百合短編SSで全レス2 (424)

引き続き、やってまいります。
精進のため、百合短〜中編SSのみで、全レスします。
地の文などがたまにあるかもしれませんが、基本は台本です。

今まで以上に、間隔があく可能性があります。
ですから、どこかのスレを見るついで、程度に見ていただけるとこちらとしても気が楽なのでそんな具合にお願いいたします。

レスされる場合、ネタ・シチュ・CPなどを添えていただけると幸いです。
対応可能なアニメ・漫画は

けいおん、まどマギ、ゆるゆり、ゆりゆり、ストウィ、ガルパン、ストパニ、ビビオペ
ゆゆ式、きんモザ、Aチャン、ひだまり、ヤマノススメ、かなめも、ささめき、えるシス
などです。

基本的には、これらの作品以外はできません。もしかしたら、可能なのもあるかもしれませんが……。
オリジナルも喜んで書かせていただきます。

ふたなり、エロともに可ですが、
男の娘、男が女体化などは不可です。

ヘッタクソなので、その辺もご了承ください。
よろしくお願いいたします。
名前の呼び方、ここ矛盾してる、などがあれば、どんどん書いていただいて結構です。

なお、2時から6時の間の書き込みは推奨しません。
睡眠は大事なので、書き込む暇があったら、寝てください。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1364742697

>>1
新スレ&完走乙です。また楽しみにしてます!
前スレのURLも貼ってあるといいかと。

前スレ
リクさせてもらったまどめがほむ、ほむらちゃんが可愛くて堪らなかった。
最後のペリーヌは面白かったww



今リクエストって何が出てるのかな?

>>1が優しい件

そういえば前スレから気になってたが、QBは女の子と捉えてもおk?

>>2
成程。
百合短編SSで全レスする - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1359385002/l50)

>>3
綾あか、ほむさや、ルッキ×、ももあか、ひまあかり、あかれい、京ちと
唯純、わかあか、あか結衣、あかあか、京ちな、楓あか花、代理かな
唯いちご、杏さや

あと、シチュで悪戯ってのがありますね。


>>4
それは可能です。

>>5
あかれいってプリキュア?それともビビッドレッドオペレーション?

>>5
おkじゃあQまどをお願いします!
シチュはQB溺愛のまどかで!

新スレ乙

…ふたなりリボほむ×女神まどかお願いします(小声)

質問です。
前スレを読んでいた時から思っていたのですが、対応可能作品同士のクロスカップリングは可能でしょうか?
紬ノートにまとめられている、けいおん!とイカ娘のクロス(イカ娘×澪)や、アマガミとのクロス(唯×絢辻詞)、百合SSにまとめられている、ガルパンとストウィのクロス(みほ×サーニャ)が結構面白かったので。

>>6
ビビオペです。
プリキュアは分からんもんで。

>>7
はい、承知しました。

>>8
すいません、漏れてました。
了解です。

>>9
うーん、その辺は未知の領域なので何とも……。
しかし何かある時は言って頂ければ。
無い頭ひねって考えてみますので。

<あかれいあか×夜桜>
ビビッと来ていたのは、貴女だけじゃない。

貴女が私に近づくたびに、私も……
————————————————————
れい「……」

れい(あかね……埠頭に来るようにって言っていたけれど)
   (一体何の用かしら)

あかね「あっ! おーいっ、れいちゃーん!」

れい「あかね……」

あかね「ふぅ、ごめんごめん、待った?」

れい「ううん、待ってない」
   「それにしても、こんなところに呼び出して、どうしたの?」

あかね「にひひ、れいちゃんを連れて行きたいところがあって!」

れい「……夜じゃなきゃダメなの?」

あかね「うーん、まぁ、昼でも良いんだけれど、夜の方がねーっ」

れい「ふぅん?」

あかね「ささ、ワンコに乗って乗って?」

れい「えっ、これで行くの?」

あかね「これ、じゃなくてわーんこ、ね?」
    「ちょっとここからは遠いから、ワンコで行くの!」

れい「そ、そうなの」
   「……」

れい(あかねの後ろに乗るのね)
   (……ちょ、ちょっと恥ずかしい)

あかね「どーしたのっ? 早くしないと走り出しちゃうよ!」

れい「あ、う、うん……」ソッ...

あかね「あー、ちゃんと掴まってなきゃだめだよ?」ギュ

れい「ひゃ……!」
   (手首をつかまれて強引に腕を回された……!)

あかね「それじゃー、いっくよー!」

れい「うん……」
   (こ、こんな感触なんだ)

れい(って、何考えてるの……!)

あかね「ぶんぶんぶぶーん♪」

———————————————————
あかね「はーい!」
    「れいちゃーん、到着しました!」

れい「……あら? 神社?」
   「……って、これ」

あかね「にひひ、夜桜!」
    「綺麗でしょ? ここの石畳にそって、ずらーーって咲いてるんだよ!」

れい「まさか、これを見せるために?」

あかね「うん! そうだよ?」
    「桜は、今が見ごろだってテレビでやってたんだ」

あかね「綺麗な桜が見られるところは分かってたからね」
    「どうせなら、れいちゃんを連れて行こうって思って!」

れい「そうなんだ……」
   「……本当に、綺麗」

あかね「でしょーっ、ま、隠れ名所って感じのところでもないんだけど」

れい「確かに、道に沿っていくつか屋台があるわね」

あかね「そう、お花見の季節に合わせて屋台が並ぶんだ」
    「……目的は、お花見だけじゃないんだよ?」

れい「あかねは花より団子って感じがするわね」

あかね「そんなこと! ……無いとはいえない!」

あかね「あっ、そうそう」

れい「どうしたの?」

あかね「今日は冷えるらしいからー、ね」
    「……じゃじゃーん、私が使ってた、マフラー!」

あかね「を、れいちゃんに貸してあげます」

れい「え? 私に?」
   「でも、あかねは……」

あかね「えへへー、私には」
    「じゃん! これがあるからだいじょーぶ!」

れい「あっ、そのマフラー……」

あかね「れいちゃんのマフラーだよ!」
    「新聞配達の時には、とーってもお世話になってます」

れい「ちゃんと使っていてくれたんだ……」

あかね「もっちろん! 大切な大切な宝物だもん」

れい「……大げさよ」

あかね「おおげさじゃないよ!」

あかね「このマフラーね」
    「れいちゃんの匂いがして居心地いいんだー」

れい「はぁっ!?」

あかね「れいちゃんくんかくんか〜♪」

れい「ちょ、あかね! 嗅がないでっ!」

あかね「冗談冗談〜」

れい「……も、もう」

あかね「まぁ、とにかくさ」
    「れいちゃんは私のマフラー使ってよ!」

あかね「首元を冷やすと、風邪ひいちゃうんだよ?」

れい「……うん、分かったわ」

れい「……」クルリ

れい「……」

れい「……」スンスン

あかね「あ、そういえば私のマフラーの匂いかいじゃだめだからね!」

れい「ええぇっ!? べ、別にかいでない!」

あかね「それなら良いんだけど」

あかね「よし、準備おっけー!」
    「さー、屋台見にいこーっ!」

れい「……夜桜を見に来たんじゃ」

あかね「夜桜はね、イカ焼きを食べながら見るのが至高なんだよ……れいちゃん!」
    「だから屋台を見に行かなきゃいけないんだよ!」

れい「そ、そうなんだ……」

あかね「さ、行くよ! れいちゃん!」ギュ

れい「きゃ……ちょ、ちょっと引っ張らないで……!」

れい(……)


 貴女はそうやっていつも、私ができないことをさらりとやってしまう。

私の周りにある壁をひょいと乗り越えて。いつの間にか、私のすぐ近くにいた。

最初は、怖かった。でも、今は

もっと、触れたい、と、思う。私から、貴女から。

れい「あかね……」

あかね「ん? なぁに?」

れい「イカ焼きじゃ、なかったの?」

あかね「にひひ、いやぁ……」
    「マヨネーズを見ていたらつい……たこ焼きを買ってしまいました」

あかね「でもでも、足が二本違うだけだし!」

れい「……ふふっ」
   「あかねって本当にマヨネーズが好きだね」

あかね「うん! いやぁ、奥深いよ、マヨネーズの世界は……」

れい「どんな世界なの?」

あかね「おっ、聞く? 聞いちゃうの、れいちゃん」
    「……ちょっと話は長くなるけどね」

れい「あ、やっぱり聞かなくても良いかな?」

あかね「がびーん……」

あかね「あ、あっこにベンチがあるよ!」
    「あそこで食べよー」

れい「でも、それはあかねのでしょ?」

あかね「えー、れいちゃんも一緒に食べようよ!」
    「このビッグサイズのたこ焼きはさすがに一人じゃ食べきれない!」

れい「……あかねだったら、あっという間に食べちゃいそうだけど」

あかね「いつから私がそんなに食いしん坊キャラになっちゃったの!?」

れい「だって、マヨネーズがあるから」
   「それで流し込めるでしょ?」

あかね「……それは否定できないなー」

れい「やっぱり……」

あかね「でも、おいしいものは、誰かと分け合いたいの!」
    「……マヨネーズのおいしさを分かっているれいちゃんとは特に!」

れい「わかったわ、そんなに言ってくれるなら」
   「……いくつか、もらうから」

あかね「そうこなきゃね!」

あかね「はーむっ、んー! おいひー!」
    「……けどあふーい!」

れい「食べながら話したら行儀が悪いわよ」

あかね「……」モグモグ

あかね「ふぅ、よし! じゃあ次はれいちゃんの番!」

れい「あ、じゃあ爪楊枝貸してくれる?」

あかね「その心配は無用!」
    「……あーん」

れい「えっ!? そ、それって……」

あかね「いいからいいから、ほら、口開けて?」

れい「あっ、えっと……」
   「……ァーン」

あかね「へへへ、はい、あーん」

れい「……ん……おいひ」
   「あ、あふっ……!」

あかね「えへへ、おいしいけど熱いよね!」

れい「……う、うん……」

—————————————————————
あかね「……ふぅ、おいしかったー!」

れい「……」
   (結局あの後全部あーんしてもらっちゃった……)

れい(何人かに見られたし……恥ずかしい)

あかね「……あ、れいちゃん」

れい「え? どうかした?」

あかね「……ん」チュ

れい「ひっ! な、なにっ!?」

あかね「あ、ごめん、ほっぺに鰹節がついてたから取ってあげたー」

れい「だ、だだだ、だからってそういう取り方は……!」

あかね「えっ、おでこにチューする仲間なのに……!?」

れい「それとはちょっと違う!」

あかね「……へんなのー」

れい「どっちが変なのよ」
   「……もう」

あかね「あ、そうそう」
    「折角神社に来たんだし、お参りしていかない?」

れい「ここの神社はどんなご利益があるの?」

あかね「えっと、えっとね……」
    「……えっと」

れい「分からないのね……」

あかね「……えへへ、って」
    「あ! あそこに書いてあるよ!」

れい「本当だ……」
   「……縁結び?」

あかね「へー、ちょうどいいや!」

れい(えっ……?)

あかね「さ、お参りに行こう!」
    「れいちゃんこっちだよー!」

れい(……ちょうどいい?)
   (それって、つまり……)

れい(……あかねには)

あかね「れいちゃーん、早く早く!」

れい「あ……う、うん」

れい「……結構立派な神社なのね」

あかね「うん、そうだね」
    「……えっと、お賽銭お賽銭……」

あかね「よし、準備おっけー!」

れい「二礼二拍手一礼よ? わかる?」

あかね「ふふん、分かってるよ!」
    「ほいっと」カラン

れい「ん、っと」


あかね「……」

れい「……」

れい「……」チラ

あかね「……と……もっと……」
    「……と……」

れい(何を祈ってるのかしら?)
   (……気になる)

あかね「……よっし!」

あかね「れいちゃん、ちゃんとお祈りした?」

れい「あ、うん……まぁ」

あかね「えー、どんなことお祈りしたの?」

れい「え、いや、その……」
   「……いろんな人と、仲良くなれますようにって」

あかね「へぇー!」
    「ま、今のれいちゃんならきっとすぐいろんな人と仲良くなれるよ!」

れい「……ありがとう」
   (まぁ、本当は……あかねともっと……なんだけど)

れい「あかねは?」

あかね「うーん、秘密!」

れい「ずるい……私は言ったのに」

あかね「えへへ、私は言うって言ってないもん!」

あかね「でも、うまくいけばね」
    「……もうそろそろ、ご利益があるかな」ボソ

れい「へ? 何か言った?」

あかね「なんでもない!」

れい「……そろそろ、遅くなってきたし、帰る?」

あかね「そだね、そろそろ……あっ」


ザァ———


れい「……あ」
   「雨……」

あかね「雨、降ってきちゃったねー」
    「……酷くなる前に、早く帰らないと」

あかね「あ、勿論、れいちゃんは家まで送って行ってあげるからね!」

れい「わざわざ家まで送ってくれなくても大丈夫だけど……」

あかね「良いの! ここに連れてきたのは、私だし!」

あかね「それに、ここからだとれいちゃんのマンション近いんだよ?」

れい「そうなの?」

あかね「うん! だから、ね?」

れい「……それじゃあ、甘えちゃおうかしら」

あかね「それでいいんだよ!」

バシャ、バシャーン


あかね「雨でもワンコでぶんぶぶーん♪」

れい「……」

れい(……雨でぬれて冷たいはずなのに)

れい(あかねに触れている部分と……胸の奥は、熱い)

れい(……不思議)


れい(……)

れい(……あかねの想い人って、誰なんだろう)

れい(やっぱり、あおいさん?)

れい(わかばさん? ひまわりさん?)

れい(それとも、誰か、男の人)

れい(……)

れい(……私、では……)


ザァァーッ

あかね「ひゃぁー、雨が一気に強くなってきたぁ……!」

れい「ねぇ、あかね! 大丈夫?」

あかね「うん、わんこは丈夫だから!」
    「それに、これくらいの雨なら慣れっこだよ!」

れい「そうなの……?」

あかね「そうなの!」
    「もうすぐれいちゃんのマンションだーっ!」


あかね「はい、到着だよ!」

れい「あ、ありがとう、あかね……」

あかね「いえいえ、どういたしまして!」
    「……それじゃあ、れいちゃん、またね!」

れい「……」
   「ねぇ、あかね!」

あかね「ん? なぁに?」

れい「……」

れい「そ、そのままだと、風邪ひいちゃうから」
   「……良かったら、私の家に来たら?」

あかね「……えっ」
    「い、良いの?」

れい「うん……そのまま帰って風邪ひかれるより、マシだから」
   「シャワーでも浴びて、温まったほうがいいわよ」

れい「……どうせなら、泊まっていっても、良いし」

あかね「————っ!!」
    「ほんとに? ほんとにいいの!?」

れい「……あかねが、良ければ、だけど」
   「前に、私も、あかねの家にお世話になったし」

あかね「やったー!」

あかね「……じゃあ、お邪魔しちゃおっかな!」

れい「うん、何もないけれど……」

あかね「えへへ、嬉しいな、れいちゃんの家にお泊り!」

れい「そ、そんなに喜ばなくても」

れい(……なんで、ドキドキしているんだろう)

れい(なんで、チャンスだと思ってしまったんだろう)

れい(……お世話になったからなんて)

れい(風邪をひいてしまうから、なんて、真っ赤な嘘)


れい(……本当は、もう少し一緒にいたくて)

れい(あわよくば、触れたくて)

れい(……そんな、どうしようもない感情によるもの)

れい(そんな感情におされて)

れい(私は、嘘をついてしまった)


れい「……」

あかね「れいちゃん? どうしたの?」

れい「……なんでもない……」


れい(……なんて、醜いんだろう……)

れい「……着いた」
   「ちょっと、待ってね、いま開けるから」

あかね「うん、わかった」

れい「……」


ガチャン


れい「開いたわ、入って」
   「あか———


ふと、背中から衝撃が伝わる。

衝撃と言っても、それは柔らかで

何よりもあたたかい。

その衝撃が何によるものかを理解するのは、それほど時間がかからなかった。


れい「えっ……!」

れい「……ちょっと、あかね……!?」

あかね「……にひひ」
    「れいちゃん」

れい「い、いきなり……どうし」

あかね「……ごめんね、れいちゃん」

れい「え?」

あかね「……私、嘘ついてたんだ」

れい「……嘘?」

あかね「うん」

あかね「私ね、夜桜を見るためにれいちゃんを誘ったんじゃないんだ」

あかね「……れいちゃんの家に行くために」

あかね「れいちゃんを誘ったんだよ?」

れい「どういうこと……?」

あかね「……今日、夜に雨が降るって知ってたんだ」

あかね「だから、れいちゃんの家に近い神社に行って」
    「ちょうど帰りに雨が降れば、れいちゃんが家に入れてくれるかなーって思って」

れい「わざわざそんな遠回しな方法を考えなくても……」

あかね「まぁ、普通に“泊まらせて!”って言えば、泊めてくれそうだけどさ」
    「それで駄目って言われたら、嫌だなーって思っちゃって」

れい「駄目って言われたら、そんなに嫌なの?」

あかね「……うん」

れい「どうして……?」

あかね「こうしてさ、ギューってしてるのに、分からない?」

れい「……」
   「……わかる」

あかね「そういうことなんだ」

れい「……」

あかね「……拒否しないの?」

れい「……」
   「……私も、だから」

あかね「……そっか」

あかね「……実は、何となく気付いてたよ?」

れい「え」

あかね「ドッキングした時に、気持ちが流れ込んできてたから」

れい「そ、そんなの、ずるいと思う……!」

あかね「でも、れいちゃんにもながれこんで行ったはずなんだよ!」

れい「そんなことない! あかねのはマヨネーズばっかりだった……!」

あかね「さ、さすがにそれは酷いよ!」

れい「それなら! なんで、こんな遠回しな方法を使ったの!?」

あかね「えっ、そ、それはぁ……」
    「……ちょっと怖かったんだもん!」

れい「……そういうところでは、意外に臆病なのね」

あかね「意外にとはなんだー! もーっ」
    「私だって一応女の子なんだよー!」

れい「……はいはい」

あかね「……むー」

れい「……ふふっ」

あかね「……」
    「……えへへ」

あかね「……へっくし!」

れい「あ……」
   「……風邪、ひいちゃった?」

あかね「ひいてない!……と思う」

れい「……シャワー、浴びる?」

あかね「浴びたい!」
    「れいちゃんと一緒に!」

れい「えっ……そ、それはちょっと」

あかね「え〜! だってこのままだとれいちゃんだって風邪を引く可能性があるよ!」
    「それに、もう一回、一緒にお風呂入ってるじゃん!」

あかね「もう、何も恥ずかしくないよ!」

れい「……そうかもしれないけど」

あかね「むむ……」
    「そんなこと言うれいちゃんは……」

あかね「こうだ! 服脱がしっ!」バッ

れい「きゃ……!」

あかね「にひひ、これでシャワーを浴びざるを得ないよ、れいちゃ……」

れい「……」

あかね「……」

れい(きもちが分かってからだと……)

れい(……そ、想像以上に恥ずかしい)カァ

あかね(気持ちが分かってからだと……)

あかね(……想像以上に、え、えっちい)カァ

あかね「……あ、あの、さ、れいちゃん」

れい「……」
   「……何?」

あかね「……」
    「ご、ごめん……」

あかね「か、可愛すぎるよーっ!」

れい「きゃ、ちょ、ちょっと……!!」
   「……あ、あかね、ま、まって……!!」

れい「————っ!」


シャワーを浴びるのは結局、外がうっすらと明るくなってからになってしまい

二人は仲良く、風邪をひいてしまいました。

                     (終わり)

風邪をひいたときには、汗をかくのが一番だからね。

どうでもいいけど全レスしてないな
どうでもいいけど

ビビオペあかみずなんてどうじゃろ?

>>51
確かに。

>>52
了解です。

今日はリクには無かったんですけど
ゆゆ式で唯と相川さんやります。

<唯川×初めての朝>

千穂「……」

千穂「……う、うん」モゾ

千穂「……ふぁ」

千穂「……」

千穂(あれ……私)
   (ここ、どこだっけ……)

千穂(私の布団ってこんなだったかな……?)
   (それにこんな天井……)

「……んんっ」

千穂「っ!」ビク

千穂「……ぁ」

千穂(そ、そっか……)
   (……わ、私)

千穂(昨日櫟さんの家に泊まったんだ)

千穂「……」

千穂「……わーっ」カァ

唯「……ん」モゾッ

千穂「あっ……」

唯「……」
 「……おはよう」

千穂「お、お、おはよう」
   「起こしちゃった……?」

唯「ううん、大丈夫……」

千穂「そ、そっか」

唯「……」

千穂「……」


唯「……ぁ」カァ

千穂「……」カァァ

唯「と、とりあえず、服着よっか」

千穂「そ、そうだね! 賛成っ」

唯「……」

千穂「……」

((ど、どっちが先に布団から出る……!?))

唯「あ、相川さん、先に着たら?」
 「私、外向いてるから」

千穂「そ、そう? じゃあ……お先に」

唯「う、うん」

千穂「ごめんね、すぐ着替えるから」

唯「分かった……」


千穂(な、なんでだろ)

千穂(昨日、その……いろいろ……)

千穂(……)カァ

千穂(なのに、今、すごく……恥ずかしい)

唯「……着た?」

千穂「あっ、ま、まだ! ごめんね!」

唯「ゆっくり、着替えてて良いよ」

千穂「……うん」

千穂「お、終わったよ」

唯「うん、じゃあ……」

千穂「あ、外向いてるね」

唯「……うん」

千穂(外、外見なくちゃ……)

千穂(……)

千穂「……!」

千穂(ど、どうしよう)

千穂(窓に反射して見えちゃう……!)

千穂(う、うわぁ〜……!)

唯「どうかした?」

千穂「えっ!?」
   「どうして?」

唯「いや、なんか」
  「……顔、手で隠してるから」

千穂「ど、どうしてもいないよ!」

唯「そっか……」

唯「……よし」
 「ふぅー……」

千穂「着替え終わった……?」
   (まぁ、分かってるけど……)

唯「うん、終わった」

千穂「……そっち見てもいい?」

唯「……良いよ」

千穂「う、うん」

千穂(……あれ)

千穂(なんだろ?)

千穂(前に見た時より)
   (……きらきらしてるみたい)

唯「……あ、あのさ」
 「服着てるっていても、そんなに見られると恥ずかしーんだけど……」カァ

千穂「へっ?」
   「あ、あぁあぁ……! ご、ごめんなさいっ」

唯「だ、大丈夫大丈夫……」

千穂(つ、つい、みとれちゃった……)

唯「……あ、相川さん」

千穂「は、はい……」

唯「……何か飲む?」

千穂「……じゃあ、いただこう、かな?」

唯「わかった、ちょっと待ってて」

千穂「うん……」


トタトタトタトタ……


千穂「……」

千穂(ちょっと不思議な気分)

千穂(つい前は、ただ一緒に廊下を歩くくらいだったのに)

千穂(今は、家にお邪魔して……飲み物持ってきてもらって)

千穂(それに……)

千穂(……)

千穂(ま、また思い出しちゃった……)カァァ

ガチャン


千穂「……あ」

唯「……お待たせ」

千穂「ありがとう……」

唯「……相川さんって、コーヒー飲めたっけ」

千穂「う、うん、一応」

唯「そっか、良かった」

唯「はい」
 「こぼさないようにね、熱いから……」

千穂「……うん」

唯「砂糖とか入れる?」

千穂「一つだけもらおうかな?」


千穂「……」ズズ...

千穂「……ふー」

唯「……ん」ズ...

千穂(……なんだろ)

千穂(何も会話が無いのに)

千穂(凄く居心地がいいなー……)


唯「……」

唯「……あのさ」

千穂「ん? ……何?」

唯「……大丈夫?」

千穂「へ……何が……?」

唯「あぁ、いや……その」

唯「……い、痛くないかなって」

千穂「痛い……あ」
   「……あっ、あ、えーっと」

千穂「うん、だ、大丈夫」

唯「そ、そっか……良かった」

千穂「……櫟井さんは?」

唯「私? 私も……大丈夫」

千穂「……そ、なんだ……」

唯「……で、でも」
 「ちょ、っと……身体がだるい……感じ」

千穂「……」
   「う、うん……分かる気がする」

千穂「……なんか、その」
   「ぐー、って……感じがする」

唯「……」
 「ぐーって感じ?」

千穂「……わ、わかりにくいかな?」

唯「……なんとなく、分かるかも」


千穂「……」

唯「……」

千穂「あ、あの」

唯「ん?」

千穂「私たちってさ、その」
   「……つ、付き合ってるよね」

唯「あー……」
 「……うん」カァ

千穂「……」
   「よ、呼び方とかって……」

唯「名前?」

千穂「……うん」

唯「そういえば、名字呼びだったね」

千穂「変える?」

唯「……変えたい?」

千穂「……」
   「……ちょっと」

唯「……そっかー」

千穂「どうかな?」

唯「……」
 「ちょっと、恥ずかしいかも……な」

千穂「そ、そだよね」

千穂「……まだ、早い、よね」シュン

唯「……」

唯「んー……」



「千穂」


千穂「……えっ?」

唯「……」カァァ

唯「……今ので、良い?」

千穂「———!」


ギュゥッ


唯「わ、わっ」

千穂「……う、うん……!」
   「良いと思う……」

唯「……そ、そか」

千穂「……も、もう一回」
   「だめ、かな?」

唯「いや、いい、けど……」

唯「……千穂」

千穂「……えへへ」

唯「……」カァ

千穂「嬉しい……」

唯「……そっか」

千穂「……ありがとう」

唯「あいk……千穂も、私の事……」

千穂「あっ、う、うん」

千穂「……」

千穂「……唯?」

唯「———」カァァァ

千穂「……わ、わぁ……」
   「結構、は、恥ずかしいね」カァ

唯「で、でしょ?」

千穂「……う、うん」

唯「や、やっぱり!」
 「……二人の時だけにしない?」

千穂「……それが良いかもしれないね」

唯「じゃあ、そういうことで……」


唯「ち、千穂」

千穂「……何? 唯」

唯「……今日、どこか……行く?」

千穂「あ……えっと」
   「唯は、どこか行きたいところあるの?」

唯「……いや、特にないけどさ」
 「天気、良いみたいだから」

千穂「……そういえば、そうだね」
   「外、晴れてるみたい」

唯「うん、温かくなるみたいだし」

千穂「……うーん」

唯「……買い物とか、行く?」

千穂「……」

千穂「……私は」

唯「ん……」

千穂「……このままが……良いな」

唯「……」

千穂「もっと」
   「……二人でいたい」

千穂「名前で、呼んでいたいなー……」

唯「……そっか」

千穂「どう、かな?」

唯「……」

唯「うん……」

唯「私も、そう思ってた」


初めて二人で迎えた朝は
きらきらで満ちていました。


              (終わり)            

短くてすいません私は唯縁派です。

>>6>>9であかれいとあかれいの夢の共演を…と妄想したが作者がプリキュアわからないから無理そうだ…

>>72でゆるゆりひまあか(り)とビビオペひまあか(ね)が浮かんだ

渚砂と静馬でオネシャス

>>72
申し訳ないです。

>>73
考えてみます。

>>74
分かりました。

<あかり結衣×監禁……?>
————————————あかり部屋
あかり「……ふっふっふ」

あかり「ついに、ついに成功しちゃいました!」

あかり「結衣ちゃんの監禁!」

結衣「……」

あかり「いっつも京子ちゃんとかちなつちゃんばっかりずるい!」
    「私だって、結衣ちゃんと二人で遊びたいモン!」

あかり「私だって、結衣ちゃんのこと……」

あかり「というわけで結衣ちゃんが私の家に来て」
    「幸せそうに眠ってる隙をついちゃった」

あかり「腕は(軽く)タオルで縛ってあるから、たぶん逃げられないよ!」

結衣「……んー」

あかり「……」

あかり「本当に幸せそうに寝てるよ〜」

あかり「……起こさないようにしなくちゃ」

あかり「あ、毛布持ってきた方が良いかな」

結衣「……ん、んんぅ……」

あかり「あれ?」

結衣「……あれ、あかり」
   「あ、そっか……私眠っちゃってたのか」

あかり「おはよう、結衣ちゃん」
    「……もう少し寝ててもよかったのに」

結衣「いや、あかりの家にわざわざ来たのに寝るのはどうかと思うけどな」

結衣「……って」

結衣(ん? 何だろ、このタオル)

結衣「ね、ねぇあかり」

あかり「ん? なぁに?」

結衣「この、腕のタオル……」

あかり「……」

あかり「あっ! そうだった」
    「結衣ちゃん、良く聞いて?」

結衣「……うん」

あかり「実は、結衣ちゃんは……」
    「ただ今、監禁されているのです」

結衣「……」
   「えっ?」

結衣「か、監禁って」
   「あかり、いったい何を考えてんだよ」

あかり「だって、いっつも京子ちゃんやちなつちゃんとばっかり遊んでるから!」
    「……私だって、結衣ちゃんと二人で遊びたいもん」

結衣「……は、はぁ」

あかり「だから、監禁したんだよ!」

結衣「そ、そうなんだ」

結衣(いきなり何を言い出すのかと思ったけど)
   (理由はあまりにもあかりらしいというか……なんというか)

結衣(それに、この腕のタオル)

結衣「……ゆるすぎる」

あかり「え? どうしたの?」

結衣「いや、なんでもない……」

あかり「そっかぁ!」

結衣「で、あかりは一体私に何をしてほしいんだよ」

あかり「あっ、えっとね」
    「……トランプとか!」

結衣「……」
   「いつもと変わらないじゃん……」

あかり「で、でも! 結衣ちゃんと二人でやったこととかほとんどないし!」
    「ほかにお話しても良いよ?」

結衣「わかった、じゃあとりあえずトランプやろう」

あかり「やった〜♪」
    「神経衰弱で良い?」

結衣「あぁ、良いよ」
   (監禁の必要があるのかこれは)

あかり「……ふんふふーん♪」

結衣「……なぁ、あかり」

あかり「うん? なぁに?」

結衣「このタオルがあると、ちょっとやりにくいんだけど」
   「……取っていい?」

あかり「あ、そうだよね!」
    「うん、勿論だよ〜♪」

結衣「……」
   (これで監禁要素がなくなった)

あかり「よっし、行くよ!」

結衣「あ、あぁ」


ペラリ


あかり「……ふんふん、ハートの6」

あかり「じゃあ、ここ」

あかり「……はずれだよぉ〜」

結衣「じゃあ、次私な」

————————————————————
結衣「……負けた」

あかり「えへへ、勝っちゃった」

結衣「あかりは神経衰弱は強いな」
   「いつどんなカードをめくったのかわからないから……」

あかり「えへh……んん!?」
    「なんだか今酷いことをさらっと言われたような……」

結衣「冗談だよ」

あかり「なぁんだ、冗談かぁ」

結衣「次は何やる?」

あかり「じゃあ、ババ抜きやろ〜」

結衣「……二人で?」

あかり「駄目?」

結衣「いや、良いけどさ」

結衣(いや、あかりとババ抜きやったら)

結衣(結果は見えてるようなもんなんだけど……)

あかり「シャッフルシャッフル〜♪」シャカシャカ

——————————————————————
あかり「うわぁぁ〜ん、また負けたよぉ〜!」

結衣(……ほらな)
   (て言うか良く最初の残り手札が3枚の状態で負けるよ)

結衣「トランプも結構やったな」

あかり「あ、うん、そうだね」

結衣「次、何やる?」

あかり「あ、その前に……」

結衣「……ん?」

あかり「お姉ちゃんがケーキを買ってきてくれたみたいだから」
    「持ってくるね!」

結衣「あ、ありがと」

あかり「ふふふ〜ん♪」

結衣(なんて贅沢な監禁生活なんだ)

あかり「お待たせ〜」

結衣「ありがと……って」
   「結構おいしそうなケーキだな」

あかり「うん、お姉ちゃんがお友達と行って」
    「おいしかった所のケーキなんだって」

あかり「あかりにも食べさせたいって買ってきてくれたんだ」

結衣「あかりに買ってきたヤツなのに、食べていいの?」

あかり「うん! もちろんだよ〜」
    「半分こしよ〜っ」

結衣(……あかり、監禁のこと忘れてるだろコレ)

あかり「あっ!」

結衣「何?」

あかり「結衣ちゃん、ちょっと腕にタオル巻くね?」
    「今は結衣ちゃんは監禁の身なんだよ〜」

結衣「あぁ、ハイ……」
   (一応覚えてた……)

あかり(結衣ちゃんのこと監禁してるって、忘れかけてたよ!)
    (危なかったぁ〜)

結衣「ん? でもこれじゃあケーキ食べられないんだけど……」

あかり「え? 食べられるよ?」

結衣「どうやって?」

あかり「えっとね……」
    「……はい!」

結衣「……ま、まさか」

あかり「あ〜ん♪」

結衣「いやいやいや、ちょっと待て!」
   「それは恥ずかしいって!」

あかり「ふふふ、結衣ちゃんが監禁の身である以上」
    「あかりの言うこと聞くしかないんだよ」

結衣「えぇ、ちょ、ちょっと待てって」

あかり「暴れるとタオルが腕に食い込んじゃうよ!」

結衣「いや、それは無いけどさ」

あかり「はい、あ〜ん」

結衣「くっ、しょうがないな……」

結衣「あ……」
   「……ん」

あかり「えへへ〜、どう?」

結衣「……おいひい」

あかり「そっかぁ〜! 良かったよぉ」

結衣「……」モグモグ

あかり「あかりも食べてみよっと」
    「……」

あかり「はむ……」
    「……う〜ん、おいしい〜っ!」

結衣「そっか、良かったな」

あかり「うん!」
    「さ、結衣ちゃんももう一口〜」

結衣「えぇ……」
   「あ、あ〜ん」

——————————————————————
あかり「おいしかったね! 結衣ちゃん!」

結衣「そうだな……」

あかり「……次、何しよっか?」

結衣「あかりは、何したいの?」

あかり「う〜ん、おしゃべりかな?」

結衣「あぁ、そうなんだ」
   「……あのさ、あかり」

あかり「うん? なぁに?」

結衣「このタオル、とってもいいかな」

あかり「あ、うん! 良いy……」
    「じゃなかった、だめだめ! 結衣ちゃんは」

結衣「監禁の身、な」
   「わかったよ、このままにしておく」

あかり「うん! それでいいんだよぉ〜」

結衣「……」
   (これから何回かこの話題を挟んでみよう……)

あかり「あのさぁ、結衣ちゃん」

結衣「ん? 何?」

あかり「結衣ちゃんは、好きな人とかいるの?」

結衣「ぶっ……いきなり何を聞くんだよ」

あかり「え? ……ちょっと気になっちゃったから」

結衣「……んー」
   「言わなきゃだめなのか?」

あかり「聞きたいな〜」

結衣「……あー」
   「まぁ、いるかな」

あかり「へぇ〜!」
    「……や、やっぱり……」

あかり「京子ちゃんとか?」

結衣「うーん」
   「……京子ね」

あかり「……」

結衣「京子は、良い幼馴染かな」

結衣「やっぱり、長い間一緒にいたし」
   「一緒にいて気を楽にしていられる、って感じ」

結衣「だから、そういう好きとは違うかも」

あかり「そ、そっかぁ」

あかり「……じゃあ、ちなつちゃんは?」

結衣「ちなっちゃんは、まぁ、可愛いとは思うよ」

結衣「……良い後輩だとも」
   「慕ってくれるのは、嬉しいとも思う」

結衣「でも、ちなっちゃんも……」
   「やっぱり、後輩としか考えられないかな」

あかり「……ふぅん?」

結衣「……あかりはどうなの?」

あかり「へっ!?」
    「あ、あかりは良いよぉ」

結衣「人に聞くだけ聞いといて、自分は逃げるつもりか」

あかり「うっ……」
    「……わ、分かったよぉ……」

あかり「……あ、あかりも好きな人……」
    「……いるかな?」

結衣「へぇ……」

結衣「どんな人?」

あかり「そんなこと言えないよぉ!」

結衣「どうして?」

あかり「だ、だって……」

結衣「……だって?」

あかり「そ、それは———」


———チョッチマッチィー♪


あかり「ふぁ!」ビク

結衣「あ、電話だ」
   「タオルはずしていい?」

あかり「あ、う、うん、良いよぉ!」
    「今ほどくね」

結衣「ありがと」
   (いやまぁ、自分でほどけるけどね」

あかり「誰から電話?」

結衣「うーん……あ、お母さんからみたい」

あかり「結衣ちゃんのお母さんから?」

結衣「うん……ちょっと出て良い?」

あかり「あ、勿論だよぉ」

結衣「ごめん、ありがと」

結衣「……はい、もしもし」

あかり「……」ソワソワ


結衣「……ふぅ」

あかり「結衣ちゃんのお母さん、なんだって?」

結衣「いや、今日ちょっと食事に出かけるから、私も来たらって」

あかり「そうだったんだぁ」

結衣「……でもまぁ、あかりの家に来てるし、断っておいた」

あかり「え?」
    「そ、そんなの駄目だよぉ!」

結衣「え、どうして?」

あかり「結衣ちゃんは、一人暮らしなんだし……」
    「時々、お母さんも会いたいって思ってるんだよ」

あかり「だから、今日は食事に誘ったと思うんだ」

結衣「……そうかなぁ?」

あかり「うん、そうだよ!」
    「だから、行ってあげなきゃ!」

結衣「……うぅん、あかりがそこまで言うなら」
   「ごめんな、せっかく遊びに呼んでもらったのに」

あかり「い、いいんだよぉ!」


あかり「って、遊んでたわけじゃないよ!」
    「今日のは、監禁! だったんだよ!」

結衣「あぁ、はいはい……」

———————————————————————
結衣「ふぅ、よし」

あかり「忘れ物とか、無い? 大丈夫?」

結衣「うん、大丈夫だと思う」
   「……っていうか、携帯しか持ってきてないし」

あかり「そうだよね!」

結衣「じゃあ、今日は帰るよ」

あかり「あ、うん、またね!」

あかり(……)

あかり(せっかく、監禁? 監禁! したのに)

あかり(たった、3時間くらいで終わっちゃった)

あかり(……もうちょっと、結衣ちゃんと)

あかり(……一緒に、いたかったな)

あかり(でも、家族でお食事だもんね!)

あかり(そういうのは大切にしなくちゃ……)


結衣「あ、そういえばさ、あかり」

あかり「ん?なぁに……?」

あかり「……って————」

あかり「———っ!?」

結衣「……」

結衣「あかりはさ、わかりやすすぎるんだよ」

結衣「好きな人が誰かなんて、すぐわかった」


結衣「あいにく、私も」

結衣「同じみたいだったから、良かった」

結衣「また、監禁してくれるの」

結衣「楽しみにしてるよ」


あかり「……」

あかり「……」

あかり「……えぇぇぇぇ!?」



さて、捕らえられてしまったのは、どっち?


      (終わり)

短くてすいません。リアルが精神的によろしくない状況でして。

そもそも今までのリクに抵抗あるカプがあったのだろうか

ガルパンの歴女のSS少なくって悲しい
できたらお願いします

>>106
全部好きでやってます。
想像したことないCPはへぇ、と思いながらやってます。

>>107
わかりました。

<さや杏×あんたが可愛くて>

最近の杏子は、とりわけ可愛い。


最初は先輩ぶって、私のすることなすことに文句を言ってきたアイツ。

でも、私が落ち込んだときには慰めてくれた。

アイツらしくない心配そうな顔して、私の話を聞いてくれた。

下手くそな慰め方だったけど、すごく気が楽になった。

その時から段々と、アイツへの見方が変わっていった。


時には、アイツが盗みを働かなくても良いように、ご飯をごちそうした。

え? お前飯作れんのかよ!? と言われた時はムカついた。

いっつもおんなじ服を着ているから、服を買いに行ったりもした。

スカートをはかせたら、顔を真っ赤にしていた。

アイツが無邪気に笑うと、こちらまで嬉しくなってしまって

一緒にいる時間が、どんどん長くなっていった。

そんなある日のこと。

その日も、私たちは買い物に出かけていた。


さやか「はぁー、今日も歩いたーっ」

杏子「そうだな……」

さやか「ん? なんか杏子元気なくない?」
    「どうしたの?」

杏子「……どうしたのって、オイ」
   「アンタがアタシのこと着せ替え人形にするから疲れたんだよ!」

さやか「あれ? そうでしたっけー?」

杏子「ったく、買い物に行くといつもこれだ……」

さやか「そんなこと言いつつ、毎回毎回喜んでついてくるのは誰なんだろうねー?」

杏子「べ、別に喜んでついて行ってなんかねー!」

さやか「……そんなこと言うならこの服返してきちゃおっかなー」

杏子「えっ……」

さやか「あはは、冗談だって!」

杏子「っ、こ、このぉ!」
   「……って、ん?」

さやか「……どうしたの? 杏子」
    「まさか、魔女?」

杏子「いや、違う」
   「……あそこにいる二人って」

さやか「ん……?」
    「あぁ、まどかとほむらじゃん」

杏子「だよな?」

さやか「そういえば、あの二人も買い物に行くって言ってたなー」

さやか「……あらあら、仲良く手ぇ繋いじゃって」
    「ほむらも顔が緩みっぱなしじゃん」

さやか「明日の話のネタにしてやろっと」

杏子「……」

杏子「なぁ、さやか」

さやか「ん? どうしたー?」

杏子「……アイツらって、仲良いよな」

さやか「まぁ、そりゃ」
    「あの二人は付き合ってるし」

杏子「……」

さやか「仲良いのも当然じゃん?」

杏子「……それってさ、おかしくねー……か?」

さやか「え?」
    「それって、どれ?」

杏子「いや……だって、その、女同士だろ、アイツら」

杏子「それなのに、付き合っててさ」

さやか「うーん……」
    「べつに、私は何とも思わないけど」

杏子「……そうなのか?」

さやか「うん、だって互いに好きなんでしょ?」
    「好きなら性別なんて関係ないんじゃないの?」

杏子「……本当に、そう思ってんのか?」

さやか「私が嘘つくような人間に見える?」

杏子「見える」

さやか「いや、そういうと思ったけどさ……」
    「……もっとオブラートに包めないかなー」

さやか「本当に、そう思ってるって」

杏子「そ、そうか……」

さやか「……ん?」
    「あっ……ははぁん?」

杏子「……な、なんだよ、きもちわりー笑み浮かべやがって」

さやか「だからオブラートにさ……」
    「……まぁいいや」

さやか「杏子、アンタさ」
    「今、好きな子がいるんでしょ」

さやか「女の子の」

杏子「なっ……!」

さやか「図星だ」

杏子「ち、ちげーよ! 別に、好きな奴なんていねーよ!」

さやか「あー、あー、いつの間にませちゃったんだか」
    「さやかちゃんは寂しいよ」

杏子「だからちげーっ!」

さやか「まぁまぁ、隠さなくてもいいのだよ?」

杏子「隠して、ねーよ……」

さやか「もー、言ってくれたっていいじゃん」
    「私たちの仲でしょ?」

杏子「……」

さやか「ほら、言っちゃいなって」
    「……言ったら、楽になるぞー?」

さやか「あ、わかった! マミさんでしょ?」

杏子「……ちげー」

さやか「何だとぉう……」
    「……なら、まどか!?」

さやか「あっ、だからあの時あんな顔してたのか!」

杏子「……ちげーよ」

さやか「えぇー……?」
    「じゃあ誰よ、ほむら?」

杏子「……言ったら絶対にひく」

さやか「ひかないってー」

杏子「……本当か?」

さやか「本当だって……ってコレさっきもやったヤリトリじゃん」

さやか「ほら、言ってみなよ」

杏子「……ぅ」

杏子「……」

杏子「ぁ……」

杏子「……っ」

杏子「……ぇと」


杏子「……さやか」


さやか「……」

さやか「え?」

さやか「……え、いや、その」

さやか「……え?」

杏子「や、やっぱりひいたじゃねーか!」
   「くそう! もう他人なんて信じられねー!」

杏子「やっぱり自分のためだけに生きてやるっ!」

さやか「いや、落ち着きなさいよ! 杏子!」

さやか「私は別にひいてるわけじゃないって!」

杏子「嘘だ!」

さやか「いや、私ただ純粋に驚いてるだけだから!」
    「予想外の答えに、さやかちゃんおどろいちゃってるだけだから!」

杏子「そんなの信じられるかぁ!」

さやか「いや、そこは信じなさいよ!」

杏子「———!」
   「———っ、じゃあアンタの答えをくれよっ!」

さやか「えっ」

杏子「……アンタがアタシのことどう思ってるかってことを」
   「アタシの気持ちを踏まえて答えてくれよ……」

杏子「ど、どうなんだよ!」

さやか「……それは」

杏子「……」

さやか「……」
    「ちょっと、考えさせてよ」

杏子「……っ」
   「逃げるのかよ……」

さやか「違う、逃げるんじゃない」
    「……アンタはさ」

さやか「本気で、私のこと好きなんでしょ?」

杏子「……そっ」
   「そうだよ! 本気で好きなんだよ!」

杏子「いつの間にか……いつの間にかそんな風になってたんだよ!」

さやか「それなら、適当に返事なんかできないよ」
    「……アンタが本気なら、私も本気で応えなきゃ」

さやか「だから、少しだけ……時間ちょうだい」
    「……良いでしょ?」

杏子「……」
   「わかった……」

さやか「……ありがと」
    「必ず、答えを出すから待ってて」

杏子「……おー」

——————————————————————————
さやか「……ふぅ」

さやか(……まさか、アイツの好きな子ってのが)

さやか(私だったとは……)

さやか(思いもしなかったな)

さやか(なんかちょっと嬉しいかも)


さやか(……いつからアイツは私のこと好きなんだろ)

さやか(そういうところ聞いてみたいな)

さやか(きっかけは、とか……)

さやか(……んー)

さやか(もし、もし付き合ったら)

さやか(私たちの関係ってどう変わる?)

さやか(付き合ってすること)

さやか(……買い物、食事、遊びに行く)

さやか(……)

さやか(今と変わらねー……)

さやか(……そういえば)

さやか(良く付き合うか付き合わないか考えるときに)

さやか(相手とキスすることを考えるっていうのがあるけど)

さやか(……んー)

さやか(杏子と、か)

さやか(……)

さやか(アイツならそういう瞬間、恥ずかしがるだろうなー)

さやか(……絶対可愛い顔するわ)

さやか「……」

さやか「……あー」

さやか「なるほどねー……」

さやか「なんだ、案外簡単だったなー、答え出すの」

さやか「……」

さやか「よし、夜だけど行きますかー」

さやか『杏子、聞こえる?』

杏子『……』

さやか『聞こえてんでしょー、返事しろー?』

杏子『……なんだよ』

さやか『……答え出た』

杏子『……』
   『なら、言えよ』

さやか『テレパシーじゃ嫌に決まってんじゃん』
    『さっさとウチの近くの公園に来てよ』

杏子『……』

さやか『待ってるからね』

杏子『……』

さやか「……」

さやか「これでよし、と」

さやか「……」

さやか「……夜はまだ冷えるなー」ブル

さやか「……」

さやか「……はやくこーい……」

さやか「……っと」
    「やっと来ましたねー」


さやか「……待ってたよ、杏子」

杏子「……」

さやか「んー? 何なに? 無言キャラ?」
    「ほむらとかぶっちゃうよー、そのキャラだと」

杏子「……早くしてくれよ」

さやか「っと、そうだったね」

さやか「……いろいろ考えたんだけどさ」

杏子「……ん」

さやか「私たちってさ」

さやか「好き同士になって、付き合っても」

さやか「……」

さやか「することって、変わんなくない?」

杏子「……っ」

さやか「いままで、買い物行ったり」

さやか「服を見に行ったり」

さやか「ご飯食べに行ったりしたけど」

さやか「それと変わんないんだよね、きっと」

杏子「……」

さやか「付き合っても、することは同じ」

さやか「一緒の時間を過ごして」

さやか「一緒に笑いあう」

さやか「……それならさ」

さやか「別に、付き合わなくても良いんだよ」

杏子「……そ、そうだよな」

杏子「……ま、まぁ、アンタの答えはわか」

さやか「でもさ」


————


さやか「……ん」

杏子「っ……!!」


杏子「な、ななっ、な……」

杏子「さ、さやか……! い、いきなり、ななっ」

さやか「アンタの、そんな風な顔をもっと見られるなら」

さやか「私は、付き合いたいよ」


さやか「杏子と」



ほらね。

やっぱり可愛い。



             (終わり)

デレ杏子とからかいさやか分が少なかったので続くかもしれません。

<唯いちご×なんとか!>
—————教室
唯「……んー」

唯「ん? ……んーっ」
 「ふぁぁ……」

唯「……あれ……」
 「太陽がオレンジ色……」

唯「……今何時?」

いちご「4時半」

唯「おぉ! こんな時間まで寝てたんだ」
 「早く部室に行かないと」

唯「って……あっ」
 「いちごちゃん! おはよぉ〜」

いちご「おはよう」

唯「いちごちゃんはこんな時間に教室で何してたの?」

いちご「忘れ物があったから取りに来ただけ」

唯「そうなんだ〜」

いちご「早く部活行けば?」

唯「あ、そうでした!」

唯「っしょ、っと」
 「ふんす! 準備万端です!」

唯「では、部室に行ってまいります!」

いちご「うん」

唯「……」

唯「いちごちゃんは部活は?」

いちご「……」
    「もう引退したけど」

唯「後輩のために練習見に行ったりとかはしないの?」

いちご「たまに」

唯「へぇ〜、面倒見がいいんだねぇ〜」

いちご「……」
    「部活は?」

唯「おぉ! そうだったそうだった……」
 「じゃあまたね〜」

いちご「バイバイ」

唯「……」

タンタンタン...

唯「あっ、なんか今までで一番長くいちごちゃんと話してたかも!」

唯「えへへ〜、なんだか嬉しいですなぁ〜」

唯「……」

唯(そういえば、いちごちゃんとあんまり話したことないなぁ)

唯(……いちごちゃんって、本当はどんな子なんだろう?)

唯(もっと話してみたいなぁ)

唯(……)

唯(どうすればもっと話せるかな?)

唯「……ん〜」

ゴツッ!

唯「あいたっ!」

—————部室
ガチャリ
唯「みんな〜遅れてごめ〜ん」

紬「あっ、唯ちゃん」

律「おせーぞぉ、唯ぃ〜」

唯「ごめんごめん……」
 「……ついつい熟睡してしまいました」

澪「よくもまぁ、あんなに熟睡できるよな、唯」

律「肩揺らしても全然反応ないもんな〜」

唯「えへへ、まぁね!」

律「いや、褒めてねーから」

梓「全く、唯先輩はちょっとぐーたらすぎます」
 「もう少し、3年生という立場をわきまえるべきだと思います!」

律「そうだぞー、唯!」
 「私たちは受験という戦争の真っただ中にいるんだ」

律「ぐーたらしてたらあっという間に命を奪われるぞ」

澪「お前が言える立場じゃないけどな」

唯「あ、そういえば!」

紬「どうしたの?」

唯「今日ね、いちごちゃんと話したんだ」

澪「へー」

梓「いちごちゃん……って、誰ですか?」

澪「あぁ、いちごっていうのはな、私たちのクラスメイトだよ」

梓「そうなんですか」
  「あれ? それなら、話すのは別に珍しいことじゃないんじゃ?」

律「ところがどっこい、いちごはあんまり人と話さないんだ」
 「まぁ話すのが珍しいってわけでもないけどさ、クールですぱっ! とした感じの奴でなー」

紬「そういえば、私もあんまり長く話したことはないかも」

澪「それで? どんなこと話したんだ?」

唯「えっとね、時間とか、部活見に行ってるの? とかかな?」

律「んー、まぁ普通の話だな」

唯「それで、私はいちごちゃんと話して思ったのです」
 「もっといちごちゃんと話してみたいと!」

梓「なら話せばいいじゃないですか」

唯「んー、そうなんだけどさ」
 「普通に話すよりも、何か工夫して話しかけた方が、いろんないちごちゃんが見られると思うのです!」

澪「そうかも、しれないな」

唯「……何かいい方法とかないかな?」

律「んー」
 「やっぱり、いちごって言ったらあの髪だよな」

律「あの髪を弄ってやれば、なんか反応するんじゃないか?」

唯「なるほど〜……」

澪「ギターとかもいいんじゃないか?」
 「いちごにギターを教えてあげるとかさ」

唯「おぉ! それもいいね!」

紬「私はやっぱりお菓子が良いんじゃないかな〜って思う」

唯「お菓子は間違いないよね!」
 「……」

唯「ちなみに、今日のお菓子は……」

紬「今日はマドレーヌよ♪」

唯「いただきまっす!」

紬「めしあがれ〜」

唯「ん〜! おいひい!」モグモグ

澪「自然とお菓子にシフトしていったな」

唯「……あ」
 「あずにゃんはいい案無い?」

梓「私ですか?」
 「私は、その、いちごちゃ……いちご先輩と言う方がどんな方か分からないのでなんとも」

唯「それもそうだね」
 「よし、じゃあとりあえず髪、ギター、お菓子という3つの方法で」

唯「いちごちゃんにアプローチしていこうと思います!」

律「おう! 頑張れ!」

唯「がんばりまっす! ふんす!」

澪「いや、別に頑張ることでもないだろ」
 「……それより勉強を」

律「よーし! みんな今日は帰るぞー!」

唯「そだねー、暗くなる前に帰ろー」

澪「話を逸らすんじゃない!」

—————翌日・放課後・教室
唯(昨日、皆で作戦会議をしました)

唯(いちごちゃんと話す3つの方法!)

唯(……よーし、まずは髪からいってみよーっと)

唯「いちごちゃん?」

いちご「何?」

唯「いちごちゃんの髪ってふわふわで気持ちよさそうだね」

いちご「別に気持ちよくないけど?」

唯「え〜? そうかな〜」
 「ちょっと触ってもいい?」

いちご「えっ、ヤダ」

唯「はぐっ……! そんなストレートに断られると……わ、私のハートが……」

いちご「嘘、別に良いよ」

唯「えっ! 良いの!?」

いちご「別に……」

唯「わーい♪」

唯(いちごちゃんって冗談? 言うんだ!)

唯「おぉ、やっぱりふわふわ」

唯「これ毎朝セットしてるの?」

いちご「……まぁ」

唯「へぇ、大変だねぇ」

いちご「大変じゃないよ」

いちご「……唯だって大変じゃないの」

唯「え? 何で?」

いちご「前、湿気が多いとくせが出てって話してたじゃん」

唯「あ〜そういえば、そうかも!」
 「……そんな話良く聞いてたね〜」

いちご「……」

いちご「部活は?」

唯「あっ、あー、そうだね!」
 「そろそろ行かなくちゃまた怒られちゃうかも」

唯「……いしょ」
 「今日は髪を触らせていただきまして、ありがとうございましたっ!」

唯「ばいばーい」

いちご「うん、バイバイ」

—————部室
ガチャリ....キィ

律「おっ、唯来たか!」
 「……で、どうだった?」

唯「えへへ、髪に触らせてもらいました」
 「ふかふかで、気持ちよかったな〜」

律「いや、聞きたいのはそっちじゃないって」
 「どんな話、反応したんだよ」

唯「あっ、そっか」
 「えっとね、いちごちゃん、冗談言ってたよ」

律「えっ、マジか!」

唯「うん! あと、人の話を良く聞いてるなーって思った」

律「へー、結構聞き流してそうだけどな」

唯「そんなことはないみたいだね〜」

律「よし、まぁともかく髪作戦はまぁまぁ成功だな」

唯「はい! りっちゃん隊員のおかげでございます! ありがとうございました!」

律「うむ! よくやったぞ! 褒美にムギのお菓子をやろう!」

澪「いや、お前が偉そうに言うことじゃないだろ」

澪「次はどうするんだ?」

唯「次は、澪ちゃんの案で行きたいと思いまっす!」

梓「あぁ、ギターを教えてあげるとかですね」

紬「この案も意外な面が見れそうね」

律「ただ……唯が教えたらグダグダになりそうなんだよな」

唯「り、りっちゃんしどい……」

唯「私だってだてに2年以上ギターやってないもん」
 「初心者に教えるくらいなら余裕です!」

唯「憂に教えてあげたときだって」
 「あっという間にコードをマスターさせることができたんだよ!」

澪(それは憂ちゃんの覚えが良いからだろうな……)


唯「次もまた違ういちごちゃんが見れればいいな!」

唯「えへへ、楽しみだな〜」


             (続く)

眠いんで寝ます。

<唯いちご×かんとか!>
—————放課後

唯(ふふふ、今日はギター作戦!)

唯(ギターでいちごちゃんともっと仲良くなってみせまっす!)

唯「いちごちゃん!」

いちご「ん……何?」

唯「ほら、見てみて、ギターだよ」
 「私のギター!」

いちご「うん、分かる」

唯「名前はね、ギー太って言うんだ」

いちご「ギー太?」

唯「そう、ギターのギー太」

いちご「あ、そう」

唯「えへへ、かわいいでしょ」

いちご「……」
    「うん、まぁ」

唯「だよねー!」

唯「でもね、皆は可愛い? って首かしげるんだ」
 「なんでだろ?」

唯「いちごちゃんはなんでだと思う?」

いちご「……え、知らない」

唯「だよねぇ……」

いちご「……」

いちご「でも」

唯「ん?」

いちご「……自分が可愛いって思うならそれでいいと思う」
    「人になんて言われても、別に関係ないじゃん」

いちご「だから、唯は、良いと思う」

唯「……そ、そうかなぁ」

いちご「うん」

唯「えへへ、ありがと〜」

いちご「……別に」

唯「あ、そうだ」
 「ねぇ、いちごちゃん、ギター弾いてみない?」

いちご「え、別に良い……」

唯「まぁまぁ、そんなこと言わずに」

いちご「わっ……」

唯「このストラップをね、肩にかけるんだよ」

いちご「……」

唯「かけてあげるねー」

いちご「……ありがと」

唯「……いしょ」
 「わぁ! いちごちゃんギター似合ってるよ!」

いちご「……あ、そ」

唯「えへへへ……」
 「持ってみてどう?」

いちご「……」
    「結構重い」

唯「だよね〜!」
 「だからね、演奏しているときとか、結構体力使うんだよ〜」

いちご「そうなんだ」

唯「そうなのです、ライブは体力勝負なのです」
 「ムギちゃんのお菓子が無ければ、今頃私は灰になってしまっているのです……」

いちご(……high?)

唯「あ、ムギちゃんってね、いっつもお菓子持ってきてくれるんだ」
 「昨日はバウムクーヘンでした!」

いちご「ねぇ、唯」

唯「……ん? なぁに?」

いちご「……ギター弾くんじゃなかったの?」

唯「あ、そうだった!」
 「よっし、じゃあ、早速ギター弾いてみよう?」

いちご「うん」

唯「はい、じゃあピックもって」
 「あ、ピックって言うのは、この三角形の」

いちご「それは知ってる」

唯「ですよねー……」
 「でも、持ち方はさすがに知らないよね」

唯「ピックは、こういう風に指で挟むんだよ」

いちご「……」
    「こう?」

唯「お〜! そうそう! 上手いね、いちごちゃん」

いちご「……別に褒められることしてないんだけど」

唯「で、力はあんまり入れないでね」
 「まずは、じゃーんってしてみよっか!」

いちご「……じゃーん、って?」

唯「一番上の弦にピックを当てて、力を入れないでそのまま下ろすんだよ」

いちご「……」

....

...ジャラァーン

唯「そうそう、そんな感じ!」

いちご「……音小さ」

唯「あ、こういうギターはね、アンプにつながないといつも聞いてるみたいな音が出ないんだよ!」

いちご「へぇ、そうなんだ」

唯「……あっ! そいえば……」

いちご「……何?」

唯「ちょっと待っててね!」
 「確か、前に」ガサゴソ

唯「あ、あったぁ!」

唯「これつけると、本当の音が出るよ!」

いちご「それがアンプ?」

唯「そう! ちっちゃい奴だけどね」
 「前にあずにゃんと買い物に行ったときに、見つけたんだ〜」

唯「あ、あずにゃんっていうのは、2年生の子でね」

いちご「ねぇ、繋いでみてよ」

唯「あっ……うん!」
 「……よし、これで良いかな?」

唯「もう一回、じゃーんってしてみて?」

いちご「分かった」

....

...ギュァーンッ

いちご「……わ」

唯「ね! いつものギターの音がするでしょ」

いちご「……ほんとだ」ニコ

唯「あっ……!」

唯(いちごちゃんが笑った……!)
 (初めて見たよ〜!)

唯(えへへ、笑顔見たのって、私が初めてじゃないかな〜?)

唯(……なんだか、嬉しいかも!)

唯「じゃあ、次はコードだね!」
 「コードって言うのは、弦をね、指で押さえてねー」

いちご「あ、それはいい」

唯「……そ、そですか……」

いちご「……私はもういい、ありがと」
    「ギター、返すよ」

唯「あ、う、うん……」

いちご「……私が弾くより」
    「唯が弾いてるところ見たい」

唯「え?」

いちご「弾いてみて」

唯「……う、うん! 分かった、弾いてみるね」
 「何か、リクエストはありますかっ!」

いちご「……ん」
    「じゃあ、あのなんとかタイム」

唯「ふわふわ時間?」

いちご「そう、それ弾いて」

唯「うん、分かった!」

唯「……よっし、じゃあいきまっす!」
 「ふわふわ時間!」

いちご「……歌も入れて」

唯「はいはいっ! 任せて!」
 「……せーの」

ジャカジャカジャン ジャカジャカジャン ジャカジャン

ジャカジャカジャン ジャカジャカジャン ジャカジャン


唯「キミを見てると、いつもハートDOKI☆DOKI〜♪」

揺れる思いはマシュマロみたいにふわふわ

いつもがんばる キミの横顔

ずぅと見てても 気付かないよね

夢の中なら 二人の距離 縮められるのにな

あぁカミサマお願い 二人だけの

DreamTime ください☆

お気に入りのうさちゃん抱いて 今夜もおやすみ

ふわふわ時間 ふわふわ時間 ふわふわ時間♪


ジャジャン ジャジャン ジャアーンッ

唯「……ふぅ」

唯「……えへへ、こんな感じかな〜」
 「どうだった?」

いちご「……いいんじゃない?」

唯「そうかな? 良かったぁ」
 「頑張って弾いたかいがあったよ〜」

いちご「……唯」

唯「ん? なぁに、いちごちゃん」

いちご「……」
    「そろそろ、私部活行かないと」

唯「あ、今日はあるんだ!」
 「ごめんね、なんか引き留めちゃって」

いちご「別に」
    「楽しかったし」

唯「そうかな〜? そう言ってもらえると照れますなぁ〜……」

いちご「……」
    「じゃあ、バイバイ」

唯「うん! また明日ね、いちごちゃん」

いちご「うん」

いちご「……」

いちご「……夢の中みたい」

————部室
唯「ただ今まいりましたっ!」

澪「あ、唯」
 「……どうだった?」

唯「えへへ、今日も大成功〜♪」
 「いろんないちごちゃんの素顔を見ることができました!」

澪「へぇ、たとえばどんな?」

唯「えっとね〜……」
 (……)

唯(……あれ?)
 (いちごちゃんが笑ったこととか、秘密にしておきたい、かな)

唯(……別に、言ってもいいはずなのにな〜)
 (何でだろう?)

唯「ギター持ってる姿がすっごくにあってた!」

澪「確かに似合いそうだな」

唯「それくらいかな?」

澪「えっ」

律「それだけかよ!」

唯「えへへ、ついつい教えるのに熱が入ってしまいまして……」

紬「うまく教えられた?」

唯「教えられたよ!」

律「本当かぁ?」

梓「唯先輩、間違ったコードとか教えてないですよね!?」

唯「え、コードは教えてないよ?」

澪「え?」

梓「じゃあ何教えてあげたんですか?」

唯「ピックの持ち方と、弾き方、かな〜?」

澪「それって教えたって部類に入るのか……?」

紬「ねぇ、唯ちゃん」
 「次はどうするの?」

唯「次はお菓子作戦で行こっかな〜」
 「……ってことでムギちゃん、お菓子お願いしまっす!」

紬「うん! 任せて!」

唯「……いちごちゃんってどんなお菓子が好きなんだろ」
 「聞いておけば良かったかなー?」

律「いちごは……甘いのが好きそうだなー」
 「いちご大福とか、いちごショートとか……いちごとかな!」

澪「見事に名前に引っ張られてるな」

紬「意外に、ビターなチョコレートとか」
 「大人っぽいものが好きかもしれないわよ?」

唯「……うーん……」
 「……まぁ、ムギちゃんチョイスに任せるよ」

紬「うん、わかったわ♪」

梓「結局人任せですか……」

唯「ムギちゃんチョイスははずれが無いので!」

律「そればっかりは、私も同感だ」

澪「まぁ、そうだな」

梓「そうですね」


後に昆布とひじきのプラマンジャが出る事を、彼女たちはまだ知らない。

—————唯・自宅
唯「……♪」

ジャカジャカジャカ...

唯「……」

ジャラァーン...

唯「んー」

唯「……」

唯(いちごちゃん、お菓子持って行ったらどんな反応するのかな?)

唯(……そもそも、お菓子好きかな?)

唯(最初は、ただの好奇心? みたいなものだったのに)

唯(いつの間にか、楽しくなってるみたい)

唯(……)

唯「えへへ……」

唯(次は、どんな顔を見せてくれるのかな〜♪)

—————
唯(今日はお菓子作戦で行くよ!)

唯(ムギちゃんにお菓子ももらったし)

唯(あ、ちなみにお菓子はケーキみたいです)

唯(早速いちごちゃんに声をかけに行こう!)

唯「いちごちゃん!」

いちご「唯」

唯「今日はお菓子があるんだけどね」
 「一緒に食べよ〜♪」

いちご「……別に良いけど」

唯「やった〜! えへへ、ちょっと待ってね」
 「今日のお菓子は何かな〜」

いちご「えっ」

唯「え? どうしたの?」

いちご「……お菓子ってそういうやつ?」

唯「あれ? ケーキとか、そういうのじゃだめだった?」

いちご「駄目じゃない」
    「でも、ポッキーとかそういうやつだと思ってたから」

唯「あ、そうなんだ〜」

いちご「私、食べていいの?」

唯「うん、良いんだよ〜、ちゃんと二つあるし!」

いちご「ふぅん」

唯「って言っても、私が買ってきたやつじゃないんだけどね」
 「ムギちゃんにお願いして……」

いちご「……あ、そう」

唯「ねえ、いちごちゃん、どっち食べる?」
 「いちごショートと、ガトーショコラがあるみたいだよ」

いちご「……」
    「じゃあガトーショコラ」

唯「はい、どーぞ」

いちご「ありがと」
    「……おいしそう」

唯「そだね! ムギちゃんの持ってくるお菓子はいっつもおいしいんだよ!」

いちご「……へぇ」

唯「じゃあいただきま〜す♪」

いちご「いただきます」

唯「はむ……ん〜♪」
 「おいひ〜♪」

いちご「……ん、おいしい」

唯「ガトーショコラもおいしいの?」

いちご「うん」
    「食べる?」

唯「え、良いの!?」

いちご「別にいいけど」

唯「わーい! じゃあいただきま〜す」
 「……はむ……」

唯「うん! こっちも美味しいよ〜!」

いちご「私も唯の食べていい?」

唯「あ、どうぞどうぞ」

いちご「ありがと」

いちご「……」

いちご「おいしい」

唯「ね! どっちもおいしいよ! さすがムギちゃん!」

いちご「……」

いちご「……ねぇ、唯」

唯「ん? なぁに?」

いちご「ムギちゃん、ムギちゃんって」
    「……ちょっと、しつこい」

唯「えっ……あ、ご、ごめんね!」

いちご「……」

いちご「……はむ」

唯「……え、えへへ」

いちご「……」
    「私と」

唯「へ?」

いちご「……私といるときは、別の人の名前出さないでよ」

唯「え、ど、どうして?」

いちご「……」

唯「……?」

いちご「……嫉妬するから」

唯「へ? し、嫉妬?」

いちご「そう、嫉妬」

唯「なんで、他の人の名前出てきたら、嫉妬しちゃうの?」

いちご「……」
    「気になってる人が」

いちご「自分以外の人のこと話してるのって、嫌でしょ」

唯「……え? 気になってる、人……?」

いちご「ずっと気になってた」

いちご「二人で話したいと」

いちご「……神さまにお願いしてた」


いちご「二人で過ごしたいと夢見た時間くらい、二人だけで過ごしたい」

唯「……いちごちゃん」

いちご「……唯と、二人だけで」

いちご「……」

唯「……」

唯「あのさ、いちごちゃん」

いちご「……なに」

唯「……私ね、最初は」

唯「いちごちゃんと話して、どんな顔するんだろうなって思って」

唯「それで、また話してみたいなって思ってた」

いちご「……」

唯「でも、今はね」

唯「いちごちゃんと二人で話すのが楽しみで」

唯「……また、話したいって」

唯「この時間が待ち遠しくて」

唯「……仕方がないんだ」

唯「この気持ちって、いちごちゃんの気持ちと、似てるのかな?」

いちご「……」
    「少しは似てるかも」

唯「えへへ、そっか」

いちご「でも、まだ、私のとは違う」

唯「……うん」

唯「そうかもしれないね」

いちご「……もし」

いちご「唯が、私と同じ気持ちになったと思ったら」

いちご「……その時は」

いちご「また、ギター、教えて」

唯「ギター?」

いちご「そう」

いちご「また聞きたいから」

いちご「あの曲」


もう、その時にはきっと

夢では物足りなくなっているだろうけど。


唯「……うん!」


お願い、神様。

            (終わり)

うーん! 難しい。

もうちょっと二人を理解しなくちゃ駄目ね。

<ユーナギ×もし>
—————ユー子宅

ユー子「あー……! どないしよぉ」
    「アンケート用紙学校に忘れてしもた……」

ユー子「……うぅ」

ユー子「あっ、そうや……!」

ユー子(ナギに、一緒に学校に取りに行ってくれへん? って頼んでみよ)

ユー子「ケータイケータイ……あった」

ユー子「……えぇと」

ユー子「学校に……忘れて……」

ユー子「……」

ユー子「よし、これでええかな?」

ユー子「……」

ユー子「ナギ、一緒に取りに行ってくれるやろか……」

ユー子「……お願い!」


ポチッ

ユー子「……」

ユー子(はやくこぉへんかなぁ)

ユー子「……」

ユー子「……なぎぃ」


ピローン♪


ユー子「……!」ガバッ

ユー子「ナギからや……!」

ナギ『新学期まで待っとけばいいだろ』

ユー子「……いややぁ」

ユー子「ちゃんと考えて……」

ユー子「……付き合って」

ユー子「なぎぃ〜……」


ポチッ

ユー子「付き合ってやぁ……なぎぃ」

ユー子「……頼りになる人おらへんねん」

ユー子「……」


ピローン♪


ユー子「あっ、来た……!」

ナギ『夜の学校にか?』

ユー子「……うん」

ユー子「お願い、一人じゃ……怖い……っと」

ユー子「……」

ユー子「……なぎぃ〜……」


ポチ

ユー子「……お願い、ナギ……」

ユー子「……付き合ってぇ……」


ピローン♪


ユー子「……」カパ

ナギ『しょうがないなー
   学校で待ってるから早く来いよ』

ユー子「……!」パァ

ユー子「……ありがとぉ、なぎぃ……!」

ユー子「よし、準備せな……!」

ユー子「何でいこかな? 制服?」
    「ナギは制服で来るやろか」

ユー子「ウチだけ制服やったらちょっと恥ずかしい……」
    「……ちょっとおめかししてかなあかんかな……?」

ユー子「……どないしよ」

—————学校
ナギ「……」

ナギ「はー……ったく」

ナギ「ユー子のやつ」
   「……これは後でアイスおごりだなー」

ユー子「ナギぃ〜!」

ナギ「おっ、来た来た」

ユー子「ごめん、待った?」

ナギ「いや、そんなに待ってな……」
   「……ってお前、何だよその格好」

ユー子「……えっ、やっぱ制服なん?」

ナギ「いや、学校に入るわけだし、普通制服だろ」
   「宿直の先生とかに出会った時のことを考えてさあ」

ユー子「あっ、それもそやね……」

ナギ「やれやれ……」
   「ほら、早く門登れ」

ユー子「うん」

ナギ「……夜の学校に侵入とか、フツーに考えたら逮捕もんだぞ」

ユー子「やって、じっくり考えたかってん……」

ナギ「まぁ、分かるけどさ」
   「取りあえず、ささっと行って取ってきちゃおう」

ユー子「うん……でもどこから入る?」

ナギ「……一応針金は持ってきた」

ユー子「ピッキングするん……?」

ナギ「……やめておくか」

ナギ「どこかあいてるところないかな……」

ユー子「……」
    「……うぅ」

ナギ「ん?」
   「……なんだよ、ユー子」

ナギ「キョロキョロしちゃってさ」

ユー子「夜の学校って怖くて……」

ナギ「……大丈夫だって、ユーレイなんかいるわけないだろ」

ユー子「そうかもしれんけど……」

ナギ「ほら、そんなことより鍵あいてるところ探そ」

ユー子「……うん」


ユー子「あ、あんまり離れんといて……」

ナギ「わかったよ……でもひっつきすぎるなよ」
   「夜とはいっても暑い……」

ナギ「おっ、あったあった」
   「ここから入れそうだ」

ユー子「ほんまぁ?」

ナギ「あぁ……よっ、と」
   「……ぐぬぬ」

ナギ「よし、入れた」
   「ほら、ユー子も」

ユー子「う、うん」

ユー子「……ほっ」
    「うぅん……!」

ナギ「……はぁ」
   「そんな服で来るから入れないんだろ」

ナギ「ほら、手」

ユー子「あっ、う、うん……」


ユー子「……ありがとぉ」

ナギ「……よし、侵入はできた」

ユー子「してもうたね……」

ナギ「じゃあ、早く教室に行っちゃおう」
   「プリントがどこにあるかってのは分かるんだよな?」

ユー子「うん、たぶん机の中やと思う」

ナギ「そうか」
   「……次からは忘れないようにしろよ〜」

ユー子「分かってる……」


タン、タン、タン...


ナギ「……」

ユー子「……ひっ」

ナギ「……」

ユー子「ひゃぁ」

ナギ「……」

ユー子「……ぅぅ」

ナギ「おい」

ユー子「な、なにぃ……?」

ナギ「なにぃ……? はこっちのセリフだろ!」

ナギ「さっきからひっ、とかひゃあ、とか言って」

ユー子「や、やってなんか暗くてこわいし……」

ユー子「……音が響いて余計怖いし」

ナギ「……っ」

ナギ「はぁ……」

ナギ「ったく、しょうがないな〜……」

ナギ「ほら」

ユー子「……え?」

ナギ「手、繋げば怖くないだろ」

ユー子「えっ、あ……」
     「……う、うん」

ナギ「ほら、早く、手っ」

ユー子「……」


ギュ


ユー子「……」

ユー子「……あったかい」

ナギ「……よし、教室に着いた」

ナギ「プリント、取ってこいよ」

ユー子「うん……まっとってな」

ナギ「大丈夫だよ、待ってるから」

ユー子「……」

ユー子「……あ、あった!」

ユー子「ナギ、あったで!」

ナギ「そっか、良かったな」
   「じゃあ、帰るぞ」

ユー子「うん!」


カツーンッ


ユー子「ひっ!?」

ナギ「……っ!?」

ユー子「な、なにぃ!? 今の音……!」

ナギ「わ、わかんない……」
   「……廊下の方から……音、したか……?」

カツゥーンッ


ユー子「いやぁ……また音したぁ……!」

ナギ「お、落ち着けっ! ユー子!」

ユー子「怖い、こわいぃ……!」


カツゥーンッ


ユー子「音大きくなってへん……!?」

ユー子「いや、いややぁ!」


カツゥーンッ


ユー子「……助けてぇ……!」
    「ナギぃ! お願いぃ……!」

ユー子「……ナギ……!」


ギュッ

ユー子「……っ」

ユー子「ぇ……?」

ナギ「……大丈夫だって」

ナギ「落ち着け、ユー子」

ユー子(あ、あれ)

ユー子(ウチ……ナギに、抱きしめられてる?)

ナギ「大丈夫、大丈夫だから」ギュゥ

ユー子「わ……」

ユー子(だ、抱きしめられとる……!)

ユー子(……な、なんやろ)

ユー子(いっつも、ウチから抱き着くことはあっても)

ユー子(ナギに抱き着かれ……抱きしめられたことは……初めてやない……?)

ユー子(すっごい、落ち着く……)


ユー子(……ちょっと、恥ずかしい……けど)

ナギ「……な、何があっても」

ユー子「へ?」

ナギ「……お、お前のことは……」

ナギ「私が、守ってやる……」

ナギ「……だから、怖がるな」

ユー子「……!」

ユー子「な、ナギ……な、なっ、なん」

ユー子(そ、そない、恥ずかしいこと……)

ユー子「……わ、ぁ……」カァ

ユー子(……う、うん?)


ナギ「……」ブルブル...

ユー子(……ナギ、震えとる?)

ユー子(……)

ユー子(ナギも……怖いんかな……?)

ユー子(それやのに、ウチを怖がらせんように……)

ユー子(……気丈に、ふるまって……)

ユー子(……)


カツゥーンッ!


ユー子「ひっ……!」

ナギ「……っ……!」


ガラガラッ!!


ユー子「〜〜〜〜っ!!」

ナギ「うっ、うわぁぁ!!」


「あれぇ……?」

ナギ「……へっ?」

ユー子「ひいぃい、ごめんなさい、ごめんなさい……許してぇ」

ユー子「やめてぇぇぇえ!」

ナギ「お、おい、ユー子」

ユー子「あかん、ナギ、そっち見たらあかん……!」

ナギ「いや、ユー子、おい」

ユー子「あかぁ〜んっ!」

ナギ「……落ち着け、ユー子」

ユー子「あか……」
    「……へ?」

佐藤「……何やってるの? 君たち」

ユー子「佐藤……先生……?」

佐藤「そうだよ、佐藤だよ」

—————
佐藤「なるほどねぇ……プリントを取りに来てたんだ」
   「……そのプリントはあったの?」

ユー子「はい、ありました」

佐藤「そう、良かったねぇ」

ナギ「はい、ご迷惑かけてすいませんでした……」

佐藤「いや、別に良いんだよ」
   「……次からは忘れないようにしないとね〜」

ナギ「そうだぞ、ユー子」

ユー子「はい……すいません」

佐藤「……」
   「それはそうと」

佐藤「るんちゃんは一緒じゃないの?」

ナギ「……まぁ」

ユー子「……」

佐藤「……残念だなぁ」

佐藤「じゃあ、気をつけて帰るんだよ」

ナギ「はい」

ユー子「はい、ありがとうございました……」


ナギ「……ふぅ、びっくりした」
   「佐藤先生が宿直だったのか」

ユー子「そうやね……ほんまに怖かった……」

ナギ「まぁ、でも、本当にさ」
   「ユーレイとかそういうのじゃなくて良かったよ」

ユー子「……うん」


ユー子「……あんな、ナギ」

ナギ「……うん? どした?」

ユー子「……さっきは」
    「抱きしめてくれて……ありがとうな」

ナギ「……あっ」

ユー子「……めっちゃ怖くて……頭真っ白になってしもたけど」

ユー子「……ナギに抱きしめてもらって」
    「あんまり怖なくなった……」

ユー子「……ありがとう」

ナギ「……あー」
   「うん……まぁ」

ユー子「……あと、守ってやるって言ってくれたやんか」 
    「それも、すっごく嬉しか」

ナギ「そ、その言葉は忘れろぉ!」カァ

ユー子「えっ……?」
    「な、なんでなん……?」

ナギ「はっ、恥ずかしいからに……きまってるだろ!」

ユー子「……でも、めっちゃかっこよかった……」

ナギ「……ひっ」カァァァ

ナギ「だ、だめだっ! 絶対に忘れてくれぇ!」
   「まじで恥ずかしいって!!」

ユー子「……い、いややぁ!」
    「絶対に忘れへん!」

ユー子「なんなら、もっかい言って欲しい!」

ナギ「なんでそうなるんだよぉ!!」

ユー子「あかんの?」

ナギ「あかんに決まってるだろ!!」

ユー子「……えぇ、けちぃ」

ナギ「そういう問題じゃねぇーっ!!」

—————数日後

ナギ「……」

ナギ「おっ、来た」
   「おーい、トオル、るん」

トオル「あっ」

るん「あ、ナギちゃーん!」

るん「おまたせー」

トオル「……ユー子は?」

ナギ「まだ、来てないよ」

トオル「そうなんだ」

るん「ねぇ、ナギちゃん」

ナギ「ん? なんだ?」


るん「ユー子ちゃんのこと、守りに行かなくてもいいの?」


ナギ「……は?」


トオル「そうだよ、いまユーレイに襲われてるかもよ」


ナギ「」

ユー子「お待たせ、ナギ、トオル、るん!」

ユー子「……って、ナギ、どうしたん……?」

ナギ「……ユー子、お、お前」

ナギ「も、もしかして……」

ナギ「……学校に忍び込んだ時のこと、言ったのか……?」

ユー子「うん、言ったで……? なんで?」

ナギ「……いや、この二人がな」
   「絶対に忘れろ! ってお前に言ったことを言ってるから」

ユー子「え、だってそれも言ったもん」

ナギ「なんで……なんで、なんで言ったんだよぉ!!」

ユー子「だ、だって……自慢したかったんやもん」

ナギ「……」
   「だぁぁぁぁぁ———っ!!」

ユー子「え、なに? ナギ、ちょ、ちょっとまって」
     「や、やめっ、いやぁぁっぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


るん「二人は、相変わらず、仲良いね」

トオル「……そうだね、私もそう思うよ」

               (終わり)

アニメ適当に見てたら思いついたので。

もう一つトオルンで思いついたけどそれはまた今度。

<芳ッキーニ×恐怖症>
—————基地・廊下
リネット「——でね、芳佳ちゃん」

芳佳「うん」

芳佳(……はぁ)

芳佳(今日もリーネちゃんのおっぱい良いなぁ)

芳佳(包み込まれたい)

芳佳(むしろ包み込みたい)

リネット「なんだけど」

芳佳「……」

リネット「……芳佳ちゃん?」

芳佳「……」

リネット「芳佳ちゃーん?」

芳佳「……あっ、うん! 聞いてるよ!」

リネット「そ、そう?」


「よっし、ルッキーニ、今日こそ音速の壁を越えてやるぞ!」

「うん! 頑張れシャーリーっ!」

リネット「シャーリーさんとルッキーニちゃんかな……?」

芳佳(……歩くたびに揺れるなんて)

芳佳(信じられないよ!)

芳佳「……」ジィ

「そうと決まれば、さっさとハンガーに行くか!」

「うじゅじゅ〜っ!」

リネット「……あっ!」
    「よ、芳佳ちゃん! 危ない!」

芳佳「えっ?」

シャーリー「わっ、おぉっ!?」


ドンッ! ムニュン

シャーリー「いててて……」
      「ミヤフジか……悪い、ぶつかっちゃって」

芳佳「うぅん……」

シャーリー「……あれ? どうした?」
      「おい、ミヤフジ?」

リネット「芳佳ちゃん! 芳佳ちゃん、しっかりして!」

シャーリー「もしかして、転んだ時に頭でもぶつけたのか?」

ルッキーニ「わ、私っ、えいせいへい呼んでくる!」

シャーリー「そ、それより運んだ方が早いんじゃないか!」

リネット「いえ、頭をぶつけたときにはそのままにしておいた方が良いみたいです!」

シャーリー「お、おぉ、そうか、ならルッキーニ、頼んだ!」

ルッキーニ「うんっ!」

——————————
芳佳「……う、うぅん……」

芳佳「あれ……ここ」

リネット「芳佳ちゃん! 目を覚ましたんだね、よかったぁ……!」

芳佳「……?」
   「私……どうして医務室に」

バルクホルン「それは、こいつが宮藤とぶつかって」
        「その拍子に頭をぶつけてしまったからだ」

シャーリー「ゴメンな、ミヤフジ……」

芳佳「そうだったんです、か……」
   「……ッ!」

シャーリー「……私が、グラマラスであるばっかりにこんな目にあわせちまって」

バルクホルン「貴様、悪いと思っていないだろう!」

シャーリー「い、いや! マジで悪いとは思ってるって!」
      「ただ胸が小さければあんなに弾まずに済んだかなぁと」

バルクホルン「お前……!」
        「今回は大事にならずに済んだものの……もし後遺症が残ったりしたらどうするんだ!」

バルクホルン「軍人としてだけでなく、将来にまでかかわるんだぞ、それを分かって言っているのか!?」

シャーリー「……す、すんません」

バルクホルン「全く……大丈夫か、宮藤」
        「……宮藤?」

芳佳「……」ガタガタ

リネット「よ、芳佳ちゃん? どうしたの? そんなに震えて……!」ポヨン

芳佳「ひっ……!」

シャーリー「お、おい、大丈夫か……!?」
      「どっか痛いところでもあるのか……!?」ボイン

芳佳「う、うわぁ……!」

バルクホルン「ま、まさか……! 本当に後遺症が出てしまったのか……!?」

リネット「そ、そうなの!? 大丈夫!?」

芳佳「り、リーネちゃん! そ、それ以上動かないでっ……!」

リネット「えっ……」

シャーリー「なっ……ミヤフジ、それはどういう」

芳佳「シャーリーさんもっ……う、動いたらダメですっ!」

シャーリー「えぇ……!?」

バルクホルン「宮藤、一体なんだというんだ……!?」
        「リーネもシャーリーもお前が心配で近寄ろうとだな」

芳佳「……っ」
   「……んです」

バルクホルン「……何だって?」

芳佳「お、おっきい胸が……こっ、怖いんです……っ!」

バルクホルン「……」

バルクホルン「え?」

リネット「……そ、そんな!」

シャーリー「……う、うぅ、うそだろ……?」

リネット「よ、芳佳ちゃん……?」

芳佳「ひぃぃぃ!!」


バルクホルン「……布団にくるまってしまったぞ」

シャーリー「そ、そうだな……」
      「おびえ方を見ると、なんだか冗談っていう感じでもないし……」

シャーリー「頭をぶつけたせいか……?」

バルクホルン「貴様のその凶器によって頭をぶつけたせいだろう」

シャーリー「マジかよ……」

リネット「……うそ、芳佳ちゃん……芳佳ちゃん」

シャーリー「おーい、しっかりしろー」

バルクホルン「……とりあえず、二人は外に出ていろ」
        「宮藤がもとに戻るまでは私が面倒を見ておく」

シャーリー「お前の胸は大丈夫なのかよ」

バルクホルン「……さっき私を見たときには怯えていないようだったし」
        「大丈夫なのだろう」

シャーリー「そうか……」
      「分かった、じゃあ頼んだよ」

シャーリー「リーネ、出ようぜ」

リネット「……」

シャーリー「……」
      「まぁ……へこむのは分かるけどさ、ほら……」

リネット「……」ジワァ

シャーリー「お、おい! 泣くなよ!」


ルッキーニ「ただいま! タオルしぼってきた!」

シャーリー「お、ルッキーニ」

シャーリー「悪いな、私たちはミヤフジには近づけないみたいだから」
      「ルッキーニが宮藤にタオルをやってくれ」

ルッキーニ「え? なんで近づけないの?」

シャーリー「……私がグラマラスだからだ」

ルッキーニ「? まぁ、いいや〜」

ルッキーニ「ミヤフジ〜、タオルだよ〜冷たいよ〜」

芳佳「……ルッキーニちゃん?」

ルッキーニ「そだよ! 私だよ」
       「ほら、タオル! 布団から出てきて!」

芳佳「あ、ありがとう、ルッキーニちゃ——」
   「——!!」


芳佳「……小さい……!」

ルッキーニ「へ?」

バルクホルン「……何?」

芳佳「……は、はぁ……!」

ルッキーニ「……あれ? 芳佳? 顔が怖いんだけど」

芳佳「ルッキーニちゃぁん!」ギュゥ!

ルッキーニ「ぎにゃ! な、なにっ!? 芳佳!?」

シャーリー「えっ、ど、どうした!?」
      「わっ、ミヤフジ! 何ルッキーニに抱き着いてんだ!?」

リネット「うーん……」バタン

シャーリー「わっ、お、おい! リーネ! しっかりしろ!」

芳佳「はぁはぁ、ちいさぁい……!」

ルッキーニ「うじゅあぁぁぁ〜っ!」

バルクホルン「お、おい! 宮藤、落ち着けっ!」

——————————

ルッキーニ「」

芳佳「……ふぅ」
   「ごめんなさい……なんだかルッキーニちゃんの小さな胸を見ていたら」

芳佳「……なぜだか溢れる感情が抑えきれなくて」

バルクホルン「いや、いいんだが……いや、いや……良くないか」
        「……これは一体どういうことなんだ」

シャーリー『もしかしたら、好みが逆転してしまったのかもしれないな』

バルクホルン「好みが逆転?」

シャーリー『あぁ、今まで宮藤は、私のような胸が好きだった』

バルクホルン「自分で言うものなのかそれは」

シャーリー『まぁ、事実だし……』
      『で、今の宮藤は、ルッキーニの胸が好きである、と……』

シャーリー『……つまりは、さっき頭をぶつけてしまった衝撃で』
      『デカい胸が怖くなっただけでなく、逆に小さい胸に魅力を感じるようになってしまった……ってことだ』

バルクホルン「……そうか」
        「ちなみに平均的な胸はどうなんだろうか」

シャーリー『いや……知るかよそんなこと……』

シャーリー『それだけじゃない』

バルクホルン「まだ続きがあるのか?」

シャーリー『あぁ、憶測だけどな……』
      『今のミヤフジは衝動的になってしまっている』

バルクホルン「……ふむ」

シャーリー『今までは、ラッキースケベ……つまりは偶然の機会を狙って』
      『ミヤフジはこの胸を堪能していた……多分』

バルクホルン「そうだったのか?」

シャーリー『そうだった、たぶんな』
      『しかし、今さっきの行動を見ると、胸を見たとたん、その胸を求め動いた、といった感じだ』

シャーリー『頭をぶつけたことで、好みが逆転してしまっただけでなく』
      『行動にも影響を及ぼしてしまっているんじゃないかと思うんだ』

シャーリー『……これはかなり危険な状態だろ』
      『今のルッキーニを見れば分かると思うが……』

バルクホルン「……あぁ」

シャーリー『……早いところ、解決策を見つけなきゃだめだな』

バルクホルン「そうだな……」

シャーリー『まぁ、私が色々と考えてみるよ』
      『こうなってしまったのは私の責任だしな』

バルクホルン「頼んだぞ。 早急にな」

シャーリー『分かってるって』

シャーリー『……後さ、さっきから言おうと思ってたんだが』

バルクホルン「何だ?」

シャーリー『このインカム、勝手に使っていいのかよ』
      『これ、戦闘時に使う奴だろ』

バルクホルン「緊急事態だからやむをえん」
        「それに、お前たちを見ると宮藤が怯えてしまうんだからな」

シャーリー『……中佐に怒られないよな』

バルクホルン「事情を話せば分かってもらえるだろう」

シャーリー『こんな変な事情、信じてもらえるのかよ……』

バルクホルン「そんな心配は必要ない」
        「良いから早く解決策を探してくれ」

シャーリー『ほいほい……』


バルクホルン「……ふぅ」
        (……)

芳佳「……はぁ……」
   「……る、ルッキーニちゃん……」

ルッキーニ「……うじゃっ!? 芳佳! やめ」
       「あ」

バルクホルン(このままでは二人の隊員が犠牲になりかねないな)
        (早めに解決しなければ……)

バルクホルン(……)
        (私の胸ももう少し小さい方が良かったか、どうせなら)

          (続く)

芳ッキーニ分少ねぇ

<つづき>

ルッキーニ「……うぅ……ん」

ルッキーニ「……はっ!」バッ

芳佳「……ん」

ルッキーニ「……ね、寝てる」

ルッキーニ「助かったぁ……」

ルッキーニ(何回芳佳にもまれたんだろう)

ルッキーニ「……ちょっといたい」

ルッキーニ「赤くなってたりとかしないかな……」

サワ

ルッキーニ「ひゃ」ビクンッ

ルッキーニ「……?」

ルッキーニ(ビリってした……)

ルッキーニ(やっぱり赤くなってるんだ……)

ルッキーニ(うぅ、芳佳ぁ……ひどいよ〜)

ルッキーニ(これ以上、痛くされる前に……)

ルッキーニ「逃げなきゃ……」


タッタッタッ


芳佳「……」

芳佳「……んん」モゾ

芳佳「……」

芳佳「小さい胸……チイサイオッパイ……」


モゾモゾ...

——————————

バルクホルン「……おい、宮藤」
        「タオルを持ってきたz……って」

バルクホルン「宮藤が……いない……!?」

バルクホルン「しまった……!」


シャーリー『はーい、こちらシャーリー』

バルクホルン「すまない、宮藤が逃げた!」

シャーリー『えっ、マジで』

バルクホルン「あぁ! 私がタオルを濡らしに行っている間にどこかへ行ってしまったようだ」

シャーリー『これはちょっとまずいんじゃないか……?』
      『今の状態のアイツを放したら』

シャーリー『この基地にいるすべての小さい胸が被害を受けかねないぞ……!』

バルクホルン「あぁ……被害が出る前に宮藤を確保しなければならないな」
        「私も動く、お前も宮藤の捜索に向かってくれ」

シャーリー『ああ、分かった!』

——————————
シャーリー「くそっ……」
      「宮藤の奴……どこに……」


「イヤァ————!!」


シャーリー「な、なんだ!?」
      「まさか、最初の被害者が……」

シャーリー「大丈夫か!」

ペリーヌ「もう……おヨメにいけませんわ……」

シャーリー「くっ……やられていたか」

シャーリー「まぁ念のために聞いておくが一体誰にやられたんだ!?」

ペリーヌ「あの破廉恥狸にですわ……」
     「まだ坂本少佐にも触っていただいていないというのに……」

シャーリー「……」
      「で、どっちに逃げたんだ」

ペリーヌ「あっちですわ! 早くあの卑猥な狸を捕まえてくださいまし!!」

シャーリー「あっちか……よしっ」

——————————

バルクホルン「……宮藤ーっ!」
        「いない……一体……どこに」

エーリカ「あっ、トゥルーデ」
     「そんなに急いでどうしたの?」

バルクホルン「ハルトマンか」
        「今宮藤を探しているんだ」

エーリカ「あ、そうなんだ」

バルクホルン「見かけなかったか?」

エーリカ「見かけたもなにも……」
     「私の胸の揉んで “Wunderbar!” って言ってあっちに走り去って行ったよ」

バルクホルン「そうか、あっちか」
        「……」

バルクホルン「……ん?」

——————————倉庫

ルッキーニ「ここなら大丈夫だよね……」

ルッキーニ「……はぁ」

ルッキーニ「ちかれたぁ〜……」

ルッキーニ「……どれくらい、弄られたのかなぁ」

ルッキーニ「すり減ってないよね……」サワァ

ルッキーニ「ひゃぃ! ……ん?」

ルッキーニ(またびりびりって……)

ルッキーニ(……どうしたんだろう)サワッ

ルッキーニ「……ふぁ!」

ルッキーニ「……んん〜……?」


——ギィッ


ルッキーニ「ひっ!?」

ルッキーニ「あ、あわ……あわわ……」

芳佳「……ルッキーニちゃぁん……」


芳佳「見つけた」


ルッキーニ「うじゅぁぁぁぁあ〜〜!」

芳佳「おっと、駄目だよ、叫んだら」

ルッキーニ「もごっ……んん〜っ!!」

芳佳「えへへ、ルッキーニちゃんやっと見つけたよ」
   「まさかこんなところに隠れているなんて」

芳佳「さぁ、おとなしくおっぱいを堪能させて? ルッキーニちゃん」

ルッキーニ「んん〜っ! ん〜っ!!」

芳佳「じゃあ、いくよ?」

ルッキーニ「んんぅぅぅんんん〜〜〜!」
       (芳佳ぁぁぁやめてぇぇぇ!)

芳佳「えい」サワッ

ルッキーニ「んふっ! ……ん!」

芳佳「わぁぁぁ……やっぱりこの小ささだよぉ……」
   「……素晴らしいよルッキーニちゃん!」サワサワ

ルッキーニ「ん! んん……」

ルッキーニ(な、なんで!)
       (なんでっ! ……びりびりすごい……!)

芳佳「なんとなくだけど……将来はちゃんと大きくなっちゃいそうだし」
   「今のうちに十分味わっておかないと……」

ルッキーニ「ぅ、ぅ……ぅー」

芳佳「えっへっへぇ……」

芳佳「うぅん、片手だと半減しちゃうなー……」

芳佳「……」

芳佳「手を放すけど叫んだら駄目だよ〜、ルッキーニちゃん」

芳佳「……よっ」パッ

ルッキーニ「はっ……ふぁ……」
       「しゃ、しゃー」

芳佳「あぁ、駄目だってばぁ」モミモミ

ルッキーニ「ふぇぁぁぁぁ……」ビリビリ

ルッキーニ(ち、力がはいんない……)

芳佳「うぅん、流石ルッキーニちゃんだね」
   「……えへへ、やっぱり両手の方が良いよ」モミモミ

ルッキーニ「ぁぁ、ぅぅ、ぁ〜……っ」
       (あ、頭が……ぼぉっとしてくる……)

芳佳「ルッキーニちゃん、いっつもシャーリーさんの揉む側だけど」
   「たまには、揉まれる側もいいでしょ?」モミンモミン

ルッキーニ「ぃ、ぃやぁ……」

芳佳「……えへへ、ほら〜」モミ

ルッキーニ「ぁ、ぅっ」

芳佳「こうしたり〜」

ルッキーニ「ぅぐ……じゅ……」

芳佳「こっちを揉んだり〜」

ルッキーニ「ふぁ、あぁ……ぇ」

芳佳「こうしたりね!」

ルッキーニ「ひゃんっ! ……えぇぅ」

ルッキーニ(な、なんか……変な声……ばっか……でる)
       (からだ、あつぃ……)

芳佳「えへへ、そんな嬉しそうな声されると、揉みがいがあるよ〜」
   「はぁ、なんで小さい胸の魅力に今まで気付かなかったのかな〜……」

ルッキーニ「ぁ……ぁぅ」

ルッキーニ「も、もう、やめてぇ……よしかぁ……」

芳佳「えぇ? 勿体ないよぉ、まだ堪能しきってないのに」
   「……もう少し、もう少しだけだよー」

ルッキーニ「うぁ……ァゥ」
       (む、むずむず……する……)

芳佳「それそれ〜」

ルッキーニ「うあっ……え、えぐ……ぅ」

ルッキー二(ど、どうしよ……どうしよう……)

ルッキーニ(なんだか、よく、わかんない……)

ルッキーニ(あたし……どうしたのかな……)

芳佳「あぁ、満たされるよ〜……」

ルッキーニ「……は、はぁ……はぅ」

ルッキーニ(……もう、このままでも……良いかも)

芳佳「……ふぁ〜!」


バンッ!


ルッキーニ「ふぇ……?」

芳佳「……ん〜」

シャーリー「いたっ! ミヤフジだ!」

バルクホルン「少佐!」

美緒「あぁ」スッ

美緒「すまんな、宮藤」

芳佳「はぃ……?」

美緒「当て身」ビシッ

芳佳「うぐ……ッ」

芳佳「……うぅん」バタン


シャーリー「大丈夫か! ルッキーニ!」

ルッキーニ「へ……」
       「う、うん……」

ルッキーニ「……だいじょぶ……」

シャーリー「こ、こんなにぐったりしやがって……」
      「すまない、私がナイスバディだったばっかりに! 豊満だったばっかりにっ……!」

バルクホルン「おい……」

ルッキーニ「え……でも、どして……」
       「こんなとこ……」

シャーリー「あぁ、それは……」

バルクホルン「ミーナに頼んだんだ」
        「空間把握魔法で探した方が早いと思ってな」

ルッキーニ「そっか……」
       「……坂本少佐は……・」

シャーリー「中佐と一緒にいたから連れてきたんだ」
      「壊れたものを直すのは得意だって言うし」

バルクホルン「こう言うのは失礼だろうが」
        「正直なところ、少佐はあまりそういうのは得意ではないのでは……?」

美緒「ん? そんなことはないぞ」
   「直すのは得意中の得意だ」

美緒「どんなものでも、ななめ45度の入射角でたたけば直る!」

バルクホルン「そうなのか……良いことを学べた」

シャーリー「お前の馬鹿力でたたいたら、間違いなく直せる要素がなくなっちまうよ」

シャーリー「とりあえず、ルッキーニ……今日は休め」

ルッキーニ「うん……」

バルクホルン「まぁ、お前のおかげで被害を最小限に食い止めることができた」
        「感謝する、ルッキーニ」

ルッキーニ「……」

ルッキーニ「……」ムズ

ルッキーニ(……なんか……ちゅうとはんぱ)

—————

ペリーヌ「あぁぁ……あぁ」

エーリカ「そろそろ立ち直りなよ……減るもんじゃないんだし」

ペリーヌ「そういう問題ではありませんわっ……!」
     「あぁ、初めては坂本少佐にと心に決めておりましたのに……」

エーリカ「なら坂本少佐にもんでもらいなよ〜……」

ペリーヌ「最初はもうないんですわ! 意味がないんですわ! そもそも揉んでもらうなんて……そんなことできません!」

エーリカ「えぇぇ……」

——————————数日後

リネット(芳佳ちゃんは、坂本少佐の斜め45度からの当て身によって)
    (無事、もとに戻ることができました)

リネット(どことなく感じる視線も、またいつも通りに戻りました)
    (やっぱり、ちょっと嬉しいです)

リネット(……そういえば、芳佳ちゃんがおかしくなっていた間の記憶は)
    (全然残っていないそうです)

リネット(ペリーヌさんとルッキーニちゃんが被害にあったそうで)
    (本来なら上官に対する暴力として、処罰の対象となってもおかしくはなかったみたいですが)

リネット(……今回はそれほど大きな被害にもならず)
    (原因を作ったシャーリーさんが代わりに反省しているということもあって、処罰されることはありませんでした)

リネット「よかったね、芳佳ちゃん」

芳佳「え? 何が?」

リネット(ただ……)

ペリーヌ「……ぐぐぐ……」

芳佳「……!?」ゾクッ

リネット(ペリーヌさんが、前にも増して)
    (芳佳ちゃんに対して恐ろしい視線を向けるようになりました)

リネット(……ドンマイだよ、芳佳ちゃん)

———————————

ルッキーニ「……」
       「はー……」

ルッキーニ「……なんでかな」

ルッキーニ(あの時から、ずーっと)

ルッキーニ(むずむずしたままで、きもちわるい……)

ルッキーニ(……触るとびりびりするけど)
       (芳佳に触られるのと全然ちがうもん……)

ルッキーニ「……」

ルッキーニ「……そだ!」

ルッキーニ(また芳佳に揉んでもらおう!)

ルッキーニ(そうすれば、解決〜!)

ルッキーニ「芳佳〜っ!」

芳佳「ん? あ、ルッキーニちゃん」
   「どうしたの?」

ルッキーニ「えっと……」

ルッキーニ「あの」

芳佳「うん?」

ルッキーニ「前みたいに、胸」
       「触ってみて!」

芳佳「……え?」

ルッキーニ「ほら、前やったみたいに!」

芳佳「……」
   「いやちょっとよくわかんないです」

ルッキーニ「えぇ!?」

芳佳「いきなり胸触ってみてって……ルッキーニちゃんどうかしちゃったの……?」

ルッキーニ「え、えーっ……芳佳が最初触ってきたんじゃん!」

芳佳「こ、怖い! ルッキーニちゃん怖いよ!」
   「そもそも私は小さいのは……その、あれだよ」

ルッキーニ「えーっ! 何それーっ!」

ルッキーニ「芳佳、なんで気付かなかったんだろ〜って言ってたもん!」
       「ちっちゃい胸の魅力なんで気づかなかったんだろ〜って!」

芳佳「いやぁ……私がそんなこと言うかなぁ?」

ルッキーニ「言った! 言ったもん!」

芳佳「……えぇ……?」

ルッキーニ「えぇ! はこっちのセリフでしょ!」

芳佳「証拠はあるの……?」

ルッキーニ「あたし! あたしが証拠だもん!」

芳佳「……えぇ〜」
   「そんなの証拠じゃないよ……」

ルッキーニ「えぇぇ〜……」

ルッキーニ「も〜……! どうすればいいの〜!!」


都合の悪いことはさっぱり忘れるのが、世渡り上手の秘訣です。


              <終わり>

胸だけではイケませんね。


これは百合か?wwけど面白かった。
芳佳がルッキーニ見つける辺りはもうヤンデレのホラーだしww

と言うわけでヤン百合リクエストしていいですか?

>>224
承知しました

今日は不完全燃焼だった杏子さやかいきます

<杏さや×風邪>

——————————帰り道

さやか「じゃあまたね、まどか、ほむら」

まどか「うん、バイバイ、さやかちゃん」

ほむら「さようなら」

さやか「あんまりイチャイチャしすぎんなよー!」

まどか「わ、分かってるよう!」

ほむら「……余計なことを言うわね」



さやか「……ふふっ」

さやか「まったく……早速いちゃついてるよ」

さやか「……よし」

さやか「今日もあそこかなー」

さやか「おっ、いたいた」

さやか「おーい! 杏子!」

杏子「……んぁ」
   「……さやか」

さやか「今日もパトロールお疲れ!」
    「……って、めっちゃ疲れたような顔してんじゃん」

さやか「何、強い魔女でもいた?」

杏子「いや……」
   「……特には」

さやか「その割にはアンタ……ホントに具合悪そうだけど」

杏子「……んー」

さやか「あっ……もしかして」


ピト...


杏子「……ゎ……やめろぉ」カァ

さやか「やっぱり! アンタ熱あんじゃん!」

杏子「……魔法少女が風邪ひくわけねーだろぉ」

さやか「っていっても、額が熱いのは確かだし」
    「……いや、そうだよなー、普通風邪ひかないよね」

杏子「だから……大丈夫だって」フラァ

さやか「わっとと……いや、駄目だろ!」
    「しょうがないなー」

さやか「ほら、おんぶしてあげるから」

杏子「……いいよ……」

さやか「まともに歩けもしないのに、遠慮すんな!」
    「ほら、早く!」

杏子「……」
   「は、恥ずかしいよ……」カァ

さやか「……」
    (あれ、いつもの杏子と違って)

さやか(しおらしくてすっごくかわいいんですけど……)

さやか(いやいや! そんなことよりも!)

さやか「もう、無理やりにでも!」

杏子「うわぁ! ……や、やめろってぇ、おろせぇ……」

さやか「はいはい、やめませんしおろしませんよー」
    「布団用意してあげるから、今日はウチね!」

杏子「そんなの、わりぃよ……」

さやか「こういう時は、人の厚意はありがたく受け取っておくものだって!」

さやか「それに、一人にするの、心配だし」
    「……こんなとこ、魔女に襲われたら大変だよ」

杏子「……」

さやか「アンタがいなくなったら、困る人がたくさんいるんだからね」

杏子「……さやかもか?」

さやか「んなの当たり前でしょ!」

杏子「……そっか」

杏子「……へへっ」

——————————美樹宅

さやか「はい、到着」
    「とりあえず、手洗って、うがいしな」

杏子「……うん」

さやか「洗面所まで行ける?」

杏子「いけるって、それくらい」

さやか「そっか」

さやか(……)

さやか(それにしても、風邪かぁ)

さやか(魔法少女になったからには、病気とは無縁だと思ったけど)

さやか(……まさかひいちゃうとはね)

さやか(魔法の力で何とかならないもんかなー)

キュウべぇ(それは無理かもね)

さやか(……さらっと人の思考に入ってきましたよコイツ……)

さやか(アンタ、なんか知ってんの?)

キュウべぇ(知っている、とも知っていない、とも言えるかな)

さやか(何それ)

キュウべぇ(言葉通りだよ)

さやか(相変わらずめんどくさいなぁ……)
    (まいいや、知ってることは何?)

キュウべぇ(知ってることは、魔法少女は風邪なんかひかないってことだ)

さやか(……でも、今、杏子は)

キュウべぇ(そうだね、人間が風邪……感冒と呼ぶ病気の症状が出ているみたいだ)
      (知らない点はそこだよ)

キュウべぇ(なぜ、佐倉杏子がそのような状態にあるのか)
      (それは僕でも良く分からないんだ)

さやか(私と同じじゃんか!)

キュウべぇ(ただ、一つ推測出来る事はある)

さやか(何?)

キュウべぇ(原因が、魔女によるものなんじゃないかってことだ)
      (それなら、病気とは無縁であるはずの彼女に感冒の症状が出ていることも納得できる)

さやか(……なるほどね)

さやか(じゃあ、その風邪をもたらす魔女がいるとして、その魔女を倒してしまえば)

キュウべぇ(杏子も元通りになるんじゃないかな)
      (まぁ、原因が魔女によるものだとは決まっていないんだけれど)

さやか(……ふーん)
    (でもなぁ、今のままの杏子を一人にしておくのもなー)

マミ(話は聞かせてもらったわ)

さやか(わっ、マミさんも聞いてたの?)

マミ(キュウべぇがちょうど私の家に来ていたのよ)
  (も、勿論盗み聞きするつもりでいたわけじゃないわよ?)

さやか(自分からそれを言うと逆に疑わしくなりますよ!)

マミ(……うぅ)

マミ(ま、まぁ……とにかく)
  (そんな魔女がいるとするならば、その魔女を退治してしまえばいいのよね?)

キュウべぇ(まぁ、いるとするならば、ね)

マミ(なら、私がパトロールして、その魔女を見つけ出すわ)
  (だから、美樹さんは佐倉さんの看病を続けて?)

さやか(一人で大丈夫ですか?)

マミ(あら、私が心配されちゃうの?)
  (大丈夫よ、当たり前でしょ?)

さやか(そうですか……)
    (いざとなったら呼んでくださいね、マミさん!)

マミ(はいはい♪)

マミ(じゃあ、佐倉さんのこと、よろしくね?)

さやか(任せてください!)

キュウべぇ(僕は魔女以外の要因も視野に入れつつ、調査するよ)

さやか(何かわかったらすぐ連絡してよね)

キュウべぇ(分かってるよ……きゅっぷい)

さやか「……ふぅ」

杏子「……んー」

さやか「あ、戻ってきた!」

——————————

さやか「……これで、よしっと」
    「大丈夫? 布団足りる? 寒くない?」

杏子「……ん、へーき」

さやか「そっか、ならいいんだけど」

さやか「……あっ、そういえば飲み物も欲しいよね」

杏子「喉……渇いてない……」

さやか「そういう問題じゃないの」
    「風邪ひいてる間は水分ちゃんととらないとね」

さやか「飲み物持ってくるからちょっと待ってて!」

杏子「あ……」
   「……」

杏子「……ありがと、さやか」

さやか「……飲み物飲み物っと……」

さやか「げ、なんもないじゃん」
    「……買ってこなきゃなー」


杏子「……んぅ」モゾ

さやか「杏子ー?」

杏子「なんだー……?」

さやか「ウチ飲み物きらしてたみたい」
    「今から飲み物と、夜ごはん買ってくるから」

杏子「……うん」

さやか「飲み物はアクエリがいい? ポカリがいい?」

杏子「……ポカリ」

さやか「夜は、おかゆで良い?」

杏子「……さやかの作る料理って……全部おかゆじゃんか」

さやか「なっ、し、失礼なっ!」

さやか「じゃあ決まりね」

さやか「……杏子、一人で待ってられる?」

杏子「なっ……あたりめーだろ」
   「……待ってられない……わけない」

さやか「……へぇー? そう?」
    「まぁ、寂しくなったらテレパシー使いなよぉ?」

杏子「……使わねー……もん」

さやか「どうだかー?」

さやか「じゃあ、行ってくるよ」


チュ


杏子「わぁ……お、おま」

さやか「風邪ひきさんだから、ほっぺたね」
    「おとなしく待ってなさいよー」

杏子「さや……ぁ、ぁぅ」

杏子「……」


チッ...チッ...チッ...


杏子「……」モゾ


チッ...チッ...チッ...


杏子「んー……」

杏子「……」

杏子「……はぁ」


チッ...チッ...チッ...

さやか「……ポカリ……オッケー」

さやか「ホットレモンとか飲むかなー」
    「あ、甘酒の方が良いかな?」

さやか「……あとはーっと」

杏子(……さやか)

さやか(んー? 使わないって言ってたんじゃなかったっけ?)

杏子(……ぅ)

さやか(冗談! どしたー?)

杏子(……まだか?)

さやか(あぁ、あともう少ししたら帰れるよ)

杏子(そっか……)

さやか(……待っててね)

杏子(……ぅん)

さやか「……」

さやか「へへっ、可愛い奴め」

——————————

さやか「ただいまー」
    「杏子、かえ……」

杏子「……すぅ」

さやか「っと……ふふ」
    (寝ちゃってたか……)

さやか「……ただいま、杏子」ナデ

杏子「……ん」モゾモゾ

さやか「待っててね、ご飯作ってあげるからさ……」

杏子「すー……」

さやか(……)

さやか(……今の可愛い杏子も好きだけど)

さやか(やっぱり、いつもの元気な杏子が良いな)

さやか(……この看病は、直ることにはあんまり関係ないかもしれないけど)

さやか(私は私が出来る事をしなくちゃね)

杏子「ん……」

杏子「あれ……あたし」

杏子「……さやかぁ……?」

杏子「……」

杏子「……さやかぁ」


ガチャン


さやか「おっ、杏子起きたー?」

杏子「っ……」
   「い、いつ……帰ってきたんだよ」

さやか「んー、40分前くらい?」
    「……アンタ寝てたからさ、起こしちゃ悪いと思って起こさなかったよ」

杏子「起こせよ……」

さやか「私の厚意を素直に受け取りなさいよ、もぉ」

杏子「……だって」

さやか「……え?」

杏子「だって、おかえりって……できないじゃん」

さやか「なっ……」
    (……その顔でその台詞は……ヤバイ)

杏子「だから……次は起こせよ」

さやか「わ、分かったよ……」

杏子「……それ、手に持ってるやつ……何だ?」

さやか「あ、あぁ」
    「……杏子が寝てる間に、おかゆ、作ってたんだよ」

さやか「食べられそう?」

杏子「……うん」

さやか「まぁ、アンタならそう言うと思ってたけどさ」
    「じゃ、起きて?」

杏子「……ん」モゾッ

さやか「……よいしょ」

杏子「……変なもんいれてねーよな……」

さやか「さっきから私が作る料理のこと馬鹿にしすぎじゃない……?」
    「さすがの女神さまも怒っちゃいますよ……?」

杏子「だって……前作った料理の中に」
   「パンの袋を止める奴入ってたし……」

さやか「あれは意図的に入れたわけじゃないから!」

さやか「ほら、口開けなさい」

杏子「えっ、ひ、一人で食えるって」

さやか「いいから! 病人は私の言うことをちゃんと聞く!」
    「ほら、あーん」

杏子「あっ、え……う、うん……」
   「……あぁーん」

さやか「……っと」ヒョイ
    「どう? おいしい?」

杏子「んぐ」
   「……うん」

杏子「……うめー、よ」

さやか「それみたことかっ!」
    「私の作る料理、侮るなかれ!」

さやか「やるときはちゃんとやれるんだよ! 分かったか!」

杏子「……うん、見直した」

さやか「あっはっは! ほら、遠慮せずもう一口っ!」

杏子「あー……」

——————————

杏子「……ふー……ごちそうさま」

さやか「はい、おそまつさま!」
    「……満足した?」

杏子「……んー、かなり満足した」
   「……美味かったし」

さやか「そりゃ良かった!」
    「……じゃあ私もご飯食べてくるから」

さやか「杏子はまた寝てな?」

杏子「うん……分かった」

さやか「あ、買ってきたポカリ、ここ置いとくから」
    「飲みたいときに飲みなよ?」

杏子「……ん」

さやか「寂しいときは、いつでも呼んで?」

杏子「……」
   「……わ、わかった」

さやか「……ふふ」

———————————

さやか「……よし」
    「私のことは済ませた……」

さやか「……杏子、汗かいてるかな」

さやか「着替えとあっためたタオル持って行くかな?」

—————

さやか「……杏子ー?」

杏子「……ん?」

さやか「汗かいたでしょ」

杏子「……ぅん」

さやか「ほら、着替え」
    「私ので良いよね?」

杏子「……ぅん、ありがとな」

さやか「良いって良いってぇ」
    「起きな?」

さやか「……じゃあ、ソレ脱いで? 洗っちゃうからさ」

杏子「うん……」
   「……」ヌギヌギ

さやか「……」

杏子「……あ、あんま見んなよぉ」

さやか「えっ、別に結構見てるんだもん良いじゃん」

杏子「……そ、そういう……問題じゃねー」

さやか「うそうそ、冗談。 あっち見てますよー」

杏子「……このやろー」

さやか「……」
    「脱ぎ終わった?」

杏子「……まだ着替えてない」

さやか「あっ、まだ着替えなくていいよ!」
    「タオルで拭くから」

杏子「あ……そっか」
   「……じゃあタオル貸してくれ」

さやか「えっ?」

杏子「え?」

さやか「私が拭いてあげるよ」

杏子「なっ……い、いいよ……拭ける!」

さやか「いいから、遠慮しないの!」

杏子「……だ、大丈夫だって……」

さやか「あ、恥ずかしいの?」

杏子「それもあるし……一人でできねーわけじゃねーし」

さやか「病人のくせに口答えするんだ?」

杏子「病人とか……んなの関係……ないだろ」

さやか「まぁ、良いからいいから! 恥ずかしいならこっちに背中向けなよ」

杏子「……〜〜〜っ」
   「わ、分かったよ……」

さやか「うんうん、素直が一番!」

杏子「……そんな、しっかりやんなくていいからな」

さやか「はいはい、分かりましたよ」
    「……触るよー」

杏子「……うん」

さやか「……タオル、熱くない?」

杏子「……ちょうどいい」

さやか「……そっか」

さやか「っしょ……肩と、首……」
    「……肩甲骨のとこも」

杏子「……っ」

さやか「腕あげて?」

杏子「な、脇もやんのかよ……」

さやか「当たり前でしょー? ほら、ばんざーい!」

杏子「……ぅぅ」

さやか「……よしっと」
    「ほい」スル

杏子「なっ……! 前は、や、やんなくて……良いって」
   「……うぁっ」

さやか「えへへ、後ろだけやって前はやらないっておかしいじゃん?」

杏子「こ、こらっ、ばか……やめ」

さやか「ほら、おとなしくしないと熱上がるぞー?」

さやか「大丈夫、いつもみたいにはしないからさ」

杏子「……ぅっ」

さやか「……しょ、っと」

杏子「は……ふゥ」

さやか「……」

杏子「……ぁ……ッく」

さやか「ねぇ」

杏子「……っ、な、んだよ」

さやか「エロイ声出すな!」

杏子「で、でちまうんだよ……!」

さやか「ったく、むらむらするわっ!」

杏子「し、しるかぁ!」

—————

さやか「はい、おしまい」
    「着替え着ていいよ?」

杏子「……長かった」
   「……しっかりやらなくても良いって言ったのに」

さやか「文句はもっと聞こえないような声で言うんですよー」

さやか「さぁ、病人杏子さんはすぐ寝なくちゃね」

さやか「しっかり寝なくちゃ風邪は直らないぞーっ!」

杏子「……そうだな」

さやか「ちゃんと布団かぶって……」
    「寒くしないようにね」

杏子「……うん」

杏子「……」

さやか「……」

杏子「……って、なんでアンタは自然と布団にもぐりこんでくるんだよ」

さやか「え? いつも通りじゃん」

杏子「……そうかもしれないけど」

杏子「アタシは風邪ひいてるんだし」

杏子「……うつっちまうだろ」

さやか「大丈夫だって、へーき! へーきっ!」

杏子「本当かなぁ……」

さやか「それにほら」ギュ

杏子「……わっ……あ、と……」

さやか「こうすれば、寒くないでしょ?」

杏子「……う、うん」

さやか「さやかちゃん湯たんぽを使えるなんて、本当に光栄なことなのだよ?」

杏子「……」

さやか「もしもし、杏子さん?」

杏子「……なぁ」

さやか「……ん? どした?」

杏子「……ありがとな、さやか」

さやか「なんだよ、あらたまっちゃって」

杏子「今日……面倒見てくれてさ」
   「……アンタも学校の後で……大変だろうにさ」

さやか(真面目に授業受けてないなんて言えない)

杏子「……何から何まで」

さやか「アンタね……」

さやか「これくらい、当たり前でしょ」

さやか「……アンタは、私にとって……一番大事な存在なんだからさ」

杏子「……さやか」

さやか「私がこんなにしてあげたんだからさ」

さやか「早く治して、いつもの元気でうるさい杏子に戻ってよね」

杏子「……うるさいは余計だっての」

さやか「あ、そうだった?」

杏子「ったく……」

杏子「……へへ」

さやか「ふふふっ……」

さやか「ま、ほら」
    「こんな話してないで、早く寝る!」

杏子「……分かったよ」

杏子「おやすみ、さやか」

さやか「うん、おやすみ、杏子」


杏子(……)

杏子(……さやか)ギュ

——————————
————————
——————

杏子「……ぅ、ぅん」

杏子「ふぁ……」

杏子「……朝か」

杏子「……ん、んーっ」

杏子「はぁ……」

杏子「……だいぶ楽になった」

杏子「さやかは……」

さやか「……スゥ」

杏子「……まだ寝てるか」

杏子「……」ナデ

トントン


杏子「?」

杏子「……キュウべぇか」


ガラガラ


キュウべぇ「やぁ、杏子」
      「調子はどうだい?」

杏子「まぁまぁだな」

キュウべぇ「そうかい。 まぁ、きみの病気の原因となった魔女はマミが倒したよ」

杏子「……魔女? どういうことだ?」

キュウべぇ「あぁ、美樹さやかは君には言ってなかったみたいだね」
      「実は、君の感冒の症状は、魔女の影響によるものだったんだ」

杏子「そうだったのか?」

キュウべぇ「うん。 昨晩マミが倒した魔女が、魔法少女にのみ感染するウイルスをまき散らしていたみたいなんだ」
      「それで、君は運悪くウイルスに感染し、感冒の症状が出たというわけ」

杏子「……ふーん」

キュウべぇ「マミがウイルスに感染しないよう、マスクをつけて魔女と戦っている姿はなかなかに滑稽だったよ」

杏子「アタシもその姿を見たかったな……」

キュウべぇ「そういえば、ウイルスは普通の感冒のウイルスと同じで」
      「空気感染することもあるみたいだし、十分気を付けた方が良いと思うよ」

キュウべぇ「特に、君の看病をしていたさやかは、風邪をひく可能性がかなり高いんじゃないかな」

杏子「……マジかよ」

キュウべぇ「マジだよ」
      「それじゃあ、伝えることは伝えたから、僕は立ち去るとするよ」

杏子「あぁ、サンキューな」

杏子「……」

さやか「あれ……杏子」
    「……起きてたの……ぃたた」

杏子「さやか……」

さやか「……アンタ、風邪は……」

杏子「あぁ、だいぶ楽になった……ありがとな」

さやか「そう、それは……良かった」

杏子「今な、キュウべぇの奴が来て」
   「……風邪菌まき散らしてた魔女を、マミが倒したってことを伝えていったよ」

さやか「あぁ、マミさん……一人で大丈夫だったんだ」
    「……はぁ」

杏子「大丈夫……じゃないよな」

さやか「……えっへへ、ちょっと頭痛いかなーって感じ」
    「アンタの風邪、もらっちゃったかな……」

さやか「でもまぁ、アンタが良くなったんならそれで良いけどね……」

杏子「……アタシが良くねーよ

杏子「アタシが元気になっても、アンタが元気にならなきゃ……意味ねーだろ」

さやか「……杏子」

杏子「だから、今度はアタシが面倒見る番だ」

杏子「……メシも作るし」

杏子「……買い物もしてくるし」

杏子「……身体も拭いてやる」

杏子「だから早く元気になれよな」

さやか「……」

さやか「ありがとね、杏子」

杏子「別に、これくらい当たり前だろ」


杏子「……アタシにとっても、アンタは……一番大事なやつなんだから」


さやか「……」

さやか「あ、でもご飯は買ってきたのでいいよ」
    「杏子の作るご飯はちょっと怖いし」

杏子「て、てめーっ!!」

              <終わり>

風邪には気を付けんと

おつです
ガルパン歴女チームを書いていただけると嬉しい

>>260
承知しました
次は歴女チームで考えるとします

けいおんで唯→澪→純→唯の三角関係をお願いします

もし宜しければけいおんの唯と律で恋人関係+同棲中のお話しをお願いします。

>>263
はい

>>264
わかりました

今日は左衛門佐×おりょう

<左衛門佐×おりょう×それだ!>

——————————練習場

ブロロン!...ドッドッドッドッ

ドォーン...

カエサル「まずい、囲まれた……!」
     「これでは身動きがとれ無いぞ」

エルヴィン「くっ……」
      「ブダペスト包囲戦におけるドイツ軍の気持ちとはこのようなものだったか」

左衛門佐「……大阪の陣だ」

エルヴィン・カエサル「それだ!」

エルヴィン「……お?」

カエサル「……ん?」
     「おりょう、お前は」

おりょう「なにをいっちゅうがぜよ……」
    「これは五稜郭の戦いに決まっているぜよ」

左衛門佐「……何ぃ?」

エルヴィン「お、おい……」

左衛門佐「この身動きの取れぬ状況!」
      「間違いなく大阪の陣だろう!」

おりょう「何をゆうとるが!」
    「五稜郭の戦いにきまっちゅうがじゃ!」

カエサル「お、あ……えぇ?」
     「おぉ、お前ら……」

左衛門佐「なんだと!?」

おりょう「このいごっそうが!」

カエサル「お、お……」
     「落ち着けーっ!」


ドォーン、ガシャァン!

...カシュンッ


4人「……あっ」

——————————

みほ「みなさん、お疲れ様です」
  「今日の練習は……」

おりょう「……」ムスッ

左衛門佐「……」ムスー

みほ「……あれ? お二人はどうかs」

カエサル「あ、あー、隊長殿?」
     「特に問題は、無い」

みほ「そ、そうですか?」

エルヴィン「あ、あぁ」

みほ「ならいいんですけれど……」

エルヴィン「……ははっ」
      「そっ、それよりも一旦締めた方がいいのでは?」

みほ「そうでしたね」
   「今日の練習はこれで終わりです、明日はお休みなのでゆっくり体を休めてくださいね」

杏「よーし、そいじゃー解散ってことでー」

「お疲れ様でしたー」

エルヴィン「……」

カエサル「……」

左衛門佐「……フン」

おりょう「……」

エルヴィン「……カエサル、ちょっと」

カエサル「……あ、あぁ」

—————

エルヴィン「……今日は、二人の様子がおかしくないか」

カエサル「あぁ、とびきりおかしい」
     「……なぜあんなにも反発しあったんだろうか」

エルヴィン「私たちが集まって以来の意見の相違だ」
      「一大事だぞこれは」

カエサル「……うーむ」

エルヴィン「なぁ、二人に理由を聞いてみないか」

カエサル「……今の状態で、話すだろうか」

エルヴィン「二人が一緒にいる状態では、何も話そうとはしないだろう」
      「そこでだ」

カエサル「あぁ」

エルヴィン「私が左衛門佐、カエサルがおりょうと帰る」
      「そして、それぞれで理由を聞く」

エルヴィン「というのはどうだ?」

カエサル「それは良い考えだな」
     「……それで行ってみよう」

エルヴィン「あぁ」

エルヴィン「では、そのように」

カエサル「私たちもそろそろ帰るとするか」

エルヴィン「そうだな」

左衛門佐「……あぁ」
おりょう「……おぉ」

左衛門佐「……っ」
おりょう「……ん」

左衛門佐「フン!」
おりょう「ハァー……」

カエサル「……」

エルヴィン「お、おい、カエサル」ヒソ

カエサル「あぁ、分かっている」ヒソ

カエサル「なぁ、おりょう」
     「今日は一緒に帰らないか」

カエサル「いつかのようにローマ史と幕末史の共通点でも語り合おうではないか」

おりょう「……」
    「そう、しようか」

エルヴィン「じゃあ、左衛門佐は私とだな」

左衛門佐「……あぁ、そうするか」

カエサル「それじゃあまた月曜に」

エルヴィン「あぁ、じゃあ……」

カエサル「よろしく頼んだぞエルヴィン」ヒソヒソ

エルヴィン「そちらも……」ヒソヒソ

—————

エルヴィン「今日もなかなか疲れたな」

左衛門佐「……そうだな」

エルヴィン「砲手も大変だろう」
      「特に集中力の必要な役割だろうからな」

左衛門佐「いや、集中することには慣れているから」
     「特に問題はない」

左衛門佐「むしろ相手の戦車を打ち抜くことに快感を覚え始めた」
      「まだまだ練習して、武勲を立てねば!」

エルヴィン「ふふ……左衛門佐らしいな」

左衛門佐「真田の名を借りているのだからな、それに恥じない働きをしなければならない」

エルヴィン「そうだな」
      (そろそろ良いだろう……か)

エルヴィン「ところで、左衛門佐」

左衛門佐「ん? どうした?」

エルヴィン「……今日の、練習にも関係があることなのだが」

左衛門佐「あぁ」

エルヴィン「……おりょうと、何かあったか?」

左衛門佐「……っ」

左衛門佐「……ぅ」

エルヴィン「あったんだな?」

左衛門佐「いや……ない」

エルヴィン「……あれほどに、言い争っていることなど今までなかったじゃないか」

左衛門佐「あれはあいつが争いをふっかけてきたからで……」

エルヴィン「あぁ、まぁ、そうだな」
      「ただ、おりょうもわざわざ言い争いになるような言い方はしないはずだ」

エルヴィン「そうなるとやはり何かあったということにならないか?」

左衛門佐「ぐ……」

エルヴィン「なぁ、左衛門佐……」

左衛門佐「エ……エルヴィンには関係のないことだ」

エルヴィン「……関係のないこと……か、寂しいな」
      「我々4人は、長い付き合いじゃないか」

左衛門佐「……」

エルヴィン「そんな我々でも、言えないことがあるというのか?」

左衛門佐「……」

エルヴィン「左衛門佐」
      「もし、辛いことや悲しいことなら」

エルヴィン「誰かに話せば楽になる、ということがあるかもしれないぞ」

左衛門佐「……っ」

エルヴィン「どうだ?」

左衛門佐「……グス」
      「ズズ……た、武子が」

エルヴィン「……武子? ……あぁ、おりょうか」

左衛門佐「武子がっ、う、浮気してるんだ」

エルヴィン「そうか、浮気を……」

エルヴィン「……え?」

エルヴィン「浮気って、えっと……あの」
      「好きな奴がいるのにもかかわらず、他人とそう言った関係になるという……アレのことか」

左衛門佐「他に何があるというんだ……!」

エルヴィン「……あ、あぁ、悪い」

エルヴィン「いや、そのだな」
      「あー……なんというか」

エルヴィン「左衛門佐、お前は……おりょうと」

左衛門佐「……」
      「……付き合ってる」

エルヴィン「そ、そうだったのか」
      「前から二人は仲がいいと思っていたが……いつの間に」

左衛門佐「……戦車道を始めてからだ」

エルヴィン「そうか」

エルヴィン「で……なんだ、その、浮気……だったか」
      「それはどういった具合なんだ?」

左衛門佐「……昨日の昼のことだ」

左衛門佐「昨日の昼、弁当を届けてやろうと思って」

エルヴィン「弁当! ……左衛門佐が作るのか」

左衛門佐「順番に作っているんだ」

エルヴィン「順番に……」

左衛門佐「それで、武子のところにいったら」
      「……あ、あいつが……1年生と親しげに話を……」

エルヴィン「ほう……」

左衛門佐「……あぁぁ」

エルヴィン「……で?」

左衛門佐「で? とは何だ! 明らかに浮気だろう!」

エルヴィン「いや……」

エルヴィン「あの……おりょうにはそのことは聞かなかったのか」

左衛門佐「勿論聞いた……“一体何を話していたんだ”と」

エルヴィン「それでおりょうはなんと」

左衛門佐「“別に清美には関係ない”と……」

エルヴィン「清美……あぁ、左衛門佐のことか……」

左衛門佐「どう考えても浮気じゃないか……」

エルヴィン「まぁ、それと決めつけるのはどうかとは思うが」
      「……確かに関係ない、の一言で片づけられると」

左衛門佐「そうだろう! ……あぁ……」
      「……私は信じてたんだ……武子を」

左衛門佐「それなのに裏切られた……」
      「まるで小早川秀秋に裏切られた西軍……!」

エルヴィン「それだ!」
      「……じゃない、左衛門佐」

エルヴィン「それはちょっと早計すぎやしないか」

左衛門佐「何故だ!」

エルヴィン「きっと、おりょうにも理由があるんだ」
      「関係ない、と言った理由が」

左衛門佐「……たとえば」

エルヴィン「いやそれは分からんが……」

左衛門佐「やはり浮気じゃないか……うぇぇぇぇ……」

エルヴィン(ど、どうすればいいんだ……!)
      (助けてくれ、カエサル!)

———————————

カエサル「……え?」
     「付き合っているのか?」

おりょう「……あぁ」

カエサル「いつから」

おりょう「……戦車道をはじめてからぜよ」

カエサル「そうか……距離が近いと思っていたが」
     「それで、そのケンカの理由は」

おりょう「……清美が、私が浮気してると勘違いしているぜよ」

カエサル「浮気だと勘違い……?」

おりょう「ん……」
    「私が1年生の優季に話しかけているところを見られた」

カエサル「ほう」
     「それが、浮気していると思われたわけだな」

おりょう「そういうことぜよ」

カエサル「で、そのことを左衛門佐からは追及されなかったのか?」

おりょう「されたぜよ」

カエサル「それで、おりょうはどう答えた?」

おりょう「……関係ないと」

カエサル「……その言い方はまずいだろう」
     「疑われているのに、その言い方ではさらに怪しく思われるのも当然だ」

おりょう「……私が悪いんかよ」

カエサル「まぁ、話しているだけで浮気と思う左衛門佐も左衛門佐だが」
     「おりょうもおりょうだ」

おりょう「……」

カエサル「……それで、宇津木と話していたのはなぜだ」

おりょう「……どうすれば良いか、聞きたかったがぜよ」

カエサル「どうすれば良いか?」

おりょう「……」
     「実は今日で、付き合い始めて3か月ぜよ」

カエサル「……ふむ」

おりょう「……記念に何かを送ろうと思ったのだが」
    「こういう時、どういったものを送ればいいのか、分からんき……」

カエサル「……成程な」

カエサル「結局、何を送るか決まったのか」

おりょう「……いや」

カエサル「……そんなことだろうと思った」

カエサル「まぁ」

おりょう「……?」

カエサル「何か贈り物ができなくても」
     「……二人で過ごせれば、満足なんじゃ、ないだろうか」

おりょう「……カエサル」

カエサル「私はそう思うが……」

おりょう「……私はどうすればいいぜよ」

カエサル「ふふ……」
     「今のその気持ちを、本当のことを伝えればいいんじゃないか?」

おりょう「……」

おりょう「……分かった」

——————————

左衛門佐「……グス……」

エルヴィン「……泣くな、左衛門佐……」


ピロリン♪


エルヴィン「ほら、携帯が鳴っているぞ」

左衛門佐「ズ……」

左衛門佐「……あ」

エルヴィン「……誰からだ?」

左衛門佐「……武子」

エルヴィン「おりょうからか」
      (……カエサル、うまくやったか?)

左衛門佐「……もしもし」

左衛門佐「ん……ん」

左衛門佐「あぁ……承知した」

エルヴィン「おりょうが、なんだって」

左衛門佐「……話したいことがあるから、家に行っていいかと」

エルヴィン「そうか」
      「……なら、早く帰らなければな」

左衛門佐「ん……」
      「……何を話すのだろうか」

エルヴィン「何、そんな悪いことではないさ」
      「きっと、大丈夫だろう」

左衛門佐「……」

エルヴィン「ほら、早くしなければおりょうを待たせるかもしれないぞ」

左衛門佐「そ、そうだな……」

エルヴィン「それでは……私は、ここで失礼する」

左衛門佐「あぁ……また月曜に」

エルヴィン「あぁ」


左衛門佐「……」
      「エルヴィン!」

エルヴィン「ん? 何だ?」

左衛門佐「……話を聞いてくれて、かたじけない」
     「楽になった、気がした」

エルヴィン「……それは良かった!」
      「いつでも、話は聞いてやるぞ!」

エルヴィン「それが私たち4人だからな!」
      「ほら、早く行け!」

左衛門佐「あぁ!」

——————————

左衛門佐「……ハァ……ハァ」

左衛門佐「……あ」

おりょう「あ……」

左衛門佐「……待たせたか?」

おりょう「いや……今来たところぜよ」

左衛門佐「そうか……」
      「今、開ける」

おりょう「……ん」


ガチャガチャ……キィ


左衛門佐「……入ってくれ」

おりょう「お邪魔するぜよ」

左衛門佐「……茶、飲むか」

おりょう「いや、良いぜよ」
    「……それより、話を」

左衛門佐「……あ、あぁ」

おりょう「……」

左衛門佐「……」

おりょう「……その」

左衛門佐「……」

おりょう「……すまんかった」

おりょう「……おまんは……大事な人やっちゅうに」
    「何話してたって聞かれて……関係ない、などと」

おりょう「……まっこと、すまんかった!」

左衛門佐「……武子」

左衛門佐「……わ、私も……だな」
      「二人で話していただけで……すぐに浮気などと決めつけてしまった」

左衛門佐「これは……お前のことを信用しなければならないはずの立場にあるべき姿勢だ」
      「……悪かった」

おりょう「いや、私が話を濁したから余計にそう思わせてしまったんじゃき」
    「……悪いのは清美じゃなか」

左衛門佐「いやいや、個人の領域に入り込みすぎるのも悪い!」

おりょう「いや、私が……!」

左衛門佐「いや!」

おりょう「……」

左衛門佐「……」

おりょう「……ふっ」

左衛門佐「……くくっ」

おりょう「あっはは! ……あぁ、最初からこうすればよかったんじゃか」
    「……それなのに私らは」

左衛門佐「ははっ……本当に、どうしようもないな」

左衛門佐「……あぁ、やっと気が晴れる……」

おりょう「……やぱりおまんの笑顔が見れんのは、苦しいぜよ」

左衛門佐「……たっ、武子……」カァ

左衛門佐「あ、ところで……」

おりょう「ん?」

左衛門佐「……こ、今回だけは聞いてもいいか」
      「何を話してたかってこと……」

おりょう「……あ、あぁ」
    「構わないぜよ」

おりょう「……今日で、おまんと……付き合い始めてから」
    「3か月じゃろ」

おりょう「……それで、贈り物がしたいとおもっとったき」
    「何を送ればいいのかを聞いていたぜよ」

左衛門佐「……えっ……」
      「そ、そうだったのか……」

おりょう「〜って、いっても、結局贈り物は決まらんかったぜよ」
    「……はは」

左衛門佐「……いや、その気持ちだけで私は十分嬉しい」
     「ありがとう……武子」

おりょう「……そ、そんな改まっていうのはいかんがじゃ」
    「……恥ずかしい」カァ

左衛門佐「……武子」

おりょう「どうしたぜよ、清美」

左衛門佐「……抱きしめて良い?」

おりょう「……よかよ」

左衛門佐「……」ギュ

おりょう「……ん」ギュゥ

左衛門佐「……ありがとう」

おりょう「まだ言うんか」

左衛門佐「……嬉しいから」

おりょう「そう」

おりょう「……なぁ、清美」

左衛門佐「うん?」

おりょう「私は、浮気は絶対にしないき」
     「……安心しぃ」

左衛門佐「……ん」

左衛門佐「私もしないからな」

おりょう「知っちゅうよ」

おりょう「……」

おりょう「私らは……」

おりょう「清美的には、真田信之と小松姫……」

おりょう「ちゅうところかよ?」

左衛門佐「そうかもしれないな」

左衛門佐「武子的には……おりょうと坂本龍馬か?」

おりょう「かもしれん」

左衛門佐「……あっ」

おりょう「どうしたがじゃ?」

左衛門佐「……もっと、ふさわしいのがいるぞ」

おりょう「ん?」

左衛門佐「武田信玄と高田弾正だ」

おりょう「おぉ!」

おりょう「それだ!」


         <終わり>

土佐弁わかんね……


百合の嫉妬はニヤニヤできるね

最後のは高坂弾正じゃない?

>>290
間違えました。
高「坂」弾正ですね……。


次やるのはまだ決まってないです。

>>9ですが、股監督繋がりでスト魔女×ビビドレのクロスでペリーヌ×あおいなんてどうでしょうか?
501の宮藤以下数名がネウロイと戦闘中に、ビビドレの世界に飛ばされてしまい、そこであかね達ビビッドチームと出会う。
彼女らは同じようにこの世界にやってきたネウロイを倒すべく協同戦線を張るのだが、その最中お嬢様同士で気が合うのか、ペリーヌとあおいは仲良くなっていく。
という感じで。
ラストは涙のお別れ。

無理ならけいおん!で、澪×和か、憂×和でいいです。

>>292
無理ではない……ので、考えてみます。
澪和、憂和もやると思います。

>>291
乙です
また歴女書いていただけると嬉しい・・・

>>294
了解です

今日は唯縁

<唯縁×朝>
——————————

縁「ん〜……」

縁「……んぅ」モゾ

唯「あ……縁、起きたか」

縁「……唯ちゃ〜ん?」

縁「ー……」

縁「……おはよ〜」

唯「おはよう」

縁「今何時〜……?」

唯「今は7時です」

縁「へぇ〜、そうなんだぁ……」
 「……おやすみなさぁい」

唯「自然に二度寝しようとするな」

縁「えへへ……」
 「……今日は休みだよ? 唯ちゃん」

唯「現実逃避するなよ」
 「……今日は、金曜日だって」

縁「あれー? そうだっけ……」
 「いつも泊まる日は土曜日って決まってるよ?」

唯「そうだけど……」
 「……縁が昨日、突然泊まりたいって言ったからだろ」

縁「……」

唯「……」

縁「……すぅ」

唯「おいっ! どさくさまぎれに寝るなって!」

縁「えぇ〜……」

唯「ほら、遅刻するぞ」

縁「……んん〜」
 「じゃあ、いつものちょうだい」

唯「……ぇぇ」

縁「そうじゃないと起きません」

縁「早くしないと遅刻しちゃうよ〜? 大変だよ〜?」

唯「他人事みたいに言うな」

縁「え?」

唯「……はぁ、もうしょうがないなぁ」

唯「ん」

縁「……んん♪」

唯「ぷァ……これでいいだろ」

縁「えへへ〜……満足〜♪」

唯「まったく……」
 「……ほら、ホットミルク」

縁「わ〜い!」

唯「……あと、その」
 「服、着とけよ」

縁「……おぉっ、脱いだままだ」
 「えへへぇ……」

唯「なっ……何気味悪い笑みを浮かべてんだよ」

縁「……」

唯「あ……ゴメン」
 「あ、謝るから……そんな本気で落ち込むなって」

縁「えっとね〜、昨日の唯ちゃん可愛かったな〜なんて思って」

唯「んんッ……!」
 「お、おいっ! 縁!」

縁「えへへ、ごめんねぇ」

唯「……ったく」
 「……縁だって」ボソ

縁「え〜? 何〜?」

唯「何でもない!」
 「ほら、早く制服に着替えろって!」

縁「は〜い♪」

縁(唯ちゃん顔真っ赤〜♪)ホクホク

唯「……あぁ、そういや朝トーストで良い?」

縁「うん、良いよぉ」
 「いつもごめんなさい〜って、唯ちゃんママに言わなきゃ」

唯「良いよ別に……」
 「……お母さんが好きで用意してるような感じだし」

縁「親公認の仲だもんね〜」

唯「いや……み、認めては無いと思うけど」

チーン,カシュンッ

縁「あ、そういえば」

唯「ん?」モグモグ

縁「……唯ちゃんとの関係をね、お兄ちゃんに言っちゃった」

唯「んふッ! んッ、くふッ」

縁「唯ちゃん大丈夫!?」ナデナデ

唯「おっ、おま……けほっ」
 「な、なんてこと言ってるんだ……!」

縁「えぇ? でも、いつかは言わなきゃいけないことだよ?」

唯「そりゃそうだけど」

縁「……そうしたら、縁は自分の好きなようにしろって」
 「家のことは任せとけって、言ってくれた」

唯「……」
 「……そっか」

縁「うん」
 「……お兄ちゃん、ごめんねって言ったけど」

縁「……縁が幸せになってくれればそれで良いって」

唯「……」

カリ...

唯「なー、縁」

縁「なーに? 唯ちゃん」

唯「……縁は、良いのか?」

縁「何が?」

唯「……私なんかで」

縁「どうして?」

唯「……そりゃ」
 「同性ってのもあるし」

唯「社会からの目も……あたたかくはないだろうし」
 「……縁のお兄さんが」

縁「やっぱり、お兄ちゃんに負担かけちゃうってことは、申し訳ないと思う」
 「でも……お兄ちゃんがそう言ってくれてるから」

縁「私が幸せになることが、お兄ちゃんに対して出来る事かなって思って」

縁「それにね、私」

縁「唯ちゃんと初めて話した時から、ぴーん、って来てたんだ」

縁「私は、この人とずっと一緒にいるんだろうなって」

縁「社会の目がどうとか、そういうこと、考えられる今でもね」
 「その気持ちは変わってないんだよ〜?」

唯「……そっか」

縁「うん♪」
 「唯ちゃんで、良いんじゃなくて」

縁「……唯ちゃんが、良いんだ」

唯「……ぅん」

縁「えへへ……」

唯「そっか……っぐ」

縁「……わ、わわっ!」
 「唯ちゃん、泣かないで……!」

縁「ほ、ほら、早くパン食べなきゃ」
 「学校に遅刻しちゃうよ〜」

唯「……そ、そぅ、だなっ」
 「えへへっ」

唯「あ、縁、ほっぺに、いちごジャムついてるよ……グス」

縁「えっ!? もしかして、その状態のまま良いっぽい話してた?」

唯「してた、してた」

縁「早く言ってよぉ〜……」

唯「……ごちそうさま」

縁「ごちそうさまでした♪」

唯「時間は……7時40分か」

縁「結構余裕あるね〜」

唯「あぁ、まぁ余裕あるな」
 「でも、ゆずこ待たせるのも悪いから早めに出よう」

縁「そうだね〜」
 「そう言えばゆずちゃん、“眼鏡変えていくけど、唯ちゃん気付くかな〜?” って言ってた〜」

唯「……」

縁「あぁ!」
 「……また言っちゃった」

唯「……また言っちゃったな」

縁「なでなでしてあげるから軽い記憶喪失になって?」

唯「なりません」
 「……まぁ、気付かない体で行くよ」

縁「あぁ〜、ごめんねぇ、ゆずちゃん……」

唯「行ってきまーす」

縁「行ってきまーす」

ガチャン

唯「はぁ、今日は朝から暑いな」

ニギ

縁「そだね〜」
 「汗かいちゃうね〜」

唯「軽くな」

縁「汗かいたら、言ってね?」

唯「え、何でだよ」

縁「私が拭いてあげるから〜♪」

唯「良いです自分で拭けます」

縁「えぇ〜!? 唯ちゃんのいけず〜!」

唯「いけずとかそういう問題じゃないだろ」

縁「えぇ〜……じゃあどうやったら唯ちゃんの汗拭けるの〜?」

唯「まずは拭く事を頭から取っ払ったほうがいいぞ」

唯「そういや……シャワー浴びてくるの忘れてたな」

縁「昨日ちょっと汗かいたもんね?」

唯「ん、まぁ……」

唯「……匂わない、よな」クン

縁「どれどれ」

唯「わ、ちょっと」
 「だ、抱き着くな! 道端でっ!」

縁「わぁ〜……ちょっと匂うよ?」スンスン

唯「えっ」

縁「唯ちゃんの匂いが匂うよ」

唯「そういう判断の難しい言い方はやめていただけませんか……」

縁「今日調べるやつ匂いにしよっか」

唯「……身近なのに意外と調べてなかったな」

縁「ゆずちゃんに言ってみよ〜」

唯「……何となく嫌な予感がするからやめませんか」

縁「……」

唯「いやそんな顔されても」

縁「はぁ、唯ちゃんの匂いで幸せになれたよ〜」
 「今日もがんばれそう」

唯「喜んでいいのかそれ……」

縁「うん! 喜んでいいんだよ〜」

唯「そうですか……」

縁「……唯ちゃんは、今幸せ?」

唯「……」
 「……うん、まぁ」

唯「幸せ、かな」

縁「そっかぁ〜、良かった」

唯「あ」

縁「あっ」

パッ

縁「ゆずちゃんおはよ〜」
 (違う眼鏡だ〜)

ゆずこ「おはよ〜」

唯「おはよう」
 (いつもと違う眼鏡かけてるなぁ)

ゆずこ「……」

唯「……」

縁「……」

ゆずこ「……フフン」

唯「……あー」
 「今日は、メガネなんだな」

ゆずこ「良く気付いたね、流石唯ちゃん」

唯「いや、かけてることは普通に気付くだろ」

ゆずこ「……かけてること“は”ってことは、もしや!?」
    「勘の良い唯ちゃんならもしかして!?」

唯「……」

縁「……」

唯「今日の眼鏡、いつもと違うな」

ゆずこ「ふっふっふ、そうなのです!」
    「眼鏡を新調したのです!」

ゆずこ「どう、似合ってる? 頭よさそうに見えちゃってる?」

唯「……うん、まぁ、な」

ゆずこ「えへへ〜」

縁「ぅ、ぅぅ〜」
 「ゆずちゃんゴメン!」

縁「実は唯ちゃんに眼鏡のこと話しちゃってたんだ〜……」

ゆずこ「……」

唯「……」

縁「……」

ゆずこ「……」ス...

唯「あ、メガネ外した」

縁「ゆずちゃんゴメ〜ン〜!」

ゆずこ「実はコレ度が入ってないんですけど」

縁「伊達眼鏡?」

ゆずこ「いや、PC用の眼鏡で」
    「ブルーライトを軽減するとかの」

唯「あぁ、最近話題になってる」

ゆずこ「っていうことで唯ちゃんかけてみませんか?」

唯「なんでそうなるんだ……」

縁「あぁ、メガネっこ唯ちゃん見たい!」

唯「えぇ……」

ゆずこ「ねぇねぇ、唯ちゃぁん」

縁「はぁはぁ、メガネかけてみない〜?」

唯「い、いいって」

唯「おい……やめ」

唯「おい」

ゆずこ「あ、爪の白い部分押さないでください」

唯「ったく……」
 「朝っぱらから疲れた……」

縁「いい運動になったね」

ゆずこ「そだね〜」

縁「じゃあ」

ゆずこ「うん」

縁「帰ろっか」


ゆずこ「いたいねー」

縁「痛いね〜」

唯「何で嬉しそうなんだよ」

唯「まったく……お前らは」

縁(そう言う唯ちゃんも、どことなく嬉しそうなのでした〜)

縁(……って言い方、すごく終わりっぽい、かも)
               

                  <終わり>

5話見たら気持ちが抑えられなくなってしまった

リクの方も消化するつもりではありますので……ごめんなさい

最近はなかなか良い感じのが思いつかず書いておりませんでしたが
今日はビビオペとストウィのスピンオフやってみようと思います

<ストウィ×ビビオペ×ペリーヌ×あおい>

——————————1945年・ヴェネツィア・アドリア海上空

ペリーヌ「宮藤さん、そちらの様子はどう?」

宮藤「特に異状ありません!」

ペリーヌ「そう」
     「エイラさん、そちらは?」

エイラ「異常なし、ダナ」
    「……っていうか、何で私が昼間の哨戒任務に出なきゃいけないんだヨ」

エイラ「せっかくサーニャと夜間哨戒に行く予定を立ててたのにナー」ボソ

ペリーヌ「もう、何を言っていらっしゃるの?」
     「坂本少佐と中佐は会議で」

ペリーヌ「他の方は哨戒任務中にネウロイと戦闘」
     「勿論サーニャさんは夜間哨戒」

ペリーヌ「となれば私たち3人が行くしかありませんわ」
     「それくらいお分かりになりませんの?」

エイラ「イヤ、分かってるケドサー」

ペリーヌ「分かっているなら言わないでくださいな!」

宮藤「まぁまぁ、ペリーヌさん、落ち着いてくださいよ!」

ペリーヌ「はぁ……まったく」

エイラ「……ア」
    「そっかァ、今日は少佐の顔一度も見ていないんダナ」

エイラ「それで機嫌悪いんダロ?」

ペリーヌ「なっ……!」

宮藤「えー? そうなんですか?」

ペリーヌ「そ、そんなわけないでしょう!?」
     「何で私が、少佐のお顔を拝見しないで機嫌が悪く……」

ペリーヌ「……悪く」

エイラ「図星ダナ、ニシシ」
    「それにミーナ中佐も一緒だから気が気じゃないんダロー」

宮藤「何でミーナ中佐が一緒だと気が気じゃないんですか?」

エイラ「ンー? それはナー」
    「ちょっと宮藤耳かせヨ」

宮藤「はい!」

ペリーヌ「ちょ、貴女たち一体何を話していますの!?」
     「いい加減にしないと——!」

...キィィ————ン...

ペリーヌ「……!?」

宮藤「痛っ……! な、なんですかっ!?」
   「耳鳴りみたいな……」

エイラ「ウググ、なんか気持ち悪いゾ……」
    「ね、ネウロイかッ?」

宮藤「あっ! あそこに、何かいますっ!」

ペリーヌ「……あの赤い輝きは……やはりネウロイ!?」

エイラ「何だヨ、あの形」
    「メビウスの輪みたいな形してるゾ!」

ペリーヌ「みなさん、戦闘態勢を!」

宮藤「了解!」

エイラ「了解ー!」

ペリーヌ「大尉、応答してください、大尉!」

バルクホルン『こちらバルクホルン、どうした、ペリーヌ』

ペリーヌ「敵、ネウロイを発見! 交戦します!」

バルクホルン『……つい昨日出現したばかりだぞ、なぜこんなにも早く……』
        『了解した、今すぐ援軍を送る!』

ペリーヌ「お願いいたします!」

エイラ「ウネウネと気持ち悪いネウロイダナ」

宮藤「動きはそれほど早くなさそうですね」

ペリーヌ「それでも何をしてくるかはわかりませんわ」
     「散開して、敵ネウロイを攻撃しますわよ!」

宮藤「はい、わかりました!」

エイラ「アァ、分かった」
    「……」

エイラ(何ダ? 一体……)
    (こいつが何をしてくるか、全く読めな)

...キィ——————ンッ....

エイラ「くっ、また耳鳴りだッ」

宮藤「うぐぐ……頭が、痛い……!」

ペリーヌ「先ほどよりも、酷い耳鳴りですわ……!」
     「は、早く、撃墜しなくては……!」カチッ

ペリーヌ「はぁぁぁっ!」ガガガガガッ!

ペリーヌ「……ッ!?」ガガガッ...

ペリーヌ(これほど打っているのに傷一つついていない……!)
     (弾が当たっていないというの?)

宮藤「くぅッ……!」ババババッ

エイラ「んんん〜ッ……!」ダダダダダッ

ペリーヌ「……」

ペリーヌ(弾が……届いていない?)
     (ネウロイに当たる前に弾が勢いを無くしているとでもいうんですの……?)

エイラ「全然ッ、あたらないゾ!」
    「どうなってんダ!」

...キィ—————————ンッ!...

宮藤「さ、さっきよりも耳鳴りがひどくなってます……!」

ペリーヌ「まずいですわ……このまま、では……!」

エイラ「い、いったん撤退……した方が良いんじゃないカ!」

ペリーヌ「で、ですが援軍が来るまでは足止めを……!」

宮藤「で、でも! う、うわぁっ! な、何っ!?」

エイラ「うわッ! 一体、コイツ、いきなり光り出して——ッ」

ペリーヌ「ま、まぶし……キャァァァァァッ!」

——————————
———————
—————

——————————

リネット「芳佳ちゃん……! ペリーヌさん……、エイラさん……!」

ルッキーニ「大丈夫かなぁ……あの3人」

シャーリー「バルクホルン、アイツらはどこで戦ってるんだ?」

バルクホルン「通信によればこのあたりのはずだ」
        「……しかし、どういうことだ」

エーリカ「音が全くしないね」
     「3人との連絡は取れないの?」

バルクホルン「先ほどから呼びかけてはいるんだが、応答はない」
        「こういう時にミーナがいれば……」

シャーリー「と、とにかく手分けして探そう」
       「戦っているうちに遠くへ行ったのかもしれないぞ」

バルクホルン「あぁ、そうだな」
        「各自、見つけ次第連絡を頼むぞ」

「了解!」

バルクホルン(無事でいてくれ……)

——————————大島・海岸

...ザッ,ザッ,ザッ...

あおい「……」

あおい「……はぁ」

あおい「……ん?」

あおい「鳥が群れてる……なんだろう?」

...ザッザッザッ...

あおい「……きゃっ!」

あおい「な、何か……いる」

あおい「……えっ」

あおい「ひ、人……っ!?」

あおい「だ、誰か、人を呼ばなくちゃっ!」


——————————
———————
————

————
———————
——————————

ペリーヌ「ん、んんッ……ん」
     「……」

ペリーヌ「いっ……たた」
     「……あら、ここは……何処?」

ペリーヌ「基地、というわけではなさそうですわね」
     「……どこかのお屋敷かしら、質の良い毛布を」

ペリーヌ「……」

ペリーヌ「っ! そ、そうですわ! ネウロイと交戦していて」
     「宮藤さん! エイラさん!」

宮藤「……すぅ」

エイラ「ンンー……」

ペリーヌ「……ほっ」
     「無事でしたのね、良かった……」

ペリーヌ「それにしても先ほどのネウロイはどうなったのかしら」
     「……援軍が仕留めてくださったのなら良いのですが」

...ガチャン

あおい「あっ、気付かれたんですね! 良かった……」

ペリーヌ「……貴女がわたくしたちを助けてくださったの?」

あおい「あっ、いえ……助けたのは私のお家のお医者様で」
    「……私が助けたわけじゃないんですけど」

あおい「たまたま海辺を歩いていたら」
    「みなさんが倒れていらっしゃるのを見つけて」

ペリーヌ「そうだったんですの……」
     (……奇跡的に海辺に打ち上げられたんですわね……良かった)

あおい「体は大丈夫ですか?」

ペリーヌ「えぇ、少し痛みはしますが……特に問題は有りませんわ」

あおい「そうですか……!」

ペリーヌ「……あ、お名前を聞いておりませんでしたわね」

あおい「あっ、はい、私は二葉あおいと申します」

ペリーヌ「二葉、あおいさん……」
     「……扶桑のご出身?」

あおい「はい? 扶桑?」

ペリーヌ「あら、違いましたの?」

あおい「えっと、扶桑……あ、あぁ! はい、日本です!」

ペリーヌ「日本? 扶桑ではなくて?」

あおい「え?」

ペリーヌ「え?」

あおい「扶桑って、日本の別の言い方……ですよ、ね?」

ペリーヌ「そうなんですの? ……初めて知りましたわ」

あおい「……あ、あぁ、そうだったんですか!」
    「あはは……」

ペリーヌ「わたくしはペリーヌ・クロステルマン」
     「ガリア出身、階級は中尉ですわ」

あおい「えっ? ガリア? 名前からして……外国の軍人さん!?」
    「し、失礼かもしれませんが……年齢は?」

ペリーヌ「16歳ですわ」

あおい「16歳で軍人さん!? 大変なんですね……」

ペリーヌ「えぇ、大変ですわ」
     「ですが、ウィッチとしての能力を持って生まれたんですから当たり前といえば当たり前ですわね」

あおい「……ウィッチ?」

ペリーヌ「え? ご存じないんですの?」

あおい「……ご、ごめんなさい、わからない……です」

ペリーヌ「……」

あおい「……」

ペリーヌ(なんでしょう)

あおい(話が、全くといっていいくらい……かみ合ってない……!)

ペリーヌ「あ、あの……」

あおい「は、はい!」

ペリーヌ「……ちなみにここは一体どこですの?」
     「あ、貴女のご自宅とか、そういうどこではありませんわ」

あおい「あ、えっと、ブルーアイランドというところです」
    「本州と伊豆大島の間にある——」

ペリーヌ「……イズオオシマ……」

あおい「はい、東京の」

ペリーヌ「トーキョーは、聞いた事がありますわ」
     「……」

ペリーヌ「いや、落ち着くのよ、ピエレッテ」
     「何がどうなっても、ヴェネツィアから扶桑に流れつくわけありませんわ」

ペリーヌ「悪い夢でも見ているのですわ……」
     「それかネウロイによる幻覚……そうに違いありませんわ」ブツブツ

あおい「あ、あのー……」

ペリーヌ「……いえ、ですが痛みが……やはり幻覚」ブツブツ

あおい「……ペリーヌさん?」

ペリーヌ「はいっ!? な、なんですの……?」

——————————

ペリーヌ「んー……カモミールの良いお味ですわ。香りも素晴らしいですわね」

あおい「気に入っていただけて、よかったです!」
    「……わ、私が淹れているわけではないんですけれど」

あおい「落ち着きました?」

ペリーヌ「えぇ、わたくしとしたことが……取り乱してしまって」
     「お恥ずかしい……」

あおい「いえ、いえ、落ち着いてもらえたなら良かったです」
    「……それにしても、どうして倒れていらっしゃったんですか?」

ペリーヌ「……」
     「わたくしは、第501統合戦闘航空団に所属しております」

あおい(……トウゴウ……)

ペリーヌ「わたくしと、そちらの宮藤芳佳軍曹、エイラ・イルマタル・ユーティライネン中尉の3名で」
     「哨戒にあたっておりました」

ペリーヌ「その途中、謎のネウロイに出会いまして」
     「強烈な光に包まれ、気付いたらこのベッドの上に……」

あおい「ネウロイ……?」

ペリーヌ「……貴女、ネウロイもご存じないの?」

あおい「はい、すいません……」

ペリーヌ「……今ネウロイをご存じない方がいるなんて……」
     「扶桑ならそのような方はいらっしゃらないのでは……」

ペリーヌ(……何か、いや、すべてがおかしいですわ)
     (ネウロイを知らない、ウィッチを知らない、軍人であるわたくしを珍しく思っている)

ペリーヌ(そして現在地……欧州ではなく、扶桑。さらに扶桑ではなく、日本と呼ばれる地)

ペリーヌ(……まさか)
     (い、いや、ありえませんわ……! でもそれ以外には考えられない……)

ペリーヌ「……二葉さん、でよろしいかしら」

あおい「あ、はい! なんでしょうか?」

ペリーヌ「……今は、西暦、何年?」

あおい「今ですか? 今は西暦——」

ペリーヌ(良かった、西暦は使われている)

あおい「————年です」

ペリーヌ「……ッ」

ペリーヌ「c'est incroyable……」

ペリーヌ(わたくし達は……)

ペリーヌ(果てしない、未来に、あるいは、別の世界に来てしまったというの……?)

 
                 <つづく>

——————————ブルーアイランド・二葉邸

あおい「……つっ、つまり」
    「みなさんは1945年から、タイムスリップしてここに来てしまった、ということですか?」

ペリーヌ「えぇ、そうなりますわね」
     「……とはいっても、魔法などといった概念がないようですから」

ペリーヌ「別の世界に来てしまったということも、あり得ますわ」

あおい「そ、そんな……だ、だって……えぇ」

ペリーヌ「……信じられませんよね、わたくしが1945年から来たということ」
     「わたくしだってこんな……遠い未来に来たことは、信じられませんわ」

あおい「……し、信じます」

ペリーヌ「え?」

あおい「突然のことばかりで、戸惑ってます……でも」
    「ペリーヌさんが、そう……嘘を言っているなんて、思えないから」

ペリーヌ「何故、そんなわたくしのこと……まだ名前を知って間もないというのに」

あおい「……ビ」

あおい「ビビッと、来たからです」

ペリーヌ「……ビビッと?」

あおい「はい、私の」
    「……私の、友達が良く言うんです」

あおい「運命……そう、運命みたいなものを感じるというか」
    「この人に会うのは、偶然じゃなくて、必然だった、みたいな……その」

あおい「って、えへへ……分かりませんよねこんな風に説明しても」

ペリーヌ「……いえ」
     「何となくは分かりますわ」

あおい「そうですか?」

ペリーヌ「わたくしも……ある方に出会ったときに、似たような気持ちになったことがありますわ」
     「きっと、そのことを、ビビッと来ると言うのでしょうね」

あおい「……ある方」

ペリーヌ「……そ、そこには注目しなくて結構ですわ!」

あおい「あ、す、すいません!」

ペリーヌ「もう……」

ペリーヌ「……」

ペリーヌ(坂本少佐……)

ペリーヌ「わたくしは、これから……どうすれば」

あおい「……あ」

ペリーヌ「これから、元の世界に、時代に……戻れなかったとしたら」
     「……わたくしは、どうやって生きて行けばいいんですの……?」

あおい(ペリーヌさんが困ってる)

あおい(助けてあげたい……!)

あおい(でも、私なんかに、何かできるの?)

あおい(……)

あおい(ううん、できるよ)

あおい(私だって、これまでの戦いで成長したもん)

あおい(もう、あの頃の、何もできなかった私じゃない)

あおい(そして、何より……こんな時、あかねちゃんなら)

あおい「……あ、あのっ」

あおい「私が、お、お手伝いします!」

ペリーヌ「……二葉、さん?」

あおい「ペリーヌさんが、元の場所に戻れる方法を」
    「私も探します!」

あおい「絶対に、見つけ出します!」
    「だから、元気を出してください……!」

ペリーヌ「二葉さん……」

ペリーヌ「……」

ペリーヌ「……そうですわね、何もしていない状態で、くよくよしているなんて、わたくしらしくありませんわ」

ペリーヌ「貴族なら、余裕を持って、優雅でないといけませんわよね!」
     「ありがとうございます、二葉さん。 元気が湧いてきましたわ!」

ふたば「えへへ、良かった!」
    「じゃ、じゃあ! 早速行動しましょう!」

ペリーヌ「えぇ!」

ふたば「えっと、最初は……」
    「そうだ! あかねちゃんのおじいちゃんのところへ行きましょう!」

ペリーヌ「あかね……さんの、おじい様のところへ……? そこはどういうところなんですの?」

ふたば「あかねちゃんのおじいちゃんは、凄い研究をしている人で」
    「今の世界に欠かせないものを作った人なんです!」

ふたば「あかねちゃんの家に、研究所があるんですけど」
    「そこに行けば、何か分かることがあるかもしれません!」

ペリーヌ「……なるほど。 わかりましたわ、ではまずはそこへ行きましょう」

あおい「あ! この、お二人は……」

ペリーヌ「……宮藤さんとエイラさん、まだ寝ていらっしゃるのね」
     「わたくしや二葉さんがいなくなってしまったときに目を覚ましたら、きっとパニックに陥るでしょうから……」

ペリーヌ「この二人も連れて行ってもかまわないかしら?」

あおい「はい、大丈夫だと思います!」

ペリーヌ「良かった」
     「……ちょっと、宮藤さん、エイラさん、起きてくださいまし!」

ペリーヌ「宮藤さん! エイラさん!」ユサユサ

宮藤「……んぁ……もう、おっぱい」

ペリーヌ「は?」

エイラ「サーニャぁ……えへへ、そんな、駄目ダゾ……」

ペリーヌ「……」

ペリーヌ「トネールッ!」ビリビリッ!!

あおい「きゃあ!」

宮藤「ひゃぁぁ!!」

エイラ「んわぁぁぁ! イタタタ!!」

あおい「あ、あぁぁ……」

ペリーヌ「……あ、そう、今のが魔法ですわ」

あおい「そ、そうなんですか……びっくりしました」
    (……ほ、本当に魔法……)

ペリーヌ「魔法と言っても、個人個人で能力は違いまして」
     「わたくしの場合は、電撃を発する能力なんですの」

あおい「……そ、そうですか」

エイラ「お、オイ! ペリーヌ! 今のは痛かったゾ!」
    「人を起こすにも、やり方ってもんがあるダロ!」

宮藤「そ、そうですよぉ! 魔法で起こすなんて、死んじゃったらどうするんですか!」

ペリーヌ「あら、揺さぶっても起きないお二人の方が悪いんですわよ?」

エイラ「ナンダトー! ……って」

エイラ「どこだ、ココ」

宮藤「基地に、こんなところありましたっけ」

エイラ「てか、誰だ、オマエ」

あおい「あ、わ、私は……」

ペリーヌ「二葉さん、ここはわたくしがご説明いたしますわ」

あおい「は、はいっ……」

——————————

ペリーヌ「——ということなんですの」

エイラ「フンフン、なるほどナ」

宮藤「……」

エイラ「って、納得できるわけ無いダロ!!」

宮藤「そ、そうですよ! そんな、おとぎ話みたいな!」

ペリーヌ「でも、事実なのは事実ですわ」
     「まぁ、とにかく、今からあかねさんという方のおじい様のところへ行きますわよ?」

エイラ「イヤイヤイヤ! そんなすんなり、ハーイ、なんてついていけるカァ!」

ペリーヌ「問答無用、ですわ! ほら!」グイ

エイラ「ウワァァァァ、ヤメローッ! 離せー!」

宮藤「助けてくださーい!」

あおい「あ、あはは……」

ペリーヌ「それで、どういった手段でその方のお宅へ?」

あおい「あ、外に車を待たせてあるので、それで行きます」

ペリーヌ「なるほど」

エイラ「ナンダこの車」

宮藤「……み、見たことないです、こんな形の……」

ペリーヌ「そ、そうですわね……」

エイラ「ってか何だこの町ッ!」

宮藤「ここ、本当に扶桑なんですか!?」

あおい「はい、えと……日本と言う名前に変わってますけど」

宮藤「へぇー! すごーい!」
   「不思議な家が」

エイラ「ウワ、なんナンダヨ、この道は!」
    「全部舗装されてるゾ!」

宮藤「車がいっぱい走ってます! うわぁぁー!」

あおい「……そ、そろそろ行きましょう! みなさん!」

ペリーヌ「……」

あおい「……ペリーヌさん? どうかしました?」

ペリーヌ「はいっ!? あ、い、いえ」
     「わたくし達が見慣れた光景とは、まったく違っていて……つい唖然としてしまいましたわ」

ペリーヌ「……やはり目で見ると、未来に来たのだと、実感しますわね」

あおい「……」
    「……そ、それじゃあ、行きましょうか」

ペリーヌ「そうですわね」
     「お二人とも、行きますわよ」

エイラ「お、オウ」

宮藤「はい!」

—————

宮藤「わー、これ本当に車なんですか!?」
   「全然音がしませんよ!」

エイラ「乗り心地が半端なくイイナ!」
    「キューベルヴァーゲンとは大違いダ」

ペリーヌ「お、お二人とも、静かにできませんの!?」ソワソワ

あおい(ペリーヌさんもそわそわしてる)

あおい「後で、町を回ってみましょうか?」

ペリーヌ「そ、そうですわね……すぐには帰」

宮藤「はい! ぜひお願いします!」

エイラ「ちょっと楽しみになってきたゾ!」

ペリーヌ「……貴女達……ッ」

——————————

あおい「あ、そろそろ着きますよ」

ペリーヌ「あの巨大な鉄塔? のようなところがそうなのかしら?」

あおい「はい!」

宮藤「わー、なんだか私でも見たことのありそうな感じのお家ですね!」

エイラ「扶桑の家はこんなナノカ?」

宮藤「はい! 私の家もこんな感じで——」

あおい「っと、着いたみたいです」
    「じゃあ、行きましょう」

ペリーヌ「えぇ」

宮藤「わー、畑がある」
   「トマトおいしそうですね」

エイラ「ン、なんかチャッチイ畑ダナ」

宮藤「扶桑はちっちゃい島国ですからしょうがないんですよ!」


「あ、来た来た! 待ってたよ、あおいちゃん!」

あおい「あかねちゃん!」

あかね「えへへ、やっほー!」

あおい「急にごめんね、とても大事な用が合って」

あかね「うんうん、大丈夫だって!」
    「……その人たちが、昔から来たって言う?」

あおい「うん、ペリーヌさん、宮藤さん、エイラさん」

ペリーヌ「ペリーヌ・クロステルマンと申します」

宮藤「宮藤芳佳です!」

エイラ「エイラ・イルマタル・ユーティライネン」

あかね「あ、ご丁寧にどうも」
    「私は一色あかねと言います! あおいちゃんの“友達”です!」

あおい「……」

ペリーヌ「……?」

あかね「あ、皆さんあがってください! あおいちゃんのお家ほど広くないけど……」

ペリーヌ「えぇ、失礼いたしますわ」

あかね「はい、こっちが居間です!」
    「座ってください!」

宮藤「わぁ……なんだか久しぶりって感じだ!」

エイラ「このクッションに座るのか?」

宮藤「これは座布団って言うんですよ、エイラさん」

エイラ「ヘー」


もも「あ、皆さんようこそいらっしゃいました!」

ペリーヌ「お邪魔しておりますわ」
     「……こちらの方は?」

あかね「はい! 私の妹のももです!」

もも「一色ももと言います、よろしくお願いします」
  「狭い家ですが、どうぞくつろいでいってください」

あかね「……といったように、私よりもしっかり者です」
    「もも、お茶用意してもらえる?」

もも「うん、分かった!」

ペリーヌ「……本当にしっかりしていらっしゃるのね」

あかね「はい、それはもう!」

あかね「あ、そういえば皆さんはどこの出身ですか?」

あおい「あ……あかねちゃん」
    「一色博士は……」

あかね「そうだったそうだった……えへへ。 おじいちゃんに話を聞こうと思ってきたんだよね」
    「おーい、おじいちゃーん! みなさんが来たよー!」


健次郎「おー、きおったか! 待っとったぞい!」ドタドタ

健次郎「おぉ、君らが……話には聞いておったが」
    「タイムスリップしてこの時代に来たとかいう」

あかね「ペリーヌさん、芳佳さん、エイラさんです!」

健次郎「そうかそうか……いや、遠いところからご苦労なことじゃの」

エイラ「マァいろんな意味で遠くダナ」

ペリーヌ「今日は突然申し訳ありませんわ」
     「色々とお話を伺いたくて参りました」

健次郎「なに、突然には慣れておるから何も問題はない!」
    「それに、わしも過去から来たとか言う人の話を聞いてみたいしのぉ」

健次郎「まぁ、沢山話すことはあるだろうからな」
    「そろそろモモの淹れるお茶ができるはずじゃ。 茶を一杯飲んでから、聞くとしよう」

——————————

ペリーヌ「——というわけですわ」

健次郎「ふむ……にわかには信じがたいことじゃ」
    「1945年……今から遠く昔の時代には、魔法と言うものが存在していたとは」

健次郎「そして、ネウロイとか言う者によって、様々な国が侵略されていたと」

ペリーヌ「えぇ、わたくしの出身地であるガリア共和国も一時は占領されていましたわ」
     「しかし何とか奪取することができた」

健次郎「その奪取にも、先ほど話に出てきたストライカーユニットなるものが使われたのか?」

ペリーヌ「えぇ、ストライカーユニット……ウィッチは、ネウロイへの唯一の対抗手段ですから」

宮藤「あ、そういえば私たちのストライカーユニットは……?」

ペリーヌ「……失念していましたわね、履いて来たはずなのですけれども」

あおい「あ、それなら……一緒に流れ着いていたと思います」
    「それも一応回収してもらいました。 今は私の家にあると思います」

健次郎「それを後で見せてもらうことは可能かのぉ?」
    「どのような機構なのか見てみたいのじゃ」

ペリーヌ「えぇ、構いませんわ」

健次郎「すまんの」
    「……で、今回は」

健次郎「そのネウロイと戦っている最中に、光に包まれて」
    「気づいたらこの時代、世界に来ていたんじゃな」

ペリーヌ「えぇ……」

健次郎「んん……まぁ、空間のひずみによるものだとも考えられるかもしれんが」
    「十中八九、そのネウロイが原因じゃろうな」

健次郎「自分たちの敵であるウィッチを、別の時代、世界に送ることができるネウロイ」
    「かなり危険な存在じゃのぉ」

ペリーヌ「えぇ、そうですわね……」

エイラ「……そういや、あのネウロイって結構変わってたヨナ」

ペリーヌ「え? あぁ、そうですわね」

健次郎「変わっていた、とは?」

宮藤「射撃していたのに、全く当たらなかったり、ですかね?」

ペリーヌ「えぇ、そうでしたわね」
     「予知能力を持つエイラさんの銃弾でさえ、当たらないなんて」

エイラ「ンー……」
    「アイツはなんだか、先が読めなかったンダ」

エイラ「そんなこと、今まで一度もなかったのに」
    「ってか、形もおかしくなかったカ?」

宮藤「あ、そうですね、ふにゃふにゃしているというか……」

ペリーヌ「……メビウスの輪のような、形をしていましたわね」

健次郎「なっ……! なんじゃと!? メビウスの輪のような形!?」

ペリーヌ「……それが、どうかされましたの?」

健次郎「……い、いや」
    「実はな、我々の世界にも、一時期脅威が訪れたんじゃ」

エイラ「脅威?」

健次郎「うむ、彼奴らはアローン、という未知の存在でな」
    「我々の生活、日常を支える“示現エンジン”というものを怖そうとしていたのじゃ」

ペリーヌ「……それは、まるで」

健次郎「あぁ、嬢ちゃんらの言うネウロイと似たような存在じゃな」
    「まぁ……そのアローンは、わしが開発したビビッドシステム」

健次郎「そして、ここにいるあかねや、あおい君達によって倒されたのじゃが」

健次郎「その時にも、現れたんじゃ」

健次郎「メビウスの輪の形をした、異形の者が」

ペリーヌ「……なんですって……!?」

宮藤「で、でも、私たちの時代はこの時代よりもずっと昔の時代で……」

健次郎「いや、その者は我々の考えからはかけ離れた存在じゃ」
    「時代などに縛られるようなものではないじゃろう」

健次郎「……うーむ」
    「こうなると話は変わって来るな……」

あおい「そ、そうなんですか……?」

健次郎「あぁ。 ネウロイ……いや」
    「その者が嬢ちゃんらの前に現れ」

健次郎「この時代に送り飛ばしたことは、単なる偶然ではなく」
    「何らかの意味を持っているという線が濃厚になってきたのぉ」

ペリーヌ「何らかの意味……」

健次郎「彼奴は、かつてわしらを試した」
    「示現エンジンという、強大な存在が、我々にふさわしいか、ふさわしくないかと言うことを」

健次郎「……それを考えれば、その意味は、あまり好ましいものではなさそうじゃ」

健次郎「……また、何か」

健次郎「人類の未来を脅かす危機が、迫ってきているのかもしれんな」


             <続く>

長くなりそうです、注意してください

——————————

あおい「で、でも! 私たちは試されて、それに合格したはずじゃあ……!」

健次郎「……そうじゃ、我々は示現エネルギーのもと、生きることを許された」
    「同時に、一人の少女の世界を元通りにした」

健次郎「まだそれから少しの間しか経っていないというのに……」
    「果たして、再びトライアルさせるじゃろうか」

健次郎「そこがかなーり引っかかっておる」

健次郎「まぁ、どちらにせよ……嬢ちゃんら3人は」
    「何らかの理由があって、この時代に連れてこられた」

健次郎「もしかしたら、これから何らかの事態が発生するかもしれん」
    「この時代の人間の、自分勝手な願いでは有ろうが……その時は君らとして、出来る事をしてほしい」

ペリーヌ「……分かりましたわ」

エイラ「別に、協力することは良いとしても」
   「元の時代に帰る方法を探すのはどうするンダ?」

宮藤「……それは、私たちがこの時代に連れてこられた理由って言うのが分かれば分かるんじゃないですか?」

ペリーヌ「確かに……大雑把ではありますけれど、その通りでしょうね」

健次郎「逆に言ってしまえば……その連れてこられた理由が分からなければ帰ることはできないということじゃ」

健次郎「わしらも、嬢ちゃんたちが元の時代に帰る方法、この時代に来た理由を探してみるとしよう」

——————————

あおい「……あっ」
    「ペリーヌさんたちの、ストライカーユニット、と言うものが来たみたいです」

ペリーヌ「故障していないかしら……」

エイラ「ンー……あんまり目立った傷はなさそうダ」
    「動くかは分からないケド」

あかね「へぇー、すごい」
    「不思議な形! 飛行機みたい!」

健次郎「ほぉ……これが」
    「これはどうやって使うんじゃ?」

ペリーヌ「足に装着しますの」
     「コレは単座式ですけれど、二人用の複座式のユニットもあります」

健次郎「おぉぉ……」

エイラ「興味津々、ダナ」

ペリーヌ「ちなみにこのストライカーユニットは、そこにいる宮藤さんのお父様がお作りになられたんですのよね?」

宮藤「はい、まぁ、一応……えへへ」

健次郎「なんと、君の父親が! すごいのぉ……!」
    「分解してみたいのー!」

ペリーヌ「凄い研究欲ですわね」

もも「おかげで家計は火の車なんです……」

宮藤「あはは……」

健次郎「飛行してみてはくれんか!」

ペリーヌ「勿論、構いませんけど……」
     「わたくしたちが飛行して、住民の皆様は驚きませんの?」

健次郎「いぃや、わしのおかげでここいらの住民はそういうことに慣れておるから大丈夫じゃ!」
    「少し見られて新聞の記事にされても、わしの発明と言うことにすればなんとかなる」

ペリーヌ(一体どんなことを研究されているのかしら……)


ペリーヌ「それでは、お願いしますわね、エイラさん、宮藤さん」

エイラ「ほーい。 よっと、装着ー」ピョイン

宮藤「はい!」ピョコン

あおい「わぁ……! 可愛い!」

あかね「耳が生えてる!」

ペリーヌ「私たちは使い魔を媒介して魔力を供給していますわ」
     「魔法を使うときには、その使い魔のしっぽや耳が生えますのよ」

あかね「ちょっと、人前に出るのは恥ずかしそう」

ペリーヌ「うっ……あの世界だと当たり前ですから意識していませんでしたけど」
     「……そう言われれば……何となく」

エイラ「じゃあ、飛んでみるゾー」

ブワァ...!

あかね「わっ! 地面が光ってる!」

あおい「凄い……! 綺麗な模様!」

ペリーヌ「ストライカーが発進するときには、魔法陣が展開されますわ」
     「ご覧になれば分かるでしょうけれど、宮藤さんの魔法陣はかなり巨大」

ペリーヌ「これは、宮藤さんの持つ魔法力に比例して大きくなっているのですわ」

宮藤「行きます!」

ペリーヌ「気を付けて飛ぶんですわよ!」

エイラ「分かってるッテー」

...ヴヴンッ!

健次郎「おぉ……! 飛びおった……!」

あおい「すごい……!」

健次郎「わしの発明もすごいが、このストライカーユニットとやらもなかなかやるのぉ!」

ペリーヌ「攻撃手段は、銃火器を用いますわ」
     「防御手段は、魔力によるシールド。 前面に魔法陣を展開し、攻撃そのものを防ぐんですの」

健次郎「なるほど……シールドか」
    「個人でシールドをはることができるのは強みじゃの」

ペリーヌ「……そうですわね」
     「でも……」

健次郎「ん?」

ペリーヌ「……わたくしたち、ウィッチは20歳位には、魔力が尽きてしまいますわ」
     「空に上がることができるのは、それまで……」

健次郎「そうなのか」
    「魔力を失ってからは、どうするんじゃ」

ペリーヌ「……」

あおい「……ペリーヌさん?」

ペリーヌ「……あっ、申し訳ありませんわ」
     「そうですわね、軍の教官になったり、重要な地位について指揮していったり等がありますわ」

ペリーヌ「勿論、魔力の枯渇を理由に、戦場を離れる人も少なくはありませんわ」

健次郎「……うむ、そうか」
    「わしが言える立場ではないが……こんな未来のある若者たちが戦場にでなければいけないというのは」

健次郎「なかなか悲しいことじゃの」

ペリーヌ「そうかもしれませんわね」
     「……でも、それが普通の世界ですわ」

ペリーヌ「……戦場に行かなければならないことよりも」
     「空を駆け、空で生きてきた人にとって、飛べなくなってしまうことが……何よりつらいことですわ」

エイラ「ふぅー、こんなもんカナ」

宮藤「凄いですね! 空に上がったら信じられない光景がひろがってました!」
   「すっごく大きな橋が架かってるし! 何か大きい建物がたくさん並んでいるし!」

エイラ「ホント、ワケが分からなかったナ……」

あかね「その、ナントカユニット! 凄いですね! 二人とも飛行機になったみたい!」

あおい「ストライカーユニットだよ、あかねちゃん」

あかね「あ、そうそう、それそれー」

健次郎「いやぁ……まさか魔法と言うものが実在したとは」
    「この世界はわからんことばかりじゃの」

ペリーヌ「まったくですわね」


「あかね」


あかね「あっ!」

あおい「……あ」

あかね「れいちゃん!」
    「来てたの!?」

れい「えぇ、さっき来たの」
   「……そちらの方たちは?」

あかね「あ、えっとね、ずっと昔の時代からやってきた人達なんだ!」

れい「……え?」

あかね「こちらから、ペリーヌさん、芳佳さん、エイラさん!」

ペリーヌ「よろしくお願いいたしますわ」

れい「あ……よろしくお願いします」
   「……あかね、ずっと昔の時代からってどういう事?」

あかね「えっとね、ちょと説明が長くなるんだけど……」

あおい「あ、あの!」

ペリーヌ「はい、なんでしょうか」

あおい「……え、えっと、一色博士とは、お話を済ませましたし」
    「皆さんはこのブルーアイランドを回ってみませんか? 案内します!」

宮藤「あ! はい! ぜひ回ってみたいです!」

エイラ「空からちらっと見ただけだしナ、どうせなら」

あおい「はい、じゃあまた車に——」

ペリーヌ「……?」
     (二葉さん、この方がいらっしゃってから気まずそうな顔を……)

ペリーヌ(……気のせいかしら)

——————————

あおい「こちらが、示現エンジンです」

宮藤「わぁ〜! すご〜い! 大きいですね!」

エイラ「これがさっき話に出てきたヤツダナ?」

あおい「はい、この示現エンジンが、世界中のエネルギーをまかなっています」
    「そのおかげで、人々がエネルギーをめぐって争う……ってことが無いんです」

エイラ「平和な世界なんダナ」

宮藤「もう、エイラさんさっきの話ちゃんと聞いてました?」
   「ドローンっていう存在が、この示現エンジンを狙ってきたって」

エイラ「アローン、ダロ? 宮藤こそ、ちゃんと聞いてたのかヨ〜」

宮藤「う……」

あおい「あはは……」

ペリーヌ「……」
     (……やっぱり、気のせいですわよね)

あおい「それじゃあ、次、ご紹介しますね」
    「次は電車を——」

——————————
———————
—————

————
———————
—————————-夜・二葉邸・ゲストルーム

エイラ「はぁー、疲れたゾー」

宮藤「そうですねー……でも、お料理がおいしかったなー」
   「すっごく豪華でしたね!」

エイラ「そりゃそうダロ? 別に食糧に困ってるわけじゃなイシ」
    「あっちじゃ大抵蒸かしたイモだしナ」

ペリーヌ「十分に食事をとることができているだけでも、ありがたいことですわ」

エイラ「……サーニャにも食べさせてあげたかったナ」

宮藤「……あ」

ペリーヌ「……」

エイラ「……サーニャ」
    「……大丈夫カナ」

宮藤「……リーネちゃん」
   「シャーリーさん、ルッキーニちゃん、バルクホルンさん……」

宮藤「わ、私たち……もとの時代に戻れるんでしょうか」

宮藤「来た理由が分かったら、帰ることができるかもしれません……」
   「でも、もし、理由が分かっても、帰れなかったら……」

エイラ「……そんなの、嫌だ」

エイラ「私は……約束したんダ」
   「戦いが終わったら……一緒にサーニャの両親を探すって」

エイラ「……それなのに、突然サーニャの前からいなくなって」
    「約束も守れないで……一人きりでいさせるなんて……」

エイラ「そんなの……嫌だ」

宮藤「わ、私だって……嫌です」
   「まだ、あの時代では……戦いが終わってなくて」

宮藤「みなさんが頑張っているのに、私はそれを手伝えないなんて」

ペリーヌ「……もう」

ペリーヌ「貴女達、何を弱気になっているんですの?」
     「まだ、こちらの世界に来て一日も経っていないんですのよ?」

ペリーヌ「それなのに、帰ることができなかったら、なんて話をするのは早計すぎますわ」

ペリーヌ「大丈夫……きっと」
     「……きっと、戻る方法が見つかるはずですわ」

宮藤「……ペリーヌさん……」

エイラ「……ゥ」

エイラ「……」

エイラ「……ソウダヨ、ナ」

エイラ「……まだ、何も分からないのに」
    「帰れなかった、その先のこと考えるなんて……ウン」

エイラ「……そんなの、バカみたいだよナ」

宮藤「……エイラさん」

宮藤「……うんっ」

宮藤「そうですよね! 私たちがしなきゃいけないのは、くよくよすることじゃなくって」
   「少しでも早く、元の時代に戻る方法を見つけることですよね!」

ペリーヌ「そうですわ」
     「ですから、そのためにも、こまめに一色さんのおじい様等とお話したりして」

ペリーヌ「少しでも情報を集めなければなりませんわ」

エイラ「よっし、頑張って、早く元の時代に帰るゾ!」
    「まってろ、サーニャ!」

宮藤「はいっ! 頑張りましょう!」

ペリーヌ「えぇ!」

——————————

宮藤「……ん」

エイラ「……」
    「……サーニャァ……ンー」

ペリーヌ(とは言っても……わたくしも、不安でいっぱいですわ)

ペリーヌ(何も知らない時代、何も知らない場所)

ペリーヌ(一人じゃないだけで……マシではありますけれど)

ペリーヌ(……出会った方が優しかったことも、ありますけれど)

ペリーヌ(……)

ペリーヌ「……少佐」

ペリーヌ「……っ」

ペリーヌ「……ハァ」

ペリーヌ(少し……風にでもあたろうかしら)

ギィ...

ペリーヌ「……広いバルコニー」
     「屋敷を思い出しますわね」

ザッ..ザッ...

あおい「きゃっ」

ペリーヌ「ひゃっ……」
     「あっ……二葉さん?」

あおい「ペリーヌさん……」

あおい「どうか、したんですか? こんな夜中に……」

ペリーヌ「少し、外の空気を吸いたいと思いまして」
     「……二葉さんはどうなさったんですの?」

あおい「……私も、そんな感じです」

ペリーヌ「そうですか」

あおい「……」
    「あの」

ペリーヌ「はい?」

あおい「……少し、お話ししませんか?」

——————————

ペリーヌ「ここは、なかなかいい所ですわね」
     「穏やかで……」

ペリーヌ「わたくしの故郷、ガリアも負けてはいませんけど」

あおい「はい、とてもいいところです」
    「……もともとは、示現エンジンがある、ブルーアイランドの方に住んでいたんです」

ペリーヌ「そうなんですの?」

あおい「はい……もともと、身体が弱くって」
    「それで、療養のためにこの別邸に越してきたんです」

ペリーヌ「身体は今——」

あおい「だいぶ良くなりました」

ペリーヌ「そう、それは良かったですわね」

あおい「はい」
    「……それに、こっちに来て、あかねちゃんと出会えて沢山勇気とか、希望をもらえて」

あおい「そのおかげで、他にも、いろんな人たちに出会えました」
    「本当に、越してきて、良かった」

ペリーヌ「……」
     「二葉さんにとって、あかねさんは大切な存在なんですわね」

あおい「えっ!? あ、えっと……」

あおい「……」

ペリーヌ「え? わたくし何かまずいことを……」

あおい「あっ、い、いやっ!」
    「……す、すごく……」

あおい「……すごく、大切な存在です」カァ

ペリーヌ(なぜ、そんなに恥ずかしそうに)

ペリーヌ「……ぁ」
     「もしかして、二葉さん……あかねさんのこと」

あおい「いっ、えっ、いや! あの、と、特にそんな!」
    「特別な意味とか、そういう、あ〜〜……!」

ペリーヌ「お、落ち着いてくださいな!」
     「追い詰めるつもりは本当になかったんですわ!」

ペリーヌ「それに、なんとなくわかりましたから……!」

あおい「」

ペリーヌ(あっ……つい、分かったと言ってしまいましたわ)

あおい「〜〜〜」
    「……っ」

あおい「……へ、変、ですよね、こんなの」

ペリーヌ「変?」

あおい「……あかねちゃんは、誰にでも優しくって」
    「誰にでも、笑顔を向けてくれて……」

あおい「私は、その中の……その中の一人でしかないのに」

あおい「私だけが、あかねちゃんの特別だ、って勘違いしてるんです」
    「……そもそも、私も、あかねちゃんも、女の子で」

あおい「……おかしいことだって、わかってるんです」

あおい「でも、あかねちゃんと会うと……ドキドキして」
    「笑顔を見ると、私まで笑顔になっちゃって」

あおい「……こんなの、独りよがりでしか、ないのに」

ペリーヌ「……」

あおい「って、私ったら……今日初めて会った人に、なんてことを言ってるんでしょうね」
    「ごめんなさい……」

ペリーヌ「いえ、わたくしも、おかしなことを聞いてしまいましたから……」
     「……それに、その」

ペリーヌ「わたくしも、二葉さんの気持ちは、分からないわけでもありませんわ」

あおい「……へ?」

ペリーヌ「……わたくしにも、想い人がいますの」

ペリーヌ「その方も、女性ですわ」

あおい「そ、そうなんですか……?」

ペリーヌ「えぇ……美しく、それでいて殿方に負けず劣らずの気概、たくましさを持っている」
     「素晴らしい方ですの」

ペリーヌ「最初は、単にわたくしのお父様とその後ろ姿を重ねていたのかもしれません」
     「……でも、今は違いますわ」

ペリーヌ「あの方に支えられ、助けられ、守られて、空を飛んでいるうちに」
     「わたくしも、はっきりと……あの方を支え、助け、守りたいと思うようになりました」

ペリーヌ「もしかしたら、この“守られている”という感覚は勘違いなのかもしれません」
     「でも、このわたくしの気持ちは……勘違いなどでありませんわ」

ペリーヌ「正真正銘、本当の気持ちなんですの」

あおい「……ペリーヌさん」

ペリーヌ「それに、わたくしは、そのことをおかしいとは思いませんわ」

ペリーヌ「人が、魅力的なものに惹かれるのは、当然のことですもの」

ペリーヌ「そうは、思いませんこと?」

あおい「……ふふっ」
    「そうかも、しれませんね」

ペリーヌ「でしょう?」

あおい「……えへへ」
    「なんだか、ペリーヌさんに話を聞いてもらったら、楽になりました」

ペリーヌ「あら、外の空気を吸いに、バルコニーへ出たのではなくて?」

あおい「あっ……えへへ」

ペリーヌ「ふふ、まぁ、わたくしも人のことは言えませんけど」
     「さて、体が冷えてしまいますわね」

ペリーヌ「そろそろ、お部屋に戻りませんと」

あおい「はい、そうですね!」

ペリーヌ「あ、先ほどのお話は、秘密ですわよ?」

あおい「秘密ですか?」

ペリーヌ「えぇ。 誰にもこのことは言っていませんの」

あおい「あっ……はい!」
    「……私の事も、秘密にしていてくださいね」

ペリーヌ「えぇ、勿論ですわ」

ペリーヌ「約束を守ることも、ノブレス・オブリージュですからね」

あおい「ノブレス……?」

ペリーヌ「“貴族の義務”ですわね」

ペリーヌ「もともとは“貴族たる者、身分にふさわしい振る舞いをしなければならぬ”」
     「という意味のガリアのことわざですわ」

あおい「……そうなんですか」

ペリーヌ「えぇ」
     「……それでは、二葉さん、おやすみなさい」

ペリーヌ「これからしばらく、ご迷惑をかけるとは思いますけれど」
     「よろしくお願いいたしますわ」

あおい「はい、こちらこそ、よろしくお願いします!」
    「おやすみなさい、ペリーヌさん」

...ギィ

...バタン

あおい「……」

あおい「……ふふ」

あおい「……ノブレス・オブリージュかぁ」

              <続く>

——————————2日後・未明・ブルーアイランド近海

...ゴォォン

...ゴォオン


...オォォォン


...

...


...

——————————同時刻・地震観測室


「……伊豆大島近海にて地震発生」


「震源地、北緯34.749、東経139.698」


「マグニチュードは——」


「震度は——」


「——津波の恐れ無し」


「示現エンジンへの影響は無し」

——————————

ペリーヌ「きゃっ!」

エイラ「ウワ! ……な、ナンダ?」
    「今すげー揺れなかったカ?」

ペリーヌ「え、えぇ……一体なんでしょうか……」

宮藤「……んん、うぅ、もう、どうしたんですか……?」

エイラ「い、いや、今っ、なんか揺れたような気がしなかったカ?」

宮藤「……」
   「あぁ、地震だと思いますよ……」

ペリーヌ「なんですって!? ど、どうしましょう……」

宮藤「大丈夫ですよ……」モゾ

エイラ「お、おい」

宮藤「扶桑は地震なんてしょっちゅうですから……」

ペリーヌ「み、宮藤さん!? ちょっと、なに寝ようとしてるんですの!?」

エイラ「ま、まだ揺れてないカ!?」

ペリーヌ「きゃ、きゃぁあ……!」

——————————明け方

ペリーヌ「け、結局……眠れませんでしたわ」

エイラ「……スヤ」

ペリーヌ「エイラさんは……寝ていますわね」
     「……はぁ」

ペリーヌ「……」

ペリーヌ「……あ」

ペリーヌ(また、つい窓の外を見てしまいましたわ)

ペリーヌ(……窓の外を見ても、居るわけは……ありませんのに)

ペリーヌ(結局、わたくしたちがこの時代に来てから2日が経ちましたが)

ペリーヌ(有力な情報は得られぬまま……)

ペリーヌ(……)

ペリーヌ(……どうすれば、良いのかしら……)

——————————同時刻・ブルーアイランド管理局

「……ふぁ……」

「……んん〜」

「……ん?」

「あの……」

「どうした?」

「ブルーアイランド近海に、何かの反応が……」

「っ……! まさか、アローン!?」

「いえ、アローンとは違う反応ですが……」

「そ、そう……」

「どうしましょう?」

「そうね……一応、その反応があった所に偵察部隊を送りましょう」

「はい、わかりました」

偵察部隊「……アローンでは無いのですよね?」

「あぁ、まぁそのようだが」

偵察部隊「そうですか……」

「どうした、怖いのか」

偵察部隊「いえ、そんなことは!」

「はは、まぁ無理もないさ」
「アローンの前では我々も無力だったからな」
「ただやられるがままと言うのは恐ろしいことだよ」

偵察部隊「……はい」

「で、そちらの様子はどうだ?」

偵察部隊「はい、特に変わった点は無いようですが」

「そうか……ん?」

「この地点、昨日地震があった所のようだな」

偵察部隊「なんですか、もう」
      「そんなこと言ってビビらせないでくださいよ」

「ははは、すまんすまん」

偵察部隊「まったく……ん?」
      「う、うわっ……な、なんだ……!?」

「ん? どうした? 今度はまさか君が驚かそうと……」


ザザ---....


「お、おい、どうした!? 応答しろ! おい!!」

「僚機は…… なんだ!? 反応が次々と消えていく……!」

「きっ、緊急事態だ!」

「パイロットの安否は!」

「映像は! 映像はまだか!?」

「え、映像、出ます!」


「こ、これは……!」

「黒い、キューブのように見えますが……」

「アローンか!?」

「ですがアローンの反応とは異なっていますし……」

「と、とにかく局長に連絡だ!」

——————————二葉邸・ダイニングルーム

宮藤「……私たちが来てから、2日経っちゃいましたね」

エイラ「結局、情報はナシ……」
    「……いい加減、滅入るゾ」

ペリーヌ「……そう、ですわね」

あおい「……」

エイラ「……今日は、どうするンダ?」
    「博士んトコでも行くか?」

宮藤「行ける場所は行ってしまいましたからね」
   「……私たちが流れ着いたところも、何の変哲もない海岸でしたし」

ペリーヌ「……一色博士に頼るしかない、と言うのはもどかしいですわね」

ピピピッ!

あおい「……あっ!」

ペリーヌ「どうかなさいました? 二葉さん」

あおい「い、一色博士から連絡が……」

ペリーヌ「一色博士から……?」

宮藤「何か、有力な情報が見つかったんでしょうか!」

あおい「取りあえず出ますね」

あおい「はい、あおいです」

健次郎『おぉ、あおい君か!』
    『大変じゃ! すぐにわしの家に来てくれ!』

健次郎『そこにいるであろう嬢ちゃんたちも連れてな!』

あおい「え? い、いったいどうしたんですか……?」

宮藤「や、やっぱり!」

エイラ「帰る方法が見つかったのか!?」

健次郎『いや、そうではない……まだ、正確なことは分かっていないが』

健次郎『アローンが、現れたようなんじゃ!』

あおい「えっ!?」

ペリーヌ「なんですって……!?」

健次郎『と、とにかく詳しい話はわしの家に来てから話そう』
    『急いで来てくれ!』

あおい「分かりました! すぐに向かいます!」

——————————一色家

健次郎「……ンン」

健次郎「……ンー」

あおい「一色博士!」

健次郎「おぉ、来たな! 嬢ちゃんたちも……!」

ペリーヌ「一体、何事ですの?」
     「詳しく教えてくださるかしら」

健次郎「あ、あぁ……」
    「大まかには、さっき言った通りじゃ」

健次郎「ブルーアイランド付近に、アローンのようなものが現れた」

ペリーヌ「……アローンのようなもの?」

あおい「アローンではないんですか?」

健次郎「いや、見た目がアローンのようではあるが……」
    「反応が、アローンとは異なるんじゃ」

健次郎「アローン特有の波長が、普通なら発せられるはずなんじゃが」
    「それを探知することはなかった」

健次郎「それ以外にも、変わった特徴がある」

エイラ「変わった特徴? なんだヨ、ソレ」

健次郎「……今までに出現した、アローンは示現エンジンを破壊しようとしていた」
    「進行方向も、示現エンジンのある方向に進む傾向があった」

健次郎「じゃが、予測によれば、進行方向は示現エンジンではなく」
    「市街地方面……人口の多い方へと進んでいるようなんじゃ」

宮藤「えっ、ということは、そのアローンの目的は……」

健次郎「うむ、示現エンジンでなく、人や、町なのかもしれん」
    「勿論、何か他の方法で示現エンジンを狙っているのかもしれんが」

あおい「今、アローンは何処に?」

健次郎「大島近くの海上じゃ」
    「進行速度が比較的遅めなのが救いじゃのう」

健次郎「……ン〜」
    「これが、そのアローンの姿じゃ」

あおい「……黒い立方体の形をしていますね」
    「赤い線が、見えます」

ペリーヌ「……っ!?」

エイラ「お、オイ……」

宮藤「ペリーヌさん、もしかしてコレは……」

ペリーヌ「……この、黒く鈍い輝き」
     「まがまがしい、赤い線」

ペリーヌ「……ネウロイ……!」

健次郎「な、何じゃと!?」
    「これが、ネウロイというものか……!?」

ペリーヌ「えぇ、わたくしたちが戦ってきたネウロイと同じタイプですわ」
     「大きさは、それほど大きくはないようですが」

健次郎「しかし……いや、もしこれがアローンでは無く」
    「ネウロイだとしたら、この進行方向、反応の違いにも合点がいく……」

健次郎「だが、なぜネウロイが今、急に現れたんじゃ……!?」

ペリーヌ「と、とにかく早急にネウロイを倒さなければなりませんわ」
     「ネウロイ達の狙いは、侵攻、侵略……!」

ペリーヌ「示現エンジンだけが対象ではないとしても、このままでは被害が広まってしまいますわ……!」

健次郎「うむ、そうじゃな」
    「実は、君らが来る前に、あかね、わかば君、ひまわり君には先に出撃してもらっている」

健次郎「あおい君、君も続いて出撃してくれ!」

あおい「わかりました!」

宮藤「わ、私たちも出撃します!」

健次郎「……嬢ちゃんらもか?」

ペリーヌ「えぇ、勿論ですわ」
     「この数日間ではありますが、お世話になっておりますし」

エイラ「このネウロイの出現が、私たちの呼ばれた理由かもしれないシナ」

宮藤「あ、そっか……!」
   「じゃあ、このネウロイを倒せば……!」

エイラ「……帰れるかもナ」

健次郎「……うむ、確かに」
    「それに、ネウロイとの戦闘経験がある嬢ちゃんらが行ってくれるのは心強い」

健次郎「出撃を頼めるか?」

ペリーヌ「えぇ!」

宮藤「はい!」

エイラ「ホーイ」


エイラ「……って、肝心のストライカーは何処ダヨ」

宮藤「一色博士のところに、置いたままでしたよね?」

健次郎「フッフッフ……君らのストライカーユニットは」
    「ここじゃあ!」ポチ

ウィィン...


エイラ「……エッ」


ガコォォン...!


宮藤「に、庭から滑走路が伸びていきますよ!」

ペリーヌ「こ、これって……」

健次郎「昨日嬢ちゃんらに」
    「ストライカーユニットが普段置かれているハンガーの話を聞いたじゃろう」

健次郎「それをもとに作ってみたんじゃ!」

エイラ「……オイオイ、1日しか経ってないゾ……」

宮藤「そ、それにすごい再現度です……!」

健次郎「……まぁ」
    「もともと滑走路はあったんじゃがな……それにちょちょいと改良を加えたんじゃ」

ペリーヌ「お……驚いている暇はありませんわ!」
     「お二人とも、出撃しますわよ!」

宮藤「あっ、はい!」

エイラ「お、オウ」

健次郎「そこに、最新鋭の銃火器を置いておいた!」
    「攻撃にはそれを使ってくれい!」

健次郎「あと、インカムがあるじゃろう! それを付けてくれぃ!」
    「何か変わったことがあれば連絡するんじゃぞ!」

あおい「出現場所へは私が案内します!」

ペリーヌ「わかりましたわ!」

ペリーヌ「それでは、ブループルミエール、出ます!」

健次郎「よし、出撃じゃあぁぁ!」


ヴヴンッ!


健次郎「……」

健次郎「ストライカーユニットもいいのう」

健次郎「わしも、作ってみようかの」

——————————

あおい「……」

ペリーヌ「……」

あおい「……ペリーヌさんは、何度も」
    「こうやって出撃してきたんですよね」

あおい「その、ネウロイを倒すために」

ペリーヌ「えぇ、そうですわね」

あおい「……怖く、ありませんでしたか?」

ペリーヌ「……最初は勿論、怖かったですわ」

ペリーヌ「相手は、得体のしれない者達」
     「ウィッチの中で、恐怖を感じないで出撃する人は少ないでしょうね」

ペリーヌ「でも、守らなければ」
     「相手を倒さなければ」

ペリーヌ「家族を、仲間を、故郷をも……失ってしまいますわ」
     「その方が、よほど恐ろしいことですわ」

ペリーヌ「だから、我々は飛ぶ」
     「……飛ばなければ、ならないんですわ」

あおい「……」
    「そう、ですよね……!」

あおい「——っ、そろそろ、ネウロイと接触します!」

オォォン...!


宮藤「あっ、あれですね……!」

エイラ「久々に見た感じダナ」
    「……特に、変わった感じは無いナ」

あおい「あかねちゃん! わかばちゃん! ひまわりちゃん!」

あかね「あっ、あおいちゃん!」

わかば「っ、と……来たわね!」

ひまわり「……ちょっと、遅い」
     「あっ……“ネイキッドコライダー”!」

わかば「きゃっ……! っと、ごめん、ひまわりちゃん!」

ひまわり「もう、よそ見しないで、わかば!」

ペリーヌ「状況はどうですの!?」

わかば「先ほどから、攻撃はしているんですけれど」
    「硬くて、傷がつかないんです!」

ひまわり「……傷がついても、すぐ修復される」
     「それにっ……!」

ひまわり「……結構、攻撃、重い……!」

ペリーヌ「……見た目通りですわね」

ペリーヌ「皆さん、聞いてください」
     「ネウロイには赤いコアがあります」

ペリーヌ「それを破壊することで、ネウロイを撃破することができますわ」

ペリーヌ「ネウロイは、高い修復力を持っています」
     「また、瘴気を発生させておりますので、シールドを持っていない方が近づくのは危険ですわ」

あかね「えっ! そ、そうだったんだ!」

わかば「通りで、近づいたときに力が入らないと思った……」

ペリーヌ「ですので、一色さん、二葉さん、三枝さん、四宮さんは後方支援をお願いしますわ!」
     「宮藤さん、エイラさん、我々は接近して射撃しますわよ!」

エイラ「了解、ナンダナ」

宮藤「はいっ! 了解しました!」

ペリーヌ(……この速度)
     (あちらに見える市街地までは、あと数キロと言ったところでしょうか)

ペリーヌ(早く、撃破しなければ……!)

オォォォン...!


ペリーヌ「はぁぁぁ———ッ!!」ババババッ

エイラ「ほい、ほいっと……」
    「そんなのろい攻撃じゃ、当たらないゾ」タタタッ、タタタン!

宮藤「やぁーっ!」ダダダダダッ、ダダダン!


あかね「す、すごーい……!」

わかば「あの動き方、撃ち方」

ひまわり「……本物は、違う」

あおい「……」
    「……ペリーヌさん」


オォォン...!


ペリーヌ(執拗に、わたくしたちを狙ってきますわね)
     (やはり、ウィッチだということを分かっているのかしら)

ペリーヌ「……それにしても」


オォォォーン!!


ペリーヌ「……回復速度が以上に早い」

ペリーヌ「わたくしたちが、魔力の付与されていない武器を使用していることを考えても」

ペリーヌ「この速度は異常に早すぎますわ……!」

エイラ「クッソォー、なかなか削れないぞ、コイツ!」

宮藤「すぐ修復しちゃいます……!」

ペリーヌ(なぜ……!?)

ペリーヌ(考えて、考えるのよ、ピエレッテ)

ペリーヌ(……回復速度が異常に速いのは、なぜ……)

健次郎『ペリーヌ君、ペリーヌ君、聞こえるか!』

ペリーヌ「っ! 一色博士!」
     「どうかなされましたか!?」

健次郎『そのネウロイに関連して、いろいろなことを調べていたんじゃが』
    『いくつか分かったことがある』

ペリーヌ「どのようなことが……っ!」
     「……分かったんですの?」

健次郎『まず、そのネウロイの出現場所じゃ』
    『示現エネルギーのある、ブルーアイランド近くの海底に大きな穴があることが分かった』

健次郎『そこは、今日未明に起きた地震の震源であり』
    『最初にネウロイの反応を探知した場所の近くである』

健次郎『そこが、きっと今君らが戦っているネウロイの出現場所じゃろう』

健次郎『次に、その場所はどんな場所か、と言うことじゃ』

ペリーヌ「そこは、どんな場所なんですの?」

健次郎『示現エンジンで作られたエネルギーが、世界中に送られるということは、話したな』

ペリーヌ「えぇ、前にお聞きしましたわ」バババッ、ババババッ

健次郎『ネウロイが出現した穴、その近くには』
    『エネルギーを送るためのパイプが通っているんじゃ』

ペリーヌ「……パイプが?」

健次郎『あぁ』
    『さらに、先ほどパイプを調べたところ、一部ではあるがヒビが入っていたのじゃ』

健次郎『そこから、エネルギーの一部が、漏れ出していた可能性がある……!』

ペリーヌ「……!」
     「ということはつまり……」

健次郎『あぁ』

健次郎『そのネウロイは、何らかの理由で今まで海底で眠っていた』
    『そんな時、パイプから漏れだしたエネルギーを受け、目覚めたのじゃ』

ペリーヌ「……」

ペリーヌ「なるほど……だから……!」
     「異様に回復するのが早いと思ったら、それが原因でしたのね……!」

健次郎『何? 回復するのが早い?』

ペリーヌ「えぇ……もともと修復能力が高いのが、ネウロイの特徴ですけれど」
     「このネウロイは、それ以上に修復速度が早いんですの」

ペリーヌ「それほど、苦戦する相手ではないと思っていましたけれど……」

健次郎『ならば、威力の高い兵器で一気に破壊すれば良いのじゃな?』

ペリーヌ「そうですわね」

ペリーヌ「ですが、通常の兵器では倒すことはかなり困難ですわ」
     「わたくし達の武器は、魔力が付加されており」

ペリーヌ「それもあって、ネウロイに対抗することができたんですわ」
     「魔力には、ネウロイの修復能力を減衰させる能力がありますから……」

健次郎『……』

健次郎『そうか』

健次郎『ペリーヌ君、市街地まではあとどれくらいで到着しそうじゃ』

ペリーヌ「……遅く見積もっても、15分程度ですわ」

健次郎『……』
    『わかった、ならばペリーヌ君達は、ネウロイを攻撃しつつ』

健次郎『町への被害を最小限に抑えてくれ』

ペリーヌ「ど、どうするつもりですの?」

健次郎『そのネウロイへの対抗手段を持って行く』

ペリーヌ「えっ、対抗手段って……そんなものがありますの!?」

健次郎『ある! わしの頭の中にな!』
    『とにかく、何とか持ちこたえてくれっ……!』

健次郎『必ず、持って行く!』

ペリーヌ「……っ」
     「わかりましたわ!」

健次郎『頼んだぞ!』

ウォォォォン...


ペリーヌ「宮藤さん!」

宮藤「はい! ……っと!」

ペリーヌ「貴女は、攻撃をやめて」
     「シールドで町や船に被害が拡がらないようにしていただけますか!?」

宮藤「えっ、攻撃をやめていいんですか?」

ペリーヌ「えぇ、守ることだけに徹して!」

宮藤「は、はい、わかりました!」

ペリーヌ「エイラさんは、わたくしと一緒に攻撃を続けますわよ!」
     「町に光線が向けられそうになったら、宮藤さんたちに伝えていただけるかしら!?」

エイラ「おう、任せとケ!」

ペリーヌ「一色さん、二葉さん、三枝さん、四宮さんも」
     「町への被害を最小限に食いとどめられるように、努めてくださいな!」

あかね「あっ、はい! わかりましたっ!」

あおい「はい!」

わかば「任せてください!」

ひまわり「……了解です」

ペリーヌ「くっ……! 攻撃対象は、こっちですわよ!」バババッ、ババッ

エイラ「……ひまわり、そこよりちょっと右ダナ」ダダッ

ひまわり「はいっ……!」

エイラ「わかばは、もうちょっと前ダ」ダダダン、ダダダン

わかば「はい! ……くっ!」
    「ネイキッドブレードでも、弾くくらいなら、できるッ!」ヴンッ!

あかね「ぐっ……! このビームつよい……!」
    「でも、ネイキッドラングでなんとか弾けるんだから……!」

オォォン!

あかね「……って、まだ来るのっ!?」
    「う、うわぁぁ!」

あおい「あ、あかねちゃんっ!」

宮藤「はぁっ!! シールド、展開!」

あかね「ぁぁ……あれ?」

宮藤「大丈夫? あかねちゃん」

あおい「……ほ、よかった」

あかね「ありがとうございます! 芳佳さん!」

—————13分経過

ウォォォン...!


ペリーヌ「くっ、もう市街地まで来てしまいましたわ……!」
     「皆さん、今まで以上に気を引き締めていきますわよ!」

ペリーヌ(……とはいっても、体力はそろそろ限界……!)
     (ここで、強力な一撃が来たら、まずいですわ……!)

ペリーヌ(一色博士、早くしてくださいな……!)


ヴヴ————ン


ペリーヌ「……!?」

あおい「きゃっ、戦闘機……!?」
    「何故こんなところに……!」

健次郎『ペリーヌ君!』

ペリーヌ「一色博士!? まさか、今のは……!」

健次郎『あぁ、わしじゃ! もっとも、運転しているのはわしじゃないがな!』

みずは『天城みずはです!』

健次郎『持ってきたぞ、例の物を!』

ペリーヌ「! 完成したんですのね!」

健次郎『あぁ! なんとかな!』
    『戦闘機の下部から、受け取ってくれい!』

健次郎『みずは君、ペリーヌ君にぶつかるんじゃないぞ!』

みずは『分かっていますよ、それくらい!』


ヴヴーンッ!


健次郎『——よし、今じゃ!』

ペリーヌ「はいっ……!」
     「……って、これは……! 重い……!」

健次郎『最新鋭の対物ライフルじゃ!』

ペリーヌ「しかし、これも普通の兵器では……!?」

健次郎『チッチッチ、甘いぞペリーヌ君』
    『君らに見せてもらったストライカーユニットの魔力の運用方法を分析し』

健次郎『なんとなーくじゃが運用理論を解明した』
    『それに基づいて作られた、ストライカーライフルなんじゃ!』

ペリーヌ「ストライカー、ライフル……?」

健次郎『君らが魔力を開放することで、一時的にではあるが、そのライフルに魔力を帯びさせることができる』
    『さらに、それに使われている弾も特別製じゃ!』

健次郎『弾に魔力を込めるための工夫を付け加えた!』
    『その弾にも、魔力を帯びさせることができるのじゃ!』

健次郎『まぁ、魔力の塊を打ち出すことのできる魔法のライフルってことじゃな』
    『君の固有の魔法、トネールと組み合わさればきっと最強じゃ!』

ペリーヌ「……すごい……!」

健次郎『本当にすごいのは、魔力の運用理論を考えた芳佳君の父親じゃ』
    『真剣になって研究しても、しっかりとしたことはほんの一部しか分からなかったからな』

健次郎『そんなことより、ネウロイじゃ!』
    『そのライフルは、きっと強力な魔力には耐えきれん』

健次郎『弾も、短時間では一発つくるのが限界じゃった』

健次郎『チャンスは、一度きりじゃ!』
    『頼んだぞ、ペリーヌ君!』

ペリーヌ「……わかりましたわ!」

—————

ペリーヌ「——ということですわ」

宮藤「なるほど……じゃあ、私がペリーヌさんの前に立って」
   「攻撃を防いでいればいいんですね」

エイラ「それで、私はペリーヌに指示をする……と」

ペリーヌ「狙撃に秀でているリーネさんがいない今」
     「頼りになるのは貴女の未来予知能力ですわ」

エイラ「あぁ、分かった」
    「任せとけヨナ」

ペリーヌ「お願いしますわよ、お二人とも」
     「皆さんも、援護、おねがいいたしますわ!」


オォォォン...!

オォォン...!!


ペリーヌ「……来ますわよ、宮藤さん!」

宮藤「はいっ……!」
   「……てん、かいっ!」

ペリーヌ「……ッ」

ペリーヌ(わたくしの銃弾に、この世界の命運がかかっている)

ペリーヌ(……外すわけにはいきませんわ)

エイラ「……」

エイラ「……もうちょっと上ダ」

ペリーヌ「……」

エイラ「……右」

ペリーヌ「……」

エイラ「……アト、3秒ダ」

ペリーヌ「……ハァ……」

ペリーヌ「……ッ!!」

エイラ「今ダ!!」

ペリーヌ「トネー、ルッ!!!」


ドォォンッッ————!!

ペリーヌ「くっ……!」
     (なんて反動ですの……!?)

宮藤「うわっ……! いたた……!」

エイラ「こっちにまで電撃が来てるゾ!」


あかね「うわぁ! まぶしっ!!」

わかば「なんて威力なの……!」

ひまわり「……か、髪が静電気でぼさぼさ……!」

あおい「……っ」


—————ゥンッ!


ドンッ!!

ペリーヌ「……ど、どうなりました……!?」

エイラ「まぁ、間違いなくど真ん中……ッ!」

宮藤「……ああっ!」

ペリーヌ「そ、そんな……!!」


わかば「真ん中に、当たってる!」

ひまわり「でも、コアに……」
     「あと少しだけ届いてない!」

あかね「コアが見えてるのにっ!」


ペリーヌ「それほどまでに、装甲が硬いなんて……!」

宮藤「ま、不味いですよ! もう回復し始めちゃってます!」

エイラ「ど、どうすんダ!!」


あおい「……」

あおい「……っ」

あおい「……っ!!」

あかね「あっ、あおいちゃん!」

ペリーヌ「!」

宮藤「あおいちゃんが……!」

ペリーヌ「二葉さん、近づいては危険ですわ!」
     「まだ、その一帯には魔力と瘴気が……!」

あおい「ペリーヌさん」

あおい「ペリーヌさん、言ってましたよね」

ペリーヌ「え?」

あおい「故郷とか、友達とか、家族を失うほうが、怖いって」

あおい「守られるんじゃなくて、守れる人になりたいって」

あおい「……私も、そう思いました」

あおい「ペリーヌさんの話を聞いてそう思えるようになったんです」

ペリーヌ「二葉さん……」

あおい「私も、守られるだけじゃなくて、守る人になりたい」

あおい「だから、私は!」

あおい「こんなところで、怖がってなんかられないんです!」

あおい「ネイキッド——」



あおい「——インパクトっ!!」



——————————
——————
————


あおい「——ん」

あおい「……うぅん」

あおい「……ここは」

ペリーヌ「……気付かれました?」

あおい「……ペリーヌさん」

ペリーヌ「もう、無茶なさりますわね」

ペリーヌ「どれほど、あの一撃に力を入れたんですの?」

あおい「……」

あおい「……ネウロイは」

ペリーヌ「……完全に消滅しましたわ」

あおい「……そっか……」
    「よかった……」

ペリーヌ「……貴女のおかげですわ、二葉さん」

ペリーヌ「すばらしいですわ」

あおい「……えへへ、ありがとうございます」
    「私にも、ノブレスオブリージュが果たせたかな……?」

ペリーヌ「えぇ、貴女も立派な貴族の一員ですわね?」

エイラ「……ニシシ」

ペリーヌ「……」

ペリーヌ「なんですの、エイラさん」

エイラ「残念だったナ」
    「少佐にお姫様抱っこしてもらうはずが」

エイラ「初めてが未来で出会ったヤツで」
    「しかも抱っこする側ッテ」

あおい「……あっ」

ペリーヌ「な、なんてこと言いますのっ!?」
     「それに、お姫様抱っこは初めてじゃありませんわ」

ペリーヌ「貴女と違って、何度もされたことがありますのよ!?」

宮藤「ヘー!」
   「誰にですか!?」

ペリーヌ「……」

ペリーヌ「……お父様にですけど」

エイラ「ヘェェェ」

ペリーヌ「なっ、なんですのその顔はぁぁぁっ!!」

あおい「……くすっ」
    「あはははっ!」

健次郎『ははは、よくやったぞぉ、二人とも!』

ペリーヌ「あっ、一色博士……」

健次郎『みごとな射撃! そして見事な追撃じゃった!」
    『あっぱれじゃ! 勿論、二人以外もな!』

ペリーヌ「……ありがとうございますわ」

あおい「……ありがとうございます」

健次郎『やはり、君ら3人がこの時代に来たのは、このためだったのかもな』

健次郎『あのような、魔力がなければ敵わない敵に』
    『君ら無しで張り合えたとは思えんわい……』

エイラ「マァナ」

宮藤「えへへ……」

健次郎『本当——感謝してい——ぞ——』
    『ん、なん——無線——』

エイラ「ン? ナンダ?」

ペリーヌ「無線が、聞こえにくく——」


あかね「あっ、あれ……!」

ペリーヌ「あっ……あれは……!」
     「わたくし達がであったメビウスの輪……!」

エイラ「——! コイツ、よくも——!」
    「……なんて、言いたかったケド」

宮藤「もし、この世界を守るために、私たちが送り込まれたのなら」
   「そんなこと、言えませんよね?」

ペリーヌ「……そうですわね」


キィン...


あおい「あっ……」

ペリーヌ「……光が……」

エイラ「! 光の先に、何か見えるゾ!」

宮藤「あれは……! 501の基地ですよ!」
   「私たち、帰れるんですよ! きっと!」

ペリーヌ「……やっと、帰れるんですのね……」

ペリーヌ「私たちの、時代へ……!」

あおい「……」

ペリーヌ「……あっ」

ペリーヌ「……」

あおい「……お別れ、みたいですね」

ペリーヌ「……そうですわね」


あかね「皆さん、本当に、ありがとうございました!」
    「……えへへ、少しの間でしたけど、楽しかったです」

宮藤「私も、楽しかったよ!」
   「……あの、ハンバーグ、おいしかったって、ももちゃんに伝えてね」

あかね「わかりましたっ!」

わかば「私も、短い間でしたけど……」
    「色々、お話聞けて楽しかったです」

エイラ「……次、もし会うときがあったら」
    「私に一太刀入れられるようにしとけヨナー」

わかば「もっ、勿論です! 未来予知には負けませんっ!」

ひまわり「……ありがとうございました」

宮藤「ぱそこん、だっけ? すごく面白かったよ!」

エイラ「ただ、あの示現エンジンの熱い説明は、ほどほどにしといたほうがイイゾ……」

ひまわり「……まだ、一部しか話せてないのに」

あおい「……」

ペリーヌ「……」

あおい「あの」

ペリーヌ「はい?」

あおい「……私、最初に出会ったときは、びっくりしました」

あおい「ずぅっと昔から、タイムスリップしてきた人と出会うなんて」
    「夢にも思ってませんでしたから」

ペリーヌ「わたくしも、こんな未来にくるなんて、思いもしませんでしたわ」

あおい「……でも、出会えて」
    「こんな短い間でも、一緒に過ごせて……ペリーヌさんに会えて」

あおい「本当に、良かったって、思ってます」

ペリーヌ「……えぇ、そうですわね」
     「未来で、初めて会って、初めて話した方が、二葉さんで、良かった」

ペリーヌ「……かけがえのない時間を頂けて……感謝していますわ」

ペリーヌ「……って」

ペリーヌ「もう、何、泣いていますの?」

あおい「だ、って……せっかく、仲良く……なれたのに」
    「……もう、お別れ、だなんて」

ペリーヌ「……もう、泣かないでくださいまし」
     「わたくしまで、泣いてしまうじゃありませんの……」

あおい「……ひっ、えっ……えくっ」

ペリーヌ「もう……!」

ギュッ

ペリーヌ「……泣き止んで、くださいな」

あおい「……ふぁ、い……」

ペリーヌ「……笑顔で、ね」

ペリーヌ「笑顔で、お別れしましょう?」

あおい「……ふぁい……!」

ペリーヌ「……っ……グス」

あおい「ひっ……ぐ」

ペリーヌ「……二葉、さん」

あおい「……はい……」

ペリーヌ「……黒騎さんに、負けないように、ね」

あおい「……っ!」
    「なんで、それを……」

ペリーヌ「……初日」
     「一色さんが、黒騎さんと話しているときの、貴女の顔を見て、何となくわかったんですの」

ペリーヌ「……黒騎さんも、魅力的かもしれないけれど」
     「貴女も、十分、魅力的ですわ」

ペリーヌ「……だから、大丈夫」
     「自信を、持って行くんですのよ?」

あおい「……は、はぃ……!」

あおい「……ペリーヌさんも……!」

ペリーヌ「えぇ、想いが伝えられるように……」
     「……立派になりますわ」

——

ペリーヌ「……それじゃあ」

あおい「……」ゴシ
    「……はいっ!」

あかね「さようならっ!」

宮藤「みんな、さようなら!」

わかば「さようなら!」

ひまわり「……ばいばい」

エイラ「じゃあナ」


ヴヴンッ

ヴヴン

ヴ....

...

あおい「……」

あおい「……いっちゃった」

あおい「……」

わかば「……」

ひまわり「……」

あかね「……」

わかば「……じゃあ、帰ろっか」

ひまわり「……うん」

あかね「……あおいちゃん」

あおい「……」

あかね「帰ろう?」

あおい「……うんっ」

あおい「……帰ろう、あかねちゃん」


あおい「……さようなら」
    「芳佳さん、エイラさん」

あおい「……ペリーヌさん」

——————————
———————
————

————数日後・大島・二葉邸

あおい「……ふぁ」

あおい「……」

あおい「……んー」


あおい「ん?」

あおい「……なんだろう……」

あおい「新聞の間」

あおい「……何か、挟まってる」

あおい「……」ペラ

あおい「……写真……?」

あおい「すごい……いつの写真だろう……」

あおい「……日付」

あおい「あ、裏に日付が書いてある」

あおい「……19……」

あおい「……1948……?」

あおい「……誰の写真かな」



あおい「あっ———



あおい「……ふふ」


あおい「……よしっ!」


あおい「私も、頑張ろう!」



———坂本美緒中佐、ペリーヌ・クロステルマン少佐

ガリア、クロステルマン邸にて————


     <終わり>

ほぼ100レス
もはや短編ではない

そしてあおい×ペリーヌじゃなくてすいません
ペリ美緒、あおあかですいません

でも楽しかったっす

規制されたので帰ってきました。

また何か考えます。

いまさらですが
クロスもの書いてから今までの間に、VIPで二本ほど書きました

しかし、最近モチベーション()が上がらず全く思いつきません
考えなければ、という気持ちがあるのかなと思います

そこで、このスレはHTML依頼を出して、今後は単発で書こうかと思います
勿論、リクエストしていただいたものは、のちのち書いていくつもりです
リクエストされたものを書く場合は酉付きでスレ立てします

全レスするとしておきながら中途半端に終わるのもどうかと思うのですが
なんかクロスで良い気持ちになったのでキリが良いっちゃ良いのかなと

百合短編でとか言っておきながら、百合なのかすら定かでない話を
いくつか書いてしまったのが少し心残りです

おつきあいしていただいた方、リクエストしてくださった方には感謝してもしきれません
皆様方の支援があって、1スレと410を消化することができました
ありがとうございました

特にクロスなんかは未知の領域で、リクがなければ書かなかったろうと思います
いい経験ができました

本当にありがとうございました
またどこかの駄作百合SSでお会いできたら。

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