ちなつ「窓の外に何かいる」(85)

~ちなつ宅~

~夜~

ちなつ「今日のパーティーは楽しかったなあ…」

ちなつ「結衣先輩からプレゼントも貰えたし♪」

ちなつ「こんなに幸せでいいのかしら♪」

ちなつ「よーし、この幸せな気持ちのまま寝て、夢の中でも結衣先輩に会っちゃおうっ!」

ちなつ「待っててくださいね、結衣先輩♪」モゾモゾ

ちなつ「照明も切って、と…」カチッ



ヒューーーーーーーーー


ちなつ(うーん、何か今日は風が強いなあ…)

ちなつ「……」

ちなつ「……」


ヒューーーーーーーーー


ちなつ(……もう、気になって寝られない…)

ちなつ(さっきまでの幸せな気持ちに水指されちっゃたよ…)

ちなつ「……」

ちなつ(……こんな時に限って、京子先輩の話を思い出しちゃった…)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

京子「ねえ、ちなつちゃん、こんな話知ってる?」

京子「1人暮らししてる女の子の家に友達が泊まりに来たんだけど…」

京子「突然、その友達がラムレーズンを食べたいって言い出したんだよ」

京子「女の子は、もう冬だしアイスなんて要らないじゃないって返したんだけど」

京子「友達はどーしても今食べたいって拗ねだした」

京子「仕方ないから、2人で近所のお店に行こうって話しになって家を出たんだけど…」

京子「家を出た直後に友達が突然、警察に電話し始めたんだって」

京子「女の子が事情を聞くと、その友達は必死な顔をして…」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ちなつ(ベッドの下に斧を持った女の人が居るのを見たから…か…)

ちなつ(恐い話だよね、自分の部屋にいつの間にか誰かが潜んでたなんて…)

ちなつ「……」

ちなつ(うう、本気で恐くなってきた…)

ちなつ(京子先輩、恨みますよ…)

ちなつ「……」

ちなつ(だ、大丈夫だよね、私のベッドは下に誰かが潜り込めそうなスペース無いし…)

ちなつ(……だめ、恐くて、我慢できない…、そ、そうだ、こんな時こそ…!)

ちなつ「結衣先輩の抱き枕~♪」ジャジャーン

ちなつ(これを抱いて寝れば、恐さなんて吹き飛ぶってもんです♪)

ちなつ(はぁはぁ、結衣先輩、結衣先輩)スリスリ

ちなつ(結衣先輩の古着で作った抱き枕、結衣先輩のにおいがするよぉ…)スリスリ

ちなつ(これで、結衣先輩の妄想をすれば…)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

結衣「ちなつちゃん、恐いのかい?」

ちなつ「は、はい、結衣先輩、私恐いです…」

結衣「ふふ、ちなつちゃんは恐がりな乙女だなあ」

結衣「大丈夫、私が守ってあげるよ…」

ちなつ「ゆ、結衣先輩///」

結衣「例え地獄へ落ちたとしても…」

ちなつ「ゆ、結衣先輩…?」

結衣「ワタシガ、マモッテ、アゲルカラネェェェェ」ケタケタケタケタ

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ちなつ「何で恐くするの!?」ガバッ

ちなつ「はぁ…はぁ…はぁ…」

ちなつ(じ、自分の妄想に突っ込んじゃった…)

ちなつ(だ、だめだ、頭が恐い事を考える仕様になってるから、結衣先輩まで恐くなっちゃう…)

ちなつ(もっと、強力な、陰の気を吹き飛ばすような物が必要だわ…)

ちなつ「きょ、京子先輩の抱き枕~」ジャジャーン

ちなつ「違うんですよ、これは、あの、結衣先輩の抱き枕とセットで作っただけで…」

ちなつ「だって、結衣先輩の抱き枕が寂しそうでしたから、仕方なくです、他意はありません…」

ちなつ(わたし、誰に言い訳してるんだ…かなり、テンパってきてるなあ…)

ちなつ「よし、京子先輩、元々、貴女の話が原因なんですから、ちゃんと責任とってくださいね?」ギュ

ちなつ「恐くしたら、明日怒りますから!」ギュッ

ちなつ(ああ、京子先輩の体操服で作った抱き枕、京子先輩の匂いがする…)クンカクンカ

ちなつ(京子先輩の匂いって、何か安心するんだよね…)スリスリ

ちなつ(うん、これなら妄想なんてしなくても、寝ちゃえそう…)スリスリ


ガタガタガタ


ちなつ「……!」

ちなつ(え、今、窓が揺れた…)

ちなつ(風は、吹いてなかったと思うけど…)

ちなつ(……誰かが、揺すった…とか?)

ちなつ(い、いやいや、そんなはず無いよ、誰が揺するのよ…)


『斧を持った女の人が居るのを見たんだって』


ちなつ「……」

ちなつ(あ、あんなの、ただの都市伝説だもん…)ギュッ



ヒューーーーーーーーーーー

ガタガタガタ


ちなつ(ほ、ほら、ただの風よ、心配する事なんて、何も無い…)

ちなつ(けど、明日、京子先輩は、殴っておこう…)ギュッ


プップー


ちなつ(あ、車が家の前を通る…)

ちなつ(珍しいな、こんな時間に…)

ちなつ「……え」

ちなつ(い、いま…車のライトに照らされて)

ちなつ(何かが)

ちなつ(私の部屋の窓に)

ちなつ(何かの影が)

ちなつ(映った)

ちなつ「……」


ちなつ(き、気のせいだよね)

ちなつ(だって、だって、今、映った影)

ちなつ(まともな、人間の形、してなかったもん…)


ガタガタガタ


ちなつ「ひっ…!」

ちなつ(うそ、風じゃ、無い…)

ちなつ(風が無いのに、窓が、窓が…)

ちなつ(ど、どうしよう…照明つけて、確かめようか…?)

ちなつ(だ、だめ、照明つけたら、向こうに、気づかれちゃう…)

ちなつ(む、向こうって何よ、向こうに何が居るって…言うのよ…)

ちなつ(う、うう)ガバッ

ちなつ(気のせい、気のせいよ…)

ちなつ(こ、こうして布団を頭まで被っていれば…)

ちなつ(も、もう聞こえない…)


ガタガタ

ガタガタガタガタ


ちなつ(あ、ダメ、これ、絶対、何か居る)

ちなつ(こ、恐い、恐いよお…)

ちなつ(きょ、京子先輩、助けて…)ギュッ

ちなつ(お願いします、抱きついて来ていいから、助けてください…!)ギュッ

ちなつ(京子先輩……!)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

京子「ちなつちゃん、恐いの?」

ちなつ「は、はい、京子先輩、私恐いです…」

京子「もう、ちなつちゃんは恐がりだなあ」

京子「まあ、そういう所がちなつちゃんの可愛いところなんだけどね!」

ちなつ「きょ、京子先輩///」

京子「不安にならなくてもいいよ、私が一緒にいてあげるから」

京子「この音だって、実際見てみれば、大した理由じゃないんだって」

京子「だから、ね?確認してみよう?大丈夫、私も一緒だから」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ちなつ(……うん、そうだね、こんな所で怖がってても仕方ない…)

ちなつ(スパっと確認してしまえば、なんてこと、ないはず…)

ちなつ(怖さを克服さえすれば、朝までぐっすり寝られるはずだから…)

ちなつ(よ、よし、確認しよう、窓の外を…)

ちなつ(京子先輩抱き枕と一緒に…)ギュッ

ちなつ「……」ソロッ

ちなつ「……」ソロソロッ

ちなつ(な、なんとか窓の前まで来た…)

ちなつ(あ、あとは、カーテンをひいて、外を見まわすだけ…!」

ちなつ(京子先輩、ち、力を…勇気をくださいっ!)ギュッ



ちなつ「てやっ!」シャーッ



ちなつ「……」

ちなつ「……」キョロキョロ

ちなつ「よ、良かった…カーテンの向こうには、やっぱり誰も居ない…」

ちなつ「もう、やっぱり風だったんだよね、きっと…」

ちなつ「良かった…今、何時だろ…えーと、携帯携帯…」

ちなつ「あれ、電源切れてる、何時の間に…」

ちなつ「ON…と、うわ、もう0時だ…」

ちなつ「ん、メールと留守電が入ってる」

ちなつ「なんだろ、こんな夜中に…」

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ちなつ「メールは、結衣先輩からだ」

ちなつ「えーと……」


『ちなつちゃん、気をつけて』


ちなつ「ん、これだけ?」

ちなつ「なんだろう、結衣先輩…」

ちなつ「えーと、留守電の方は…向日葵ちゃん?時間は1時間前か~」

向日葵『吉川さん、夜分遅くに申し訳ありません…』

向日葵『えと、非常識かと思いますが、恐くて、我慢できずに電話してしまいました…』

向日葵『櫻子にも電話したのですが、あの子、電源切ってる上に留守電設定もしてないみたいで…』

向日葵『じ、実は、さっきから、窓の外で何かの気配がするんです…』

向日葵『……はい、判ってます、照明つけて確認すればいいのですが…』

向日葵『こ、こわくて、出来なくて…』

ちなつ(ふふ、向日葵ちゃん、私と同じだ)クスッ


向日葵『窓がガタガタって揺れるんです…風でしょうか…』

向日葵『恐くてベッドからも出られません…ど、どうすれば…』


ちなつ(勇気を出して調べれば平気だよ、向日葵ちゃん)クスッ


向日葵『こんな時に連絡がつかないなんて、櫻子のヤツ、明日、殴ってやるんだから…』

向日葵『こ、このままでは埒が明きませんわよね、というか』

向日葵『この事を明日、櫻子に話したら絶対に爆笑されますわ…』

向日葵『そ、その様子を頭に描いたら…もう、恐いなんて言ってられなくなりました!』

向日葵『か、確認してやりますわ!窓の外を!』


ちなつ(頑張れ、向日葵ちゃん…)


向日葵『……』

向日葵『て、てい!』ガラガラガラッ

向日葵『は、はは…やっぱり、何もありませんでしたわね』

向日葵『ふう、風が気持ちいい…』

向日葵『あ、吉川さん、本当に夜分遅く申し和ありませんでしたわ』

向日葵『このお詫びは、明日させていただきますわね』

向日葵『では、おやすみなさい』ガチャッ

ちなつ「ふふふ、全部、私と同じだね、向日葵ちゃん」

ちなつ「明日は、この話で盛り上がれそう」

ちなつ「…あれ、もう1件留守電が…あ、また向日葵ちゃんだ」

ちなつ「時間は、さっきの留守電の1分後か…」

ちなつ「どうしたんだろ…」

向日葵『吉川さん』

向日葵『私が間違ってました』

向日葵『あ、あいつら、私が、窓を開けるのを、待ってたんです、きっと』

向日葵『い、いま、私の』

向日葵『私の後ろ、部屋の中に、だ、誰かが』

向日葵『ナニカが立っています』

向日葵『気配が感じられるんです』

向日葵『物音も…』

向日葵『はぁ…はぁ…』

向日葵『こ、こわくて、振り向けません…』

向日葵『はぁ…はぁ…はぁ…』

向日葵『ど、どうすれば…さ、櫻子、た、助けて…』

向日葵『はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…』

                 _,.. ----  _    _
             ,. :'"´       `γ^ヾ )

            , '´           .,ゝ 、々} )  悪霊退散!!
             /      ...:  ,ィ  ,.i .∧ヽ、_人__)
.           ,'.:   .::;',. :::;/..://:: /,':/  ', l、 .i  ヽ
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向日葵『はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…』


向日葵『はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…』


向日葵『はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…』


向日葵『はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…』


向日葵『はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…』

向日葵『な、なんなの…』

向日葵『な、なんなのですか、いったい』

向日葵『ど、どうして私がこんな目に…』

向日葵『……も、もういい、見てやる、見てやりますわ!』


ちなつ(だ、だめ、だめだよ、向日葵ちゃん、見ちゃ、ダメ!)


向日葵『ふ、振り返ってやる!』


ちなつ(向日葵ちゃん!)


向日葵『~~~~~~~~~~~!』ガチャン、ツー、ツー

                 _,.. ----  _    _
             ,. :'"´       `γ^ヾ )

            , '´           .,ゝ 、々} )  悪霊タイ産!!
             /      ...:  ,ィ  ,.i .∧ヽ、_人__)
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          |;;;;/ |ハレ _rl`': 、_ /    ///;ト,゙;:::::./. ...:::  :::.. ::::          :: ::      :: ::
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ちなつ「ひ、向日葵…ちゃん…」


はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…


ちなつ「……え」


はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…


ちなつ(う、うそ、この、息遣い…向日葵ちゃんのじゃ、無い…)


はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…

ちなつ(わ、わたしの、後ろから、い、息遣い、が…)

ちなつ(ど、どうして…)

ちなつ(私、カーテンは開けたけど、窓は開けてないのに…)


はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…


ちなつ(だ、だめ、振り向いちゃ、だめ)

ちなつ(きっと見ちゃいけないモノだ…これ…)

ちなつ(け、けど、なんで…)

ちなつ(わ、わたし、振り向こうとしてる…)

ちなつ(こ、恐すぎて、確認せずには、いられない…)

ちなつ(だ、だめ、見ちゃ、だめ)

ちなつ(あ、ああ、けど見える…)

ちなつ(見ちゃいけないはずのモノが…)

ちなつ(血のように、真っ赤に染まった…)

ちなつ(真っ赤に染まった、ソイツが…)





京子「へろう!ちなちゅ!」




ちなつ「お前かぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」パンチ

京子「ひ、ひい!?ちなつちゃん、恐いよ!?」ササッ


ガタガタガタガタ


??「京子先輩~早く開けてください、窓の外寒いです~」

ちなつ「……!」ギロッ


ガラガラッ


櫻子「あ、ちなつちゃん、開けてくれてありが…」

ちなつ「お前もかぁぁぁぁぁぁぁぁ!」パンチ

櫻子「へぶっ!」

ちなつ「もう!2人とも、こんな悪戯はもうしないって言ってた…のに?」

ちなつ「あれ、京子先輩の格好…サンタさん?」

ちなつ「櫻子ちゃんは…トナカイ?」

京子「えへへへ、だって、ちなつちゃん、今日はクリスマスだもん!」

櫻子「め、めりーくりすまーす!うう、鼻痛い…」

ちなつ「つ、つまり、サンタさんとトナカイの格好をして」

ちなつ「みんなの部屋にプレゼントを配って回っていた…と」

京子「うん、今年は皆に迷惑かけちっゃたからね、その恩返しって意味で」

京子「けど、最近の家は夢が無いよね~、窓も扉もキッチり施錠されてるし…」

京子「侵入するのにどんだけ苦労したことか…」

櫻子「エントツも無いなんて、ビックリだよ」ハァ

ちなつ「そりゃ、無いでしょ、エントツなんか…」

ちなつ「それで、まだこれから回るつもりなの?皆の家」

櫻子「うん、あとは……何処が残ってるんでしたっけ、京子先輩」

京子「えー、綾乃と池田姉妹を回って、最後に花子ちゃん達の所に行って終了!」

京子「あ、一応、皆には黙っておいてね!」

ちなつ「この時間に連絡なんてしませんよ…」ハァ

ちなつ「……あの、手伝いとか、いります?」

京子「ノープロブレム!私達に任せておきなさいって!」

京子「向日葵ちゃんにも同じ事聞かれたけど、もう遅いしさ」

京子「皆に苦労させるのも気が引けるしね」

櫻子「え、私は?」

京子「櫻子ちゃん、頑丈じゃないですか!」

櫻子「褒められた><」

ちなつ「はあ、行っちゃった…楽しそうだなあ、あの二人…」

ちなつ(最初から話してくれたら、手伝えてたのに…)

ちなつ(……まあ、邪魔するのも、不粋かな…)フー

ちなつ(そういえば、置いて行ったプレゼント、何だろう?)


ガサガサ


ちなつ「うん、まあ、予想出来てたけどね」

~翌朝~

花子「櫻子、これ、ちょっと見てみるし!」

櫻子「あーもー、煩い、私あんま寝てないんだから起こさないでよ…」

花子「いいから!ほら!やっぱりサンタさん居るし!」

花子「ミラクるんのDVD、靴下に入ってたし!」

櫻子「そうですかそうですか、よござんしたね…」モゾモゾ

花子「あ、櫻子は貰えなかったんだ…悪い子にしてるからだし」

撫子「何故か私の所にも入ってたんだよね」

撫子「ミラクるんのDVD」

櫻子「もう、みんなで私に見せに来ないでって…」モゾモゾ

撫子「まあいいけど…」

撫子「……そういえばさ、櫻子、小学校のころまではサンタさん信じてたよね」

撫子「今はどうなの?」

櫻子「……それはお答えできません」ニヤ






リンクSS

結衣「あの二人を無視したらどうなるか」
櫻子「歳納先輩殺人事件」

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