まどか「ほむらちゃんのくしゃみ」(205)

ほむら「ほむちゅん!」

まどか「えっ? ほむらちゃん今の何?」

ほむら「今の、というと?」

まどか「ほむちゅんっていうの」

ほむら「それなら聞いての通りくしゃみよ」

まどか「……変わってるね」

ほむら「そうかしら。自分では普通だと思うのだけど」

ほむら「ほむちゅん!」

杏子「……」

ほむら「……」

杏子「なあほむら。今の何?」

ほむら「今の?」

杏子「ほむちゅんってやつ」

ほむら「くしゃみよ。そんなに変わっているのかしら……?」

杏子「少なくともアンタ以外にそんなくしゃみをする奴は見たことないな」

ほむら「……」

ほむら「……」

ほむら「ボイスレコーダーをセットして、と……」


かちっ


ほむら「次にこよりで鼻をこちょこちょして……」

ほむら「ほむちゅん!」

ほむら「これでよし」

ほむら「録音を再生してみましょう」

ボイスレコーダー「ほむちゅん!」

ほむら「……」

ほむら「……」

ほむら「……」

ほむら「変、かも……」

ほむら「巴マミ……」

マミ「あら、暁美さん。いったい何の用かしら」

ほむら「相談があるの……」

マミ「相談?」

ほむら「ええ……」

マミ(なんだか沈んだ顔をしているわね)いいわ)

マミ(そんなに深刻な悩みなのかしら?)

マミ「いいわ。とりあえず上がってちょうだい」

マミ「で、相談っていうのは何なのかしら?」

ほむら「実は最近、自分のくしゃみがおかしいということに気がついたの……」

マミ「ふむふむ」

ほむら「この録音音声を聞いてもらえるかしら」

ボイスレコーダー「ほむちゅん!」

マミ(あざとっ!)

ほむら「普通のくしゃみができるようになりたいの……」

マミ「なるほどね」

マミ(と、言われても、くしゃみの矯正なんていったいどうすればいいのやら)

ほむら「私はどうすればいいのかしら……」

マミ「うーん」

マミ(駄目だわ、見当もつかない)

マミ(暁美さんには申し訳ないけれど、力にはなれないことを正直に伝え――――)

ほむら「やっぱり……、無理かしら?」

マミ「むっ」カチン

マミ「ちょっと待って暁美さん。やっぱり無理って何よ、やっぱり無理って」

ほむら「え?」

マミ「どうして暁美さんが私の可能性を決めつけられるの?」

ほむら「……じゃあ、貴女はくしゃみを矯正、できるの?」

マミ「もちろんよ! 私にかかればくしゃみの矯正ぐらいお茶の子さいさいなんだから!」

ほむら「!!」

マミ「大船に乗ったつもりでいなさい!」

ほむら「一体どうすれば普通のくしゃみをできるようになるのかしら?」

マミ「こほん! 普通のくしゃみをするためには、えーっと……」

ほむら「……」ワクワク

マミ「あー、そのー」

ほむら「ほむ……?」

マミ(やばい。勢いだけで何にも考えてなかった)

ほむら「巴マミ。あなた本当にくしゃみを治せるの……?」

マミ「もっ、もちろんよ!」

ほむら「それじゃあイジワルしないで治し方を教えて……、お願い」

マミ「くしゃみを普通にするためには……」

ほむら「するためには?」

マミ「だからその、アレよアレ!」

ほむら「??」

マミ(えーっと。もっともらしいこと、もっともらしいこと……)

マミ「そうだ! イメージトレーニングよ!」

ほむら「イメージトレーニング?」

マミ「そう! 普通のくしゃみをしている自分をイメージするの!」

ほむら「ふむふむ……」

マミ「頭の中で正常なくしゃみをしている自分の姿を反芻することで、意識を改革!」

ほむら「……」

マミ「あざといくしゃみをティロ・フィナーレするという作戦よ!」

ほむら「なるほど……」

マミ「というわけで、さあ暁美さん! さっそくイメージトレーニングよ!」

ほむら「……その前に、1ついいかしら」

マミ「ええ、いいわよ。何でも聞いてちょうだい」

ほむら「普通のくしゃみって……、どんなくしゃみ?」

マミ「へ?」

マミ「ティロフィナッ!」

ほむら「実際にお手本を見せてはもらえないかしら……」

マミ「ええ。構わないわよ」

ほむら「ありがとう。それじゃあティッシュを一枚借りるわね」

ほむら「先の方をくるくる丸めて、と」

ほむら「これを巴マミの鼻に入れて……、こちょこちょこちょ」

マミ「はっ……」

ほむら「はっ……?」

マミ「……あ、駄目。一瞬くしゃみが出かけたけど引っ込んじゃったわ」

ほむら「じゃあもう一回くすぐるわね」

ほむら「今度はダブルでくすぐるわ」

マミ「なんだかお間抜けな絵になりそうでちょっと抵抗あるわね……」

ほむら「こちょこちょこちょ」

マミ「はっ……」

ほむら「はっ?」

マミ「はっ……」

ほむら「はっ?」

マミ「はっけよいのこったー!!」

ほむら「……」

マミ「ふふっ、どうかしら私のくしゃみは。参考になったかな?」

ほむら「何だかなにもかも分からなくなってしまったわ……」

マミ「??」

ボイスレコーダー「はっけよいのこったー!!」

マミ「これが私のくしゃみ!?」

ほむら「ええ」

マミ「がーん!」

ほむら「……」

マミ「……」

ほむら「……一緒に」

マミ「えっ」

ほむら「一緒に頑張りましょう……」

マミ「暁美さん……」

ほむら「気を取り直してネットでくしゃみについて調べてみたわ」

マミ「最初からそうすればよかったわね……」

ほむら「調査の結果、もっとも無難かつ可愛らしいくしゃみは」

マミ「くしゃみは!?」

ほむら「くしゅん! だということが分かったわ!」

マミ「くしゅん……」

ほむら「ええ、くしゅんよ……」

マミ「なんと可愛らしい響きなの……」

ほむら「そうね……、まるでまどかみたい……」

ほむら「ではさっそくイメージトレーニング開始よ」

マミ「くしゅん! している自分をイメージするのね」

ほむら「そうよ」

ほむら「くしゅん!」

まどか「えっ!?」

ほむら「くしゅん!」

まどか「きゃーっ! ほむらちゃんのくしゃみ可愛い! 抱いて!」

ほむら「まどか……、まどかー!」

まどか「ほむらちゃーん!」


――――


ほむら「えへ、えへへへ……」

マミ(暁美さん、こんなのでちゃんとイメージトレーニングできてるのかしら……)

30分後


ほむら「だいぶくしゅん感を掴めた気がするわ」

マミ「私もよ。今ならもう完璧なくしゅんができそうな気がするわ」

ほむら「それじゃあ試しにくしゃみをしてみましょう!」

マミ「ええ!」

ほむら「まずは私から」

マミ「くすぐるわよー。こちょこちょこちょ」

ほむら「ほっ……」

マミ「ほっ?」

ほむら「ほっ……」

マミ「ほっ?」

ほむら「ほむしゅん!」

マミ「……あんまり、変わってないわね」

ほむら「ほむ……」

マミ「まあ出だしの時点で分かっていたことだけれど……」

ほむら「ほむぅ……」

マミ「そう落ちこまないで! 大丈夫、少しは近づいたから!」

ほむら「ほむ……」

ほむら「次は貴女の番ね……」

マミ「完璧にこなしてみせるわ」

ほむら「こちょこちょこちょ」

マミ「ぽっ……」

ほむら「ぽ!?」

マミ「ぽっ……」

ほむら「だからなんでぽなの!?」

マミ「ぽーくしゅん!」

マミ「あの、違うのよ……、ただその、ふとポークが食べたくなって、それでつい……」

ほむら「くしゅん! は思った以上に難しいわね……」

マミ「そうね……」

ほむら「そういえばまどか達はどんなくしゃみをするのかしら」

マミ「調べてみる?」

ほむら「そうしましょう」

ほむら「たのもー!」

さやか「うおっ!? ちょっと、なに窓から侵入してきてるのよ!?」

マミ「おじゃまします!」

さやか「わああっ! マミさんまで!?」

ほむら「実は今日は頼みがあってきたの」

さやか「というと?」

マミ「くしゃみを見せてくれないかしら」

さやか「うーん。いきなりくしゃみをしろなんて言われても、しようと思ってできるものじゃないし……」

ほむら「心配には及ばないわ。こよりでこちょこちょすればすぐよ」

さやか「いや。あたし鼻の中こちょこちょされるの苦手なんだよね」

マミ「そう言わずに、お願い美樹さん!」

さやか「……まあ、マミさんの頼みなら」

ほむら「ひいきだわ……」

マミ「さ、くすぐるわよ」

さやか「ばっちこい!」

マミ「こちょこちょこちょ」

さやか「くしゅん!」

ほむら「!!!」

マミ「!!!」

さやか「ま、何の変哲もないくしゃみでしょ」

ほむら「……」

マミ「……」

さやか「えっと……、どうしたの2人とも?」

ほむら「師匠!!」

さやか「へっ!?」

マミ「美樹さん!」

さやか「ちょっと!?」

ほむら「素晴らしいくしゅん! だったわ!」

マミ「まさか美樹さんがここまで素晴らしいくしゃみの持ち主だなんて……、感動しちゃった」

さやか「そっ、そんなに凄いかこれー?」

ほむら「凄いなんてものじゃない……。私、不覚にも感動してしまったわ……」グスッ

さやか「いやぁー。それほどでも!」

マミ「この素晴らしいくしゃみを埋もれさせておくのは世界の損失よね」

さやか「そこまでのものかはちょっと疑問ですけど……」

ほむら「そうだわ! 美樹さやかのくしゃみを録画してネットに流しましょう!」

さやか「へ?」

マミ「そうね。この感動は総人類で共有すべきよね!」

さやか「ちょちょちょちょっと!?」

さやか「はなせー! はーなーせー!」

ほむら「じっとしていなさい!」

さやか「はなっ……、あっ……、へ、変なとこ触んないでよほむら!」

ほむら「貴女が暴れるからよ! って、ちょっと!? 貴女の方こそどこ触ってるのよ!?」

さやか「もっ、揉むなってぇ……!」

ほむら「んっ……、こすらないでよ……!」

さやか「このー!!」

ほむら「ほむー!!」

マミ(この2人、カメラが回ってること忘れてないかしら……)

さやか「はあっ、疲れた……」

ほむら「まったく。貴女が大人しくこちょこちょされないから無駄に体力を消費してしまったわ」

さやか「誰がネットに流されると分かって大人しくくしゃみをするのよ……」

マミ「アップロード完了、と」

ほむら「あら? 何をやっているの、巴マミ?」

マミ「せっかくだしさっきの映像をアップしてみたのよ」

さやか「さっきの……、映像……?」

ほむら「って、まさか!?」

「もっ、揉むなってぇ……!」

「んっ……、こすらないでよ……!」





ほむら「私、客観的に見るとこんなことをしていたの……?」

さやか「うわ、ヒット数が増えてく……」

ほむら「死にたい……」

――――


ほむら「とまあ、そんなこんなで、美樹さやかの家では死にたくなるような目にあったわ」

杏子「ふーん。さやかと、ねえ……」

マミ「死にたくなるだなんて、そんな大げさな」

ほむら「動画をアップした張本人がそんなこと言わないでちょうだい!」

杏子「いきなりやってこられて喧嘩されても困るんだけど」

杏子「で、なんだ。話の流れ的にあたしもくしゃみをすればいいのかい?」

マミ「ええ。お願いできるかしら」

杏子「別にそのぐらい構わないよ」

ほむら「それじゃあさっそくこちょこちょするわね」

杏子「おお」

ほむら「こちょこちょー」

杏子「……」サッ

ほむら「ちょっと。どうしてティッシュをかわすの」

杏子「いや……。なんていうかこう、来る来るって分かってるとつい避けたくなるというか……」

ほむら「ほむむ……。それならもう一度いくわね」

杏子「オッケー」

ほむら「こちょこちょー」

杏子「……」サッ

ほむら「ああん、もう!! だからなんで避けるのよー!!」

杏子「だからほら……、くると分かってると避けたくなるんだよな、やっぱ」

ほむら「ほむむむむむ……」

ほむら「たっ! やっ! てやっ!」

杏子「よっ! はっ! とっ!」サッサッサッ

ほむら「もうっ! くすぐらせてくれるって言ったのにー!」

マミ「ここは私に任せてちょうだい、暁美さん」

ほむら「何か考えがあるの?」

マミ「佐倉さん。大人しく鼻の穴をくすぐらせてくれたらお菓子をあげるわ」

杏子「マジで!? よっしゃ、どんどんくすぐってくれ!」

マミ「ね?」

ほむら「ええー、私の苦労って一体……、頑張ったのに……」

マミ「ではいくわよ」

杏子「はいよ!」

マミ「こちょこちょこちょー」

杏子「へっ……」

マミ「へっ?」

杏子「へっ……」

ほむら「へっ?」

杏子「へーちょ」

マミ「ちょっと奥さん、へーちょですってよ、へーちょ」ヒソヒソ

ほむら「まあ、へーちょだなんて」ヒソヒソ

杏子「なっ、なんだよ!? そんなに変かよあたしのくしゃみは!?」

マミ「変というか……、くしゃみらしく、ないわよね」

ほむら「そうね……。まだほむちゅんの方が……」

マミ「うんうん。ほむちゅんとかはっけよいのこったーの方がくしゃみらしいわよね」

杏子「え? え? そ、そんなにヤバいのか……?」

ほむら「大丈夫よ、杏子」

杏子「えっ……?」

ほむら「努力は人を裏切らないわ」

杏子「ほむら……」

ほむら「自分を信じれば、いつかはきっと普通のくしゃみができるように―――」

マミ「こちょこちょこちょ」

ほむら「ほむちゅん! ……あ」

杏子「全然結果出てないじゃんかぁー!!」

ほむら「いっ、今のは……、不意打ちだったもの!」

杏子「不意打ちに対応できなきゃ実用性皆無じゃん!」

ほむら「それは確かに……」

マミ「暁美さんもまだまだね」

ほむら「ほむむ……」

まもの

――――


ほむら「……ということで、貴女のくしゃみを見せて欲しいのよ、まどか」

まどか「ええー」

杏子「な、頼むよ! あんたなら普通っぽいくしゃみってのを見せてくれそうだしさ」

マミ「私もそう思うわ。お願いよ鹿目さん」

まどか「そんなこと言われても……」

ほむら「まどか……?」

まどか「……ごめん、やっぱり無理!」ダダダダダッ

杏子「逃げ出した!?」

マミ「追うわよ!」

ほむら(なんだか主旨がずれてきている気がする……)

杏子「つかまえた!」

まどか「やーっ! やだーっ!」ジタバタ

ほむら「まどか……」

マミ「お願い鹿目さん。人助けだと思って……、ね?」

まどか「嫌です嫌です絶対嫌ですー!」ジタバタ

マミ「こちょこちょこちょ」

まどか「あっ……、ああっ……」

マミ「こちょこちょこちょ」

まどか「はっ……」

ほむら「はっ?」

まどか「はっ……」

ほむら「はっ?」

まどか「ぶわっくしょぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおいい!!!!」

ほむら「……」

杏子「……」

マミ「……」

まどか「……」

杏子(どどどどうすんだよこの空気!?)

マミ(だってまさか鹿目さんがこんなくしゃみをするなんて思いもしなかったんだもの!)

ほむら(まどか可愛いわ……)

マミ「あ、えっと……、とっ、とても力強いくしゃみだったわ鹿目さん!」

杏子「そうだよそうだよ! なんていうかほら、青天の霹靂って感じだった!」

ほむら「まどかのくしゃみならどんなものだって可愛いわ!」

まどか「ぐすっ、ぐすっ、ぐすっ……」

マミ(泣きだしたー!?)

杏子(マジかよおい! これ完全にあたしらいじめっこじゃんか!)

ほむら(繊細なまどかも可愛いわ……)

まどか「うあぁぁぁん……」

杏子「ご、ごめんな本当に?」

マミ「調子に乗りすぎたわ……」

ほむら「まどかを泣かせるなんて絶対に許せない!」

杏子「ほむらが言えた義理か!」

まどか「うぅぅぅ……」

マミ「お願い、そんなに泣かないで鹿目さん……」

ほむら「好きよ、まどか……」

杏子「あたしら全然気にしてないからさ。な?」

まどか「でも……、わたしのくしゃみ、変、だもん……」

ほむら(スルーされた……)

マミ「こちょこちょこちょ」

まどか「あっ……、ああっ……」

マミ「こちょこちょこちょ」


エロス

ほむら(そうだわ! 巴マミ!)

マミ(何?)

ほむら(あなたがくしゃみをすればまどかも気持ちを持ち直してくれるんじゃないかしら!?)

マミ「ちょっとそれどういう意味よ! 私のくしゃみが鹿目さんよりもおかしいっていうの!?」

杏子「おい! 声に出てる!」

マミ「え?」

まどか「ひどいよぉぉ……、うぁーん……」

ほむら「もうっ!! 巴マミ!?」

マミ「あ、あはは……」

ほむら「聞いて、まどか」

まどか「……」

ほむら「くしゃみのしかたなんかで人の価値は決まらないわ」

杏子(そりゃそうだ)

ほむら「それにね。確かに貴女のくしゃみは変わっているかもしれないけれど……」

ほむら「でも、それも1つの個性だと思うの」

まどか「ほむらちゃん……」

ほむら「あとよかったら結婚してください」

まどか「うん、そうだよね……」

まどか「くしゃみなんかで人の価値は決まらないよね……」

ほむら「その通りよ」

まどか「泣くほどのことじゃ……ないよね……。えへへ」

マミ「でもやっぱり女の子としてあのくしゃみはどうかと思うわ……」

まどか「うわぁああああああーーん!!!」

ほむら「巴マミー!!!」

マミ「あ」

杏子(っていうか、プロポーズ流されても余裕とか何なんだよほむらの奴)

杏子「なあ、まどか」

まどか「ぐすっ、ひっく……」

杏子「あたしはアンタの豪快なくしゃみ、嫌いじゃないよ」

まどか「……本当?」

杏子「ああ! もちろんだ! 聞いていて気持ちいいからな!」

まどか「くしゃみ、褒められたの……、はじめて……」

杏子「そりゃ周りの奴は聞く耳が無かったな」

まどか「嬉しい……」

マミ「でもまったくキャラにあってないわよね、鹿目さんのくしゃみ」

まどか「びぇえええええーーーん!!」

杏子「マミぃー!!」

KYだからマミさんぼっちなのか

>>162

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/  ,:´ ̄ `¨  、 ..__/`ヽ        ̄\|ヘ         {:J:∧ }/ :/ 厶::::::/! : : : : : : :
廴/              ` `ヽー―――ァ___|i_:\ `,-'⌒⌒´`ヽ--'、:〃/ヽ!:::::::::::∨: : : : : :
  〉、             }       \    ̄`¨'ー==、-┐`´ヽ.\__,. |::::::::::::::∨: : : :/
. i  `  、 ___,... <  ∧:.      \        ヾ'`Y   :) ∨Y!::::::::::::::丿: : :/
. /\                 j ..i::         \           ∨ヾ :(  } .j `ーァ'´¨: : : :/
..{  `ヽ、           |         /           ∨)  :). //  //', : : /
/\   `   ― 、   /         /         /〈  / //   ´ . ',: /
\ ` 、           .,' : : : : : : : : : : /       ノ /孑'.///

杏子(さっきからどうしたんだマミのやつ!?)

ほむら(ひょっとして……)

杏子(心当たりがあるのか?)

ほむら(自分より下を見つけて、舞い上がってるんじゃないかしら……?)

杏子(いや。正直マミの方がおかしくね)

ほむら(……確かに)

>>164
こっちの方がよくないか?


  ,'.:       〃 ,:1  ,  __/  // /         } ,     ',
__彡ァ       乂_ノ :!  ,′ ./ ̄/7=‐.、__ノノ     ,'∧      '
.. /            /i::, {  彳ア:::抃<     ( (、__,/'  i     }
 ,'/リ.,   ,イ  ./`¨´i.|:∧. 、 .c弋匕Z_         >、_`ヽ、」     ,'
_彡'厶イ./iヽ,′   |:::∧ {Ⅵ//             ア:::抃、 |    /
       / i|:::{:     `(( .Ⅵ .))       ‘     弋匕Zっ    /
     /  ∨:、     }}_口_{{     ,_-‐- 、      / //      
.    i.|   ∨:\ .γ´,...-‐-ミメ、 └‐―-、、、    .辷´五ニ=一、
.    ヾ、   \,:´,´./ ,.-‐-、.刈ハ.     `~    /          \
-‐…‐-'_ヾ   / l l. {::::::::::::} l l≧:.. ___.... -‐=¬=-、― _....___〉

  /¨,-‐… 7 . 八圦 `‐-‐' ,' 厂`Y   /        `ヾ´/////

. /  {    /.Y¨Y .ゞ.,`=‐-‐ 彡.1辷7―‐-/               ∨―‐- 、
. !   ',     /  !:::::::::`¨ニ¨´::::::|// `ヽ/                 ∨   .〉
. | >'´`ヽ:. /.i⌒i:::::::::::::::::::::::::::::::|/⌒) (  , -―-         j   ./

\! .Уヽ   (./ ./:::::::::::::◯:::::::::::::!  / ∧/ , -‐-、. \        〈‐‐-、 j
. /   ヾ .〈  ヾ::::::::::::::::::::::::::::::! 入 _〈_/    \ \       ∨_)'

マミ「でも鹿目さん。どうしてそこまで自分のくしゃみのことを気にしているの?」

まどか「え……?」

杏子「確かに、泣くほどのことかっていうと」

まどか「……」

まどか「実は、小学生の頃……」

「へへへ!」

「どうしたのさやかちゃん?」

「まどか、あたしとうとうくしゅん! ができるようになったよ!」

「わー! 凄いねさやかちゃん!」

「ありがと! あ、そういえばまどかのくしゃみってどんなのだっけ?」

「わたし? えっと、わたしは……」

「こちょこちょこちょー」

「ぶわっくしょおおおおおおおおおおおおおおおいいい!!」

「うわぁ……、正直これはないわ……」

「えっ……」




まどか「そのできごと以来、わたし……」

杏子「元凶はさやかかよ!!」

マミ「よーし! こうなったら鹿目さんも一緒にくしゃみを矯正しましょう!」

まどか「……」

杏子「まずはイメージトレーニングだな!」

まどか「あ、あの、わたしは……」

ほむら「ほむらちゃんのことが好きです?」

まどか「そう、ほむらちゃんのことが……、じゃなくて!」

ほむら「ほむ……」

まどか「わたしは自分のくしゃみはこのままでいいかなー……、なんて、思ってるんだけど……」

マミ「それはどうして?」

まどか「こんなこと言ったら変だと思われるかもしれないけど……」

まどか「わたし、自分のくしゃみが好きなの」

ほむら「私はまどかの全部が好きよ」

まどか「だってくしゃみはわたしの数少ない、ママにそっくりなとこだから」

まどか「でも、自分では好きな部分だからこそ、変だって言われるのが余計に悲しくって……」

まどか「わたし、わたし……」

杏子「……」

ほむら「……」

マミ「鹿目さん……、私たちが悪かったわ」

ほむら「ちゃっかり複数形なのね……」

ほむら「まどか。お義母様のくしゃみは、ご本人にとてもよくお似合いよね」

まどか「うん……」

ほむら「まどかと同じくしゃみなのに、全然違う印象を受ける」

まどか「そう、だね……。わたし、全然駄目だから……」

ほむら「だったらね。まどかもお義母様みたいにカッコよくなっちゃえばいいんじゃないかしら!」

まどか「かっこよく?」

ほむら「そう。立派なくしゃみに負けないぐらい、かっこいい大人になるの!」

ほむら「そうすればくしゃみをコンプレックスに思うことも、きっとなくなるはずよ」

まどか「なれるかな……、そんな大人に……」

ほむら「なれるわよ。まどかなら絶対に」

まどか「そっか……。うん。ありがとう、ほむらちゃん」

ほむら「そしてお義母様に近付くための第一歩として、結婚を……」

まどか「わたし頑張るね!」

ほむら「ほむむむむ……」

杏子「でも考えてみりゃ、あたし達だって同じだよな」

マミ「同じというと?」

杏子「何も変なくしゃみだからってそれだけで悲観することないってこと」

ほむら「そうね……。それも1つの個性、だものね」

マミ「……私も鹿目さんみたいに、自分のくしゃみが似合うような人を目指してみようかな」

杏子「いや、それは止めた方がいい」

マミ「えっ?」

マミ「……あら? 気がつけばもう外が暗くなってきたわね」

杏子「うわっ。あたしくしゃみなんかにどんだけ無駄な時間使ってんだよ……」

ほむら「それじゃあそろそろ解散しましょうか」

マミ「そうね」

杏子「んじゃ、またなー」

ほむら「ううっ、夜に外を歩くと冷えるわね」

ほむら「早く家に着きたい……」

ほむら「ぶるぶるぶる……」



――――


まどか「ねえねえパパ! 今日ね、ほむらちゃんと―――」


――――



ほむら「ほむちゅん! ほむちゅん! ほむちゅん!」

ほむら「……?」

ほむら「風邪、かしら?」


一そしり二笑い三惚れ四風邪



おわり

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