一夏「セシリアを孕ませたい」(140)

セシリア「」

シャル「!?」

箒「なっ」

鈴「えっ」

ラウラ「今、なんと!?」

千冬「血迷ったか愚弟!」

一夏「……」ダラダラ

千冬「一体いつまで黙り込んでいるつもりだ?」

山田「そうですよ、織斑くん……」

一夏(ヤバいつい本心がぽろっと出ちまった)

一夏(なんで、とかこっちが聞きたい……)

千冬「一夏、何か悩みでもあるのか?」

千冬「私で良ければ、相談に乗ってやる」

一夏「……」

箒「ど、どうだ?」コソコソ

鈴「……駄目、さっきから一言も喋ってない」コソコソ

シャル「それもそうだけど。さすがに爆弾発言過ぎたからね」

ラウラ「なぁ、嫁は、私ではなくセシリアを選んだのか?」

シャル「みたいだね。あーぁ、二人は結婚しちゃうのかなぁ」

ラウラ「……私の何がいけなかったんだ」

シャル「さぁ?」

鈴「……っていうかセシリアはどこにいんのよ?」

教室


セシリア「……」ブツブツ

「ね、ねぇ、誰か話しかけてあげなよ」ボソッ

「やだよ、私はあんなのと話したくなんてないし」

「……第一、なんか怖い……」

セシリア(一夏さん……お気持ちは嬉しいのですが)

セシリア(あんな、ムードの欠片も無い状況でのプロポーズだなんて……)

セシリア(私だって、もう少しロマンチックなものを夢見ていましたのに……)

「なんでアイツあんなにテンション低いの?」

「まさか、嬉しくないとか?」

「はぁ? なにそれムカつくんですけど」

セシリア「……はぁ」



山田「織斑くん、私は部屋を出ています」

山田「織斑先生……お姉さんになら、少しは楽に気持ちを話せるでしょうし……」

一夏「……すみません」

山田「はい、では後ほど」

山田「ひゃっ」

山田「……皆さん、何やってるんですか? まぁ分かりますけど……」

箒「一夏は何か言っていましたか?」

山田「それが何も」

鈴「……もういいんじゃない? あたし達の負けってことで」

シャル「あれは『俺の子供を産んでくれ』っていうプロポーズだろうしね」

ラウラ「……」

はよ

千冬「……」

一夏「……」

千冬「お前はもう子供じゃないだろう。いつまで黙っているつもりだ」

一夏「……」

千冬「ふぅ……」

一夏「……その、つい出来心で」

千冬「何がつい、だ」

一夏「……」

千冬(埒があかん……)

鈴「……なんか惨めになってきたから、あたし帰る」

箒「そうだな……」

シャル「あ、じゃあ僕は残るからね。ばいばい」

ラウラ「私も残るぞ」

鈴「好きにしなさいよ……じゃあね」


鈴「あーぁ……」

箒「それなりに頑張ってきたつもりだったんだが……」

鈴「それなり、じゃ駄目なんでしょ……あたしも、箒も」

シャル「あ、今何か喋った」

ラウラ「あぁ、確かに」


鈴「」ピクッ

箒「」ピクッ

鈴「ま、まぁ一夏がどうしようと勝手だし? ねぇ?」


箒「な、何て言ったんだ?」

シャル「特に意味は無さそうだけど。えっとね……」


鈴「……何やってんのよ」

一夏「や、やっと解放された……」

一夏「このまま無かったことに……ならないよな」

一夏「……もうこの学園を辞めざるを得なくなった」

一夏「あれだろ? 明日から俺の机無いんだろどうせ……」

一夏「……トイレに入ってたら水を掛けら……あ」

セシリア「……」

一夏(せ、セシリアさん……俺の部屋の前で何を)

セシリア「……一夏さん、あの」

一夏「ごめんなさい! あんな公衆の面前で、セシリアさんにとんだ辱めを……!」

セシリア「……何故?」

一夏「……畏れ多くも、私のようなげせん? だっけ……えっと、庶民がおこがましいとは思いつつも……」

一夏「セシリアさんをお慕い申しておりまして……それで、その本音がぽろっと……」

セシリア「分かりましたわ。ですから顔をお上げになってください」

セシリア「とりあえず……部屋に入れて頂けません? 今でも十分公衆の面前ですわよ」

一夏「は、はい! ただいま!」


一夏「……」

セシリア「……」

一夏(いっそここで、腹を切るべきか……)

セシリア「一夏さん?」

一夏「そ、そうですね……セシリアさんに私の臓物なんて汚らわしいものを見せるわけには……」

セシリア「ぞうもつ?」

一夏「……ごめんなさい」

セシリア「もう気にしていませんわよ。その、嬉しくありましたから」

一夏「はい?」

セシリア「で、ですが! いきなり子供を孕めとは直球過ぎですわ!」

一夏「……その、俺のガキを産んで欲しいのは事実です」

セシリア「~~~!!!///」

一夏「ただ、明日から俺に居場所は無いと思うし、責任を取って退学するつもりだから……」

セシリア「た、退学?」

一夏「……そうするつもり」

セシリア「は、はぁっ!? 何故!?」

一夏「要するに、女子高に、『女を妊娠させたい』って飢えた男が、在学する」

一夏「……無理だろ?」

セシリア「し、しっかり事情を説明すれば……無理ですわね」

一夏「分かってくれたか」

セシリア「分かりましたが分かりませんわ!」

一夏「だって……」

セシリア「だっても何もありません! いつまでもウジウジしないでくださいな!」

セシリア「私が一夏さんを守ります! 他の方に軽蔑されても、私は致しません!」

セシリア「これで文句がおありですの!?」

一夏「いいのか……?」

セシリア「ええ! 勿論ですわ!」

一夏「そうか……こんな俺と、まだ友達でいてくれるんだな……」

セシリア「ま、まぁこんな形になってしまったとはいえ、とうとう一夏さんと……え? 友達?」

一夏「あ、ありがとうセシリア……」

セシリア「いえ、そうではなくて」

一夏「セシリアは優しいな……こんな、出会ってまだ数ヶ月の男に……」

セシリア「一夏さーん?」

一夏「明日から、頑張るよ。そしていつか独り立ち出来るように頑張る」

セシリア「一夏さんっ!!!」

一夏「ひぃっ!!!」ビクッ

セシリア「あの、私もずっと一夏さんの事をお慕い申して」

一夏「そっかそっか。まぁ第一印象はお互い最悪だったように……え? お慕い?」

セシリア「……///」コクン

一夏「……そんなに気を遣わなくてもいいんだぞ、セシリア」

一夏「学園生活を、俺みたいな男の為に棒に振るなんて駄目だ」

セシリア「気など遣っていませんわ!」

セシリア「私はずっと、一夏さんと、その、結ばれたいと思っておりました!」

セシリア「で、ですがさすがにいきなり子供は……まだ学生ですし」

セシリア「あ、でもでも! 卒業したら、一夏さんの……///」

鈴(えっと、これはあれ? お慕い申し上げ合う仲?)

箒「」

ラウラ「箒、口から魂が抜け出ているぞ」

シャル「結局落ち着いちゃったねー」

シャル「……つまんないの」


一夏「ほ、本当なのか……?」

セシリア「まずは、恋仲ということですわ!」

一夏「セシリア……嬉しいぜ」

セシリア「はい……///」


キャッキャッウフフ

一夏「……良かったよ。高嶺の花と思ってたし」

セシリア「高嶺だなんて、そんな……///」

一夏「……確かに、あの発言はマズ過ぎたと思う。そこは悪かった」

セシリア「そ、そうですわよ。本来家庭を築くというのはもっと段階を踏んでからですわ」

一夏「とりあえずは、これからよろしくな。セシリア」

セシリア「はい!///」


シャル「どーするの?」

鈴「帰る……」

箒「」コクコク

ラウラ「これ以上の盗み聞きは良くないぞシャルロット」

シャル「だね。さすがに惨め過ぎるなぁ。いつまでも引き摺っちゃって」

シャル「明日から、まともに一夏と話せると思う?」

箒「」ブンブン

鈴「あたし、当分1組行かないからよろしく……」

ラウラ「嫁の事だ。律儀に、私達に報告までするだろうな」

シャル「鈍感ぶりが攻撃に回ると、大変なことになるね」

シャル「何人耐えられるか、予想も付かないや」

鈴「……アンタ、平気そうね」

シャル「……そう見えるかな」


シャル(僕も一夏が好きだったんだ……でも、不思議とあまりショックは受けてない)

シャル(好きだったのは、勘違いだったのかな。助けてくれた一夏への感謝を、好意と間違えてたのかな)

シャル(……どうでもいいかな。もう僕の初恋は、終了なんだから)

翌朝


ヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソ


一夏(皆の視線とかヒソヒソ話とか盛り沢山……)

セシリア「~♪」

一夏(俺と腕を組んでいるセシリアさんも原因の一つだろうけど……)

鈴「あ……」

一夏「お、鈴」

鈴「……っ!」ダッ!

一夏「ちょ、鈴……どうしたんだアイツ?」


鈴「やだ、やだやだやだ……!」

鈴(セシリアと居てあんなに幸せそうな一夏、見たくない……!)

鈴(あたし、一夏を好きになっちゃいけなかったんだ。だって、あたし乱暴だし、友達居ないし、色気無いし……!)

鈴(最初っから、釣り合わなかったのに、こんなおこがましいこと……!)

鈴(あたしの馬鹿……もう、居ない方が……!)

ラウラ「……鈴」

鈴「あ、え……ラ、ウラ……?」

ラウラ「あぁ、もう泣いてもいいぞ」ギュッ

鈴「あ……」

ラウラ「色気も母性も無い胸ですまないが、な」ギュッ

鈴「……あたし、ね? 良いとこ、無いから……いちかに……!」

ラウラ「あるだろう」

ラウラ「乱暴なのは、自分の感情に素直なだけ」

ラウラ「友達? 私達が居るだろう。私も鈴のことを大切に想っているんだぞ」

ラウラ「それに色気と言ったか? 私は鈴より遙かにそれが無い」

ラウラ「さぁ、反論できるならしてみろ」

鈴「うっ……ぐすっ……」フルフル

ラウラ「自分で自分の傷口を抉るな。本当に立ち直れなくなるだろう?」

ラウラ「さぁ、後は泣け。吐き出せる感情は、全部吐き出せ」

鈴「いちか……! 好きなの、ずっと好きだったのよぉ……!」

鈴「あたしのことも、見てほしかったのに……!」

ラウラ「……辛いな。私も辛いよ、鈴……」

鈴「……おっけ。もう大丈夫」

ラウラ「まったく、酷い顔だな」

鈴「アンタもよ、そんな感情丸出しの顔は初めて見た」

ラウラ「元より私は無理に嫁をさらっただけだったが……随分と、夢中にさせられてしまったようだ」

鈴「ラウラ。アンタも良いとこたくさんあるわよ。特に今日のはポイント高いわ」

ラウラ「『皆違って皆良い』、そう言うのだろう?」

ラウラ「つまり、私の、鈴の、それに箒達の魅力に気付かなかった嫁こそ、一番の大馬鹿者だ」

ラウラ「……あ、そうか……もう、『嫁』ではないな」

鈴「……ほんとにね」

―――


シャル「あ、ラウラ。織斑先生怒ってたよ?」

ラウラ「如何な理由があろうと、授業に参加しなかったのは事実だからな」

シャル「何があったの?」

ラウラ「鈴と、少しな」

シャル「……そ」

箒「」

ラウラ「箒は、相変わらずか」

シャル「ううん、結構落ち着いてるよ。今は睡眠不足で寝ちゃってるだけ」

ラウラ「ん? シャルロット、話してくれたのか?」

シャル「あまり力になれたとは言い難いけどね。あーあ、僕の心の傷は全然癒えてないのにな」

ラウラ「慰めてやろう。さっきは鈴を慰めてきたんだぞ」

シャル「ありがと、ラウラ」

一夏「……皆、俺と距離取ってるなぁ……やっぱり昨日の発言のせいか……」

セシリア(やっぱり気付いていなかったのですわね……)

セシリア「……ですが、その分私が一夏さんと共に居ます」

一夏「ありがとな、セシリア」

セシリア「……はい///」


ラウラ「正直に言うと、今は嫁……ではなくて、一夏の方を見ていられない」

ラウラ「鈴への慰めは……ただの傷の舐め合いだ」

シャル「……僕はね、箒や鈴とはちょっと違うんだ」

ラウラ「どういうことだ?」

シャル「それほどショックを受けてないんだ。今の一夏とセシリアを見ても、全然辛くない」

シャル「一夏を好きだったはずなのに……」

ラウラ「いや、それは違うだろう? 私にだって、それくらい分かる」

ラウラ「シャルロットの想いは本物だった。私がそれを知っている」

シャル「……だよね」

ラウラ「きっと、急展開に呆気にとられているだけだろう」

シャル「そうだと、いいけど」

シャル「……ほら、ラウラももっと想いを話してみてよ。今の僕はまだ余裕があるからさ」

ラウラ(今のシャルロットの辛さは……私達とはまた違うのか)

濃厚種付けは書けない上にラウラを推し過ぎてスレタイからずれてきてるし即興だからもうなるようになれ姿勢で書いてるしもう落としてでもラウラの言った『皆違って皆良い』っていうのは本心です皆可愛いよ綺麗なシャルを書こうと思っても無理だったから誰かお願い

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