エレン「ここのお茶は美味しい」(38)

「失礼…します」

部屋にはいると呼び出し人はすぐ左にいた。反射的に右に飛び退く。

「昨日、見たね」
「あ、あのっ」
「見たね?」

真顔でジリジリと距離を縮められる。

そして、

ドアを閉められた。

ーーーーーー
ーーーーー
ーーー

前夜


エレン(一人増えただけで三倍は騒がしいな)

ハンジ「疲れたから泊まっていくことにしたから!」

リヴァイ「帰れ」

ハンジ「部屋はリヴァイの隣使うねー」

リヴァイ「帰れ」

ハンジ「なになに?一緒の部屋がいいの~?」ケラケラ

リヴァイ「帰れ」

ハンジ「あ、お風呂はいらないよ」

リヴァイ「帰れ」

ハンジ「まだ四日目だからくさくない!」ドャ

リヴァイ「とっとと風呂に入れ!近寄るんじゃねえ!」

深夜

エレン(地下からだとトイレがちょっとめんどうだよな)

ボソボソ…

エレン(…話し声?兵長の隣の部屋は空き部屋じゃなかったか?)ミミスマシ

「あっこらっがっつくなよー」
「うるせえ…」
「はっ…跡はつけないでよね…んっ」
「わかってる…」

エレン「」

エレン(これはあれだ、アダルトタイムだ!聞いちゃまずいやつだ!)



エレン(結局あまり寝れなかった…)

コレイイニオイノオチャダネー
ハーブガコノヘンハトレテ…

ガチャ

エレン「おはようございます…」

ペトラ「おはよう、って顔色わるい!」

ハンジ「ありゃ…寝れてないのー?駄目駄目!朝食べたら寝なよ?」

エレン「いえ、大丈夫で、すっ…!」

エレン(あの部屋、やっぱりハンジさんだよな!?流石に気まずいっ)メソラシ

ハンジ「ん?」

エレン(見られてる見られてる)ダラダラ

ハンジ「…なーんか、おかしくない?体調悪い?熱?」ズイッ

エレン「だだだ、大丈夫ですってば」

リヴァイ「…おいメガネ、何してる?」

ハンジ「うわっ気配なく背後にたつなよ!」

エレン「おはようございます!」

ペトラ「おはようございます。エレンの体調が悪そうなんです。大事をとって当番は休ませます?」

リヴァイ「そうだな、コイツに何かあったら問題だ」

エレン「いえ、本当に…っ」ハッ

エレン(この声、昨日の…!)ビシッ

ハンジ「…エレン?エレ~ン?」

リヴァイ「…なんでコイツは急に固まった?」

ペトラ「やっぱり変ですよね?」

リヴァイ「そうだな」

ハンジ「凄い!瞬きもしてないよ!眼球の乾きとかも違うのかな?」ワクワク

ドヤドヤ
ガチャ

グンタ「おはようございます」

エルド「なんだ、エレンどうした?」

オルオ「フッ…いい朝だ。俺にふさわしい」

ペトラ「あんた何言ってんの…?」

エレン(当番免除で考える時間はできたから、この間になんとか不自然な態度をしないようにしないと)ゴロゴロ

エレン(フランツやハンナみたいなのは訓練生にはいたけど、流石にああいう場面ははじめてだ)ゴロゴロ

エレン(しかもあの二人)カアッ

エレン「あーもー!どうしたらいいんだよ!」ガバッ

ハンジ「なーにが?」

エレン「!?」バッ

ハンジ「なんか悩みごと?」

エレン「いえ、あのっ…!」

ハンジ「まあいいや。昼食べたら部屋に来てくれる?話があるんだよ。みんなには内緒ねー!バイバーイ」バタバタ

エレン「」

エレン「…いつ地下に?」

ーーー
ーー


そして今、追い詰められている。

射ぬくような瞳に見つめられまた目をそらすが、誤魔化しがきかないのはわかる。…腹をくくるしかない。

エレン「…はい」

ハンジ「ひとまず、病気じゃなくて良かった。病死なんか洒落にならないもん」フー

エレン「あの、本当にすみません」

ハンジ「別にさ、怒ってるわけじゃないんだよ?ただ…あー座って座ってー」

ガタン、と椅子を差し出される。

ハンジ「勘違いされたまま言いふらされると面倒なんだ~」

エレン「お二人が恋人だってこと誰にも言ってません、それと覗いたわけじゃなくて声が…その…聞こえて…」

ハンジ「あ、そうなんだ。ありがと。助かる。でもやっぱり」

ハンジ「勘違いしてるね」ニッ

え?え?違うの?

エレン「?」

ハンジ「私たち別に恋人じゃないんだ」

エレン「結婚なさってたんですか!?」

ハンジ「ぶはっ!なんでよー」ゲラゲラ

エレン「??」

ハンジ「まさかの天然かい!」ゲラゲラ


話が見えない。


ハンジ「夫婦でも恋人でもなく、ただの兵長と分隊長だよー」

夫婦でも恋人でもない?昨日の声が勘違い?

ハンジ「ヤッてるけどね!」

エレン「」

>>10 ちょっと違うw

一旦離脱します。書き溜めコピーが長すぎで弾かれるから調節してきます!

数えるの面倒なだけだったのかもしれんが制限は30行までだぞ

再開

>>13ずぼらゆえ適当→弾かれる→イライラのループ。まいっちんぐ

エレン「え~?えっと」

わからない。何をいってるのかわからない。

ハンジ「まあまあ、落ち着いて。ちゃんと話すよ。その為に呼んだんだから」

エレン「はあ…」

ハンジ「君は、シガンシナ出身でトヘロス防衛戦の経験者だ」

エレン「はい」


ハンジ「だから話す。まだ若いかなと思ったけど理解できるはずだから」

ハンジ「…眠れてる?」

エレン「は?」

ハンジ「今日だけじゃない、シガンシナからずっとの話」

エレン「………」

ハンジ「たまに眠れない?」

エレン「…はい」

ハンジ「だよね。嫌な夢を見るでしょ」

エレン「ごくたまにだけです」

ハンジ「ゴメン、馬鹿にしてるわけじゃないよ。私もね、みるよ。仲間が食われてく夢」

ハンジ「私だけじゃない、間近で見れば脳裏にこびりつくあの光景。大半の兵士が不眠、拒食なんかを経験してる」

ハンジ「勿論、リヴァイも」

エレン「っ…」

意外な名前が出てきて言葉に詰まる。

ハンジ「考えれば当たり前だよ。彼は強いから生き残っている。生き残っているということは地獄を目の当たりにした回数も多い」

ハンジ「怯えて当然だ」

エレン「でも、お二人ともそんなそぶりは見えません」

ハンジ「見せないよ。士気がさがる」

エレン「士気…」

ハンジ「そう、私たちが恐怖を見せたら部下はついてこない。兵団は壊滅だ」

ハンジ「………君はどうしてる?」

また話が飛んで見えなくなる。それを察知さたのか再度問いかけられる。

ハンジ「夜はどうやって寝てる?」

エレン「…開拓地では、孤児は大部屋に詰め込まれてました」

ハンジ「開拓地か。奪還戦で孤児は膨れ上がったからね」

エレン「はい、アルミンも奪還戦孤児です


ハンジ「うん、君の身の回りの報告はあがってる。ミカサとアルミンと開拓地ではいつも一緒だったらしいね」

エレン「寝るときも一緒で…誰かが寝れないときは必ず3人で手を繋いでいました」

寒い部屋、どこかの小さな子供の啜り泣き、そんな中あの手は暖かかったなと思い出す。

ハンジ「そう」

エレン「訓練兵になってからは同室の奴等がいて寝息を聞いてると不思議と眠れました」

アホな寝言、寝相が悪くてベッドがきしむ音、「おやすみ」と言うといつも誰かがどこかから返事をくれた。

ハンジ「…良い仲間だね」

エレン「はい」

ハンジ「私とリヴァイも似た関係なんだよ。大人だからね、より眠りやすい行為はしてるけど

なんとなく二人の関係がわかる。なくてはならない存在なんだ。一方で新たな疑問が持ち上がる。

エレン「何でそこまでしてるのに恋人にはならないんですか?」

その方がわかりやすいんじゃないだろうか?家族や友人のように関係がハッキリしていれば隠す必要もなくなる。

ハンジ「うおーう、直球だねぃ」

明るい声でハッと我にかえる。つい聞いてしまったけど触れられたくない部分だった可能性もある。

エレン「すみません」

ハンジ「さっきから謝りすぎだよ」ケラケラ

ハンジ「私の相手はね、何もリヴァイだけじゃないんだ」

エレン「え?」

ハンジ「さっきも言ったろ?不安を吐き出すことができない人間は沢山いるんだよ」

エレン「で、でも、他に女性もたくさんいますよね」

ハンジ「まあね。ただ…階級上位に女は少ない」

エレン「?分隊長なのが関係あるんですか?」

ハンジ「大有りなんだなー。寝言で機密を漏らすのは許されないのはわかる?」

エレン「それはわかりますが、階級と口の軽さは関係しないと思います」

事実、ハンジさんはよくしゃべる人だ

ハンジ「位が上がるときにね、極秘に身辺調査されるんだ」

エレン「何のためにですか?巨人を倒すのと関係あるようには思えませんが」

ハンジ「…君は本当に良いこだねえ」

目が細められて眼鏡が一瞬反射する。

なんか私が書いてるやつとコンセプトが近い予感がして、注目。
表現とかは全然違うから興味深い。

ハンジ「ぶっちゃけると、人によってはお金になる情報なんだよ。争い事って大金が動くから」

エレン「お金」

凱旋は大金が動くのはわかる。けどそれで儲けようとするやつがいる?兵は命がけなのに?

ハンジ「これ以上この話はややこしくなるから置いといて、私も身辺調査されたわけだよ」

エレン「はい」

ハンジ「で、白かったから分隊長になったわけ」

なんとなく話が見えてきた。つまり

エレン「もしも機密を漏らしても、安全な人ってことですか」

ハンジ「正解ー」

ハンジ「そもそもね、弱い部分があるってこと自体が最大級の機密なんだよ」

エレン「さっきの士気の話ですね」

やっと話の点が線で繋がった。

ハンジ「そそ、理解できたみたいだね!」

エレン「はい」

ハンジ「だからこの話も内密にしてほしい。私達の関係も含めてね」

エレン「口外しないと誓います!」

ハンジ「あの態度も面白かったんだけどさ、なんかもう大丈夫そうだね?」

エレン「はいっ」

お二人の関係がわかったらソワソワしていた何かも落ち着いたのがわかった。

ハンジ「良い返事だ」ケラケラ

ハンジ「っと、もういい時間だ。今夜は向こうに戻らないとなー」

その言葉で部屋に西日が射し込んでいるのに気がついた。

>>23 被ってますか?現行なら申し訳ない

エレン「あの、大切な話をしてくれてありがとうございました」

立ち上がり頭を下げる。

ハンジ「頭なんて下げなくていーよ。君はこれから人類を担う柱になると私は思ってる。だから信頼したいし、してほしいから話したんだよ」

エレン「期待に添えるよう努力します!」

ハンジ「あと仲間を大切にね。柱は支えがあるとより強度を増すんだから」

エレン「はい!」

敬礼をして部屋を出ると食堂から笑い声が聞こえた。きっとまたオルオさんが何かしたんだろうな。
ハンジさんが帰る前にお茶を提案しよう。

軽くなった足は自然と食堂に向かった。


おわり

読んでくれたかたありがとうございました。

メイン以外のサブも投下します。

リヴァハン好きなかたは避けてください


ーーーその日の夜

コンコン

「はーい、開いてるよー」

ガチャパタン

「入るぞ。使用する馬車の資料は渡せたか」

「うん。特に気になることはないって」

「本来なら実物をみてもらいたいんだがな」

「仕方ないよー。どっちも動かして不振がらるわけにはいかないし」

「それはわかっているんだが…」

「で、わざわざ団長さんがこんな時間に出向いた理由はそれだけじゃないでしょー?」ケラケラ

「…ああ」

カチャ

「眼鏡くらい自分ではずせんっ…ふ」

「…隈が消えてるな。リヴァイか?」


「そう。昨日はぐっすり」

「そうか」

スッ

「えっなに?帰るの?してかないの?」

「睡眠は今は足りてる。多分…リヴァイもだ。あの辺りはカモミールが自生してる」

「えっ?あっ!」

「あーそういうことか…」

ガチャ

「エルヴィン」

「なんだ」

「ありがと。作戦頑張るわ!たぎってきた!」

「頼むぞ」

バタン

「…リヴァイも…ありがと」

てなことで本当におしまい。

ありがとうございました。

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