向日葵「38度7分……」櫻子「ほほぅ」(201)

向日葵「こほっ、こほっ……うぅ、完全に風邪ですわ……」

櫻子「だらしないやつめ!」

向日葵「くっ……確かに最近、生活リズムが乱れがちでしたけども……」

櫻子「体調管理も出来ない向日葵には次期生徒会福会長は務まんないね!」

向日葵「そ、それとこれとは話が違っ……ごほっ! けほけほ、けほっ」

櫻子「ほれ見ろ、言い訳も出来ないじゃん! ふははははー!」

向日葵「言わせておけばこのバカ娘は……、……ていうか」

櫻子「ん?」

向日葵「……」

櫻子「……」

向日葵「あなたなんでここにいますのよ」

櫻子「?」キョトン

向日葵「いやキョトンじゃなくて」

櫻子「?」コクビッ

向日葵「いや小首傾げられましても」

櫻子「だって向日葵がなに言いたいのか全然わかんないんだもん」ブー

向日葵「……あのね櫻子。私、見ての通り風邪をひいていますの。わかります?」

櫻子「わかるよ」

向日葵「ですわよね」

櫻子「……」

向日葵「……」

櫻子「……で?」

向日葵「だからでじゃなくて!! ッげへごほがは!」オエー

櫻子「ぉぉぅ。大声だすと喉つらくない?」

向日葵「だ、誰のせいだと……」ゼーハー

櫻子「まあまあ、水でもお飲み」スッ

向日葵「あ、ありがとうございますわ……んく、んく、んく……ぷはっ」

櫻子「落ち着いた?」

向日葵「……ええ、まあ」

櫻子「……」

向日葵「……」

櫻子「で、向日葵はなんで怒ってんの?」

向日葵「」ガタッ

櫻子「」ビクッ

向日葵「」ピタッ

向日葵「……」

向日葵「」ハァ

櫻子「……?」

向日葵「……あのね櫻子。私、さっき言った通り風邪をひいてますの。わかりますよね?」

櫻子「うん」

向日葵「わかっててどうして……風邪、伝染っちゃうじゃないの」

櫻子「伝染んないし」

向日葵「なにを根拠に……」

櫻子「なにをって、いつも向日葵が言ってるんじゃん」

向日葵「え?」

櫻子「ナントカは風邪ひかないって」

向日葵「た、確かに!! ……って、それは単なる悪口と言いますか……」

櫻子「なぬー!? ナントカって美少女のことじゃなかったのか!」

向日葵「美少女万能説!?」

ガラッ

楓「お、おねえちゃん……」ヒョコッ

向日葵「楓?」

楓「おねえちゃん、あんまり櫻子お姉ちゃんのことを怒らないであげて?」

向日葵「え……どういう意味ですの?」

楓「あのね、櫻子お姉ちゃん、楓の代わりにおねえちゃんの様子を見ててあげるって言ってくれたの」

向日葵「え」

櫻子「ちょ」

楓「楓はお部屋に入っちゃだめってお母さんに言われてるけど、おねえちゃんが心配だから……」

向日葵「……」

楓「そうしたら櫻子お姉ちゃんが、私も心配だからって、私は風邪ひかないから大丈夫って……」

櫻子「わ、わー! わーわーわー! すとっぷ、楓すとーっぷ!」バッ

楓「もぎゅっ」

櫻子「か、楓はほんとにいい子だなー! いい子の楓は私んちで遊ぼうねー! さっ、レッツゴー!」ダッ

楓「むーっ」ジタバタ

向日葵「あ、ちょっと」

ズドドドドドドドドド...

向日葵「……行っちゃいましたわ」

...ズドドドドドドドドド

向日葵「!?」

櫻子「っただいま!」

向日葵「お、おかえりなさい……」

櫻子「……」

向日葵「……」

櫻子「ひ、向日葵!」

向日葵「は、はいっ」

櫻子「………………看病、されろ!」

向日葵「………………は、はい……」

ちょっとちんこの話やめていただけます

……
…………
………………

櫻子「と、いうわけで! 今日は一日! この櫻子様が! 下僕である! 向日葵の! 看病を! して! やろう! って! いうわけだよ!」

向日葵「………………ごめんなさい、大声、響いて……」ズキズキズキ

櫻子「あっ、ごめん」

向日葵「いえ……」

櫻子「大丈夫?」

向日葵「……大丈夫に見えるなら、一緒に社交ダンスでも踊ってみましょうか……?」

櫻子「おっ、いいねー。やろっか。立って立ってー」ヘイヘイ

向日葵「うそにきまってるでしょうこのおばか……」グデー

櫻子「わわ、ほんとに具合悪そう」

向日葵「ほんとに具合悪いのよ……」

櫻子「えっと、なにかして欲しいこととかある?」

向日葵「……」

櫻子「……」

向日葵「……静かにしてて欲しいですわね……」

櫻子「えーっ? つまんないー」ブー

向日葵「あいにく、あなたを楽しませる為に風邪ひいたわけじゃありませんわ……」

櫻子「ちぇっ。いーもん、だったら私ひとりで遊ぶもーん」

向日葵「勝手になさい……でも、遊ぶなら居間に行きなさいね……」

櫻子「うっせーうっせー、私に命令すんじゃねー」トテトテ

向日葵「……ごほっ、こほ、けほっ!」

櫻子「……」

トテトテトテトテ

向日葵「……」

向日葵「やっと、静かになりましたわね……」

向日葵「ふぅ……っけほ、ごほ!」

向日葵「ぅ……っ」

向日葵「(風邪なんて、いつぶりかしら……)」

向日葵「(久しぶりなのは確かだけど……)」

向日葵「……」

シーン...

向日葵「……」

向日葵「(ああ……やっぱり――)」

べちょっ

向日葵「ぎにゃあっ!?」ビクッ

櫻子「おおっ、面白い声でた」

向日葵「な、ちょ、なあっ、なんですのこれ、なっ……なんか垂れてキマシタワー!?」ワタワタ

櫻子「あっはっは」

向日葵「あっはっはじゃなくて……! 説明なさい櫻子、なんですのこれは!?」

櫻子「なにって、濡れタオル」

向日葵「ぬ、濡れタオル……?」

櫻子「濡れタオル。きもちーっしょ」エヘン

向日葵「……濡らしすぎですわ。せめてもう少し絞りなさい」

櫻子「なぬっ、人の親切にケチつけんのか向日葵」

向日葵「親切なら親切で、もっと人に伝わる形にしなさいな。これじゃありがた迷惑ですわ」

櫻子「おい難しい話とか今やめろよ」

向日葵「してませんわよ……まったく……」

向日葵「……」

向日葵「……でも、ありがと」ボソッ

櫻子「?」

ぺとっ

櫻子「ほれ、ちゃんと絞ったぞ」

向日葵「ぁ……これなら問題ありませんわ。気持ちいい……」ホゥ

櫻子「……」

向日葵「……」

ぐぅぅぅぎゅるるるるるるごごごごごごごごごごご

櫻子「敵襲!?!?!?!?!?」

向日葵「ち、ちがいますわよっ!」

櫻子「え、じゃあなに……」ハッ

向日葵「~っ」

櫻子「……」

向日葵「……」

櫻子「向日葵、の……お腹の音?」

向日葵「……」コクリ

櫻子「ぇぇー……」

向日葵「ぅぅ……」カァァ

櫻子「39度近い熱で食欲バリバリとか……さすがすぎるだろ向日葵……」

向日葵「う、うるさいですわねっ。今の濡れタオルで気分が楽になったら、急に……」

櫻子「まあ食べないよかマシだけどさぁ。なんか食べたいものある?」

向日葵「そうですわね……柔らかいものなら、別になんでも」

櫻子「柔らかいものね、了解!」

向日葵「……え?」

櫻子「この櫻子様にまかせとけーっ!」

向日葵「ちょっ、櫻子!?」

櫻子「ちょわーーーっ!」

ズドドドドドドドドド...

向日葵「行っちゃいましたわ……」

向日葵「……」

向日葵「ふ、」

向日葵「不安ですわ……!」

向日葵「よもや櫻子に台所を任せる事態になろうとは……予想だにしていませんでしたわ……」

向日葵「……」

向日葵「?」

向日葵「なにか、いやに静かですわね……」

向日葵「自分の家の台所を使ってるのかしら」

向日葵「まあ、うちの台所を破壊されるよりマシですけど……」

向日葵「……」

向日葵「それにしても、遅いですわね……」

向日葵「一体どんな力作が……」

向日葵「……」

向日葵「」ゾクッ

向日葵「い、胃薬でも探しておこうかしら」ヨロッ

ガラッ

向日葵「!」ビクッ

...ズドドドドドドドドド

向日葵「……!」ゴクリ

ガラッ

櫻子「おっまたせー! おかゆ持ってきたよー!」ジャンッ

向日葵「!?」ギョッ

櫻子「……なにそのリアクション」

向日葵「だ、だって、思ったよりずっとまともな見た目なんですもの……」

櫻子「失礼すぎる! 文句があるなら食ってからにしろ!」

向日葵「わ、わかりました……それじゃあ、いただきます……」スッ

櫻子「いきなり食べると胃がびっくりするからね。ゆっくり食えよー」

向日葵「ええ、わかってますけど……」アーン

パクッ

向日葵「……」モグモグモグ

向日葵「!」

向日葵「おいしい……」

普通に寝てた。失敬

櫻子「ほんとっ?」

向日葵「ええ……おかゆですから特別にどうこうとかじゃないですけど、ちゃんとおかゆしてますわ……」マグマグ

櫻子「食べにくくない?」

向日葵「平気ですわ。ちゃんと長めに煮てくれているようですし……」ホフホフ

櫻子「そっか、ならいーや」ウム

向日葵「……櫻子に謝らないといけませんわね」

櫻子「?」

向日葵「櫻子が食事を用意してくれるって聞いて、正直かなり危険を感じてましたの」

櫻子「なんだとぅ」

向日葵「今となってはまったくの杞憂でしたわね。ごめんなさい」

櫻子「まったくだ! 謝れ! おかゆを作ったねーちゃんと、運んだ私に謝れー!」

向日葵「えっ」

櫻子「えっ」

向日葵「……」

櫻子「……」

向日葵「……えっ、これ、撫子さんが……?」

櫻子「作った」

向日葵「……ぇぇぇ……」グデー

櫻子「うおっ、いきなり力抜けてる! どうしたの向日葵」

向日葵「どうしたもこうしたも……あなた、どんだけですのよ……」

櫻子「なにがだよ」

向日葵「……普通、こういうのって櫻子が一生懸命作ったとか、そういうアレじゃないんですの……?」

櫻子「ええ? なんだよー、向日葵が言ったことなのに」ブー

向日葵「え?」

櫻子「さっき言ったじゃん。親切は人に伝わるように……って」

向日葵「!」

櫻子「……私の料理じゃ向日葵の具合がもっと悪くなるかもだしさ、下手なことはしない方がマシかなって思ったんだよー」

向日葵「櫻子、あなた……」

櫻子「だからさー、なのにさー、向日葵はさー」ブツブツ

向日葵「……」

ポン

櫻子「!」

向日葵「……ありがとう、櫻子」ナデナデ

櫻子「わ、ちょっ」アワワ

向日葵「あなたなりの気遣いだったなんて、気付かなくてごめんなさい」ナデナデ

櫻子「べ、べつにっ」

向日葵「あまりにも似合わないことでしたから、気付けというのが難しいですけれど」ナデナデ

櫻子「なぬ」

向日葵「……残りも全部いただきますわね。よかったら、冷蔵庫からプカリを持ってきてくれません?」

櫻子「……ん、わかった」

向日葵「ありがとう、おねがいしますわ」

櫻子「私も飲んでいい?」

櫻子「……コップ、ちゃんと2つ持ってきなさいね」

……
…………
………………

向日葵「すぅ……すぅ……」zzZ

櫻子「……」

向日葵「すぅー……すぅ、すぅ……」zzZ

櫻子「……」ソッ

向日葵「んっ……」

櫻子「……」ナデナデ

向日葵「ん、ふぅ……」

櫻子「……」ナデナデ

向日葵「……ぁ、りが、と……」

櫻子「!」

向日葵「さくらこ……むにゃ……」zzZ

櫻子「」ホッ

櫻子「……」ナデナデ

……
…………
………………

櫻子「……」ナデナデ

ピンポーン♪

櫻子「!」

ピンポーン♪

櫻子「誰だろ……?」

トテトテ

櫻子「はーい」ガラッ

花子「」チョコン

櫻子「花子?」

花子「花子だし」

楓「」チョコン

櫻子「楓?」

楓「楓なの」

櫻子「ふたり揃ってどしたー? 結婚の挨拶?」

花子「ち、ちがうしっ!」カァッ

楓「楓はおねえちゃんが心配で見に来たの。櫻子お姉ちゃん、おねえちゃんは?」

櫻子「今は寝てるよ。ご飯も食べて薬も飲んだし、朝よりは楽そうだけど」

楓「そうなの……」ホッ

櫻子「んで、花子はなにしにきたの?」

花子「迎えに来たし」

櫻子「迎え?」

花子「え、櫻子……覚えてないの?」

櫻子「なんのことやらさっぱり」

花子「今日、みんなで外食に行く日だし」

櫻子「外食!」

花子「しかも櫻子のリクエストで焼肉だし」

櫻子「焼肉!!!」

花子「もう姉ちゃんは支度できてるから、早く櫻子よんでこいって言われたし」

櫻子「うわうわうわそーだった……完璧に忘れてた」

花子「櫻子が焼肉のこと忘れるなんてありえないし」

櫻子「うっさい!」

花子「櫻子のがうっさいし。はやく帰ろ?」

櫻子「んー……あー……」

花子「櫻子?」

櫻子「……」

楓「……櫻子お姉ちゃん……」

櫻子「――」

ポム

楓「ぁ……」

櫻子「」ニコッ

櫻子「……ごめん花子。私、パス」

花子「えっ!?」

櫻子「いやぁ……なんか焼肉って気分じゃなくてさぁ」ポリポリ

花子「さ、櫻子が焼肉食べたくない気分ってどんな気分!?」

櫻子「どんなって……そりゃーほら、アレだよアレ」

花子「どれだし」

櫻子「……」

花子「……」

楓「……」

櫻子「ひ、」

櫻子「向日葵の傍にいてやりたい気分……かな」ポソッ

「「!」」

櫻子「ほ、ほら、あいつってば私の下僕だから? 調子悪い時ぐらい世話してやるのがご主人様の務めってやつじゃん?」

花子「櫻子……」

楓「櫻子お姉ちゃん……」

櫻子「……あっ、そーだ! 私の代わりに楓を連れてってやってよ!」

楓「えっ?」

花子「楓を?」

櫻子「うんうん。どうせ向日葵のやつがあのザマじゃーご飯なんて作れないしさ、丁度いいじゃん!」

花子「いいけど……いいの?」

櫻子「なんで私に訊くんだよー。楓がいいかどうかでしょ? どう楓、焼肉好き?」

楓「う、うん……でも、」

櫻子「じゃー決まりね! ほい花子、楓をドーン!」ドーン

楓「きゃっ!?」ヨロッ

花子「うわわっ!?」ハシッ

櫻子「ナイスキャッチ。そんじゃ、いってらっしゃーい!」

花子「ちょ、櫻――」

ピシャッ

櫻子「……」

櫻子「さってとー」トテトテ

ガラッ

櫻子「向日葵ー起きてるー?」

向日葵「……ん、櫻子……?」モゾッ

櫻子「あ、まだ寝てた?」

向日葵「いえ、ちょうど目が覚めたところですの……」グシグシ

櫻子「うわ、向日葵寝グセすごいよ」

向日葵「え、えっ? どこ、どこですの?」アセアセ

櫻子「あはは、反対だよー。ほらここ、ピーンって」テグシグシ

向日葵「あ、あぅう……」カァー

櫻子「調子はどう?」テグシグシ

向日葵「ええ……おかげ様で、いくらかマシになりましたわ」サレルガママ

櫻子「あっそ」

向日葵「あっそって……自分から訊いといて素っ気ないですわね……」

櫻子「そういえば今、花子と楓がお見舞いに来てくれたよ」

向日葵「え、本当ですの?」

櫻子「本当ですの。部屋までは上げなかったけど、お大事にーって」

向日葵「そう……治ったら花子ちゃんにもお礼を言ってあげませんとね」

櫻子「いーよそんなもん。あ、それと、楓はうちでご飯食べさせとくから気にしないでいいよ」

向日葵「あ、それは助かりますわ……どうしようかと考えてましたから」

櫻子「ふふふ、そんなことだろうと思ったよ。どうだ、櫻子様は気が利くだろう!」

向日葵「あなたにしては珍しく、ね」クスッ

櫻子「なんだとー!」ウガー

……
…………
………………

櫻子「はい、あーん」アーン

向日葵「さ、櫻子……私、自分で食べれますから……」モジモジ

櫻子「だーめ。病人はおとなしくしてなきゃだーめ。はい、あーん!」アーン

向日葵「ぅう……あ、ぁー……んっ、ちゅるるっ……」ハムハム

櫻子「おいしい?」

向日葵「むぐむぐ……ええ、美味しいですわ。どん兵衛」

櫻子「さすがどん兵衛!」

向日葵「さすがですけれど……病人食にどん兵衛ってどうなんですの?」

櫻子「別にいいじゃん? お湯入れていつもより長めに待ったし。はい次、あーん」アーン

向日葵「あーん……ちゅるっ……なんか釈然としませんわ……」ハムハム

櫻子「ご飯たべたー、薬のんだー、あとはー」

向日葵「あ、あとはもう一度寝るだけですわっ」ソソクサ

櫻子「待てや」ガシッ

向日葵「ぎくりですの」

櫻子「向日葵、今朝からずっとパジャマだよね?」ニコッ

向日葵「え、ええと……そうでしたっけ? 確か途中、オシャレな一張羅を身に纏っていたような……」シラッ

櫻子「だ・よ・ね?」ニッッッッッッッッコリ

向日葵「……でしたわねー」

櫻子「だよねー」

向日葵「ねー」

櫻子「……」

向日葵「……」

櫻子「脱げやーっ!」ガバッ

向日葵「いやあああケダモノーっ!?」

続くと思ったか?メシだよ!!!!!!

ゴチソサマ

櫻子「タ・オ・ル・を・シ・ボ・ル~♪」フンフーン

向日葵「ぅう……剥かれた……見られた……もうお嫁にいけませんわ……」メソメソ

櫻子「いつまでメソメソしてんだ! 背中しか見てないってば、何度も言ってるでしょ!?」

向日葵「背中も裸の一部ですわ! 今日は寝苦しいからとブラも外してましたし、まっさらな背中を晒すのは恥ずかしいんです……!」カァァッ

櫻子「知らん」

向日葵「」イラッ

櫻子「ギャーギャー言うなって、風邪が悪化するよ」

向日葵「くっ……正論ですわ。櫻子に諭される日が来るなんて……」グヌッ

櫻子「だから知らんって。ほら、タオルいきまーす」

ぴとっ

向日葵「んっ」ピクンッ

櫻子「ッ」ドキッ

向日葵「……さ、櫻子……?」

櫻子「っへ、ぁ、ぁあ! うぅん、なんでもない! じゃ、拭くね?」アセッ

ゴシ...ゴシ...

向日葵「ん……」

櫻子「お客さーん、お加減いかがっすかー」

向日葵「ええ、ちょうどいい具合ですわ……櫻子、案外上手ですのね」

櫻子「たまにねーちゃんのお風呂に付き合わされてるからねー」

向日葵「撫子さんに……? 初耳ですわ」

櫻子「初口ですわ」

向日葵「その日本語はおかしい」

ゴシ...ゴシ...

向日葵「……ねえ、櫻子」

櫻子「んー?」

向日葵「今日は、その。いろいろと……してくれましたわよ、ね?

櫻子「んー……」

向日葵「ですから……あの、ええと……ありがと、ね」

櫻子「……んー」

向日葵「……はい、ありがとう。背中はもう十分ですわ」

櫻子「ん。あ、お湯冷めちゃってる。換えてくるね?」

向日葵「お願い出来るかしら」

櫻子「おまかせー」スクッ

ガッ

櫻子「へっ」

向日葵「ちょ」

櫻子「っと、っとっとっとっと……、――あ」フラッ

つるっ

ばしゃーん

ぎゃー

……
…………
………………

向日葵「あわわわわわわわわわ」ガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチ

櫻子「あわわわわわわわわわ」オロオロオロオロオロオロオロオロオロオロオロオロオロ

向日葵「あわ、あわわ、あわわわわわわわわわわわわわ」ガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチ

櫻子「あわわわわ……どど、どうしよう、このままじゃ向日葵が死んじゃう!」

向日葵「さぶぃ……さぶいいいいいいいいい」ガチガチガチガチガチガチガチガチガチ

櫻子「! そうだ、布団……毛布! ありったけ!」

ガサゴソガサゴソ

櫻子「これと、これと、あとこれもっ! 向日葵の上に乗っけて!」

バサバサバサッ

向日葵「あわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわ」ガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチ

櫻子「ひぃっ!? し、しっかりしてよ向日葵、ひまわりー!」

……
…………
………………

櫻子「ん……っと」ギゥゥゥ

ぺとっ

向日葵「ぅ、ん……はぁ、はぁ、は、ぁ……っ」

櫻子「……」

櫻子「水ぶっかけた直後と比べたら、だいぶマシになったかな……」

向日葵「はぁ……はぁ……」

櫻子「……」

櫻子「ごめんね、向日葵……」

櫻子「ちゃんと私が治してあげるから」

櫻子「……」

櫻子「布団、私の分もとってこよ……」スクッ



キュッ

櫻子「!」

向日葵「ぅうん……」

櫻子「手……向日葵、寝ぼけて……?」

向日葵「……な、で……」

櫻子「え?」

向日葵「行か、ないで……」

櫻子「……!」

向日葵「いっちゃやだ……ひとりぼっちは、やだよ……」

櫻子「ひま、わり……」

向日葵「さむいよ……こわい、よ……さみしいよ……」



向日葵「……さーちゃん……」



櫻子「っ!」

向日葵「さーちゃん……いかないで……」グスッ

櫻子「……」

ストン

櫻子「……」

ギュッ

向日葵「ぁ……」



櫻子「大丈夫だよ、ひまちゃん」



向日葵「さー、ちゃん……」

櫻子「私はどこにも行かないよ。ずっとひまちゃんの傍にいる」

櫻子「ずっと、ひまちゃんの手を握っててあげるから」

櫻子「だからひまちゃんは寒くもないし怖くもない、寂しくもないんだよ?」

櫻子「だから、安心して……ゆっくり眠っていいんだよ、ひまちゃん」

向日葵「……さーちゃ……ありが、……と……」

……
…………
………………

櫻子「……」

向日葵「すぅ……すぅ……」

櫻子「(もう3時かぁ……)」

向日葵「すぅ……、さーちゃん……?」

櫻子「いるよ、ひまちゃん。だいじょーぶ」クシャクシャ

向日葵「んっ……ん、すぅ……すぅ……」

櫻子「……」

向日葵「すぅ……すぅ……」

櫻子「……やれやれ、ひまちゃ……向日葵にも困ったもんだよ」

櫻子「おっぱいばっかりでっかくなって、泣き虫の寂しがり屋はそのまんまでやんの。うりうり」ツンツン

向日葵「んー……んぅ……」モゾッ

櫻子「……」クスッ

櫻子「……」

櫻子「はあ……やい向日葵、聞こえてんのかー?」ツンツン

向日葵「んー……やぁ……」

櫻子「下僕の分際でご主人様の手をわずわ、わら、わらず……? わずらわ……せる? なんて、百万年早いんだからな」

櫻子「だから……早くよくなれよー、ひまちゃん」

向日葵「……ぅん。さー……ちゃん」

櫻子「……」

櫻子「……ひまちゃん。ひさしぶりに、アレやったげよっか」

櫻子「元気になぁれの、おまじない」

櫻子「――」スッ

……

…………

………………

向日葵「櫻子。ねえ、櫻子」ユサユサ

櫻子「んぁ゛ー……お?」

向日葵「目が覚めまして?」

櫻子「ひま……ちゃん?」

向日葵「んなっ!? なな、なにを今更、そんな昔の呼び方……!」カァァァッ

櫻子「へ? ぁー……ぅー……?」

向日葵「……っ」モジモジ

櫻子「あー……あっ!?」ガバッ

向日葵「」ビクッ

櫻子「ひ、向日葵! もう起きても平気なの!?」

向日葵「ええ、お陰様で……」

櫻子「そっか……そっか。なら一安心だねー」ノビーッ

向日葵「……今回ばかりはあなたに助けられましたわ、櫻子。なにかお礼をしませんとね」

櫻子「お礼? や、いいよそんなん。いらないいらない」

向日葵「へっ!? ど、どういう風の吹き回しですの!? 櫻子が見返りを拒否するなんて……!」

櫻子「ちょ、向日葵こそなにその言い方! 人をがめついみたいに言うな!」

向日葵「事実がめついじゃありませんの! 正直に言いなさい、なにを企んでますの!?」

櫻子「企んでねーし! お礼なら勝手にもらったからいらないだけだし!」

向日葵「え」

櫻子「あ」

向日葵「勝手にもらった……? あなた、私が寝てる間に部屋の物を!?」

櫻子「盗ってねーし!」

向日葵「じゃあ一体……」

櫻子「あーもうしつこい! とにかくお礼なんていらないから!」

向日葵「でも……」

櫻子「でもじゃない! 元気が出たんなら早く着替えて、楓に顔でも見せ、みせ、て……てー、――」ムズムズ




櫻子「――っくしゅいチキショーイ!!」



「「……あ」」


 

オチた?オチろ!オチが伝わる事を祈ります。しからばこれにて

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