【習作】Two persons' hope ~15年前の真実~(牙狼×仮面ライダーウィザード) (51)

どうも、おはようございます。

これは牙狼と仮面ライダーウィザードのクロスオーバー小説です。

至らない部分も多いかと思いますが、温かい感想、厳しい感想お待ちしてます。



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どっちの牙狼か期待

黄金騎士

第1話 歯車

魔法の指輪、ウィザードリング。
今を生きる魔法使いは、その輝きを両手に宿し、絶望を希望に変える……そして俺【操馬晴人】はファントムから人間を守る、最後の希望……なんちって。

瞬平「晴人さんちょっと!」

俺を呼ぶ声がする、自己紹介はこの辺にして、ショータイムと行こうじゃないか。

瞬平「晴人さん、早く!」

晴人「ちょっと待てって!今、トイレなんだから!」

______________________________________

今日、東京都内にある骨董品店屋「面影堂」で誕生日会が行われようとしていた。

凛子ちゃんこと、【大門凛子】の21歳の誕生日なのだ。刑事として頑張っている凛子ちゃんに喜んでもらおうと、「面影堂」に関係ある人間がお金を出し合い、特製の巨大ケーキを発注しておいたのだが……。

晴人「ちょっ、ナニこれ!? ……瞬平、まさかサイズ発注間違えたのか?……」

俺はケーキを発注しておいてくれと頼んだ【奈良瞬平】を問い詰める。人が良く、優しい奴なのだが、如何せん、おっちょこちょいの慌てん坊なので、疑うななら彼しかいない。

瞬平「違いますよ! これは完全にケーキ屋のミスです!」

全力で否定する瞬平を疑いの目で見ていた俺だったが、間違いであろうとなかろうと、発注して届いてしまったものはしょうがない。今は、この馬鹿でかいサイズのケーキをどうするかを考えなければ……。

晴人「うぇ~……どうすんのこれ?」

その大きさは著名な芸能人のウェディングケーキよりも数倍大きく、この場にいる人間だけでは食べきれない……と思う……。

瞬平「食べるしかないんじゃ……」

まぁ考えるだけ時間の無駄だったのかもしれない……瞬平の言うとおり、食べる以外に選択肢は残されていないし、他に良い案があれば、聞かせてほしいものだ。この数メートル先の場所には凜子ちゃんや他の皆が待っている……そこに行けば後戻りはできない。

瞬平「晴人さん、思ったんですけど、なんで僕達ビビッてるんでしょう?」

晴人「えっ?」

瞬平「だって、凜子さんだって小さいのより、大きい方が喜ぶと思うんですけど……」

その時、俺は「確かに!」と思った。何故、気がつかなかったのか……そりゃ誰だって、できるだけ大きなケーキが出てきた方が嬉しいに決まっている。

となれば、寧ろ、躊躇う必要はないというわけだ。
俺と瞬平は出すのを躊躇していたが、ケーキが崩れないようにゆっくりと運ぶ。

晴人・瞬平『おめでとう凜子ちゃん!ハッピーバースデー!!』

俺と瞬平の声に合わせて、他の皆がクラッカーを鳴らすと凛子ちゃんは目を見開いて、驚く姿を見るに、何が起こったのか分かっていないようだ。

誕生会をやることを凛子ちゃんには内緒にしていた……凛子ちゃんには驚いてほしかったから。
サプライズは大成功かと思いきや……。

凛子「皆、ありがとう!……でも、ケーキデカすぎない?」

誰しもが思っていたこと……「ケーキがデカすぎる」……凛子ちゃんの一言に皆シ~ンとなり、嫌な静寂が「面影堂」を包む。
そんな空気を一変させたのが、「面影堂」の店主【輪島繁】こと輪島のおっちゃんだ。

輪島「まぁいいじゃないか!大きい方が食べごたえあるんだし」

『だよな!』『そうそう!』など瞬平や俺が必死に盛り上げると、空気が一変し、楽しい雰囲気に戻り、一安心と言うところか……さすがはおっちゃん。

この良い流れに続けとばかりに【コヨミ】がローソクをケーキに突き刺すと、ソファーから立ち上がる。

コヨミ「じゃあ、電気消してくる」

コヨミは半年前にファントムを多く産み出したサバトという儀式の生き残りで、その影響か、俺の指輪から定期的に魔翌力を与えなければ、生きていけない身体になってしまっている。
そして、最近は魔翌力が切れる時間が次第に早くなっているが、俺や皆に心配かけたくないがために、無理して、明るく振る舞っているのが逆に俺の胸を痛い程、締め付ける。
そんなコヨミを俺はどんなことをしても、助けてやりたいし、魔翌力を供給しなくても生きていける身体に戻してやりたいと思っている。

瞬平「じゃあ、凛子さん! ローソクの火を消しちゃってください!」

真っ暗な部屋の中に21本の炎がユラユラと浮かび上がる。しかしその炎は一瞬のうちに吹き消された……凛子の口から発せられる息によって。
この肺活量はさすが警察官といったところか……21本のローソクの火を全部纏めて消すって何気に凄いと思うと思うんだが。

そして、フィナーレは「面影堂」の全メンバーによるハッピーバースデーの大合唱のはずだったが、合唱は途中で中断された。それは「面影堂」扉が開いたからだ。




真由「こんばんは……ってどうしたんですか!? この大きなケーキ……」

ひょこっと顔を出したのはブレザーにツインテールのお下げ髪、【稲森真由】だった。
今時の女子高生に見えるが、真由ちゃんも俺と同じ魔法使い。
この年齢でファントムに家族を亡き者にされ人生を狂わされただけでなく、姉のミサはファントムの幹部【メデューサ】として生まれ変わり、戦わなけれいけないという過酷な宿命を背負っている。
それでも、前を向いて生きている姿を見て、本当に強い子だなと感じる。

真由「あ…、すいません……私ったらこんな時に…あの、また明日出直しますから」

周囲を一度見渡すと、状況を悟ったのか、真由ちゃんは慌てて立ち去ろうとした。
なんて良い子なのだろう……俺は真由ちゃんを引き留める。
だって、一人でも多い方が盛り上がるし、ケーキを食べきる戦力が1人でも欲しい……なにより、真由ちゃんはもう「面影堂」の一員、俺達の仲間なんだから。

晴人「そんなこといわずに、真由ちゃんも一緒に食べていきなよ」

真由「え……、でも悪いですし……」

躊躇う真由ちゃんを見かね、俺と凛子ちゃんと輪島のおっちゃんが半ば強引にソファーに座らせる。
でも、真由ちゃんの顔は笑顔……それは作り笑いなどではなく、自然な心からの笑み。
戦士にも休息は必要、今日は思いっきり燥いで、楽しむ。
そういう日が1日くらいあっても、神様は文句いわないだろう。

仕切り直しとばかりに、瞬平がケーキを六人分にする。
だが俺は気づいてしまった……一人分多い。
本来、コヨミは魔翌力さえ与えていれば、食事を摂らなくても平気だからである。
だから朝食、昼食、夜食は食べていないのだが……これは驚きだ。

晴人「え? コヨミもケーキ食べるの?」

コヨミ「食べちゃダメなの? そんな決まりがあるの?」

これを聞いて、俺は何も反論できなかった。
食事は摂らないけど、ケーキは食べたい……コヨミも今時の女の子ってことか。


だが、そんなやり取りの横で身の毛もよだつ儀式が行われていた。
その儀式を見た、全員の顔が青ざめていく……真由ちゃんに至っては、唖然として、食べかけていたケーキを皿の上に落として、固まっている。

古の魔法使いである【仁藤攻介】がケーキにマヨネーズを「これでもかっ!」というくらい、かけまくっていたからだ。
仁藤は極度のマヨラーでどんな料理にでもマヨネーズかける味覚音痴なのだ。
だとしても、まさかケーキにかけるとは予想外……ある意味、これはサバトよりも怖ろしい儀式かもしれない。

仁藤「遠慮すんな晴人、ほらっ! お前もかけろ!」

仁藤は俺のケーキに無理やりマヨネーズをかけようとするが、全力でそれを拒否。
ケーキにマヨネーズなんて食えたもんじゃないし、死んでも嫌だ。

晴人「やめろ! 俺はいいからっ!」

仁藤「ナンだよ……おいしいのに」

仁藤はその後も、ケーキにマヨネーズをかける美味しさを誰にも理解されなかったせいか若干不貞腐れて、ブツブツと愚痴を吐きながら、ケーキを頬張る。

そんな中、凛子ちゃんの顔から次第に笑顔が消えて、ため息を多くつくようになっていく。

晴人「凛子ちゃん、どうしたの?」

凛子「この日になると15年前のこと思い出しちゃって……」

晴人「15年前? 何があったのか聞かせてよ。ここにいる皆は凜子ちゃんの味方なんだから」

凛子「うん……15年前ね……」



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今から15年前の今日、その事件は起こった……。

凛子ちゃんが6歳の時、友達だった沙織ちゃんが白昼の神社でかくれんぼをしている最中、こつ然と姿を消した。
それはまさに「神隠し」。
凛子ちゃんにとって沙織ちゃんは毎日、一緒に遊ぶ仲で、凛子ちゃんにとっては本当の姉のような存在だったようだ。

最初は誘拐の線はないと思われていたのだが、凜子ちゃんは見ていたのだ……人間とは思えぬ、何とも形容しがたいおぞましい顔をした男が沙織ちゃんを連れ去った。
その発言から警察は誘拐と事故の両方で捜査を開始。
神社の裏は険しい山となっており、そこを中心に警察や町の人、総出で捜索したが見つからず、その事件は迷宮入りとなった。

今も凛子ちゃんは後悔している……あそこで自分に力があれば……怖がらずに沙織ちゃんを助けていれば……。

凛子ちゃんが刑事になったのは、警察官だった父親に憧れたのもあるが、その事件を解決することも一つの要因であった。
必ず犯人を捕まえて、沙織ちゃんを助けたい……どんなに生きてる可能性が薄くとも、凛子ちゃんは沙織ちゃんを助けるために捜査をするだろう。

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その話を俺達は、黙って聞く事しかできなかった。
凛子ちゃんの悲壮感漂う覚悟は、決意は誰にも止められないだろう。

「ごめん!……誕生日にする話じゃないよね……さっ! 皆、もっと食べよう!」


その後は、楽しく?……時間は過ぎていった。
この時間がずっと続けばいいのに……そう思ったのは俺だけではなかったはず。
明日からは、またファントムとの厳しい戦いが待ち受けているだろう。

誕生会も終わりかけたその時、面影堂のドアが開く。

「夜遅くに悪いな……予約をしていた者だが」

現れたのはモデルのようなスラッとした長身の男。
白いロングコートが印象的で端正な顔立ちをしている。

この男には隙がない……修羅場を潜り抜けている匂いがする……。

輪島「あのぉ……申し訳ありませんが、どなた様でしょうか?」

鋼牙「冴島鋼牙という者だが、御月カオルで予約をしているはずだ」

輪島「予約を頂いた、御月様は女性の方ですが、どういったご関係でしょうか?」

鋼牙「家族のようなものだ」

輪島「そう申されましても、なにか、御月様と関係があるという証明書がないと商品をお渡しする事はできません。それに営業時間を過ぎておりましてですね……お手数ですが、出直してもらえないでしょうか……」

鋼牙「分かった……明日にでもまた来る」

鋼牙と名乗る男はクルリと後ろを向くと、足取り早く、「面影堂」を後にする。
それが、魔法使いと魔戒騎士との最初の出会いだった。
鋼牙との出会いは15年前の真実とこれから起こる、戦いの歯車が廻り始めたことを意味していたのだった。

次回予告(声=コヨミ)

その出会いは偶然か、或いは必然か……。

自らを希望と名乗るその男は味方か、それとも敵か……。

次回『鋼牙』

そして今、金色の希望が解き放たれる。

>>2
作者です
牙狼は鋼牙狼で約束の地の後の設定

>>3
それがあなたの宿命

あぁ……魔翌力が切れる…今日はここまで

メール欄にsagaって入れると魔力が魔翌力に成らないよ

お兄さん許して

>>10
ありがとう…この作品を救えるのはあなただけ

>>11
何を許せばいいの?

期待
設定的には親和性の高そうなクロスだね


ファントムって設定的にホラーと魔女(まどマギ)を足して2で割った感じだったから何度か妄想したことがあって期待してる

第2話 鋼牙

俺の名は【冴島鋼牙】……遥か古より、魔戒騎士の最高位、黄金騎士ガロの鎧を継承する由緒正しき魔戒騎士の家系に産まれた。
今は亡き、先代のガロで父親の【冴島大河】の言葉……「強くなれ、守りしものとなれ」……その言葉を胸に俺は戦い続けてきた。
そして数多の強敵との戦い、打ち倒してきた黄金騎士ガロの存在は伝説となった。
何度も傷つき、挫けそうになっても、戦い続けてこれたのは俺には傍にはかけがえのない、存在があったからに他ならない。
【御月カオル】……戦いだけに生きていた俺の希望となってくれた女性だ。

俺が約束の地から戻ると、ホラーの活動は影を潜めていた……これからはカオルに恩を返してやりたい……いつも戦いに出かけていた俺を心配しつつも、笑顔で送り出してくれた。
だが、俺は魔戒騎士……ホラーの数は少なくなったとはいえ、全滅したわけではなく、俺が管轄のホラーは俺が倒さなければならない

それでも親友にして好敵手の魔戒騎士【涼邑零】はいってくれた。

零「もう十分すぎるくらい鋼牙は戦ったろ? ホラーも少なくなったし、お前がいなくてもなんとかなる……だから少し休め。大事な奴の傍に暫くいてやれよ」

その言葉がありがたかった……零になら任せられる。
零の実力は折り紙つきで俺と零が真剣に命の奪い合いをしたら、どちらが勝つかは分からない。
そんな強い奴がいたからこそ、俺は暫く魔戒騎士としての活動を休止しすることができた。

今日はカオルと二人で、「面影堂」に出向く予定となっている。
カオルの父【御月由児】が描いた、絵画が「面影堂」に売られていると聞いたからである。

鋼牙「そろそろ、行くか」

カオル「うん!」

そして昼過ぎに冴島邸を出た俺とカオルは予約の時間まで、少し余裕があるので噴水のある公園のベンチに腰掛ける。
こうして、カオルと二人で何気ない日常を送れるなんて少し前までは想像していなかった。
また、いつ、邪悪なことを企む者が現れるか分からない……そして、その戦いで俺が命を落とすかもしれない。
だから僅かな時間でも、今は二人の時間を大切にしたい。

しかし、その時間を邪魔する魔の手によってすぐに壊される。

???「御月カオルさんだね?」

???「だね?」

俺は咄嗟に立ち上がり、カオルを背後に避難させる。




嫌な感じがした……見た目は爽やかな短髪のスポーツマンに見えるが、異様な物の怪の気配……そう、ホラーと同じ、感じの邪悪な陰我。それに声をかけてきた二人の若者、目は焦点が合っておらず、犬のように舌を出し、不気味な笑顔を浮かべている。

俺はライターを取り出し、若者二人の目の前で着火させる。これこそホラーと普通の人間を見分ける方法……ホラーに憑依した人間に魔導火を翳せば、ホラーはすぐに邪悪な本性を現す。このライターから燃え上がる緑色の炎こそ魔導火。

しかし、いくら魔導火を翳しても反応がない……本当ならとっくに正体を現していいはずだが……。

鋼牙「ザルバ、ホラーじゃないのか?」

【ザルバ】……共に激戦を駆け抜けてきた俺の友であり、相棒で早いとこが喋る指輪。ザルバはホラーと人間を区別することができる……魔導火は誤魔化せても、ザルバは欺けないはず。

ザルバ「鋼牙、コイツらはホラーじゃない……全く別物だぜ?まぁ……人間というわけでもなさそうだがな」

ホラーじゃないとなると、カオルを狙うのは何故なのか……。

???「お兄さん、邪魔だよ」

???「邪魔だよ」

そして若い男二人は犬のような遠吠えをすると、全身に全身に長い暗緑色の毛を生やし、丸まった長い尾を持つ牛並みに大きな犬に変形する。犬といっても、腕には大きな斧を持ち、二足歩行のようだが……。

鋼牙「貴様ら、何者だ!?」

クーシー兄「ボクらはクーシー……ファントムさ」

クーシー弟「ファントムさ」

鋼牙「ファントム?」

クーシーは、スコットランドに伝わる犬の妖精という言い伝えだが……どこからどう見ても妖精ではなく、化け物にしか見えないのだが……。それにファントムとはいったい、なんなんだ……カオルを襲おうとしているのは間違いないが……。

俺はこのファントムからカオルを守る為、コートに隠し持っている魔戒剣に手を伸ばした。
魔戒剣を手に取るということは新しい戦いが始まることを意味し、再び戦い漬けの日々が続き、カオルには辛い思いをさせてしまうことは間違いないだろう。
だが、迷ってる暇はない……俺以外に戦える奴はいないのだから……。
それにしても魔戒騎士相手に喧嘩を売ろうなんて

俺が鞘から剣を引き抜こうしたその時だった……。ファントムたちの身体が小爆発を起こし、仰け反る。

晴人「子犬ちゃん、俺が遊んでやるよ」

クーシー兄「指輪の魔法使いめ……」

クーシー弟「魔法使いめ……」

器用にクルクルと銃を回しながら、こちらに駆けてくる男……どこかで見覚えがある。どこだったか……俺の記憶が走馬灯のように蘇ってくる。

それは昨日のこと……骨董品屋で出会った青年。言葉は交わさなかったが、一瞬だけ目が合った……その時、ただ者ではないと魔戒騎士の勘がそう告げた。

鋼牙「お前は、骨董品屋の……」

晴人「また会ったね。話は後だ、逃げて」

(シャバドゥビタッチヘンシーン!)
(シャバドゥビタッチヘンシーン!)

「変身!!」

(フレイム、プリーズ)
(ヒー! ヒー! ヒーヒーヒー!)

青年はベルトに手を翳す……赤い魔法陣が出現し、それをくぐると、ダイヤモンドの輝きを有した赤いフェイスマスクとボディに黒いマントがヒラヒラと舞う。
一言で表現するなら……魔法使いだろうか……。
いずれにせよ、俺のあの時の勘は正しかったということだ。

ウィザード「さあ、ショータイムだ!凛子ちゃん、瞬平!その人達を頼む!」

俺とカオルは凛子、瞬平というこれも骨董品屋にいたメンツに引き連れられ、その場を後にした。
それにしても、あの骨董品屋はファントムとなにか関係があるのだろうか……ここまできたら、ないという方が有りえないというものか。
丁度いい……絵画を買い取りに行くのと同時にファントムについて探ってみることにしよう。











まだ続きますが、一応ここまで投稿しました。

>>13
ウィザードは仮面ライダー版牙狼とか言われてるの見たことがあるのでクロスさせてみました。

>>14
それは私も思います。
結構、このクロスしっくりくるんじゃないでしょうか。

牙狼が旧魔戒語でアレって意味だからそれだけで一度は妄想するわー

インフィニティスタイルは魔戒騎士っぽいけど設定は響鬼じゃないかと思う

SIDE鋼牙

俺とカオルは予約していた骨董品屋である「面影堂」に連れてこられる。
扉が開くと、前にも会ったことがある顔が出迎えてくれた。

輪島「いらっ……しゃい?……そういうことね……今、お茶出しますので」

この店主であろう中年の男性は、一瞬戸惑ったように見えたが、どうやら俺達に何が起こったのか、理解したらしい。
俺とカオルはソファーに座らされると、

瞬平「僕は奈良瞬平、こちらが刑事の凛子さん、あっちがコヨミさん、で奥でお茶を準備してるのが店主の輪島さんです」

鋼牙「そんなことはどうでもいい……それより単刀直入に聞くが、あの化け物はなんだ? なぜ、カオルを襲った?」

この店にいる連中の名前など、どうでもいいいことで、俺にとってはあの化け物の正体や目的が知りたい。

瞬平「落ち着いて聞いてくださいね?」

カオルを襲ったのはゲートだからで、敵はファントム。
人間を絶望させることを目的としており、さっきの晴人という男はファントムから人の希望を守る魔法使い……か……。
到底信じられる話ではないが、あの光景を目撃してしまった以上、信じざる得ない。
ことの流れを大分、理解した時、「面影堂」の扉が開く……晴人が帰って来たのだ。

凛子「晴人くん、ファントムは!?」

晴人「逃げられた。もうちょっとだったんだけどね」

悔しそうに語る晴人の顔に俺は強い意志を感じた。
この男が俺はどんな過去があるのか知らないが、本当に希望を守りたい……そう感じた。
言葉で表現するのは難しいが、一見、おちゃらけているように見えるが、なぜか信用できるというか、不思議な安心感を持っている。

カオル「あのぉ……ところで絵画の方は?……」

輪島「そうでした!……ただいま持ってきますので」

輪島は慌てて、奥にある部屋から、絵画を取り出し、カオルに手渡す。
その絵画をカオルはどこか懐かしげに見つめる。

カオル「これ、父が書いた作品の一つなんです……」

コヨミ「金色の狼?……」

カオル「ガロって言います……私の最後の希望なんです」

晴人「ガロ?」

鋼牙「そう……ガロは旧魔界語で希望という意味だ」

晴人「ふ~ん……ところで、カオルさんを家まで送って行きたいんだけど、借りてもいいかな?」

鋼牙「ああ……カオルを頼む」

カオル「えっ!?……鋼牙?」

カオルは俺が守ってくれると思っていたのだろう……唖然とした表情を浮かべている。

鋼牙「カオル、先に俺は帰るからゆっくりしていけ」

晴人「ゲートじゃないから大丈夫だとは思うけど、一応ここにいた方がいいんじゃない?」

コヨミ「晴人の言う通りよ……ここにいた方が安全だし」

鋼牙「俺のことは心配いらない。‘ああいう連中‘の扱いには慣れているからな……カオルを頼んだ」

俺はカオルを置き、「面影堂」の外に出るとザルバが喋りかける。

ザルバ「おいおい鋼牙、魔法使いだかなんだか知らないが、信用していいのか?」

鋼牙「敵はあいつらの専門分野だ……安心しろ、もしカオルになにかあれば、俺が助ける」

俺達魔戒騎士がホラーを狩るプロなら、魔法使いはファントムを狩るプロなのだろう。
ファントムが俺にとっては未知の敵である以上、専門家である晴人達に任せるのが得策。
それにもし、俺がでしゃばれば、あいつらのプライドを傷つけてしまう。
それに俺は晴人という男の真っ直ぐな目を信じた……あいつならきっと守ってくれるだろうと思う
ただ、指を咥えて見ているわけではない……カオルになにかあった時の為に気づかれないようにカオル達を尾行することにした。

SIDE晴人

鋼牙が帰って数時間後、俺、凜子ちゃん、瞬平の三人でカオルさんを警護しながら、カオルさんの住む家を目指す。
常人ならファントムと言う異形の化け物に狙われていると思っただけで、少なからず、怖がるのだが、カオルさんにはそういった様子がない。 疑問に感じたので俺は素直に質問してみる。

晴人「カオルさん、怖くないの?」

カオル「鋼牙が任せた人達だから、私は晴人さん達を信じます」

晴人「そっか……鋼牙って人を凄く信頼してるんだね」

その後、数十分、街中を歩いた後、薄暗い森に入っていくのだが、東京都内にこんなところがあったのか……。

その薄暗い森で二人の男が行く手を阻む……ファントムだ。

クーシー兄「見つけたよ」

クーシー弟「見つけたよ」

帰宅するのを狙うのは予想通りだ……一気に片づける!。

晴人「凜子ちゃん、瞬平! カオルさんを頼んだ」

(シャバドゥビタッチヘンシーン!)
(シャバドゥビタッチヘンシーン!)

「変身!!!」

(フレイム、プリーズ)
(ヒー! ヒー! ヒーヒーヒー!)

「さあ、ショータイムだ!」

ビースト「ちょぉぉぉぉぉっと待った! ファントム発見!」

どこから、ともなく現れたのはビーストに変身した仁藤。

ウィザード「いいとこに来たな。丁度、二匹いるから手伝えよ」

ビースト「言われなくてもやるっつーの! さぁ、ランチタイムだ!」

俺はウィザーソードガンを剣型のソードモードに切り替えクーシー兄に向かっていく。

今日、クーシーと対決して分かった事、クーシーは基本、二匹で滑るようなに移動するスピードを活かしたコンビネーション技でこそ真価を発揮するファントムだということ……もう一匹は仁藤が相手をしている為、強さは半減……単体相手なら苦戦するような相手じゃない。

剣を巧みに操りクーシー逆にを翻弄する……そして俺が使う武術、エクストリーム・マーシャル・アーツは空手やカポエラ等を始めとした様々な武術が融合した踊るように戦う武術。

クーシーの攻撃を避け、いなし、それでいて隙あらば切り込んでいくその姿は正しく、蝶のように舞い蜂のように刺すが如く。クーシーは体から火花を散らしながら後退を余儀なくされていく……弱い……正直、今まで戦ってきたファントムの中でも屈指の弱さではないだろうか……。

俺は、ダメ押しに出る。
左手の指輪を赤の丸い指輪から緑の逆三角形の指輪へと嵌め変え、シフトレバーを操作し、ハンドオーサーを左に傾け手を翳す。

(ハリケーン、プリーズ)

俺が手を頭上に向けると、そこに出現したのは緑の風を纏った魔方陣。

(フー、フー、フーフーフーフー!)

そこに立つのは風のエレメントを身に宿すウィザードの俊敏形態ハリケーンスタイル。
ハリケーンウィザードリングで変身するその姿は緑の逆三角形のマスクと体には緑の装飾。
手に持っていたウィザーソードガンを逆手に持ち変える。

クーシーは口から吹雪を放つが、俺はは風を纏い空を駆け、吹雪をもろともせずに、上空からクーシーを斬りつける。その後も、切っては離れ、切っては離れのヒット&アウェイ戦法で敵を翻弄する。


そして、どんな華麗なショーも終焉の時を迎える……今がその時だ!。

「フィナーレだ!」


(キャモナ、スラッシュ、シェイクハンズ!)
(キャモナ、スラッシュ、シェイクハンズ!)

「ハリケーン、スラッシュストライク!」

(フー、フー、フー!)
(フー、フー、フー!)

ウィザーソードガンの刀身がハリケーンの属性である風を纏う、ウィザードの必殺技、『スラッシュストライク』。
纏った風を刀に込め、振るうことで斬撃として放つち、それはクーシーに直撃し、クーシーは断末魔の悲鳴をあげながら、四散していく。

ウィザード「ふぃ~」

ビースト「ごっつぁん!!……それにしても今回のファントムは手応えなかったな!」

ファントムを倒した、俺達は油断していた……一息ついたのが、命取り。

急に全身が締め付けられ、俺とビーストは宙吊りにされる。
こんな芸当ができるのはファントムの中でも屈指の実力を持っているメデューサしかいない。

ミサ「クーシー達は囮……貴方達を誘き出す為のね」

ミサの髪の毛は大蛇に変形し、完全に手足を拘束され、動く事が出来ず、手も足も出ないという言葉が当てはまる状況であった。

ミサ「これで貴方達は終わり……ゆっくりと絞め殺して、あ・げ・る」

締め付ける力にさらに拍車がかかる。

苦しい……意識がどんどん遠のいていく。

これでは勝ち目はない……なんとかしなければと焦る程、余計な体力を使い、苦しくなる悪循環に陥っていた。

……もうダメなのか……だが俺達の命運は尽きていなかった。

突如として、俺達の身体はミサの締め付けから解放された。

ウィザード「助かった……サンキュー!」

俺達の窮地を救ったのは、鋼牙の剣だった。

鋼牙の剣がミサと俺達を繋ぐ大蛇を切り裂いたのだ。

そして、息があがりきった俺達に飄々と鋼牙は言い放つ。

鋼牙「気にするな、カオルを守ってもらった礼だ。この女の相手は俺がする」

ビースト「おい! あんた、バカなこと考えんな! 相手はファントムなんだぞ!?」

ウィザード「仁藤、待て! あの男なら、心配ない。ここはお手並み拝見といこう」

ビースト「はぁ!? 晴人! 正気か!? 魔法使いでもない普通の人間がファントムの相手なんてできるわけねぇーだろ!」

ウィザード「とりあえず、落ち着け」

俺は今にも、飛び出しそうなビーストを身体を張って制止した。
ビーストの言い分は、最もだ。
魔法使いでもない、なんの魔翌力も持たない普通の人間ではファントムに掠り傷一つ負わせることはできないし、相手になるわけがない……ただし、その言い分は鋼牙が普通の一般人だったらの話だ。
初めて、見た時から、思っていたこと……何気なく立っているように見えるが、隙がない。
普通の人間だとは、思えなかった……あの鋭い目つきは、俺達と同じ、戦いに、修羅の道に身を置いている……もしくは置いていた者の目だ。

何より、俺は見て見たかった……「ああいう連中の扱いには慣れている」その言葉の意味を知りたかった。

ミサ「魔法使いでもない人間が相手をするだと?」

鋼牙「人間の力を見縊ると痛い目に遇うぞ」

ミサ「随分と自信があるようだけど…人間如きに負けるわけないでしょ?」

鋼牙「それはおもしろい。果たして、蛇が狼に勝てるかな」

ミサ「まぁいいわ……あなたに死の絶望を見せてあげる」

ミサは横髪を両手でサラッとかきあげると、頭部は口元が人間の女性と同じだが、眼にあたる部分がゴーグルのような形状で、蛇のような頭髪が生えてくる。。
最早、黒髪で美しい美少女の姿は邪悪で妖艶なファントム、メデューサに変わっている。
普通の人間なら、怪人態のメデューサの姿を見ただけで、絶望するか、腰を抜かすか、死への恐怖に打ちひしがれるだろう……普通の人間なら……。

メデューサ「グール、遊んであげなさい」

鬼のような風貌をした灰色の人間大ファントムがメデューサによって数多く、召喚される。

魔戒騎士として戦ってきた鋼牙に死への恐怖や絶望といった負の感情は持ち合わせてはいなかったのだろう。
この状況でも含み笑いをし、一歩前に出る。

グールは量産型のファントムで俺達などは簡単に倒せるのだが、それでも彼らは槍を武器に持ち、普通の人間では太刀打ち出来ない強さを誇る……しかし冴島鋼牙の前には無力であった。
しかし、実力が違った……格が違った……その実力差はまるで獅子と蟻。

鋼牙の剣が唸りをあげ、瞬く間にグールの群れを崩壊させていく。
グールの槍を一度たりとも、その身にも剣にも受けず、まさしく流れるような剣捌きだ。

グール隊は鋼牙の剣技の前に成すすべなく、一匹残らず、壊滅し、あれだけの数のグールと戦闘したのにもかかわらず、鋼牙は息ひとつきらしていない。
ここからが勝負だと、鋼牙本人も分かっていたのだろう……今まで以上に目つきが険しくなる。

鋼牙「晴人、よく見ておけ。金色の希望をな!」 

鋼牙が剣を頭上で振り上げ、円を描くと、太陽より、何倍も眩い光の円形が現れ、金色の鎧が次々と腕や足に装着されていく。
そして鋼牙の身体が全て、金色の鎧に包まれたとき、神々しくも鮮やかに輝く金色の狼の姿があった。
眼は緑にギラリと光り、腹を空かした獣が獲物と相対した時のような低く、攻撃的な唸り声を発する。
その姿は紛れもなく「面影堂」で鋼牙達に渡した絵画に書いてあった絵そのもの。
俺達はガロの鎧が放つ眩さに顔を背けた。

メデューサ「貴様……ナニモノだ!?」

ガロ「教えてやろう……我が名はガロ! 黄金騎士だ!」

ガロが一歩、前に歩く度に吹き上げるように金色の炎がうねりをあげる。
その金色の炎に共鳴するかのごとく、鋼牙の手にしていた剣がもう一段大きくなる。



メデューサ「黄金騎士だと!?……ファントムをナメるな!!」

ガロの鎧を無数の蛇が締め付ける……蛇の尾を模した長髪で相手を絡め取る、メデューサがよく使う戦法だが、ガロの鎧に巻き付いていたメデューサの髪がステーキを焼くかのようにジューという音がして、灰になり焼け落ちる。

メデューサ「これでも喰らえ!!」

無数の蛇で覆われた球状の光弾をガロに向けて放つが、ガロは防御するわけでもなく、避けるわけでもなく、ただ、その光弾を浴びながら、ゆっくりとメデューサに向かって歩を進める。
それでも、メデューサは光弾を放ち続けるが、ガロの歩みを止められない。

メデューサ「なっ!?……こんな、バカなことが!?……私の攻撃が通用しないだと!?」

さすがのメデューサも一歩後退する。

ガロ「この鎧を侮ってもらっては困るな……ガロの鎧はかつてこの鎧を纏い、戦った英霊達によって守られている! 貴様の攻撃など、ガロの鎧に傷一つつけることはできない!」

メデューサは得意の石化能力で近くにあった大型トラックを石化させ、ガロに放つが、その巨大なトラックをガロは右手の拳一つで粉々に粉々に粉砕してしまう。

ここまで要した時間は僅か約40秒……痺れをきらしたのか、メデューサは蛇が絡みついたような打撃武器として扱う形の杖「アロガント」で接近戦でガロに勝負を挑むが、それは、逆に自殺行為に近い。
しかし、メデューサは知らなすぎた……そして侮っていた……ガロが剣術を極め、その剣技を武器に数々の強敵を打ち破ってきたことを知り、警戒していれば、また違った結果になったかもしれないが……。

ガロの剣とアロガントが二度、交わる……そこから弾き一閃……メデューサの身体から火花が散る。

その後も、攻防一体で戦うガロに付け入る隙はなく、メデューサは終始苦戦を強いられた。

劣勢のメデューサは杖から蛇を大量発生させ、ガロを強襲するが、それを全て、叩き斬られる。

メデューサもここまで、苦戦した相手は初めての経験だろう。
だが、いかにメデューサと言えど、今回の戦いでは、明らかに分が悪いと判断したのか、紫色の光に身を包むと、捨て台詞を吐き、退散した。

メデューサ「ここでやられるわけには……黄金騎士ガロ!……貴様の名前は覚えておくぞ! この私に恥をかかせてただで済むと思うな」

普通のファントムなら、怒りに身を任せて、戦闘を続け、返り討ちになるパターンの展開だが、そこはさすが計算高いメデューサだ。
不利な戦いと見るや、退散し、また現れる時は露骨な手段を使ってでも相手を苦しませる。
ガロは……鋼牙さんは想像以上に強かったが、もしメデューサがしっかり準備をして、再び再戦したら、今日のように圧倒はできるか分からない。
それは今日、メデューサと交戦した鋼牙さんが一番感じていることだろう……。

ビースト「おいおい……ウソだろ……幹部クラスのメデューサを圧倒するなんて……」

ウィザード「あんたも食えない奴だな……あんたくらい強ければ、俺達の助けがなくても守り切れたんじゃない?」

ガロの鎧が天に戻るように、身体から解除されて、鋼牙の顔が露わになる。

鋼牙「いや……カオルを守りきれたのはお前ら、魔法使いのおかげだ。礼を言う……これからも皆の希望であり続けろ」

そう告げると、鋼牙はその場を立ち去ろうとする。

そんな鋼牙を俺は呼び止めた。

ウィザード「あんた、俺達と一緒に戦う気はないか?」

ファントムから人間を救えるのは、魔法使いだけと思っていたが、それは間違いだったようだ。
今まで、知らなかった……俺達魔法使い以外にもファントムに対抗でき、希望になれる存在を。
もし鋼牙が手助けしてくれれば、今まで以上に希望を守れる可能性は増す。

鋼牙「ファントムはお前らの敵だ。俺は干渉しない。だが、お前らとはまたすぐに会える気がする……その時は共に戦おう」

鋼牙は去っていく……今度は呼び止めなかった。
それは俺も鋼牙と同じで、またすぐに会う予感がしてならなかったからだ。
この戦いは序章にすぎないことを、俺も鋼牙さんも薄々、感じ取っていた。

次回予告(声=コヨミ)

かつて彼らは、友であり、兄妹のような存在だった……。

そして二人の男女は再び、怪奇現象の多発する高校で巡り合う……。

次回『邂逅』

その再会は戦いを意味する……。




久しぶりの更新となってしまった……

>>19
敵の設定も牙狼と似てますし、凄く話は作りやすいですね。
なんせ、>>19さんの言うとおり牙狼もウィザードも「希望」が深くかかわってますからね。
ただ、鋼牙と晴人の希望の在り方や考え方って結構違うと思うんで、その辺を今後も上手く描ければいいと思ってます。
後、インフェニティは響鬼と牙狼どちらとも取れる感じですかね。

いいねー
今回と逆にウィザード勢がホラーと闘ったりする場面も出てくるかな?楽しみ

第3話 邂逅


SIDE真由

私は少し前までは普通の女子高生だった……魔法使いになって、ファントムと戦っている現在の状況が未だに信じられていない。

そもそも、私は魔法使いになりたかったわけじゃない……でも、魔法使いになる道を選んだのには理由がある。
それは私の人生を捻じ曲げたファントムに復讐する為だ。

幸か不幸か、私が海外留学に行っている間に起こった悲劇……姉の美沙ちゃんはメデューサに生まれ変わり、美沙ちゃんの皮を被ったファントムにパパとママは亡き者にされた。
故に、私から大好きな家族を奪ったメデューサだけは許すことはできない。
どんな卑怯な手を使ってでも、必ず仇はとると決めたのだ。
しかし、気持ちばかりが先行して実力が追いついてないのが現実。
私は魔翌力が特別優れているわけでもなく、晴人さんや仁藤さんみたいに実戦経験が豊富なわけでもない。
今は怒りと勢いで実力以上の戦いができているが、冷静に私とメデューサの戦闘能力を比べると、よくて互角、身体能力や魔翌力のスペックではメデューサに敵わない。
このままでは決定打がなく、いつか負けてしまう気がしてならない。

焦りが募り、時間ばかりが過ぎていく……今の私は学校の授業にも全く集中ができていなかった。

教師「稲森、授業中だぞ。集中しろ!」

真由「あっ……すいません……」

多香子「まさか道寺先生のこと考えてたりして?」

真由「そ、そんなんじゃないよ!」

教師「稲森、なにがそんなんじゃないんだ?」

真由「えっ? いや……その……すいません……」

友達の多香子が茶化してくるので、思わず声を荒げてしまったがそれが最後。
いきなり立ち上がった私を見て、クラス中が笑いの渦に巻き込まれる。

多香子の茶化しを全力で否定したが、あながち間違いではない。
私が授業に集中できない理由がもう一つある……少し前に道寺銀牙と言う男が教育実習生として、私の高校にやってきた。
高身長、長髪の美男子で、外国人の血が混ざっているようなハーフ顔、スポーツ万能で誰にでも優しく、博識。
さらに、言動はミステリアス……まるでマンガの世界から飛び出してきたようなイケメン実習生を女子高生達が放っておくはずがなく、たちまち、男は女子高生達の人気者となっていった。



そして私はその男の顔に見覚えがあった……それはまだ中学生だった頃まで遡る。
今では、海外留学を経験し、自分の殻を破れた私だが、中学生の頃はこんなに社交的ではなかった。
クラスでは内向的な性格の為、友達はできず、根暗と呼ばれ、バカにされていた。
でも家族に心配をかけまいと、よく友達と遊んでくると言いつつ、家の近くにある公園のブランコに座って、ただ一人黄昏れるのが日課となっていた時期があり、そんな時、あの男は現れた。

いきなり、私の乗っている横のブランコに座ると、クレープを幸せそうに食べつつ、男は私にクレープを差し出した。

???「君もクレープ食べる? このクレープ、スゲェ美味しいんだよ」

私はもちろん丁重に断った。
全身、黒い服を着て、チャラそうで、危ない感じがしたからだ……それに見ず知らずの人に食べ物を貰うなんてあの時の私には考えられなかった。

でも、あの人は翌日も、翌々日もその公園のブランコに座っていた。
野良犬を手懐けたり、クレープを食べた時の幸せそうな顔を見るに、悪い人に思えなかったのもあり、徐々に私は心を開いていった。
それでも、お互いが名前を知ったのは出会ってから、丁度1週間後。

???「そう言えば、君、名前は?」

真由「真由……」

零「へぇ~……じゃあ真由ちゃんだね! 俺は涼邑零、起立、気をつけ、礼!の零」

私はその例えに不覚にも笑ってしまった。
そこから零さんには悩み事を相談したりするほどになっていった。
でも、いつしかクラスでは私が零さんと付き合ってるなどと、根も葉もない噂を流され、バカにされた。
たまたま、クラスの誰かが、公園を通りかかったのだろう。

だから、零さんに

真由「零さん、もう私と会わない方がいいよ……」

零「なんで?」

真由「だって……」

私は別にバカにされようが、からかわれようが、別に良かったけど零さんに迷惑はかけたくなかった。
だから、そのとこを伝えたら、零さんは笑い転げながら私に言ってくれた。

零「なーんだ、そんなことか。俺達は友達なんだから、そんなこと気にすんなよ。」

真由「零さん……どうしてそんなに優しいんですか?」

零「俺、あんま小さいころから人と関わる事なくてさ、友達が欲しかったんだよね。だからこうして真由ちゃんが友達になってくれてスッゲェ嬉しいんだ。俺はなにがあっても真由ちゃんの味方だし、なにがあっても絶対守るよ!……それが友達ってもんだろ?」

その零さんの言葉一つ一つ、心に響いた……嬉しくて、涙を堪えきれない自分がいた。
家族以外でこんなに親切にされることなんてなかったから、免疫がなかったのだ。
初めてできた友達と同時に頼れる兄としても、零さんの存在は大きかった。

零さんと関わるうちに自信が出てきた私は自分の殻を破る為に海外留学に行きたいと思うようになるまでなっていた。
でも、踏ん切りがつかなかった……大好きな家族とバラバラになる気がしてならなかったから。

真由「あの……零さん。明日、相談したいことがあるんですけど、いいですか?」

零「もちろん!ここで待ってるよ……そうだ!これ持ってて!」

渡されたのは花で作られた小さなドリームキャッチャー。

真由「これは?」

零「お守り。これが、君を邪悪なものから守ってくれる」

真由「ありがとう……」

零「じゃあ、また明日」

それが零さんと交わした最後の会話だった。

翌日、その場に行ったら零さんはいなかった……どれだけ待っても、来ない……。

_____________________________________

また明日って言ったのに……友達だと思っていたのに……兄のように慕っていたのに裏切られた……私はそう感じた。
その後も、零さんは現れなかった……もう二度と会うことはないだろうそう思っていたが、目の前に涼邑零はいる。
でも、本人に問い詰めたが、人違いだと言い張っている。
……本当に零さんではなく、他人の空似なのか……しかし零さんだとしたらなんで、道寺銀牙と名前を変えているのか……謎は深まる。
それに、私の通う高校では怪奇現象が多発し、ちょっとしたブームになっていた。
例としては・誰もいないはずの音楽室からピアノの音が鳴り、血の雨が降る
     ・理科室にある生首の目が開く
     ・黒いローブを纏った死神が現れる
     ・開かずの扉を開けると、異次元に吸い込まれる
     ・鬼の顔をした老婆が家庭科室で包丁を研いでいる
     ・保健室で
など色々あるのだが、体験したと言う生徒は体調を崩したり、謎の死を遂げている。
起こり始めたのは道寺先生が来てからで、これは偶然だろうか……私の中に一つの疑念が生まれ、一つの悪い考えが私の頭の中をよぎる。
この怪奇現象にファントムが関わっているのではないか、もしかしたら道寺先生の正体は零さんが絶望して産み出したファントムなのではないかと疑念。
これから、道寺先生がファントム、そして怪奇現象となにか関係があるのか、これから深く探っていこうと思う。

今日はここまで…

>>29
ありがとう…
ウィザード勢がこれから魔戒騎士とかホラーとかと関わったりするから期待しててね…おやすみ

乙~

これは名作になる予感


斬鬼さんと兄さん…じゃなくて雷鳴騎士や白夜騎士、閃光騎士も出たりするかな…?

乙ー

邪美姐さんは出てくるのですか?

SIDE零


この高校にはホラーが潜んでいる。
数週間で、この高校から4人の生徒が、姿を消し、怪奇現象が起こると言う噂がっていた。

一連の怪奇現象はホラーが起こしているのだと察知した俺は、教育実習生【道寺銀牙】としてその高校に潜入することに成功した。
最初は涼邑零で潜入するはずだったが、計算外の出来事が起きた。
それは顔見知りがいたことだ。

シルヴァ「ゼロ、あの娘……」

潜入する高校の下見にうろついていた時、懐かしい顔を見つけた。

零「真由ちゃん……」

稲森真由……数年前に仲良くなった少女。

きっと俺を裏切り者だと思ってるに違いない。
なぜなら、俺は真由ちゃんとの約束を破ったからだ
別に俺だって破りたくて破ったわけではなく、あの時はホラーを狩る為、仕方なくその場を離れざる得なかった。

ホラーを退治して戻った時には、既に時遅し。
俺が戻ってから、真由ちゃんがあの公園に来ることは二度となかった。

そこから数日後、俺はあの公園のブランコに座り、一人でクレープを食べていた。

零「やっぱ、嫌われちゃったかな」

会えない事には謝ることも、釈明する事もできない。
それに、なにか悩み事があったように見えたから心配だ。

そんな時に真由ちゃんが俺の目の前を横切った。

零「真由ちゃん!?」

俺は真由ちゃんの正面にまわり、頭を下げ、謝罪する。

零「真由ちゃん、ホントにゴメン!……どうしても外せない用事が入っちゃってさ!」

美紗「私は姉の美紗ですけど、真由とはどう言う関係?」

零「真由ちゃんの……お姉さん?」

俺が真由ちゃんと思っていたのは、姉の美紗だった。
その後、事情を説明し、真由ちゃんが海外留学に行ったことを聞かされる。
多分、真由ちゃんは海外留学に行くか行かないか迷っていて、俺に相談しようと思ってたのだろう。
海外に行ってしまったとあらば、もう会う事はないかもしれない……でも、真由ちゃんが自分の殻を破って、留学を決意したことが俺にはとても嬉しかった。
最初、会った時は俺と目も合わせず、会話もまともにできないような極度の人見知りで引っ込み思案だった真由ちゃんからすれば、大きな成長だ。

もう二度と会うことはないと思っていた真由ちゃんが、目の前に、いる現実。
人生って本当に分からないものだとつくづく痛感する。
もし、俺が涼邑零の名で、真由ちゃんの目の前に現れたら、ほぼ100%問い詰めてくるに決まってる。
今回はホラーの討伐が目的であって、真由ちゃんを巻き込むわけにはいかない。
だから俺は道寺銀牙と名を変え、真由ちゃんが俺の顔を忘れてることに期待して、潜入したのだが、そう、甘くはなく、すぐさま、問い詰められてしまう。
まぁ……覚悟はしていたが……。

真由「零さん?……涼邑零さんですよね?」

零「え? それ誰? 自己紹介で言ったろ? 俺はしがない教育実習生の道寺銀牙だよ。 それより、早く行かないと授業始まるぞ」

その場は、なんとか乗り切ったが、真由ちゃんは俺が涼邑零だと絶対に疑ってる。
一刻も早くホラーを退治しないと、厄介なことになりそうな気がするが、俺はその後、真由ちゃんに尾行されている為、下手に動けない。
一度、注意はしたのだが、諦める気配はない。

シルヴァ「どうするの? あの娘、ずっとゼロについてきてるわよ?」

零「仕方ない……今夜、なんとしてもホラーを倒すよ。このまま、動かないわけにもいかないからな」

このままでは、犠牲者が増える一方で、真由ちゃんもいつ襲われるか分からない。
上手く巻いているので俺の家までは、真由ちゃんは突き止めてはいない。
そして、今日は日曜日で学校は休み……動くなら今しかない。

俺はその日の夜、校舎に忍び込み、調査を開始する。

零「シルヴァ、ホラーの気配は?」

シルヴァ「このホラー、学校、全体に邪気を蔓延させて居場所を突き止められないようにしてるわね」

零「やっぱり怪奇現象起こしてるのはホラーか」

シルヴァ「そうね……邪気が本物の悪霊を呼び寄せてるんだわ」

零「そのホラーを知ってるか?」

シルヴァ「こんな芸ができるホラーは、ゴーストだけ」

人の恐怖に歪んだ顔が最高の調味料と考えているホラーらしい。
それにしても、厄介なホラーだ……自分の正体を隠す為に、本物の幽霊を呼び寄せるなんて勘弁してほしい。
幸い魔戒剣は魔切りの効果もあるから、悪霊に襲われても大丈夫だとは思うのだが……。

いずれにせよ、シルヴァが探知できない以上は虱潰しに教室を調べる方法しかないわけだ。

零「この学校、無駄に広いから面倒なんだよなぁ……ホラーの方から仕掛けてくれば手間が省けるのに」

シルヴァ「ゼロ、グチグチ言っても、状況は変わらないわよ」

零「はいはい、分かってますよ」

が……調査を開始し始めて、数秒後、女性の悲鳴が響き渡る。
日曜日の深夜、1時……常識的に考えて、生徒などいないはずだが……。
しかし、肝試しとか面白半分でバカな事を考える奴がいてもおかしくない。
悲鳴が聞こえたのは、2階にある理科室。
目の前にある階段を駆け上がり、突き当りの廊下を左に曲がればすぐだ。

零「クッソ!……開かねぇ!」

なぜか、理科室の扉が開かない。
こうなれば、実力行使しかない……俺は扉を蹴り飛ばし、中に侵入する。

黒板はブラックホールのように渦を巻き、無数の手が、一人の女子生徒の腕を掴んでいる。

零「させるかぁ!」

俺は女子生徒の手を掴み、黒板の中に引き摺られないように踏ん張る。
しかし、まるで強力な掃除機みたいに俺たちの身体は引き摺りこまれそうになる。

真由「これは!?」

よりによって現れたのは真由ちゃんだった。

零「来ちゃダメだ!!」

真由ちゃんは俺の忠告を聞かず、俺たち目掛けて走り出した。
そして、俺の手を掴む。

だが、真由ちゃんの力が加わっても、状況は好転しない。
徐々に俺たちの身体は、黒板に呑み込まれていく。

零「真由ちゃん、手を離せ!このままだと、3人共呑み込まれちまう!」

真由「そんな事できるわけないじゃないですか!!」

そんな、必死の抵抗虚しく、俺たちはブラックホールに吸い込まれてしまうのだった。

次回予告(声=コヨミ)

魔戒騎士や法師達に忍び寄る魔の手……。

謎の魔戒法師の目的はいったいなんなのか……。

次回『法師』

今、恐るべき計画が動き出す……。

また随分と間隔が空いてしまった…亀更新で申し訳ないです

>>34
読んでくれて、ありがとう
今後もよろしくね

>>35
名作なんて怖れ多い…でも期待裏切らないように頑張らないとね

>>36
翼は主要人物として登場する予定です。
ワタルは今のとこ出番は多くないですが、登場させる予定です。

>>37
ありがとう……今後も応援してくれるとありがたい

>>38
次回、邪美出ます

更新乙
真由タソは零とくっつきフラグ立ってるね

頑張って

第4話 法師

SIDE鋼牙

俺は今、元老院にいる。

目の前には、実質、魔戒騎士と魔戒法師のトップであるグレスが険しい表情で高台から俺を見下ろす。

グレス「鋼牙、あなたに闇に堕ちた魔戒法師の討伐を命じます」

鋼牙「お言葉ですが、私でなくてもいいのでは?」

元老院に所属する魔戒騎士は俺以外にも手練れが大勢いる。
だから別に俺でなくても、いいのではないかと思えたのだ。
もう少し、カオルと時間を共有していたい……今までカオルに迷惑をかけた時間はこんな短時間では取り戻せない。

グレス「元老院の騎士達数人を派遣しましたが、誰一人として生きて帰った者はいないのです」

鋼牙「元老院に所属する騎士が一人の魔戒法師にやられたというのですか!?」

俺には信じられなかった……数人の魔戒騎士がたった一人の法師に返り討ちにされるその事実が。
決して、魔戒法師を舐めているわけではない。
ただ元老院に所属する騎士達は全員が名のある実力者達なわけで、それを返り討ちにすると言う事はかなりの強敵である。
 
グレス「はい……残念ながら……ですから、最強を誇る黄金騎士のあなたにお願いしたいのです」

俺に承諾する以外に選択肢はなかった。
これ以上、魔戒騎士の犠牲を増やすわけにはいかない。
しかし、カオルに申し訳ない気持ちでいっぱいだ……約束の地から戻ったら二人で旅行に行く約束をしていたのだが行けそうにない……。


俺は屋敷に帰ると、その事をカオルに告げる。
あんなに楽しみにしていたのだから、怒るだろうし悲しむだろう……。

カオル「そっか……分かった。 気を付けてね」

鋼牙「怒らないのか?」

カオル「だって、それが黄金騎士である鋼牙の宿命でしょ? 旅行は鋼牙が帰ってきてから行こうよ」

鋼牙「カオル……」

カオルは一つも嫌な顔をせずに、気丈に振る舞っている。
そんなカオルを見ていると、本当に申し訳なく思う。

カオル「でも一つだけ約束して? 絶対に無事で帰ってくるって」

鋼牙「あぁ。この件が終わったら必ず旅行に行こう……だから信じて待ってろ」

俺は相手がどんなに強かろうと、生きて帰らなければならない……カオルとの約束は必ず果たす。
そうと決まれば善は急げだ。
とっとと闇に堕ちたと言う魔戒法師を追わなければならないので、すぐにでも冴島邸を後にする。
冴島家に長年仕える執事の【倉橋ゴンザ】も見送りに来てくれた。

鋼牙「じゃあ、ゴンザ行ってくる」

ゴンザ「いってらっしゃいませ、鋼牙様……ご武運をお祈りしております」

鋼牙「あぁ。 俺がいない間、カオルの事は頼んだ」



睡魔が襲ってきたので今日はここまで……。
後、最近、よく「○○は出ますか?」と言う質問が多いので、SSWIKIを作っていただきました。
ですので登場キャラはそちらの方に記載してあるので、そちらを参考にしてね(登場キャラは増えることはあっても減ることはありません)。

>>43
美男美女でお似合いだと思うけど、カップルにするかどうかは決めてませんが、多分ないと思います(要望が多ければ検討しますけど)。
何故かと言うと、零には友達として、よき兄として、戦士の先輩として真由に接してる感じにしたいからです。

>>44
ありがとう…これからも応援してね

牙狼クロスとは珍しい…
あと sage じゃなくて saga ってメ欄に入れとくといいよ

ミサSIDE

私はアジトの近くの森林で、あの忌まわしい戦いを振り返っていた。

ミサ「絶対に許さない……黄金騎士……私を怒らせたことを後悔させてやる……」

こんな屈辱は初めてだ……上級ファントムである私が、手も足も出なかった……謎の鎧を纏っているとは言え、相手は人間。
黄金騎士ガロ……あいつさえいなければ、魔法使い共を駆逐できて、ゲートも新しいファントムを産み出していたはず。
私の怒りは頂点に達していたが、そう言う時に限って、一番会いたくない奴が現れる。
緑色の羽の付いた帽子を被り、肩にストールを羽織っており、さらにズボンの左側をたくし上げるという独特のファッションをしている。

そんな奴はこの世にあいつしか存在しない……【グレムリン】だ。
普段はソラと名乗っており、人間の心が残ったまま、ファントムに生まれ変わった珍しい存在。
多分、人間だった時から、救いようのない悪人だったらしいから、それが関係しているのだろう。

ソラ「ハロ~!……ミサちゃん、この前は派手にやられてたねぇ?」

このグレムリンと言う奴、いつも茶化したり、火に油を注ぐような発言や勝手な行動をするし、イマイチ信用ができない。
ワイズマン様はなぜ、このような、忠誠心の欠片もなく、信用ならないグレムリンを重宝するのか理解できない。
さらに、ワイズマン様はグレムリンを私の上司に任命した……まぁ、私は認めてないが。

ミサ「私に喧嘩を売っているの?」

ソラ「そんなつもりはないよぉ~」

ミサ「ナンの用だ? 私は今、猛烈に腹が立っているから、どうなっても知らないわよ?」

ソラ「お~怖い怖い! ワイズマンがミサちゃんを呼んで来いって言うから呼びに来ただけだよ」

【ワイズマン】……私達を統べるファントムの王。
私が忠誠を誓い、跪くのはワイズマン様だけ……グレムリンのような道化に指示を出されるのは屈辱だが、背けば、ワイズマン様の意思に反することになってしまう。
きっとワイズマン様はなにか考えがあるのだろう……でないとグレムリンのような奴を私より上の立場にすることなど有りえない。

ソラ「早くしないと、ワイズマンに怒られちゃうよ?」

ミサ「お前に言われなくても、分かってる」

私は森林の奥にある、洞窟に入ると、カーテンの向こうにワイズマン様の影が見える。

ミサ「お呼びでしょうか、ワイズマン様?」

ワイズマン「メデューサ、よく来た。 新たな計画の為、方針を変更することにした……魔法使いを倒せ」

今まで、ワイズマン様は魔法使い達の抹殺よりも、ファントムをより多く産み出すことを優先してきた。
それが、今になって急に魔法使いを倒せとは、どういう風の吹き回しだろうか……余計な詮索はやめておく。
私がすべきことは、ワイズマン様の命令を忠実にこなすこと。

ミサ「ワイズマン様の仰せのままに……」

私はワイズマン様に忠誠の証として、深々と頭を下げる。

ワイズマン「魔法使い達は最近、魔力を急激に上げていて脅威だ。 グレムリンと二人だけでは心細かろう」

ミサ「そんな事はありません……魔法使い達など、このメデューサ一人で十分でございます」

ワイズマン「確かにお前なら一人で倒せるかもしれんな。しかし、今回の敵は魔法使いだけではない……この前、お前を苦戦させた黄金騎士もいるのだ。万が一、お前を失うことになることがあってはならない」

メデューサ「ワイズマン様……」

ワイズマン様は私を大事に思ってくれている……それが嬉しい。
それだけで、私のモチベーションは上がる。

ワイズマン「お前の為にはぐれファントム達を招集した」

ミサ「はぐれファントム……」

数いるファントムの中でも最強を誇る四人……非常に強大で圧倒的な魔力を有し、高い知性と戦闘能力を持っている。
具体的に言うと、私やグレムリンが戦っても、良くて互角、下手をすれば負けてしまうだろう。
「戦う」ことに関しては、それ程、群を抜いているのだ。
悪霊の王と怖れられ、風と熱風を司る魔神【パズズ】、蝮と形容され、大地と創造を司る怪物【エキドナ】、火の精霊と畏怖され、炎と情熱を司る幻獣【サラマンダー】、強い敵意を表すとされ、破壊と天空を司る伝説の翼竜【ワイバーン】
今まで、独自に単独行動をし、ワイズマン様の招集に応じなかった彼らがなぜ、今になって?……。





私は背筋が凍りつくような悪寒を感じる……今、私の背後にいるのは間違いなくはぐれファントム達だ。

パズズ「ワイズマン、コイツが俺達を指揮すると言うメデューサか?」

ワイズマン「そうだ。お前達はメデューサの指示で動くのだ」

エキドナ「実におもしろそうなゲームだよね!」

サラマンダー「魔法使いとやらを倒すゲームなんて、暇つぶしにもならないわよ。ねぇ?ワイバーン」

ワイバーン「あぁ……壊したい……壊したい……戦いたい……なんでもイイよ……ボクは戦いたいだけなんだ……ボクを満足させてくれるなら誰でもいい」

ワイズマン「それとメデューサ、私は時と闇の王と契約した。彼の下僕、魔導ホラー達はこの街の重要な人間に寄生している。いずれ会うだろうが、そいつらはファントムとは違った能力を有している。そいつらの力も利用しつつ、魔法使いと黄金騎士を一網打尽にする計画を実行するのだ」

ワイズマン様はこの私を信頼している……これだけの戦力が揃っていて、失敗など許されない。
ナンとしてでも、憎き魔法使いと黄金騎士を倒す……この命を賭ける覚悟で計画は成功させて見せる。



かなりの期間が空いてしまって本当にごめんなさい
毎日、少しずつでも更新できればいいんだろうけど…ごめんね

>>47
どうだった?少しは楽しんでもらえたかな?
後、メ欄にsagaって入れてみたよ!教えてくれてありがとね

言い忘れたけど、続きはまた明日投稿します
おやすみなさい

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