エレンはどこへ行っていたのだろうか)

ミカサ(なぜか、やけに吹っ切れた感じだった。リヴァイ兵長に会いに行こうとも言い出さなくなった)

ミカサ(……まぁ、そのほうが都合がいいけど)

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――

――――――

パカラッパカラッパカラッパカラッ

アルミン「あ、ミカサ。おーい!」

ミカサ「アルミン、無事でよかった」

アルミン「うん、何事もなかったよ。ところでエレンはまだなのか?」

ミカサ「……まだ森から抜けられていないらしい」

アルミン「そうなんだ。うーん、でもエレンのルートは確か一番早く森を抜けれるはずだけどなぁ」

ミカサ「…………」

アルミン「なんだか嫌な予感がするね」

ミカサ「心配だ。森に戻ろう、アルミン」

アルミン「おーい、エレン! いるなら返事してくれ!!」

アルミン「駄目だ、返事がない。本当にどこへ行ってしまったんだ」

ミカサ「…………!!」

ミカサ「あそこで、誰か倒れている」

アルミン「え、もしかしたらエレン!?」

ミカサ「えぇ、あれは……あれは…………」

アルミン「どうしたの、ミカサ? エレンなのかい?」

ミカサ「あれは……確かにエレン………でも、ちょっと待って」

ミカサ「!? え、エレン!! エレン!!!」

アルミン「わっ、置いて行かないでよミカサ!!」

分かった、読めたぞ……!
手足の移植は可能だった……ならば次は……
首の移植ですね!(ニッコリ)

>>144
>>144
>>144


>>144

パカッパカッパカッパカッ

アルミン「ちょっとミカサ、そんなに急がなくても」

ミカサ「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

アルミン「!? これは……!」

ミカサ「どうして!? どうしてなのエレン!! エレン!! ああああああああああああああああああああ」

エレン「」

アルミン「そんな……な、なぜエレンの頭部が切断されているんだ……!?」

ミカサ「あああああああああああああああああああああああああああエレエエエエエエエエエエエエエエエエエエエン!!!!」

( `・ω・´)b

スチャっと素早く交換すれば何とか……
上手くいけば巨人化の力を持つリヴァイ兵長の完成よ



って、当たったぁぁぁあああああ!!??

アルミン「まさか巨人の仕業だっていうのか!? いや、それならこんな死に方はしないはず……それじゃあ、アニみたいに巨人が人間に化けて!?」

エレン「」ピクッ

ミカサ・アルミン「!?」

ミカサ「今、確かに…………まさか、エレンはまだ生きているの!?」

アルミン「もしかすると、巨人の力がわずかに残っているおかげかもしれない」

アルミン「うなじさえ無事なら、頭部を切断されても完全には死なない……そういうことかも」

ミカサ「な、なら、エレンは平気なの? 死なないの?」

アルミン「いや、それでもこのまま放置すればいくらエレンでも死んでしまうよ! す、すぐに街へ戻ろう! まだ生きながらえる方法があるかもしれない!!」

ミカサ「わ、分かった!」

※書いてるほうも、さすがにその設定はないわと思いつつ、SSだからいいやと投げやりになっています

~カラネス区~

アルミン「確かこっちにハンジさんの研究所があるはずだよ!」

ミカサ「急ごう、アルミン。エレンの心臓の鼓動が……少しずつ小さくなっている」

アルミン「大丈夫、もうついたよ。す、すみませんハンジ分隊長!」

バタン!

ハンジ「ちょっとちょっと、どうしたの突然!?」

ミカサ「エレンを、エレンを助けて下さい!! お願いします!!!」

ハンジ「ん? まさか君が今おぶっているそれは……エレンなのかい? これは驚いた、頭部がないじゃないか!!」

アルミン「でも、心臓は動いているんです! とはいえこのままでは時間の問題です。何か助ける方法はないでしょうか!?」

ハンジ「それは困ったなぁ。いくらなんでも頭部が切断された人間を助けろだなんて、聞いたこともないよ」

ミカサ「お願いします、そこをなんとか!! お願いします!!!」

ハンジ「うーん、上手くいくかどうかは分からないけど、方法はないわけじゃないんだよね」

やめろぉーー!
魔法陣書いて腐女子召喚しちょる!

アルミン「そ、それはどういう方法なんですか!?」

ハンジ「今までと一緒さ。頭部がないなら……移植すればいい。そうだろう?」

ミカサ「え、エレンの頭部ならここにあります!」

ハンジ「いやいや無理だよ。言ったでしょ? 移植に使うのは新鮮なものじゃないと駄目なんだよ。彼のその頭部、切断されてからどれぐらい時間が経ってるの?」

ミカサ「……巨大樹の森からここまで全力疾走で…………三十分は」

ハンジ「ダメダメ、十分以内じゃないと。新鮮さが命なんだから」

ミカサ「そ、そんな……そんなこと言わずに…………」ポロポロ

ハンジ「…………」

ハンジ「なら一人いるじゃないか」

ミカサ「え?」

ハンジ「おーい、リヴァイ。君の望みを叶えると気がきたみたいだよー」

アルミン(もしかして、向こうのベッドで寝ているのって……)

何はともあれ兵長と分隊長に幸せになってほしい

>>164いや、むしろ腐女子歓喜なんじゃ?
エレンとリヴァイが言葉通り"一体化"だよ

自分で予想しといて何だけどさ…

リヴァイ「…………」

アルミン「り、リヴァイ兵長!? どうしたんですかその姿は!!」

ミカサ「…………」

アルミン「まさかエレンの四肢を譲ってくれたのって……ミカサ、君は知っていたんだな!?」

ハンジ「さぁ良かったねリヴァイ、お望み通りこの世を去れるみたいだよ。それも、一人の少年を救うというかたちで」

ミカサ「兵長がエレンに頭部を譲ってくれるのですか?」

ハンジ「ははは、見ての通り生きる気力を失っちゃったみたいでね。だから最近、すっかり死にたがり野郎になっちゃったのさ」

ハンジ「エレンは生きながらえることができる。リヴァイは死ぬことができる。双方の望みを叶えられるまさに一石二鳥だね!」

リヴァイ「そうだな……」

きっと頭部というのは脳も入っててリヴァイの脳をエレンの頭に入れることでエレンの姿だが中身はリヴァイで兵長と分隊長の大勝利なんだな(震え声)

アルミン「ま、待ってくださいよ、本当にそれでいいんですか? それはつまり、兵長を殺すという――」

ミカサ「アルミン、あなたはエレンに生きてほしくないの?」

アルミン「そ、そんな……そんな言い方卑怯じゃないか」

ミカサ「でも、エレンが生きるにはこれしかない」

リヴァイ「……水を差すようで悪いが、聞いていいか。お前は自分の頭部を差し出すという選択肢はなかったのか?」

ミカサ「さっきはそれも思い浮かんだ。でも、あなたが死にたがっているのならちょうどいい。それなら私が犠牲になる必要もないということ」

リヴァイ「ふん、正論だな」

アルミン(そうなのか? こんな、兵長を切り捨てるような方法でしかエレンを救えないっていうのか?)

ハンジ「それじゃあ、いいんだねリヴァイ?」

リヴァイ「あぁ、やってくれ」

リヴァイ「俺はもう……この世に未練なんざない」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――

――――――

エルヴィン「ウォール・ローゼは突破された! 複数の班に別れ、壁に空いた穴の位置を特定せよ!!」

エルヴィン「全員……無事を祈る!!」

ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!

エレン「よし、俺達も行くぞ、ミカサ、アルミン」

ミカサ「分かった」

アルミン「う、うん……」

アルミン(あれからしばらく経って……兵長の顔をしたエレンにも慣れ始めた)

ミカサ「エレン、絶対に死なないで」

ミカサ「ちっ、心配し過ぎだ。お前こそ、つまらないことで暴走しないようにしておけ」

ミカサ「分かっている」

普通に考えれば人格は兵長なんだが…

え?顔はリヴァイで中身はエレン?
それどんな入れ替わりネタ?
あ、入れ替わったのは手足もかーHAHAHA……

なるほどわからん

ここまできたらアレでしょう!(^^)
アルミンやジャンの脳みそとかも良くないか?
あ、東洋の希少性で血液はミカサとかでもいいね!

うん!素晴らしいハイブリッドエレンの完成だ!!

アルミン(…………あの移植の後、僕達は底知れぬ違和感を感じながらも蘇生したエレンと接し続けた)

アルミン(でも僕は、どうしても一つだけ聞きたいことがあった)

エレン「おいアルミン、何をボサッとしてやがる。こんな真夜中で離れたら危険だ」

アルミン「う、うん、ごめん」

ミカサ「…………」

アルミン(ミカサは本当にエレンに対して何も思っていないのだろうか。いや――)

アルミン(考えないようにしているだけかもしれない)

アルミン(でも僕は、どうしてもそれを考えてしまう。どうしても……)

エレンのフリをしたリヴァイてことでok?

>>192
だとしたら裸で喜びの舞いしてくる

エレン「もし穴を見つけたとしても、今更どうやってそれを塞ぐつもりなんだろうなエルヴィンの野郎は」

アルミン「ね、ねぇ、エレン」

エレン「どうかしたか」

アルミン「えっと……いや、なんでもない」

エレン「なんだ、気持ちの悪いやつだな。しっかり前を見てろよ。いつ巨人が現れるか分かったもんじゃないからな」

アルミン「…………」

僕はやはり、どうしても彼に聞くことができなかった。

怖いのだ。それを聞くのが、どうしようもなく怖いのだ。

だから僕は、心のなかでそっと”彼”に尋ねた。



君は本当にエレンなのかい?


終わり

くぅ疲
アニメ最終回見たら思いついた
最後ミカサの一人芝居みたいになったのが痛恨のミスすぎる……


できれば首が切断されてた理由と
過去作を


ミカサの一人芝居はすぐさま修正版を貼り直したら良かったなww

何がともあれお疲れ様でした

>>204
切断された理由は、ハンジとリヴァイのやり取りを見るとわかるかもしれない……ご想像にお任せします
過去作は下ので全部。こんなのばっかだけど、決してヘイトとかじゃないんだ……むしろ好きだからなんだ

サシャ「」ムシャムシャムシャムシャ エレン「…………」
エレン「巨人どもの小人化に成功しただって?」
クリスタ「朝、目を覚ますと巨大な虫に変身していた」
ミカサ「エレンがウォール教に入信した……」
カルラ「エレンがヘタレすぎるせいで私が巨人化した」
ミカサ「私の家族を返して、盡rメ猤*」

>>94の予想通りアナタだったか

相も変わらずの発想だ

安価スレじゃないのにコメ率高くて正直ビックリした
キャラが毎回ブレるのは申し訳ない……ご指摘の通り、完全に自分が書きたい展開を優先させて書いてる上、キャラ崩壊自体がわりと好きなんだ…………もっと上手く書けるようになりたい

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年03月02日 (日) 18:11:50   ID: EjgCJM6O

最初はミカサがクズすぎる。          途中からエレンがウザすぎる。         そして、最後がまさかの兵長の大勝利。     エレミカざまぁ。

2 :  SS好きの774さん   2014年05月03日 (土) 17:25:09   ID: -mHGXMft

なんかスカッとしたわw

3 :  なぎ   2014年08月21日 (木) 12:37:30   ID: iPgbpNSS

複雑な気持ち('◇'`)

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